JPH11348446A - ネガ型平版印刷版原版および印刷刷版作製方法 - Google Patents

ネガ型平版印刷版原版および印刷刷版作製方法

Info

Publication number
JPH11348446A
JPH11348446A JP16505098A JP16505098A JPH11348446A JP H11348446 A JPH11348446 A JP H11348446A JP 16505098 A JP16505098 A JP 16505098A JP 16505098 A JP16505098 A JP 16505098A JP H11348446 A JPH11348446 A JP H11348446A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
printing plate
lithographic printing
water
acid
negative
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP16505098A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinji Shimizu
真司 清水
Yasuyuki Watanabe
泰之 渡辺
Yasuhiko Kojima
靖彦 児島
Koji Oe
紘司 小江
Namiyuki Tashiro
南征 田代
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority to JP16505098A priority Critical patent/JPH11348446A/ja
Publication of JPH11348446A publication Critical patent/JPH11348446A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高エネルギー光を用いて、コンピューターか
らのデジタル画像情報を、直接書き込むことのできるネ
ガ型平版印刷版原版及びそれを用いた印刷刷版の作製方
法を提供する。 【解決手段】 第一の構成は、光を吸収し熱を発生する
物質、酸価が10〜300でかつ平均粒子径が0.00
5〜15マイクロメートルのアニオン型自己水分散性樹
脂粒子及び弗素系界面活性剤を含有する感熱性組成物
を、親水性表面を持つ支持体上に塗設したことを特徴と
するネガ型平版印刷版原版であり、第二の構成は、前記
した原版を用いた印刷刷版の作製方法であって、コンピ
ューターからのデジタル画像情報に基づく高エネルギー
光による画像様露光工程、アルカリ水溶液による現像工
程、後処理工程を有することを特徴とする印刷刷版の作
製方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はオフセット印刷分野
で使用される平版印刷版に関し、特にコンピューター等
によるデジタル信号から直接書き込み製版できるいわゆ
るコンピューターツウプレート(CTP)版として用い
られるネガ型平版印刷版原版に関する。
【0002】
【従来の技術】従来コンピューターのデジタル信号から
直接製版するシステムとしては、可視光レーザーを使
用した電子写真法によるもの、可視光レーザーによる
露光と後処理によるもの、近赤外から赤外のハイパワ
ーレーザーによる露光と後処理によるもの、銀塩の拡
散転写を利用したもの、放電やハイパワーレーザー光
によりシリコーンゴム層を破壊することによるもの、
従来からの感光性画像形成層を持つ平版印刷版(PS
版)の上にマスク層を設け、マスク層に画像形成し、後
処理を経て印刷版を得るもの等が知られている。これら
いずれの方法においても、現時点ではそれぞれ一長一短
があり更なる検討が続けられているのが現状であるが、
その中で特にの技術による版材は、明室での取扱いが
可能なこと、従来からのフィルムからの画像転写に伴う
工程が省かれることにより、ボケやゴミの付着などの不
具合がなくなること、また、近年に於けるレーザー光シ
ステムの著しい発展によりハイパワーレーザーが比較的
容易に手に入るため、実用的に露光に際して充分なスピ
ードが得られることや高解像度の画像が得られること、
大きい版にも対応できること、などから現実的な版材と
して注目されている。
【0003】従来の近赤外から赤外のハイパワーレーザ
ーを光源とした印刷版材としては、後工程としての現像
システムの観点から分類すると、特開平7−21474
4号、同7−281423号、同9−156069号等
に開示された熱転写技術を基本とする版材が提案されて
いるが、画像解像度が必ずしも充分でない、印刷耐用性
が悪い、画像転写に伴う再現性が不充分である等画像の
再現性や印刷適応性に満足できるシステムではなかっ
た。また、別な技術として、特開平7−244373
号、同8−048020号、同8−267701号、同
8−292556号、同9−029925号、同9−1
09352号、同9−123383号M等による、画像
露光後剥離現像法によって印刷版材を得る方法が開示さ
れているが、剥離現像が必ずしも完全には行われず画像
に欠陥が生じる、親水性部分の濡れが充分でなく地汚れ
の発生や印刷に際して水揚がり不足が発生する等、熱転
写技術と同様画像の再現性や印刷適応性に満足できるシ
ステムではなかった。更に又、特開平7−186562
号、同8−099477号、同8−108660号、同
9−141819号、同9−171249号、同9−1
71250号、同9−236926号、同10−016
423号、同10−026834号、同10−0292
92号、日本特許公報第2530448号等による湿式
現像を伴わないシステムが開示されているが、画像の解
像度には問題がないものの、印刷に際してブラン汚れが
発生する、水揚がりが悪く水が絞れない、耐刷性に不足
している等の点から満足できるものではなかった。
【0004】上述したように、現時点では画像露光後の
後処理として湿式の現像システムを伴わないシステムで
は、印刷に際して何らかの実際的な問題が生じているの
が現状である。そこでこの様な問題のない湿式の現像シ
ステムによるネガ型平版印刷原版としては、特開平7−
306528号、同9−179292号によるジアゾニ
ウム基を含有した樹脂とカーボンブラックとから構成さ
れた版材があるがジアゾニウム基の存在のため保存安定
性が悪く実用的でなかった。また特開平9−27431
7号にはキノンジアジド化合物を使用し、赤外線レーザ
ー光による露光とUV光線全面露光の2度に亘る光照射
により印刷版材を得る方法が開示されているが、感度が
遅く露光操作を2度行う問題があった。更に又、最も開
発技術が集中しているシステムとして、特開平7−02
0629号、同7−271029号、同8−23442
6号、同9−185160号、同9−197668号、
同9−197671号、同9−202873号、同9−
208925号、同9−221652号、同9−221
654号、同9−176112号、同9−183960
号、同9−183961号、同9−222731号、同
9−239945号、同9−244226号、同9−2
44233号等による熱による酸発生物質を利用した印
刷版材があるが、酸発生物質の保存安定性に問題があ
る、酸発生に伴うカチオン重合反応を完遂するために露
光の前又は後で加熱処理を必要とし、そのため網点の再
現性に問題が生じる等実用上の問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第一の課題
は、コンピューター等のデジタル信号から直接製版可能
であり、更に現像処理に当たっては従来の処理装置が利
用でき、印刷においても従来の印刷装置をそのまま利用
できる高密度エネルギー光書き込み型コンピューターツ
ウプレート版であるネガ型平版印刷版原版を提供するこ
とである。
【0006】本発明の第二の課題は、本発明の方法に従
って作製されたネガ型平版印刷版原版は、特別な安全光
を必要とせず、通常の室内照明灯等の下で作業を行って
も支障なく良好な印刷刷版を作製することが可能な作業
性の改善されたネガ型平版印刷版原版を提供することで
ある。
【0007】本発明の第三の課題は、高密度エネルギー
光を効率良く吸収して熱エネルギーに変換し、しかも結
果として鮮鋭な高解像度の潜像が得られる、アニオン型
自己水分散性樹脂粒子を必須成分とする感熱性組成物を
提供することである。
【0008】更に、本発明の第四の課題は、上述の課題
を解決した本発明によるネガ型の平版印刷版原版を使用
して、印刷に必要な解像度の高い良好な印刷刷版を作製
でき得る印刷刷版作製方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、親
水性表面を持つ支持体の上に、光を吸収し熱を発生する
物質、酸価が10〜300、かつ平均粒径が0.005
〜15マイクロメートルのアニオン型自己水分散性樹脂
粒子及び弗素系界面活性剤を主構成成分として含有する
感熱性組成物層を設けたネガ型平版印刷版原版を作製
し、「高密度エネルギー光による画像様露光、感熱
性組成物層の非画像部を湿式法により除去して印刷刷版
画像を形成する工程、必要に応じバーニング処理を含
む、水洗、ガム引き及び乾燥工程」、によって平版印刷
刷版作製することにより達成することができた。
【0010】本発明は、感熱性組成物層への高密度エネ
ルギー光による書き込み画像形成の機構として、いわゆ
るPS版等に於ける光エネルギーとモノマーによる重合
反応(ネガ型PS版)あるいは光エネルギーによるポリ
マーの部分分解反応に伴う改質(ポジ型PS版)のごと
き光化学反応を利用した機構とは異なり、光エネルギー
の吸収により発生した熱により画像部の樹脂粒子が相互
に溶融・融着して画像を形成し、その後処理液を使用し
た湿式法により未変性の非画像部を溶解除去して印刷刷
版の画像を得ると言う、新しい方法を見い出したことに
より行われたもので、本発明による画像形成工程は物質
の物理化学的な変化を利用した機構によるものであり、
従来の技術とは全く異なる原理に基づく方法であると言
える。
【0011】すなわち、本発明の第一の構成は、親水性
表面を持つ支持体の上に、光を吸収し熱を発生する物
質、酸価が10〜300でかつ平均粒子径が0.005
〜15マイクロメートルのアニオン型自己水分散性樹脂
粒子及び弗素系界面活性剤を含有する感熱性組成物層を
有することを特徴とするネガ型平版印刷版原版である。
【0012】又、本発明は、前記した光を吸収し熱を発
生する物質が、グラフト重合された顔料、グラフト重合
されたカーボンブラック又は染料であるネガ型平版印刷
版原版を含む。
【0013】又、本発明は、前記したアニオン型自己水
分散性樹脂粒子が、アニオン型自己水分散性樹脂を有機
溶剤中に溶解又は分散させる第一工程と、前記溶解又は
分散組成物を転相乳化することにより水媒体中に微小粒
子を生成させる第二工程とから製造された微小粒子であ
るネガ型平版印刷版原版を含む。
【0014】更に、本発明は、前記したアニオン型自己
水分散性樹脂粒子が、アニオン型自己水分散性樹脂を有
機溶剤中に溶解又は分散させる第一工程と、前記溶解又
は分散組成物を転相乳化することにより水媒体中に微小
粒子を生成させる第二工程と、有機溶剤及び過剰の水を
除去する第三工程を経て製造された微小粒子であるネガ
型平版印刷版原版を含む。
【0015】更に、本発明は、前記したアニオン型自己
水分散性樹脂粒子が、アニオン型自己水分散性樹脂を有
機溶剤中に溶解又は分散させる第一工程と、前記溶解又
は分散組成物を転相乳化することにより水媒体中に微小
粒子を生成させる第二工程と、有機溶剤及び過剰の水を
除去する第三工程を経て製造されたものであって、該第
二工程が、該転相乳化後に、中和された酸基を逆中和さ
せる工程を含むものであるネガ型平版印刷版原版を含
む。
【0016】更に、本発明は、前記したアニオン型自己
水分散性樹脂が、カルボキシル基、燐酸基、スルホン酸
基及び硫酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の
酸基を有する酸基含有重合性単量体類及び又は酸基含有
重合性オリゴマー類を必須成分として用いて得られる共
重合体であるネガ型平版印刷版原版を含む。
【0017】本発明の第二の構成は、ネガ型平版印刷版
原版を用いた平版印刷刷版を作製する方法であって、
高密度エネルギー光による画像様露光工程、感熱性組
成物層の非画像部を湿式法により除去して印刷刷版画像
を形成する工程、必要に応じて印刷刷版のバーニング
処理を含む、水洗、ガム引き及び乾燥工程」の各工程を
有することを特徴とする平版印刷刷版作製方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明は、親水性表面を持つ支持
体の上に、高密度エネルギー光に対して極めて感度の高
い感熱性組成物層を塗設することを特徴とするが、以下
に本発明の感熱性組成物層について詳細に説明する。
【0019】本発明においては、感熱性組成物層中に光
を吸収し熱を発生する物質を含有することが必須である
が、このような物質として種々の顔料又は染料を用いる
ことができる。
【0020】本発明に使用される顔料としては、市販の
顔料及びカラーインデックス便覧、「最新顔料便覧」
(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応
用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ
技術」(CMC出版、1984年刊)等に記載されてい
る顔料が利用できる。顔料の種類としては、黒色顔料、
黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色
顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料その他ポリマー結
合色素等があげられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、
アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フ
タロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン
及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリド
ン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔
料、キノフタロン系顔料、染め付けレーキ顔料、アジン
顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔
料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これ
ら具体例の中でも特に近赤外線ないし赤外線レーザーを
吸収して効率よく熱を発生し、しかも経済的にすぐれた
物質としてカーボンブラックが好ましく用いられる。
【0021】これらの顔料は表面処理をせずに用いても
よく、また公知の表面処理を施して用いても良く、公知
の表面処理方法としては、樹脂やワックスを表面コート
する方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質
(たとえば、シランカップリング剤やエポキシ化合物、
ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方など
が考えられる。これらの表面処理方法については、「金
属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「最新顔料応用技
術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技
術」(CMC出版、1984年刊)に記載されている。
特に、本発明の感熱性組成物層に好ましく用いられるの
は、グラフト重合により分散溶媒中への分散性を改良し
たグラフト化カーボンブラックである。
【0022】本発明に用いられるグラフト化カーボンブ
ラックは、カーボンブラックの存在下で、重合開始剤を
用いてビニルモノマーの重合を行い、系内で生成する成
長ポリマー鎖を粒子表面で補足する方法、カーボンブラ
ック表面へ導入した重合開始基からグラフト鎖を成長さ
せる方法、カーボンブラック表面の官能基と反応性ポリ
マーとの反応による方法等により合成して用いることが
でき、今日では種々の官能基をもった分散性のよいグラ
フト化カーボンブラックが市販されており、それらを本
発明に用いることができる。これらグラフト化カーボン
ブラックに関しては、「カーボンブラック便覧第3版、
(カーボンブラック協会編)1995年、167頁」、
「カーボンブラックの特性と最適配合および利用技術
(技術情報協会)1997年、111頁」等に詳しく説
明されており、いづれも本発明に好適に使用される。
【0023】グラフト化されたカーボンブラックの具体
例としては、不飽和ポリエステルをカーボンブラックに
グラフトした後各種ビニルモノマーとのラジカル重合を
行ったもの、カーボンブラックとラウロイルペルオキシ
ドとの反応により得られるCBーペルオキシド基と各種
ビニルモノマーとのラジカル重合反応物、アゾ基を導入
したカーボンブラックと各種ビニルモノマーとのラジカ
ル重合反応物、カーボンブラック表面に導入したアシリ
ウムパークロレートとビニルモノマー、ラクトン、環状
エーテル、環状アセタール等とのカチオン開環重合物、
カーボンブラックに導入されたクロルメチル基と2−オ
キサゾリン類とのカチオン開環異性化重合反応物、カー
ボンブラックに導入されたベンジリウムパークロレート
とビニルモノマー、ラクトン、及び環状エーテル等との
カチオングラフト重合物、カーボンブラックに導入され
たカリウムカルボン酸基とβープロピオラクトンのアニ
オン開環重合物、カーボンブラックに導入されたカリウ
ムカルボン酸基とエポキシドと環状酸無水物とのアニオ
ン開環交互共重合物、カーボンブラック/ブチルリチウ
ム複合体とメチルメタアクリレートやアクリロニトリル
とのアニオングラフト重合物、カーボンブラックに導入
されたアミノ基とα−アミノ酸−N−カルボン酸無水物
との開環重合物、カーボンブラックの表面に導入された
高反応性の官能基、例えば、イソシアナート基、アシル
アジド基、アシルクロリド基、エポキシ基、クロロトリ
アジニル基、活性エステル基等とポリプロピレングリコ
ール、ポリエチレングリコール、シリコンジオール、シ
リコンジアミン及びポリエチレンイミン等とのグラフト
重合物などを挙げることができる。
【0024】特にこれらグラフト重合されたカーボンブ
ラックの中で、感熱性組成物層を形成する為に必要な塗
工液中に於いて酸価が10〜300の樹脂粒子と混合し
て好適に分散し得るものとして、アニオン性基をグラフ
ト重合物中に含有するものが挙げられる。その様なアニ
オン性基としては、燐酸基、スルホン基、硫酸基、とり
わけ好適にはカルボキシル基が挙げられる。この様な、
アニオン性基として好ましいカルボキシル基をカーボン
ブラックのグラフト樹脂中に導入する方法の例について
述べる。
【0025】カルボキシル基を有するビニル系グラフト
重合体は、カルボキシル基を有する重合性モノマーを含
有する重合性モノマー組成物をグラフト重合することに
よって、又は予めカルボキシル基を有する重合性モノマ
ーを含有する重合性モノマー組成物を共重合することに
よって得られた重合物をカーボンブラックにグラフトす
ることによって容易に製造することができる。カルボキ
シル基を有する重合性モノマーとしては、例えば、アク
リル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、イタコ
ン酸、マレイン酸、マレイン酸モノブチル等のマレイン
酸モノアルキル類、イタコン酸モノブチル等のイタコン
酸モノアルキル類等が挙げられる。
【0026】その他、無水マレイン酸等の酸無水基を有
する重合性モノマーをグラフト重合して得られる酸無水
基含有グラフト重合体に、ブチルアルコール等のモノア
ルコールを付加する方法、水酸基を有する重合性モノマ
ーをグラフト重合して得られる水酸基含有ビニル系グラ
フト重合体に、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ト
リメリット酸等の酸無水基含有化合物を付加する方法等
によってもカルボキシル基を導入することができる。
【0027】カルボキシル基を有するポリエステル樹脂
は、一塩基酸、二塩基酸、三官能以上の多塩基酸等のカ
ルボキシル基を有する化合物と、ジオール、ポリオール
等の水酸基を有する化合物とを適宜選択して、溶融法、
溶剤法等の公知の方法により脱水縮合させてポリエステ
ル樹脂を製造する際に、カルボキシル基が残存するよう
に反応すれば良い。カルボキシル基は、主に、ポリエス
テル樹脂を構成する二塩基酸または多塩基酸等に由来す
る未反応のカルボキシル基である。得られたポリエステ
ル樹脂をカーボンブラック反応性基にグラフトすること
によって、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂で
グラフトされたカーボンブラックを得ることができる。
【0028】その他にポリエステル樹脂にカルボキシル
基を導入する方法としては、水酸基を有する線状又は分
岐ポリエステル樹脂に、例えば、無水マレイン酸、無水
フタル酸、無水トリメリット酸などの酸無水基含有化合
物を付加する方法、水酸基を有するポリエステル樹脂、
好ましくは線状ポリエステル樹脂に、例えば無水ピロメ
リット酸等のテトラカルボン酸二無水物を反応した、カ
ルボキル基を導入すると同時に鎖伸張する方法等も採用
できる。
【0029】更に、ポリエステル樹脂によってグラフト
化されたカーボンブラックに、前述したカルボキシル基
を有する重合性モノマーを含む重合性モノマーを更にグ
ラフト重合する方法によってもカルボキシル基を導入で
きる。
【0030】カルボキシル基を有するポリウレタン樹脂
によってグラフト化されたカーボンブラックは、カルボ
キシル基を導入する成分としてのジメチロールプロピオ
ン酸等のカルボキシル基及び水酸基を併有する化合物を
含有するポリオール成分と、ポリイソシアネート成分と
を反応させることによって容易に製造することができ
る。
【0031】本発明に用いる顔料の粒径は、0.01〜
15マイクロメートルの範囲にあることが好ましく、
0.05〜5マイクロメートルの範囲にあることがさら
に好ましい。
【0032】顔料の使用量は、感熱性組成物層の全固形
分に対して、1〜70重量%、更に好ましくは10〜5
0重量%である。添加量が1重量%より少ない場合に
は、光を吸収して熱を発生しても共存する樹脂を溶融す
るのに十分な熱量とはならず、添加量が70重量%より
多い場合には、発生する熱量が多すぎて燃焼や破壊等の
現象が起き、画像を形成するのに適当な溶融潜像を形成
することが困難である。
【0033】本発明に用いる染料としては、市販の染料
及び文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集,
昭和45年刊、「色材工学ハンドブック」色材協会編,
朝倉書店刊,1989年、「工業用色素の技術と市場」
シーエムシー刊,1983年、「化学便覧、応用化学
編」日本化学会編,丸善書店刊,1986年)に記載さ
れている公知のものが使用できる。具体的には、アゾ染
料、金属鎖塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラ
キノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、
キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、インジ
ゴ染料、キノリン染料、ニトロ系染料、キサンテン系染
料、チアジン系染料、アジン染料、オキサジン染料等の
染料が挙げられる。これらの染料の中、赤外光もしくは
近赤外光を吸収するものが特に好ましい。赤外光もしく
は近赤外光を吸収する染料としては、例えば、特開昭5
8−125246号、同59−84356号、同59−
202829号、同60−78787号等に記載されて
いるシアニン染料、特開昭58−173696号、同5
8−181690号、同58−194595号等に記載
されているメチン染料、特開昭58−112793号、
同58−224793号、同59−48187号、同5
9−73996号、同60−52940号、同60−6
3744号等に記載されているナフトキノン染料、特開
昭58−112792号等に記載されているスクワリリ
ウム色素、英国特許434875号記載のシアニン染
料、米国特許第5156938号記載の近赤外吸収剤等
を挙げることができる。さらに、米国特許第38819
24号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリ
ウム塩、特開昭57−142645号記載のトリメチン
チアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同5
8−220143号、同59−41363号、同59−
84248号、同59−84249号、同59−146
063号、同59−146061号等に記載されている
ピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載
のシアニン色素、米国特許第4283475号記載のペ
ンタメチンチオピリリウム塩、特公平5−13514
号、同5−19702号公報に開示されているピリリウ
ム化合物、米国特許第4756993号に記載の近赤外
吸収染料等も挙げることができる。
【0034】次いで、本発明の感熱性組成物層を構成す
る必須材料としての、酸価が10〜300でかつ平均粒
子径が0.005〜15マイクロメートルのアニオン型
自己水分散性樹脂粒子ついて説明する。
【0035】本発明の感熱性組成物層における樹脂材料
の役割としては、まず高密度エネルギー光の照射を受け
た顔料が光エネルギーを熱エネルギーに変換し、発生し
た熱により樹脂粒子が熱的に溶融・融着して変性し、溶
解度が著しく低下するものである。この時、樹脂粒子自
身が熱変性により大きく性質を変える必要はなく、熱変
性によって分散している顔料又は染料を包み込み感熱性
組成物層として熱変性を行えば良いことである。この熱
変性を効率良く行わせるには、樹脂粒子の平均粒子サイ
ズが0.005〜15マイクロメートルである必要があ
る。すなわち、粒子サイズが15マイクロメートルより
大きい場合には、発生した熱を受けた樹脂粒子が溶融・
融着するには十分ではなく、粒子サイズが0.005マ
イクロメートルよりも小さい場合には実質的に実用化に
当たって経済的ではない。また、本発明の平版印刷版原
版は画像処理を行うことを目的として使用されるもので
あり、あまり粒子サイズの大きい樹脂粒子、すなわち1
5マイクロメートルより大きい粒子を使用するのは画像
処理における解像度が低下してしまうと言う別の問題も
ある。また、樹脂粒子の粒度分布に関しては、粒度分布
が狭い程受熱作用に基づく熱融着反応分布がシャープで
あり、それだけ形成される熱画像の解像度が上がり好ま
しい。
【0036】一方、感熱性組成物層の非画像部は、現像
処理中において用いるアルカリ性水溶液に除去される必
要があり、この現像における非画像部の除去を効率よく
行わせるには、樹脂粒子がアルカリ水溶液に可溶なアニ
オン性基を持つ必要がある。このようなアニオン性基と
しては、カルボキシル基、燐酸基、スルホン酸基及び硫
酸基等があるが、とりわけ好適に用いられるのはカルボ
キシル基である。樹脂粒子中における必要カルボキシル
基量は、樹脂1gを中和するのに必要なKOHmg数量
で表された酸価で表されることができ、本発明に使用さ
れる樹脂粒子は酸価が10〜300である必要がある。
酸価が10を下回る場合には、現像液による溶解現像が
十分ではなく、酸価が300を越える場合には塗工に際
して粘度が高くなる、又はネガ平版印刷版原版の保存に
際して保存安定性が悪くなる等の不都合が生じる。
【0037】従って、感熱性組成物層の樹脂粒子に求め
られる特性としては、塗布溶液中に顔料又は染料成分と
よく均一に分散し、乾燥後は安定な塗膜を形成し、熱変
性に当たっては上記の如き作用を発揮し得るものであ
り、このような特性を持った樹脂粒子として、酸価が1
0〜300でかつ平均粒子径が0.005〜15マイク
ロメートルの樹脂粒子で粒度分布の狭いものを挙げるこ
とができる。
【0038】さらに本発明におけるネガ型平版印刷版原
版の製造工程において、感熱性組成物層の塗布溶液が親
水性表面を持つ支持体上に塗布され、その後乾燥工程に
おいて乾燥されるが、この乾燥工程において効率よく実
用的に乾燥されしかも樹脂粒子が融解等の熱変性を起こ
さないことが望ましく、このためには本発明の樹脂粒子
のガラス転移温度が50℃以上であることが好ましい。
50℃未満の温度で樹脂粒子の熱変性を伴うことなしに
乾燥することも可能ではあるが、この様な場合には乾燥
効率が悪く実用的ではない。
【0039】次に本発明の感熱性組成物層に用いる樹脂
粒子を得るための方法について述べる。微小樹脂粒子を
製造する方法としては、従来、粉砕法、懸濁重合法、乳
化重合法および転相乳化法が知られているが、粉砕法に
よる方法では微小樹脂粒子を製造するには多大の粉砕エ
ネルギーを要するとか、実際上1マイクロメートル以下
の微粒子を精度良く得ることは困難であること、得られ
る微粒子が不定形であるため混合・分散に当たって不都
合が生じるなど、本発明の感熱性組成物層に用いる微小
樹脂粒子の製造方法としては不適当である。また、懸濁
重合法による方法では、やはり実際上1マイクロメート
ル以下の微小樹脂粒子を得ることが困難であることや、
懸濁重合に用いた懸濁安定剤が粒子表面に残留して除去
が困難であり、感熱性組成物層に添加した場合に感熱特
性に悪影響を与えるなどの理由から不適当である。ま
た、乳化重合法によれば、粒子サイズに限れば本発明の
微小樹脂粒子作製方法として採用出来得るが、生成した
樹脂粒子表面に存在する乳化安定剤を除去することが困
難で感熱性組成物層に添加した場合に感熱特性に悪影響
を与える、塗布時にハジキが生じるなどの理由で好まし
くない。
【0040】一方、転相乳化法は、特開平3−2211
37号や特開平5−66600号に記述されているよう
に、水不溶性の液体及び/又は固体物質から成る微小樹
脂粒子を製造する際に、水媒体の作用下で、平均粒子径
が数マイクロメートル以下の水準に自己分散する分散能
を有するいわゆる自己水分散性樹脂類を用いて微小樹脂
粒子を形成せしめる方法で、実質的に乳化と転相を同時
に行う方法である。この転相乳化法によれば、特別の分
散安定剤を必要としないし、特別の機器を必要とするこ
ともなく微小樹脂粒子が得られ、懸濁重合法や乳化重合
法では製造の難しいポリエステル樹脂を主成分とする微
小な樹脂粒子を製造できると言う特徴も有しており、本
発明による感熱性組成物層に用いる微小樹脂粒子を製造
する方法として最も優れた方法である。
【0041】すなわち、本発明はまず感熱性組成物層に
好適に用いられる酸価が10〜300、平均粒子径が
0.005〜15マイクロメートルのアニオン型自己水
分散性樹脂粒子を提供するものであり、該粒子がアニオ
ン型自己水分散性樹脂を有機溶媒中に溶解又は分散させ
る第一工程と、前記溶解又は分散された組成物を転相乳
化することにより水媒体中に微小粒子を生成させる第二
工程と、必要に応じ有機溶剤及び過剰の水を除去する第
三工程を経て製造された製造方法をも合わせ提供するも
のである。
【0042】本発明のアニオン型自己水分散性樹脂にお
ける親水基となる酸基は、化学結合を通して樹脂中に導
入されており、この酸基が有機塩基もしくは無機塩基に
より中和されることで水媒体中でアニオンとなり、親水
性を呈する。このような酸基としては具体的には、カル
ボキシル基、燐酸基、スルホン酸基又は硫酸基等を挙げ
ることができる。このような酸基を有する樹脂を有機溶
剤に溶解した有機連続相(O相)に、塩基を加えて中和
したのち、水媒体(W相)を投入することによって、W
/OからO/Wへの、樹脂の相変換(いわゆる転相乳
化)が行われて不連続相化し、樹脂が水媒体中に微小の
粒子となって分散安定化される。こうした特性を有する
樹脂が、本発明のアニオン型自己水分散性樹脂である。
【0043】従って、本発明においては、アニオン型自
己水分散性樹脂が感熱性組成物層を構成する微小樹脂粒
子となる。本発明に用いられる当該樹脂としては、酸基
を有する重合性単量体類と、この酸基含有重合性単量体
類以外の重合性単量体類とを、重合開始剤の存在下に、
共重合せしめて得られるものを挙げることができる。こ
うした酸基含有重合性単量体類の具体例としては、例え
ば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン
酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸モノブチル、マ
レイン酸モノブチル、アシッドホスホオキシエチルメタ
クリレート、アシッドホスホオキシプロピルメタクリレ
ート、3−クロロ−2−アクリルアミド−2−メチルプ
ロパンスルホン酸または2−スルホエチルメタクリレー
ト等を挙げることができる。
【0044】酸基含有重合性単量体類以外の重合性単量
体類としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、2
−メチルスチレン、t−ブチルスチレンもしくはクロロ
スチレン等のスチレン系モノマー(芳香族ビニルモノマ
ー)類:アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸
イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソア
ミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチル
ヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシル
又はアクリル酸ドデシル等の各種アクリル酸エステル
類:メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メ
タアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸n−ブチ
ル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸n−ア
ミル、メタアクリル酸イソアミル、メタアクリル酸n−
ヘキシル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタア
クリル酸n−オクチル、メタアクリル酸デシル又はメタ
アクリル酸ドデシル等の各種メタアクリル酸エステル
類:アクリル酸ヒドロキシエチル又はメタアクリル酸ヒ
ドロキシプロピル等の各種ヒドロキシル基含有モノマー
類:N−メチロール(メタ)アクリルアミド又はN−ブ
トキシ(メタ)アクリルアミド等の各種N−置換(メ
タ)アクリル系モノマー類を挙げることができる。
【0045】以上のモノマーの組み合わせにより導かれ
る共重合体は、場合によっては、重合性単量体類と重合
性不飽和基含有オリゴマーとの共重合体であってもよ
い。さらにかかる重合性不飽和基含有オリゴマー中に酸
基を有するものを使用してもよい。このような重合性不
飽和基含有オリゴマーとしては、例えば、ビニル変性ポ
リエステル、ビニル変性ウレタン又はビニル変性エポキ
シ化合物等を挙げることができる。具体例としては、無
水マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、
エンドメチレンテトラヒドロ無水マレイン酸、α−テル
ピネン無水マレイン酸付加物、トリオールのモノアリル
エーテル、ペンタエリスリットジアリルエーテルもしく
はアリルグリシジルエーテル等の各種化合物の重縮合な
いしは付加により重合性不飽和結合(ビニル基)が導入
される。
【0046】さらに、ポリエステル中に酸基を導入せし
めるには、例えば、フタル酸の如き二塩基酸を過剰に用
いることによればよく、それによって末端にカルボキシ
ル基を有するものが得られるし、あるいは、無水トリメ
リット酸の使用によって、主鎖中に酸基を有するものが
得られる。
【0047】又、上記したビニル変性ウレタンとして
は、例えば、グリセリンモノアリルエーテル又は1,2
−結合を含むブタジエンポリオールの如き、各種のポリ
オールとジイソシアネートとの付加重合などにより得ら
れる。あるいは、末端にイソシアネート基を有するウレ
タンと水酸基含有重合性単量体類との付加反応等によっ
ても、ビニル結合が導入される。また、ジメチロールプ
ロピオン酸等を、ポリオール成分として加えることによ
っても、ポリウレタン中に酸成分を導入せしめることが
できる。
【0048】ポリエチレングリコールのモノメタクリレ
ートとしては、例えば、ポリオキシエチレン鎖の平均分
子量が1,000〜4,000の範囲内のものを挙げる
ことができる。
【0049】又、ビニル変性エポキシ化合物としては、
例えば、エポキシ樹脂の末端エポキシ基とアクリル酸又
はメタクリル酸のカルボキシル基とを反応せしめたもの
等を挙げることができる。
【0050】さらに、カルボキシル基含有ビニル共重合
体に、グリシジル基含有重合性単量体を付加せしめた重
合性ビニル基を有する重合性単量体類のオリゴマーが得
られる。ここで用いられる重合性単量体類は、前掲した
ものの中から選ばれる。
【0051】そのほかに、マクロモノマーとして市販さ
れている、例えば、東亜合成化学工業(製)の、末端ビ
ニル変性のオリゴマーもまた、使用することができる。
言うまでもなく、重合性ビニル基を有するオリゴマーで
あれば、上述した種類や方法に限定されるものではな
い。
【0052】これら共重合体を得るための重合には、通
常嫌気下で重合開始剤を用いて行われる。重合開始剤と
しては、通常の公知のものが使用できるが、代表的な具
体例を挙げれば、例えば、過酸化ベンゾイル、ジ−t−
ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−
ブチルペルオキシド、又は2−エチルヘキサノエート等
の各種過酸化物;又はアゾビスイソブチロニトリル又は
アゾビスイソバレロニトリル等の各種アゾ化合物を挙げ
ることができる。
【0053】反応溶剤としては、例えば、トルエン、キ
シレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素化合物類;メタノ
ール、エタノール、プロパノール又はブタノール等の各
種アルコール類;セロソルブ又はカルビトール等の各種
エーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン
又はメチルイソブチルケトン等の各種ケトン類;酢酸エ
チル、酢酸ブチル等の各種エステル類;ブチルセロソル
ブアセテート等の各種エーテルエステル類等々の有機溶
剤を使用することができる。
【0054】好ましくは、後述する第二工程に於いて相
転移が容易に起こり、第三工程において、容易に脱溶剤
され得るアセトン、メチルエチルケトン又は酢酸エチル
等の、いわゆる低沸点有機溶剤の使用が適切である。
【0055】重合条件は、通常、50℃〜150℃の温
度範囲内で、窒素雰囲気下で行われるが、勿論、これの
みに限られたものではない。得られる共重合体の酸基の
量としては、酸価として10〜300、好ましくは15
〜200、更に好ましくは20〜150が適切である。
【0056】また、酸基を含む共重合体は、微小樹脂粒
子として充分な堅さを保持する必要から、ある程度以上
の分子量を有するものが好ましく、通常、3,000〜
100,000の範囲の数平均分子量、好ましくは5,
000〜50,000の範囲の数平均分子量である。分
子量が3,000より小さいものは、粒子強度が弱くて
感熱性組成物層の物理的強度が充分とならず、一方分子
量が100,000よりも大きい場合には、転相乳化時
に於ける増粘の度合いが大きくなり、その結果、粒径の
コントロールとか、粒径の分布が広くなる等の影響があ
り、いずれの場合も好ましくない。
【0057】また、乾燥時の融着、あるいは、高温環境
下でのブロッキングなどを防止するため、本発明による
アニオン型自己水分散性樹脂のガラス転移温度としては
50℃以上が適切である。
【0058】以上のような樹脂の他にも、本発明で用い
られる当該アニオン型自己分散性樹脂としては、ウレタ
ン樹脂、例えば、特公平1−287183号公報に示さ
れたウレタン樹脂ディスパージョンであるとか、エポキ
シ樹脂、例えば、特開昭53−1228号、同55−3
481号又は同55−9433号に記述されるような各
種のエポキシ化合物を挙げることができる。
【0059】本発明のアニオン型自己水分散性樹脂粒子
の調整方法としては、まず、第一工程として、上述のア
ニオン型自己水分散性樹脂を有機溶剤に溶解または分散
させることである。この方法としては、通常の攪拌機器
を使用することができる。必要に応じ加熱、加温して溶
解ないし分散を加速させることも可能である。
【0060】第二工程は、有機溶剤に溶解または分散さ
せたアニオン型自己水分散性樹脂を塩基で中和したのち
に、水媒体中への転相乳化を行う段階である。有機溶剤
に溶解または分散されたアニオン型自己水分散性樹脂
は、塩基で中和されたのちに、水媒体を加えていくこと
によって、W/OからO/Wへの樹脂相の変換が瞬時に
行われ、水媒体中に樹脂粒子が生成する。従来の重合法
では、まず粗微粒子単位粒子の形成化、すなわち未だ樹
脂とはなっていないが、重合反応により樹脂微粒子とな
り得るような単位の粒子(多くは液状)と、引き続いて
樹脂微粒子の形成化(重合反応)との二つの工程から成
るものであり、それぞれが独立した形の別々の工程とし
て実行されていた。これに対し、本発明においては、上
記工程が区別されることもなく、自己水分散性樹脂の転
相乳化を利用することで、全く同時に、かつ全く瞬時に
進行すると言う点に特徴がある。
【0061】第二工程で使用する塩基としては、無機の
塩基性化合物として、例えば、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属塩類、及
びそれらの炭酸塩、それらの酢酸塩等、及びアンモニア
等が挙げられる。有機の塩基性化合物としては、例え
ば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミ
ン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン
等のアルキルアミン類、ジエタノールアミン等のアルカ
ノールアミン類等を使用することができる。塩基性化合
物はそのまま用いてもよいが、通常は水溶液の形態とし
て用いる。
【0062】次いで、本発明における第二工程には、微
小樹脂粒子の形成に加え、もう一つの重要な因子となる
粒径のコントロールが含まれる。基本的にはアニオン型
自己水分散性樹脂中に含まれる酸基を中和する塩基の量
でコントロールされる。本発明の方法においては、適
宜、塩基による中和量(中和に要する塩基の量)を酸基
の10〜100モル%の範囲内で変化させることによっ
て、サブミクロン(1マイクロメートル未満)から30
マイクロメートルまでの粒径のものを、任意に、得るこ
とができる。この粒径のコントロールの容易さもまた、
本発明の一つの特徴となるものである。しかも、実質的
に水媒体中の粒子化は転相乳化と言う樹脂の自己水分散
能を利用しているために、各種の溶剤と溶質とが均一に
混合される程度のシェアをかけていれば、何ら特別の手
段を講じることなく、正規分布を為す微小樹脂粒子が得
られる。
【0063】第二工程における転相乳化に用いることの
できる機器としては、公知慣用の攪拌機が使用できる。
特に、粒子径をサブミクロン以下に制御する場合は、乳
化分散機等の使用がより好ましい。例えば、一般的に高
速剪断タービン型分散機といわれるもので、ホモミクサ
ー(特殊機化工業社製)、ディスパー(特殊機化工業社
製)、ウルトラ・タラックス(ドイツ)、ケディミル
(アメリカ)、シャーフロー(アメリカ)、シルバーソ
ンミキサー(イギリス)、ハレルホモジナイザー(ドイ
ツ)等が挙げられる。また、スラッシャー(三井鉱山株
式会社製)やキャビトロン(株式会社ユーロテック製)
のような高速回転するローターとそれに噛み合うステー
タによる連続乳化分散機、マイクロフルイダイザー(み
づほ工業株式会社製)、マイクロホモジナイザー(みづ
ほ工業株式会社製)、マントン・ゴーリンホモジナイザ
ー(ゴーリン社製)やナノマイザー(ナノマイザー株式
会社製)のような特殊形状のチャンバーとポンプの供給
エナルギーとの相互作用による乳化分散機、スタテイッ
クミキサー(ノリタケカンパニー製)のような駆動部の
ない静止型管内連続混合器が挙げられる。
【0064】ここで、転相までのシェアが弱すぎると、
粒度分布が広がる傾向が見られる。又、シェアが過度に
強すぎると、生成した粒子が破壊され、凝集物や極めて
微細なる粒子が生じ、ひいては分布が広がる。しかしこ
のような場合でも、本発明による微粒子は正規分布を為
して得られるものである処から、粒度分布をさらに揃え
るためには、分級するとしても一部に限って分級すれば
よい。かくて分級された微小樹脂粒子は、第一工程に戻
し、有機溶剤に再溶解または再分散することで再利用す
ることが可能である。
【0065】本発明の微小樹脂粒子は、通常は水分散体
としてそのまま用いるが、水媒体を除き、粉末状のドラ
イ樹脂微粒子とすることも勿論可能である。
【0066】第三工程は、有機溶剤や水媒体を除き、粉
末状のドライ微小樹脂粒子を得るものである。第二工程
で得られた微小樹脂粒子は、水媒体中に分散しているた
めに、まず、吸引濾過により、樹脂粒子のウェットケー
キを得た後、ジェットミル等で乾燥を行うか、あるいは
スプレードライヤー等の公知慣用の方法により、粉末状
の微小樹脂粒子を得ることができる。
【0067】本発明による粉末状の微小樹脂粒子を得る
場合、酸基が、特に、塩基で中和された酸基が表面を覆
っているため、場合によっては粒子間の相互作用によっ
て、乾燥工程で凝集し融着する傾向が見られる。このよ
うな問題は、第二工程で微小樹脂粒子化を終了した後、
無機酸ないしは有機酸によって逆中和せしめて、酸に戻
すことによって解決される。すなわち、こうした逆中和
による酸へのバック化で、水媒体中での安定性を失わせ
しめ、それによって水媒体との分離を容易ならしめしか
も粒子間の相互作用を失わしめ、それによって、乾燥中
での融着を防ぐと言うものである。この場合、濾過法ま
たはスプレードライ法などの、公知慣用の技術によって
乾燥された微小樹脂粒子は、凝集も融着も全く認められ
ない。
【0068】以上の様にして得られた転相乳化法による
樹脂粒子は、感熱性組成物層における樹脂粒子の組成比
として、20〜90重量%で用いられ、好ましくは30
〜70重量%が用いられる。樹脂粒子の組成比が20重
量%より少ない場合には、熱変性による物理的特性の変
化が過剰となり画像部の品質に問題が生じることにな
り、組成比が90重量%を越える場合には熱変性による
物理特性変化が十分ではなく現像処理における現像性等
に問題が生じる。
【0069】本発明の感熱性組成物層には、弗素系界面
活性剤が添加される。弗素系界面活性剤の作用として
は、感熱性組成物層塗布液を親水性表面の支持体上に塗
布するに際して、塗布品質を向上させるレベリング剤と
しての作用が第一に挙げられる。弗素系界面活性剤を添
加する第二の効果は、感熱性組成物層の塗布液におい
て、含有される樹脂粒子やカーボンブラックなどの粒子
相互間の作用に基づく凝集力を中和し、分散性を高める
作用が考えられる。
【0070】弗素系界面活性剤の具体例としては、パー
フルオロアルキル基含有カルボン酸塩、パーフルオロア
ルキル基含有スルホン酸塩、パーフルオロアルキル基含
有硫酸エステル塩、パーフルオロアルキル基含有燐酸塩
等のアニオン性弗素系界面活性剤、パーフルオロアルキ
ル基含有アミン塩、パーフルオロアルキル基含有4級ア
ンモニウム塩等のカチオン性弗素系界面活性剤、パーフ
ルオロアルキル基含有カルボキシベタイン、パーフルオ
ロアルキル基含有アミノカルボン酸塩等の両性弗素系界
面活性剤、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、パ
ーフルオロアルキル基含有ポリマー、パーフルオロアル
キル基含有スルホンアミドポリエチレングリコール付加
物等のノニオン性弗素系界面活性剤等を挙げることがで
きる。
【0071】これら弗素系界面活性剤の使用は単独で用
いても、2種以上を併用しても良い。又、本発明の感熱
性組成物層中への弗素系界面活性剤の添加量は、感熱性
組成物層固形分に対して0.001〜20重量%であ
り、好ましくは0.01〜10重量%である。0.00
1重量%より少ない場合は、感熱性組成物層塗布液の塗
布に際して十分なレベリング効果が得られない。又、2
0重量%を越えて添加した場合は、現像処理中に感熱性
組成物層が剥離する等の問題が生じてしまう。
【0072】本発明の感熱性組成物層を親水性表面を持
つ支持体上に設けるには、親水性表面を持つ支持体上に
感熱性組成物層塗布液を塗布し乾燥することにより作製
することができる。感熱性組成物層塗布液の作製には、
一例を示せば、まず、顔料又は染料を水又は水と有機溶
剤の混合溶媒に分散させることである。分散機として
は、超音波分散機、サンドミル、アトライター、バール
ミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパ
ーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本
ロールミル、加圧ニーダー等がある。又この時使用され
る有機溶剤は、水と均一に溶解し得る低沸点の有機溶剤
であって、具体的には、メタノール、エタノール、イソ
プロパノール、n−プロパノール、ブタノール、sec
−ブタノール、t−ブタノール、アセトン、メチルエチ
ルケトン、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、プロピレントリオール、酢酸、プロピオン酸等であ
る。
【0073】又、グラフト化カーボンブラックの場合に
は、分散と同時に分散溶媒中での安定化を図るための添
加剤を必要とする。添加剤としては、グラフト化剤のカ
ウンターイオンを構成するカチオンとして、各種低級の
有機第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、第4
級アミン等、アルカリ金属類、アルカリ土類金属等の無
機イオン等、又アニオンとしては各種有機カルボン酸
類、有機スルホン酸類、有機燐酸類、アミノカルボン酸
類等を挙げることができる。又、別の安定化用添加剤と
しては、各種界面活性剤を挙げることができる。界面活
性剤としては、ハジキやムラ等が生じない界面活性剤が
選んで使用され、具体的には、各種カルボン酸塩、スル
ホン酸塩、硫酸エステル塩、燐酸塩等のアニオン性界面
活性剤、脂肪族アミン塩及びその4級アンモニウム塩、
芳香族4級アンモニウム塩、複素環4級アンモニウム塩
等のカチオン性界面活性剤等が挙げられるが、好適には
弗素系界面活性剤が使用される。
【0074】また、本発明のアニオン型自己水分散性樹
脂の微小樹脂粒子が、水不溶性溶剤と共に水媒体中に分
散した状態で、しかも必要樹脂量を含有している場合に
は、前述のアニオン型自己水分散性樹脂の微小樹脂粒子
製造第二工程終了後、樹脂粒子を含有した水媒体をその
まま先に調整した顔料の調整液に添加して用いることが
できる。
【0075】一方、樹脂粒子が粉末状の微粒子として得
た場合には、水及び/又は水に可溶な有機溶剤中に強制
分散させて均一な溶液とした後、先に調整した顔料また
は染料の調整液に添加して用いる。この時強制分散させ
るために、塩基が十分に中和されていない場合には、粒
子相互間の凝集などの不都合が生じることが多い。この
とき用いることのできる塩基としては、各種低級の有機
第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、第4級ア
ミン等、アルカリ金属類、アルカリ土類金属等の無機イ
オン等が好ましく用いられる。
【0076】次に、所定量の弗素系界面活性剤をそのま
ま直接、あるいは水及び/又は水に可溶な有機溶剤に溶
解して、先に調整した顔料と樹脂粒子の混合液に添加す
れば良い。
【0077】尚、顔料又は染料の分散調整液と樹脂粒子
分散調整液と弗素系界面活性剤溶液の混合添加順序につ
いては各種方式が考えられ、必ずしもここに記述した方
法のみによる必要はなく、いずれの混合方法でも良い。
【0078】このようにして調整された感熱性組成物層
塗布液は更に、塗布性向上のための塗布助剤、例えば、
粘度調整のため各種天然水溶性高分子や合成水溶性高分
子、水溶性の有機溶剤(メタノール、エタノール、イソ
プロパノール、n−プロパノール、ブタノール、sec
−ブタノール、t−ブタノール、アセトン、メチルエチ
ルケトン、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、プロピレントリオール、酢酸、プロピオン酸等)、
消泡剤(シリコーン系及び弗素系等)、各種界面活性剤
(アニオン性、ノニオン性、カチオン性)等を添加する
ことができる。
【0079】以上のようにして作製された感熱性組成物
層塗布液は、好ましくは塗布溶液中の固形成分が1〜5
0重量%に調整された後、親水性表面を持つ支持体上に
塗布される。塗布方法としては、回転塗布法、ワイヤー
バー塗布法、ディップ塗布法、エアーナイフ塗布法、ロ
ール塗布法、ブレード塗布法、カーテン塗布法及びスプ
レー塗布法等を挙げることができる。
【0080】上記のようにして、親水性表面を持つ支持
体の上に塗布された感熱性組成物層塗布液は、30〜1
50℃で10秒〜10分間、熱風乾燥機、赤外線乾燥機
等を使用して乾燥される。乾燥後の感熱性組成物層の塗
布量は、0.5〜3.5g/m2 である。塗布量が0.
5g/m2 より少ない場合には、印刷刷版としての特性
が不十分であり、塗布量が3.5g/m2 を越えた場合
には高密度エネルギー光による書き込みに際して熱変性
を生じるのに十分な熱量が得られない。
【0081】本発明のネガ型感熱性画像形成層の支持体
としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、銅、ステンレ
ス、鉄等の金属板;ポリエチレンテレフタレート、ポリ
カーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエチレン等
のプラスチックフィルム;合成樹脂を溶融塗布あるいは
合成樹脂溶液を塗布した紙やプラスチックフィルムに金
属層を真空蒸着もしくはラミネートなどの技術により設
けた複合材料等があげられる。これらのうち、特にアル
ミニウム及びアルミニウム被覆された複合支持体が望ま
しい。
【0082】アルミニウム支持体の表面は、保水性を高
め、感光層との密着性を向上させる目的で表面処理され
ていることが望ましい。例えば、粗面化方法としてブラ
シ研摩法、ボール研摩法、電解エッチング、化学的エッ
チング、液体ホーニング、サンドプラスト等の方法及び
これらの組み合わせが挙げられ、特に電解エッチングの
使用を含む粗面化方法が好ましい。
【0083】電解エッチングの際に用いられる電解浴と
しては、酸、アルカリ又はそれらの塩を含む水溶液ある
いは有機溶剤を含む水性溶液が用いられ、これらのうち
で特に塩酸、硝酸又はそれらの塩を含む電解液が好まし
い。更に、粗面化処理の施されたアルミニウム板は、必
要に応じて酸又はアルカリの水溶液にてデスマット処理
される。こうして得られたアルミニウム板は、陽極酸化
処理されることが望ましく、特に硫酸又は燐酸を含む浴
で処理する方法が望ましい。
【0084】又、必要に応じて米国特許第2,714,
066号、同3,181,461号に記載されている珪
酸塩処理(珪酸ナトリウム、珪酸カリウム)、米国特許
第2,946,638号に記載の弗化ジルコニウム酸カ
リウム処理、米国特許第3,201,247号記載のホ
スホモリブデート処理、英国特許第1,108,559
号記載のアルキルチタネート処理、独国特許第1,09
1,433号記載のポリアクリル酸処理、独国特許第
1,134,093号や英国特許第1,230,447
号に記載されているポリビニルホスホン酸処理、特公昭
44−6409号公報に記載されているホスホン酸処
理、米国特許第3,307,951号に記載のフィチン
酸処理、特開昭58−16893号や特開昭58−18
291号に記載の親水性有機高分子化合物と2価の金属
との塩による処理、特開昭59−101651号に記載
のスルホン酸基を有する水溶性重合体の下塗りによって
親水化処理を行ったもの、特開昭60−64352号に
記載の酸性染料による着色を行ったもの、米国特許第
3,658,662号記載のシリケート電着等の処理を
行うことができる。
【0085】また、砂目立て処理および陽極酸化後、封
孔処理を施したものも好ましい。かかる封孔処理は熱水
及び無機塩又は有機塩を含む熱水溶液への浸漬ならびに
水蒸気浴等によって行われる。
【0086】次に本発明のネガ型平版印刷版原版を使用
して、印刷刷版を作製する方法について説明する。
【0087】本発明のネガ型平版印刷版原版は、コンピ
ューター等からのデジタル画像情報を基に、高密度エネ
ルギー光を使用して直接版上に画像書き込みができる、
いわゆるコンピューターツープレート(CTP)版であ
る。本発明のネガ型平版印刷版原版に画像を形成するこ
とのできる高密度エネルギー光光源としては、発振波長
が300nmから950nmまでの各種半導体レーザ
ー、炭酸ガスレーザー(発振波長;10.6nm)、Y
AGレーザー(発振波長;532nm・1064n
m)、エキシマレーザー(発振波長;193nm・30
8nm・351nm)アルゴンレーザー(発振波長;4
88nm)等があり、いずれの場合も、光源の特定波長
を吸収し熱に変換でき得る適当な顔料または染料を前述
した顔料または染料の中から選び、感熱性組成物層に添
加することにより使用できる。
【0088】本発明の感熱性組成物層は、高密度エネル
ギー光により画像を書き込まれた後、現像処理によって
非画像部が湿式法により除去される。この際使用される
現像液は、アルカリ剤を含有したアルカリ性水溶液であ
る。
【0089】すなわち本発明のネガ型平版印刷版原版の
現像液に用いられるアルカリ剤の具体例としては、珪酸
ナトリウム、珪酸カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナ
トリウム、水酸化リチウム、第二又は第三燐酸のナトリ
ウム又はアンモニウム塩、メタ珪酸ナトリウム、炭酸ナ
トリウム、アンモニア等の無機アルカリ剤、モノ、ジ、
又はトリメチルアミン、モノ、ジ、又はトリエチルアミ
ン、モノ又はジイソプロピルアミン、nーブチルアミ
ン、モノ、ジ、又はトリエタノールアミン、モノ、ジ、
又はトリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エ
チレンジイミン等の有機アミン化合物類が挙げられる。
【0090】これらのアルカリ剤の含有量は、0.00
5〜10重量%で、好ましくは0.05〜5重量%であ
る。0.005重量%より少ないと現像が不良となり、
10重量%より多いと現像に際してネガ型感熱性画像形
成層を侵す等の悪影響を及ぼす。
【0091】本発明のネガ型平版印刷版原版の現像液に
は有機溶剤を添加しても良く、その具体例としては、例
えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ア
ミル、酢酸ベンジル、エチレングリコールモノブチルア
セテート、乳酸ブチル、レブリン酸ブチル、エチルブチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノ
ン、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレン
グリコールベンジルエーテル、エチレングリコールモノ
フェニルエーテル、ベンジルアルコール、メチルフェニ
ルカルビノール、n−アミルアルコール、メチルアミル
アルコール、キシレン、メチレンジクロライド、エチレ
ンジクロライド、モノクロルベンゼン等を挙げることが
できる。
【0092】これら有機溶剤の含有量は、20重量%以
下であり、好ましくは10重量%以下である。
【0093】さらにまた、上記現像液中には必要に応じ
て、亜硫酸リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウ
ム、亜硫酸マグネシウム等の水溶性亜硫酸塩、アルカリ
可溶性ピラゾロン化合物、アルカリ可溶性チオール化合
物、メチルレゾルシン等のヒドロキシ芳香族化合物、ポ
リ燐酸塩、アミノポリカルボン酸類等の硬水軟化剤、イ
ソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム、n−ブチ
ルナフタレンスルホン酸ナトリウム、N−メチル−N−
ペンタデシルアミノ酢酸ナトリウム、ラウリルサルフェ
ートナトリウム塩等のアニオン界面活性剤やノニオン性
界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、
弗素系界面活性剤等の各種界面活性剤や各種消泡剤等を
用いることができる。
【0094】本発明に用いる現像液の組成に関しては、
上記の組成のものが使用されるが、実用上は市販されて
いるネガ型PS版用又はポジ型PS版用の現像液を用い
ることができる。市販されている濃縮タイプのネガ用現
像液を1〜200倍に希釈したものが、本発明によるネ
ガ型平版印刷版原版の現像液として使用可能である。
【0095】本発明によるネガ型平版印刷版原版の現像
処理条件は、温度15℃〜40℃、時間は1秒〜2分
間、であり、画像書き込みの終了したネガ型平版印刷版
原版を現像液に浸漬し、その後、水洗することにより行
われる。必要に応じ、軽く表面を擦る等しても良い。
【0096】現像を終えた本発明のネガ型平版印刷版原
版は、水洗及び/又は水系の不感脂化剤による処理が施
される。水系の不感脂化剤としては、例えば、アラビア
ゴム、デキストリン、カルボキシメチルセルロース等の
水溶性天然高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニル
ピロリドン、ポリアクリル酸等の水溶性合成高分子等の
水溶液が挙げられ、必要に応じ、これらの水系の不感脂
化剤に酸や界面活性剤等が加えられる。その後、不感脂
化後乾燥し、印刷刷版として印刷に使用される。
【0097】得られた印刷刷版の耐刷性を増すことを目
的として、上記の印刷刷版をバーニング処理して印刷刷
版とすることが好ましい。バーニング処理方法として
は、まず上記までの処理方法によって得られた印刷刷版
を水洗し、リンス液やガム液を除去したのちスキージす
る。次いで、整面液を版面に適量注ぎ、専用スポンジを
使用して版全体にムラなく引き伸ばす。スポンジを絞り
余分な整面液を拭き取る。版の乾燥機内で、版上の整面
液を乾燥させる。バーニングオーブン中で180〜30
0℃の温度条件下、1分〜30分間バーニングを行う。
版が冷めた後整面液を水洗により除去し、ガム引きして
乾燥したのち印刷刷版とする、と言う処理工程により実
施することができる。
【0098】本発明に用いる整面液は、バーニング処理
後に地汚れが発生しないように、バーニング処理を施す
前に処理する水溶液として専ら用いられるものであり、
その主たる組成として、各種界面活性剤、特に好ましく
はアニオン性界面活性剤及び/又は弗素系界面活性剤を
0.005〜30重量%、及びpHを2〜11、好まし
くは3〜10の範囲に保つために各種の酸、アルカリあ
るいは塩類が添加される。アニオン性界面活性剤として
好ましい具体例としては、アルキルベンゼンスルフォン
酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、
アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルナフタレ
ンスルフォン酸のアルデヒド縮合物、αーオレフィンス
ルホネート、アルキルスルホネート等のスルフォン酸基
含有活性剤、ラウリル硫酸エステル、ポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル系活性剤等
を挙げることができる。また弗素系界面活性剤の具体例
としては、パーフルオロアルキル基含有カルボン酸塩、
パーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩、パーフルオ
ロアルキル基含有硫酸エステル塩、パーフルオロアルキ
ル基含有燐酸塩等のアニオン性弗素系界面活性剤、パー
フルオロアルキル基含有アミン塩、パーフルオロアルキ
ル基含有4級アンモニウム塩等のカチオン性弗素系界面
活性剤、パーフルオロアルキル基含有カルボキシベタイ
ン、パーフルオロアルキル基含有アミノカルボン酸塩等
の両性弗素系界面活性剤、パーフルオロアルキル基含有
オリゴマー、パーフルオロアルキル基含有ポリマー、パ
ーフルオロアルキル基含有スルホンアミドポリエチレン
グリコール付加物等のノニオン性弗素系界面活性剤等を
挙げることができる。又、酸としては、硝酸、硫酸、燐
酸のような鉱酸、クエン酸、琥珀酸、シュウ酸、酒石
酸、酢酸、林檎酸、フィチン酸、有機ホスホン酸、p−
トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸等を挙げるこ
とができる。又これら酸のカリウム塩、リチウム塩、ナ
トリウム塩、アンモニウム塩、あるいはアルカリ金属の
水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等を挙げることができ
る。
【0099】さらに本発明の整面液には、天然物又は天
然物の変性体又は合成高分子重合体であって、皮膜形成
能を有する高分子化合物も全重量に対して0.0001
〜3重量%添加することができる。また、防腐剤、消泡
剤、着色剤等も添加することができる。
【0100】本発明によるネガ型平版印刷版原版を使用
して、良好な印刷刷版を作製する好ましい方法として
は、まず、本発明によるネガ型平版印刷版原版をYAG
レーザーや赤外線半導体レーザー等の高密度エネルギー
光を光源とした画像露光機に装着し、コンピューターか
らのデジタル情報を直接本発明のネガ型平版印刷版原版
上に画像書き込みを行うことである。この際、本発明に
よるネガ型平版印刷版原版は露光の前後の取扱いにおい
て、特別の安全光を必要とせず通常室内光の下で作業を
進めることができると言う特徴を持っている。
【0101】次いで、市販されているポジ型またはネガ
型PS版用現像液を希釈して得られる現像液を用いて現
像処理を行い、非画像部を除去する。
【0102】このときの現像条件は、一般に市場で行わ
れているネガ型またはポジ型PS版の現像条件と通常は
同じでよい。
【0103】その後、水洗及び/又は水系の不感脂化剤
により処理を施したのち乾燥して印刷刷版を得ることが
できる。
【0104】尚、上記現像処理工程は一工程づつ実施し
ても差し支えないが、実用的にはこれら作業を一貫して
行うことのできる自動現像機を使用するのが作業工程が
容易であり、好ましい。
【0105】更に、本発明による印刷刷版は耐刷性を増
す為にバーニング処理を施して印刷に供することが好ま
しい。
【0106】
【実施例】次ぎに本発明を実施例によりさらに詳しく具
体的に説明するが、もとより本発明はこれら実施例に限
定されるものではない。
【0107】(参考例1;アクリルポリマー微粒子の合
成例)攪拌装置、還流装置、温度計付き乾燥窒素導入
管、滴下装置を備えた1Lの四つ口フラスコにメチルエ
チルケトンの400gを仕込み、80℃に昇温した。ス
チレンの80g、メタクリル酸メチルの238.9g、
メタクリル酸の24.5g、アクリル酸ブチルの56.
6g、パーブチルO「日本油脂(株)製の重合開始剤の
商品名」の8gをよく混合した溶液を2時間かけて滴下
した。8時間攪拌後、パーブチルOの0.5gを加え、
さらに、8時間撹拌することによって、乾燥固形分比が
49.5%、酸価39.1、数平均分子量が20000
なるアクリルポリマーが得られた。乾燥固形分比は、試
料溶液約1部を秤量するとともに、120℃で、1時間
乾燥後の試料を秤量し、その質量比により求めた。数平
均分子量は、GPCにより測定し、ポリスチレン換算の
分子量でもって記した。酸価は、所定量の試料溶液を秤
量し、濃度既知の水酸化カリウムのメタノール溶液で滴
定して求めた。
【0108】上記のアクリルポリマーの溶液100gを
トリエチルアミンの2.71gで中和し、攪拌しながら
水を滴下した。プレポリマー溶液は徐々に増粘し、約1
50gの水を滴下した辺りから著しく粘度が低下して転
相が完了した。さらに150gの水を加えた後、得られ
た分散液を30℃に加熱して、有機溶剤ならびに余剰の
水を減圧除去することによって、乾燥固形分比33.7
%、平均粒径0.12マイクロメートルのアクリルポリ
マー微粒子の水分散体が得られた。粒径は、レーザード
ップラー式粒度分布計マイクロトラックUPA−150
で測定した。
【0109】(参考例2;ポリエステル微粒子の合成
例)攪拌装置、精溜管、乾燥窒素導入管、温度計を備え
た2Lの四つ口フラスコに、テレフタル酸の397.6
g、イソフタル酸の397.6g、エチレングリコール
の144.9g、ネオペンチルグリコールの243.6
gを仕込み、160℃まで昇温した。ジブチル錫オキサ
イドの0.5gを加えて260℃まで6時間かけて昇温
しながら脱水反応を行った後、精溜管をデカンターに代
えるとともにキシレンの30gを加えて、260℃で水
を共沸除去しながらさらに4時間攪拌した。最後に、降
温してメチルエチルケトンの500gで希釈して、酸価
19.3、乾燥固形分比65.5%の両末端にカルボキ
シル基を有するポリエステルが得られた。酸価は、所定
量の試料溶液を秤量し、濃度既知の水酸化カリウムのメ
タノール溶液で滴定して求めた。乾燥固形分比は、試料
溶液約1gを秤量するとともに、120℃で、1時間乾
燥後の試料を秤量し、その質量比により求めた。
【0110】上記ポリエステルの溶液100gにメチル
エチルケトンの30gを加え、トリエチルアミンの2.
36gで中和し、攪拌しながら水を滴下した。プレポリ
マー溶液は徐々に増粘し、約150gの水を滴下した辺
りから著しく粘度が低下して転相が完了した。さらに1
50gの水を加えた後、得られた分散液を30℃に加熱
して、有機溶剤ならびに余剰の水を減圧除去することに
よって、乾燥固形分比30.0%、平均粒径0.30マ
イクロメートルのポリエステル微粒子の水分散体が得ら
れた。粒径は、レーザードップラー式粒度分布計マイク
ロトラックUPA−150で測定した。
【0111】(参考例3;ポリウレタン微粒子の合成
例)攪拌装置、還流装置、乾燥窒素導入管、温度計を備
えた1Lの四つ口フラスコに「バーノックDN−98
0」[大日本インキ化学工業(株)製のポリイソシアネ
ートの商品名]の533g、2,2−ビス(ヒドロキシ
メチル)プロピオン酸の33.5g、ジブチル錫ジラウ
レートの0.05g及び酢酸エチルの300gを加え、
80℃で3時間撹拌することによって乾燥固形分比が5
0.0%、NCO含有率6.80%なるポリウレタンプ
レポリマーの溶液が得られた。NCO(イソシアネート
基)含有率は、所定量の試料溶液を秤量し、測定するイ
ソシアネート基より過剰の濃度既知のジn−ブチルアミ
ンの酢酸エチル溶液を一定量加えて反応せしめ、過剰の
ジn−ブチルアミンを濃度既知の塩酸水溶液で逆滴定す
ることによって求めた。
【0112】上記ポリウレタンプレポリマーの溶液10
0gにメチルエチルケトンの30gを加え、トリエチル
アミンの3.50gで中和し、攪拌しながら水を滴下し
た。プレポリマー溶液は徐々に増粘し、約150gの水
を滴下した辺りから著しく粘度が低下して転相が完了し
た。さらに150gの水を加えた後、ジエチレントリア
ミンの2.51gを50gの水に溶解した水溶液を攪拌
しながらゆっくりと加えた。次いで、得られた分散液を
30℃に加熱して、有機溶剤ならびに余剰の水を減圧除
去することによって、乾燥固形分比33.5%、平均粒
径0.078マイクロメートルのウレタン微粒子の水分
散体が得られた。粒径は、レーザードップラー式粒度分
布計マイクロトラックUPA−150で測定した。所定
量の試料溶液を秤量し、濃度既知の水酸化カリウムのメ
タノール溶液で滴定して求めたウレタン微粒子の酸価
は、31.2であった。
【0113】(実施例1)カーボンブラックCWA(ア
クリル酸樹脂でグラフト化されたカーボンブラック;カ
ーボンブラック含有量55重量%;チバガイギー社製)
30.0g、蒸留水45.0g、イソプロピルアルコー
ル60.0g及びアンモニア水(NH3 として28〜3
0重量%含有)15.0gを、カッタC20装着のホモ
ジナイザーHG30(日立製作所社製)にて10分間攪
拌粉砕した後、15マイクロメートルのフィルターを通
して濾過してカーボンブラックCWAの分散液を得た。
この分散液は固形分を21.0重量%含有していた。
【0114】参考例1で得られたアクリル微粒子の水分
散体36.0gに攪拌しながらカーボンブラックCWA
分散液30.0g、蒸留水75.0g,メタノール3
0.0g及び弗素系界面活性剤としてメガファックF−
177(大日本インキ化学製)0.02gをこの順番で
加え、更に室温にて10分間攪拌して塗布液とした。
【0115】厚さ0.3mm厚のアルミニウム板をナイ
ロンブラシと400メッシュのパミストンの水懸濁液を
用い、その表面を砂目立てし、次いで20%硫酸電解液
中、電流密度2A/dm2 で陽極酸化処理して、2.7
g/m2 の酸化皮膜を形成し、水洗乾燥して支持体を得
た。
【0116】この支持体にさきの塗布液を、ロッド番号
#20のワイヤーバーを用いて塗布し、60℃4分間乾
燥して、本発明の平版印刷版原版1を得た。乾燥塗布量
は2.2g/m2 であった。
【0117】平版印刷版原版1を用い、1W赤外線半導
体レーザーを搭載したテスト露光機(波長808nm、
露光エネルギー量150mJ/cm2 ;ライン電子社
製)にて画像露光を行った後、ポジ用PS版現像液PD
−1(ポリクロームジャパン社製)1:99希釈溶液を
用い、手現像にて30℃、10秒間現像した。さらに、
水洗後、ガム液UG1(ポリクロームジャパン社製)処
理を施して乾燥し、印刷刷版(1)を得た。以上の作業
はいずれも明室下で行われた。
【0118】また、印刷刷版(1)を水洗、整面液(U
T1;ポリクロームジャパン社製)処理した後、バーニ
ングオーブン(SPBO−1型;光陽化学製)中で24
0℃、10分間バーニングし、水洗、ガム引きして印刷
刷版(1’)を作製した。
【0119】次に、印刷刷版(1)及び(1’)を用い
て、印刷試験を実施した。印刷条件は、印刷機;「TO
KO 820L」(東京航空計器株式会社製)、印刷速
度5000枚/時間、印刷用紙;十条ダイヤコートB
4、インキ;ジオス−G紅−S(大日本インキ化学工業
製)、エッチ液;「PPスクリーン」(日研化学研究所
製)湿し水;PPスクリーンを1:50に水で希釈して
使用した。印刷画像の良好な印刷部数は印刷刷版(1)
の場合1,200枚であり、印刷刷版(1’)の場合は
2,000枚であった。
【0120】(実施例2)ブラックカラー用カーボンブ
ラックHCF30.0g、蒸留水45.0g、イソプロ
ピルアルコール60.0g及びテトラエチルアンモニウ
ムハイドロキサイド10%水溶液45.0gを、カッタ
C20装着のホモジナイザーHG30(日立製作所社
製)にて10分間攪拌粉砕した後、15マイクロメート
ルのフィルターにて濾過し、カーボンブラックの分散液
を得た。この分散液は固形分を22.2重量%含有して
いた。
【0121】参考例2のポリエステル微粒子の水分散体
40.0gに攪拌しながらカーボンブラック分散液3
5.0g、蒸留水240.0g,及び弗素系界面活性剤
としてメガファックF−470(大日本インキ化学工業
社製)を0.8重量%含有したメタノール溶液100.
0gをこの順番で加え、さらに室温にて10分間攪拌し
て塗布液とした。
【0122】実施例1で作製した支持体に、塗布液をロ
ッド番号#20のワイヤーバーを用いて塗布し、60℃
4分間乾燥して、本発明の平版印刷版原版2を得た。乾
燥塗布量は2.0g/m2 であった。
【0123】平版印刷版原版2を用い、実施例1と同様
に1W赤外線半導体レーザーを搭載したテスト露光機に
て画像露光を行った後、ポジ用PS版現像液PD−1
(ポリクロームジャパン社製)1:99希釈溶液を用
い、手現像にて30℃、10秒間現像した。更に、水洗
後、ガム液UG1(ポリクロームジャパン社製)処理を
施して乾燥し、印刷刷版(2)を得た。以上の作業はい
ずれも明室下で行われた。
【0124】また、印刷刷版(2)を水洗、整面液(U
T1;ポリクロームジャパン社製)処理した後、バーニ
ングオーブン(SPBO−1型;光陽化学製)中で24
0℃、10分間バーニングし、水洗、ガム引きして印刷
刷版(2’)を作製した。
【0125】次に、印刷刷版(2)及び(2’)を用い
て実施例1と同様の印刷条件にて印刷テストを実施し
た。印刷画像の良好な印刷部数は印刷刷版(2)の場合
1,000枚であり、印刷刷版(2’)の場合には1,
600枚であった。
【0126】(実施例3)参考例3で得られたポリウレ
タン微粒子の水分散体32.0gに攪拌しながら水11
0gを加えた後、予めオイルブラック2HB(東京化
成)10.0gとメガファックF−470(大日本イン
キ化学工業製)1.0gとをイソプロパノール60gに
強制分散した溶液を攪拌しながら加え、さらに室温にて
10分間攪拌して塗布液とした。
【0127】実施例1で作製した支持体に、塗布液をロ
ッド番号#20のワイヤーバーを用いて塗布し、60℃
4分間乾燥して、本発明の平版印刷版原版3を得た。乾
燥塗布量は2.1g/m2 であった。
【0128】平版印刷版原版3を用い、実施例1と同様
に1W赤外線半導体レーザーを搭載したテスト露光機に
て画像露光を行った後、ポジ用PS版現像液PD−1
(ポリクロームジャパン社製)1:26希釈溶液を用
い、手現像にて30℃、10秒間現像した。更に、水洗
後、ガム液UG1(ポリクロームジャパン社製)処理を
施して乾燥し、印刷刷版(3)を得た。以上の作業はい
ずれも明室下で行われた。
【0129】また、印刷刷版3を水洗、整面液(UT
1;ポリクロームジャパン社製)処理した後、バーニン
グオーブン(SPBO−1型;光陽化学製)中で240
℃、10分間バーニングし、水洗、ガム引きして印刷刷
版(3’)を作製した。
【0130】次に、印刷刷版(3)及び(3’)を用い
て実施例1と同様の印刷条件にて印刷テストを実施し
た。印刷画像の良好な印刷部数は印刷刷版(3)の場合
には800枚であり、印刷刷版(3’)の場合には1,
200枚であった。
【0131】
【発明の効果】光を吸収し熱を発生する物質、酸価が1
0〜300でかつ平均粒子径が0.005〜15マイク
ロメートルまでのアニオン型自己水分散性樹脂粒子及び
弗素系界面活性剤を含有する感熱性組成物を、親水性表
面を持つ支持体上に塗設した本発明によるネガ型平版印
刷版原版は、コンピューターからのデジタル情報に基づ
く高エネルギー光による画像様露光、アルカリ水溶液に
よる現像、後処理、バーニング処理などの工程処理を明
室下で行うことにより、印刷可能な印刷刷版を容易に得
ることができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田代 南征 千葉県袖ヶ浦市長浦駅前7−4−6

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性表面を持つ支持体の上に、光を吸
    収し熱を発生する物質、酸価が10〜300でかつ平均
    粒子径が0.005〜15マイクロメートルのアニオン
    型自己水分散性樹脂粒子及び弗素系界面活性剤を含有す
    る感熱性組成物層を有することを特徴とするネガ型平版
    印刷版原版。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の光を吸収し熱を発生する
    物質が、グラフト重合された顔料である請求項1記載の
    ネガ型平版印刷版原版。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のグラフト重合された顔料
    が、グラフト重合されたカーボンブラックである請求項
    1又は2記載のネガ型平版印刷版原版。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の光を吸収し熱を発生する
    物質が、染料である請求項1記載のネガ型平版印刷版原
    版。
  5. 【請求項5】 アニオン型自己水分散性樹脂粒子が、ア
    ニオン型自己水分散性樹脂を有機溶剤中に溶解又は分散
    させる第一工程と、前記溶解又は分散組成物を転相乳化
    することにより水媒体中に微小粒子を生成させる第二工
    程とから製造された微小粒子である請求項1〜4のいず
    れかに記載のネガ型平版印刷版原版。
  6. 【請求項6】 アニオン型自己水分散性樹脂粒子が、ア
    ニオン型自己水分散性樹脂を有機溶剤中に溶解又は分散
    させる第一工程と、前記溶解又は分散組成物を転相乳化
    することにより水媒体中に微小粒子を生成させる第二工
    程と、有機溶剤及び過剰の水を除去する第三工程を経て
    製造された微小粒子である請求項1〜4のいずれかに記
    載のネガ型平版印刷版原版。
  7. 【請求項7】 アニオン型自己水分散性樹脂粒子が、ア
    ニオン型自己水分散性樹脂を有機溶剤中に溶解又は分散
    させる第一工程と、前記溶解又は分散組成物を転相乳化
    することにより水媒体中に微小粒子を生成させる第二工
    程と、有機溶剤及び過剰の水を除去する第三工程を経て
    製造されたものであって、該第二工程が、該転相乳化後
    に、中和された酸基を逆中和させる工程を含むものであ
    る請求項6に記載のネガ型平版印刷版原版。
  8. 【請求項8】 アニオン型自己水分散性樹脂が、カルボ
    キシル基、燐酸基、スルホン酸基及び硫酸基よりなる群
    から選ばれる少なくとも1種の酸基を有する酸基含有重
    合性単量体類及び又は酸基含有重合性オリゴマー類を必
    須成分として用いて得られる共重合体である請求項1〜
    7のいずれかに記載のネガ型平版印刷版原版。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8に記載のネガ型平版印刷版
    原版を用いた平版印刷刷版を作製する方法であって、
    高密度エネルギー光による画像様露光工程、感熱性組
    成物層の非画像部を湿式法により除去して印刷刷版画像
    を形成する工程、水洗、ガム引き及び乾燥工程の各工
    程を有することを特徴とする平版印刷刷版作製方法。
  10. 【請求項10】 前記した「水洗、ガム引き及び乾燥
    工程」中に、印刷刷版のバーニング処理を含む請求項9
    に記載の平版印刷刷版作製方法。
JP16505098A 1998-06-12 1998-06-12 ネガ型平版印刷版原版および印刷刷版作製方法 Pending JPH11348446A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16505098A JPH11348446A (ja) 1998-06-12 1998-06-12 ネガ型平版印刷版原版および印刷刷版作製方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16505098A JPH11348446A (ja) 1998-06-12 1998-06-12 ネガ型平版印刷版原版および印刷刷版作製方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11348446A true JPH11348446A (ja) 1999-12-21

Family

ID=15804891

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16505098A Pending JPH11348446A (ja) 1998-06-12 1998-06-12 ネガ型平版印刷版原版および印刷刷版作製方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11348446A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004059387A1 (ja) * 2002-12-25 2004-07-15 Kodak Polychrome Graphics Japan Ltd. 感光性組成物および感光性平版印刷版
US6949327B2 (en) 2003-07-09 2005-09-27 Kodak Polychrome Graphics Llc On-press developable lithographic printing plate
US7153627B2 (en) 2002-09-17 2006-12-26 Dainippon Ink And Chemicals, Inc. Heat-sensitive lithographic printing plate and image forming method

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7153627B2 (en) 2002-09-17 2006-12-26 Dainippon Ink And Chemicals, Inc. Heat-sensitive lithographic printing plate and image forming method
WO2004059387A1 (ja) * 2002-12-25 2004-07-15 Kodak Polychrome Graphics Japan Ltd. 感光性組成物および感光性平版印刷版
US6949327B2 (en) 2003-07-09 2005-09-27 Kodak Polychrome Graphics Llc On-press developable lithographic printing plate

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4469927B2 (ja) 感光性組成物およびこれを用いた平版印刷版原版、画像形成方法
EP0945281B1 (en) Heat sensitive composition, lithographic printing plate using the same, and process for preparing a lithographic printing plate
DE60014526T2 (de) Wärmeempfindlicher Vorläufer für eine Flachdruckplatte
EP1328404B1 (en) Aqueous developer for lithographic printing plates
JP2002341536A (ja) ネガ型感光性組成物およびネガ型感光性平版印刷版
US20210354439A1 (en) A lithographic printing plate precursor
EP1038667B1 (en) Lithographic printing plate and image forming method
EP0761429B1 (en) Negative-working image recording material
JP4243884B2 (ja) 感光性組成物、印刷版原版及び画像形成方法
JPH11348446A (ja) ネガ型平版印刷版原版および印刷刷版作製方法
JP4232236B2 (ja) ポジ型平版印刷版原版を用いた印刷刷版作製方法
JP4075275B2 (ja) 感光性組成物、印刷版原版及び画像形成方法
JPH1016423A (ja) ネガ型画像記録材料
JPH11212254A (ja) 平版印刷版原版および印刷刷版作製方法
JP4515730B2 (ja) 感光性組成物および感光性平版印刷版
WO2005010613A1 (ja) 感光性平版印刷版およびその製造方法
JP2000338653A (ja) 感光性組成物、印刷版原版及び画像形成方法
EP0963841B1 (en) A method for making positive working printing plates from a latex
JPH11125897A (ja) 平版印刷版原版および印刷刷版作製方法
JP2000039705A (ja) 感熱性組成物を用いたポジ型平版印刷版原版および印刷刷版作製方法
JP4806221B2 (ja) 平版印刷版の製造方法
JP4567379B2 (ja) 感光性組成物表面の皮膜形成防止方法
JP2004090290A (ja) 平版印刷版用原版
JPH117131A (ja) ネガ型画像記録材料
JP2003021893A (ja) 湿し液なしの平版印刷法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050419

RD01 Notification of change of attorney

Effective date: 20050623

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

A977 Report on retrieval

Effective date: 20070302

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20070315

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070703