図1は、本発明の実施の一形態であるディスプレイ駆動機構10を概略示す斜視図である。図2は、ディスプレイ駆動機構10を図1に示す断面線A−Aで切断して見た断面図である。本実施の形態では、ディスプレイ11を傾動可能、すなわちチルト可能に構成されるディスプレイ駆動機構10の一例を示す。
電子機器駆動機構であるディスプレイ駆動機構10は、たとえば車両に搭載される。ディスプレイ駆動機構10には、支持体12と駆動源13とが含まれる。ディスプレイ駆動機構10は、いわゆるチルト機構であり、ディスプレイ11を傾動可能に構成される。ディスプレイ駆動機構10は、支持体12によってディスプレイ11を支持可能に構成される。さらにディスプレイ駆動機構10は、支持体12によって支持されるディスプレイ11を駆動源13によって傾動駆動可能に構成される。ディスプレイ駆動機構10は、たとえば車両における幅方向中央に対して幅方向一方向および他方向に略対称に構成されている。以後、ディスプレイ駆動機構10の幅方向一方の断面図を示し、幅方向他方の断面図を省略する場合がある。
図3は、ディスプレイ11を示す斜視図である。図4は、ディスプレイ11を幅方向に見た側面図である。ディスプレイ11は、略直方体に形成され、その厚み方向に垂直な仮想平面で切断して見た断面が略矩形状に形成される。前記「略直方体」は直方体を含み、前記「略矩形状」は矩形状を含む。ディスプレイ11には、厚み方向に垂直な一表面部に表示部14が形成される。またディスプレイ11のうち前記幅方向に垂直な第1側面部15および第2側面部16に、ガイド部17が形成される。回動軸および係合部であるガイド部17は、略円柱状に形成される。前記「略円柱状」は円柱状を含む。
第1側面部15において、一対のガイド部17が、ディスプレイ11の高さ方向一端部および他端部に離隔して配設される。これらガイド部17は、表示部14が形成される表面部の裏面部寄りに付設されるとともに、各ガイド部17の中心軸がディスプレイ11の幅方向と略平行になるように設けられる。前記「略平行」は平行を含む。第2側面部16において、一対のガイド部17が、ディスプレイ11の高さ方向一端部および他端部に離隔して配設される。これらガイド部17も、前記裏面部寄りに付設されるとともに、各ガイド部の中心軸がディスプレイ11の幅方向と略平行になるように設けられる。前記「略平行」は平行を含む。
つまりディスプレイ11の各側面部15,16には、ディスプレイ11の幅方向外方に所定小距離突出するように一対のガイド部17が形成される。一対のガイド部17は、ディスプレイ11の幅方向略中央に対して面対称となるように第1および第2側面部15,16に形成される。以下では、第1側面部15の高さ方向一端部に形成されるガイド部17を第1ガイド部17aと呼び、他端部に形成されるガイド部17を第2ガイド部17bと呼ぶ場合がある。またガイド部17には、第2側面部16の高さ方向一端部に形成されるガイド部17を第3ガイド部17cと呼び、他端部に形成されるガイド部17を第3ガイド部17dと呼ぶ場合がある。
ガイド部17には、ガイド軸18と軸ばね部材19と軸キャップ部材20とが含まれる。第1〜第4ガイド部17a,17b,17c,17dは、同一構造であるので、第2側面部16の高さ方向一端部に形成される第3ガイド部17cについてだけ詳細に説明し、その他のガイド部17a,17b,17dについては同一の符号を付して説明を省略する。
ガイド軸18は、略円柱状に形成される。ガイド軸18は、ディスプレイ11の幅方向に突出するように第2側面部16の高さ方向一端部であって、表示部が形成される表面部の裏面部寄りに設けられる。またガイド軸18は、中心軸が前記幅方向と略水平となるように形成される。ガイド軸18には、該軸ばね部材19が外装される。この軸ばね部材19は、圧縮コイルばねによって形成される。軸ばね部材19は、ばね高さがガイド軸18の軸方向の高さより大きく形成されるばねによって構成される。さらにガイド軸18には、軸ばね部材19およびガイド軸18を嵌合するように軸キャップ部材20が設けられる。軸キャップ部材20は、大略的には、有底略円筒状に形成される。軸キャップ部材20のうち軸方向一端部には、フランジが形成される。軸キャップ部材20は、ガイド軸18および軸ばね部材19が嵌合する状態で、軸ばね部材19によって弾性復帰力が付勢され、軸方向に弾性変位可能に構成される。軸キャップ部材20は、摺動性のよい材料、たとえばポリアセタールによって形成される。ただしこのような材料に限定されない。このようにガイド軸18に軸ばね部材19および軸キャップ部材20を嵌合させることによって、ディスプレイ11に4つのガイド部17を設けることができる。
図5は、収納筐体21を図1に示す断面線A−Aで切断して見た断面図である。図6は、第1スライド部材34aを厚み方向に見た側面図である。図7は、第2スライド部材34bを厚み方向に見た側面図である。図8は、基台24を示す斜視図である。図1および図2を参照しつつ説明する。
ディスプレイ11は、4つのガイド部17が支持体12によって支持される。支持体12には、収納筐体21と一対のディスプレイ支持体25とが含まれる。第1支持部材である収納筐体21は、ディスプレイ11を支持しかつ収納可能に構成される。収納筐体21は、略格子状に形成される枠体であり、奥行き方向に垂直な仮想平面で切断して見た断面が略矩形状に形成される。このように形成される収納筐体21において、図1に示すように、収納筐体21の幅方向をY軸方向として矢符Yで示し、収納筐体の奥行き方向をX軸方向として矢符Xで示し、収納筐体の高さ方向をZ軸方向として矢符Zで示す。さらに矢符Xに平行な方向をX方向と称し、矢符Yに平行な方向をY方向と称し、矢符Zに平行な方向をZ方向と称する。
収納筐体21は、内方にX方向に貫通する収納孔26が形成され、ディスプレイ11が嵌合可能に構成される。つまり収納筐体21は、前記収納孔26によってディスプレイ11を収納可能に形成される。具体的には、収納筐体21において、収納孔26の部分をX方向に垂直な仮想平面で切断して見た断面が矩形状に形成され、ディスプレイ11の幅方向とY方向が略平行になるようにディスプレイ11が配置され収納可能に形成される。ただし収納筐体21は、このような形状に限定されない。収納筐体21は、たとえばX方向に凹む箱形の筐体であってもよく、ディスプレイ11を収納可能であればよい。以下では、ディスプレイ11の幅方向を単にY方向と呼ぶ場合がある。
収納筐体21には、摺動溝であるガイド溝部29が形成されている。つまりガイド溝部29は、収納筐体21のうち収納孔26に臨む第1内表面部27および第2内表面部28にそれぞれ形成される。収納筐体21は、前記ガイド溝部29にガイド部17を係合させてディスプレイ11を支持可能に構成される。第1支持部材の被係合部であるガイド溝部29は、ガイド部17が係合可能に形成され、かつガイド部17が摺動可能に形成される。具体的に説明すると、ガイド部17は、Y方向にやや凹む溝部であり、第1溝部30と一対の第2溝部31とによって形成される。第1溝部30は、Z方向に直線状に伸びる溝部であり、第1および第2内表面部27,28のZ方向長さの大部分にわたって形成されている。一対の第2溝部31は、X方向に直線状に伸びる互いに平行な溝部である。各第2溝部31のX方向一端部は、X方向外方に開口するように形成される。一対の第2溝部31のうち一方の第2溝部31のX方向他端部が第1溝部30のZ方向一端部に連続的に形成され、他方の第2溝部31のX方向他端部が第1溝部30のZ方向他端部に連続的に形成される。
このようにガイド溝部29を形成することによって、ガイド溝部29の内方には、略コ字状の溝であるガイド溝32が形成される。ガイド溝32は、一端および他端がX方向外方に開放するように形成される。このように形成されるガイド溝部29において、第1溝部30と第2溝部31とが連続的に形成される外径部分に、一対のコーナー部33が形成される。この一対のコーナー部33は、丸面取りされており、一対のコーナー部33に一対のガイド部17が係合するように形成される。つまり一対のコーナー部33のうち一方に、一対のガイド部17のうちの一方が係合する場合、他方のコーナー部33に他方のガイド部17が係合するように形成される。具体的には、一対のコーナー部33が互いに離隔される距離が一対のガイド部17が互いに離隔される距離と略同一に形成される。これによってガイド部17は、ガイド溝部29の一端または他端から離脱することができる。このようにして形成されるガイド溝部29は、一対のガイド部17が係合可能に形成され、前記ガイド部17がガイド溝32に沿って摺動可能に形成される。このように収納筐体21は、ディスプレイ11を収納可能に構成され、ガイド溝部29にガイド部17を係合させてディスプレイ11を支持可能に構成される。収納筐体21は、たとえばアクリルニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)によって形成される。
さらにディスプレイ11は、一対のディスプレイ支持体25によってガイド部17が係合され支持される。一対のディスプレイ支持体25は、一方のディスプレイ支持体25aがディスプレイ11の高さ方向一端部に形成される2つのガイド部17である第1および第3ガイド部17a,17cを係合支持可能に設けられる。また一対のディスプレイ支持体25は、他方のディスプレイ支持体25bがディスプレイ11の高さ方向他端部に形成される2つのガイド部17である第2および第4ガイド部17b,17dを係合支持可能に設けられる。このように設けられる一対のディスプレイ支持体25は、一方および他方のディスプレイ支持体25a,25bが互いにZ方向に離隔して対向するように配設される。一方および他方のディスプレイ支持体25a,25bは、同一の構成であり、以下ではディスプレイ支持体25と称して一方および他方のディスプレイ支持体25a,25bの構成についての説明とし、個々についての説明を省略する。
第2支持部材であるディスプレイ支持体25には、スライド支持体34と基台24とが含まれる。さらにスライド支持体34には、第1スライド部材34aと第2スライド部材34bと第3スライド部材34cと第4スライド部材34dとが含まれる。スライド支持体34は、第1スライド部材34aと第2スライド部材34bとがY方向に並設され、第3スライド部材34cと第4スライド部材34dとが並設されて構成される。並設される第1および第2スライド部材34a,34bと、並設される第3および第4スライド部材34c,34dとは、X方向に互いに離隔されて基台24に配設される。
第1スライド部材34aは、X方向に伸びる略短冊状の板状体である。第1スライド部材34aは、その厚み方向がY方向に略平行に配置され、その幅方向がX方向に略平行に配置されるように、ガイド部17を係合可能に構成される。以下では、第1スライド部材34aの厚み方向を単に「Y方向」と、その幅方向を単に「Z方向」と称する場合がある。このように構成される第1スライド部材34aには、第1スライド部材本体35aと第1被係合部36aと第1ラック部37aとが含まれる。第1スライド部材本体35aは、X方向に伸びる略短冊状の板状体に形成される。第1スライド部材本体35aには、第一対向表面部38aのZ方向一端部近傍に第1案内孔部39aが形成される。第一対向表面部38aとは、Y方向に垂直な一表面部と同義である。第1案内孔部39aは、Y方向に貫通する孔を形成し、前記孔が第1スライド部材本体35aのX方向一端付近から他端付近にわたってX方向と略平行な直線状となるように形成される。前記略平行は、平行を含むものとする。第1案内孔部39aのX方向一端および他端は、略半円状に形成される。
さらに第一対向表面部38aには、Y方向に突出する第1ばね掛止軸40aが形成される。第1ばね掛止軸40aは、略円柱状に形成され、引張コイルばねのフックを掛止可能に構成される。第1ばね掛止軸40aは、第1スライド部材本体35aのX方向他端とX方向中央との間に形成される。具体的には、第1ばね掛止軸40aは、X方向他端およびX方向中央から略等距離の位置に形成される。ただし第1ばね掛止軸40aは、このような位置に形成されるものに限定されない。
第1スライド部材本体35aのX方向一端部には、第1被係合部36aが形成される。第1被係合部36aは、第1スライド部材本体35aの一端部と段差なく連続的かつ一体的に形成される。第1被係合部36aは、Y方向に垂直な仮想平面で切断して見た断面が第1切欠き部41aを含む略半円板状に形成される。第1切欠き部41は、ガイド部17を係合可能に構成される。具体的には、第1切欠き部17は、第1係合部36aの外周面部の一部分を第1切欠き方向に切欠き形成することによって形成される。第1切欠き方向とは、第1スライド部材本体35aのZ方向他端から一端に向かう方向と同義である。第1切欠き部41aは、第1一側斜面部42aと第1他側斜面部43aと第1部分球面部44aとによって略U字形状に形成される。第1一側斜面部42aは、Y軸まわりに一方に傾斜するように形成され、第2他側斜面部43aは、Y軸まわりに他方に傾斜するように形成される。第1一側斜面部42aおよび第1他側斜面部43aは、第1切欠き方向に進むにつれて切欠きの幅が収縮するように形成される。また第1一側斜面部42aおよび第1他側斜面部43aの一端部には、第1部分球面部44aが連続的に形成される。第1部分球面部44aは、円弧状に形成され、その一端部が第1一側斜面部42aに、その他端部が第1他側斜面部43aに連続的に形成される。第1部分球面部44aは、その半径がガイド部17の半径と略同一またはそれ以上となるように形成され、ガイド部17を係合支持可能に形成される。このように第1切欠き部41aが第1部分球面部44aから開口部に向かって切欠き幅が拡大し、ガイド部17を係合可能に構成される。第1被係合部36aは、この第1切欠き部41aによってガイド部17を係合支持可能に構成される。ただし第1被係合部41aは、第1部分球面部44aから開口部に向かって切欠き幅が拡大するものに限定されず、切欠き幅が一定であってもよい。
また第1スライド部材本体35aの第1ラック形成表面部45aには、第1ラック部37aがZ方向に突出するように第1スライド部材本体35aに連続的かつ一体的に設けられる。第1ラック形成表面部45aとは、第1スライド部材本体35aのZ方向に垂直な表面部であって他端側の表面部である。第1ラック部37aは、いわゆるラックギヤであり、そのX方向一端部が傾斜して形成される。また第1ラック部37aは、そのY方向に垂直な両表面部が第1スライド部材本体35aのY方向両表面部と面一状に形成され、そのX方向他端部が第1スライド部材本体35aの他端部と面一状に形成される。
第1ラック部37aは、本実施の形態では、第1ラック形成表面部45aのX方向他端部から中央部近傍にわたって形成され、駆動源に含まれる後述するピニオンギヤ46と噛合い可能に構成される。このように第1スライド部材34aは、第1被係合部によってガイド部17を係合可能に構成され、第1ラック部37aによってピニオンギヤ46と噛合い可能に構成される。第1スライド部材34aは、たとえばプレス加工およびバレル加工によって形成される。ただし第1スライド部材34aの形成は、プレス加工およびバレル加工だけに限定されるものではない。第1スライド部材34aを形成する際、たとえばバレル加工を省略してもよく、機械加工などの方法を用いてもよい。 第2スライド部材34bは、X方向に伸びる略短冊状の板状体であり、X方向の長さが第1スライド部材34aのそれと略同一に形成される。第2スライド部材34bは、第1スライド部材34aに厚み方向に並設される。第2スライド部材34bは、その厚み方向がY方向に略平行に配置され、その幅方向がX方向に略平行に配置されるように、ガイド溝部17に係合可能に構成される。以下では、第2スライド部材34bの厚み方向を単に「Y方向」と、その幅方向を単に「Z方向」と称する場合がある。
第2スライド部材34bのX方向一端部には、第2切欠き部41bを有する第2被係合部36bが形成される。第2被係合部36bは、ガイド部17と係合可能に構成されている。第2スライド部材34bの前記X方向一端部において、第2スライド部材34bのZ方向略中間部を、第2切欠き方向に切欠き形成して第2切欠き部41bが形成されて成る。第2切欠き方向とは、第2スライド部材34bのX方向一端から他端に向かう方向である。第2切欠き部41bは、第2一側斜面部42bと第2他側斜面部43bと第2部分球面部44bとによって、Y方向から見て略U字形状に形成される。
第2一側斜面部42bは、Y軸まわりに一方に傾斜するように、換言すれば、X方向一端から他端に向かうに従ってZ方向一方に次第に傾斜するように形成されている。第2他側斜面部43bは、Y軸まわりに他方に傾斜するように、換言すれば、X方向一端から他端に向かうに従ってZ方向他方に次第に傾斜するように形成される。第2一側斜面部42bおよび第2他側斜面部43bは、第2切欠き方向に進むにつれて切欠きの幅が縮小するように形成される。第2一側斜面部42bおよび第2他側斜面部43bの一端部には、第2部分球面部44bが連続的に形成される。第2部分球面部44bは、円弧状に形成され、その一端部が第2一側斜面部42bに、その他端部が第2他側斜面部43bに連続的に形成される。第2部分球面部44bは、その半径がガイド部17の半径と略同一またはそれ以上となるように形成される。ただし第2被係合部36bは、第2部分球面部44bから開口部に向かって切欠き幅が拡大する切欠き幅が変化するものに限定されず、切欠き幅が一定であってもよい。
このように形成される第2被係合部36bは、第1切欠き部41aに支持されるガイド部17と係合することができる。前記ガイド部17に第2被係合部36bが係合すると、前記ガイド部17を第2切欠き部41bによって覆って離脱阻止するように構成される。換言すると、第2被係合部36bは、第1被係合部36aとともにガイド部17が摺動するとともに回動可能な軸受け部47を構成する。前記軸受け部47は、ガイド部17が貫通して嵌合するように形成される。ガイド部17がこのように軸受け部47に嵌合されるので、軸キャップ部20のフランジ部は、軸受け部47から離脱しないように、軸受け部47の内径より大径に形成される。
第2スライド部材34bには、第2非対向表面部48bのZ方向一端部近傍に第2案内孔部39bが形成される。第2非対向表面部48bとは、第1対向表面部38aに対向する第2対向表面部49bとY方向反対側の表面部と同義である。第2案内孔部39bは、Y方向に貫通する孔を形成し、前記孔が第2スライド部材34bのX方向一端付近から他端付近にわたってX方向に略平行な直線状になるように形成される。第2案内孔部39bのうちX方向一端および他端は、略半円状に形成される。この第2案内孔部39bは、第1案内孔部39aと並設される状態で、大部分が第1案内孔部39aと略面一状となるように形成される。具体的には、第2案内孔部39bは、そのZ方向に垂直な表面部が第1案内孔部39bのZ方向に垂直な表面部と面一状になるように形成される。このように形成される第2案内孔部39bは、第1案内孔部39aよりX方向に長く形成される。
第2非対向表面部48bのZ方向他端部には、第2ばね掛止軸40bと掛止軸案内孔部50とが形成される。第2ばね掛止軸40bは、X方向他端部近傍にY方向にやや突出するように設けられる。第2ばね掛止軸40bは、略円柱状に形成され、引張コイルばねのフックを掛止可能に構成される。掛止軸案内孔部50は、その孔がY方向に貫通し、前記孔が第2ばね掛止軸40bの近傍からX方向一端に向かって第2案内孔部39bに略平行であって、かつ直線状に形成される。掛止軸案内孔部50は、第1ばね掛止軸40aが第2非対向表面部48bからY方向に突出するように挿通し、この状態で第1ばね掛止軸40aがX方向に摺動可能に形成される。この第1ばね掛止軸40aには、引張ばね部材51の一端部が掛止される。引張ばね部材51の他端部は、第2ばね掛止軸40bに掛止される。この引張ばね部材50は、第2係合部にガイド部17が非係合状態で、引張ばね部材が第1スライド部材34aに矢符Xと反対方向に弾性回復力を付勢するように構成される。引張ばね部材50は、第1および第2スライド部材34a,34bのX方向他端が面一状に配置される状態で、すなわち第1および第2スライド部材34a,34bがともにガイド部17に係合する状態で、弾性変位が略ないように構成される。
さらに第2スライド部材34の第2ラック形成表面部45bには、第2ラック部37bが形成される。第2ラック形成表面部45bとは、第2スライド部材34bのZ方向に垂直なZ方向他端側の表面部である。第2ラック部37bは、いわゆるラックギヤであり、第1ラック部37aに噛合い可能なピニオンギヤ46が常時噛合うように構成される。つまり第2ラック部37bは、第1ラック部37aとともにピニオンギヤ46と噛合い可能に構成されるうえ、第1ラック部がピニオンギヤ46と非噛合い状態であっても、前記ピニオンギヤ46に噛合うように構成される。本実施の形態では、第2ラック部37bは、第2ラック形成表面部45bのX方向他端部からX方向約3/5までの領域において形成される。少なくとも第1および第2スライド部材34a,34bが軸受け部47を構成しない状態で、第1ラック部37aは、ピニオンギヤ46と非噛合い状態にあり、第2ラック部37aは、ピニオンギヤ46と噛合うように構成される。第1スライド部材34aは、たとえばプレス加工およびバレル加工によって形成される。ただし第1スライド部材34aの形成は、プレス加工およびバレル加工だけに限定されるものではない。第1スライド部材34aを形成する際、たとえばバレル加工を省略してもよく、機械加工などの方法を用いてもよい。
第3スライド部材34cは、第1スライド部材34bの構成と類似している。したがって第1スライド部材34aと異なる点について説明し、同一の構成の名称については、「第1」の名称を「第3」に変更し、その符号については、「a」を「c」に変更して付することによって説明を省略する。第3スライド部材34cは、Y方向に垂直な仮想平面に対して第1スライド部材34aと面対称となるように形成される。第4スライド部材34dは、第2スライド部材34bの構成と類似している。したがって第2スライド部材34bと異なる点について説明し、同一の構成の名称については、「第2」の名称を「第4」に変更し、その符号については、「b」を「d」に変更して付することによって説明を省略する。第4スライド部材34dは、Y方向に垂直な仮想平面に対して第2スライド部材34bと面対称となるように形成される。第3および第4スライド部材34c,34dは、プレス加工およびバレル加工によって形成される。これら第1〜第4スライド部材34a,34b,34c,34dに形成される第1被係合部36a、第2被係合部36b、第3被係合部36および第4被係合部36dによって第2支持部材の被係合部が構成される。
このようにして構成される第1〜第4スライド部材34a,34b,34c,34dは、基台24に配設される。基台24には、X方向に伸びる板状部材52と第1案内板53aと第2案内板53bとが含まれる。板状部材52は、その幅が収納筐体21の幅と略同一であり、厚み方向に垂直な仮想平面で切断して見た断面が略矩形状に形成される。板状部材52は、幅方向がY方向と略平行となり、厚み方向がZ方向に略平行となるように配置される。以下では、板状部材52の幅方向を単に「Y方向」と、板状部材52の厚み方向を単に「Z方向」と呼ぶ場合がある。
板状部材52のY方向一端部には、Z方向に突出する第1案内板53aが形成され、他端部には、Z方向に突出する第2案内板53bが設けられる。第1案内板53aは、X方向に伸びる短冊状に形成される板状体である。第1案内板53aには、第2案内板53bに対向する表面部にその厚み方向、すなわちY方向に突出する一対の第1スライド案内軸54aが形成される。一対の第1スライド案内軸54aは、略円柱状に形成され、一方が第1案内板53aのX方向一端部に設けられ、他方が一方の第1スライド案内軸54aに対してX方向に離隔して設けられる。一対の第1スライド案内軸54aは、第1および第2案内孔部39a,39bを順次挿通しかつ前記各孔部39a,39bをX方向に摺動可能に構成される。換言すると、一対の第1スライド案内軸54bは、第1および第2案内孔部39a,39bを挿通して支持し、第1および第2スライド部材34a,34bがX方向に往復運動可能に構成される。また第1スライド案内軸54aは、第1および第2案内孔部39a,39bを係止して、第1および第2スライド部材34a,34bのスライドを阻止可能に構成される。
第2案内板53bは、X方向に伸びる短冊状に形成される板状体である。第2案内板53bには、第1案内板に対向する表面部にその厚み方向、すなわちY方向に突出する一対の第2スライド案内軸54bが形成される。一対の第2スライド案内軸54bは、略円柱状に形成され、一方が第2案内板53bのX方向一端部に設けられ、他方が一方の第2スライド案内軸54bに対してX方向に離隔して設けられる。一対の第2スライド案内軸54bは、第3および第4案内孔部39c,39dを順次挿通しかつ前記各孔部39c,39dをX方向に摺動可能に構成される。換言すると、一対の第2スライド案内軸54bは、第3および第4案内孔部39c,39dを挿通して支持し、第3および第2スライド部材34c,34dがX方向に往復運動可能に構成される。また第2スライド案内軸54bは、第3および第4案内孔部39c,39dを係止して、第3および第4スライド部材34c,34dのスライドを阻止可能に構成される。
このように形成される基台24は、板状部材52と第1および第2案内板53a,53bが曲げ加工によって一体的に形成され、X方向に垂直な仮想平面で切断して見た断面が、略コ字状に形成される。このような構成を有する基台24は、第1スライド案内軸54aによって第1および第2スライド部材39a,39bを挿通支持し、第2スライド案内軸54bによって第3および第4スライド部材39c,39bを挿通支持するように構成される。
駆動源13には、駆動手段55とウォーム56とウォームホイール57と平歯車58と連結軸59と2つのピニオンギヤ46とが含まれる。駆動源13は、駆動手段55によってウォーム56およびウォームホイール57を介して2つのピニオンギヤ46を回動駆動可能に構成される。駆動手段55は、ウォーム56を回動駆動可能に構成される。本実施の形態では、駆動手段55は、直流モータ(略称:DCモータ)によって構成され、その出力軸の先端部にウォーム56が出力軸周りに回動駆動可能に設けられる。ウォーム56には、これに常時噛合うウォームホイール57が設けられる。ウォームホイール57は、その中心軸周りに回動可能に設けられる。さらにウォームホイール57には、これに常時噛合う平歯車58が設けられる。平歯車58には、その略中心軸を貫通するように、連結軸59が設けられる。連結軸59は、Y方向に伸びる略円柱状の軸であり、その中心軸周りに平歯車58と一体的に回動するように構成される。また連結軸59には、その一端部および他端部に1つずつピニオンギヤ46が設けられる。このように連結軸59によって連結される2つのピニオンギヤ46は、連結軸59と一体的に回動するように構成される。これによって2つのピニオンギヤ46は、一体的に回動可能に構成される。この2つのピニオンギヤ46は、一方が第1および第2ラック部37a,37bと噛合うように構成され、他方が第3および第4ラック部37c,37dと噛合うように構成される。このように駆動源13は、駆動手段55によって2つのピニオンギヤ46を一体的に回動可能に構成される。このように構成されるウォーム56、ウォームホイール57、平歯車58、連結軸59およびピニオンギヤ46は、第1〜第4ラック部37a,37b,37c,37dとともにギヤ機構60を構成し、第1〜第4スライド部材34a,34b,34c,34dをX方向にスライド駆動可能に構成される。
図9は、ガイド溝部29、第1被係合部36a、第2被係合部36b、第3被係合部36cおよび第4被係合部36dとガイド部17とが係合する状態を示す分解斜視図である。図10は、第1および第2スライド部材34a,34bとピニオンギヤ46とを含む領域X2を拡大して矢符Yと反対の方向へ見た側面図である。図11は、第1および第2スライド部材34a,34bと引張ばね部材51とを含む領域X3を拡大して矢符Y方向へ見た側面図である。図12は、第1被係合部36aと第2被係合部36bを含む領域X1を拡大して示す拡大断面図である。図1〜8を参照して説明する。
ディスプレイ11は、図9に示すように、一対のガイド部17をガイド溝部29に係合させて収納筐体21の内方に配置される。このとき、ディスプレイ11は、表示部14が図1に示す矢符Xに示す方向に臨むように配置される。また一対のガイド部17は、それぞれガイド溝部29の一対のコーナー部33に配置される。このようにして4つのガイド部17を、第1内表面部27および第2内表面部28に形成されるガイド溝部29に係合させて、ディスプレイ11を収納筐体21によって支持する。以下では、4つのガイド部17が対応するガイド溝部29のコーナー部33に係合するディスプレイ11の位置を所定位置と称する。換言すると、ディスプレイ11の高さ方向がZ方向と略平行になるディスプレイ11の位置を所定位置とする。
さらに第1ガイド部17aには、第1スライド部材34aが係合される。第1スライド部材34aは、第1切欠き部41aが矢符Zの方向に開口するように第1被係合部36aを第1ガイド部17aに係合させて配設される。このとき第1切欠き部41aは、ガイド溝部29に沿って矢符Z方向に開口するように配設される。このように第1スライド部材34aを配設すると、第1ガイド部17aは、第1係合部36aを離脱して、ガイド溝部29に沿って矢符Z方向に摺動可能に構成される。第1スライド部材34aには、第1対向表面部38aと第2対向表面部49bとが互いに対向するように第2スライド部材34bが並設される。第2スライド部材34bは、第1ばね掛止軸40aが第2非対向表面部48bからY方向に突出するように掛止軸案内孔部50に挿入されて、第1および第2案内孔部39a,39bの大部分、特にZ方向に垂直な表面部が互いに面一状になるように配設される。このように第2スライド部材34bを配置すると、第2被係合部36bがX方向に開口するように配設される。また第2スライド部材34bには、第2ラック部37bに常時噛合うようにピニオンギヤ46が配設される。第2ラック部37bに噛合うピニオンギヤ46を、以下では、「第1ピニオンギヤ46a」と呼ぶ場合がある。さらに第1ピニオンギヤ46aは、第1ラック部37aと噛合い可能に配設される。具体的には、ディスプレイ11が所定位置にある場合に、少なくとも第1ピニオンギヤ46aと第1ラック部37aとが非噛合い状態となるように第1ラック部37aに第1ピニオンギヤ46aを配設する。また第1および第2スライド部材34a,34bには、図10に示すように第1ばね掛止軸40aおよび第2ばね掛止軸40bに引張ばね部材51が掛止されている。
また第3ガイド部17cには、第3スライド部材34cが係合される。第3スライド部材34cは、第3切欠き部41cが矢符Zの方向に開口するように第3被係合部36cを第3ガイド部17cに係合させて配設される。このように第3スライド部材34cを配設すると、第3ガイド部17cは、第3係合部36cを離脱して、ガイド溝部29に沿って矢符Z方向に摺動可能に構成される。第3スライド部材34cには、第3対向表面部38cと第4対向表面部49dとが互いに対向するように第4スライド部材34dが並設される。第4スライド部材34dは、第3ばね掛止軸40cが第4非対向表面部48dからY方向に突出するように掛止軸案内孔部50に挿入させて、第3および第4案内孔部39c,39dの大部分、特にZ方向に垂直な表面部が互いに面一状になるように配設される。このように第3スライド部材34cを配置すると、第4被係合部36dがX方向に開口するように配設される。また第4スライド部材34dには、第4ラック部37dに常時噛合うようにピニオンギヤ46が配設される。第4ラック部37dに噛合うピニオンギヤ46を、以下では、「第2ピニオンギヤ46b」と呼ぶ場合がある。さらに第2ピニオンギヤ46bは、第3ラック部37cと噛合い可能に配設される。具体的には、ディスプレイ11が所定位置にある場合、図11に示すように、少なくとも第2ピニオンギヤ46bと第3ラック部37cとが非噛合い状態となるように第3ラック部37cに第2ピニオンギヤ46bを配設する。また第3および第4スライド部材34c,34dには、第3ばね掛止軸40cおよび第4ばね掛止軸40dに引張ばね部材51が掛止されている。
このように第1〜第4スライド部材34a,34b,34c,34dを配設すると、第1および第3スライド部材34a,34cがY方向に離隔するとともに互いに略平行に設けられ、第2スライド部材34bが第1スライド部材34aに並設され、第4スライド部材34dが第3スライド部材34cに並設される。このようにして配設される第1〜第4スライド部材34a,34b,34c,34dは、第1および第2案内孔部39a,39bに第1スライド案内軸54aを挿入し、第3および第4案内孔部39c,39dに第2スライド案内軸54bを挿入して基台24に設けられる。第1および第2スライド案内軸54a,54bは、第1および第3切欠き部41a,41bが第1溝部30に沿う状態より矢符Xと反対方向に第1および第3スライド部材34a,34cがスライドしないように構成される。具体的には、第1スライド案内軸54aを第1案内孔部39aのX方向一端部に当接させて矢符Xと反対方向のスライドを阻止し、第2スライド案内軸54bを第3案内孔部39cのX方向一端部に当接させて矢符Xと反対方向のスライドを阻止するように第1および第2スライド案内軸54a,54bを配設する。このように配設することによって、第1溝部30を摺動するガイド部17が第1および第3被係合部36a,36cに係合不能となることを防止できる。基台24は、装置の筐体または車両などに固着される。このように基台24に第1〜第4スライド部材34a,34b,34c,34dが設けられ、第1および第3ガイド部17a,17cを係合支持可能な一方のディスプレイ支持体25aが構成される。
また第1および第2ピニオンギヤ46a、46bは、平歯車58が設けられる連結軸59で連結される。この平歯車58に噛合いうようにウォームホイール57が設けられ、さらにこのウォームホイール57に噛合うウォーム56を備える駆動手段55が設けられる。これによって駆動手段55を駆動させると、第1および第2ピニオンギヤ46a,46bが回動し、基台24に設けられる第1〜第4スライド部材34a,34b,34c,34dがX方向にスライド可能に構成される。これによって第2スライド部材34bを第1ピニオンギヤ46aによって矢符Xの方向にスライドさせると、図12に示すように、第2スライド部材34bは、第1スライド部材34aとともに軸受け部47を構成する。また第4スライド部材34dを第2ピニオンギヤ46bによって矢符Xの方向にスライドさせると、第4スライド部材34dは、第3スライド部材34cとともに軸受け部47を構成する。これによってスライド支持体34は、第1および第3ガイド部17a,17cを軸受け部47で離脱不可能に支持可能に構成される。また第2および第4スライド部材34b,34dは、第1および第2ピニオンギヤ46a,46bによって互いに連動する。これによって第1および第2スライド部材34a,34bと第3および第4スライド部材34c,34dとが略同時に軸受け部47を構成することができる。ここで前記「略同時」は、同時を含むものとする。このように軸受け部47に支持される第1および第3ガイド部17a,17dは、スライド支持体34をスライドさせると、ガイド溝部29沿って摺動し、ガイド溝部29の開口部から離脱可能に構成される。さらに第1および第3ガイド部17a,17cは、ガイド溝部29を離脱した後、スライド支持体34とともにX方向にスライド可能に構成される。このように第1および第3ガイド部17a,17dがX方向にスライド可能に構成され、ディスプレイ11が傾動可能に構成される。
同様にして、第2ガイド部17bに第3および第4スライド部材34c,34dを係合させ、第4ガイド部17dに第1および第2スライド部材34a,34bを係合させて、第2および第4ガイド部17b,17dを係合支持可能な他方のディスプレイ支持体25bを構成し、この他方のディスプレイ支持体25bにピニオンギヤ46が噛合うように駆動源13を設ける。以下では、説明を簡単にするために第1および第3ガイド部17a,17cと係合する一方のディスプレイ支持体25aを、単に「一側ディスプレイ支持体25a」と呼び、第2および第4ガイド部17b,17dと係合する他方のディスプレイ支持体25bを、単に「他側ディスプレイ支持体25b」と呼ぶ場合がある。さらに一側ディスプレイ支持体25aに含まれるスライド支持体34を「一側スライド支持体34A」、他側ディスプレイ支持体25bに含まれるスライド支持体34を「他側スライド支持体34B」と呼ぶ場合がある。一側および他側ディスプレイ支持体25a,25bは、互いに対向するように配設され、Z方向に垂直な仮想平面に対して面対称となるように配置される。このようにしてディスプレイ11の4つのガイド部17が2つのガイド溝部29に係合され、一側および他側ディスプレイ支持体25a,25bに前記ガイド部17を係合させることによってディスプレイ駆動機構10を構成することができる。
図13Aおよび図13Bは、ディスプレイ11が所定位置から場合の各状態を図1に示す断面線B−Bで切断して見た断面を概略示す図である。図13A(a)は、ディスプレイ11が所定位置にある状態を図1に示す断面線B−Bで切断して見た断面図である。図13A(b)は、第1および第3ガイド部34a,34cが軸受け部47によって支持される状態を図1に示す断面線B−Bで切断して見た断面図である。図13B(c)は、第1および第3ガイド部34a,34cが軸受け部47によって支持されてガイド溝部29を摺動する状態を断面線B−Bで切断して見た断面図である。図13(d)は、ディスプレイ11が傾動する状態を図1に示す断面線B−Bで切断して見た断面図である。以下では、一側スライド支持体25aだけがX方向にスライドして、Y軸回り一方向にディスプレイ11を傾動させる場合について説明する。ここでは、「第1スライド部材34a」などのように単にスライド支持体34の各構成部の名称を称する場合、一側スライド支持体34Aの各構成部を示す。
ディスプレイ駆動機構10は、ディスプレイ11が所定位置にある場合、図13A(a)に示すように、一側および他側スライド支持体34A,34Bの第1および第3スライド部材34a,34bが対応するガイド部17に係合される。また一側および他側スライド支持体34A,34Bの第2および第4スライド部材34b,34dは、ガイド部17と非係合状態でピニオンギヤ46と噛合い係止される。このとき第1〜第4ばね掛止軸40a,40b,40c,40dに掛止される引張ばね部材51は、引張状態にあり、矢符Xと反対側の方向の弾性回復力であるばね力を第1および第3スライド部材17a,17cに付勢する。これによって第1被係合部36aは、ガイド溝部29とともに第1ガイド部17aを挟持し、第3被係合部36cは、ガイド溝部29とともに第3ガイド部17cを挟持する。これによって第1および第3スライド部材34a,34cは、ピニオンギヤ46に噛合わなくてもがたつくことなくガイド部17を係合支持することができる。
次に駆動源13によって第2および第4スライド部材34b,34dを矢符Xの方向にスライドさせる。このように第2スライド部材34bをスライドさせると、図13A(b)に示すように第1スライド部材34aとともに軸受け部47を構成し、第1ガイド部17aが第1被係合部36aから離脱することを阻止し、かつ第1ガイド部17aを回動可能に支持する。また第4スライド部材34dをスライドさせると、第3スライド部材34cとともに軸受け部47を構成し、第3ガイド部17cが第3被係合部36cから離脱することを阻止し、かつ第3ガイド部17cを回動可能に支持する。これによって一側スライド支持体34Aは、第1および第3ガイド部17a,17cを離脱阻止して支持することができる。また他側スライド支持体34Bの第1および第3スライド部材34a,34bが軸受け部47を構成しないので、他側スライド支持体34Bから第2および第4ガイド部17b,17dを離脱させることができる。
一側スライド支持体34Aが軸受け部47を構成する状態で、駆動源13が第2および第4スライド部材34b、34dが矢符Xの方向にスライドさせると、第1および第3ガイド部17a,17cは、矢符Xの方向に押動される。このとき引張ばね部材51は、弾性変形せず、第1および第3スライド部材34a,34bに弾性回復力を付勢しない。これによって押動される第1および第3ガイド部17a,17cがガイド溝部29に沿ってX方向に摺動し、図13A(c)に示すように、ディスプレイ11を傾動させることができる。また第1スライド部材34aが第1ガイド部17aに係合され、第3スライド部材34cが第3ガイド部17cに係合されるので、第1および第3ガイド部17a,17cが押動されるとともに第1および第3スライド部材34a,34cが押動されX方向にスライドする。第1および第3スライド部材34a,34cがX方向にスライドすると、第1ラック部37aが第1ピニオンギヤ46aに噛合い、第3ラック部37cが第2ピニオンギヤ46bに噛合う。このように第1および第2スライド部材34a,34bが第1ピニオンギヤ46aに噛合い、第3および第4スライド部材34c、34dが第2ピニオンギヤ46bに噛合う。これによって駆動手段13によって第1および第2ピニオンギヤ46a,46bを回動させることによって一側スライド支持体34Aを矢符Xの方向にスライドさせることができる。
一側スライド支持体34Aがさらに矢符Xの方向にスライドすると、第1および第3ガイド部17a,17cは、軸受け部47を回動するとともに矢符Xの方向にスライドし、ガイド溝部29から離脱する。さらに第2および第4ガイド部17b,17dは、他側スライド支持体34Bから離脱し第1溝部30を矢符Zと反対方向に摺動する。これによってディスプレイ11は、高さ方向一端部がX方向に変位し他端部がZ方向に変位し、図13B(d)に示すように、Y軸回り一方向に傾動する。このようにディスプレイ駆動機構10は、駆動源13によって一側スライド支持体34Bをスライドさせて、ディスプレイ11をY軸回り一方向に傾動駆動させることができる。
またディスプレイ駆動機構10は、ディスプレイ11を所定位置からY軸回り一方向に傾動させる動作を可逆的にすることができる。つまりディスプレイ駆動機構10は、ディスプレイ11がY軸回り一方向に傾動する状態から所定位置へ戻すことができる。このときのディスプレイ駆動機構10の動作は、ディスプレイ11を所定位置からY軸回り一方向に傾動させる場合と逆であり、その動作については説明を省略する。
図14Aおよび図14Bは、ディスプレイ11が所定位置から場合の各状態を図1に示す断面線B−Bで切断して見た断面を概略示す図である。図14A(a)は、ディスプレイ11が所定位置にある状態を図1に示す断面線B−Bで切断して見た断面図である。図14A(b)は、第2および第4ガイド部17b、17dが軸受け部47によって支持される状態を図1に示す断面線B−Bで切断して見た断面図である。図14B(c)は、第2および第4ガイド部17b、17dが軸受け部47によって支持されてガイド溝部29を摺動する状態を図1に示す断面線B−Bで切断して見た断面図である。図14(d)は、ディスプレイ11が傾動する状態を図1に示す断面線B−Bで切断して見た断面図である。以下では、他側スライド支持体34BだけがX方向にスライドして、Y軸回り他方向にディスプレイ11を傾動させる場合について説明する。ここでは「第1スライド部材34a」などのように単にスライド支持体34の各構成部の名称を称する場合、他側スライド支持体34Bの各構成部を示す。
ディスプレイ駆動機構10は、ディスプレイ11が所定位置にある場合、図14A(a)に示すように、一側および他側スライド支持体34A,34Bの第1および第3スライド部材34a,34cが対応するガイド部17に係合される。また一側および他側スライド支持体34A,34Bの第2および第4スライド部材34b、34dは、ガイド部17に非係合状態でピニオンギヤ46と噛合い係止される。にある。このとき第1〜第4ばね掛止軸40a,40b,40c,40dに掛止される引張ばね部材51は、引張状態にあり、矢符Xと反対側の方向の弾性回復力であるばね力を第1および第3スライド部材34a,34cに付勢する。これによって第1被係合部36aは、ガイド溝部29とともに第4ガイド部17dを挟持し、第3被係合部36cは、ガイド溝部29とともに第2ガイド部17bを挟持する。このように第1および第3スライド部材34a,34cは、ピニオンギヤ46に噛合わなくてもがたつくことなくガイド部17を係合支持できる。
次に駆動源13によって第2および第4スライド部材34b,34dを矢符Xの方向にスライドさせる。このように第2スライド部材34bをスライドさせると、図14A(b)に示すように第1スライド部材34aとともに軸受け部47を構成し、第4ガイド部17dが第1被係合部36aから離脱することを阻止し、かつ第4ガイド部17dを回動可能に支持する。また第4スライド部材34dをスライドさせると、第3スライド部材34cとともに軸受け部47を構成し、第2ガイド部17bが第3被係合部36cから離脱することを阻止し、かつ第2ガイド部17bを回動可能に支持する。これによって他側スライド支持体34Bは、第2および第4ガイド部17b,17dを離脱阻止して支持することができる。また一側スライド支持体34Aの第1および第3被係合部36a,36bが軸受け部47を構成しないので、一側スライド支持体34Aから第1および第3ガイド部17a,17cを離脱させることができる。
他側スライド支持体34Bが軸受け部47を構成する状態で、駆動源13によって第2および第4スライド部材34b,34cが矢符Xの方向にスライドすると、第2および第4ガイド部17b,17dが矢符Xの方向に押動される。これによって押動される第2および第4ガイド部17b,17cがガイド溝部29に沿ってX方向に摺動し、図14A(c)に示すように、ディスプレイ11を傾動させることができる。また第1スライド部材34aが第4ガイド部17dに係合され、第3スライド部材34cが第2ガイド部17bに係合されるので、第2および第4ガイド部17b、17dが押動されるとともに第1および第3スライド部材34a,34cが押動されX方向にスライドする。第1および第3スライド部材34a,34cがX方向にスライドすると、第1ラック部37aと第1ピニオンギヤ46aとが噛合い、第3ラック部37cと第2ピニオンギヤ46bとが噛合う。このように第1および第2スライド部材34a,34bが第1ピニオンギヤ46aに噛合い、第3および第4スライド部材34c,34dが第2ピニオンギヤ46bに噛合う。これによって駆動手段13によって第1および第2ピニオンギヤ46a,46bを回動させることによって他側スライド支持体34Bを矢符Xの方向にスライドさせることができる。
他側スライド支持体34Bがさらに矢符Xの方向にスライドすると、第2および第4ガイド部17b,17dは、軸受け部47を回動するとともに矢符Xの方向にスライドし、ガイド溝部29から離脱する。さらに第1および第3ガイド部17a,17cは、一側スライド支持体34Aから離脱し第1溝部30を矢符Zと反対方向に摺動する。これによってディスプレイ11は、高さ方向他端部がX方向に変位し一端部がZ方向に変位し、図14B(d)に示すように、Y軸回り他方向に傾動する。このようにディスプレイ駆動機構10は、駆動源13によって他側スライド支持体34Bをスライドさせて、ディスプレイ11をY軸回り他方向に傾動駆動させることができる。
またディスプレイ駆動機構10は、ディスプレイ11を所定位置からY軸回り他方向に傾動させる動作を可逆的にすることができる。つまりディスプレイ駆動機構10は、ディスプレイ11がY軸回り他方向に傾動する状態から所定位置へ戻すことができる。このときのディスプレイ駆動機構10の動作は、ディスプレイ11を所定位置からY軸回り他方向に傾動させる場合と逆であり、その動作については、説明を省略する。
さらにディスプレイ駆動機構10は、一側および他側スライド支持体34A,34Bを略同時に矢符Xの方向にスライドさせることによってディスプレイ11を傾斜させることなくX方向にスライド駆動させることができる。このようにディスプレイ駆動機構10は、ディスプレイ11を傾斜させるだけでなくX方向にスライドさせることもできる。
このようにして構成されるディスプレイ駆動機構10では、ディスプレイ11を所定位置に対してY軸回り一方向および他方向に傾動させることができる。これによってディスプレイ11は、従来の技術の電子機器駆動機構1に比べて傾動する範囲が大きくなり、選択可能な傾斜角度を増加させることができる。それ故、たとえばディスプレイ11で太陽光の反射または景色の映りこみが生じて、ディスプレイ11の視認性が悪化しても、ディスプレイ11の傾斜角度を調節し視認性を良好にすることができる。具体的には、一側および他側ディスプレイ支持体34A,34Bを鉛直方向略上下に配設することによって、ディスプレイ11を前方上り傾斜状および前方下り傾斜状に傾斜可能にする。これによって太陽光の反射または景色の映り込みが生じる場合、ディスプレイ11を前方下り傾斜状に傾斜させることによって太陽光の反射または景色の映り込みを抑制しディスプレイ11の表示部14に表示される画像などの視認性を良好にすることができる。また電子機器傾動駆動機器1と同様に前方上り傾斜状にも傾斜させることができるので、ディスプレイ11を前方上り傾斜状に傾斜角度を調整することによって従来と同様の視認性も確保できる。
またディスプレイ11は、車両において表示部14を含む仮想平面に垂直な方向が前方および後方だけではなく、側方に上り傾斜状および下り傾斜状に傾斜する場合もあり得る。たとえば一側および他側ディスプレイ支持体34A,34Bを水平方向と略垂直になるように配設することによって、側方上り傾斜状および側方下り傾斜状に傾斜させることを実現することができる。これによって表示部14に表示される画像などを目視する人に合わせて、ディスプレイ11を側方に傾斜させて視認性を良くすることができる。たとえば車両において、運転席からディスプレイ11を目視する場合、ディスプレイ11を左右方向のいずれかの一方向に傾斜させて視認性を良好にし、助手席からディスプレイ11を目視する場合、ディスプレイ11左右方向のうちの他方向に傾斜させて視認性を良好にすることができる。後部座席においても同様に左右方向に傾斜させて視認性を良くすることとができる。
またディスプレイ駆動機構10には、一対のディスプレイ支持体25の間に電子機器が設けられることがある。たとえばコンパクトディスク(Compact Disk:略称CD)およびデジタル多機能ディスク(Digital Versatile Disc;略称:DVD)などの光記録媒体を再生可能な図示しない再生装置が設けられる。再生装置は、収納孔26に臨むように光記録媒体の挿入可能な挿入口を配設される。このような再生装置が設けられるディスプレイ駆動機構10は、ディスプレイ11が所定位置にある場合、ディスプレイ11によって挿入口が隠れる。それ故、ディスプレイ11を傾動させることによって挿入口を露出させてから挿入口に光記録媒体を挿入する。そのため従来の電子機器駆動装置1のようにディスプレイ11を一方向にしか傾動できない場合、電子機器駆動装置1および再生装置の配置によって光記録媒体の挿入が困難となることがあり、所期の機能を確保することができない。ディスプレイ駆動機構10では、一方向に加えて他方向にも傾動駆動可能に構成されているので、一方向にディスプレイ11を傾動させて光記録媒体の挿入が困難である場合、他方向にディスプレイ11を傾動させることによって光記録媒体の挿入を容易にすることができる。したがって一方向および他方向にディスプレイ11を傾動可能に構成することによって、所期の機能を確保することができる。ディスプレイ駆動機構20の内方に設けられる装置は、再生装置に限定されず、たとえばパーソナルコンピュータなどの電子機器であってもよい。またディスプレイ11に操作部が配設される場合、ディスプレイ11を傾動させて、前記操作部を所望位置に配置することができる。したがって前記操作部の操作性を向上させることができ、これによって所期の機能の確保ができる。さらにディスプレイ11をX方向にスライドさせて表示部14を利用者に近づけることができ、視認性および操作性を向上させることができる。このようにディスプレイ駆動機構10は、ディスプレイ11を環境や状況に合わせて様々な方向に傾斜およびスライドさせて、利用者の視認性を良好にすることができる。
ガイド溝29が略コ字状に形成されるので、ガイド部17がガイド溝部29に係合するとともに沿ってX方向およびZ方向に摺動することができる。またガイド溝29がその一端および他端が開放されているので、ガイド部17は、前記ガイド溝29の一端または他端からガイド溝部29を離脱することができる。このようにガイド部17がガイド溝部29を摺動し離脱することができるので、2つの一対のガイド部17がディスプレイ11に形成されても、ディスプレイ11を一方向および他方向に傾動およびスライドさせることができる。またガイド部17には、軸バネ部材19が備えられ、ガイド部17がY方向に弾性変形可能に構成されている。これによってガイド部17は、ガイド溝部17の形状に応じて弾性変形するとともにガイド溝部29を摺動することができる。したがってガイド部17の摺動性を良くすることができる。さらに軸キャップ部材20とガイド溝部29とは、互いに摺動性のよい材料によって形成されるので、ガイド部17の摺動性をさらに良好にすることができる。またこのように弾性変形させることができるので、ガイド部17およびガイド溝部29は、高い剛性強度を必要とせず、つまり剛性強度を高めることなく形成することができる。したがってディスプレイ駆動機構10の生産コストを低減することができる。
ディスプレイ11が所定位置にある場合、ガイド部17はガイド溝部29によって係合支持され、ディスプレイ11が傾動する状態において、ガイド部17は、スライド支持体34およびガイド溝部29によって係合支持される。このようにガイド部17は、ガイド溝部29およびスライド支持体34の少なくともいずれか一方によって係合支持される。これによってガイド部17を確実に係合支持することができる、すなわちディスプレイ11を確実に支持し、ディスプレイ駆動機構10から脱落することを抑制できる。
このスライド支持体34は、第1スライド部材34aに係合されるガイド部17を離脱阻止するように第2スライド部材34bに係合させて支持する。したがってガイド部17を確実に保持することができる。またガイド部17は、第2スライド部材34bに非係合する状態では、第1スライド部材34aから離脱可能に支持される。このように第1および第2スライド部材34a,34bの2つの部材を用いることによって、ガイド部17を確実に支持される状態とガイド部17が第1スライド部材34aから離脱可能な状態とを切替えることができる。同様に第3スライド部材34cに係合するガイド部17を離脱阻止するように第4スライド部材34dに係合させて支持し、第4スライド部材34が非係合状態では、ガイド部17が第3スライド部材34cから離脱可能に支持される。これによって第3および第4スライド部材34c,34dの2つの部材を用いることによって、ガイド部17を確実に支持状態とガイド部17が第3スライド部材34から離脱可能な状態とを切替えることができる。このようにスライド支持体34は、ガイド部17を確実に支持される状態とガイド部17が離脱可能な状態とを切替えることができる。このように切替え可能に構成されるので、このような簡単な構成でディスプレイ11を一方向および他方向に傾動可能なディスプレイ駆動機構10を構成することができる。これによってディスプレイ駆動機構10の生産コストを低減することができる。
第1および第3被係合部36a,36bは、切欠き部41a,41cの大部分が第1溝部30に沿ってZ方向に開口するようにU字状に形成される。したがってガイド溝部29のコーナー部33にあるガイド部17は、第1または第3被係合部から離脱し、第1溝部30に沿ってZ方向に摺動することができる。このようにガイド部17がZ方向に摺動することができるので、ディスプレイ11の所定位置からの傾動を実現することができる。これによってガイド部17が第1溝部30に沿ってZ方向に摺動しても、第1および第3スライド部材34a,34cをガイド部17とともに一体的に可動させる必要がない。それ故、第1および第3スライド部材34a,34bの機構を簡単にすることができ、第1および第3スライド部材34a,34bを可動させるために必要なスペースを小さくすることができる。また第1被係合部36aは、第1部分球面部44aから開口部に向かってその切欠き幅が広くなるように形成されるので、ガイド溝部29を摺動するガイド部17の係合および離脱を容易にすることができる。同様に第3被係合部36cは、第3部分球面部44cから開口部に向かってその切欠き幅が広くなるように形成されるので、ガイド溝部29を摺動するガイド部17の係合および離脱を容易にすることができる。また第1および第2スライド案内軸54a,54bによって第1および第3スライド部材34a,34bのスライドを阻止可能に構成されているので、第1溝部30を摺動するガイド部17が第1および第3被係合部36a,36cと係合不可能になることを防止している。このようにディスプレイ11の傾動および収納する際のガイド部17と第1および第3被係合部36a,36cとの係合および離脱を円滑に行うことができる。換言すると、ディスプレイ11の円滑な傾動を実現することができる。またこのように形成することによってガイド部17および第1および第3スライド部材34a,34cの剛性強度を高めることなくディスプレイ駆動機構10を実現することができる。
第2被係合部36bも、第2部分球面部44bから開口部に向かってその切欠き幅が広くなるように形成されるので、ガイド溝部29を摺動するガイド部17の係合および離脱を容易にすることができる。同様に第4被係合部36bは、第4部分球面44dから開口部に向かってその切欠き幅が広くなるように形成されるので、ガイド溝部29を摺動するガイド部17の係合および離脱を容易にすることができる。これによって第2および第4被係合部34b,34dとガイド部17との係合を円滑に行うことができ、ガイド部17との離脱も円滑にすることができる。換言すると、ディスプレイ11の円滑な傾動を実現することができる。またこのように形成することによってガイド部17および第2および第4スライド部材34b,34dの剛性強度を高めることなくディスプレイ駆動機構10を実現することができる。このように第1〜第4スライド部材34a,34b,34c,34dの剛性強度を高めることなくディスプレイ駆動機構10を実現することができるので、生産コストを低減することができる
引張ばね部材51は、第1および第2ばね掛止軸40a,40bに掛止され、第2スライド部材34bがガイド部17と非係合状態で、弾性回復力によって第1スライド部材34aに引張力を付勢する。これによって第1スライド部材34aは、ガイド溝部29とともに係合されるガイド部17を挟持する。また同様に第3および第4ばね掛止軸40c,40dに掛止される引張ばね部材が第3スライド部材34cに引張力を付勢し、第3スライド部材34cとガイド溝部29とによってガイド部17を挟持する。このようにしてガイド部17の挟持することによって、ガイド溝部29のコーナー部33にガイド部17を位置決めし、ディスプレイ11のばたつきを抑制することができる。これによっても表示部14に表示される画像などの揺れを抑制することができ、視認性を良くすることができる。またこのように確実にガイド部17を位置決めすることができるので、第1および第3部分球面部44a,44cをガイド部17の形状に合わせて形成しなくてもガイド部17の形状より大きく形成することによって、ガイド部17を挟持し支持することができる。したがって第1および第4被係合部36a,36cを精密に形成する必要がなく、その形成が容易である。これによって第1および第3スライド部材34a,34bの剛性強度を高めることなくディスプレイ駆動機構10を実現することができる。
また第1および第2ばね掛止軸40a,40bに掛止される引張ばね部材51は、ディスプレイ11を傾動させる際に、第1および第2スライド部材34a,34bが離隔しようとすると、引張力を付勢し第1および第2スライド部材34a,34bが離隔することを抑制する。これによって第1および第2被係合部36a,36bによって構成される軸受け部47が開口することを抑制できる。同様に第3および第4ばね掛止軸40c,40dに掛止され引張ばね部材51は、ディスプレイ11を傾動させる際に、第3および第4スライド部材34c,34dが離隔しようとすると引張力を付勢し、第3および第4スライド部材34c,34dが離隔することを抑制する。これによって第3および第4被係合部36c,36dによって構成される軸受け部47が開口することを抑制できる。それ故、軸受け部47からガイド部17が離脱することを抑制し、ガイド部17を軸受け部47によって確実に支持することができる。換言すると、スライド支持体34によってガイド部17を確実に支持することができる。またこのように引張力が付勢され第1および第2スライド部材34a,34bが連動するので、第1スライド部材34aが第1ピニオンギヤ46aと非噛合い状態であっても確実にガイド部17をガイド溝部29のコーナー部33に移動させることができる。同様に第3および第4スライド部材34c,34dが連動するので、第3スライド部材34cが第2ピニオンギヤ46bと非噛合い状態であっても確実にガイド部17をガイド溝部29のコーナー部33に移動させることができる。したがってディスプレイ11を収納する場合に、ディスプレイ11を確実に所定位置に戻すことができる。
さらに駆動源13によって容易にディスプレイ11を傾動駆動することができる。また駆動手段13の駆動量を調節することによって、スライド支持体34のスライドする量を調節し、ディスプレイ11傾斜角度を調節することができる。また第1スライド部材34aは、第2スライド部材34bとともに、非噛合い状態でガイド部17が離脱不可能な軸受け部47を構成し、噛合う状態で連動し軸受け部47に嵌合するガイド部17を離脱不可能に支持してX方向にスライドさせることができる。同様に第3および第4スライド部材34c、34dも軸受け部47を構成し、ガイド部17を嵌合支持してX方向にスライドさせることができる。このようにガイド部17をスライドさせることによって、ディスプレイ駆動機構10は、Y軸回り位置方向および他方向にディスプレイ11を傾動および収納することができるとともに、前記傾動するディスプレイ11を確実に支持することができる。
本実施の形態のディスプレイ駆動機構10では、ガイド溝32が略コ字状に形成されているけれども、必ずしもこのような形状に限定されない。たとえば第1溝部30がZ方向略中央部でZ方向一方および他方に分断されてもよい。また第1溝部30がY軸回りに傾斜してもよく、ディスプレイ11が傾動する際のガイド部17の摺動する軌道に合わせて形成すればよい。また第1〜第4スライド部材34a,34b,34c,34dに弾性回復力を付勢するために引張ばね部材51を用いているけれども、必ずしもこのようなものに限定されない。たとえばゴムまたはショックアブソーバであってもよく、弾性回復力を付勢することができるものであればよい。
また本実施の形態のディスプレイ駆動機構10では、ディスプレイ支持体25毎に駆動源13を設けているけれども、必ずしもこのような構成に限定されない。たとえば駆動手段55を一つにし、駆動手段55にウォーム56を設け、このウォーム56に噛合うようにウォームホイール57を設ける。各ディスプレイ支持体25には、第1および第2ラック部37a,37bに第1ピニオンギヤ46aが噛合うように設けられ、第3および第4ラック部37c,37dに第2ピニオンギヤ46dが噛合うように設けられる。このように設けられる第1および第2ピニオンギヤ46a,46bを連結軸59で連結し、この連結軸59に平歯車58を設ける。このようにして設けられる2つ平歯車58およびウォームホイール57と噛合い可能にチェンジギヤ機構を設ける。これによってウォームホイール57と噛合わせる平歯車58を換えることができ、一つの駆動手段55であっても、2つのディスプレイ支持体25を駆動させることができる。これによってディスプレイ駆動機構10の構成部品を少なくすることができ、構成を簡単にすることができる。それ故、ディスプレイ駆動機構10全体の製造コストの低減を図ることが可能である。また各ピニオンギヤ46毎に駆動手段55を設けて、合計4つの駆動源13を設けてもよい。
また本実施の形態のディスプレイ駆動機構10では、駆動源13は、駆動手段55とギヤ機構58によって構成されているけれども、必ずしもこのようなものに限定されない。たとえば、モータにボールねじ機構を設け、前記ボールねじ機構によってスライド支持体34を駆動させてもよい。エアシリンダまたは電動シリンダなどを用いてスライド支持体34を駆動させてもよい。
本実施の形態のディスプレイ駆動機構10では、ディスプレイ11を傾動させる際、2つのガイド部17をX方向にスライドさせ、残りのガイド部17をZ方向にスライドさせているけれども必ずしもこのような動作によって傾動させるものに限定されない。たとえば一方の2つのガイド部17、たとえば第1および第3ガイド部17a,17cを支持し、このガイド部17a,17cを軸に他方の2つのガイド部17、たとえば第2および第4ガイド部17b,17dを回動可能に構成し、かつ前記他方の2つのガイド部17b,17dを支持し、この一対のガイド部17b,17dを軸に前記一方の2つのガイド部17a,17cを回動可能に構成してもよい。このときガイド溝部29は、第1および第3ガイド部17a,17cが支持されると、このガイド部17a,17cを軸に第2および第4ガイド部17b,17dが回動でき、また第2および第4ガイド部17b,17dが支持されると、このガイド部17b,17dを軸に第1および第3ガイド部17a,17cが回動できるように形成される。具体的には、第2溝部30が、円弧状に形成することによって実現することができる。このときガイド溝部29の第1溝部30は、形成されなくてもよい。
本実施のディスプレイ駆動機構10では、ガイド部17がスライド支持体34に着脱可能に係合されているけれども、必ずしもこのように限定されない。たとえば第1および第2スライド部材34a,34bを一体形成し軸受け部47を構成させる。この軸受け部47にガイド部17を嵌合させる。同様に第3および第4スライド部材34c,34dを一体形成し軸受け部47を構成させ、この軸受け部47にガイド部17を嵌合させる。このようにスライド支持体34にガイド部17を嵌合させて、ガイド部17がガイド溝部29を摺動可能に構成することによって、ディスプレイ11傾動させてもよい。
本実施のディスプレイ駆動機構10では、2つの一対のガイド部17が形成されているけれど、必ずしも2つに限定されない。たとえば表示部14に対して垂直であってガイド部17が形成される側面部に隣合う各側面部にも2つの一対のガイド部17形成し、合計4つの一対のガイド部17を形成してもよい。さらにこれらの一対のガイド部17についてもディスプレイ支持体25を設けることによって、さらにZ軸回り一方向および他方向にもディスプレイ11を傾斜させることができる。このように様々な方向にディスプレイ11を傾斜させることができ、従来の電子機器駆動機構1よりさらに環境および条件に合わせてディスプレイ11の傾斜角度を調整することができるので利便性がよい。つまりディスプレイ駆動機構の汎用性を高めることが可能となる。
また本実施の形態のディスプレイ駆動機構10では、第1〜第4スライド部材34a,34b,34c,34dがガイド部17を係合してディスプレイ11をスライドさせているけれども、第1および第3スライド部材34に当て部材を設けて、前記当て部材を押動するように構成してもよい。これによって第2および第4スライド部材34b,34dが当て部材をX方向に押動することによって、第1および第3スライド部材34a、34cに係合するガイド部17をスライドさせ、ディスプレイ11を傾動させることができる。これによってガイド部17にかかる負荷を軽減できる。したがってガイド部17が破損することを抑制できる。