JP4243884B2 - 感光性組成物、印刷版原版及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、近赤外領域の光を用いる感光性組成物に関する。さらに詳しくは、近赤外領域の高出力型レーザー光の照射によって潜像が得られ、これを塩基性の水溶液又は水を用いて現像することによって画像が形成される感光性組成物に関する。本発明の感光性組成物は、カラーフィルター用レジスト、プリンタ基板用レジスト、カラープルーフなどの用途に幅広く用いられる。また、本発明の印刷原版は、オフセット印刷分野で使用される平版印刷版原版として、特にコンピュータ等によるデジタル信号から直接製版できるいわゆるコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)版として用いられる。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータ画像処理技術の進歩に伴い、デジタル信号から直接感光性組成物に画像を書き込む方法が開発されてきた。本システムを平版印刷版に利用し、銀塩マスクフィルムへの出力を行わずに、直接版材に画像を形成するコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)システムが注目されている。このようなシステムとして、▲1▼可視光レーザーを使用した電子写真法によるもの、▲2▼可視光レーザーによる露光と後処理によるもの、▲3▼近赤外の高出力型レーザーによる露光と後処理によるもの、▲4▼銀塩の拡散転写を利用したもの、▲5▼放電や高出力型レーザー光によりシリコーンゴム層を破壊することによるもの、▲6▼従来からの感光性画像層を持つ形成層をもつ平版印刷版(PS版)の上にマスク層を設け、マスク層に画像形成し、後処理を経て印刷版を得るもの、などが知られている。これらいずれの方法においても一長一短があり、更なる検討が続けられているが、その中で特に▲3▼のシステムによる版材は、明室での取り扱いが可能であること、従来からの銀塩マスクフィルムからの画像転写に伴う工程が省かれることにより、ボケやゴミの付着などの不具合がなくなること、コンパクトな高出力のレーザーが容易に入手できるために、短時間の露光で高解像度の画像が得られることなどから注目されている。
【0003】
近赤外領域の高出力レーザーを光源とする印刷版材としては、特開平7−214744号公報、同7−281423号公報、同9−156069号公報などには、熱転写技術を基本とする版材が提案されているが、画像解像度が必ずしも充分ではなく、印刷耐用性、画像転写に伴う再現性が不充分であるなど、画像の再現性や印刷適応性に満足できるシステムではなかった。
【0004】
また、特開平7−244373号公報、同8−48020号公報、同8−267701号公報、同8−292556号公報、同9−29925号公報、同9−109352号公報、同9−123383号公報などには、画像露光した後、剥離現像法による印刷版材の作成方法が開示されているが、剥離現像が必ずしも完全には行われずに欠陥が生じる、親水性部分の濡れが充分ではなく、地汚れの発生や印刷に際して水上がりが不足する、など、熱転写技術と同様、画像の再現性や印刷適応性に満足できるシステムではなかった。
【0005】
さらにまた、特開平7−186562号公報、同8−99477号公報、同8−108660号公報、同9−141819号公報、同9−171249号公報、同9−171250号公報、同9−236926号公報、同10−16423号公報、同10−26834号公報、同10−29292号公報、日本特許第2530448号公報などには、湿式現像を伴わないシステムが開示されているが、画像の解像度が優れているが、印刷に際してブラン汚れが発生する、水揚がりが悪く水が絞れない、印刷耐用性に不足している、などの点から満足できるものではなかった。
【0006】
上述したように、現時点では画像露光後の後処理として湿式現像を伴わないシステムでは、印刷に際して何らかの実際的な問題が生じているのが現状である。そこで、このような問題のない現像を伴う平版印刷版原版としては、特開平7−306528号公報、同7−179292号公報には、ジアゾニウム基を有する樹脂とカーボンブラックとから構成された版材が開示されているが、ジアゾニウム基の存在のため、保存安定性が悪く、実用的ではなかった。
【0007】
また、特開平9−274317号公報には、キノンジアジド化合物を使用し、近赤外線レーザー光による露光とUV光線全面露光の2度にわたる光照射により印刷版材を得る方法が開示されているが、感度が低く、露光走査を二度行う必要があるという問題があった。
【0008】
さらにまた、特開平7−20629号公報、同7−271029号公報、同8−234426号公報、同9−185160号公報、同9−197668号公報、同9−197671号公報、同9−202873号公報、同9−208925号公報、同9−221652号公報、同9−221654号公報、同9−176112号公報、同9−183960号公報、同9−183961号公報、同9−222731号公報、同9−239945号公報、同9−244226号公報、同9−244233号公報、同10−142780号公報、同10−228109号公報などには、熱による酸発生物質を利用した版材が開示されているが、酸発生物質の保存安定性に問題がある、酸発生に伴うカチオン重合反応を完遂するために、露光の前又は後で加熱処理を必要とし、そのため網点の再現性に問題が生じる、等の実用上の問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする第一の課題は、近赤外領域のレーザー光で画像書き込みが可能であり、かつ、潜像を現像する前の加熱処理を必要としない、保存安定性が良好な感光性組成物を提供することにある。
【0010】
また、本発明が解決しようとする第二の課題は、上記第一の課題を満たし、しかも、コンピュータ等のデジタル信号から直接製版可能であり、さらに、従来の現像処理装置が利用でき、かつ、印刷においても従来の印刷装置をそのまま利用できるコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)版を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、感光性組成物層への高密度エネルギー光による書き込み画像形成の機構として、光重合開始剤や光酸発生剤を用いる、いわゆるPS版等の光エネルギーとモノマーによる重合反応(ネガ型PS版)、あるいは光エネルギーによるポリマーの部分分解反応に伴う改質(ポジ型PS版)の如き化学反応のみを利用した従来の機構に代えて、光エネルギーの吸収により発生した熱により画像部の水性樹脂が相互に溶融及び/又は融着するとともに、水性樹脂が縮合反応することにより潜像を形成し、この潜像を、処理液に浸漬することにより非画像部を溶解除去して現像する新しい方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、(I)ブロック化されたイソシアネート基を有する水性樹脂及び赤外線吸収剤を含有する感光性組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は上記課題を解決するために、支持体上に、ブロック化されたイソシアネート基を有する水性樹脂及び赤外線吸収剤を含有する感光性組成物から成る感光層を有する印刷版原版を提供する。
【0014】
更に、本発明は上記課題を解決するために、 (III)ブロック化されたイソシアネート基を有する水性樹脂及び赤外線吸収剤を含有する感光性を有する印刷版原版の感光層に、レーザー光を用いて画像を形成した後、塩基性の水溶液又は水を用いて現像する画像形成方法を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明で使用するブロック化されたイソシアネート基を有する水性樹脂とは、ブロック化されたイソシアネート基を有し、水に溶解・分散状態にある樹脂をいう。
【0016】
ブロック化されたイソシアネート基を有する水性樹脂を調製する方法としては、例えば、樹脂を水中で重合しながら作成して水性化する方法、合成したあるいは予めある樹脂を水性化する方法の2つが挙げられる。前者による方法としては、乳化重合法、ソープフリー乳化重合法などが挙げられ、後者の方法として、塊状の高分子を粉砕して微粒子を得る粉砕法、乳化剤を用いて樹脂を乳化させる乳化法、親水性基を有する樹脂を水に溶解・分散させる方法、などが挙げられる。
【0017】
粉砕法では均一な1μm以下の粒子を得るのは困難であることなどから、本発明の感光性組成物に用いるのは不適当である。一方、乳化重合法、乳化法では、乳化剤が残存するが、乳化剤の種類及び使用量によっては、感度やインキ付着性等に影響を与えることから、乳化剤の選択には充分な配慮が必要である。また一方、親水性基を有する樹脂を水中に溶解・分散する方法は、乳化剤を使用しないこと、溶解・分散前の樹脂に様々な官能基を導入できること、樹脂の水への溶解あるいは分散状態を容易に変えられることなどから本発明の感光性組成物の製造法として優れている。
【0018】
以下、ブロック化されたイソシアネート基及び親水性基をともに有する樹脂を得る方法について詳述する。
【0019】
本発明で使用するブロック化されたイソシアネート基及び親水性基をともに有する樹脂中の親水性基としては、例えば、アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基が挙げられるが、現像液として、水あるいはアルカリ性現像液を用いることを考慮すると、親水性基は、アニオン性基、ノニオン性基であることが好ましい。一般には、現像液としてアルカリ性現像液を用いることから、その場合には、親水性基は、アニオン性基であることが好ましい。
【0020】
ブロック化されたイソシアネート基及び親水性基をともに有する樹脂として、アニオン性のアクリル樹脂を用いる場合、酸基を有する重合性モノマー及びブロック化されたイソシアネート基を有する重合性モノマーを、必要に応じてその他の重合性ビニル基を含有する重合性モノマー組成物とともに公知慣用の方法で共重合し、塩基で必要量中和すればよい。
【0021】
本発明の感光性組成物は、レーザー光の照射によって発生した熱によってブロック化剤が解離し、遊離したイソシアネートと活性水素を官能基が付加反応する。あるいは、レーザー光の照射によって発生した熱によって、ブロック化されたイソシアネート基と水酸基がアルコリシス反応する。あるいはまた、レーザー光の照射によって発生した熱によって、ブロック化されたイソシアネート基と1級及び/又は2級アミノ基がアミノリシス反応する。このような反応により水性樹脂が架橋化されるが、この架橋反応を速やかに行うために、該樹脂中に活性水素を有する官能基、例えば、水酸基、1級及び/又は2級アミノ基等を有することが好ましい。この場合、先に述べた重合性モノマー組成物に、活性水素を有する官能基を有する重合性モノマーを加えて、公知慣用の方法で共重合させた後、塩基で必要量中和すればよい。これらの活性水素を有する官能基を有する重合性モノマーの中でも、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートの如き水酸基を有する重合性モノマーは、樹脂の合成が容易である点から好ましく使用することができる。
【0022】
酸基を有する重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸モノブチル、マレイン酸モノブチルの如きカルボキシル基を有するビニルモノマー類;アシッドホスホオキシエチルメタクリレートの如きリン酸基を有するビニルモノマー類;2−クロロ−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の如きスルホン酸基を有するビニルモノマー類;2−スルホエチル(メタ)アクリレートの如き硫酸基を有するビニルモノマー類、などが挙げられる。
【0023】
これらの酸基を有する重合性モノマーは、重合時のモノマー組成物100g当たり、概ね9〜530ミリモルの範囲で使用することが好ましい。酸基を有する重合性モノマーが重合時のモノマー組成物100g当たり9ミリモル未満では、樹脂を合成した後の中和工程において完全に中和しても樹脂の親水性が低いので、水への分散安定性が低く成る傾向にあり、酸価が300ミリモルを越えると、実質的に合成が困難となる傾向にあるので、好ましくない。
【0024】
ブロック化イソシアネート基を有するモノマーとしては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、あるいは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又は2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとジイソシアネート化合物との付加物の如き(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基とを併有する重合性モノマーを、種々のブロック化剤でブロック化したもの、などが挙げられる。
【0025】
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又は2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとの縮合に用いられるジイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3−ジメチル−4,4−ビフェニレンジイソシアネートジフェニルメタンジイソシアネート、3,3−ジメトキシ−4,4−ビフェニレンジイソシアネート、3,3−ジクロロ−4,4−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネートの如き芳香族ジイソシアネート類;
【0026】
5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート(水添キシリレンジイソシアネート)、3,3−ジメチル−4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートの如き脂肪族ジイソシアネート類あるいは脂環式ジイソシアネート類、などが挙げられる。
【0027】
ブロック化剤としては、公知のものが使用でき、例えば、アセトキシム、ブタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシムの如きオキシム類;フェノール、m−クレゾール、o−クロロフェノールの如きフェノール類;ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、N,N−ジメチルヒドラジンの如きアミン類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、2,2,2−トリフルオロエタノールの如きアルコール類;N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、2−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、8−ヒドロキシキノリンの如き塩基性窒素含有化合物、などが挙げられる。
【0028】
ブロック化イソシアネート基を有するモノマーは、重合時のモノマー組成物100g当たり、概ね1.5〜300ミリモルの範囲で使用することが好ましい。ブロック化イソシアネート基を有する重合性モノマーの使用量が、重合時のモノマー組成物100g当たり1.5ミリモル未満では、架橋の効果が低く成る傾向にあり、ブロック化イソシアネート基を有する重合性モノマーの使用量が300ミリモルを越えると、樹脂合成時の粘度が高くなり、合成が困難となる傾向にあり、好ましくない。
【0029】
その他の重合性ビニル基を含有する重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ブトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルの如き(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−ヒドロキシスチレンの如きスチレン系モノマー類;イタコン酸ベンジルの如きイタコン酸エステル類;マレイン酸ジメチルの如きマレイン酸エステル類;フマール酸ジメチルの如きフマール酸エステル類;酢酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル、プロピオン酸ビニルの如きビニルエステル類;(メタ)アクリロニトリルの如き重合性ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、などが挙げられる。
【0030】
上記重合性モノマー組成物の重合方法は、塊状重合、溶液重合等各種方法が利用できるが、簡便な溶液重合が好ましく、使用する溶媒は有機溶媒を用いるのが好ましい。有機溶媒としては、重合性モノマーや得られる重合体を溶解できるものであれば特に限定されることはないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、もしくはシクロヘキサノンの如きケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルの如きエステル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールの如きアルコール類、などが挙げられる。これらの有機溶媒は、2種類以上を混合して用いることもできる。これらの有機溶媒の中でも、後の工程で水に容易に溶解・分散し、比較的に水と親和性のある溶剤の使用が好ましく、また、有機溶媒を除去することが容易な低沸点の溶媒の使用が好ましい。そのような溶剤として、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチルが挙げられる。
【0031】
溶液重合の際に用いられる重合開始剤は、公知のラジカル重合開始剤を用いればよく、例えば、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の如きアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシ2−エチルへキサノエートの如き過酸化物系重合開始剤、などが挙げられる。
【0032】
アニオン性のアクリル樹脂の合成法として、前述したように重合時に酸基を導入する方法以外にも、例えば、水酸基を有する重合体に、無水酸を付加させ、次いで塩基で必要量中和するなど、重合後のアクリル樹脂にアニオン性基を導入することもできる。同様に、架橋剤と反応可能な官能基も重合後の樹脂に導入することもできる。
【0033】
本発明の感光性組成物は、支持体上に塗布された後、乾燥工程において乾燥されるが、この乾燥工程において樹脂微粒子同士が融着等の熱変性を起こさないために、本発明で使用する水性樹脂のガラス転移温度は40℃以上であることが好ましい。また、高温での長期保存が必要な場合、樹脂微粒子同士の融着等の熱変性を伴わないために、本発明の水性樹脂のガラス転移温度は50℃以上であることが好ましい。
【0034】
ブロック化されたイソシアネート基を有する水性樹脂は、樹脂の構造、組成等によって異なるが、概ね、樹脂中に含まれる酸基の5〜120%(当量)を塩基で中和し、中和酸価を5〜300の範囲とすることによって、親水性を有する樹脂となる。また、この中和度を変えることによって、樹脂を水中に溶解させたり、あるいは分散させたりすることができる。本発明で用いられる水性樹脂としては、保存安定性、現像性を考慮すると、樹脂を分散させたものの使用が好ましい。このような樹脂は、0.005〜1マイクロメートル(μm)の樹脂微粒子の水分散体である。このような水分散体は、中和酸価を概ね5〜200の範囲とすることによって得ることができる。より具体的には、中和酸価を種々変えて分散を行い、完全に溶解する中和酸価から、樹脂が安定に分散できる中和酸価の間で中和酸価を自由に変えることができる。
【0035】
中和に用いられる塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの如きアルカリ金属の水酸化物;トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンの如きアミン類;アンモニア水、などが挙げられる。
【0036】
このようにして得られた架橋剤と架橋可能な官能基及び親水性基をともに有する樹脂は、水に溶解・分散することによって水性樹脂となる。水に溶解・分散する際に、一般的に系の粘度が一時的に増加すること、また、作業性の向上から、該樹脂は有機溶媒で固形分が5〜60%となるように希釈して用いることが好ましい。
【0037】
樹脂架橋剤と架橋可能な官能基及び親水性基をともに有する樹脂を水へ溶解・分散する際には、該樹脂に水をゆっくりと加えていく方法が一般的ではあるが、場合によっては、水に該樹脂溶液を加えていってもよい。さらには、該樹脂の前駆体である酸基を有する樹脂に、中和剤を含む水を加えてもよいし、中和剤を含む水に該樹脂の前駆体である酸基を有する樹脂溶液を加えていってもよい。
【0038】
架橋剤と架橋可能な官能基及び親水性基をともに有する樹脂を水へ溶解・分散する際に使用する撹拌装置は、公知慣用のものが使用可能であって、通常の撹拌装置で撹拌しても、あるいは、乳化分散機等の剪断力を与えるような分散機を用いてもよい。
【0039】
本発明で用いる水性樹脂は、初期には有機溶剤を含む水分散体として得られるものであるが、そのまま用いても、また、有機溶剤を減圧留去して水分散体として用いても、あるいは、有機溶剤や水を除去して粉体として用いても良い。
【0040】
さらに、本発明で用いられる水性樹脂として樹脂水分散体を用いる場合、すなわち、樹脂微粒子水分散体を用いる場合、該樹脂微粒子を架橋した架橋樹脂微粒子とすることができる。架橋樹脂微粒子を作成するには、親水性基を有する樹脂に予めグリシジル基の如き粒子内架橋のための官能基を導入することで、及び/又は第三成分の架橋性化合物を加えることによって、樹脂微粒子内を三次元架橋化した架橋樹脂微粒子とすることができ、印刷耐用性・保存安定性の向上、感度の調整などに利用することができる。
【0041】
第三成分の架橋性化合物としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノール系エポキシ樹脂、グリシジルメタクリレート共重合体、カルボン酸のグリシジルエステル樹脂、脂環式エポキシの如き多官能グリシジル化合物が挙げられ、これらの架橋性化合物は、親水性基を有する樹脂とともに水中に分散化し、次いで熱を加えて粒子内架橋反応することによって、架橋樹脂微粒子とすることができる。この場合、熱を加える前に有機溶剤を除去した方が、樹脂微粒子同士の融着を防ぐことができるので、より好ましい。ここに例示した架橋法は、ごく一部にしか過ぎず、公知の水中で架橋する手法を使用することができる。
【0042】
粒子内を架橋する架橋性官能基の量は、樹脂100g当たり1.5〜300ミリモルの範囲が適当である。架橋性官能基の量が1.5ミリモルより少ない場合、架橋の効果が得られない傾向にあり、300ミリモルを越える場合、得られた樹脂微粒子の造膜性が低くなり、感光性組成物層を形成しにくくなる傾向にあるので好ましくない。
【0043】
本発明で使用する赤外線吸収剤は、感光性組成物層中に光を吸収し熱を発生する物質を指し、このような物質としては、例えば、種々の顔料又は染料が挙げられる。
【0044】
本発明で使用される顔料としては、市販の顔料、及び、カラーインデックス便覧「最新顔料便覧日本顔料技術協会編、1977年刊」、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)等に記載されている顔料が利用できる。顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料その他ポリマー結合色素等が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染め付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの中でも特に、近赤外線領域の光を吸収して効率よく熱を発生し、しかも経済的に優れた物質としてカーボンブラックが好ましく用いられる。また、種々の官能基を有する分散性の良いグラフト化カーボンブラックが市販されており、例えば、「カーボンブラック便覧第3版」(カーボンブラック協会編、1995年)の167ページ、「カーボンブラックの特性と最適配合及び利用技術」(技術情報協会、1997年)の111ページ等に記載されているものが挙げられ、いずれも本発明に好適に使用される。
【0045】
これらの顔料は表面処理をせずに用いてもよく、また公知の表面処理を施して用いてもよく、公知の表面処理方法としては、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、シランカップリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネートの如き反応性物質を顔料表面に結合させる方法などが挙げられる。これらの表面処理方法については、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)に記載されている。
【0046】
本発明で用いられる顔料の粒径は、0.01〜15マイクロメートルの範囲にあることが好ましく、0.01〜5マイクロメートルの範囲にあることがさらに好ましい。
【0047】
本発明に用いることができる染料は、公知慣用のものが使用でき、例えば、「染料便覧」(有機合成化学協会編、昭和45年刊)、「色材工学ハンドブック」(色材協会編、朝倉書店、1989年刊)、「工業用色素の技術と市場」(シーエムシー、1983年刊)、「化学便覧応用化学編」(日本化学会編、丸善書店、1986年刊)に記載されているものが挙げられる。より具体的には、アゾ染料、金属鎖塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、インジゴ染料、キノリン染料、ニトロ系染料、キサンテン系染料、チアジン系染料、アジン染料、オキサジン染料の如き染料が挙げられる。これらの染料の中でも、近赤外から赤外光を吸収するものが特に好ましい。近赤外光もしくは赤外光を吸収する染料としては、例えば、特開昭58−125246号公報、同59−84356号公報、同59−202829号公報、同60−78787号公報等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号公報、同58−181690号公報、同58−194595号公報等に記載されているメチン染料、特開昭58―112793号公報、同58−224793号公報、同59―48187号公報、同59−73996号公報、同60−52940号公報、同60−63744号公報等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号公報等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許第434875号公報に記載されているシアニン染料、米国特許第5156938号明細書に記載されている近赤外吸収剤等が挙げられる。さらに、米国特許第3881924号明細書に記載されている置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリジニウム塩、特開昭57−142645号公報に記載されているトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号公報、同58−220143号公報、同59−146063号公報、同59−146061号公報等に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報に記載されているシアニン色素、米国特許第4283475号明細書に記載されているペンタメチンチオピリリウム塩、特公平5−13514号公報、、同5−19702号公報に記載されているピリリウム化合物、米国特許第4756993号明細書に記載されている近赤外吸収染料、などが挙げられる。
【0048】
上記の顔料又は染料の中から、後述する高出力の光源の特定波長を吸収し、熱に変換できうる適当な顔料又は染料を少なくとも1種を選び、感光性組成物層に添加することにより使用できる。
【0049】
赤外線吸収剤として顔料を使用する場合、顔料の使用量は、感光性組成物層の全固形分に対して、1〜70重量%の範囲が好ましく、3〜50重量%の範囲が特に好ましい。添加量が3重量%より少ない場合には、光を吸収して熱を発生しても共存する微粒子を溶融・架橋するのに充分な熱量とはならず、添加量が50重量%より多い場合には、発生する熱量が多すぎて燃焼や破壊等の現象が起き、画像を形成するのに適当な溶融潜像を形成することが困難となる傾向にあるので好ましくない。
【0050】
赤外線吸収剤として、染料を使用する場合、染料の使用量は、感光性組成物層の全固形分に対して、0.1〜30重量%の範囲が好ましく、0.5〜20重量%の範囲が特に好ましい。添加量が0.5重量%より少ない場合には、光を吸収して熱を発生しても共存する樹脂を溶融するのに充分な熱量とはならず、添加量が20重量%より多い場合には、発生する熱量が実質的に飽和に達して添加の効果が上がらない傾向にあるので好ましくない。
【0051】
本発明の印刷版原版は、支持体上に感光性組成物層塗布液を塗布した後、乾燥させることによって製造することができる。感光性組成物層塗布液は、顔料又は染料を水性樹脂溶液(分散液)に分散させた後、架橋剤と混合することによって作成できる。また、顔料又は染料を水又は水と有機溶剤の混合溶媒に分散させてから、水性樹脂、架橋剤と配合することによって作成することもできる。さらに、感光性組成物層塗布液は、顔料又は染料を水性化前の樹脂溶液に分散させた後、水に分散させ、内部に顔料又は染料を含有する微粒子(染料あるいは顔料をカプセル化した微粒子)とし、次いで架橋剤と混合することによっても作成することもできる。
【0052】
顔料又は染料を分散する際に用いられる分散機としては、公知慣用のものが使用でき、例えば、超音波分散機、サンドミル、アトライター、バールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、ディスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー、などが挙げられる。また、このとき有機溶剤を併用してもよく、その際には、水と均一に溶解しうる低融点の有機溶剤の使用が好ましく、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノールの如きアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンの如きケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルの如きエステル類;トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素類が挙げられる。
【0053】
さらに、本発明の感光性組成物層には、必要に応じて、フェノール性ノボラック、(メタ)アクリル酸系樹脂などのアルカリ性水溶液に可溶な樹脂、酸発生剤、溶解調整剤等を添加することもできる。
【0054】
このようにして調製された感光性組成物層塗布液は、塗布性向上のための各種助剤、例えば、粘度調整のための各種天然水溶性高分子や合成水溶性高分子、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エチレングリコール、プロピレングリコールの如き水溶性の有機溶剤、各種界面活性剤、造膜助剤等を添加することができる。
【0055】
感光性組成物塗布液は、好ましくは塗布溶液中の固形分比が1〜50重量%に調整された後、公知慣用の方法で支持体上に塗布される。塗布方法としては、具体的には、スピンコーター等による回転塗布法、ディップ塗布法、ロール塗布法、カーテン塗布法、ブレード塗布法、エアーナイフ塗布法、スプレー塗布法、バーコーター塗布法等が挙げられる。
【0056】
上記のようにして支持体上に塗布された感光性組成物層塗布液は、常温で乾燥させることによって感光性組成物層が形成される。より短時間で乾燥させるために、30〜150℃で10秒〜10分間、温風乾燥機、赤外線乾燥機等を使用して乾燥させることが好ましい。
【0057】
本発明の感光性組成物層は、近赤外領域の高出力型レーザーにより画像を書き込まれた後、現像処理によって非画像部が湿式法により除去される。現像処理に使用される現像液は、酸性水溶液、もしくは、アルカリ性水溶液である。基材等の腐食を考慮すると、一般的には、アルカリ剤を用いたアルカリ性水溶液の使用が好ましい。近赤外領域の高出力型レーザーとしては、760nm〜3000nmの近赤外領域に最大強度を有する各種レーザー、例えば、半導体レーザー、YAGレーザー等が挙げられる。
【0058】
以下、本発明の感光性組成物を平版印刷版原版に応用する場合について説明する。
【0059】
本発明の感光性組成物を平版印刷版原版に応用する場合は、本発明の感光性組成物を、親水性表面を有する支持体上に設ければよい。すなわち、親水性表面を有する支持体上に前述したように感光性組成物層塗布液を塗布して乾燥させることにより平版印刷版原版を作成することができる。
【0060】
このような支持体としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、銅、ステンレス、鉄の如き金属板類;ポリエチレングリコールテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエチレンの如きプラスチックフィルム類;合成樹脂を溶融塗布あるいは合成樹脂液を塗布した紙やプラスチックフィルムに金属層を真空蒸着もしくはラミネートなどの技術により設けた複合材料等が挙げられる。これらのうち、特にアルミニウム及びアルミニウムが被覆された複合支持体の使用が好ましい。
【0061】
アルミニウム支持体の表面は、保水性を高め、感光層との密着性を向上させる目的で表面処理されていることが望ましい。そのような表面処理方法としては、例えば、粗面化方法としてブラシ研磨法、ボール研磨法、電解エッチング、化学的エッチング、液体ホーニング、サンドブラスト等の方法、及びこれらの組み合わせが挙げられ、特に電解エッチングの使用を含む粗面化方法が好ましい。
【0062】
電解エッチングの際に用いられる電解浴としては、酸、アルカリ又はそれらの塩を含む水溶液あるいは有機溶剤を含む水性溶液が用いられ、これらのうちで特に、塩酸、硝酸、又はそれらの塩を含む電解液が好ましい。さらに、粗面化処理の施されたアルミニウム板は、必要に応じて酸又はアルカリの水溶液にてデスマット処理される。このようにして得られたアルミニウム板は、陽極酸価処理されることが望ましく、特に、硫酸又は燐酸を含む浴で処理する方法が望ましい。
【0063】
また、必要に応じて米国特許第2714066号明細書、同3181461号明細書に記載されているケイ酸塩処理(ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)、米国特許第2946638号明細書に記載されているフッ化ジルコニウム酸カリウム処理、米国特許第3201247号明細書に記載されているホスホモリブデート処理、英国特許第1108559号公報に記載されているアルキルチタネート処理、独国特許第1091433号公報に記載されているポリアクリル酸処理、独国特許第1134093号公報や英国特許第1230447号公報に記載されているポリビニルスルホン酸処理、特公昭44−6409号公報に記載されているホスホン酸処理、米国特許第3307951号明細書に記載されているフィチン酸処理、特開昭58−16839号公報や特開昭58−18291号公報に記載されている親水性有機高分子化合物と2価の金属との塩による処理、特開昭59−101651号公報に記載されているスルホン酸基を有する水溶性重合体の下塗りによって親水化処理を行ったもの、特開昭60−64352号公報に記載されている酸性染料による着色を行ったもの、米国特許3658662号明細書に記載されているシリケート電着等の処理を行うことができる。
【0064】
また、砂目立て処理及び陽極酸価後、封孔処理を施したものも好ましい。封孔処理は、熱水、及び無機塩又は有機塩を含む熱水溶液への浸漬ならびに水蒸気浴等によって行われる。
【0065】
次に、本発明の印刷版原版を利用して、印刷刷版を作成する方法について説明する。
【0066】
本発明の平版印刷版は、コンピュータ等からのデジタル画像情報を基に、高出力型レーザーを使用して直接版上に画像書き込みができる、いわゆるコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)版である。本発明の印刷版原版に画像を形成することができる高出力型レーザーとしては、各種半導体レーザー、YAGレーザー等があり、使用する光源の特定波長を吸収し、熱に変換できうる適当な顔料又は染料を前述した顔料又は染料の中から選び、感光性組成物層に添加することにより使用できる。
【0067】
本発明の印刷版原版の感光性組成物層は、高出力型レーザーにより画像を書き込まれた後、現像処理によって非画像部が湿式法により除去される。この際使用される現像液は、感光性組成物層に含まれる水性樹脂がアニオン性基を有する場合には、アルカリ剤を含有したアルカリ性水溶液である。
【0068】
本発明の印刷版原版の現像液に用いられるアルカリ剤としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、第二又は第三リン酸のナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩、メタケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニアの如き無機のアルカリ化合物;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミンの如き有機のアルカリ化合物が挙げられる。
【0069】
現像液中のアルカリ剤の含有量は、0.005〜10重量%の範囲が好ましく、0.05〜5重量%の範囲が特に好ましい。現像液中のアルカリ剤の含有量が0.005重量%より少ない場合、現像が不良となる傾向にあり、また、10重量%より多い場合、現像時に画像形成層を浸食する等の悪影響を及ぼす傾向にあるので好ましくない。
【0070】
本発明の印刷版原版の現像液には有機溶剤を添加することもできる。現像液に添加することができる有機溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、エチレングリコールモノブチルアセテート、乳酸ブチル、レブリン酸ブチル、メチルエチルケトン、エチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ベンジルアルコール、メチルフェニルカルビト−ル、n−アミルアルコール、メチルアミルアルコール、キシレン、メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、モノクロロベンゼン、などが挙げられる。
【0071】
現像液に有機溶剤を添加する場合の有機溶媒の添加量は、20重量%以下が好ましく、10重量%以下が特に好ましい。
【0072】
さらにまた、上記現像液中には必要に応じて、亜硫酸リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸マグネシウムの如き水溶性亜硫酸塩、アルカリ可溶性ピラゾロン化合物、アルカリ可溶性チオール化合物、メチルレゾルシンの如きヒドロキシ芳香族化合物、ポリリン酸塩、アミノポリカルボン酸類の如き硬水軟化剤、イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム、n−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、N−メチル−N−ペンタデシルアミノ酢酸ナトリウム、ラウリルサルフェートナトリウム塩の如きアニオン性界面活性剤やノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の各種界面活性剤や各種消泡剤を用いることができる。
【0073】
本発明の画像形成方法に用いられる現像液には、上記の組成のものが使用されるが、実用上は、市販されているネガ型PS版用又はポジ型PS版用の現像液を用いることができる。市販されている濃縮型のネガ用、あるいはポジ用の現像液を1〜1000倍に希釈したものが、本発明による印刷版原版の現像液として使用することができる。
【0074】
本発明による印刷版原版は、画像を書き込んだ印刷版原版を現像液に浸漬し、その後、水洗する。現像液の温度は、15〜40℃の範囲が好ましく、浸漬時間は1秒〜2分の範囲が好ましい。必要に応じ、軽く表面を擦ることもできる。
【0075】
現像を終えた本発明の印刷版原版は、水洗及び/又は水系の不感脂化剤による処理が施される。水系の不感脂化剤としては、例えば、アラビアゴム、デキストリン、カルボキシメチルセルロースの如き水溶性天然高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸の如き水溶性合成高分子、などの水溶液が挙げられ、必要に応じて、これらの水系の不感脂化剤に、酸や界面活性剤等が加えられる。不感脂化剤による処理が施された後、印刷版原版は乾燥され、印刷刷版として印刷に使用される。
【0076】
得られた印刷刷版の耐刷性を増すことを目的として、上記の印刷刷版をバーニング処理して印刷刷版とすることもできる。バーニング処理としては、▲1▼まず、前述の処理方法によって得られた印刷刷版を水洗し、リンス液やガム液を除去した後、スキージする。▲2▼次いで、整面液を版全体にムラなく引き伸ばし、乾燥させる。▲3▼オーブンで180〜300℃で1〜30分間バーニングを行う。▲4▼版を冷却させた後、整面液を水洗により除去し、ガム引きして乾燥した後、印刷版とする、という工程により実施される。
【0077】
整面液は、バーニング処理後に地汚れが発生しないように、バーニング処理を施す前に処理する水溶液として専ら用いられるものであり、その主たる成分として、界面活性剤、特に好ましくはアニオン性界面活性剤及び/又はフッ素系界面活性剤を0.005〜30重量%、及び、pHを2〜11、好ましくは3〜10の範囲に保つために各種の酸、アルカリあるいは塩類が添加される。
【0078】
整面液に用いられるアニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸のアルデヒド縮合物、α−オレフィンスルホネート、アルキルスルホネートの如きスルホン酸基を有する界面活性剤;ラウリル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩の如き硫酸エステル系界面活性剤、などが挙げられる。
【0079】
整面液に用いられるフッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキル基を有するカルボン酸塩、パーフルオロアルキル基を有するスルホン酸塩、パーフルオロアルキル基を有する硫酸エステル塩、パーフルオロアルキル基を有するリン酸塩の如きアニオン性フッ素系界面活性剤;パーフルオロアルキル基を有するアミン塩、パーフルオロアルキル基を有する4級アンモニウム塩の如きカチオン性フッ素系界面活性剤;パーフルオロアルキルカルボキシベタイン、パーフルオロアルキル基を有するアミノカルボン酸塩の如き両性フッ素界面活性剤;パーフルオロアルキル基を有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基を有するポリマー、パーフルオロアルキル基を有するスルホンアミドポリエチレングリコール付加物のノニオン性フッ素系界面活性剤、などが挙げられる。
【0080】
整面液に用いられる酸としては、例えば、硝酸、硫酸、リン酸の如き鉱酸、クエン酸、こはく酸、シュウ酸、酒石酸、酢酸、リンゴ酸、フィチン酸、有機ホスホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、などが挙げられる。また、これら酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、あるいはアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等も整面液に用いることができる。
【0081】
さらに、整面液には、天然物又は天然物の変性又は合成高分子重合体であって、皮膜形成能を有する高分子化合物も全重量に対して0.0001〜3重量%添加することができる。さらにまた、整面液には、防腐剤、消泡剤、着色剤、などを添加することもできる。
【0082】
本発明の印刷版原版を使用し、良好な印刷刷版を作成する好ましい方法としては、まず、YAGレーザーや赤外線半導体レーザー等の高出力型レーザーを光源とした画像露光機に本発明の印刷版原版を装着し、コンピュータからのデジタル情報を直接本発明の印刷版原版上に画像書き込みを行い、次いで、現像液で現像処理を行い非画像部を除去する。その後、水洗及び/又は水系の不感脂化剤により処理を施した後、乾燥させて印刷刷版を得ることができる。なお、この一連の現像処理工程は、一工程づつ実施しても勿論良いが、実用的にはこれらの工程を連続して行うことができる自動現像機を使用するのが容易であり、好ましい。この際、本発明の平版印刷版原版は露光の前後において、特別の安全光を必要とせず、通常室内光の下で作業を進めることができるという特長を有している。また、従来の印刷版原版では画像書き込み後、現像前に加熱処理を行い、潜像を形成していたが、本発明の印刷版原版では画像書き込み後に加熱処理を必要としないという特長も有している。本発明の感光性組成物は、印刷版以外にも様々な用途に使用することができる。
【0083】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。
【0084】
なお、以下の実施例において、乾燥固形分比は、試料約1gの130℃で1時間乾燥前後の試料重量比を測定して記した。数平均分子量は、ゲル・浸透・クロマトグラフィー(以下、GPCと省略する。)により測定し、ポリスチレン換算の分子量でもって記載した。また、樹脂微粒子の粒径は、レーザードップラー式粒度分布計マイクロトラックUPA−150で測定した。
【0085】
<合成例1>(アクリル樹脂の合成例(1))
撹拌装置、還流装置、温度計付き乾燥窒素導入管及び滴下装置を備えた容量1Lの四つ口フラスコに、メチルエチルケトン400gを仕込み、80℃に昇温した。これに、メチルメタクリレート160g、ブチルメタクリレート108.8g、2−ヒドロキシエチルアクリレート38.36g、アクリル酸12.84g、「カレンズMOI−BM」(昭和電工(株)製メタクリル酸2−(O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノエチルの商品名)80g及び「パーブチルO」(日本油脂(株)製の重合開始剤の商品名)8gをよく混合した溶液を2時間かけて滴下した。滴下後、さらに15時間撹拌を続けることによって、乾燥固形分比が49.7%、数平均分子量が20000のアクリル樹脂を得た。以下、これをアクリル樹脂(1)とする。
【0086】
<合成例2>(アクリル樹脂の合成例(2))
撹拌装置、還流装置、温度計付き乾燥窒素導入管及び滴下装置を備えた容量1Lの四つ口フラスコに、メチルエチルケトン400gを仕込み、80℃に昇温した。これに、スチレン80g、メチルメタクリレート80g、ブチルメタクリレート108.8g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート38.36g、アクリル酸12.84g、「MOI−BM」80g及び「パーブチルO」8gをよく混合した溶液を2時間かけて滴下した。滴下後、さらに15時間撹拌を続けることによって、乾燥固形分比が49.7%、数平均分子量が20000のアクリル樹脂を得た。以下、これをアクリル樹脂(2)とする。
【0087】
<合成例3>(水性樹脂の合成例(1))
上記アクリル樹脂(1)の溶液100gを1.0M水酸化ナトリウム水溶液22.3gで中和した後、水を滴下した。樹脂溶液は徐々に増粘し、約150gの水を滴下した時点から著しく粘度が低下して転相が完了した。さらに150gの水を加えた後、得られた分散液を30℃に加熱して、有機溶剤ならびに余剰の水を減圧除去して、平均粒径0.2マイクロメートルのアクリル樹脂微粒子の水分散体を得た。この水分散体に、水を加えて乾燥固形分比を30%に調整した。以下、これを水性樹脂(A)とする。
【0088】
<合成例4>(水性樹脂の合成例)
上記スチレンアクリル樹脂(2)の溶液100gを1.0M水酸化ナトリウム水溶液22.3gで中和した後、水を滴下した。樹脂溶液は徐々に増粘し、約150gの水を滴下した時点から著しく粘度が低下して転相が完了した。さらに150gの水を加えた後、得られた分散液を30℃に加熱して、有機溶剤ならびに余剰の水を減圧除去して、平均粒径0.2マイクロメートルのスチレンアクリル樹脂微粒子の水分散体を得た。この水分散体に、水を加えて乾燥固形分比を30%に調整した。以下、これを水性樹脂(B)とする。
【0089】
<合成例5>(架橋樹脂微粒子の合成例)
上記アクリル樹脂(1)の溶液100gに「TETRAD−X」(三菱ガス化学(株)製のポリグリシジル化合物)0.89g、1.0M水酸化ナトリウム水溶液13.4gを加えてよく混合した溶液に、水をゆっくり滴下した。樹脂溶液は徐々に増粘し、約150gの水を滴下した時点から著しく粘度が低下して転相が完了した。さらに150gの水を加えた後、得られた分散液を30℃に加熱して、有機溶剤ならびに余剰の水を減圧除去し、次いで、80℃に加熱して4時間撹拌した。反応終了後、乾燥固形分比を水で30%に調整して、平均粒径0.3マイクロメートルの架橋樹脂微粒子水分散体を得た。以下、これを水性樹脂(C)とする。
【0090】
<実施例1>
合成例3で得た水性樹脂(A)40g、「カーボンブラックMA−100」(三菱化学(株)製のカーボンブラック)3g、水37g及びイソプロピルアルコール20gをよく混合し、これに、1mmガラスビーズ180gを加えた後、ペイントコンディショナーで1時間分散させた。ガラスビーズを濾過除去することによって、カーボンブラックを分散した水性樹脂溶液を得た。この溶液20g、水45g及びイソプロピルアルコール10gをよく混合して塗布液とした。
【0091】
B4ワイドサイズで厚さ0.3mm厚のアルミニウム板をナイロンブラシと400メッシュのパミストンの水懸濁液を用いて、その表面を砂目立てし、次いで20%硫酸電解液中、電流密度2A/dm2で陽極酸価処理して、2.7g/m2の酸化被膜を形成した後、水洗し、乾燥させて支持体を得た。
【0092】
この支持体に、先の塗布液を14番のバーコーターを用いて塗布した後、60℃で4分間乾燥させて、本発明の印刷版原版を得た。
【0093】
この印刷版原版を用い、近赤外線半導体レーザーを搭載したテスト露光機(波長808nm、出力1W 、ライン電子(株)製)にて照射量を変えながら画像露光を行った。画像露光後、ポジ用PS版現像液「PD−1」(ポリクロームジャパン(株)製)の1:99希釈溶液を用いて30℃で30秒間浸漬して現像を行い、さらに、水洗した後、乾燥させた。このものの感度は180mJ/cm2であり、非画像部はきれいに剥離した。印刷版原版を60℃で15時間加熱した後の促進保存安定性試験後の感度には変化がなく、非画像部の汚れも見られなかった。
【0094】
(実施例2、3)
実施例1において、水性樹脂(A)に代えて、水性樹脂(B)及び(C)をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして、平版印刷版原版を作成し、同様に評価を行ない、その結果を表1にまとめて示した。
【0095】
(比較例1)
撹拌装置、還流装置、温度計付き乾燥窒素導入管及び滴下装置を備えた容量1Lの四つ口フラスコに、メチルエチルケトン400gを仕込み、80℃に昇温した。これに、スチレン80g、メチルメタクリレート253.44g、アクリル酸51.32g、ブチルメタクリレート15.24g及び「パーブチルO」8gをよく混合した溶液を2時間かけて滴下した。滴下後、さらに15時間撹拌を続けることによって、乾燥固形分比が49.5%、数平均分子量が18000のアクリル樹脂溶液を得た。
【0096】
このアクリル樹脂溶液100gを1.0M水酸化ナトリウム水溶液26.7gで中和した後、水を滴下した。樹脂溶液は徐々に増粘し、約150gの水を滴下した時点から著しく粘度が低下して転相が完了した。さらに150gの水を加えた後、得られた分散液を30℃に加熱して、有機溶剤ならびに余剰の水を減圧除去して、平均粒径0.2マイクロメートルの樹脂分散液を得た。この分散液に水を加えて乾燥固形分比を30%に調整した。
【0097】
この分散液40g、「MA−100」(三菱化学(株)製のカーボンブラック)3g、水37g及びイソプロピルアルコール20gをよく混合し、これに、1mmガラスビーズ180gを加え、ペイントコンディショナーで1時間分散させた。ガラスビーズを濾過除去することによって、カーボンブラックを分散したアクリル樹脂溶液を得た。この溶液20g、水45g及びイソプロピルアルコール10gをよく混合して塗布液とした。
【0098】
実施例1と同様の工程で得られた支持体に、先の塗布液を14番のバーコーターを用いて塗布し、60℃で4分間乾燥して、比較例の印刷版原版を得た。この印刷版原版を用い、近赤外線半導体レーザーを搭載したテスト露光機(波長808nm、出力1W 、ライン電子(株)製)にて照射量を変えながら画像露光を行った。画像露光後、ポジ用PS版現像液「PD−1」(ポリクロームジャパン(株)製)の1:99希釈溶液を用いて30℃で30秒間浸漬して現像を行い、さらに、水洗した後、乾燥させた。このものの感度は180mJ/cm2であり、非画像部はきれいに剥離した。印刷版原版を60℃で15時間加熱後の促進保存安定性試験後の感度には変化がなく、非画像部の汚れも見られなかった。
【0099】
(比較例2)
合成例1で得たアクリル樹脂(1)24g、「MA−100」(三菱化学(株)製のカーボンブラック)3g及びメチルエチルケトン23gをよく混合し、これに、1mmガラスビーズ90gを加え、ペイントコンディショナーで1時間分散させた。ガラスビーズを濾過除去することによって、カーボンブラックを分散したアクリル樹脂溶液を得た。この溶液10gをメチルエチルケトン20gで希釈して塗布液とした。実施例1と同様の工程で得られた支持体に20番のバーコーターを用いて塗布し、60℃で4分間乾燥させて、印刷版原版を得た。乾燥塗布量は、2.0g/m2であった。この印刷版原版をポジ用PS版現像液「PD−1」(ポリクロームジャパン(株)製)の1:99希釈溶液を用いて30℃で30秒間浸漬したが、剥離しなかった。さらに、 現像液「PD−1」の1:9希釈溶液を用いて30℃で1分間浸漬したが、剥離しなかった。
【0100】
(印刷テスト)
実施例1〜3及び比較例1で得た印刷版原版を、テスト露光機(波長808nm、出力1W、ライン電子(株)製)を用い、それぞれの印刷版原版が必要とする感度のエネルギー量にて画像を書き込み、その後、実施例1と同様の条件で現像処理し、水洗し、乾燥させて印刷刷版を得た。
【0101】
このようにして得た印刷刷版を、それぞれ印刷機(TOKO 820L:東京航空計器社製)に装着し、印刷テストを実施した。印刷条件として、印刷速度:3000枚/時間、印刷用紙:十条ダイヤコートB4、インキ:GEOS−G紅S(大日本インキ化学工業(株)製)、湿し水:NA108W(1:50希釈、大日本インキ化学工業(株)製)の下、印刷テストを実施した。実施例1〜3では、印刷物10000枚は、品質などの問題もなく、良好な印刷物であったが、比較例では、5000枚を過ぎた辺りから僅かながら印刷物に汚れが認められた。
【0102】
【表1】
【0103】
【発明の効果】
本発明の感光性組成物からなる感光層を有する印刷版原版は、水性樹脂を用い、ブロックイソシアネート基を持たない水性樹脂を使用した感光性組成物を用いた場合と比較して、耐刷性に優れている。また、本発明の感光性組成物からなる感光層を有する印刷版原版は、レーザー書き込み後、予備加熱なしで製版が可能であり、感度も良好である。
Claims (5)
- ブロック化されたイソシアネート基及び親水性基をともに有する樹脂を水中に分散して得た樹脂微粒子分散体及び赤外線吸収剤を含有する感光性組成物。
- 微粒子が内部架橋されたものである請求項1記載の感光性組成物。
- 支持体上に、請求項1又は2に記載の組成物から成る感光層を有することを特徴とする印刷版原版。
- 請求項3記載の印刷版原版の感光層に、レーザー光を用いて画像を形成した後、塩基性の水溶液又は水を用いて現像することを特徴とする画像形成方法。
- 760〜3000nmの範囲に最大強度を有するレーザー光を用いる請求項4記載の画像形成方法。
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