JP4290308B2 - 遊技システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技機固有の固体識別情報を監視する所定の監視装置と、前記監視装置に接続可能な遊技機(パチンコ機や回胴式遊技機など)と一体になって配設されると共に該遊技機の遊技制御を行う遊技用演算処理装置と、を有する遊技システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
パチンコ機や回胴式遊技機などの遊技機を備えた遊技場では、従来から、各々の遊技機の隣りに遊技媒体貸出装置を設けることによって、遊技者に対する遊技媒体の貸出の便宜を図っているが、特に、プリペイドカード(前払式証票ともいう)方式の遊技媒体貸出装置は、紙幣等の現金を取り扱わないことから安全であり、しかも、現金の搬送機構が不要でシステムを簡素化できるメリットを持つことから多くの遊技場に用いられている。以下、便宜的に遊技機をパチンコ機として説明する。すなわち、遊技媒体を「遊技球」、遊技媒体貸出装置を「球貸機」、各々の遊技媒体貸出装置の情報を管理する貸出情報管理装置を「球貸管理装置」として説明する。
【0003】
パチンコ遊技場に設けられたプリペイドカード方式の球貸機(以下、単に「球貸機」とい
う)の動作は、(1)挿入されたプリペイドカードの未使用金額を読み取り、この未使用金額の範囲内で、パチンコ機の球貸操作部からの遊技球排出要求を受け付け、1回の遊技球排出要求ごとに所定数量の遊技球排出を指令する排出指令を、パチンコ機の排出制御装置へ送出する、(2)排出指令の送出に対する応答を条件に、プリペイドカードの未使用金額を更新する、(3)遊技場に設けられた球貸管理装置からの略周期的な情報取得要求に応答して、プリペイドカードの未使用金額や排出球数等の球貸情報を、球貸管理装置へ通知する、というものである。
【0004】
ここで、球貸管理装置と各々の球貸機は1対多のネットワークを構成する。このネットワークの伝送制御手順は、最も基本的な伝送制御手順であるベーシック制御手順(ポーリング・セレクティング方式ともいう)であり、1側の球貸管理装置は制御局、多側の球貸機の各々は端末として機能する。ベーシック制御手順における伝送制御はすべて制御局の管理下で行われ、端末から制御局へのデータ送信をポーリングといい、制御局から端末へのデータ送信をセレクティングという。例えば、上記(3)の動作はポーリングによって行われており、その具体的な流れは、図20のタイムランによって説明される。すなわち、球貸管理装置は遊技場に設けられた球貸機の一台のアドレスを指定して情報要求コマンドを出力する。指定された球貸機は球貸情報の有無を判定し、情報があればその情報を情報応答として球貸管理装置に返し、なければその旨を示すコマンド(NAK信号)を返す。球貸管理装置は返送された情報を記録(NAK信号を受け取った場合は何もしない)した後、アドレスを更新して再び情報要求を出力する。一回の情報要求とその情報応答(またはNAK返送)のペアがポーリングの一単位であり、このポーリングを各々の球貸機に対して順次に繰り返すことにより、すべての球貸機の最新情報(球貸情報)を球貸管理装置で収集管理している。
【0005】
一方、パチンコ機は、上述の排出制御装置を備えるとともに、遊技盤上の遊技を制御する遊技用演算処理装置を搭載した遊技制御装置などの各種装置を備えている。特に、アミューズメントチップと呼ばれる遊技用演算処理装置を搭載した遊技制御装置を備えたパチンコ機にあっては、アミューズメントチップにCPUコアや主記憶およびプログラムROMなど(以下「CPUコア等」という)をオンチップ実装(共通の半導体基板上にCPUコア等を集積)することにより、いわゆる裏ROM(改竄された遊技プログラムを収めたプログラムROM)の使用を物理的に不可能にして、不正の防止を図るとともに、さらに、アミューズメントチップ自体に遊技プログラムの正当性判定機能を持たせ、より確実な不正防止策を講じることが行われている。遊技プログラムの正当性判定機能としては、例えば、アミューズメントチップの起動時に、同チップ上のプログラムROMに格納された遊技プログラムを読み出して所定のアルゴリズムで符号化し、その符号化の際に生成されるチェックコードと、あらかじめ同様の手順で生成してプログラムROMに格納されたチェックコードとを比較し、一致した場合に遊技プログラムの正当性、すなわち改竄されていない遊技プログラムであることを判定して、プログラムROMに格納された遊技プログラムの実行を開始するものが知られている。
【0006】
ところで、以上の遊技用演算処理装置にあっては、パチンコ機と球貸機とを併設して、遊技者に対する球貸の便宜を図っているものの、球貸機は、専ら球貸のための単一機能しか有しておらず、多くの遊技場でパチンコ機と対をなして設置されることを考慮すると、球貸以外の何らかの付加価値をつけて多機能化することが求められていた。さらに、上述の遊技プログラムの正当性判定機能を備えたパチンコ機にあっては、アミューズメントチップに格納された遊技プログラムの正当性判定を行っているが、アミューズメントチップ自体が不正に交換(遊技制御装置の交換またはパチンコ機の交換を含む)された場合に、それを知る術がないという不都合があった。
【0007】
そこで、本発明の出願人は、遊技機(例えば、パチンコ機)の不正防止機能を遊技媒体貸出装置(例えば、球貸機)にも持たせて、遊技媒体貸出装置の多機能化を図りつつ、その不正防止機能により、アミューズメントチップ自体の不正交換(遊技制御装置の不正交換またはパチンコ機の不正交換を含む)も判定できるようにした遊技媒体貸出装置を先に提案している(特願平11−317533号、平成11年11月8日)。この提案に係る遊技媒体貸出装置は、前述の球貸機能を備えるほか、遊技機(例えば、パチンコ機)に対して管理情報要求を出力し、この管理情報要求に応答して遊技機から返送された管理情報応答に含まれる遊技機の個体識別情報と、遊技媒体貸出装置にあらかじめ保持されていた判定用識別情報とを比較して、不一致の場合にアミューズメントチップ自体の不正交換、遊技制御装置の不正交換またはパチンコ機の不正交換を判定する遊技機判定機能を備えている。これによれば、一つの遊技媒体貸出装置で、球貸制御と遊技機の良否判定(アミューズメントチップの不正交換判定)とを行うことができ、遊技媒体貸出装置の多機能化と不正防止の強化を図ることができる。
しかしながら、上記提案に係る技術にあっては、アミューズメントチップの固体識別情報を“平文”で保持する構成となっていたため、情報の秘匿性に欠ける欠点があり、固体識別情報の不正な奪取を確実に防止できないという問題点がある。
【0008】
そこで、上記の固体識別情報を暗号化して保持させることが考えられる。ここで、暗号化とは、元の文(平文という)を一見無意味な文(暗号文という)に変換することをいい、暗号文を平文に再生することを復号という。平文から暗号文を作る際に用いる情報のことを“鍵”といい、暗号化と復号の双方に同一の鍵を使用する方式を「共通鍵方式」、異なる鍵を使用する方式を「公開鍵方式」という。
【0009】
ところで、上記提案に係る技術に共通鍵方式を適用する場合、共通の鍵を用いて固体識別情報の暗号化と復号を行なうこととなるが、その鍵もアミューズメントチップに組み込まなければならず、仮に鍵が不正に奪取された(読み取られた)場合は識別情報を秘匿できなくなるばかりか、その鍵によって識別情報の暗号化も行なえるから、結果として不正なアミューズメントチップの製造を容認することとなり、有効なセキュリティ対策にはなり得ない。
一方、公開鍵方式は、暗号化用の鍵(以下「暗号化鍵」という)と復号用の鍵(以下「復号鍵」という)が別々であるため、アミューズメントチップには復号鍵だけを組み込めばよく、仮にその復号鍵が奪取されても暗号化鍵は入手できないから、不正なアミューズメントチップの製造を困難にすることができる。
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、公開鍵方式における暗号化鍵と復号鍵は、前者を公開鍵、後者を秘密鍵とするものであり、秘密鍵から公開鍵の推測は容易でその逆は困難であるといういわゆる一方向性を有しているから、上記のように復号鍵(=秘密鍵)をアミューズメントチップに組み込んだ場合は、その復号鍵から暗号化鍵が推測されてしまうおそれを否めず、万全なセキュリティを確保できないという問題点がある。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、復号鍵を公開鍵とすることにより、復号鍵から暗号鍵の推測を計算量的に安全とし、以って識別情報の不正な暗号化を禁止して、改造されたアミューズメントチップの製造を確実に防止し得るセキュリティ技術の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、遊技機固有の固体識別情報を監視する所定の監視装置と、
前記監視装置に接続可能な遊技機と一体となって配設されると共に該遊技機の遊技制御を行う遊技用演算処理装置と、を有する遊技システムであって、
前記監視装置は、前記遊技機に対となって備えられ、挿入された記録媒体により特定される有価価値に基づいて遊技機での遊技に用いる遊技球を貸し出す球貸制御を行うことが可能な球貸機により構成され、
前記遊技システムは、前記球貸機における球貸制御に基づく球貸情報を収集管理する球貸管理装置を備えることで、当該球貸管理装置と前記球貸機とで球貸ネットワークが構成され、
前記遊技用演算処理装置は、
遊技用演算処理装置の製造固体に付与されるユニークな固体識別情報を公開鍵方式の秘密鍵によって暗号化した暗号化情報を記憶する識別情報記憶手段と、
該識別情報記憶手段に記憶された暗号化情報を前記監視装置側へ送出可能な識別情報送出手段と、を有し、
前記球貸管理装置は、
前記遊技用演算処理装置の固体識別情報と照合するために、前記公開鍵方式の秘密鍵によって暗号化して照合用固体識別情報を前記球貸機に送信する送信手段を備え、
前記球貸機は、
前記秘密鍵と対を成す公開鍵を格納する公開鍵格納手段と、
前記球貸管理装置から送信された前記照合用固体識別情報を前記公開鍵格納手段に格納された公開鍵によって復号化し、該復号化した照合用固体識別情報を格納する固体識別情報格納手段と、
前記識別情報送出手段から送出された暗号化情報を前記公開鍵を用いて復号動作を行う復号手段と、
前記復号手段により復号した固体識別情報と前記固体識別情報格納手段に格納された照合用固体識別情報とを照合して遊技用演算処理装置の正当性判定を行う正当性判定手段と、
前記正当性判定手段により前記遊技用演算処理装置の正当性が否定された場合に、前記球貸制御を不能動化する球貸制御不能動化手段と、を備え、
前記球貸制御不能動化手段は、
前記正当性判定手段により正当性が否定された場合に、当該球貸機に前記記録媒体が挿入されているか否かを判定する記録媒体挿入判定手段と、
前記記録媒体挿入判定手段により前記記録媒体が挿入されていると判定された場合に、当該記録媒体を排出させる記録媒体排出手段と、を含み、
前記記録媒体排出手段による前記記録媒体の排出後に、該記録媒体の挿入を禁止することで前記球貸制御を不能動化することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、多数のパチンコ機(弾球遊技機であり、以下「遊技機」と略称する)を設置した遊技場(以下「遊技店」という)に適用した実施例として図面を参照しながら説明する。
A.遊技店の全体構成
図1において、1は遊技装置である。遊技装置1は遊技機2(この実施の形態ではパチンコ機)と、この遊技機2に併設された球貸機3(発明の要旨に記載の監視装置に相当)とから構成されており、通常、遊技装置1は遊技店内に複数台(遊技機2と球貸機3の対を1台と数える)設置されている。遊技装置1は所定の台数で一つの島(パチンコ島)を構成し、島ごとに各々の遊技機2に対する遊技球の補給や回収を行っている。
遊技店内には、各々1台の球貸管理装置4と主中継装置5が設けられており、さらに、各々1台または複数台のカード発行機6および金額付加機7ならびに副中継装置8が設けられている。これらの球貸管理装置4、主中継装置5、カード発行機6、金額付加機7および副中継装置8は、遊技装置1ごとの球貸機3とともに、一体として、プリペイドカード9による付加金額情報や球貸金額情報を収集管理するための球貸ネットワーク10を構成する。
球貸ネットワーク10の伝送制御手順は、冒頭で説明したポーリング・セレクティング方式であり、球貸管理装置4は同方式の制御局、各々の球貸機3は同方式の端末として動作する。すなわち、球貸管理装置4は各々の球貸機3に対して順次にポーリングを行いながら最新の球貸情報を収集取得するとともに、必要に応じて任意の球貸機3に対してセレクティングを行って判定用IDコードを設定する。
【0013】
プリペイドカード9は、証票その他の物(以下「証票等」という)に電磁的方法(電子的方法または磁気的方法もしくは人の知覚によって認識できないその他の方法、例えば、目に見えない光線を照射することによってその記録情報の読み取りが可能となる当該記録情報を印刷するための方法)により記録されている有価価値情報、すなわち、金額(金額を“度”またはその他の単位に換算して表示されていると認められる場合の当該単位数を含む)に応ずる対価(一般に現金)を得て発行される証票等、いわゆる前払式証票であって、広義には、当該証票等の発行者または当該発行者が指定する者(以下「発行者等」という)から物品を購入し、もしくは借り受け、または役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために提示、交付その他の方法に使用できるものをいうが、本実施の形態におけるプリペイドカード9は、特に、パチンコ機や回胴式遊技機等の遊技機を設置した遊技場において、当該遊技機で使用される遊技媒体(遊技球やコイン)の借り受け代価弁済のために、その遊技場で使用されるものをいう。
なお、上記前払式証票は、代価弁済の都度その金額の減算更新しかできないものと、さらに、適宜の対価支払いと引き換えにその金額の加算更新をできるものの二種類ある。本実施の形態におけるプリペイドカード9は、そのいずれの種類であってもよいが、本実施の形態においては後者の種類に属するものとする。すなわち、本実施の形態におけるプリペイドカード9は、代価弁済の度に証票等に記録された金額を減算更新するとともに、適宜の対価支払いの度に証票等に記録された金額を加算更新することができる種類の前払式証票に相当するものである。
【0014】
カード発行機6は、対価と引き換えに、その対価と同一の金額情報を証票等に電磁気的方法で記録したプリペイドカード9を遊技者に発行する。また、金額付加機7は、発行済みのプリペイドカード9(他の遊技店のカード発行機で発行されたものを含む)に、新たな対価と引き換えにその対価と同一の金額情報を加算記憶する。
球貸管理装置4は、詳細な構成は後述するが、カード発行機6から当該カード発行機6によって発行されたプリペイドカード9の情報(カード識別情報、発行者情報および金額情報等)を取得するとともに、金額付加機7によって発行済みプリペイドカード9に追加記録された金額情報(カード識別情報や発行者情報を含む)を取得し、これらの情報から遊技店のカード総売上金額(カード発行機6によって発行されたプリペイドカード9に記録された金額の総額と、金額付加機7によって発行済みプリペイドカード9に追加記録された金額の総額とを加算した金額)情報(以下「総売上金額情報」という)を掌握管理するとともに、各々の球貸機3から球貸情報を取得して遊技店の球貸金額の総計情報(以下「総球貸金額情報」という)として掌握管理し、さらに、各々の球貸機3から遊技機2(正確には遊技機2の遊技用演算処理装置)の正当性情報(正当な遊技用演算処理装置が使用されているか否かまたは正当な遊技プログラムを搭載した遊技用演算処理装置であるか否かの情報)も取得して掌握管理するほか、必要に応じ、任意の球貸機3に対して判定用IDコードの設定を行うことができるものである。
【0015】
主中継装置5は、副中継装置8を介して、球貸管理装置4とカード発行機6、金額付加機7および球貸機3との間のデータ接続を行うものであり、主中継装置5と球貸管理装置4との間は有線で接続され、主中継装置5と副中継装置8の間、ならびに副中継装置8とカード発行機6、金額付加機7および球貸機3との間はワイヤレス(例えば、赤外線や無線電波)で接続されている。なお、ワイヤレス接続の理由は、遊技装置1やカード発行機6および金額付加機7の遊技店内におけるレイアウトの自在性を高めるためである。レイアウト変更に伴うケーブル引き直しの面倒を考慮しないのであれば、主中継装置5、副中継装置8、カード発行機6、金額付加機7および球貸機3の間も有線接続としてもよい。ちなみに、副中継装置8は、遊技店内のすべてのカード発行機6、金額付加機7および球貸機3との間でワイヤレス接続が可能な適切な設置位置、例えば、赤外線通信の場合は副中継装置8からすべての通信相手が見通せる位置が存在する場合、その位置に副中継装置8を設置することにより、副中継装置8の設置数を1台とすることができる。
【0016】
B.球貸管理装置の構成
図2は球貸管理装置4のブロック図であり、球貸管理装置4は、CPU4a、表示部4b、表示制御部4c、キー入力部4d、第1通信制御部4e、第2通信制御部4f、情報管理部4gおよび電源バックアップ部4hを備えている。
CPU4aは所定の制御プログラム(後述の球貸管理制御プログラム;図14〜図16参照)を実行し、表示制御部4c、キー入力部4d、第1通信制御部4e、第2通信制御部4fおよび情報管理部4gの各部を制御しながら、前述の総売上金額情報、総球貸金額情報および正当性情報の掌握管理を行うとともに、必要に応じ任意の球貸機3に対して判定用IDコードの設定を行う。表示部4bは、表示制御部4cの制御を受けて、総売上金額情報、総球貸金額情報および正当性情報やエラー発生時の警告などを表示するほか、ID設定モード実行時に、設定先アドレスや判定用IDコードの入力確認表示および操作案内などを表示する。キー入力部4dは上記ID設定モードへの切り換用機能キーや設定先アドレスおよび判定用IDコードを入力するための入力キーなどを備える。第1通信制御部4eはカード会社11との間の通信を制御する例えばデータモデムである。第2通信制御部4fは主中継装置5との間の通信を制御する通信ボードであり、例えば、9600bps(ビット/秒)の速度でポーリング・セレクティング方式の伝送制御を行うものである。情報管理部4gは上述の総売上金額情報、総球貸金額情報および正当性情報などの情報管理テーブル(以下「TBL1」という)を有するとともに、上記ID設定モードを実行する際にキー入力部4dなどから入力された設定先アドレスおよび判定用IDコードの情報を一時的に保持するセレクティング情報テーブル(以下「TBL2」という)を有するものである。電源バックアップ部4hは情報管理部4gの電源をバックアップして遊技店の営業終了後もその情報を保持させるものである。
【0017】
図3はTBL1およびTBL2の概念図である。TBL1は遊技店に設置されたすべてのカード発行機6、金額付加機7および球貸機3のアドレスi(図では便宜的にi=1〜99)を格納するアドレスフィールドを備えるとともに、遊技機良否情報フィールドおよび球貸情報フィールドを備え、TBL2は判定用IDコードの設定先アドレスj(図では便宜的にj=6とj=12を示している)を格納するアドレスフィールドおよび判定用IDコード(図では便宜的にj=6に“123456” という判定用IDコードが、またj=12に“ABCDEF”という判定用IDコードが設定されている)を格納するための判定用IDコードフィールドを備える。
球貸管理装置4は、TBL1のアドレスフィールドの情報を読み出しながら、各々のアドレスiで示されたカード発行機6、金額付加機7および球貸機3にポーリングを行い、そのポーリング先からの取得情報をTBL1の各フィールドに格納する。例えば、球貸機3から遊技機良否情報と球貸情報を取得してTBL1の遊技機良否情報フィールドおよび球貸情報フィールドに格納する。また、球貸管理装置4は、判定用IDコードの設定モード(以下「ID設定モード」という)が選択されたとき、TBL2の設定先アドレスjに示された球貸機3に対してセレクティングを行い、TBL2の判定用IDコードフィールドの情報をその球貸機3に設定する。
なお、球貸管理装置4は、カード会社11からのアクセス(例えば、遊技店閉店後のアクセス)に応答して、TBL1の情報(総売上金額情報および総球貸金額情報)を通知する。カード会社11は、この通知情報を管理するとともに、遊技店に対して総売上金額情報で示された金額の支払いを求め、一方、遊技店はカード会社11に対して総球貸金額情報に示された金額の支払いを求める。これにより、遊技店とカード会社11の間で決済が行われる。
【0018】
C.遊技装置の前面構成
図4は遊技装置1を示す図(図1に示された遊技装置1の拡大図に相当する)であり、遊技装置1は既述のとおり遊技機2とこの遊技機2に併設された球貸機3とにより構成されている。遊技機2は額縁状の前面枠71と、ガラスを支持する金枠(ガラス枠)72と、遊技領域が形成された遊技盤73と、前面表示パネル74と、前面表示パネル74の下方に設けられた操作パネル75とを有しており、前面枠71は遊技機2を設置している木製の機枠(図示略)に対して開閉可能に支持され、金枠72は前面枠71に開閉可能に支持されている。
表示パネル74は一端側が前面枠71に開閉可能に支持され、賞球および貸球を受ける上皿81が形成されるとともに、上皿81の球を球貯留皿(受皿ともいう)82に移すために両者を接続する通路を開閉するための開閉レバー83が設けられている。上皿81にはプリペイドカード9の未使用金額を表示する残高表示器81a、球貸可能状態(プリペイドカード9に未使用金額があり且つ不正が検出されていない状態)を表示する球貸可能表示器81b、球貸機3に対して所定数量の球貸を要求する際に操作される球貸スイッチ(発明の要旨に記載の貸出操作部に相当)81cおよびプリペイドカード9の返却(球貸機3からの排出)を要求する際に操作される返却スイッチ81dが設けられている。
【0019】
操作パネル75には、灰皿84および前述の球貯留皿82が形成されるとともに、球貯留皿82に貯留された球を外部下方に抜くための球抜きレバー85が設けられている。また、操作パネル75の右端部側には球発射用の操作ハンドル86が設けられている。遊技盤73には前面の略円形領域をガイドレール88で取り囲んだ遊技領域が形成されており、この遊技領域には、複数の識別情報(いわゆる特別図柄;以下「特図」という)を複数列で変動表示する特図表示装置89、大入賞口を有する特別変動入賞装置90、特図始動口91、複数の一般入賞口94、風車と呼ばれる複数の打球方向変換部材96、左右のサイドランプ97、98、アウト穴99などが備えられている。また、特図表示装置89の上部には、前述した一般入賞口94の一つが配置されており、その下に、特図の始動記憶数を表示するための4個の特図始動記憶表示器105が設けられている。
特図始動口91には特図始動スイッチ101(スイッチの符号は図6参照;以下同様)が設けられており、複数の一般入賞口94には各入賞口ごとの入賞スイッチ102が設けられている。また、特別変動入賞装置90の大入賞口内における継続入賞流路には継続スイッチ103が設けられており、特別変動入賞装置90の一般入賞流路にはカウントスイッチ104が設けられている。
特図始動スイッチ101は特図始動口91に球が入賞したことを検出し、入賞スイッチ102は複数の一般入賞口94の各々に球が入賞したことを検出する。また、カウントスイッチ104は特別変動入賞装置90の大入賞口に入った全ての球を検出し、継続スイッチ103は大入賞口に入った球のうち継続入賞(いわゆるV入賞)した球を検出する。
なお、遊技盤73の遊技領域には、図示しない天釘やヨロイ釘などと呼ばれる多数の障害釘が設けられており、また、遊技盤73には、その他の各種装飾ランプやLED等が設けられている。さらに、遊技盤73における遊技領域の種類は、本実施の形態では、いわゆる「第1種」に属するものを例示するが、他の種類、すなわち、「第2種」や「第3種」または「他種」に属するものであってもよい。
【0020】
一方、球貸機3には、赤外線受光窓3a(図5の送受信器24の前面に設けられている)、プリペイドカード9の挿入口3b(図5のカードR/W装置26のカード挿入口に相当)およびプリペイドカード9の未使用金額や不正状態を表示するための表示窓3c(図5の表示器27の表示面に設けられている)などが備えられている。
【0021】
D.遊技装置のブロック構成
図5は遊技機2と球貸機3を含む遊技装置1のブロック図であり、遊技機2は、遊技制御装置12(詳細は後述)を備えるとともに、遊技制御装置12に設けられた外部通信端子13、排出制御装置14、排出装置15、中継基板16、中継基板16に設けられた接続端子17を備え、さらに、上皿81に設けられた例えば3桁の7セグメント素子からなる残高表示器81a、例えばLEDからなる球貸可能表示器81b、球貸スイッチ81cおよび返却スイッチ81dを備える。なお、これら以外にも、電源装置や発射ユニット、発射制御装置、表示制御装置、装飾制御装置などを備えるが、図示の都合上、省略している。
【0022】
一方、球貸機3は、ワンチップマイクロコンピュータ18、発振器19、不揮発性メモリ20、出力インターフェース21、入力インターフェース22、通信制御装置23、送受信器24、カードR/W(リード/ライト)制御装置25、カードR/W装置26、表示器27、チップ用端子28および球貸用端子29を備える。なお、図中の丸付きアルファベット符号(a〜d)は、同一符号同士の信号線がつながっていることを示す。
ワンチップマイクロコンピュータ18は、後述の球貸制御プログラム(図11〜図13参照)を実行して球貸制御およびアミューズメントチップ(後述の遊技用演算処理装置200)の不正交換判定処理等を行い、発振器19はワンチップマイクロコンピュータ19の動作クロックを発生する。不揮発性メモリ20は、電源をオフにしている間も記憶内容を保持できる記憶デバイスであり、例えば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Memory)やバッテリバックアップされた揮発性半導体メモリ(SRAM:Static Random Access Memoryなど)で構成され、アミューズメントチップの不正交換判定基準情報としての判定用IDコード(球貸機3に併設された遊技機2の遊技制御装置12に実装されたアミューズメントチップの個体識別情報と同一の情報)を格納する。
【0023】
通信制御装置23は、送受信器24と副中継装置8との間で行われるワイヤレス通信(本実施の形態では、赤外線通信であるが無線通信であってもよい)を制御する。カードR/W制御装置25は、カードR/W装置26に挿入されたプリペイドカード9の記憶情報(カードの識別情報や発行者情報などのセキュリティ情報と金額情報)の読み込みと書き込みの制御を行うとともにプリペイドカード9の排出または挿入禁止の制御を行い、出力インターフェース21および入力インターフェース22は、ワンチップマイクロコンピュータ18の内部バス(不図示)と、通信制御装置23およびカードR/W制御装置25との間のデータ入出力を制御するとともに、チップ用端子28ならびに球貸用端子29と、ワンチップマイクロコンピュータ18の内部バスとの間のデータ入出力を制御する。
【0024】
また、出力インターフェース21と遊技店の管理装置(以下、遊技店コンピュータ30)との間を図示のように接続し、遊技店コンピュータ30へ所要の情報を出力するようにしてもよい。この場合、所要の情報には、球貸情報やアミューズメントチップの不正交換情報等を含めることができる。
遊技機2と球貸機3の間は、各々所要数の信号線で構成された二つのハーネス31、32で接続されている。第1ハーネス31の両端に設けられたコネクタ(接続端子)31a、31bはそれぞれ、遊技機2の外部通信端子(遊技制御装置12に設けられた外部通信端子13)と球貸機3のチップ用端子28に接続され、第2ハーネス32の両端に設けられたコネクタ(接続端子)32a、32bはそれぞれ、遊技機2の接続端子(中継基板16に設けられた接続端子17)と球貸機3の球貸用端子29に接続されている。
【0025】
このような構成を有する遊技機2および球貸機3は、球貸機3のカードR/W装置26に挿入されたプリペイドカード9の金額情報とセキュリティ情報を、ワンチップマイクロコンピュータ18の制御の下、カードR/W装置26で読み取り、その読み取り情報のうちの特に金額情報を、第2ハーネス32を介して遊技機2に送出し、遊技機2の上皿81に設けられた残高表示器81aに表示することができる。
遊技者が残高表示器81aの表示を確認して球貸スイッチ81cを押すと、その情報が第2ハーネス32を介して球貸機3に伝えられ、ワンチップマイクロコンピュータ18の制御の下、カードR/W装置26によりプリペイドカード9の金額情報が球貸スイッチ81cの操作に応じて減らされて(例えば、1操作ごとに200円;この金額は遊技店ごとに設定可能)更新されるとともに、第2ハーネス32を介して遊技機2の排出制御装置14に上記操作に応じた球貸信号が送出され、排出制御装置14からの指令に応答して排出装置15から上記操作に応じた数量の遊技球が遊技機2の上皿81に排出される。
なお、プリペイドカード9の金額情報がゼロになった場合は、残高表示器81aの未使用金額をゼロにするとともに、カードR/W装置26からプリペイドカード9を排出し、且つ、球貸可能表示器81bを非球貸し状態(例えば、消灯)にする。また、返却スイッチ81dが押された場合も当然ながらカードR/W装置26からプリペイドカード9を排出する。
【0026】
球貸機3は、以上の球貸機能を有するほか、さらに、アミューズメントチップの不正交換判定機能を有する。この判定機能は、第1ハーネス31を介して遊技制御装置12の遊技用演算処理装置200に管理情報要求を出力し、この管理情報要求に基づいて、遊技用演算処理装置200から返送されたアミューズメントチップの個体識別情報(遊技用演算処理装置200のIDコード)と、遊技用演算処理装置200で実行した遊技プログラムの正当性判定結果情報とを取得し、あらかじめ球貸機3の不揮発性メモリ20に格納されている判定用識別情報(判定用IDコード)と上記IDコードとを比較して、一致の場合にOK(正当な遊技機2であると判定;以下“真”とする)を、不一致の場合にNG(不正に交換された遊技機2であると判定;以下“偽”とする)を判定し、さらに、上記取得した遊技プログラムの正当性判定結果情報からもOK(真)とNG(偽)を判定するというものであり、OKを判定した場合に上記球貸機能を有効にする一方、NGを判定した場合に上記球貸機能を無効化(すなわち、球貸機3を不能動化)して球貸制御を停止する。
【0027】
さらに、球貸機3は、球貸ネットワーク10を介して行われる球貸管理装置4からの情報要求に応じて、この判定情報(OK/NG)と、上記球貸機能に係る情報(プリペイドカードの金額情報やセキュリティ情報および球貸金額情報)を要求元の球貸管理装置4に送出するほか、必要に応じて、同球貸管理装置4から送信されてくる判定用IDコードを不揮発性メモリ20に記憶する。
【0028】
E.遊技制御装置の構成
図6は遊技制御装置12のブロック図である。遊技制御装置12は、パチンコ遊技等に必要な役物制御を行うアミューズメントチップ(遊技用演算処理装置200)と、高精度な発振周波数を分周して所定のクロック信号CLKを発生する発振器111と、電源投入を検出してパワーオンリセット信号PWR_RSTを発生するパワーオンリセット発生器112と、各種センサ信号を入力する入力インターフェース113と、各種駆動信号を出力する出力インターフェース114と、遊技に必要な効果音(電子音や音声合成音)を生成するサウンドジェネレータ115と、サウンドジェネレータ115からの効果音信号を増幅して遊技機2の適宜箇所に設けられたスピーカー116に出力するアンプ117と、外部通信端子13とを含んで構成されている。
【0029】
入力インターフェース113は、遊技盤に設けられた各入賞センサ、すなわち、特図始動スイッチ101、入賞スイッチ102、継続スイッチ103およびカウントスイッチ104からの各信号を選択的に取り込んで遊技用演算処理装置200の外部バスインターフェース204(図7参照)に入力するものであり、その選択動作は遊技用演算処理装置200からのチップセレクト信号CS0〜CS7(図7参照)に従って行われる。なお、入賞スイッチ102を表す矩形状図形の中に記載した“1〜n”は、この入賞スイッチ102がn個設けられていることを表している。但し、nは一般入賞口94の数である。
出力インターフェース114は、遊技用演算処理装置200の外部バスインターフェース204(図7参照)から取り出された信号を遊技機2の各部、すなわち、外部情報端子118、表示制御装置119、特図始動記憶表示器105、大入賞口ソレノイド121、排出制御装置14、装飾制御装置123などに選択的に出力するものであり、その選択動作は入力インターフェース113と同様に遊技用演算処理装置200からのチップセレクト信号CS0〜CS7(図7参照)に従って行われる。因みに、各部の機能を説明すると、外部情報端子118は遊技店コンピュータ30に対して遊技情報を出力するためのもの、表示制御装置119は特図表示装置89の表示制御を行うためのもの、特図始動記憶表示器105は特図の始動記憶数を表示するためのもの、大入賞口ソレノイド121は特別変動入賞装置90の大賞口の開閉を行うためのもの、排出制御装置14は排出装置15を駆動して遊技媒体(遊技球)の排出制御を行うためのもの、装飾制御装置123は遊技盤各部の装飾ランプやLED等の点灯制御を行うためのものである。
【0030】
F.遊技用演算処理装置の構成
図7は遊技用演算処理装置200のブロック図である。遊技用演算処理装置200は遊技制御を行う遊技ブロック200Aと、情報管理を行う管理ブロック200Bとに区分され、以下に説明する各ブロックの構成要素を共通の半導体基板上に実装してワンチップ化し、パッケージングして製造されたアミューズメントチップである。
遊技ブロック200Aは、CPUコア201やプログラムROM202およびユーザーワークRAM203といった構成要素を含むとともに、外部バスインターフェース204、クロックジェネレータ205、リセットコントローラ206、アドレスデコーダ207、入出力制御回路208、乱数生成回路209、ユーザー定期リセット発生回路210およびアトリビュートレジスタ211などの構成要素を含み、且つ、これらの構成要素を接続するCPUバス212を含む。
【0031】
CPUコア201は、図示は略すが、各種のレジスタ群、算術・論理演算ユニット(ALU:Arithmetic and Logic Unit)、命令レジスタ(IR:Instruction Register)、デコーダ、プログラムカウンタ(PC:Program Counter)、スタックポインタ(SP:Stack Pointer)、これらを結ぶデータバス、アドレスバスおよび各種の制御部などをコア内に含む、例えば、Z80アーキテクチャのCPUコアである。
【0032】
プログラムROM202は、データの書き込み回数が1回だけの不揮発性半導体メモリ(例えば、ワンタイムPROM)であり、その記憶内容は、遊技プログラムおよびチェックコードなどである。なお、チェックコードとは遊技プログラムを所定の符号化アルゴリズムで符号化して生成されたデータである。
ユーザーワークRAM203は、CPUコア201の主記憶に相当し、例えば、SRAM等の高速半導体デバイスで構成され、遊技ブロック200Aにおける遊技プログラムに基づく処理を実行する際にワークエリア(作業領域)として用いられるものである。
【0033】
外部バスインターフェース204は、図6の入力インターフェース113や出力インターフェース114との間で、複数ビット(例えば、16ビット)の外部アドレス信号A0〜A15、複数ビット(例えば、8ビット)の外部データ信号D0〜D7、メモリリクエスト信号MREQ、入出力リクエスト信号IORQ、メモリ書込み信号WR、メモリ読み出し信号RDおよびモード信号MODEなどの信号インターフェース処理を行うものである。
【0034】
例えば、MODE信号をアクティブにした状態で、外部アドレス信号A0〜A15を順次にインクリメントしながら、外部データ信号D0〜D7を外から加えると、プログラムROM202への書き込みモードとなって遊技機のメーカあるいは第三者機関による遊技プログラムの書き込みが可能になる。但し、プログラムROM202への遊技プログラムの書き込みが終了すると、後述のハードウェアパラメータROM214(図ではHWパラメータROMと略記している)の所定領域に書込終了コードが記録されるようになっており、ハードウェアパラメータROM214に書込終了コードが記録されている場合には、プログラムROM202への遊技プログラムの書き込みができないようになっている。
また、MREQ信号またはIOREQ信号をアクティブにした状態でWR信号をアクティブにすると、所定の外部I/Oに外部データ信号D0〜D7を書き込むことができ、RD信号をアクティブにすると、所定の外部I/Oから外部データ信号D0〜D7を取り込むことができるようになっている。なお、所定の外部I/Oとは、図6の入力インターフェース113の各ポートまたは出力インターフェース114の各ポートもしくはサウンドジェネレータ115のうち、チップセレクト信号CS0〜CS7の状態とWR信号またはRD信号の状態に応じて選択される一つの要素のことである。
【0035】
クロックジェネレータ205は外部(図6の発振器111)からのクロック信号CLKを基に内部クロック信号iCLKを発生してCPUコア201やユーザー定期リセット発生回路210などの各ブロックに供給する。
リセットコントローラ206はCPUコア201のリセット端子に加えるCPUリセット信号CPU_RSTを発生するものであり、このCPUリセット信号CPU_RSTは、電源投入時に外部(図6のパワーオンリセット発生器112)から入力するパワーオンリセット信号PWR_RSTに同期し、さらに、電源投入後にユーザー定期リセット発生回路210から周期的に入力するユーザー定期リセット信号USR_RSTにも同期する。
【0036】
アドレスデコーダ207はCPUバス212のアドレスバスの情報をデコードし、そのデコード結果に応じたI/Oリソース選択用の内部信号を発生する。
入出力制御回路208はアドレスデコーダ207からのI/Oリソース選択用内部信号に基づいてチップセレクト信号CS0〜CS7のアクティブ/インアクティブ状態をコントロールし、図6の入力インターフェース113のポートの一つまたは出力インターフェース114のポートの一つもしくはサウンドジェネレータ115を選択する。
乱数生成回路209は遊技の実行過程において遊技価値(例えば、大当り)を付加するか否か等に係わる乱数(乱数は、大当たりの決定や停止時の図柄の決定等に使用)を生成するもので、例えば、一様性乱数を生成する数学的手法(例えば、合同法あるいはM系列法等)を利用している。
ユーザー定期リセット発生回路210はCPUコア201に対するユーザー定期リセット信号USR_RSTを発生するもので、その発生間隔(ユーザー定期リセット間隔)は、アトリビュートレジスタ211に設定された値で決められる。
【0037】
アトリビュートレジスタ211は、ユーザー定期リセット間隔などのハードウェアパラメータ設定値を保持するもので、アトリビュートレジスタ211の出力ポートは少なくともユーザー定期リセット発生回路210に接続され、入力ポートは管理バス221を介して管理ブロック200Bに接続されている。アトリビュートレジスタ211へのユーザー定期リセット間隔設定値の書込は、管理バス221を介して管理ブロック200Bから行われるようになっており、その設定タイミングは、遊技用演算処理装置200のシステムリセット(パワーオンリセットと同義語)時である。
CPUバス212は図示は略すがデータバス、アドレスバスおよびコントロールバスを含み、CPUコア201と周辺回路、すなわち、プログラムROM202、ユーザーワークRAM203、外部バスインターフェース204、クロックジェネレータ205、リセットコントローラ206、アドレスデコーダ207および乱数生成回路209との間を接続するとともに、管理ブロック200Bの一部の構成要素(ブートROM213、ハードウェアパラメータROM214およびバスモニタ回路216)にも接続されている。
【0038】
次に、遊技用演算処理装置200における情報管理を行う管理ブロック200Bの構成を説明する。管理ブロック200Bは、ブートROM213、ハードウェアパラメータROM214、管理用ワークRAM215、バスモニタ回路216、セキュリティメモリ217(発明の要旨に記載の識別情報記憶手段に相当)、IDプロパティRAM218、制御回路219(発明の要旨に記載の復号手段に相当)、外部通信制御回路220(発明の要旨に記載の識別情報送出手段に相当)および管理バス221を含むとともに、遊技ブロック200Aから延びるCPUバス212の一部を含んで構成されており、CPUバス212は、ブートROM213、ハードウェアパラメータROM214およびバスモニタ回路216に接続されている。
【0039】
ブートROM213はブートプログラムや管理ブロックの自己診断プログラムを格納しており、遊技用演算処理装置200のシステムリセット時(正確には、システムリセット直後に実行される管理ブロック200Bの初期化処理の正常完了後に)、このブートプログラムが立ち上がって、遊技プログラムの正当性判定処理(この判定処理の詳細については後述する)を行い、遊技プログラムの正当性が確認(言い換えれば改竄された遊技プログラムでないことが確認)された場合に遊技プログラムのスタートアドレス(CPUコア201のアドレス空間内における所定アドレス;一般に当該アドレス空間の先頭番地0000h;実際にはCPUコア201のプログラムカウンタの値を0に戻す)に処理を渡すようになっている。
【0040】
ハードウェアパラメータROM214は所定の書込終了コードを格納するとともに、システムリセット時に遊技ブロック200Aのアトリビュートレジスタ211などにセットするためのハードウェアパラメータ設定情報を格納している。書込終了コードとは、先にも述べたとおり、プログラムROM202に遊技プログラムを書き込んだことを明示する情報である。また、ハードウェアパラメータ設定情報とは、CPUコア201の動作速度(いわゆるクロックスピード)、プログラムROM202やユーザーワークRAM203の使用アドレス範囲(アドレス上下限値)、チップセレクト信号CS0〜CS7の使用用途(入力用/出力用)およびユーザー定期リセット間隔の設定値などである。
これらのハードウェアパラメータは、遊技用演算処理装置200のシステムリセット時にCPUバス212、バスモニタ回路216を介して管理ブロック200Bの制御回路219に読み込まれ、遊技制御に必要なハードウェアパラメータ設定値として各部にセットされるようになっており、例えば、ユーザー定期リセット間隔の設定値は、管理バス221を介して遊技ブロック200Aのアトリビュートレジスタ211にセットされるようになっている。
【0041】
管理用ワークRAM215は、バスモニタ回路216を介して読み込まれた遊技ブロック200Aの情報(プログラムROM202の記憶内容やユーザーワークRAM203の記憶内容など)を一時的に保持するための記憶領域である。
バスモニタ回路216は、CPUバス212の状態監視を行い、CPUバス212がCPUコア201によって使用されていないとき(例えば、遊技用演算処理装置200のシステムリセット期間やユーザーワークRAM203のリフレッシュ期間)に、必要に応じてCPUバス212を介して遊技ブロック200AのプログラムROM202やユーザーワークRAM203などをアクセスし、所要のデータ(遊技プログラムやユーザーワークRAM203の内容など)を管理ブロック200Bに取り込む。
【0042】
セキュリティメモリ217は、遊技用演算処理装置200の個体識別情報、すなわち、あらかじめメーカ(その遊技用演算処理装置200の製造者)によって割り当てられたユニークなIDコード(少なくとも遊技用演算処理装置200の全製造個体の中でユニークなIDコードであること)を所定の暗号鍵で暗号化した暗号化情報(以下「暗号化IDコード」という)を書き換え不能な状態で格納しており、さらに、この暗号化IDコードに加えて、復号鍵情報、遊技種別コード、ランクコード、メーカコード、機種コードおよび検査番号などの情報を書き換え不能に格納している。なお、遊技種別コードとはパチンコ機や回胴式遊技機等を区別するための情報であり、例えば、パチンコ機の場合は“P”、回胴式遊技機の場合は“G”を表す情報である。また、ランクコードとは遊技機の機種ランクコード(第1種、第2種、第3種または他種を区別するためのコード)を表す情報であり、メーカコードとは当該遊技機またはアミューズメントチップの製造者を識別するためのメーカID(またはメーカ番号)を表す情報であり、機種コードとはメーカが設定する当該遊技機の製品コードを表す情報であり、検査番号(または検定コード)とは第三者機関による検査に合格した遊技機に付与される番号を表す情報である。
図8はセキュリティメモリ217の格納情報の一部を示す概念図であり、217aは暗号化IDコードCi(発明の要旨に記載の暗号化情報に相当)の格納領域、217bは復号鍵KPAの格納領域である。なお、暗号化IDコードCiと復号鍵KPAの詳細については後述する。
【0043】
IDプロパティRAM218は、セキュリティメモリ217の記憶内容のうち少なくとも暗号化IDコードCiを平文に復号した情報(すなわちIDコード)を揮発的に記憶するとともに、後述のブート処理の中で行われる遊技プログラムの正当性判定処理(図10のステップP2参照)の結果情報、すなわち「遊技プログラムの正当性判定結果情報」を記憶し、且つ、その記憶内容を電源オンの期間中保持するものである。なお、上記情報記憶のタイミングは、遊技用演算処理装置200のシステムリセット時であり、例えば、システムリセット直後に管理ブロック200Bで実行される初期化処理(図10のステップC3参照)の中で情報記憶が行われる。
【0044】
制御回路219は所定のシーケンスを実行して、管理ブロック200Bの動作を制御するもので、例えば、システムリセット時に(正確にはシステムリセット直後に管理ブロック200Bで実行される初期化処理で)セキュリティメモリ217に保持されている暗号化IDコードCiを復号してその復号情報(IDコード)をIDプロパティRAM218に記憶したり、遊技中にバスモニタ回路216を介してCPUコア201のバス解放期間を検出し、同期間中に遊技ブロック200AのプログラムROM202の内容(特に遊技プログラム)やユーザーワークRAM203の内容を読み出して管理用ワークRAM215に書き込んだりするほか、球貸機3からの情報要求指令に応答して管理用ワークRAM201の記憶内容やIDプロパティRAM218の記憶内容(特に復号されたIDコードや遊技プログラムの正当性判定結果情報)を外部に転送するために、外部通信制御回路220の不図示の通信バッファに設定したりする。
【0045】
外部通信制御回路220は外部通信端子13(図6参照)と第1ハーネス31を介して行われる球貸機3(図5または図6参照)と遊技用演算処理装置200との間の通信を制御するもので、例えば、球貸機3からの管理情報要求に応答して、不図示の通信バッファの内容、すなわち、管理用ワークRAM215の記憶内容やIDプロパティRAM218の記憶内容(特に復号されたIDコードや遊技プログラムの正当性判定結果情報)を読み出し、その読み出した情報を要求元の球貸機3に送信するという制御を行ったり、または、球貸ネットワーク10の球貸管理装置4からの管理情報要求(この要求は球貸機3を介して行われる)に応答して、不図示の通信バッファの内容、すなわち、管理用ワークRAM215の記憶内容(特に遊技プログラム)を要求元の球貸管理装置4に送信するという制御を行ったりするほか、球貸機3から所定の動作停止要求信号が入力した場合は、その信号を制御回路219に転送し、または、動作停止要求信号が入力した旨を示す制御信号を制御回路219に伝える。
【0046】
G.遊技用演算処理装置のシステムリセット動作
次に、遊技用演算処理装置200のシステムリセット(システムリセットとは先にも述べたとおりCPUコア201のパワーオンリセットと同義語である)の動作について説明する。図9は、遊技用演算処理装置200の状態遷移図である。図において、230〜233は状態、234〜243は遷移線である。まず、電源投入によってシステムリセットが発生(遷移線234)すると、管理ブロック200Bで初期化処理を実行し(状態230)、その結果がNG(遷移線235)であれば、所要の警報等を発生して待機状態に移行し、OK(遷移線236、237)であれば、管理ブロック200Bをアイドル状態(遷移線238:管理情報要求の待ち受け状態)にするとともに、ブートROM213に格納されているブートプログラムをCPUコア201で実行する(状態232)。
【0047】
そして、ブート結果がNG(遷移線241)であれば、所要の警報等を発生して待機状態に移行し、OK(遷移線242)であれば、ブートリセット(遊技プログラムのスタートアドレス発生)を発生してプログラムROM202に格納されている遊技プログラムをCPUコア201で実行し(状態233)、以降、ユーザー定期リセット信号USR_RSTが発生(遷移線243)する度に遊技プログラムを繰り返す。
ここで、状態231に入力する遷移線239は、球貸機3(または球貸管理装置4)からの管理情報要求を表し、状態231から出力する遷移線240は、要求元への管理情報応答を表す。例えば、球貸機3からの管理情報要求であれば、遊技プログラムの正当性判定結果情報と復号されたIDコードを管理情報応答として球貸機3に返送し、また、球貸管理装置4からの管理情報要求であれば、遊技プログラムを管理情報応答として球貸管理装置4に返送する。
【0048】
H.管理ブロックと遊技ブロックの動作
次に、遊技用演算処理装置200の管理ブロック200Bの動作と遊技ブロック200Aの動作について、その詳細を説明する。図10は、管理ブロック200Bと遊技ブロック200Aの動作を示すフローチャートであり、左側が管理ブロック200Bの動作フロー、右側が遊技ブロック200Aの動作フローである。
上記「遊技用演算処理装置200のシステムリセット動作」でも説明したように、遊技用演算処理装置200の二つのブロック(遊技ブロック200A、管理ブロック200B)は、電源投入時のシステムリセットに応答して、まず、管理ブロック200Bが動作を開始する。管理ブロック200Bの動作は制御回路219によって以下のとおりシーケンス的に制御される。すなわち、制御回路219は、まず、ステップC0で管理ブロック200Bの自己診断を実行し、診断結果がOKであれば、ステップC1でハードウェアパラメータROM214に書込終了コードが記録されているか否かを判定する。
先にも説明したように、この書き込み終了コードは、プログラムROM202への遊技プログラムの書き込みが終了したときに、ハードウェアパラメータROM214に書き込まれるものであるから、ステップC1における判定は、要するに、プログラムROM202に遊技プログラムが格納済みであるか否かを判定していることになる。
【0049】
そして、プログラムROM202に遊技プログラムが格納されていなければ、当然ながら以降の遊技処理を実行できないので、ステップC2に進み、プログラムROM202への遊技プログラムの書き込み処理を実行した後、フローチャートを終了して遊技用演算処理装置200の再立ち上げ(システムリセット)を待つが、プログラムROM202に遊技プログラムが格納済みであれば、後述する遊技プログラムの正当性判定処理の結果がOKの場合に、この遊技プログラムをCPUコア201で周期的に実行(後述のステップP6参照)して、所要の遊技制御を行うようになっている。
【0050】
ステップC1で遊技プログラムの格納済みを判定すると、次に、ステップC3で管理ブロック200Bの初期化処理を実行する。この初期化処理では、例えば、管理用ワークRAM215とIDプロパティRAM218の初期化、セキュリティメモリ217に保持されている暗号化IDコードCiの復号とその復号情報(IDコード)のIDプロパティRAM218への記憶、ハードウェアパラメータROM214のハードウェアパラメータ設定値を遊技ブロック200Aのアトリビュートレジスタ211などに設定する等の各種処理を行う。
初期化処理を終了すると、次に、ステップC4でブートROM213に格納されたブートプログラムを起動(図8の状態232参照)するとともに、ステップC5の「管理処理」で管理ブロック200Bをアイドル状態(図8の遷移線238参照)にする。
【0051】
ブートプログラムは、遊技ブロック200AのCPUコア201で実行される。すなわち、これ以降、遊技ブロック200Aの動作が開始される。CPUコア201は、まず、ステップP0で遊技ブロック200Aの自己診断を行い、診断結果がOKであれば、ステップP1で初期化処理を行う。この初期化処理では、例えば、ユーザーワークRAM203の初期化、アトリビュートレジスタ211に設定されたハードウェアパラメータを用いて遊技ブロック200Aの動作条件を整える等の処理を行う。
【0052】
初期化処理を完了すると、次に、ステップP2で遊技プログラムの正当性判定処理を実行する。この判定処理は、例えば、ブートROM213から読み出した符号化アルゴリズムを使って、プログラムROM202に書き込まれている遊技プログラムを符号化し、その符号化の際に生成された生成チェックコードと、プログラムROM202に書き込まれているチェックコードとを比較して、一致の場合にOK(正当な遊技プログラム)を判定し、不一致の場合にNG(改竄された不当な遊技プログラム)を判定するというものである。
【0053】
遊技プログラムの正当性判定処理を完了すると、次に、ステップP3で、上記遊技プログラムの正当性判定の結果(OK/NG)を管理ブロック200BのIDプロパティRAM218の所定領域に格納した後、ステップP4で、上記遊技プログラムの正当性判定の結果が、NGであれば、ブートプログラムを停止し(したがって、遊技制御は行われない)、OKであれば、ステップP5に進んで遊技プログラムのスタートアドレスに処理を渡し、以降、ステップP6の遊技制御処理を所定周期(ユーザー定期リセット信号USR_RSTの発生周期;例えば2ms)ごとに繰り返して実行する。
なお、遊技プログラムの判定結果がNGの場合、遊技ブロック200Aの制御(遊技制御)は停止されるが、管理ブロック200Bの制御(アイドル状態)はそのまま維持される。このため、遊技プログラムの判定結果がNGの場合であっても、球貸機3からの管理情報要求に従って、所要の管理情報応答(特に、復号されたIDコードと遊技プログラムの正当性判定結果情報)を要求元に支障なく返送することができる。
【0054】
I.球貸機の制御動作
次に、球貸機3の動作を説明する。図11〜図13は、球貸機3のワンチップマイクロコンピュータ18で実行される球貸制御プログラムのフローチャートを示す図である。球貸機3は、電源投入後、まず、ステップS21で初期化処理を実行する。この初期化処理では、例えば、通信制御装置23、カードR/W制御装置25などの初期化処理を行う。
初期化処理を完了すると、次に、ステップS22で球貸管理装置4からのアクセスの有無を判定し、アクセス有りであれば、ステップS23でそのアクセス種別(ポーリング/セレクティング)に応じた処理を行った後、ステップS24に進み、アクセス無しであれば、そのままステップS24に進む。なお、球貸管理装置4からのアクセスの有無判定は、例えば、球貸ネットワーク10を流れるデータパケットをモニタして、そのパケットの宛先部に当該球貸機3に併設された遊技機2のアドレスが含まれている場合にアクセス有りとする。
【0055】
アクセス有りの場合、まず、ステップS23aで、パケットのアクセス種別部に含まれるアクセス種別コードを調べ、そのコードが「セレクティング」を表すコードである場合は、ステップS23bで、当該パケットの情報部に含まれる判定用IDコード(メーカの技術者または第三者機関の検査員によって球貸管理装置4にセットされた判定用のIDコードであり、当該球貸機3に併設された遊技機2の遊技用演算処理装置200に書き込まれている暗号化IDコードCiを復号したものと同一のものである。)を球貸機3の不揮発性メモリ20の所定領域に書き込む。
一方、アクセス種別コードが「ポーリング」を表すコードである場合は、ステップS23cで、ワンチップマイクロコンピュータ18の内部メモリに記憶保持されている「遊技機良否判定情報」および「球貸情報」(これらの情報の内容については後述する)を球貸管理装置4に送信する。なお、球貸機3の電源投入直後においては、上記「遊技機良否判定情報」と「球貸情報」はワンチップマイクロコンピュータ18にまだ記憶保持されていない。「遊技機良否判定情報」は後述のステップS25の実行時に記憶保持され、「球貸情報」は後述のステップS28およびステップS29の実行時に記憶保持されるからである。
したがって、仮に、後述のステップS25またはステップS28およびステップS29を1度も実行していないときに、球貸管理装置4からポーリングがあった場合は、有効な送信情報が記憶保持されていないため、球貸管理装置4に対して、有効な送信情報が記憶保持されていない旨を示すメッセージ(NAK信号)を送信する。球貸管理装置4はこのNAK信号を受け取ると、その回の情報応答を無視し、次順の球貸機3のポーリングに移行する。
【0056】
次に、ステップS24で、「遊技機正当性判定条件」の成立を判定する。遊技機正当性判定条件の一つは、球貸機3の電源投入直後である。すなわち、球貸機3の電源を投入すると、ステップS24の判定結果が“YES”となり、ステップS25の遊技機正当性判定処理を実行する。遊技機正当性判定条件の他の一つは、所定の周期信号(発振器19の発振信号を分周して作られる周期信号)の入力である。すなわち、所定の周期信号が入力する度に(例えば、周期信号をF秒周期とするとF秒ごとに)、ステップS24の判定結果が“YES”となり、ステップS25の遊技機正当性判定処理を実行する。ただし、この周期的正当性判定は特に必須な事項ではない。少なくとも、上記の一の正当性判定、すなわち、電源投入直後の遊技機正当性判定を行なえばよい。
【0057】
この遊技機正当性判定処理(ステップS25)では、まず、ステップS25aで遊技機情報を取得する。遊技機情報とは、当該球貸機3に併設された遊技機2の遊技用演算処理装置200の管理用ワークRAM215やIDプロパティRAM218の記憶情報であり、特に、復号されたIDコードと遊技プログラムの正当性判定結果情報である。
情報の取得手順は、まず、ワンチップマイクロコンピュータ18で管理情報要求の信号を生成し、その信号を遊技用演算処理装置200の管理ブロック200Bに伝える。
アイドル状態にある管理ブロック200Bは、上記信号(管理情報要求の信号)を受信すると、管理用ワークRAM215やIDプロパティRAM218の記憶情報(特に、復号されたIDコードと遊技プログラムの正当性判定結果情報)を読み出し、その情報を管理情報応答として要求元の球貸機3に返送する。ステップS25aで取得された遊技機情報は、このようにして遊技機2から返送された情報である。
【0058】
遊技機情報を取得すると、次に、ステップS25bで、遊技機情報中の「IDコード」(注:復号されたIDコード)と、不揮発性メモリ20に保持されている判定用IDコードとを比較して、一致(OK:正当な遊技用演算処理装置200である)/不一致(NG:不正に交換された遊技用演算処理装置200である)を判定する。そして、ステップS25cでその判定結果と遊技機情報中の「遊技プログラムの正当性判定結果情報」を、ワンチップマイクロコンピュータ18の内部メモリに「遊技機良否判定情報」(ステップS23c参照)として記憶保持する(すでに記憶済みであれば記憶内容を上書きする)。
次に、ステップS25dとステップS25fで、IDコードの判定結果がNGであるか、または、遊技機情報中の「遊技プログラムの正当性判定結果情報」がNGであるかを判定し、いずれか一方もしくは両方がNGの場合に、異常フラグをONにする(ステップS25e、ステップS25g)。
次に、ステップS26に進み、異常フラグがONになっている場合に、ステップS27の異常処理を実行し、ONになっていない場合に、通常の処理、すなわち、ステップS28のプリペイドカード処理とステップS29の球貸処理を実行した後、再び、前述のステップS22以降を繰り返し実行する。
【0059】
ステップS27の異常処理では、まず、ステップS27aで球貸機3の表示器27に異常を表示(報知)し、次いで、ステップS27bでカードR/W装置26にプリペイドカードが挿入されているか否かを調べる。そして、挿入されていなかった場合は、ステップS27dでプリペイドカードの挿入を禁止するとともに、遊技機2の球貸可能表示器81bに球貸不能表示を行い、挿入されていた場合は、ステップS27cでプリペイドカードの排出を行った後、ステップS27dでプリペイドカードの挿入を禁止するとともに、遊技機2の球貸可能表示器81bに球貸不能表示を行う。
ステップS28のプリペイドカード処理では、プリペイドカードのセキュリティ情報のチェック処理、プリペイドカードの金額情報(未使用金額)の読み込み処理、遊技機2の残高表示器81aの表示更新処理、プリペイドカードの排出処理(但し未使用金額ゼロの場合または遊技機2の返却スイッチ81dが操作された場合)、遊技機2の球貸可能表示器81bの表示処理などを行う。
ステップS29の球貸処理では、遊技機2の球貸スイッチ81cの操作に応じて遊技球数の排出を指示する信号(球貸信号)を生成して、遊技機2の排出制御装置14に出力する処理を行い、さらに、プリペイドカードの金額情報(未使用金額)をその排出遊技球数に応じて減算・更新する処理を行うとともに、排出遊技球数(すなわち、球貸数)を金額に換算した情報を、ワンチップマイクロコンピュータ18の内部メモリに「球貸情報」として記憶保持する処理を行う。
【0060】
J.球貸管理装置の動作例
図14〜図16は球貸管理装置4で実行される球貸管理制御プログラムの好ましいフローチャートを示す図である。このプログラムは、起動時に一度だけステップS111の初期化処理を実行し、以降、ステップS112〜ステップS116からなるループを繰り返すというものである。すなわち、プログラムを起動すると、ステップS111でループ変数i(iはポーリングアドレス)に1をセットして初期化し、その後、ステップS112のセレクティング処理とステップS113のポーリング処理を実行した後、ステップS114でループ変数iを+1し、ステップS115で式「i>imax」の評価結果を判定して偽(“NO”)であればそのままループを繰り返し、真(“YES”)であればステップS116でループ変数iを1に戻して再びループを繰り返すというものである。なお、imaxはポーリングアドレスiの最大値である。
図15はステップS112のセレクティング処理を示す図である。図において、ステップS112aはID設定モードであるか否かを判定する判定部であり、通常モード時(ID設定モードでない場合)は、このステップS112aの判定結果は常に“NO”である。したがって、通常モード時は、ステップS112bからステップS112kまでの実質的なセレクティング処理実行部をパスして、セレクティング処理を行うことなく、ステップS113のポーリング処理を実行するようになっている。実質的なセレクティング処理実行部の説明は後述する。
【0061】
図16はステップS113のポーリング処理を示す図である。このポーリング処理では、まず、ステップS113aで、ループ変数iで示された端末、例えば、i=1とし、アドレス1番の端末を球貸機3とすると、その球貸機3に対してポーリングを実行する。次に、ステップS113bで所定時間の経過(ネットワーク応答の最大遅延時間に適当なマージンを加えた時間の経過)またはNAK(当該端末に送信すべき情報がないまたは送信体制が整っていない旨を示す信号)受信を判定し、所定時間が経過しておらず、且つ、NAKも受信されない場合は、ステップS113dで球貸機3からの情報受信を待つ。そして、ステップS113dで情報が受信されると、ステップS113eでその受信情報を情報管理部4gのTBL1に記録して、図14のループ処理に復帰し、所定時間が経過しても情報が受信されない場合または所定時間の経過前であってもNAKが受信された場合は、ステップS113cでポーリングのリトライをn回(例えば、n=3)まで繰り返し、n回繰り返しても情報が受信されない場合は、現在のループ変数iで示されたアドレス(現在i=1であるからアドレス1番)の端末へのポーリング処理を中止して、図14のループ処理に復帰する。
【0062】
今、遊技場に設置された各々の端末のアドレスを1〜99と仮定すると、ループ変数iの値はループを繰り返す度に1、2、3、……、88、99、1、2、3、……と順次に変化する。このため、図16のポーリング処理を実行する度にアドレス1の端末に対するポーリング、アドレス2の端末に対するポーリング、……、アドレス99の端末に対するポーリング、アドレス1の端末に対するポーリング……という動作が繰り返される。その結果、各々の端末に故障等がない限り、各端末からポーリングされた最新の情報(例えば、球貸機3であれば遊技機良否情報と球貸情報)が球貸管理装置4の情報管理部4gのTBL1に逐次記録されていく。
【0063】
ところで、冒頭で説明したように、遊技場の任意の遊技機2を交換する場合、例えば、アドレス6番の球貸機3に併設された遊技機2と、アドレス12番の球貸機3に併設された遊技機2とを交換する場合(いうまでもなく6番および12番のアドレスは便宜値である)、これらの遊技機2に搭載されたアミューズメントチップ(遊技用演算処理装置200)のIDコードと同一の判定用IDコードを、アドレス6番とアドレス12番の球貸機3に設定しなければならない。この場合、遊技場の従業員等は球貸管理装置4のキー入力部4dのID設定開始キーを操作して(ステップS112a)ID設定モードに切り換えるとともに、それぞれの設定先アドレス(6番および12番)と判定用IDコード(例えば、6番について“123456”、12番について“ABCDEF”)を平文で入力する。球貸管理装置4で実行中の球貸管理制御プログラムはそのループ中において、上記モード変更を判定する部分(ステップS112a)を備えており、ID設定モードへの変更を判定したときに、実質的なセレクティング処理実行部(ステップS112b〜)を実行するようになっている。
【0064】
すなわち、ID設定モードへの変更を判定(ステップS112aの“YES”判定)したときは、まず、ステップS112bでキー入力部4dからのセレクティングアドレスの入力と判定用IDコードの入力を受け付け、セレクティング情報(図3のTBL2に例示するように判定用IDコードとセレクティングアドレスを対にして記憶させたもの。例示のものはセレクティングアドレス6番に対して“123456”という判定用IDコードが、またセレクティングアドレス12番に対して“ABCDEFG”という判定用IDコードが記憶されている。)を生成する。そして、ステップS112cで入力終了操作(例えば、キー入力部4dのID設定終了キーの操作)を判定すると、ステップS112dでTBL2の第一レコードのアドレスjと判定用IDコードを読み出し、ステップS112eでアドレスj(j=6)の球貸機3に対して判定用IDコード(“123456”)のセレクティングを実行する。
【0065】
そして、ステップS112fで所定時間経過またはNAK受信を判定し、所定時間が経過しておらず、且つ、NAKも受信されない場合は、ステップS112iでACK(設定完了通知)受信を待ち、ACKが受信されると、ステップS112jでTBL2に設定記憶されたセレクティング情報分のセレクティングが終了したか否かを判断(この判断は例えばTBL2のEOFを検出することにより行う)して全て終了していれば、ステップS112kでTBL2のセレクティング情報をクリアして、図14のループ処理に復帰する。一方、セレクティングが終了していなければステップS112dに戻って次順のセレクティングを実行する。すなわち、TBL2のカレントレコードを一つ進めた後、ステップS112eでアドレスj(j=12)の球貸機3に対して判定用IDコード(“ABCDEF”)のセレクティングを実行する。
そして、ステップS112iでACKが受信されず、且つ、ステップS112fで所定時間が経過しても情報が受信されない場合、または、所定時間の経過前であってもNAKが受信された場合は、セレクティングのリトライをn回まで繰り返し、n回繰り返してもACKが受信されない場合は、ステップS112hで所要のエラー処理(例えば、表示部4bに“アドレスjへのIDコード設定を失敗しました”旨のメッセージを表示する)を行った後、セレクティング処理を中止して、図14のループ処理に復帰する。
【0066】
K.まとめ
以上のとおり、本実施の形態では、図8に示すように、遊技用演算処理装置200の固体識別のためのIDコードを暗号化した暗号化IDコードCiをあらかじめセキュリティメモリ217に格納保持するとともに、その暗号化IDコードCiを復号するための復号鍵KPAをセキュリティメモリ217に格納保持する。
【0067】
ここに、復号鍵KPAは、暗号化IDコードCiを平文のIDコードに復号するための鍵情報であり、暗号化IDコードCiを生成する際に用いられる暗号化鍵と対を成す鍵のことであるが、本実施の形態においては、上記復号鍵KPAは公開鍵方式の「公開鍵」である点に特徴がある。すなわち、一般に公開鍵方式においては、暗号化鍵を公開鍵とし、復号鍵を秘密鍵とするが、本実施の形態ではその逆(暗号化鍵:秘密鍵、復号鍵:公開鍵)の形態を採用している。
【0068】
なお、“公開鍵”と“秘密鍵”の区別はもっぱら両鍵間の予測方向性にある。例えば、公開鍵方式の一対の鍵A、Bにおいて、鍵Aから鍵Bの予測が容易でその逆が困難な場合を考えると、公開鍵方式では鍵Bを秘密鍵として取り扱い、鍵Aを公開鍵として取り扱う。公開鍵方式はインターネットメール等の情報伝達分野で発展したセキュリティ技術であり、メール送信側で公開鍵(メール受信者固有の公開鍵)を用いて暗号化を行ない、メール受信側で秘密鍵(上記公開鍵と対を成す秘密鍵)を用いて情報の復号を行なうものであるが、公開鍵から秘密鍵の予測が困難であるために、秘密鍵の管理を厳重にしておけば、ネットワーク上のセキュリティを計算量的に安全にすることができる。
【0069】
しかし、かかる一般的な公開鍵方式を遊技機に適用した場合、秘密鍵を遊技用演算処理装置に格納して配布する必要があり、秘密鍵から公開鍵の予測はその逆方向の予測よりも容易であるから、秘密鍵の奪取によって暗号化鍵が破られる可能性が高い。したがって、その場合には、遊技用演算処理装置のIDコードを平文で読まれてしまう上、そのIDコードから他のIDコードも推測されてしまうこととなり、しかも、そのIDコードを暗号化して遊技用演算処理装置に書込むことも可能になるため、改造された遊技用演算処理装置の不正製造を防止できないという欠点がある。
これに対して、本実施の形態のように、公開鍵方式における暗号化鍵と復号鍵の対を生成する際に、前者を秘密鍵、後者を公開鍵とする暗号化方式(例えば、RSA方式)を適用し、それによって生成された復号鍵KPA(=公開鍵)を遊技用演算処理装置に組み込むようにしておけば、仮に復号鍵KPAが不正に奪取されても、暗号化鍵(=秘密鍵)の解読は計算量的に安全であるから、少なくとも新たな暗号化IDコードの生成が困難となる結果、改造された遊技用演算処理装置の不正製造を防止することができるという格別の効果が得られるのである。
【0070】
図17は一般的な公開鍵方式の概念図である。この図において、平文の情報は公開鍵KPBによって暗号化された後、秘密鍵KSBによって復号され、元の平文に戻される。公開鍵KPBおよび秘密鍵KSBの対は、RSA方式に代表される公開鍵暗号技術によって生成されたいわゆる一方向性関数である。公開鍵方式では、暗号化は誰でも簡単にでき、且つ、復号(解読)は復号鍵を持っている人以外は非常に難しくなければならない。このため、公開鍵方式を実現するためには、暗号化と復号に用いられる変換に方向性が必要とされる。すなわち、平文Mから暗号文Cを変換するのは簡単であるが、その逆の暗号文Cから元の平文Mを求めるのは非常に難しいという変換がなければならない。言い換えれば、MからC=f(M)を計算するのは簡単で、その逆のCからM=f-1(C)を計算するのが非常に難しいという関数fが必要になるのである。このような関数のことを「一方向性関数」という。なお、f-1はfの逆関数である。一般的な公開鍵方式においては、公開鍵KPBを暗号化鍵とし、秘密鍵KSBを復号鍵とするが、図17からも理解されるように、復号側(例えば、遊技機にあっては遊技用演算処理装置)に秘密鍵KSBを必要とするため、そして、公開鍵方式では、秘密鍵KSBから公開鍵KPBの予測が計算量的に容易であるため、この秘密鍵KSBが奪取された場合、二つの鍵が共に不正者の手に渡ってしまう結果となり、復号はおろか、暗号化も自由に許してしまい、セキュリティを保てないという欠点がある。
ここで、RSA方式の原理は累乗と、割って余りを求めるモジュロ(mod)演算である。すなわち、暗号化の場合、平文MをE乗してからNで割って余りCを求める。EおよびNが公開鍵であり、Cが暗号文である。復号ではCをD乗して暗号化の際と同じ数字Nで割って余りを求める。この余りは元の平文Mと一致する。このため、D(およびN)が秘密鍵となる。公開鍵と秘密鍵は一方向性関数を用いて作られるが、EおよびNからDを求めることができないことが利用上の前提(計算量的に困難)となっている。このことは、逆に言えば、DおよびNからEを求めることは計算量的に容易であることを意味する。
【0071】
これに対して、図18は本実施の形態に適用する公開鍵方式の概念図である。この図において、平文のIDコードは秘密鍵KSAによって暗号化(暗号化IDコードCi)された後、公開鍵KPAによって復号され、元の平文のIDコードに戻される。暗号化は遊技用演算処理装置の製造者または第三者機関によって行なわれ、その暗号化IDコードCiと復号鍵(KPA)がセキュリティメモリ217に格納されて配布される。一点鎖線で囲まれた復号化部分は、遊技機2とともに遊技店等に配布されるが、秘密鍵(KSA)を含む暗号化部分は配布されない。したがって、本実施の形態に適用する公開鍵方式によれば、公開鍵KPAの復号鍵しか配布されないから、仮にこの公開鍵KPAが奪取されても、非配布の秘密鍵(KSA)を予測できないため、暗号化を行なうことができず、改造された遊技用演算処理装置200を不正に製造することができないという効果が得られる。
【0072】
先に延べたように公開鍵方式においては一般に公開鍵で平文を暗号化し、秘密鍵で復号するが、その逆、すなわち、秘密鍵で平文を暗号化し、公開鍵で復号するというアイデアの実現は、例えば、RSA暗号方式を用いることによって可能となる。RSA暗号方式では、暗号化も復号も“べき乗剰余演算”で行なうが、このべき乗剰余演算は順序を変えても結果は同じになるからである。例えば、Xを3乗した後5乗しても5乗した後3乗しても結果はXの15乗になる。余りをとる剰余算は最後にまとめて計算してもよいため順序に関係しない。したがって、公開鍵が(E,N)で秘密鍵が(D,N)のとき、平文MをE乗してmodNをとった後D乗してmodNをとっても(要するに公秘密鍵による復号を行なっても)、最初にD乗してmodNをとった後E乗してmodNをとっても(要するに公開鍵による復号を行なっても)どちらも平文Mを復号することができ、一般的な公開鍵方式の逆手順、すなわち、秘密鍵で平文を暗号化し、公開鍵で復号するというアイデアを実現できる。
【0073】
したがって、本実施の形態の遊技用演算処理装置によれば、公開鍵方式の公開鍵を復号鍵KPAとして遊技用演算処理装置200に格納し配布するようにしたから、非配布側の暗号化鍵(KSA)の予測を困難にすることができ、例え復号鍵KPAを奪取された場合でも暗号化IDコードCiの不正生成を計算量的に安全にしてセキュリティ性の改善を図ることができる。
【0074】
本発明は上記の実施の形態に限定されない。その発明の意図する範囲において様々な変形が可能である。例えば、上記の実施の形態では、遊技用演算処理装置200に格納された暗号化IDコードを復号鍵KPAで復号して平文に戻すとともに、その平文IDコードを遊技機2から球貸機3に転送し、球貸機3で正当性の判定を行なっているが、遊技機2と球貸機3の間のセキュリティ強化を図るためには、以下のようにしてもよい。すなわち、図19(a)に示すように、遊技機2(の遊技用演算処理装置200)に格納された暗号化IDコードを復号せずにそのままの状態(暗号化されたまま)で球貸機3に転送してもよい。この場合、球貸機3にも復号鍵KPA(遊技用演算処理装置200に格納されている復号鍵KPAと同じもの)をあらかじめ格納(または球貸管理装置4から転送して格納)しておく必要がある。遊技機2から球貸機3に転送された暗号化IDコードを、球貸機3の復号鍵KPAで復号し、平文のIDコードに戻した後、あらかじめ球貸管理装置4から転送されて球貸機3に格納されていた照合用のIDコード(平文)との一致をとって遊技機2の正当性判定を行なうことができるうえ、遊技機2と球貸機3の間を生情報(平文のIDコード)が流れないため、この部分のセキュリティ強化を図ることができる。
【0075】
因みに、図19(a)では、球貸管理装置4と球貸機3の間に生情報(平文のIDコード)が流れているが、この情報は遊技機2の新規設置時や入替時にしか流れず、遊技機2と球貸機3との間の情報転送の頻度に比べてはるかに少ないため、積極的なセキュリティ対策を講じる必要性は低い。もし、この部分にも対策を講じるのであれば、図19(b)に示すように、球貸管理装置4から暗号化された照合用IDコードを入力し、その暗号化IDコードを球貸機3に転送して球貸機3の復号鍵KPAで復号すればよい。
【0076】
なお、本発明の実施の形態は、パチンコ機を例にしたが、これに限らず、回胴式遊技機などの他の遊技機であってもよい。さらに、IDコードの判定を行なう監視装置を球貸機3としたが、球貸機以外の他の周辺機器であってもよく、あるいは、専用に設けられた監視装置であってもよい。
また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。すなわち、本発明の範囲は、上記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものであってはならない。あくまでも、特許請求の範囲の記載によって示され、且つ、特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0077】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、監視装置に含まれる復号鍵が公開鍵方式の公開鍵とされ、この復号鍵から暗号鍵(=秘密鍵)への推測容易性はない。したがって、仮に復号鍵が不正に奪取されても、暗号鍵の予測が困難で、固体識別情報を暗号化することができないから、改造された遊技用演算処理装置の製造を防止することができる。また、遊技機と監視装置である球貸機の間で生情報(平文のIDコード)が流れないので、この部分のセキュリティ強化を図ることができる。また、記録媒体の排出後に、記録媒体の挿入を禁止することで、球貸制御を不能動化することができる。
特に、球貸管理装置は必要に応じて球貸機に照合用の固体識別情報(判定用IDコード)を設定できるし、球貸機に転送される照合用の固体識別情報(判定用IDコード)が暗号化されているので、セキュリティ強化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 遊技装置および球貸ネットワークの構成図である。
【図2】 球貸管理装置の構成図である。
【図3】 情報管理部に記憶される情報テーブルの概念図である。
【図4】 遊技機の前面図である。
【図5】 球貸機および遊技機のブロック図である。
【図6】 遊技制御装置のブロック図である。
【図7】 遊技用演算処理装置のブロック図である。
【図8】 セキュリティメモリの格納情報の一部を示す概念図である。
【図9】 遊技用演算処理装置の状態遷移図である。
【図10】 遊技用演算処理装置のブロックごとの動作を示すフローチャート図である。
【図11】 球貸制御プログラムのフローチャート(1/3)である。
【図12】 球貸制御プログラムのフローチャート(2/3)である。
【図13】 球貸制御プログラムのフローチャート(3/3)である。
【図14】 球貸管理制御プログラムのフローチャート(1/3)である。
【図15】 球貸管理制御プログラムのフローチャート(2/3)である。
【図16】 球貸管理制御プログラムのフローチャート(3/3)である。
【図17】 一般的な公開鍵方式の概念図である。
【図18】 本実施の形態に適用する公開鍵方式の概念図である。
【図19】 本実施の形態の変形例を示す概念図である。
【図20】 球貸管理装置と球貸機の間で行われるポーリング動作のタイムランである。
【符号の説明】
Ci 暗号化IDコード(暗号化情報)
KPA 復号鍵(公開鍵)
2 遊技機
3 球貸機(監視装置)
200 遊技用演算処理装置
217 セキュリティメモリ(識別情報記憶手段)
219 制御回路(復号手段)
220 外部通信制御回路(識別情報送出手段)
Claims (1)
- 遊技機固有の固体識別情報を監視する所定の監視装置と、
前記監視装置に接続可能な遊技機と一体となって配設されると共に該遊技機の遊技制御を行う遊技用演算処理装置と、を有する遊技システムであって、
前記監視装置は、前記遊技機に対となって備えられ、挿入された記録媒体により特定される有価価値に基づいて遊技機での遊技に用いる遊技球を貸し出す球貸制御を行うことが可能な球貸機により構成され、
前記遊技システムは、前記球貸機における球貸制御に基づく球貸情報を収集管理する球貸管理装置を備えることで、当該球貸管理装置と前記球貸機とで球貸ネットワークが構成され、
前記遊技用演算処理装置は、
遊技用演算処理装置の製造固体に付与されるユニークな固体識別情報を公開鍵方式の秘密鍵によって暗号化した暗号化情報を記憶する識別情報記憶手段と、
該識別情報記憶手段に記憶された暗号化情報を前記監視装置側へ送出可能な識別情報送出手段と、を有し、
前記球貸管理装置は、
前記遊技用演算処理装置の固体識別情報と照合するために、前記公開鍵方式の秘密鍵によって暗号化して照合用個体識別情報を前記球貸機に送信する送信手段を備え、
前記球貸機は、
前記秘密鍵と対を成す公開鍵を格納する公開鍵格納手段と、
前記球貸管理装置から送信された前記照合用固体識別情報を前記公開鍵格納手段に格納された公開鍵によって復号化し、該復号化した照合用固体識別情報を格納する固体識別情報格納手段と、
前記識別情報送出手段から送出された暗号化情報を前記公開鍵を用いて復号動作を行う復号手段と、
前記復号手段により復号した固体識別情報と前記固体識別情報格納手段に格納された照合用固体識別情報とを照合して遊技用演算処理装置の正当性判定を行う正当性判定手段と、
前記正当性判定手段により前記遊技用演算処理装置の正当性が否定された場合に、前記球貸制御を不能動化する球貸制御不能動化手段と、を備え、
前記球貸制御不能動化手段は、
前記正当性判定手段により正当性が否定された場合に、当該球貸機に前記記録媒体が挿入されているか否かを判定する記録媒体挿入判定手段と、
前記記録媒体挿入判定手段により前記記録媒体が挿入されていると判定された場合に、当該記録媒体を排出させる記録媒体排出手段と、を含み、
前記記録媒体排出手段による前記記録媒体の排出後に、該記録媒体の挿入を禁止することで前記球貸制御を不能動化することを特徴とする遊技システム。
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