JP4245949B2 - 医療用処置装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、内視鏡と組み合わせて使用され、体腔内の細胞等を採取するための内視鏡用細胞採取具等の医療用処置装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、患者の細胞を採取する処置装置の一種として、細胞診ブラシが知られている。このブラシは、内視鏡の処置具チャンネルを通じて体腔内に挿通される細長い挿入部を有する。この挿入部の先端に、ブラシ部が、設けられている。
【0003】
また、この種の細胞診ブラシにおいては、特許文献1並びに2で示されるように、手元側の操作部で先端処置部の方向を調整することが可能なものが知られている。このような細胞診ブラシでは、気管支等の分岐のある臓器において、分岐を選択しながら末梢の目的部位へアプローチすることが可能である。
【0004】
特許文献1の細胞診ブラシは、細長い柔軟なコイルからなる挿入部を有する。コイルの先端部に、ブラシ部が設けられている。そして、コイルの内腔内に、操作ワイヤが、進退自在に配置されている。また、操作ワイヤの先端部は、ブラシ部の後端部に固定されている。ブラシ部の後部のコイルの内面に、板ばね形状の湾曲部材が、固定されている。そして、操作ワイヤを手元側に引くことで、湾曲部材が湾曲し、この湾曲によってブラシ部の方向が調整できる。従って、ブラシ部の後部には、ブラシ部の方向が調整できる湾曲機構が、形成されている。
【0005】
さらに、特許文献1の細胞診ブラシでは、ブラシ部及び操作ワイヤが、コイル、操作部に対して交換可能なように着脱自在となっている。
【0006】
また、特許文献2には、特許文献1とは異なった構成の細胞診ブラシが開示されている。この細胞診ブラシは、特許文献1と同様なコイル、ブラシ部並びに操作ワイヤを有する。細胞診ブラシの湾曲部では、湾曲部材の先端部が、操作ワイヤに固定されている。また、湾曲部材の後端部は、コイル内に設けられている部材あるいはコイル内面に固定されている。このため、コイル先端部の湾曲角度が、大幅に大きくされるようになっている。
【0007】
【特許文献1】
実公昭56−10329号公報
【0008】
【特許文献2】
実公平7−25924号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1並びに2に開示されている湾曲機構では、湾曲部材は、コイルに対してロー付け等で固定されている。しかしながら、ローや接着剤を多く使用すると、操作ワイヤが挿通される内腔が確保できなくなる。このため、適度な固定力と操作ワイヤの挿通される内腔の確保を両立させるためには、ロー材や接着剤の使用量を厳密に加減する必要がある。従って、技術的な難易度の高い組立となっている。
【0010】
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、製造上の組立性が良く、安定して生産することが可能な医療用処置装置を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、繰返し使用を行っても初期機能が維持できる医療用処置装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、可撓性を有する管状部材の先端部に、処置部と、この処置部の向きを変更する湾曲部とが配設されるとともに、前記湾曲部に板ばね状の湾曲部材が配置され、前記管状部材内に進退可能に配置された操作ワイヤの牽引操作によって、前記湾曲部材が湾曲操作される医療用処置装置において、
前記湾曲部材の後端部に、前記操作ワイヤの軸方向に対してほぼ垂直に突設された平面部を設けるとともに、前記管状部材の内面に前記平面部に突き当てる突出部を設け、
前記操作ワイヤの退動作に応じて、前記平面部が、前記突出部に当接された際に、前記湾曲部材が、当接部を支点として湾曲されるように、前記湾曲部材を配置したことを特徴とする医療用処置装置である。
【0013】
そして、本請求項1の発明では、操作ワイヤを管状部材に対して後端側へと移動させて、湾曲部材の平面部を突出部に当接させ、湾曲部材を当接部を支点として湾曲させることにより、管状部材を湾曲させて、処置部の位置並びに向きを変化させるようにしたものである。
【0014】
請求項2の発明は、前記操作ワイヤは、前記処置部の後端部に固着されていることを特徴とする請求項1に記載の医療用処置装置である。
【0015】
そして、本請求項2の発明では、操作ワイヤを処置部の後端部に固着することにより、処置部を大きく湾曲し得るようにしたものである。
【0016】
請求項3の発明は、前記処置部と、操作ワイヤと、湾曲部材とは、前記管状部材に対して一体的に着脱自在となっていることを特徴とする請求項2に記載の医療用処置装置である。
【0017】
そして、本請求項3の発明では、処置部と操作ワイヤと湾曲部材とを、管状部材に対して一体的に着脱されるようにしたものである。
【0018】
請求項4の発明は、前記管状部材は、先端側の短い第1管状部と、後端側の長い第2管状部とからなり、この第2管状部は、前記第1管状部よりも低い可撓性を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の医療用処置装置である。
【0019】
そして、本請求項4の発明では、管状部材に外力を作用させたときには、第1管状部及び第2管状部を湾曲させて管状部材を変形させ、操作ワイヤの操作時には、第1管状部を第2管状部よりも優先的に湾曲させるようにしたものである。
【0020】
請求項5の発明は、前記第2管状部は、比較的高いねじり剛性を有することを特徴とする請求項4に記載の医療用処置装置である。
【0021】
そして、本請求項5の発明では、管状部材の基端部を回転させたときには、この回転にほぼ追従する第2管状部の回転により、第1管状部並びに処置部を回転させるようにしたものである。
【0022】
請求項6の発明は、前記第1管状部は、疎巻の第1コイルによって形成されており、前記第2管状部は、この第1コイルよりも密に巻かれている密巻コイルの第2コイルによって形成されていることを特徴とする請求項4に記載の医療用処置装置である
そして、本請求項6の発明では、外力作用時には、第1コイル及び第2コイルを湾曲させて管状部材を変形させ、操作ワイヤの操作時には、第1コイルを第2コイルよりも優先的に湾曲させ、管状部材の基端部の回転時には、処置部を回転させるようにしたものである。
【0023】
請求項7の発明は、前記管状部材は、前記第1管状部と第2管状部との間の接続部に、前記突出部を有する中間部材が、介設されていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1に記載の医療用処置装置である。
【0024】
そして、本請求項7の発明では、湾曲部材を中間部材より先端側に配置させることにより、操作ワイヤの操作時には、ほぼ第1管状部のみを湾曲させ、第2管状部をほとんど湾曲させないようにしたものである。
【0025】
請求項8の発明は、前記処置部と、操作ワイヤと、湾曲部材とは、前記管状部材の先端部に設けられたスナップロック機構と、前記処置部の後端側に設けられ、前記スナップロック機構に着脱自在な接続部材とによって、前記管状部材に対して一体的に着脱自在となっていることを特徴とする請求項3に記載の医療用処置装置である。
【0026】
そして、本請求項8の発明では、処置部の後端側に設けられた接続部材を、管状部材の先端部に設けられたスナップロック機構に着脱自在にしたものである。
【0027】
請求項9の発明は、前記操作ワイヤは、その後端部に、前記操作ワイヤの中心軸に対して互いに対称な一対の凹状平面部が設けられ、前記管状部材の後端側に連接された操作部に、前記操作ワイヤの中心軸と垂直方向に移動可能であり、前記凹状平面部に係合可能な押さえ部材が、設けられ、前記押さえ部材を前記凹状平面部に圧接させることによって、前記管状部材に対して前記操作ワイヤを着脱自在に係止していることを特徴とする請求項3に記載の医療用処置装置である。
【0028】
そして、本請求項9の発明では、前記操作ワイヤの後端部に設けられた、前記操作ワイヤの中心軸に対して互いに対称な一対の凹状平面部を、前記管状部材の後端側に連接された操作部に設けられた、前記操作ワイヤの中心軸と垂直方向に移動可能であり、前記凹状平面部に係合可能な押さえ部材によって圧接することによって、前記管状部材に対して前記操作ワイヤを着脱自在に係止させたものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態を図1乃至図4を参照して説明する。
【0030】
図1(A)は、本実施形態の医療用処置装置としての内視鏡用細胞採取具1の全体の概略構成を示す。内視鏡用細胞採取具1は、体腔内に挿入される細長い挿入部4を有する。挿入部4の基端部に、操作部2が、配設されている。
【0031】
操作部2は、筒状の本体部6を有する。スライダ8が、本体部6に設けられている。このスライダ8は、本体部6に対して軸方向に進退自在である。また、指かけリング10が、本体部6の後端部に設けられている。この指かけリング10は、本体部6に対して回動自在である。
【0032】
挿入部4は、管状部材14を有する。管状部材14の後端部は、本体部6に接続されている。管状部材4の先端部には、細胞採取部(処置部)12が、設けられている。細胞採取部12は、軸体24aに多数の毛24bが植設されたブラシにより形成されている(図2参照)。保護コイル16が、管状部材14の基端部を囲んでいる。この保護コイル16は、管状部材14の基端部が、本体部6に対して折れ曲がるのを防止している。
【0033】
図1(B)でより詳細に示されるように、管状部材14は、先端側の短い第1コイル(第1管状部)18と、後端側の長い第2コイル(第2管状部)20とを有する。第1コイル18と第2コイル20とは、中間部材22によって互いに接続されている。第1コイル18は、疎巻コイルである。第1コイルは、後述するスライダ8の後方への操作時に、(図1(B)において破線で示されるように)湾曲されるのに充分な可撓性を有する。また、第2コイル20は、密巻コイルである。第2コイルは、第1コイルの可撓性よりも小さい所定の可撓性を有する。この所定の可撓性により、第2コイルは、上述した第1管状部の湾曲操作時には湾曲されず、挿入部4に一定の外力が作用されたときには変形され得る。さらに、この第2コイルは、所定のねじり剛性を有する。このねじり剛性のため、第2コイルは、回転トルクの追従性が良い。従って、第2コイルは、後端部の回転トルクを先端部に伝達することが可能である。第2コイルは、好ましくは、回転トルクの追従性が良好な複数の金属素線が並行して巻かれた多条コイルであり、例えば、4乃至18条の多条コイルで形成される。
【0034】
図2及び図3(A)、(B)、(C)を用いて、本実施形態の内視鏡用細胞採取具1の内部構成を詳細に説明する。図2で示されるように、細胞採取部12の軸体24aの後端部には、接続部材26が、設けられている。この接続部材26の両端には、夫々、取付穴26a、26bが、形成されている。そして、先端側の取付穴26aには、軸体24aの基端部が、挿入された状態で固定されている。接続部材26は、管状部材14の先端部に設けられている筒状のカバー28の内面に固着されている。
【0035】
操作ワイヤ30が、管状部材14の先端部から、管状部材14内を通って、本体部6中へと、中心軸にほぼ沿って延び、管状部材14に対して進退自在に設けられている。操作ワイヤ30の先端部は、接続部材26の後端側の取付穴26bに挿入された状態で固着されており、後端部は、本体部6内で、スライダ8に接続されている(図示されていない)。
【0036】
図3(A)でより詳細に示されるように、中間部材22は、筒形部32を有する。この筒形部32の内面には、突出部34が、内方向に向けて突設されている。この突出部34は、筒形部32の中心軸に垂直な円板の形態である。また、突出部34には、操作ワイヤ30が通過する内孔36が、設けられている。筒形部32の先端側内面に、第1コイル18の後端部外面が、固着されている。また、筒形部32の後端側内面に、第2コイル20の先端部外面が、固着されている。
【0037】
図2で示されるように、第1コイル18内には、湾曲部材38が、配置されている。図3(C)で詳細に示されるように、この湾曲部材38は、平板状の板ばねである湾曲部分40を有する。また、湾曲部材38は、ほぼ半円の平面部42を有する。この平面部42は、湾曲部分40に対してほぼ垂直に折曲されている。また、平面部42は、操作ワイヤ30が通過する貫通孔44を有する。図2で示されるように、湾曲部分40は、操作ワイヤ30にほぼ沿って延びている。湾曲部分40の先端部は、接続部材26の後端側の取付穴26b内で、操作ワイヤ30に固定されている。図3(A)でより詳細に示されるように、平面部42は、管状部材14の中心軸にほぼ垂直である。平面部42と突出部34とは、ほぼ平行であり、後述する湾曲操作時には、互いに当接するように配置されている。操作ワイヤ30は、平面部42の貫通孔44を通過し、さらに、突出部34の内孔36を通過して延びている。
【0038】
図3(B)は、図2のIIIB―IIIB線に沿った断面図である。操作ワイヤ30は、第1コイル18において、中心軸に対して、一方の側(図2のY側)に配置されている。湾曲部材38の湾曲部分40は、中心軸に対して、操作ワイヤ30に対向した側(図2のX側)に配置されている。平面部42は、突出部34の内孔36よりも充分大きく、突出部34を通過することはない。平面部42の貫通孔44は、操作ワイヤ30の断面よりも僅かに大きい。貫通孔44は、突出部34の内孔36と重なるように配置されている。このため、操作ワイヤ30は、貫通孔44の内面と、内孔36の内面とによって、剪断力を加えられることはない。
【0039】
次に、上記構成の本実施形態の医療用処置装置としての内視鏡用細胞採取具1の作用について説明する。図1(A)のスライダ8を後端側へと移動させることにより、操作ワイヤ30は、後端側へと引っ張られ、管状部材14に対して中心軸に沿って後端側へと移動される。湾曲部材38は、操作ワイヤ30と共に後端側へと移動され、湾曲部材38の平面部42は、突出部34に当接する。操作ワイヤ30と湾曲部材38とが、さらに後端側へと移動されるに従い、湾曲部材38は、当接部を支点として湾曲される。ここで、第1コイル18の湾曲部材38に対面した側(図2のX側)は、湾曲部材38によって両端が拘束されているため、収縮され得ない。一方、第1コイル18の湾曲部材38に対向した側(図2のY側)は、コイルの素線間の間隔が縮まることによって、収縮され得る。従って、湾曲部材38の弾性力によって、第1コイル18は、図4に示されるように、X側からY側に向かって湾曲される。
【0040】
また、指かけリング10を保持しながら、本体部6を回転させることにより、第1コイル18及び処置部12が、回転される。即ち、手元の操作により、処置部12は、任意の方向を向くように調節される。
【0041】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。本実施形態によれば、湾曲部材38の後端部に直角に屈曲させた平面部42を設け、さらに、中間部材22に内方向に突出する突出部34を設けている。これにより、操作ワイヤ30の引っ張り操作時には、湾曲部材38が、平面部42と突出部34との当接部を支点として湾曲され、この動作に伴い第1コイル18を湾曲させることが可能にされている。そのため、湾曲部材38の後端部を、管状部材14内で固着する必要がないので、医療用処置装置としての内視鏡用細胞採取具1は、容易に組み立てることが可能であり、安定した製造が、実現される。
【0042】
次に、図5乃至図10を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
【0043】
図5で、本実施形態の医療用処置装置としての内視鏡用細胞採取具50の全体の概略構成を示す。この内視鏡用細胞採取具50は、操作部ユニット52と、処置ユニット54とを有する。処置ユニット54は、操作部ユニット52に対して着脱自在となっている。処置ユニット54は、第1実施形態の内視鏡用細胞採取具1の処置部12と操作ワイヤ30と湾曲部材38が、一体的に組付けられることにより形成されている。従って、処置ユニット54が、操作部ユニット52に装着されているとき、本実施形態の内視鏡用細胞採取具50の構成は、内視鏡用細胞採取具1の構成とほぼ同様である。よって、本実施形態の内視鏡用細胞採取具50の部材のうち、第1実施形態の内視鏡用細胞採取具1と同一部分には同一の参照符号を付し、ここではその説明を省略する。
【0044】
操作部ユニット52の操作部2には、処置ユニット54が着脱可能に連結される連結部60が、スライダ8と一体的に形成されている。スライダ8と連結部60とは、本体部6に対して一体的に進退自在である。
【0045】
処置部12と操作ワイヤ30と湾曲部材38とは、図5及び図6(A)で示されるように、第1実施形態と同様な態様で互いに接続され、一体的な処置ユニット54を形成している。図6(B)に示されるように、操作ワイヤ30の後端部は、ほぼ円管状のパイプ55の中心孔中へと挿通されている。この状態で、パイプ55は、操作ワイヤ30に固定されている。操作ワイヤ30の後端は、パイプ55の後端に位置決めされている。パイプ55には、2つの凹状平面部56a、56bが、パイプ55の中心軸に沿って延設されている。これら凹状平面部56a、56bは、中心軸に対して互いに対称である。また、凹状平面部56a、56bは、パイプ55をつぶすことにより形成されている。処置部12の接続部材26は、管状部材14の先端部に設けられている後述する着脱部材58のスナップロック機構に着脱可能に装着され得る形状となっている。
【0046】
図7(A)に示されるように、管状部材14の先端部には、筒状の着脱部材58が、設けられている。着脱部材58の先端側には、先端が開放された複数のスリット64が、好ましくは均等に、配置されている。このため、図7(B)に示されるように、これらスリット64間には、腕部66が、形成される。各腕部66は、弾性を有し、先端部に、内側に突出する突起68が設けられている。従って、着脱部材58は、拡開自在なスナップロック機構を形成している。この着脱部材58に、処置部12の接続部材26が装着される。
【0047】
図8に示されるように、中間部材22の突出部34には、内孔36が、形成されている。この内孔の内径dは、湾曲部材38の平面部42が挿通不可能であり、かつ、操作ワイヤ30が容易に挿通可能な所定の大きさとなっている。
【0048】
図9に示されるように、スライダ8の先端部には、連結部60の受け入れ部材70が、固定されている。受け入れ部材70の先端面には、受け入れ孔76が、設けられている。この受け入れ孔76は、受け入れ部材70の先端側の壁74に開口している。受け入れ孔76は、中心軸にほぼ平行に延びている。受け入れ孔76は、操作ワイヤ30の外径よりも僅かに大きい内径を有する。また、受け入れ孔76は、操作ワイヤ30の後端部の凹状平面部56を収容するのに充分な深さを有する。操作ワイヤ30の挿入を容易にするように、受け入れ孔76の壁74付近には、テーパ76aが、設けられている。さらに、受け入れ部材60の外周面には、ねじ孔78が、設けられている。このねじ孔78は、受け入れ孔76に対してほぼ垂直に延びている。ねじ孔78の内端部は、受け入れ孔76に連通されている。ねじ孔78には、固定ねじ(押さえ部材)72が、螺着されている。固定ねじ72は、その末端部が、受け入れ孔76中へと突出し、受け入れ孔76内の凹状平面部56と係合するように、配置されている。また、固定ねじ72の末端面72aは、固定ねじ72の中心軸にほぼ垂直である。
【0049】
図10(A)、(B)で部分的に示されるように、処置ユニット54が、操作部ユニット52に装着され、操作ワイヤ30の後端部が、受け入れ孔76内に固定されたときに、処置ユニット54と操作部ユニット52とは、第1実施形態と同様な態様になるように形成されている。
【0050】
次に、上記構成の本実施形態の内視鏡用細胞採取具50の作用について説明する。処置ユニット54が、操作部ユニット52に装着される場合を説明する。最初に、操作ワイヤ30の後端部が、着脱部材58の内側へと挿入される。処置ユニット54が、さらに挿入されるに従って、操作ワイヤ30の後端部は、第1コイル18内を移動され、内孔36を通過し、第2コイル20内を移動され、筒状の本体部6内を移動されて、受け入れ孔76中へと挿入される。また、操作ワイヤ30が、所定の長さだけ挿入された後、湾曲部材38は、操作ワイヤ30と共に、着脱部材58の内側へと挿入され、第1コイル18内で後端側へと移動される。さらに、操作ワイヤ30及び湾曲部材38に続いて、接続部材26は、着脱部材58の腕部66を拡開しながら、この着脱部材58中へと挿入される。そして、接続部材26の先端側の肩部が、腕部66の突起68を通過した時点で、接続部材26は、着脱部材58のスナップロック機構によってロックされ、着脱部材58内に保持される。操作ワイヤ30の後端部が、受け入れ孔76の閉端部に突き当てられたとき、平面部42は、突出部36に当接され(あるいは、突出部36のすぐ近くに配置され)、接続部材26は、着脱部材58にロックされる。この状態で、固定ねじ72を締めこみ、固定ねじ72の末端面72aを、凹状平面部56に接触させる。このとき、受け入れ孔76内の凹状平面部56が、固定ねじ72の末端面に対して平行ではなく、ねじれた状態であっても、さらに固定ねじ72を締めこみ、末端面72aを受け入れ孔76内で前進させると、凹状平面部56は、操作ワイヤ30の中心軸を中心として、末端面72aに正対する向き(図9の状態)になるまで回動される。凹状平面部56が、末端面72aに正対する向きに調整されることにより、末端面72aは、凹状平面部56に充分に係合される。この結果、操作ワイヤ30の後端部は、連結部60において確実に保持される。
【0051】
処置ユニット54を操作部ユニット52に装着させた状態での、内視鏡用細胞採取具50の作用は、第1実施形態の医療用処置装置としての内視鏡用細胞採取具1の作用と同様である。また、処置ユニット54を操作部ユニット52から取り外す場合には、装着時と逆の操作を行えばよい。
【0052】
そこで、上記構成のものにあっては第1実施形態の効果に加えて次の効果を奏する。即ち、本実施形態によれば、処置部12と操作ワイヤ30とに加えて、湾曲部材34が、操作部ユニット52に対して交換可能であるため、繰り返し使用により湾曲部材34が劣化した場合にも、処置ユニット54を交換することにより、湾曲機能が維持され、本実施形態の医療用処置装置としての内視鏡用細胞採取具50は、常に安定した機能を維持することができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、操作ワイヤ30の後端部に、連結部60において固定ねじ72と係合される凹状平面部56a、56bが、パイプ55をつぶすことによって形成されている。このため、操作ワイヤ30の後端部を連結部60に着脱するための専用の部品は必要なく、原価的に安価で済ませることが可能となっている。
【0054】
なお、上述した2つの本実施形態は、内視鏡用細胞採取具について述べられたが、処置部12は、細胞採取ブラシに限られず、生検鉗子のカップ等であってもよい。また、第2実施形態に示した操作ワイヤ後端部の着脱機構は、例えばスネアのような他の医療用処置装置における、管状部材に挿通される操作ワイヤと操作部との着脱方法としても活用可能である。
【0055】
次に、本出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。

(付記項1) 少なくとも先端付近に可撓性を有する管状部材と、
管状部材先端に設けられた細胞採取具と、
前記管状部材内に進退可能なよう配置された操作ワイヤと、
先端が操作ワイヤに固定された湾曲部材と、
操作ワイヤの後端に接続され、操作ワイヤの進退を制御する操作部と、
から成る内視鏡用細胞採取具において、
前記湾曲部材の後端は、前記管状部材に設けられた突出部に当接し、さらに、前記湾曲部材の中間部は操作ワイヤの退動作に応じて当接部を支点に湾曲することによって、管状部材先端部を湾曲させるよう配置されていることを特徴とする内視鏡用細胞採取具。
【0056】
(付記項2) 前記操作ワイヤの先端は前記細胞採取具に固着されていることを特徴とする、付記項1に記載の内視鏡用細胞採取具。
【0057】
(付記項3)前記細胞採取具、操作ワイヤ及び湾曲部材は一体的に、前記管状部材及び操作部に対して着脱自在となっていることを特徴とする、付記項2に記載の内視鏡用細胞採取具。
【0058】
(付記項4)前記管状部材は、先端側の第1管状部と手元側の第2管状部とから成り、第1管状部が第2管状部より可撓性が高くなっていることを特徴とする、付記項1〜3のいずれかに記載の内視鏡用細胞採取具。
【0059】
(付記項5) 前記第1管状部は金属素線が間隔をおいて巻かれた疎巻きコイルであることを特徴とする、付記項4に記載の内視鏡用細胞採取具。
【0060】
(付記項6) 前記第1、第2管状部は、少なくとも一部に前記突出部を有する接続部材によって接続されていることを特徴とする、付記項4または5に記載の内視鏡用細胞採取具。
【0061】
(付記項7) 前記湾曲部材の後端は、前記管状部材の中心軸に対して垂直な平面部が設けられていることを特徴とする、付記項1〜6のいずれかに記載の内視鏡用細胞採取具。
【0062】
(付記項8) 前記湾曲部材は平板上の板バネ部材であることを特徴とする、付記項1〜7のいずれかに記載の内視鏡用細胞採取具。
【0063】
(付記項9) 前記処置部と、操作ワイヤと、湾曲部材は、
前記処置部手元側に設けられた肩部と、
前記管状部材先端に設けられた、肩部を着脱自在に受け入れる受け入れ部材と、から構成されるスナップロック機構によって前記管状部材に対して一体的に着脱自在となっていることを特徴とする付記項3に記載の医療用処置装置。
【0064】
(付記項10)前記操作ワイヤは、
前記操作ワイヤ手元側端部の長手軸に対して対称位置に一対の凹状平面部が配置され、
前記管状部材手元端の操作部に設けられた、長手軸と垂直な平面内を移動可能で、前記凹状平面部に係合可能に配置されている押さえ部材によって、
管状部材に対して着脱自在となっていることを特徴とする付記項3に記載の医療用処置装置。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、湾曲部材の後端部を管状部材に対して接着剤等で固着する必要がないため、湾曲機構の組立性が改善され、この湾曲機構を有する医療用処置装置を安定して生産することができる。
【0066】
また、本発明によれば、湾曲機構の湾曲部材が、交換可能であるため、この湾曲機構を有する医療用処置装置は、湾曲部材の劣化に応じて湾曲部材を交換することにより、当初の機能を安定して発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は、本発明の第1実施形態の内視鏡用細胞採取具の全体の概略構成を示す側面図、(B)は、第1実施形態の内視鏡用細胞採取具の挿入部の先端側部分の湾曲の様子を示す説明図。
【図2】第1実施形態の内視鏡用細胞採取具の挿入部の先端側部分の詳細を示す断面図。
【図3】(A)は、第1実施形態の内視鏡用細胞採取具の挿入部の中間部材周辺を拡大して示す断面図、(B)は、第1実施形態の内視鏡用細胞採取具の挿入部の先端側部分を図2(A)のIIIB−IIIB線に沿って切断して示す断面図、(C)は、第1実施形態の内視鏡用細胞採取具の湾曲部材を示す斜視図。
【図4】第1実施形態の内視鏡用細胞採取具の挿入部の先端側部分を湾曲させた状態で示す断面図。
【図5】本発明の第2実施形態を示す内視鏡用細胞採取具の全体の概略構成を示す説明図。
【図6】(A)は、第2実施形態の内視鏡用細胞採取具の処置ユニットを図5のVI−VI線に沿って切断して示す断面図、(B)は、第2実施形態の内視鏡用細胞採取具の処置ユニットの操作ワイヤ後端部を示す斜視図。
【図7】(A)は、第2実施形態の内視鏡用細胞採取具の処置ユニットの装着部材周辺(図5の部分E)を拡大して示す断面図、(B)は、第2実施形態の内視鏡用細胞採取具の処置ユニットの装着部材周辺を図7(A)のVIIB−VIIB線に沿って切断して示す断面図。
【図8】第2実施形態の内視鏡用細胞採取具の処置ユニットの中間部材周辺(図5の部分F)を拡大して示す断面図。
【図9】第2実施形態の内視鏡用細胞採取具の処置ユニットの連結部周辺(図5の部分G)を拡大して示す断面図。
【図10】(A)は、第2実施形態の内視鏡用細胞採取具で、処置ユニットを操作部ユニットに装着した状態における挿入部の先端側部分の詳細を示す断面図、(B)は、第2実施形態の内視鏡用細胞採取具で、処置ユニットを操作部ユニットに装着した状態における挿入部の先端側部分を図10(A)のXB−XB線に沿って切断して示す断面図。
【符号の説明】
1…医療用処置装置(内視鏡用細胞採取具)、12…処置部、14…管状部材、30…操作ワイヤ、34…突出部、38…湾曲部材、42…平面部。

Claims (9)

  1. 可撓性を有する管状部材の先端部に、処置部と、この処置部の向きが変更可能な湾曲部とが配設されるとともに、前記湾曲部に板ばね状の湾曲部材が配置され、前記管状部材内に進退可能に配置された操作ワイヤの牽引操作によって、前記湾曲部材が湾曲操作される医療用処置装置において、
    前記湾曲部材の後端部に、前記操作ワイヤの軸方向に対してほぼ垂直に突設された平面部を設けるとともに、前記管状部材の内面に前記平面部に突き当てる突出部を設け、
    前記操作ワイヤの退動作に応じて、前記平面部が、前記突出部に当接された際に、前記湾曲部材が、当接部を支点として湾曲されるように、前記湾曲部材を配置したことを特徴とする医療用処置装置。
  2. 前記操作ワイヤは、前記処置部の後端部に固着されていることを特徴とする請求項1に記載の医療用処置装置。
  3. 前記処置部と、操作ワイヤと、湾曲部材とは、前記管状部材に対して一体的に着脱自在となっていることを特徴とする請求項2に記載の医療用処置装置。
  4. 前記管状部材は、先端側の短い第1管状部と、後端側の長い第2管状部とからなり、この第2管状部は、前記第1管状部よりも低い可撓性を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の医療用処置装置。
  5. 前記第2管状部は、比較的高いねじり剛性を有することを特徴とする請求項4に記載の医療用処置装置。
  6. 前記第1管状部は、疎巻の第1コイルによって形成されており、前記第2管状部は、この第1コイルよりも密に巻かれている密巻コイルの第2コイルによって形成されていることを特徴とする請求項4に記載の医療用処置装置。
  7. 前記管状部材は、前記第1管状部と第2管状部との間の接続部に、前記突出部を有する中間部材が、介設されていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1に記載の医療用処置装置。
  8. 前記処置部と、操作ワイヤと、湾曲部材とは、前記管状部材の先端部に設けられたスナップロック機構と、前記処置部の後端側に設けられ、前記スナップロック機構に着脱自在な接続部材とによって、前記管状部材に対して一体的に着脱自在となっていることを特徴とする請求項3に記載の医療用処置装置。
  9. 前記操作ワイヤは、その後端部に、前記操作ワイヤの中心軸に対して互いに対称な一対の凹状平面部が設けられ、前記管状部材の後端側に連接された操作部に、前記操作ワイヤの中心軸と垂直方向に移動可能であり、前記凹状平面部に係合可能な押さえ部材が、設けられ、前記押さえ部材を前記凹状平面部に圧接させることによって、前記管状部材に対して前記操作ワイヤを着脱自在に係止していることを特徴とする請求項3に記載の医療用処置装置。
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