JP4244240B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技の実行過程において遊技価値(例えば、大当り)を付加するか否かに係わる乱数を生成する際に、例えば遊技機に関連した情報(例えば、遊技用演算処理装置に格納される識別用の固有ID)を乱数生成の際における種値として利用する遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、パチンコ遊技機などの遊技機においては、遊技領域の略中央に配置された特別図柄表示装置での可変表示ゲームにより遊技の興趣が高められている。
この可変表示ゲームは、一般的に、第1種始動ロヘの入賞時といったように所定の遊技条件が成立した場合に、特別図柄表示装置に表示される図柄の変動表示を開始するとともに、開始から所定時間経過後に変動表示を停止し、停止時の図柄が特別図柄(例えば、「7、7、7、]のゾロ目)で揃った場合には大当たりとして、遊技者に対して利益乃至特典を付与(即ち、遊技価値を付与)する特別遊技を行わせるゲームである。
【0003】
このような可変表示ゲームにおいては、大当たりの決定や、停止時の図柄の決定等には確率的要素が盛り込まれ、偶然性を伴わせることにより、遊技に対する興趣を盛り上げている。
ところで、パチンコ遊技機の遊技制御を行なう遊技制御基板が設置される環境は、金属製の遊技球が常に循環しており、この遊技球の循環に伴って発生したノイズが常に存在している状態にある。そして、遊技制御基板に搭載されている演算処理装置として機能するCPUは、このノイズにより暴走する危険性がある。
【0004】
そこで、CPUの暴走対策として、ある一定間隔毎にCPUに対してリセット割込処理を実行し、プログラムの初期番地から毎回実行するような処理形態をとっている。これによって、ノイズによる暴走が発生した場合においても、所定時間後にリセットがかかってプログラムの初期番地に復帰するので、ノイズによる悪影響を最小限に抑えることができる。
ところで、このようにCPUに対してある一定時間毎にリセット割込を行ってプログラムの実行処理を行うためには、その目的からリセット割込時間をあまり長く設定することができないため、パチンコ遊技機の遊技プログラムは、所定時間内に処理の実行が可能なように、所定のプログラムサイズ内に納められている。
そして、大当たりの決定(遊技価値の決定)や、停止時の図柄の決定等に用いる乱数としては、真に不規則性を伴う乱数を用いるのが好ましいが、この乱数を発生させるプログラムも極力小さいサイズであることが要求されており、簡易的な乱数発生方法を用いざるを得ないのが現状である。
【0005】
すなわち、小さいプログラムサイズで済む簡易的な乱数発生方法としては、リセット割込を行なう毎に乱数用変数に1を加算し、所定値を超えると0に戻すという、いわゆる桁上がりカウンタ方式の乱数発生方法が広く用いられている(通称、+1方式という)。
例えば、可変表示ゲームにおける大当たり確率が1/210に設定されたパチンコ遊技機の場合においては、0〜209の範囲としたカウント値をリセット割込毎に+1して変動させている。そして、可変表示ゲームを開始するためのトリガとなる第1種始動ロヘの入賞に基づいて、入賞時点におけるカウント値を乱数用変数として取り込み、可変表示ゲームにおける大当たり判定時において、取り込んだ乱数用変数(カウント値)と予め規定された判定値(例えば”3”)とを比較し、両者が同一の場合に大当たりとし、特別図柄表示装置で変動表示される図柄を大当たり図柄に合わせて停止するとともに、変動入賞装置を開動作させて遊技者に特別遊技を行わせている。
【0006】
この桁上がりカウンタ方式の乱数発生方法においては、リセット割込を行なう間隔が0.002048秒(約2msec)であり、上述したカウンタ値が一巡する周期が0.43008秒と極めて短く、さらに、乱数を取り込むタイミング(第1種始動口入賞時)もランダムであることから、乱数としての条件を十分に満たすものとして可変表示ゲーム等における乱数として使用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のパチンコ遊技機にあっては、CPUに対してある一定時間毎にリセット割込を行ってプログラムの実行処理を行っていたため、以下のような問題点が発生することがあった。
(イ)従来の乱数生成は、一定時間毎にカウントアップ(+1)を行うため、乱数更新に周期性が生じることになる。そのため、いわゆる体感器を用いて大当たりを誘発するという遊技の健全性に反する行為が発生するおそれがあった。
【0008】
(ロ)体感器使用の背景
近時においては、パチンコ遊技は、身近な大衆娯楽として広く世間に浸透してきており、これに伴ってパチンコ遊技機の新台情報や遊技内容等の各種情報を掲載した雑誌等が多種販売されている。
このような雑誌等では、提供情報の一部として、以前は遊技機製造メーカーしか知り得なかったパチンコ遊技機内部の遊技プログラム等の解析記事も掲載され、また、上述した周期性をもつパチンコ遊技機の乱数更新方法に着目した攻略方法等も掲載されており、その攻略方法の一つに、体感器と呼ばれる機械を用いて大当たりを誘発する方法がある。
【0009】
(ハ)体感器の構成
体感器とは、上述したカウント値の一巡周期等により規定される一定の周期性を利用し、所定時間毎(例えば、遊技機のカウンタ値の一巡周期時間の整数倍)の振動等でリズムを体感させる装置であり、体感器を使用した遊技方法としては、以下に記載する、「遊技の健全性に反するもの」、「不正な遊技となるもの」が挙げられる。
【0010】
(ニ)「遊技の健全性に反するもの」
これは、体感器により発生される振動(上述した一定の周期を知らせる振動)を利用して、遊技機の発射操作部の発射ハンドルおよび停止スイッチ等を操作して、第1種始動ロヘ、前述した体感器より発生するタイミングで入賞させる(このときの始動入賞タイミングで大当り決定用の乱数の抽出が行われる)とともに、体感器より発生するタイミングをずらしながら、自力で大当たり値を引き、そのタイミングを体感器に固定させるものである。
このようにすると、それ以降は体感器より発生する振動周期が巡回している(+1)カウンタ値の中の大当たり値(大当り乱数)と同期がとれてしまい、このタイミングで第1種始動口に入賞させれば、実行されている遊技プログラムは、巡回させているカウンタ値から大当たり値(大当り乱数)を抽出し、大当たり遊技が実行されることになる。
このような作為的な大当たり発生は、体感器の使用を除けば、通常の遊技操作と変わりはないが(単発打ちを行うので、通常の発射操作とは異なるが)、体感器を利用していない遊技者と著しい利益の差が発生し、健全遊技の趣旨に反することになる(実際上、通常の発射操作を前提に遊技機は作成されている)。
【0011】
(ホ)「不正な遊技となるもの」
この場合も、上述したような内容で体感器を使用するが、このときは熟練した発射操作で第1種始動ロヘ大当たり値を引くタイミングで入賞させるのではなく、そのタイミングで電磁波を照射して第1種始動口内のセンサ(例えば、近接センサ)へ強制的に遊技球の入賞に拘わらず信号を入力してしまうやり方である(必然的に始動センサがオンして始動入賞信号が発生し、大当り乱数を抽出することになる)。
これは、当然、正常な遊技ではなく不正行為である。また、見た目は、上述した作為的な発射操作を行なうものに比べ、発見がしづらいと言う難点もある。すなわち、作為的な発射操作は店員が見れば確認できるが、電磁波を使用した場合、正常に発射を行いながら、体感器によるタイミングで電磁波を照射する行為なので店員による確認が困難となる。
【0012】
(ヘ)また、最近は体感器を使用した不当な遊技方法に限らず、通称、「ぶら下がり基板」と称する不正な装置を遊技機に取り付け、不正な遊技を行っている者もいる。これは、第1種始動口に設けられる入賞球を検出する始動センサと遊技制御基板間に「ぶら下がり基板」を介在させるとともに、遊技制御基板より外部装置へ出力されているリセット割込と同期をとれる信号を「ぶら下がり基板」に取り込むことで、遊技制御基板に設けられている演算処理装置で実行されている遊技プログラムで作成されるカウンタ値の更新タイミングと同期をとり、カウンタ値が大当たり値に更新されるタイミングを把握し、第1種始動ロヘの遊技球の入賞タイミングを、上述したカウンタ値が大当たり値に更新されるタイミングで入賞信号を遊技制御基板へ出力し、当該遊技球の入賞で大当たり値を取得できるようにしたものである。
言い換えれば、第1種始動ロヘの遊技球の入賞信号を「ぶら下がり基板」で、遊技制御基板側で大当たり値を取得できるように、タイミングを調整して、遊技制御基板側に出力するものである。
【0013】
この場合は、流通過程等で遊技機が盗まれ、ROMに格納されている遊技プログラムを解析し、乱数周期(大当たり確率)、大当たり判定値等を認識して、すなわち、機種に適合した「ぶら下がり基板」を作成する。その結果、前述の手法を行うことで、「ぶら下がり基板」は、遊技制御基板に対して大当たり値を抽出するタイミングで始動センサより取り込んだ信号を出力することができるようになる。
この「ぶら下がり基板」は、遊技店の営業中に取り付けられたり、あるいは夜間に遊技店に忍び込んで取り付けられたり、さらには遊技機の流通の過程で取り付けられたりしている。
【0014】
(ト)そこで、容易に遊技プログラムを解析されぬように、外付けされていた遊技プログラムを格納したROMを、CPUおよびRAM等と合わせて1チップ化し、遊技プログラムの解析を困難にした遊技用演算処理装置(いわゆるアミューズチップ)の提案もある。しかしながら、それでも遊技プログラムの漏洩等も考えられることから、不当に大当たりを取得できないようにした遊技機(遊技制御基板)の要望がある。
(チ)また、上述したしたような様々な方法で、不正な、あるいは健全遊技の趣旨に反した不当な遊技方法が行われているために、健全な遊技者および遊技店に多大な迷惑をかけており、ひいては、遊技機製造メーカーを含めたパチンコ遊技機業界全体の問題となっている。
【0015】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたもので、遊技者による不当な遊技を防止し、健全な遊技が行える遊技機を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、請求項1記載の発明による遊技機は、遊技機の遊技制御を実行管理する遊技制御手段を含む遊技制御装置側と電気的に接続される監視装置により、前記遊技制御手段の正当性を監視され、遊技の実行過程において遊技価値を付加するか否かを乱数に基づいて決定する遊技機であって、
前記遊技制御手段は、遊技制御を行う遊技領域部と、前記遊技領域部とは独立して動作するとともに管理制御を行う管理領域部と、から構成され、
前記遊技領域部は、
遊技制御のための演算処理を行うCPUコアと、
該CPUコアにより実行される遊技プログラムを格納する遊技プログラム格納手段と、
ブートプログラムを格納するブートプログラム格納手段と、
ワークエリアとして遊技機の遊技制御に必要なデータの一時記憶を行う第1作業用メモリと、
遊技者による遊技の実行過程において遊技価値を付加するか否かに係わる乱数を生成する乱数生成手段と、
を含み、
前記管理領域部は、
前記遊技領域部のバスの状態を監視して前記第1作業用メモリに記憶されるデータ内容を複写する複写手段と、
前記複写手段により複写されたデータ内容を記憶して前記第1作業用メモリと同等のデータ内容が記憶される第2作業用メモリと、
外部からの要求に基づいて、前記遊技制御手段に格納されている情報を外部からの要求に対応して出力する情報応答手段と、
前記監視装置により正当性を見極める判定情報となる固有識別情報を格納する固有識別情報格納手段と、
を含んで構成され、
前記情報応答手段は、外部からのメモリ内容要求に基づき、前記CPUコアによって実行される遊技プログラムの稼働中においても、前記第2作業用メモリからデータ内容を取得して前記第1作業用メモリのデータ内容を外部に出力可能であり、かつ、前記監視装置からの固有識別情報要求により、前記CPUコアによって実行される遊技プログラムの稼働中においても、前記固有識別情報格納手段に格納されている固有識別情報を前記監視装置に出力可能であり、
前記CPUコアは、前記ブートプログラム格納手段に格納されたブートプログラムに基づき、遊技プログラムの正当性を判断し、
該遊技プログラムの正当性が確認された場合は、前記固有識別情報格納手段に格納される固有識別情報を、前記乱数生成手段によって生成される乱数の種値として設定することを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の発明による遊技機は、前記情報応答手段は、外部からの固有識別情報要求を受信し、該受信に応答して前記固有識別情報格納手段に格納された固有識別情報を外部に送信することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、多数のパチンコ遊技機(弾球遊技機であり、以下、遊技機と略称する。また、説明の都合上、遊技機をP機あるいはP台と適宜略称する)を設置した遊技店に適用した実施例として図面を参照して説明する。
【0019】
A.遊技店の全体構成
最初に、遊技店の全体構成について説明する。図1は遊技店の全体構成を示すブロック図である。図1において、1は遊技店(パチンコホール:遊技場)であり、遊技店1にはCR機タイプの遊技機10a、10b等が多数設置されたパチンコ島11、状態変化情報記録装置(JR)、補助状態変化情報記録装置(JR’)、履歴処理装置12、カウンタ用コンピュータ(CC)、FAX装置13、事務所用コンピュータ(HC)、プリンタ14、通信制御装置15〜18、玉計数機19、島金庫20、監視カメラシステム21、アナウンスシステム22および設定・検査装置23(ただし、常時、後述の店内ネットワーク37(すなわち、LON通信網91)に接続されるものではない)が配置されている。
【0020】
パチンコ島11は、情報収集端末装置(情報収集BOX)31a、31b、・・・(以下、適宜、情報収集端末装置31で代表する)、遊技機10a、10b、・・・(以下、適宜、遊技機10で代表する)、カード式球貸装置32a、32b、・・・(以下、適宜、カード式球貸装置32で代表する)、球切装置33a、33b、・・・(以下、適宜、球切装置33で代表する)、パルスタンク34a、34b、・・・(以下、適宜、パルスタンク34で代表する)およびネットワーク中継装置35(例えば、ルータ)を備えている。なお、パチンコ島11は遊技店1に複数が配置されるが、ここでは1つのパチンコ島11の詳細を説明する。その他のパチンコ島も同様の構成である。
ネットワーク中継装置35は1つのパチンコ島11について、それぞれ1台ずつ配置されるが、その他の各装置(例えば、情報収集端末装置31、球切装置33、パルスタンク34)は遊技機10a、10b、・・・と同数だけ(すなわち、遊技機10と対をなして)配置されている。
【0021】
遊技機10a、10b、・・・は、遊技状態を制御する遊技制御基板41a、41b、・・・(以下、適宜、遊技制御基板41で代表する)をそれぞれ有しており、遊技制御基板41は役物の制御を行う遊技用演算処理装置(以下、図面では単に演算処理装置という)200(いわゆるアミューズチップ用のIC)(詳細は後述の図3参照)を内蔵している。遊技用演算処理装置200は遊技制御手段に相当し、遊技制御基板41は遊技制御装置に相当する。
遊技機10は前述したようにCR機であり、その側方にはカード式球貸装置32(遊技設備装置)が配置されている。カード式球貸装置32はプリペイドカードを使用して球を貸出すもので、球の貸出し操作等は遊技機10で可能である。なお、遊技機10の遊技盤における遊技領域はパチンコ球を用いて遊技を行うものであれば、例えばいわゆる「第1種」に属するものあるいは図柄表示装置を備えた「第3種」に属するもの、あるいは他の機種等であっても、任意の構成をとり得るが、一例として本実施例では「第1種」に属するタイプのものを用いている。
【0022】
球切装置33(遊技設備装置)は遊技機10の補給タンクへパチンコ島11から球を補給するもので、例えば球が10個補給される毎に1パルスとなる信号(例えば、後述の図2に示す補給球数信号)が球切装置33から出力されるようになっている。パルスタンク34(遊技設備装置)は発射されて遊技が終了した球が遊技機10から外部に回収した球を計数するもので、例えば球の10個流出(回収)に対応して1パルスとなる信号(後述の図2に示す回収球数信号)がパルスタンク34から出力されるようになっている。
【0023】
情報収集端末装置31a、31b、・・・は遊技情報収集装置1(PJ1)、・・・、遊技情報収集装置2(PJ2)、・・・および分配回路42a、42b、・・・(以下、適宜、分配回路42で代表する)をそれぞれ備えている。情報収集端末装置31は1つの単体のボックス(例えば、情報収集端末装置31の機能を実現する基盤を収納したボックス)として製造されている。分配回路42は遊技機10、カード式球貸装置32、球切装置33およびパルスタンク34に接続され、これらの各装置から入出力される信号を遊技情報収集装置1(PJ1)および遊技情報収集装置2(PJ2)に分配して連絡する。例えば、分配回路42は遊技情報収集装置1(PJ1)に対して売上信号、補給球数信号、回収球数信号、大当り信号、特図回転信号、確変信号、アミューズ通信信号を分配して連絡し、遊技情報収集装置2(PJ2)に対して打止信号、金枠開閉信号、木枠開閉信号、異常信号を分配して連絡する。
【0024】
遊技情報収集装置1(PJ1)は売上信号、補給球数信号、回収球数信号、大当り信号、特図回転信号、確変信号および遊技制御基板41から入力されるアミューズ通信信号に基づいて、自分が受け持つ遊技機10および遊技設備装置より出力された遊技情報と、遊技情報収集装置2(PJ2)より転送された遊技情報(状態変化情報)を併せて演算加工し、収集した遊技情報より遊技情報の変化を検出する処理等を行うとともに、遊技用演算処理装置200の正当性判定(真偽判定)も行うもので、その詳細なブロック構成は後述する。
遊技情報収集装置2(PJ2)は遊技機10および遊技設備装置より収集した主にP機を監視するための状態変化情報(例えば、金枠開放信号、空皿信号等)を遊技情報収集装置1(PJ1)へ転送する処理や遊技情報収集装置1(PJ1)から発射停止要求があった場合に遊技機10を不能動化する処理等を行う。
【0025】
ネットワーク中継装置35は、例えば、ルータ(Router)からなり、島内ネットワーク36と店内ネットワーク37の各LON間を中継接続する装置であり、中継が行われるレイヤのうちネットワーク層(レイヤ3)に対応するものである。島内ネットワーク36にはLONが採用される。ここで、LONとは米国エシャロン社によって開発されたLON(Local Operating Network:エシャロン社登録商標)という技術に基づいている。一般的に、LON技術は各種センサと、各種アクチュエータとの通信(例えば、最大32385ノード)により検知、監視、制御その他のアプリケーションを容易に、高信頼度をもって、かつ低コストで実現できるというインテリジェント分散型ネットワークシステム技術である。なお、島内ネットワーク36はLONに限るものではなく、その他の通信方式であってもよい。例えば、無線LAN、赤外線LAN等を使用してもよい。
【0026】
パチンコ島11は店内ネットワーク37を介して状態変化情報記録装置(JR)、補助状態変化情報記録装置(JR’)、履歴処理装置12、カウンタ用コンピュータ(CC)、事務所用コンピュータ(HC)、通信制御装置15〜18および設定・検査装置23と接続されている。店内ネットワーク37には同様にLONが採用される。店内ネットワーク37はLONに限るものではなく、その他の通信方式であってもよい。
【0027】
島内ネットワーク36、ネットワーク中継装置35および店内ネットワーク37は、全体として遊技情報収集装置(PJ1)、(PJ2)、状態変化情報記録装置(JR)、状態監視用管理装置(カウンタ用コンピュータ(CC))および情報処理用管理装置(事務所用コンピュータ(HC))の間を接続する通信網91(以下、適宜LON通信網という)を構成する。
また、LON通信網91に接続される各ノード間では、LONTALKプロトコルを使用した認証付きメッセージ(例えば、ユーザプログラム側で情報の送信時に行う)で情報転送が行われ、ノード双方を相互に認証して信頼性を確保するようになっている。
【0028】
状態変化情報記録装置(JR)は遊技店1に1台ずつ設けられ、各パチンコ島11に設けられている遊技情報収集装置1(PJ1)より通報される遊技情報(状態変化情報)を遊技機毎に整理して記録し、補助状態変化情報記録装置(JR’)は同様に遊技店1に1台ずつ設けられ、状態変化情報記録装置(JR)のバックアップ用の装置である。
履歴処理装置12は通信網37に接続されているノード(PJ1、PJ2、JR、JR’等)がエラーを発生した際に、そのエラー情報が当該履歴処理装置12へ通報されてくるので、そのエラー情報を記録する装置であり、後にエラー来歴をオペレータが確認できるようになっている。
【0029】
カウンタ用コンピュータ(CC)としては、安価で普及しているパーソナルコンピュータが使用され、以下の機能を有している。すなわち、カウンタ用コンピュータ(CC)は当日の遊技機10の状態変化情報を状態変化情報記録装置(JR若しくはJR’)をポーリングして収集し、状態変化を検出して表示する処理を行い、この状態変化情報のうち、大当り、確率変動の場合は、カウンタ用コンピュータ(CC)で当該事象が発生した遊技機10の詳細な遊技情報も確認したい場合が通常なので、この特定の状態変化の場合は直接に該当する遊技機10の遊技情報収集装置(PJ1)へ連絡し、遊技情報の応答を受けて、状態変化と併せて詳細な遊技情報をディスプレイ装置(例えば、CRT)に表示する。なお、カウンタ用コンピュータ(CC)は状態変化情報記録装置(JR)がトラブルを起こして情報を収集できないときは、直ちにバックアップ用の補助状態変化情報記録装置(JR’)に収集先を切り替えて情報を収集する。
【0030】
また、カウンタ用コンピュータ(CC)で所望の遊技機10の遊技情報を確認したい場合は、直接該当する遊技情報収集装置(PJ1)へ連絡して、応答した遊技情報を表示する機能もある。さらに、カウンタ用コンピュータ(CC)と事務所用コンピュータ(HC)との間には専用通信網92(例えば、イーサネット)が設けられており、カウンタ用コンピュータ(CC)で履歴情報(分析情報:売上、機種情報、時系列情報等)を確認したい場合は、事務所用コンピュータ(HC)との専用通信網92により、分析情報を入手しディスプレイ装置に表示する。すなわち、カウンタ用コンピュータ(CC)は状態変化情報表示用のもので、リアル系管理装置という位置付けになっている。
カウンタ用コンピュータ(CC)にはFAX装置13が接続されており、FAX装置13はカウンタ用コンピュータ(CC)の演算した情報を外部に送信可能である。
【0031】
事務所用コンピュータ(HC)としては、安価で普及しているパーソナルコンピュータが使用され、以下の機能を有している。すなわち、事務所用コンピュータ(HC)は当日の過去分の遊技情報を元に履歴情報・分析情報に加工する情報処理系管理装置としての位置付けであり、遊技情報収集装置(PJ1若しくはPJ2)を所定間隔毎にポーリングして遊技情報を収集し、履歴情報・分析情報に加工して格納(例えば、内部記憶装置)するとともに、ディスプレイ装置(例えば、CRT)に表示する。また、事務所用コンピュータ(HC)で所望の遊技機10の遊技情報を確認したい場合は、直接該当する遊技情報収集装置(PJ1)へ連絡して、応答した遊技情報を表示する機能もある。さらに、事務所用コンピュータ(HC)で遊技機10の状態変化情報(リアル系の情報)を確認したい場合は、専用通信網92(例えば、イーサネット)を介してカウンタ用コンピュータ(CC)より状態変化情報を入手しディスプレイ装置に表示する。
事務所用コンピュータ(HC)にはプリンタ14が接続されており、事務所用コンピュータ(HC)の演算した情報を印刷出力可能である。
ここで、カウンタ用コンピュータ(CC)および事務所用コンピュータ(HC)は、遊技情報を管理する管理装置を構成する。
【0032】
通信制御装置15〜18は玉計数機19、島金庫20、監視カメラシステム21およびアナウンスシステム22がLON通信網91である店内ネットワーク37を介して他の装置との通信を行う際のインターフェース処理を行う。
玉計数機19は遊技者が獲得した球(例えば、景品交換のため)の計数を行うもので、計数値をカウンタ用コンピュータ(CC)および事務所用コンピュータ(HC)に転送し、当該遊技者に対して景品交換に使用すべく計数結果をプリントアウトして渡す。
島金庫20は遊技店1での両替機若しくは現金式球貸装置等より回収した貨幣を収納する装置であり、現在の情報を事務所用コンピュータ(HC)およびカウンタ用コンピュータ(CC)に転送する。
【0033】
監視カメラシステム21は遊技店1内に配置された監視カメラを管理し、撮像された画像を記録するシステムであり、遊技情報収集装置1(PJ1)より当該監視カメラシステム21と接続している通信制御装置17へ金枠開放情報、異常情報等を直接通報し、監視カメラにより撮像させる。
アナウンスシステム22は遊技店1内のアナウンスを自動的に行うシステムであり、例えば「○○番台、大当り発生です」というような店内アナウンスを行う。アナウンスシステム22は遊技情報収集装置1(PJ1)より当該アナウンスシステム22と接続している通信制御装置18へ大当り情報等を直接通報し、該当する遊技機10の遊技状態をアナウンスさせる。
【0034】
設定・検査装置23としては、例えばノート型のパーソナルコンピュータ等が使用され、以下の機能を有している。すなわち、設定・検査装置23は店内ネットワーク37(LON通信網91)に対して通信への加入/脱退が可能なもので、遊技情報収集装置1(PJ1)へ当該遊技情報収集装置1(PJ1)に接続される遊技機10の遊技制御基板41に内蔵されている遊技用演算処理装置200の固有IDを設定し、遊技情報収集装置1(PJ1)は設定・検査装置23により設定された固有ID以外の遊技機10(遊技用演算処理装置200)は正当と認めず遊技を行わせない。この場合、遊技用演算処理装置200には、遊技用演算処理装置200毎に異なる固有IDが予め製造時に格納されており、遊技店1に遊技用演算処理装置200(すなわち、遊技機10)を設置するときも、当該遊技用演算処理装置200に格納されている固有IDを、当該遊技用演算処理装置200を監視する遊技情報収集装置1(PJ1)へ設定・検査装置23を用いて所定の信用機関(例えば、第3者機関)が設定し、以降、遊技情報収集装置1(PJ1)が当該固有IDに基づいて遊技用演算処理装置200の正当性を判断する。
【0035】
また、設定・検査装置23は当局(例えば、警察署)等の立入り検査時、遊技制御基板41に内蔵されている遊技用演算処理装置200内に格納されている遊技プログラムをダウンロードし、遊技プログラムの正当性(真偽)を判定する機能もある。この場合、詳しくは設定・検査装置23を店内ネットワーク37に接続し、遊技プログラムを確認したい遊技機10が接続されている遊技情報収集装置1(PJ1)へ指令すると、当該遊技情報収集装置1(PJ1)が接続している遊技用演算処理装置200へ指令を出して遊技プログラムを読み込み、その遊技プログラムを遊技情報収集装置1(PJ1)が設定・検査装置23に送信する。次いで、設定・検査装置23は遊技プログラムの真偽を判定する。当然であるが、設定・検査装置23には正規の遊技プログラムを保有しており、例えば正規プログラムを格納したFD(フロッピィディスク)をドライブ可能なドライブ装置が装着されている。なお、設定・検査装置23は常に遊技店1の店内ネットワーク37に接続されているものではなく、信用機械や当局(例えば、警察署)等で設置若しくは検査を行う場合に、店内ネットワーク37に接続される。
【0036】
B.遊技情報収集装置1(PJ1)の構成
次に、遊技情報収集装置1(PJ1)のブロック構成について説明する。図2は遊技情報収集装置1(PJ1)のブロック図である。図2において、遊技情報収集装置1(PJ1)はCPU51、ROM52、RAM53、EEPROM54、バックアップ電源55、発信回路56、通信制御装置57、出力インターフェース回路(I/F)58、入力インターフェース回路(I/F)59およびバス60を備えている。
CPU51はROM52に格納されている処理プログラムに基づいて自分が受け持つ遊技機10および遊技設備装置より出力された遊技情報と、遊技情報収集装置2(PJ2)より転送された遊技情報(状態変化情報)を併せて演算加工し、収集した遊技情報より遊技情報の変化を検出する処理等を行うとともに、遊技用演算処理装置200の正当性判定も行う。ROM52は遊技情報の収集・加工等のための処理プログラムを格納しており、RAM53はワークエリアとして用いられる。
【0037】
EEPROM54は当該遊技情報収集装置1(PJ1)に接続される遊技用演算処理装置200に製造時に格納されている固有IDを記憶する。これは、設定・検査装置23により行われる。また、EEPROM54は状態変化情報の監視用の設定値も記憶する。この設定値は、カウンタ用コンピュータ(CC)若しくは事務所用コンピュータ(HC)により設定される。
バックアップ電源55はRAM53の記憶情報をバックアップする電源であり、例えば電池からなる。RAM53の記憶情報としては、例えば遊技情報および状態変化情報があり、これらの情報はRAM53に格納されている段階で保持される。なお、RAM53は1日分の当該遊技機10等の遊技情報をストック可能な容量を有している。
【0038】
発信回路56はCPU51に制御クロック信号を供給する。通信制御装置57は島内ネットワーク36を介して遊技情報収集装置1(PJ1)と他のネットワーク端末(例えば、遊技情報収集装置2(PJ2)あるいはネットワーク中継装置35を介した店内ネットワーク37の各端末)との間で情報の転送等に必要な通信の制御を行う。
出力インターフェース回路(I/F)58は遊技機10とCPU51との間の出力インターフェース処理を行うもので、出力インターフェース回路(I/F)58から遊技機10の遊技制御基板41に対してアミューズ通信信号が出力される。アミューズ通信信号は遊技制御基板41に内蔵されている遊技用演算処理装置200へ各種コマンド(例えば、認証チェックコマンド)を出力するための信号である。
【0039】
入力インターフェース回路(I/F)59は遊技機10および遊技設備装置(球貸装置32等)とCPU51との間の入力インターフェース処理を行うもので、入力インターフェース回路(I/F)59には遊技制御基板41から遊技用演算処理装置200へのコマンドに対して応答するアミューズ通信信号、カード式球貸装置32からカードによる売上信号、現金式の球貸装置(図示略)から現金による売上信号、球切装置33から補給球数信号、パルスタンク34から回収球数信号、遊技制御基板41から特図回転信号、大当り信号、確変信号がそれぞれ入力されるようになっている。入力インターフェース回路(I/F)59は、これらの信号をインターフェース処理してCPU51に送る。
【0040】
入力インターフェース回路(I/F)59に入力されるアミューズ通信信号は、例えば遊技機10の遊技用演算処理装置200より送信される認証コード(ID)信号であり、この信号(ID)をCPU51によって監視(認証判断)することにより、正規の遊技用演算処理装置200が装着されているか否かを判断する。カードによる売上信号はカード式球貸装置32によるプリペイドカードを使用した球の貸し出しの売上げを知らせる信号である。なお、球貸装置にはプリペイドカードを使用したカード式球貸装置32の他に、現金の投入によって球の貸し出しを行う現金式球貸装置があり、現金式球貸装置の場合には、現金の投入に伴う球の貸し出しに対応した現金売上信号となる。
補給球数信号は入賞による賞球に伴って当該遊技機10の補給タンクの球が減少した場合に、パチンコ島11から当該遊技機10の補給タンクに補給した球数情報を知らせる信号であり、球切装置33より出力されるいわゆるイン信号(例えば、球の10個補給で1パルスとなる信号、あるいは球の100個補給で1パルスとなる信号、球の400個補給で1パルスとなる信号がある)が利用される。また、遊技機より直接賞球数を外部に連絡する端子を備えているタイプの遊技機であれば、当該端子より信号を取得してもよい。
【0041】
回収球数信号は当該遊技機10からパチンコ島11の方に(つまり遊技を終了して遊技の結果が確定した球を遊技機外部に)球が流れたことを知らせる信号であり、例えばパルスタンク34より球の10個流出に対応して1パルスとなるアウト信号が利用される。特図回転信号は当該遊技機10が第1種である場合に、特別図柄表示装置の図柄(以下、適宜、特図という)変動が終了したときに、特図の回転を知らせる信号である。大当り信号は当該遊技機10の特図が特定の利益状態(例えば、大当りのゾロ目状態:「777」など)に揃って大当りが発生していることを知らせる信号であり、遊技機10より大当り発生時〜大当り終了時まで出力されるものである。確変信号は当該遊技機10が確率変動遊技付きの遊技機である場合に、確率変動中および大当り遊技中に、それを知らせる信号である。言換えれば、ベースの算出から外したい期間を知らせる信号である。
【0042】
したがって、遊技情報収集装置1(PJ1)は遊技機10に対して1台毎に設けられ、アミューズ通信信号に基づいて遊技用演算処理装置200の正当性判定を行い、遊技用演算処理装置200の非正当性が認められた場合に遊技情報収集装置2(PJ2)に対して球の発射停止を要求して遊技機10を不能動化する処理を行うとともに、カードによる売上信号、現金による売上信号、補給球数信号、回収球数信号、特図回転信号、大当り信号、確変信号の入力に基づいて遊技情報を収集し、収集した情報に基づいて遊技情報および状態変化情報への加工処理を行う。また、遊技情報収集装置2(PJ2)より転送された遊技情報(状態変化情報)も併せて上位ノード(JR、JR’)へ転送する処理を行うとともに、収集した遊技情報より遊技情報の変化を検出すると、状態変化情報の内容を状態変化情報記録装置(JR)および補助状態変化情報記録装置(JR’)へ自立的に通報する。さらに、カウンタ用コンピュータ(CC)および事務所用コンピュータ(HC)よりの指令があった場合には、遊技情報の内容を現在の遊技情報として応答し、転送する。
【0043】
ここで、本実施例では遊技用演算処理装置200の非正当性が認められた場合に遊技情報収集装置1(PJ1)から発射停止要求を遊技情報収集装置2(PJ2)に出力して、遊技機10を不能動化(例えば、発射停止)する処理を行っているが、遊技用演算処理装置200の非正当性が認められた場合に遊技機10を不能動化する処理でなく、例えば遊技用演算処理装置200自体を不能動化する処理(例えば、遊技用演算処理装置200におけるCPUコア201の遊技プログラムの動作を停止させる処理等)を行ってもよい。
なお、遊技情報収集装置2(PJ2)は遊技情報収集装置1(PJ1)の中に一体的に組み込んでもよく、例えば遊技情報収集装置1(PJ1)の基板上に遊技情報収集装置2(PJ2)を一体的に搭載するようにしてもよい。
ここで、遊技情報収集装置1(PJ1)および遊技情報収集装置2(PJ2)は、全体として遊技装置(遊技機10)の遊技制御装置41に含まれる遊技制御手段(遊技用演算処理装置200)を監視(正当性の監視)する遊技装置の監視装置を構成する。
【0044】
C.遊技用演算処理装置200の構成
次に、遊技機10の遊技制御基板41が内蔵している役物の制御を行う遊技用演算処理装置200の構成について説明する。図3は遊技用演算処理装置200の構成を示すブロック図である。図3において、遊技用演算処理装置200はいわゆるアミューズチップ用のICとして製造され、遊技制御を行う遊技領域部200Aおよび管理制御を行う管理領域部200Bに区分される。
まず、遊技領域部200Aは遊技制御のための演算処理を行うCPUコア201、遊技プログラムおよびブートプログラム(電源オンで遊技プログラム等をチェックし正常であれば遊技プログラムに処理を移行させるもの)を格納したROM202、ワークエリアとして制御に必要なデータの一時記憶等を行うRAM203、外部バスのインターフェース処理を行う外部バスインターフェース204、遊技の実行過程において遊技価値(例えば、大当り)を付加するか否か等に係わる乱数(乱数は、大当たりの決定や、停止時の図柄の決定等に使用)を生成する乱数生成回路205(乱数生成手段)、所定のクロック信号を生成するクロックジェネレータ206、システムリセット、ユーザリセットや割り込み要求を検出してCPUコア201に知らせるリセット/割込制御回路208、リセット/割込制御回路208からの信号およびクロックジェネレータ206からの信号の制御を行って外部端子より外部に出力する出力制御回路207、外部クロック/タイマトリガ入力やタイマ出力を内蔵してタイマモードおよびカウンタモードで作動するCTC209、内蔵デバイスおよび内蔵コントロール/ステータスレジスタ群のロケーションをメモリマップドI/O方式およびI/OマップドI/O方式によりデコードするアドレスデコーダ210、入出力ポートとしてのPIO212、アドレスデコーダ210からの信号やPIO212からの信号の制御を行って外部端子より外部に出力する出力制御回路211および遊技領域部200Aのバス213により構成される。
【0045】
乱数生成回路205は一様性乱数を生成する数学的手法(例えば、合同法あるいはM系列法等)を利用して大当りの決定等に使用するための乱数を生成する回路であり、本実施例では機種に関連した情報を乱数生成の際における種値として利用する。
一方、遊技用演算処理装置200における管理制御を行う管理領域部200Bは、遊技領域部200A側のバス213の状態監視、遊技プログラムのROM202からの読み込み、さらにはCPUコア201に対して停止の指示を出す等の処理を行うバスモニタ回路214、遊技用演算処理装置200の正当性(真偽)を判定する固有ID(固有識別情報:監視装置により正当性を見極める判定情報となる固有識別情報に相当)および遊技機メーカーコード(これらは遊技機に関連した情報に相当)等を格納しているセキュリティ回路215(例えば、EEPROMで構成)、バスモニタ回路214、セキュリティ回路215およびRAM217の管理を行うとともに、外部よりの指令に基づいて演算処理装置200内に格納されている情報(例えば、固有ID)を外部へ応答する等の処理を行う外部通信回路216、ワークエリアとして制御に必要なデータの一時記憶等を行い遊技領域部200AのRAM203と同等の内容を記憶するRAM217および管理領域部200Bのバス218により構成される。
【0046】
外部通信回路216の監視処理の内容としては、例えばバスモニタ回路214を介してCPUコア201の動作を監視し、非動作中に遊技領域部200AのRAM203の内容を管理領域部200BのRAM217へコピーする処理、また、外部装置である遊技情報収集装置1(PJ1)よりのメモリ内容要求指令により、管理領域部200BのRAM217の内容を外部へ連絡したり、遊技プログラム要求指令により、バスモニタ回路214を介してROM202内の遊技プログラムを外部へ連絡したり、固有ID要求指令によりセキュリティ回路215に格納されている固有IDを外部に連絡したりする処理がある。なお、外部通信回路216が外部へ連絡する際には、情報に対して暗号化を施して行ってもよい。
遊技用演算処理装置200では、遊技領域部200Aおよび管理領域部200Bがバスモニタ回路214を介して独立して動作する。すなわち、管理領域部200B側は遊技領域部200AにおけるCPUコア201の作動に関係なく(プログラム実行に関係なく)、動作可能であり、これにより、遊技プログラムの実行に関係なく、所定間隔毎の固有IDの監視が可能になっている。
【0047】
管理領域部200Bに遊技領域部200AのRAM203と同等の内容を記憶するRAM217を配置したのは、遊技用演算処理装置200の検査時(例えば、所定機関による検定検査、警察官等による立ち入り検査時)に、遊技プログラムの動作中にメモリ(ここではRAM203)の内容を確認したい場合が生じるから、管理領域部200BにもRAMを設けて遊技プログラムの稼働中においてもメモリ内容(RAM203の内容)を外部へ出力することができるようにしたためである。したがって、外部通信回路216はメモリ内容要求指令を受けると、管理領域部200BのRAM217の内容を取得して外部へ送出する。
【0048】
また、例えば立ち入り検査時にLON通信網91に設定・検査装置23を接続し、遊技情報収集装置1(PJ1)を介して遊技プログラムの読み出しコマンドの入力が外部通信回路216にあると、外部通信回路216はバスモニタ回路214を利用してROM202より遊技プログラムを取り込み、外部通信回路216より遊技情報収集装置1(PJ1)を介して設定・検査装置23に遊技プログラムを送信する。そして、設定・検査装置23で遊技プログラムの真偽が判断されることになる。
なお、管理領域部200BにRAM217を設ける構成でなく、同等の処理が可能なその他の構成であってもよい。例えば、DPRAMを設けて遊技領域部200Aと管理領域部200Bの双方からアクセス可能なようにしてもよい。
ここで、遊技用演算処理装置200は遊技制御手段を構成し、乱数生成手段、遊技機関連情報格納手段および固有識別情報格納手段の機能を実現する。詳しくは、遊技機関連情報格納手段、固有識別情報格納手段はセキュリティ回路216によって実現され、乱数生成手段は乱数生成回路205によって実現される。
【0049】
次に、作用を説明する。
遊技用演算処理装置200における乱数生成および遊技用演算処理装置200の正当性の判定に関連する処理プログラムについて説明する。
A.遊技用演算処理装置のブートプログラム
遊技用演算処理装置200は電源オン時にブートプログラムをROM202から読み込んで立ち上がる。そこで、図4を参照してブートプログラムについて説明する。ブートプログラムでは、まずステップS1で確認処理を行う。これは、ROM202における遊技プログラム領域の所定領域に、遊技プログラムを書き込む際に、正当な書き込み装置で書き込んだことを示す(正当な者による)書き込み終了コードが書き込まれており、それをブートプログラムに格納されている判定値と比較判定することで、正当な者により遊技プログラムが書き込まれたのか否かを判断する処理である。この確認処理を行うことにより、正当な者により書き込まれたことが判断でき、言換えれば、生の遊技用演算処理装置200を盗んで不当な者による書き込みはできなくしている。
【0050】
次いで、ステップS2で上記確認処理における所定領域に格納されている書き込み終了コードと判定値との比較結果が正常か否かを判別する。比較結果が不当な場合にはステップS3への移行を停止する。したがって、遊技プログラムへの移行はなされず、遊技は行われない。これにより、不当な者が書き込んだ不当な遊技プログラム(検定時と異なるプログラム)の実行による不正な遊技を防止することができる。
一方、ステップS2の判別結果が正常であれば、ステップS3に進んでセキュリティ回路215に格納されている遊技用演算処理装置200毎に異なる固有IDを読み込み、乱数種値として取得する。次いで、ステップS4で取得した乱数種値を乱数生成回路205へ乱数生成の種値として設定する。次いで、ステップS5で遊技制御を実行すべく遊技プログラムへ処理を移行してブートプログラムを終了する。
【0051】
乱数生成回路205では、上記のようにして設定された値(遊技用演算処理装置200毎に異なる固有ID)を乱数生成の際の(初期時の)種値として利用する。このとき、乱数生成回路205では一様性乱数を生成する手法として数学的手法をとる。例えば、合同法あるいはM系法という手法である。合同法は一様性乱数列の生成法として広く使用されているもので、いわゆる線形合同法と呼ばれ、以下の漸化式(1)を用いて非負整数例<Xn>を生成するものである。
Xn=aXn-1+c(mod M)…………(1)
M:法(modulus)、a:乗数、c:加数
初期値(種値)として、例えば固有ID(固有IDの一部でもよい)を利用すれば、同じ乱数生成方法であっても、遊技用演算処理装置200毎に異なる初期値を設定するので、異なった乱数が生成されることになる。
品質の良い乱数を得るためには、ある条件の元で自然数aおよび整数cのパラメータを設定する必要があり、一例として、2以上のビット数の乱数を求める場合、自然数aを4の倍数に1を加えたものとし、整数cを2の乗数と互いに素である数とすることにより、品質の良い乱数が得られる。
この場合、乗数aとして、例えば”16809”のように、4の倍数に1を加えた数を用い、加数cとしては、例えば”3”のように、2の乗数に対して互いに素となる数を用いる。
ここでは図示を略しているが、遊技プログラムでは初期設定で乱数生成回路205へ乱数周期を設定する。例えば大当り確率が1/200であれば、周期200を設定する。乱数生成回路205では、設定された乱数周期200を受けると、固有IDを200で除した余りを初期値として利用し、M=200(モジュラス関数:200で除すという除算における余りを求める計算)として、漸化式(1)により乱数生成を開始して遊技プログラムにより生成した乱数値を取得できるようにする。
例えば、固有ID=15803とした場合、固有ID=15803を200で除した余りは”3”となるので、初期値として”3”を採用する。漸化式(1)では、前述したように乗数aとして”16809”のように4の倍数に1を加えた数を用い、加数cとして例えば”3”のように2の乗数に対して互いに素となる数を用いることにすると、16809×3=50427となる。次いで、”50427”に対して加数3を加えると、”50430”となる。次いで、”50430”に対するM=200の剰余を求めると、”30”となるので、”30”が乱数値となる。以下同様にして、漸化式(1)を用いて一様性乱数を生成する。これにより、従来の桁上がり方式のカウンタで得られる乱数列は規則正しい等差数列であるのに対して、本実施例ではランダムな乱数列で、しかも遊技用演算処理装置200毎に生成値が異なる優れた乱数列を生成することができる。
なお、乱数生成回路205は、例えば固有IDを種値として利用する場合の初期値を記憶するレジスタ、初期値と乗数aとの乗算を行う乗算回路、乗算回路の結果に加数cを加算する加算回路、および加算回路で求めた結果に対する剰余算出演算を行う丸め込み回路を含んで、容易に実現することができる。
【0052】
B.遊技用演算処理装置チェック
次に、遊技用演算処理装置(以下、適宜、演算処理装置と略称する)200のチェックに関するプログラムについて説明する。図5は遊技用演算処理装置チェックのプログラムを示すフローチャートである。遊技用演算処理装置200をチェックする過程では、遊技用演算処理装置200、遊技情報収集装置1(PJ1)および遊技情報収集装置2(PJ2)において関連する処理が行われる。
遊技用演算処理装置200には製造時(ブートプログラム書き込み時)に予め固有ID(遊技用演算処理装置200毎に異なるID)が格納(セキュリティ回路215に格納)されており、遊技店1に遊技機10が納入された後、遊技情報収集装置1(PJ1)が固有IDに基づいて正当な遊技用演算処理装置200であるか否かを判断できるように、LON通信網91に設定・検査装置23を接続し、当該遊技用演算処理装置200に予め格納されている固有IDを当該遊技機10が接続される遊技情報収集装置1(PJ1)へ設定する。遊技情報収集装置1(PJ1)では所定間隔毎に遊技用演算処理装置200に固有ID読み出しコマンドを送信し、遊技用演算処理装置200はそれに応答すべく予め格納されている固有IDを遊技情報収集装置1(PJ1)へ送信し、遊技情報収集装置1(PJ1)は受け取った固有IDを設定・検査装置23により設定された固有IDと比較することで、遊技用演算処理装置200の正当性を判断する。そして、特定の者(例えば、製造時に遊技用演算処理装置200に固有IDを格納し、管理している者)しか知り得ない固有IDが正当であれば、その正当な遊技用演算処理装置200に書き込まれている遊技プログラムは正当であると判断する。
【0053】
図5に示すプログラムで遊技用演算処理装置200の正当性を判断する場合、まず遊技情報収集装置1(PJ1)のメインルーチンの遊技用演算処理装置チェック処理において、ステップS21で所定間隔毎の固有IDの確認タイミング(例えば、1秒毎)であるか否かを判別し、確認タイミングでなければ、今回のルーチンを終了してメインルーチンにリターンする。確認タイミングであれば、ステップS22に進んで当該遊技情報収集装置1(PJ1)に接続される遊技機10の遊技用演算処理装置200に対して固有ID要求(例えば、固有ID読み出しコマンド)を送信する。これは、遊技情報収集装置1(PJ1)と対になっている(つまり遊技情報収集装置1(PJ1)がチェック対象としている)遊技機10における遊技制御基板41に内蔵されている遊技用演算処理装置200に対して固有IDを要求するものである。
【0054】
遊技用演算処理装置200では、外部通信回路216が処理を行い、まずステップS23で遊技情報収集装置1(PJ1)から送られてきた固有ID要求指令が正規な指令情報であるか否かを判別し、正規のものでなければ処理を終了する。したがって、このときは無応答となる。無応答とすることによって、不正の防止を行う。例えば、何かしら応答すると、その応答を解析される恐れがあるので、無応答にしているものである。要は、不正なコマンドに対する応答動作はしないという構成である。なお、無応答に限らず、予め決められた一定の情報だけを返す(例えば、「応答不能です」という情報を返す)ようにしてもよい。このように無応答にすることにより、不正者による解析を著しく困難にすることができる。
【0055】
一方、ステップS23で正規の指令情報である場合には、ステップS24に進んでそれが固有IDの要求指令であるか否かを判別する。固有IDの要求指令でなければ処理を終了する。固有IDの要求指令であれば、ステップS25で遊技情報収集装置1(PJ1)より送信されてきた固有ID要求を受信し、ステップS26でセキュリティ回路216に予め格納されている固有IDを遊技情報収集装置1(PJ1)へ送信して処理を終了する。
【0056】
固有IDは遊技用演算処理装置200の正当性を判断する情報であり、予め遊技用演算処理装置200のセキュリティ回路215に格納されている。このとき、遊技用演算処理装置200ではCPUコア201の動作で固有ID要求を受けるのではなく、外部通信回路216で固有ID要求を受け、それに応答してセキュリティ回路215に予め格納されている固有IDを外部に送信する。したがって、CPUコア201の動作がなくても、外部通信回路216の段階で固有IDチェックが行われる。このように、外部通信回路216およびセキュリティ回路215が独立して固有ID要求に対する応答を行うことにより、例えば遊技プログラムの実行中(すなわち、遊技中)でも固有IDに基づくセキュリティチェックを実現することが可能になるという利点がある。
なお、固有IDは遊技機製造メーカーが遊技プログラムを書き込む際に、セキュリティ回路215に格納してもよい。
【0057】
遊技情報収集装置1(PJ1)ではステップS27で遊技用演算処理装置200の外部通信回路216(以下、同様)から送信された固有IDを受信し、ステップS28で受信した固有IDが正常であるか(正規なものであるか)否かを判別する。なお、チェック用の固有ID(つまり遊技用演算処理装置判定基準情報:遊技制御装置の正当性の判定要素となる固有識別情報)は予め設定・検査装置23により遊技情報収集装置1(PJ1)1に対して設定(例えば、EEPROM54に格納)されている。チェック用の固有IDは設定・検査装置23によって設定する例に限らず、例えばカウンタ用コンピュータ(CC)によって設定してもよい。
【0058】
ステップS28の判別結果で、遊技用演算処理装置200から受信した固有IDが正常であれば、ステップS29で固有ID正常状態を記憶(例えば、状態変化情報のうち遊技用演算処理装置異常のビットを「0」にして正常なものとして記憶)してメインルーチンにリターンする。
一方、遊技用演算処理装置200のIDが正常でない場合(例えば、偽造された遊技用演算処理装置である場合)には、ステップS30に進んで固有IDの異常に対応した処置を行うべく、発射停止要求を遊技情報収集装置2(PJ2)に送信するとともに、ステップS31で固有ID異常状態を記憶(例えば、状態変化情報のうち遊技用演算処理装置異常のビットを「1」にして記憶)してメインルーチンにリターンする。
【0059】
遊技情報収集装置2(PJ2)では、異常対処処理において、ステップS32で遊技情報収集装置1(PJ1)から発射停止要求を受信すると、ステップS33に進んで異常P台に対して打止信号をオンして球の発射を停止し、メインルーチンにリターンする。これにより、遊技情報収集装置2(PJ2)に接続されている該当する遊技機10における遊技球の発射が停止される。すなわち、遊技機10の動作が不能動化される。したがって、遊技用演算処理装置200が偽造されて固有IDが正規のものでない場合には、遊技を継続できなくなり、不正を防止することができる。
なお、ステップS33では異常P台の発射をオフしているが、これに限らず、例えば遊技機電源断信号を遊技機電源装置へ出力し、異常P台の電源をオフしてもよい。
【0060】
このように本実施例では、遊技用演算処理装置200毎に異なる固有IDを乱数種値として設定し、これを乱数生成回路205で乱数生成の際の(初期時の)種値として利用して大当り等の抽選に使用する乱数を生成しているので、以下の効果を得ることができる。
遊技用演算処理装置200毎に異なる固有IDを乱数種値として設定するので、遊技機10毎に異なる乱数が発生することになり、いわゆる体感器を用いて大当たりを誘発するという遊技の健全性に反する行為を抑制することができる。すなわち、従来であれば、同一機種の遊技機は乱数更新に周期性があり、そのために体感器を用いて大当たりを誘発する行為が行われる可能性があったが、これに対して本実施例では同一機種の遊技機10であっても、遊技機10毎に異なる乱数が発生するので、体感器の使用が困難になる。その結果、遊技者による不当な遊技を防止し、健全な遊技が行える遊技機10を提供することができる。
また、仮に遊技用演算処理装置200が盗用にあって固有IDが解読されても、固有IDは遊技用演算処理装置200毎に個々に異なるので、それに基づいて改造した遊技用演算処理装置200を大量に製造することはできず、被害を極めて最小限(ただ1台の遊技機10のみ)にすることができる。
【0061】
さらに、大当たり値を引くタイミングで電磁波を照射して第1種始動口内のセンサをオンさせるという従来の不正行為に対しても、遊技機10毎に異なる乱数が発生するので、そのような不正行為を防止することができる。
「ぶら下がり基板」と称する不正な装置を遊技機に取り付ける不正行為に対しても、固有IDを盗用しなければ、「ぶら下がり基板」の製造が困難であるので、そのような「ぶら下がり基板」と称する不正な装置を使用する行為を抑制することができる。また、仮に遊技用演算処理装置200が盗用にあって固有IDが解読されても、固有IDは遊技用演算処理装置200毎に個々に異なるので、それに基づいて「ぶら下がり基板」を大量に製造することはできず、被害を極めて最小限(ただ1台の遊技機10のみ)にすることができる。
【0062】
次に、本発明の変形例として、例えば遊技用演算処理装置200の固有IDを暗号化する暗号化処理の機能をセキュリティ回路215に含めるようにし、乱数生成回路205は暗号化された固有IDを乱数生成の際における種値として利用するようにする。この場合、セキュリティ回路215は固有ID(固有識別情報)を暗号化する暗号化手段の機能を実現し、乱数生成回路205は暗号化手段により暗号化された固有ID(固有識別情報)を乱数生成の際における種値として利用する乱数生成手段の機能を実現する。
このように固有IDを暗号化すると、遊技用演算処理装置200が盗用にあっても固有IDを解読することができず(あるいは極めて困難:事実上不可能)、体感器の使用、「ぶら下がり基板」の製造等の不正行為を確実に防止することができる。すなわち、遊技用演算処理装置200が盗用にあって固有IDが解読された場合、それに基づいて改造した遊技用演算処理装置200を1台は製造されるおそれがあるが、固有IDを暗号化すれば、それさえも防止することができる。
【0063】
本発明の実施の形態は、上記実施例に限らず、以下に述べるような各種の変形実施が可能である。
(a)遊技機はパチンコ遊技機に限らず、パチスロ遊技機であってもよい。要は、大当り等の抽選に乱数を使用するものであれば適用可能である。
(b)本発明における遊技機はパチンコ遊技機でなく、例えば映像式ゲーム機のようなものでも、乱数を使用するものであれば適用できる。
(c)遊技機は実球式に限るものではなく、封入球式の遊技機であってもよい。また、本発明の適用対象となる遊技機は、どのような種類の遊技機でも本発明を適用できる。例えば、磁気カードで玉貸しを行うもの、ICカードで玉貸しを行う等の遊技機のタイプに限定されずに、本発明を適用することができる。
【0064】
(d)遊技情報収集装置1(PJ1)あるいは遊技情報収集装置2(PJ2)は比較的小型で製造可能であり、例えば遊技機10等の内部に一体的に組み込むような構成にしてもよい。
(e)上記実施例では、遊技情報収集装置1(PJ1)および遊技情報収集装置2(PJ2)を別体として構成しているが、例えば遊技情報収集装置1(PJ1)が遊技情報収集装置2(PJ2)の機能を併せ持つような構成にしてもよい。
(f)上記実施例では、固有IDが不当な場合に遊技情報収集装置1(PJ1)からの指令により遊技情報収集装置2(PJ2)が遊技機を不能動化しているが、これに限らず、例えば遊技情報収集装置1(PJ1)が遊技機を不能動化する制御を行ってもよい。
(g)乱数生成の際における種値として利用する情報としては、上記実施例のような固有IDに限るものではない。遊技機に関連した情報(遊技機関連情報)であれば、機種コード、遊技機製造メーカーコード等を乱数生成の際における種値として利用してもよい。あるいは、固有IDと機種コード、遊技機製造メーカーコード等を混在させて乱数生成の際における種値として利用してもよい。
【0065】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、遊技制御手段は、遊技制御を行う遊技領域部と、前記遊技領域部とは独立して動作するとともに管理制御を行う管理領域部と、から構成され、前記遊技領域部は、遊技制御のための演算処理を行うCPUコアと、該CPUコアにより実行される遊技プログラムを格納する遊技プログラム格納手段と、ブートプログラムを格納するブートプログラム格納手段と、ワークエリアとして遊技機の遊技制御に必要なデータの一時記憶を行う第1作業用メモリと、遊技者による遊技の実行過程において遊技価値を付加するか否かに係わる乱数を生成する乱数生成手段と、を含み、前記管理領域部は、前記遊技領域部のバスの状態を監視して前記第1作業用メモリに記憶されるデータ内容を複写する複写手段と、前記複写手段により複写されたデータ内容を記憶して前記第1作業用メモリと同等のデータ内容が記憶される第2作業用メモリと、外部からの要求に基づいて、前記遊技制御手段に格納されている情報を外部からの要求に対応して出力する情報応答手段と、前記監視装置により正当性を見極める判定情報となる固有識別情報を格納する固有識別情報格納手段と、を含んで構成され、前記情報応答手段は、外部からのメモリ内容要求に基づき、前記CPUコアによって実行される遊技プログラムの稼働中においても、前記第2作業用メモリからデータ内容を取得して前記第1作業用メモリのデータ内容を外部に出力可能であり、かつ、前記監視装置からの固有識別情報要求により、前記CPUコアによって実行される遊技プログラムの稼働中においても、前記固有識別情報格納手段に格納されている固有識別情報を前記監視装置に出力可能であり、前記CPUコアは、前記ブートプログラム格納手段に格納されたブートプログラムに基づき、遊技プログラムの正当性を判断し、該遊技プログラムの正当性が確認された場合は、前記固有識別情報格納手段に格納される固有識別情報を、前記乱数生成手段によって生成される乱数の種値として設定するので、以下の効果を得ることができる。
遊技プログラムの稼働中においても第1作業用メモリの内容を外部へ出力することができ、遊技プログラムの稼働中に第1作業用メモリの内容を確認することができる。
また、監視装置からの固有識別情報要求により、固有識別情報格納手段に格納されている固有識別情報を監視装置に出力可能とすることで、遊技プログラムの稼働中でも固有識別情報に基づくセキュリティチェックを実現することが可能となる。
また、遊技制御手段毎に異なる固有識別情報を乱数種値として使用するので、遊技機毎に異なる乱数が発生することになり、いわゆる体感器を用いて大当たりを誘発するという遊技の健全性に反する行為を抑制することができる。
すなわち、従来であれば、同一機種の遊技機は乱数更新に周期性があり、そのために体感器を用いて大当たりを誘発する行為が行われる可能性があったが、これに対して本発明では同一機種の遊技機であっても、遊技機毎に異なる乱数が発生するので、体感器の使用が困難になる。その結果、遊技者による不当な遊技を防止し、健全な遊技が行える遊技機を提供することができる。
また、仮に遊技制御手段が盗用にあって固有識別情報が解読されても、固有識別情報は遊技制御手段毎に個々に異なるので、それに基づいて改造した遊技制御手段(例えば、遊技用演算処理装置200)を大量に製造することはできず、被害を極めて最小限(ただ1台の遊技機のみ)にすることができる。
さらに、大当たり値を引くタイミングで電磁波を照射して第1種始動口内のセンサをオンさせるという従来の不正行為に対しても、遊技機毎に異なる乱数が発生するので、そのような不正行為を防止することができる。
「ぶら下がり基板」と称する不正な装置を遊技機に取り付ける不正行為に対しても、固有識別情報を盗用しなければ、「ぶら下がり基板」の製造が困難であるので、そのような「ぶら下がり基板」と称する不正な装置を使用する行為を抑制することができる。また、仮に遊技制御手段が盗用にあって固有識別情報が解読されても、固有識別情報は遊技制御手段毎に個々に異なるので、それに基づいて「ぶら下がり基板」を大量に製造することはできず、被害を極めて最小限(ただ1台の遊技機のみ)にすることができる。
請求項2記載の発明によれば、前記情報応答手段は、外部からの固有識別情報要求を受信し、該受信に応答して前記固有識別情報格納手段に格納された固有識別情報を外部に送信するので、監視装置からの固有識別情報要求により、固有識別情報格納手段に格納されている固有識別情報を監視装置に出力可能とすることで、遊技プログラムの稼働中でも固有識別情報に基づくセキュリティチェックを実現することが可能となる。
【0066】
また、仮に遊技制御手段が盗用にあって固有識別情報が解読されても、固有識別情報は遊技制御手段毎に個々に異なるので、それに基づいて改造した遊技制御手段(例えば、遊技用演算処理装置200)を大量に製造することはできず、被害を極めて最小限(ただ1台の遊技機のみ)にすることができる。
さらに、大当たり値を引くタイミングで電磁波を照射して第1種始動口内のセンサをオンさせるという従来の不正行為に対しても、遊技機毎に異なる乱数が発生するので、そのような不正行為を防止することができる。
「ぶら下がり基板」と称する不正な装置を遊技機に取り付ける不正行為に対しても、固有識別情報を盗用しなければ、「ぶら下がり基板」の製造が困難であるので、そのような「ぶら下がり基板」と称する不正な装置を使用する行為を抑制することができる。また、仮に遊技制御手段が盗用にあって固有識別情報が解読されても、固有識別情報は遊技制御手段毎に個々に異なるので、それに基づいて「ぶら下がり基板」を大量に製造することはできず、被害を極めて最小限(ただ1台の遊技機のみ)にすることができる。
【0067】
請求項2記載の発明によれば、固有識別情報を暗号化し、暗号化した固有識別情報を乱数生成の際における種値として利用することにより、遊技制御手段が盗用にあっても固有識別情報を解読することができず、体感器の使用、「ぶら下がり基板」の製造等の不正行為を確実に防止することができる。すなわち、遊技制御手段が盗用にあって固有識別情報が解読された場合、それに基づいて改造した遊技制御手段を1台は製造されるおそれがあるが、固有識別情報を暗号化すれば、それさえも防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 遊技店の全体構成を示すブロック図である。
【図2】 遊技情報収集装置1(PJ1)のブロック図である。
【図3】 遊技用演算処理装置の構成を示すブロック図である。
【図4】 遊技用演算処理装置のブートプログラムを示すフローチャートである。
【図5】 遊技用演算処理装置チェック処理のプログラムを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 遊技店
10、10a、10b 遊技機
41、41a、41b 遊技制御基板(遊技制御装置)
200 遊技用演算処理装置(遊技制御手段)
205 乱数生成回路(乱数生成手段)
215 セキュリティ回路(遊技機関連情報格納手段、固有識別情報格納手段、暗号化手段)
216 外部通信回路
PJ1 遊技情報収集装置1(監視装置)
PJ2 遊技情報収集装置2(監視装置)
Claims (2)
- 遊技機の遊技制御を実行管理する遊技制御手段を含む遊技制御装置側と電気的に接続される監視装置により、前記遊技制御手段の正当性を監視され、遊技の実行過程において遊技価値を付加するか否かを乱数に基づいて決定する遊技機であって、
前記遊技制御手段は、遊技制御を行う遊技領域部と、前記遊技領域部とは独立して動作するとともに管理制御を行う管理領域部と、から構成され、
前記遊技領域部は、
遊技制御のための演算処理を行うCPUコアと、
該CPUコアにより実行される遊技プログラムを格納する遊技プログラム格納手段と、
ブートプログラムを格納するブートプログラム格納手段と、
ワークエリアとして遊技機の遊技制御に必要なデータの一時記憶を行う第1作業用メモリと、
遊技者による遊技の実行過程において遊技価値を付加するか否かに係わる乱数を生成する乱数生成手段と、
を含み、
前記管理領域部は、
前記遊技領域部のバスの状態を監視して前記第1作業用メモリに記憶されるデータ内容を複写する複写手段と、
前記複写手段により複写されたデータ内容を記憶して前記第1作業用メモリと同等のデータ内容が記憶される第2作業用メモリと、
外部からの要求に基づいて、前記遊技制御手段に格納されている情報を外部からの要求に対応して出力する情報応答手段と、
前記監視装置により正当性を見極める判定情報となる固有識別情報を格納する固有識別情報格納手段と、
を含んで構成され、
前記情報応答手段は、外部からのメモリ内容要求に基づき、前記CPUコアによって実行される遊技プログラムの稼働中においても、前記第2作業用メモリからデータ内容を取得して前記第1作業用メモリのデータ内容を外部に出力可能であり、かつ、前記監視装置からの固有識別情報要求により、前記CPUコアによって実行される遊技プログラムの稼働中においても、前記固有識別情報格納手段に格納されている固有識別情報を前記監視装置に出力可能であり、
前記CPUコアは、前記ブートプログラム格納手段に格納されたブートプログラムに基づき、遊技プログラムの正当性を判断し、
該遊技プログラムの正当性が確認された場合は、前記固有識別情報格納手段に格納される固有識別情報を、前記乱数生成手段によって生成される乱数の種値として設定することを特徴とする遊技機。 - 前記情報応答手段は、外部からの固有識別情報要求を受信し、該受信に応答して前記固有識別情報格納手段に格納された固有識別情報を外部に送信することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
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