JPH11125897A - 平版印刷版原版および印刷刷版作製方法 - Google Patents

平版印刷版原版および印刷刷版作製方法

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JPH11125897A
JPH11125897A JP28844597A JP28844597A JPH11125897A JP H11125897 A JPH11125897 A JP H11125897A JP 28844597 A JP28844597 A JP 28844597A JP 28844597 A JP28844597 A JP 28844597A JP H11125897 A JPH11125897 A JP H11125897A
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image
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plate
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JP28844597A
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Shinji Shimizu
真司 清水
Yasuhiko Kojima
靖彦 児島
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)
  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンピューター等のデジタル情報を高密度エ
ネルギー光を使用して直接書き込みのできる平版印刷版
原版を提供すると共に、該印刷版原版を処理して得られ
る印刷刷版が、従来からのPS版印刷刷版と同等の印刷
特性を持つ印刷刷版である印刷刷版作製方法を提供す
る。 【解決手段】 第一の構成は、支持体上のポジ型感光性
画像形成層の上に、光を吸収し熱を発生する物質、平均
粒子径が0.005ミクロン〜15ミクロンの樹脂粒子
及び弗素系界面活性剤とを含有する樹脂マスク層を有す
る平版印刷版原版。第二の構成は、印刷版原版への高
密度エネルギー光書き込み、湿式の樹脂マスク層非画
像部の除去、活性光線全面露光、ポジ用現像液によ
る画像形成層非画像部除去、作業の前又は後の版面
保護液又はプレートクリナーによるマスク層除去、水
洗、ガム引き、乾燥の各工程を有する印刷刷版作製方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はオフセット印刷分野
で使用される平版印刷版に関し、特にコンピューター等
によるデジタル信号から直接製版できるいわゆるコンピ
ューターツウプレート(CTP)版として用いられる平
版印刷版原版に関する。
【0002】
【従来の技術】従来コンピューターのデジタル信号から
直接製版するシステムとしては、電子写真法によるも
の、Arレーザーによる露光と後加熱によるもの、
近赤外から赤外のハイパワーレーザーによる露光と後加
熱によるもの、銀塩の拡散転写を利用したもの、放
電やレーザー光によりシリコーンゴム層を破壊すること
によるもの、従来からの感光性画像形成層を持つ平版
印刷版(PS版)の上にマスク層を設け、マスク層に画
像形成し、全面露光、現像、後処理を経て印刷版を得る
もの等が知られている。これらいづれの方法において
も、現時点ではそれぞれ一長一短があり更なる検討が続
けられているのが現状であるが、その中で特にの技術
による版材は、高解像度の画像が得られること、大きい
版にも対応できること、最終的に出来上がった刷版は従
来のPS版と全く同じであることから印刷に際して印刷
オペレーターの経験的な慣れがあること等の理由から、
従来のフィルムとPS版を使用した製版システムからコ
ンピューターツウプレート(CTP)版システムへ技術
移行するに当たり、現場作業者からスムースに受け入れ
られる技術移行システムとして注目されている。
【0003】従来のPS版上にマスク画像を形成させる
方法としては、(i)インクジェットによる書き込み
法、(ii)感熱転写による方法、(iii)銀塩層を
塗布し、銀塩層への画像様露光と湿式現像処理を経てマ
スク像を得る方法、(iv)PS版上に設けたマスク層
をハイパワーレーザー光により破壊して画像を形成する
方法等が知られている。
【0004】この中で(i)と(ii)は高解像度のも
のが得られない、書き込み速度が遅い、(iii)は高
解像度のものが得られるものの後処理が煩雑であると言
う問題があった。
【0005】(iv)のレーザー光による破壊方法は、
例えば特開昭50−113307号、同50−1024
01号、同50−158405号、同53−23705
号、同53−33702号、同58−18290号、同
60−83893号、同61−36750号などにより
公知の技術であるが、実用上の問題としては破壊跡が不
揃いで高解像度のものが得難いこと、書き込み時に飛散
や蒸発が起こり機器の汚染をまねくこと、高エネルギー
を必要とするため書き込み速度が遅くなり大きい版では
書き込みに時間がかかること等の問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、樹脂マスク
層への高密度エネルギー光による書き込み画像形成の機
構として、いわゆるPS版などに於ける光エネルギーと
モノマーによる重合反応(ネガ型PS版)あるいはポリ
マーの部分分解反応に伴う改質(ポジ型PS版)のごと
き化学反応を利用した機構とは異なり、光エネルギーの
吸収により発生した熱により画像部の樹脂粒子が溶融・
融着して潜像を形成し、その後この潜像を処理液を使用
した湿式法により未変性の非画像部を溶解除去して現像
する新しい方法を見い出したことにより行われたもの
で、本発明によるマスク層の画像形成工程は物質の物理
的な変化を利用した機構によるものであり、従来の技術
とは全く異なる原理に基づく方法であると言える。
【0007】従来のレーザー光線を用いた破壊法による
画像書き込みでは通常800mJ/cm2 から1200
mJ/cm2 の高密度エネルギーを必要とし、しかも書
き込み時には破壊に伴う物質の飛散や蒸発が起こり、機
器の汚染や画像の損傷などの問題があった。さらに高エ
ネルギーを必要とするため書き込み速度が遅くなるなど
の問題もあった。一方本発明による樹脂マスク層の熱変
性による方法では、光エネルギー量として150mJ/
cm2 から200mJ/cm2 と言う極めて低エネルギ
ー量の露光量により画像書き込みができ、汚染物質も発
生しない。従って、本発明の第一の課題は、書き込み速
度も早く、汚染物質の発生しないクリーンな処理のでき
る、高密度エネルギー光を用いて直接書き込みのできる
平版印刷版原版を提供することにある。
【0008】また、通常高密度エネルギー光を用いて画
像を形成させる場合にはバンディングと言う故障が発生
する。バンディングとは、光源となるレーザー素子の出
力パワーのバラツキや、線状にレーザーを走査させた場
合に照射面内における光強度分布の異なりが走査線と走
査線の境界付近に現れバンド状の模様として認められる
もので、高密度エネルギーレーザーにより直接印刷材料
などに書き込みを行う場合には多発的に認められるトラ
ブルである。しかし本発明のマスクを用いる方法によれ
ば、これら光源に起因する不均一性が、マスク形成後の
全面露光工程においてきれいに均一化されて緩和され、
バンティングによるトラブルは解消されてしまう。従っ
て、本発明による第二の課題は、高密度エネルギー光を
用いることにより発生するバンディングなどの故障が生
じることのない、高品質の印刷版画像が得られる平版印
刷版原版を提供することにある。
【0009】また、本発明による第三の課題は、最終的
に仕上がった印刷刷版が従来から使用している印刷刷版
と変わりなく、印刷に当たって印刷現場における熟練印
刷工員の経験が十分に生かされ、違和感なく取扱いので
きる平版印刷版原版を提供することにある。
【0010】さらに、本発明の第四の目的は、コンピュ
ーターなどのデジタル信号から直接製版可能であり、さ
らに現像処理に当たっては従来の処理装置が利用でき、
印刷においても従来の印刷装置をそのまま利用できる高
密度エネルギー光書き込み型コンピューターツウプレー
ト版である平版印刷版原版を提供することである。
【0011】本発明の第五の目的は、本発明の方法に従
って作製された平版印刷版原版は、特別な安全光を必要
とせず、通常の室内照明灯などの下で作業を行っても支
障なく良好な印刷刷版を作製することができると言う作
業性の改善された平版印刷版原版を提供することであ
る。
【0012】本発明の第六の目的は、高密度エネルギー
光により形成された画像と、ポジ型感光性画像形成層上
に形成され印刷画像となる画像とが同じ画像である平版
印刷版原版を提供することである。
【0013】本発明の第七の目的は、画像の形成された
ポジ型感光性画像形成層上に残るマスク画像を印刷前に
剥離除去する必要があるが、容易で安価に除去できる方
法を提供することである。
【0014】さらに、本発明の第八の目的は、上述した
課題を解決した本発明による平版印刷版原版を使用し
て、印刷に必要な解像度の高い良好な印刷刷版を作製で
きる印刷刷版作製方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、従
来から本業界では公知のポジ型感光性画像形成層の上
に、光を吸収し熱を発生する物質、平均粒径が0.00
5ミクロン〜15ミクロンまでの樹脂粒子および弗素系
界面活性剤を主構成成分として含有する樹脂マスク層を
設けた平版印刷版原版を用い、「高密度エネルギー光
による画像様露光、樹脂マスク層の非画像部を湿式法
により除去してマスク画像を形成する(以下、第一現像
と言う)、活性光線の全面露光によりポジ型感光性画
像形成層にマスク画像に基づく潜像画像を形成する、
マスク画像を除去する、ポジ型感光性画像形成層をポ
ジ用の現像液を用いて現像処理し印刷刷版画像を形成す
る(以下、第二現像と言う)、水洗、ガム引き、乾燥
を経て印刷刷版を得る」方法、またはとの工程を入
れ替え、「高密度エネルギー光による画像様露光、
樹脂マスク層の非画像部を湿式法により除去してマスク
画像を形成する(第一現像)、活性光線の全面露光に
よりポジ型感光性画像形成層にマスク画像に基づく潜像
画像を形成する、ポジ用の現像液を用いて現像処理し
印刷刷版上に画像を形成する(第二現像)、マスク画
像を除去する、得られた画像様印刷刷版を水洗、ガム
引き、乾燥して最終的な印刷刷版を得る」平版印刷刷版
作製方法により達成することができた。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は、通常のポジ型感光性画
像形成層上に、高密度エネルギー光に対して極めて感度
の高い樹脂マスク層を形成することを特徴とするが、以
下に本発明の樹脂マスク層について詳細に説明する。
【0017】本発明に於いては、樹脂マスク層中に光を
吸収し熱を発生する物質を含有することが必須である
が、このような物質として種々の顔料を用いることがで
きる。又、同時に用いる顔料は、処理工程中に於ける活
性光線による全面露光時に於いて、活性光線を十分に遮
光して下層の感光性画像形成層に対するマスク作用を有
するものでなくはならない。
【0018】本発明に使用されるこの様な顔料として
は、市販の顔料及びカラーインデックス便覧、「最新顔
料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最
新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印
刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)等に記載
されている顔料が利用できる。顔料の種類としては、黒
色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔
料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料その他ポ
リマー結合色素等が挙げられる。具体的には、不溶性ア
ゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ
顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、
ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キ
ナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリ
ノン系顔料、キノフタロン系顔料、染め付けレーキ顔
料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔
料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用で
きる。これら具体例の中でも特に近赤外線ないし赤外線
レーザーを吸収して効率よく熱を発生し、活性光線に対
する遮光性も良好で、しかも経済的にすぐれた物質とし
てカーボンブラックが好ましく用いられる。
【0019】これらの顔料は表面処理をせずに用いても
よく、また公知の表面処理を施して用いても良く、公知
の表面処理方法としては、樹脂やワックスを表面コート
する方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質
(たとえば、シランカップリング剤やエポキシ化合物、
ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法な
どが考えられる。これらの表面処理方法については、
「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「最新顔料応用
技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技
術」(CMC出版、1984年刊)に記載されている。
特に、本発明の樹脂マスク層に好ましく用いられるの
は、グラフト重合により分散溶媒中への分散性を改良し
たグラフト化カーボンブラックである。
【0020】本発明に用いられるグラフト化カーボンブ
ラックは、カーボンブラックの存在下で、重合開始剤を
用いてビニルモノマーの重合を行い、系内で生成する成
長ポリマー鎖を粒子表面で補足する方法、カーボンブラ
ック表面へ導入した重合開始基からグラフト鎖を成長さ
せる方法、カーボンブラック表面の官能基と反応性ポリ
マーとの反応による方法等により合成して用いることが
でき、今日では種々の官能基をもった分散性のよいグラ
フト化カーボンブラックが市販されており、それらを本
発明に用いることができる。これらグラフト化カーボン
ブラックに関しては、「カーボンブラック便覧第3版、
(カーボンブラック協会編)1995年、167頁」、
「カーボンブラックの特性と最適配合および利用技術
(技術情報協会)1997年、111頁」等に詳しく説
明されており、いづれも本発明に好適に使用される。
【0021】グラフト化されたカーボンブラックの具体
例としては、不飽和ポリエステルをカーボンブラックに
グラフトした後各種ビニルモノマーとのラジカル重合を
行ったもの、カーボンブラックとラウロイルペルオキシ
ドとの反応により得られるCB−ペルオキシド基と各種
ビニルモノマーとのラジカル重合反応物、アゾ基を導入
したカーボンブラックと各種ビニルモノマーとのラジカ
ル重合反応物、カーボンブラック表面に導入したアシリ
ウムパークロレートとビニルモノマー、ラクトン、環状
エーテル、環状アセタールなどとのカチオン開環重合
物、カーボンブカックに導入されたクロルメチル基と2
−オキサゾリン類とのカチオン開環異性化重合反応物、
カーボンブラックに導入されたベンジリウムパークロレ
ートとビニルモノマー、ラクトン、および環状エーテル
などとのカチオングラフト重合物、カーボンブラックに
導入されたカリウムカルボン酸基とβープロピオラクト
ンのアニオン開環重合物、カーボンブラックに導入され
たカリウムカルボン酸基とエポキシドと環状酸無水物と
のアニオン開環交互共重合物、カーボンブラック/ブチ
ルリチウム複合体とメチルメタアクリレートやアクリロ
ニトリルとのアニオングラフト重合物、カーボンブラッ
クに導入されたアミノ基とα−アミノ酸−N−カルボン
酸無水物との開環重合物、カーボンブラックの表面に導
入された高反応性の官能基、例えば、イソシアナート
基、アシルアジド基、アシルクロリド基、エポキシ基、
クロロトリアジニル基、活性エステル基等とポリプロピ
レングリコール、ポリエチレングリコール、シリコンジ
オール、シリコンジアミンおよびポリエチレンイミンな
どとのグラフト重合物等を挙げることができる。
【0022】顔料の粒径は、0.01μm〜15μmの
範囲にあることが好ましく、0.05μm〜5μmの範
囲にあることが更にに好ましい。
【0023】顔料の使用量は、樹脂マスク層の全固形分
に対して、1〜70重量%、更に好ましくは10〜50
重量%である。添加量が1重量%より少ない場合には、
光を吸収して熱を発生しても共存する樹脂を溶融するの
に十分な熱量とはならず、添加量が70重量%より多い
場合には、発生する熱量が多すぎて燃焼や破壊などの現
象が起きて、画像を形成するのに適当な溶融潜像を形成
することが困難である。
【0024】本発明の樹脂マスク層を構成する材料とし
て、平均粒子径が0.005ミクロンから15ミクロン
までの樹脂粒子があり、これについて説明する。
【0025】本発明の樹脂マスク層における樹脂材料の
役割としては、まず高密度エネルギー光の照射を受けた
顔料が光エネルギーを熱エネルギーに変換し、発生した
熱により樹脂粒子が熱的に溶融・融着して変性し、例え
ば下層のポジ型感光性画像形成層との接着性が大きく変
化するとか、樹脂マスク層の湿式法による除去(第一現
像)に際して樹脂粒子の熱変性により有機溶剤を含有し
たアルカリ性水溶液に対する溶解度が著しく低下するも
のである。この時、樹脂粒子自身が熱変性により大きく
性質を変える必要はなく、熱変性によって分散している
顔料を包み込樹脂マスク層全体として熱変性を行えば良
いことである。従って、樹脂マスク層の樹脂粒子に求め
られる特性としては、塗布溶液中に顔料成分とよく均一
に分散し、乾燥後は安定な塗膜を形成し、熱変性に当た
っては上記の如き作用を発揮し得るものであり、このよ
うな特性を持った樹脂粒子であればいずれも本発明の樹
脂として使用することができる。但し、本発明の目的が
画像処理を行うと言うことであり、この点から粒子サイ
ズは自ずからある一定以下のサイズ、すなわち15ミク
ロン以下となり、一方あまり小さい粒子は実質的に実用
化に当たって経済的ではなく、ある一定以上の粒子サイ
ズ、すなわち0.005ミクロン以上の粒子である必要
がある。
【0026】本発明の樹脂マスク層に使用可能な樹脂と
しては、上記の条件に合致さえすれば特定の制限はな
く、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、メ
ラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリ
ル樹脂、塩化ビニル樹脂、弗素樹脂、シリコン樹脂、繊
維素系樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ
プロピレン樹脂、スチレン樹脂、ABS樹脂、ポリビニ
ルアルコール樹脂、アクリロニトリルースチレン系樹
脂、塩化ビニリデン樹脂、AAS樹脂、AES樹脂、ポ
リビニルブチラール樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−
1樹脂、ポリブテン−1樹脂、ユリア樹脂、ジアリルフ
タレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹
脂、アセタール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポ
リブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタ
レート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイ
ミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹
脂、ポリアリレート樹脂等いずれの樹脂も使用できる。
【0027】またこれら樹脂を得るための重合反応とし
ては、光重合反応、ラジカル重合反応、カチオン重合反
応、アニオン重合反応および配位アニオン重合など公知
の重合反応を駆使して樹脂を作製することができる。重
合反応方法として溶液重合や塊状重合で得た樹脂は、本
発明による0.005ミクロンから15ミクロンまでの
樹脂粒子とするために粉砕および分級などの後処置工程
を行ってから使用することができる。しかし一方、懸濁
重合や乳化重合で得た樹脂は必要に応じて分級などの工
程を行うか、あるいはそのまま使用することができるた
め、本発明の粒子作製方法として好ましく用いられ、特
に好ましくは乳化重合である。
【0028】本発明の樹脂粒子を作製するため特に好ま
しく採用される乳化重合には、極性の大きく異なるモノ
マーを共重合することができること、反応中の重合熱に
伴う温度上昇の制御が容易であること、生成ポリマーの
サイズの制御や分離が容易であること等の理由によりラ
ジカル重合反応による方法が推奨される。
【0029】本発明の樹脂粒子を調整するための乳化重
合方法は、互いに混じり合わない溶媒(通常は水と非極
性有機溶剤を使用)に、重合して必要なポリマーとなる
モノマーと界面活性剤とを添加し、激しく攪拌して乳化
させたのち、嫌気下開始剤を添加して重合反応を開始さ
せる。必要に応じて加熱または/および冷却、禁止剤や
抑制剤の使用なども適宜利用することができる。反応停
止後は、得られた粒状樹脂を濾過乾燥して用いたり、あ
るいは反応後得られた樹脂粒子と溶媒とをそのまま、次
工程である樹脂マスク層の組成液用として用いることが
できる。乳化重合に使用される開始剤としては、過硫酸
アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩、過酸化
水素−金属塩、有機過酸化物−金属塩、有機過酸化物−
脂肪族または脂環式ポリアミン化合物、有機過酸化物−
ジメチルアニリン、重クロム酸カリ−金属酸化物等のレ
ドックス系開始剤、芳香族ジアゾアミノ化合物、芳香族
ジアゾチオエーテル化合物、芳香族ジアゾオキシ化合
物、脂肪族ジアゾ化合物等のアゾ化合物を挙げることが
できる。乳化重合に使用される界面活性剤としては、脂
肪酸塩(ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、
ステアリン酸カリウムなど)、スルホン酸塩(セチルス
ルホン酸ナトリウム等)、アルキル硫酸塩(ドデシル硫
酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等)、アルキル
アリルスルホン酸塩(ドデシルトルエンスルホン酸ナト
リウム等)、ジアルキルスルホコハク酸塩(ジオクチル
スルホコハク酸ナトリウム等)等のアニオン性界面活性
剤、アルコキシポリ(エチレンオキシド)エタノール類
化合物、アルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エ
タノール類化合物、アルコキシ(エチレンオキシ)エタ
ノールエステル類化合物、アルコキシセルロース類化合
物等の非イオン性界面活性剤、アルキルアンモニウム塩
(ドデシルアンモニウムアセテート等)、第3アミン塩
(ヘキサデシルトリメチルアンモニウムアセテート
等)、アルキルピリジニウム塩等のカチオン性界面活性
剤を挙げることができる。
【0030】本発明の樹脂粒子を調整するのに好ましく
用いられるモノマーとしては、エチレン、プロピレン、
ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、1−ブテン、
スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、
ジビニルベンゼン、アセチレン、ジシクロペンタジエ
ン、シクロドデカトリエン等のオレフィン化合物類、ア
クリロニトリル、アクリル酸、アクリル酸塩類、アクリ
ルアミド、アクリルアミド誘導体(N−オクチルアクリ
ルアミド、メチレンビスアクリルアミド等)、アクリル
酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル
等)、メタアクリル酸、メタアクリル酸エステル類(メ
タクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等)、ヒドキシ
エチルメタクリレート類(2−ヒドロキシエチルメタク
リレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート
等)、アミノエチルメタクリレート類(ジメチルアミノ
エチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリ
レート等)、イタコン酸、クロトン酸、ソルビン酸、ケ
イ皮酸メチル等のアクリル系モノマー、酢酸ビニル、臭
化ビニル、ビニルエチルエーテル、4−ビニルピリジ
ン、N−ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、N−
ビニルカルバゾール、イソブチルビニルエーテル、2−
ビニルピリジン、モノクロル酢酸ビニル等のビニルモノ
マー、酸化エチレン、酸化プロピレン、エチレンクロル
ヒドリン等のエチレンオキシド類、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等
のグリコール類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジ
アミン、p−フェニレンジアミン等のジアミン類、1,
4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,
6−ヘキサンジオール等のジオール類、シュウ酸、コハ
ク酸、マロン酸、無水マレイン酸、フマル酸クロリド、
γ−ブチロラクタム、アジピン酸、セバシン酸、ヒドロ
キシ安息香酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット
酸等のカルボン酸類、アリルアミン、アリルアルコー
ル、アリルクロライド、アリルグリシジルエーテル、メ
タアリルクロライド、メタアリルスルホン酸ナトリウ
ム、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメチ
ラート、トリアリルアミン等のアリルモノマー類、トリ
レンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、
ヘキサメチレンジイソシアナート、ホスゲン等のジイソ
シアナート類、ホルマリン、トリオキサン、パラホルム
アルデヒド、パラアルデヒド、メタアルデヒド、アクロ
レイン、メタクロレイン、グリオキザール、スピロアセ
タール、クロトンアルデヒド、クロラール、ジケテン等
の重合性アルデヒド類、テトラヒドロフラン、β−プロ
ピオラクトン、カプロラクタム等の環状エーテル、ラク
トン、ラクタム類、フェノール、レゾルシノール、ビス
フェノールA、水素化ビスフェノールA等の縮合用フェ
ノール類、メラミン、ジシアンジアミド、塩化シアヌ
ル、テトラシアノキノジメタン等の縮合用トリアゾール
類を挙げることができる。
【0031】以上のモノマーを重合させて得られる樹脂
粒子は、モノマーを単独で用いてもよいし、いくつかの
モノマーを共重合させて用いても良い。また、得られた
樹脂粒子は平均サイズが0.005ミクロンから15ミ
クロンのサイズであることが必要で、好ましくは0.0
1から10ミクロンのサイズである。また、本発明によ
る樹脂マスク層における樹脂粒子の組成比は、20重量
%から90重量%であり、好ましくは30重量%から7
0重量%である。
【0032】尚、本発明の樹脂マスク層に使用する樹脂
粒子としては、実用的には平均粒子径が15ミクロン以
下の建材用、塗料用、インキ用などの用途として開発さ
れ市販されている各種エマルジョンやラテックスなど
を、樹脂マスク層の膜特性を著しく損わない範囲におい
て使用することができる。
【0033】本発明の樹脂マスク層には、弗素系界面活
性剤が添加される。弗素系界面活性剤の作用としては、
樹脂マスク層組成液をPS版表面に塗布するに際して、
塗布品質を向上させるレベリング剤としての作用と、高
密度エネルギー光による露光に際し、熱変性した樹脂マ
スク層の樹脂が下層のPS版樹脂と強固な接着を起こす
のを防ぎ、版面保護液によるマスク画像の除去を容易に
すると言う作用が考えられる。
【0034】本発明の樹脂マスク層に使用される弗素系
界面活性剤の具体例としては、パーフルオロアルキル基
含有カルボン酸塩、パーフルオロアルキル基含有スルホ
ン酸塩、パーフルオロアルキル基含有硫酸エステル塩、
パーフルオロアルキル基含有燐酸塩などのアニオン性弗
素系界面活性剤、パーフルオロアルキル基含有アミン
塩、パーフルオロアルキル基含有4級アンモニウム塩な
どのカチオン性弗素系界面活性剤、パーフルオロアルキ
ル基含有カルボキシベタイン、パーフルオロアルキル基
含有アミノカルボン酸塩などの両性弗素系界面活性剤、
パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、パーフルオロ
アルキル基含有ポリマー、パーフルオロアルキル基含有
スルホンアミドポリエチレングリコール付加物などのノ
ニオン性弗素系界面活性剤等を挙げることができる。
【0035】本発明の樹脂マスク層中への弗素系界面活
性剤の添加量は、樹脂マスク層固形分に対して0.01
〜20重量%であり、好ましくは0.05〜10重量%
である。0.01重量%より少ない場合には、樹脂マス
ク層組成液のPS版上への塗布に際して十分なレベリン
グ効果が得られずまたマスク画像除去性に対しても効果
の改善が見られない。また、20重量%以上添加した場
合には、第一現像に於ける現像性に問題が生じてしま
う。
【0036】本発明の樹脂マスク層をポジ型PS版の感
光性画像形成層上に設けるには、ポジ型PS版の感光性
画像形成層上に樹脂マスク層組成液を塗布し乾燥するこ
とにより作製することができる。樹脂マスク層組成液の
作製には、一例を示せば、まず、顔料を水または、水と
有機溶剤の混合溶媒に分散させることである。分散機と
しては、超音波分散機、サンドミル、アトライター、バ
ールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デ
スパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、
3本ロールミル、加圧ニーダーなどがある。またこの時
使用される有機溶剤は、水と均一に溶解し得る低沸点の
有機溶剤であって、具体的には、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノー
ル、sec−ブタノール、t−ブタノール、アセトン、
メチルエチルケトン、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、プロピレントリオール、酢酸、プロピオン
酸などである。
【0037】また、グラフト化カーボンブラックの場合
には、分散と同時に分散溶媒中での安定化を図るための
添加剤を用いることが出来る。添加剤としては、グラフ
ト化剤のカウンターイオンを構成するカチオンとして、
各種低級の有機第一級アミン、第二級アミン、第三級ア
ミン、第4級アミン等、アルカリ金属類、アルカリ土類
金属等の無機イオン等、またアニオンとしては各種有機
カルボン酸類、有機スルホン酸類、有機燐酸類、アミノ
カルボン酸類などを挙げることができる。また別の安定
化用添加剤としては、各種界面活性剤を挙げることがで
きる。界面活性剤としては、各種カルボン酸塩、スルホ
ン酸塩、硫酸エステル塩、燐酸塩などのアニオン性界面
活性剤、脂肪族アミン塩およびその4級アンモニウム
塩、芳香族4級アンモニウム塩、複素環4級アンモニウ
ム塩等のカチオン性界面活性剤が使用できる。
【0038】次に本発明の樹脂マスク層に用いる樹脂粒
子を含有する調整液について述べる。樹脂粒子が懸濁重
合や乳化重合などの方法で調整され、平均粒径も所望の
範囲にあるものは、重合反応が終了した後、樹脂粒子を
含有した反応溶媒をそのまま先に調整した顔料の調整液
に添加して用いることができる。
【0039】また、樹脂粒子が懸濁重合や乳化重合など
の方法で調整されたが、濾過および乾燥の工程を経て単
離された樹脂や、溶液重合、塊重合あるいは懸濁重合に
より重合し、粉砕、分級の工程を経て作製された樹脂
は、水または/および水に可溶な有機溶剤中に強制分散
させて均一な溶液とした後、先に調整した顔料の調整液
に添加して用いる。
【0040】次に、所定量の弗素系界面活性剤をそのま
ま直接、あるいは水および/または水に可溶な有機溶剤
に溶解して、先に調整した顔料と樹脂粒子の混合液に添
加すれば良い。
【0041】尚、顔料の分散調整液と樹脂粒子分散調整
液と弗素系界面活性剤または弗素系界面活性剤溶液の混
合添加順序については各種方式が考えられ、必ずしもこ
こに記述した方法のみによる必要はなく、いずれの方法
でも良い。
【0042】このようにして調整された樹脂マスク層組
成液はさらに、分散性向上のための各種界面活性剤(ア
ニオン性、カチオン性、非イオン性、両性など)や塗布
性向上のための塗布助剤、たとえば、粘度調整のため各
種天然水溶性高分子や合成水溶性高分子、水溶性の有機
溶剤(メタノール、エタノール、イソプロパノール、n
−プロパノール、ブタノール、sec−ブタノール、t
−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、プロピレントリ
オール、酢酸、プロピオン酸等)等を添加することがで
きる。
【0043】以上のようにして作製された樹脂マスク層
の組成液は、好ましくは塗布溶液中の固形成分が1〜5
0重量%に調整された後、予め表面マット剤を取り除い
たポジ型PS版の感光性画像形成層上に塗布される。塗
布方法としては、回転塗布法、ワイヤーバー塗布法、デ
ィップ塗布法、エアーナイフ塗布法、ロール塗布法、ブ
レード塗布法、カーテン塗布法およびスプレー塗布法等
を挙げることができる。
【0044】上記のようにして、ポジ型PS版の上に塗
布された樹脂マスク層塗布液は、30℃〜150℃で1
0秒〜10分間、熱風乾燥機、赤外線乾燥機などを使用
して乾燥される。乾燥後の樹脂マスク層の塗布量は、
0.5g/m2 〜3.5g/m 2 である。塗布量が0.
5g/m2 より少ない場合には、活性光線による全面露
光に際して、樹脂マスク層によるマスク効果が十分でな
く、塗布量が3.5g/m2 以上の場合には高密度エネ
ルギー光による書き込みに際して十分な熱量が得られ
ず、第一現像において全ての樹脂マスク層が剥離してし
まうと言う問題が起きてしまう。
【0045】以上のようにして作製された本発明による
平版印刷版原版は、最上層にある樹脂マスク層によりポ
ジ型PS版への紫外線などによるカブリ現象を防ぐこと
ができるため、特別な安全光などの設備を必要とせず、
通常の電灯光の下で作業ができると言う利点を有してい
る。
【0046】本発明の樹脂マスク層に画像を形成するこ
とのできる高密度エネルギー光光源としては、発振波長
が300nm〜950nmまでの各種半導体レーザー、
炭酸ガスレーザー(発振波長;10.6nm)、YAG
レーザー(発振波長;532nm・1064nm)、エ
キシマレーザー(発振波長;193nm・308nm・
351nm)アルゴンレーザー(発振波長;488n
m)等があり、いづれの場合も、光源の特定波長を吸収
し熱に変換でき得る適当な顔料を前述した顔料の中から
選び、樹脂マスク層に添加することにより使用できる。
【0047】本発明の樹脂マスク層は、高密度エネルギ
ー光により画像を書き込まれた後、第一現像において非
画像部が湿式法により除去される。この際使用される現
像液(以下第一現像液と言う)は、アルカリ剤および有
機溶剤を含有した水溶液である。
【0048】第一現像液に用いられるアルカリ剤の具体
例としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、水酸化カ
リウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、第二また
は第三燐酸のナトリウムまたはアンモニウム塩、メタ珪
酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の無機ア
ルカリ剤、モノ、ジ、またはトリメチルアミン、モノ、
ジ、またはトリエチルアミン、モノまたはジイソプロピ
ルアミン、n−ブチルアミン、モノ、ジ、またはトリエ
タノールアミン、モノ、ジ、またはトリイソプロパノー
ルアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン等の有機
アミン化合物類が挙げられる。
【0049】これらのアルカリ剤の第一現像液中におけ
る含有量は、0.005〜10重量%で、好ましくは
0.05〜5重量%である。0.005重量%より少な
いと現像が不良となり、10重量%より多いと第一現像
に際して下層の感光性画像形成層を侵すなどの悪影響を
及ぼす。
【0050】第一現像液に用いられる有機溶剤の具体例
としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブ
チル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、エチレングリコール
モノブチルアセテート、乳酸ブチル、レブリン酸ブチ
ル、エチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノン、エチレングリコールモノブチルエーテ
ル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレング
リコールモノフェニルエーテル、ベンジルアルコール、
メチルフェニルカルビノール、n−アミルアルコール、
メチルアミルアルコール、キシレン、メチレンジクロラ
イド、エチレンジクロライド、モノクロルベンゼン等を
挙げることができる。
【0051】これら有機溶剤の第一現像液中における含
有量は、20重量%以下であり、好ましくは10重量%
以下である。
【0052】更にまた、第一現像液中には必要に応じ
て、亜硫酸リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウ
ム、亜硫酸マグネシウムなどの水溶性亜硫酸塩、アルカ
リ可溶性ピラゾロン化合物、アルカリ可溶性チオール化
合物、メチルレゾルシン等のヒドロキシ芳香族化合物、
ポリ燐酸塩、アミノポリカルボン酸類等の硬水軟化剤、
イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム、n−ブ
チルナフタレンスルホン酸ナトリウム、N−メチル−N
−ペンタデシルアミノ酢酸ナトリウム、ラウリルサルフ
ェートナトリウム塩等のアニオン界面活性剤や両性界面
活性剤、消泡剤等を用いることができる。
【0053】本発明に用いる第一現像液の組成に関して
は、上記の組成のものが使用されるが、実用上は市販さ
れているネガ型PS版の現像処理に用いられるネガ用現
像液で代用することができる。市販されている濃縮タイ
プのネガ用現像液を1〜50倍に希釈したものが第一現
像の現像液として使用可能である。
【0054】本発明における第一現像の処理方法は、条
件として温度15℃〜40℃、時間は1秒〜2分間、高
密度エネルギー光による露光済みの本発明による平版印
刷版原版を第一現像液に浸漬し、その後、水洗すること
により行われる。必要に応じ、軽く表面を擦る等しても
良い。また、第一現像液を充填した自動現像機などの使
用も効果的である。
【0055】第一現像が終了した本発明の平版印刷版原
版は、活性光線による全面露光が行われる。この全面露
光により、マスク画像が下層のポジ型感光性画像形成層
に転写されることになる。活性光源としては、通常当業
界でプリンターなどに使用されている活性光源であり、
例えば水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンラン
プ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯などがある。ま
たプリンター等の機器に関しても、既に当業界では公知
の各種プリンターをそのまま利用することができる。
【0056】本発明の樹脂マスク層画像を活性光線によ
り画像転写されるポジ型感光性画像形成層は当業界で公
知のポジ型PS版として使用されているポジ型感光性画
像形成層と全く同じものを使用することができる。
【0057】本発明の樹脂マスク層が使用することので
きるポジ型感光性平版印刷版の感光層組成物の代表的な
ものとしてo−キノンジアジド化合物や酸分解性のエー
テル化合物、エステル化合物などが挙げられる。o−キ
ノンジアジド化合物の具体例としては、特開昭47−5
303号、同48−63802号、同48−63803
号、同49−38701号、同56−1044号、同5
6−1045号、特公昭41−11222号、同43−
28403号、同45−9610号、同49−1748
1号、米国特許2,797,213号、同3,046,
120号、同3,188,210号、同3,454,4
00号、同3,544,323号、同3,573,91
7号、同3,674,495号、同3,785,825
号、英国特許1,227,602号、同1,251,3
45号、同1,267,005号、同1,329,88
8号、同1,330,932号、独国特許854,89
0号等があり、酸分解性化合物の例としては、特開昭6
0−37549号、同60−10247号、同60−3
625号等に記載されているものを挙げることが出来
る。これらの化合物を単独あるいは組み合わせて感光成
分とした感光材料に対して、少なくとも本発明を好まし
く適用することができる。これらの感光成分には芳香族
ヒドロキシ化合物のo−キノンジアジドカルボン酸エス
テルおよび芳香族アミノ化合物のo−キノンジアジドス
ルホン酸またはo−キノンジアジドカルボン酸アミドが
包含され、また、これらo−キノンジアジド化合物を単
独で使用したもの、およびアルカリ可溶性樹脂と混合
し、この混合物を感光層として設けたものが包含され
る。
【0058】アルカリ可溶性樹脂には、ノボラック型フ
ェノール樹脂が含まれ、具体的にはフェノールホルムア
ルデヒド樹脂、クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェ
ノールクレゾール混合ホルムアルデヒド樹脂、クレゾー
ルキシレノール混合ホルムアルデヒド樹脂などが含まれ
る。さらに特開昭50−125806号に記載されてい
るように、上記のようなフェノール樹脂と共に、t−ブ
チルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような炭素数3
〜8のアルキル基で置換されたフェノールまたはクレゾ
ールとホルムアルデヒドとの縮合物とを併用したものも
適用できる。o−キノンジアジド化合物を感光成分とす
る感光層には、必要に応じてさらに染料、可塑剤、プリ
ントアウト性能を与える成分などの添加剤を加えること
ができる。o−キノンジアジド化合物を感光成分とする
感光層の単位面積当りの量は好ましくは0.5〜7g/
2 の範囲について本発明を適用できる。
【0059】上記のポジ型感光性画像形成層の支持体と
しては、例えば、アルミニウム、亜鉛、銅、ステンレ
ス、鉄等の金属板;ポリエチレンテレフタレート、ポリ
カーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエチレン等
のプラスチックフィルム;合成樹脂を溶融塗布あるいは
合成樹脂溶液を塗布した紙やプラスチックフィルムに金
属層を真空蒸着もしくはラミネート等の技術により設け
た複合材料等が挙げられる。これらのうち、特にアルミ
ニウムおよびアルミニウム被覆された複合支持体が望ま
しい。
【0060】アルミニウム支持体の表面は、保水性を高
め、感光層との密着性を向上させる目的で表面処理され
ていることが望ましい。例えば、粗面化方法としてブラ
シ研摩法、ボール研摩法、電解エッチング、化学的エッ
チング、液体ホーニング、サンドプラスト等の方法およ
びこれらの組み合わせが挙げられ、特に電解エッチング
の使用を含む粗面化方法が好ましい。
【0061】電解エッチングの際に用いられる電解浴と
しては、酸、アルカリまたはそれらの塩を含む水溶液あ
るいは有機溶剤を含む水性溶液が用いられ、これらのう
ちで特に塩酸、硝酸またはそれらの塩を含む電解液が好
ましい。さらに、粗面化処理の施されたアルミニウム板
は、必要に応じて酸またはアルカリの水溶液にてデスマ
ット処理される。こうして得られたアルミニウム板は、
陽極酸化処理されることが望ましく、特に硫酸または燐
酸を含む浴で処理する方法が望ましい。
【0062】また、必要に応じて米国特許第2,71
4,066号、同3,181,461号に記載されてい
る珪酸塩処理(珪酸ナトリウム、珪酸カリウム)、米国
特許第2,946,638号に記載の弗化ジルコニウム
酸カリウム処理、米国特許第3,201,247号記載
のホスホモリブデート処理、英国特許第1,108,5
59号記載のアルキルチタネート処理、独国特許第1,
091,433号記載のポリアクリル酸処理、独国特許
第1,134,093号や英国特許第1,230,44
7号に記載されているポリビニルホスホン酸処理、特公
昭44−6409号公報に記載されているホスホン酸処
理、米国特許第3,307,951号に記載のフィチン
酸処理、特開昭58−16893号や特開昭58−18
291号に記載の親水性有機高分子化合物と2価の金属
との塩による処理、特開昭59−101651号に記載
のスルホン酸基を有する水溶性重合体の下塗りによって
親水化処理を行ったもの、特開昭60−64352号に
記載の酸性染料による着色を行ったもの、米国特許第
3,658,662号記載のシリケート電着などの処理
を行うことができる。
【0063】また、砂目立て処理および陽極酸化後、封
孔処理を施したものも好ましい。かかる封孔処理は熱水
および無機塩または有機塩を含む熱水溶液への浸漬なら
びに水蒸気浴などによって行われる。
【0064】本発明に使用するポジ型PS版は、公知の
技術により上記の支持体上にポジ型感光性組成物層を塗
布し乾燥することにより製造される。塗布方法として
は、回転塗布法、ワイヤーバー塗布法、ディップ塗布
法、エアーナイフ塗布法、ロール塗布法、ブレード塗布
法、カーテン塗布法、およびスプレー塗布法などを挙げ
ることができる。このようにして塗布されたポジ型感光
性組成物層は、40〜150℃で30秒〜10分間、熱
風乾燥機、赤外線乾燥機などを用いて乾燥される。
【0065】本発明の平版印刷版原版の樹脂マスク層に
高密度エネルギー光により画像を書き込み、第一現像処
理を行い、活性光線による全面露光を終わった段階で
は、樹脂マスク層の画像を転写されたポジ型PS版の上
に画像様の樹脂マスク層が付着した状態になっている。
このPS版表面に付着している樹脂マスク層は、印刷の
段階まで付着残存していると、印刷物の中に不規則に混
入し、印刷物の汚れとなってしまう。そこで予め、印刷
刷版となる前に除去する必要があるが、除去を行う具体
的工程については、ポジ型PS版の現像処理(第二現
像)の前に行っても良いし、第二現像の後から行っても
良い。第二現像の処理期間においてはポジ用現像液を用
いる限りにおいて、除去することは難しい。
【0066】ポジ型PS版の表面からマスク画像を除去
する方法としては、版面保護液またはプレートクリナー
を使用して行うことができる。
【0067】本発明に使用する版面保護液には水溶性高
分子が含有され、そのような天然水溶性高分子として、
アラビアガム、トラガカントガム、カラギーナン、キサ
ンタンガム、ゼラチン、カゼインナトリウム、グワーガ
ム、タラガム、布海苔、寒天、ファーセレラン、タマリ
ンド種子多糖、カラヤガム、トロロアオイ、ペクチン、
アルギン酸ナトリウム、プルラン、ジュランガム、ロー
カストビーンガム、ホエーなどのアルブミン、水溶性ヘ
ミセルロース、各種澱粉などを挙げることができる。
【0068】本発明で用いる版面保護液に使用される半
天然物水溶性高分子としては、カルボキシメチルセルロ
ース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール
エステル、および可溶性澱粉に代表される加工澱粉等が
ある。
【0069】本発明で用いる版面保護液に使用される合
成水溶性高分子としては、ポリエチレングリコールおよ
びその共重合体、ポリビニルアルコールおよびその共重
合体、ポリビニルピロリドン、プリアクリルアミド、お
よびその共重合体、ポリアクリル酸およびその共重合
体、ビニルメチルエーテルー無水マレイン酸共重合体、
酢酸ビニルー無水マレイン酸共重合体、ポリスチレンス
ルホン酸およびその共重合体などが挙げられる。
【0070】本発明で用いる版面保護液に使用される上
記水溶性高分子の使用量は、版面保護剤全量に対し0.
1〜35重量%が適量であり、好ましくは0.3〜25
重量%である。
【0071】本発明で用いる版面保護液は、好ましくは
pH値が3〜6の範囲で使用するのが有利であるが、版
面保護剤のpH値を3〜6の範囲に調整するには、版面
保護剤中に鉱酸、有機酸および無機塩等を添加するのが
適当である。
【0072】好ましい鉱酸としては、硫酸、硝酸、燐
酸、メタ燐酸などがあり、有機酸としては、酢酸、クエ
ン酸、シュウ酸、マロン酸、p−トルエンスルホン酸、
酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レブリン酸、有機スルホン
酸、アスコルビン酸、グルコン酸、ヒドロキシ酢酸、ス
ルファニル酸、フィチン酸、等が挙げられる。さらにま
た、これらの鉱酸、有機酸のアルカリ金属塩、アルカリ
土類金属塩、アンモニウム塩も好適に使用できる。鉱
酸、有機酸、およびこれらの塩類の少なくとも1種もし
くは2種以上を併用しても良い。
【0073】本発明で用いる版面保護液には、塗膜の表
面状態を良化することを目的として界面活性剤を添加す
ることができる。使用できる界面活性剤としてはアニオ
ン界面活性剤またはノニオン界面活性剤が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、脂肪族アルコール硫酸エ
ステル塩類、脂肪族アルコール燐酸エステル塩類、二塩
基性脂肪エステルのスルホン酸塩類、脂肪酸アミドスル
ホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩類、ホルムア
ルデヒド縮合ナフタレンスルホン酸塩類など、ノニオン
界面活性剤としては、ポリエチレングリコールアルキル
エーテル、ポリエチレングリコールアルキルエステル、
ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシプロピレン
ポリオキシエチレンエーテル類などが用いられる。界面
活性剤は2種以上を併用しても良い、使用量は特に限定
する必要はないが、通常版面保護剤の0.01重量%〜
10重量%の範囲で添加することが望ましい。
【0074】本発明で用いる版面保護液には、上記成分
の他必要に応じて、グリセリン、エチレングリコール、
トリエチレングリコールなどの低級多価アルコール類や
湿潤剤や防腐剤などを添加することができる。
【0075】PS版表面のマスク画像を版面保護液にて
除去する方法としては、PS版表面のマスク画像に版面
保護液を塗布した後柔らかいパフや布でマスク画像を拭
い取る、予め版面保護液に浸したスポンジ、布あるいは
ローラーなどで擦り取るなどの方法である。
【0076】また、版面保護液の替わりとして、版面保
護液と同様の印刷刷版の保護作用を持つ成分を含有し
た、市販の各種プレートクリーナーを使用することもで
きる。
【0077】本発明による第二現像は、一般のポジ型平
版印刷版の現像作業手順と同様の作業手順に従って行う
ことができる。すなわち、活性光線で露光された樹脂マ
スク層の非画像部は、露光により分解、可溶化せしめた
後、ポジ専用の現像液により現像して露光部分を溶解除
去すれば、必要とするポジ型感光性画像形成層に画像が
形成される。
【0078】本発明の第二現像に用いる現像液として
は、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナト
リウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸アンモニウ
ム、第二リン酸アンモニウム、メタ珪酸ナトリウム、重
炭酸ナトリウム、アンモニア水などのような無機アルカ
リ剤およびテトラアルキルアンモニウムハイドライドな
どの様な有機アルカリ剤の水溶液が適当であり、それら
の濃度が0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10
重量%になるように添加される。
【0079】また、第二現像液には必要に応じて、アニ
オン性活性剤、ノニオン性活性剤、カチオン性活性剤、
両性活性剤、弗素系活性剤などの界面活性剤やアルコー
ルなどのような水溶性有機溶剤を加えることもできる。
【0080】第二現像液としては、通常市販されている
ポジ用の現像液がいずれも使用することができるし、必
要に応じポジおよびネガ両用の現像液を用いて現像する
ことも可能である。
【0081】第二現像を終えた本発明の平版印刷版原版
は、予め樹脂マスク層が除去されていた場合はそのま
ま、また樹脂マスク層を除去しないまま第二現像を行っ
た場合には版面保護液またはプレートクリナーにて樹脂
マスク層を除去したのち、水洗および/または水系の不
感脂化剤による処理が施される。水系の不感脂化剤とし
ては、例えば、アラビアゴム、デキストリン、カルボキ
シメチルセルロースなどの水溶性天然高分子;ポリビニ
ルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸
などの水溶性合成高分子等の水溶液が挙げられ、必要に
応じて、これらの水系の不感脂化剤に酸や界面活性剤な
どが加えられる。そして、不感脂化後乾燥し、印刷刷版
として印刷に使用される。
【0082】本発明による平版印刷版原版を使用して、
良好な印刷刷版を作製する好ましい方法としては、ま
ず、本発明による平版印刷版原版をYAGレーザーや赤
外線半導体レーザーなどの高密度エネルギー光を光源と
した画像露光機に装着し、コンピューターからのデジタ
ル情報を直接本発明の平版印刷版原版上に画像書き込み
を行うことである。この際、本発明による平版印刷版原
版は露光の前後の取扱いにおいて、特別の安全光を必要
とせず通常室内光の下で作業を進めることができると言
う特徴を持っている。
【0083】次いで、市販されているネガ用現像液を用
いて第一現像を行い、非画像部を除去する。引き続き、
通常のPS版の焼き付け等に使用されている活性光線を
装着したプリンター等による全面露光を実施する。この
際の露光条件は、本発明の平版印刷版原版の下層に使用
されているポジ型PS版の露光条件と通常は同じであ
る。
【0084】活性光線により全面露光された後、本発明
の平版印刷版原版はポジ用現像液を用いて第二現像処理
が行われる。このときの現像条件は、本発明の平版印刷
版原版の下層に使用されているポジ型PS版の現像条件
と通常は同じでよい。
【0085】尚、第二現像処理の前あるいは後で、画像
様となった樹脂マスク層を除去する必要があるが、除去
方法としては市販の版面保護液あるいはプレートクリー
ナーを用いた擦り取りや拭い取り等の方法によれば良
い。
【0086】その後、水洗および/または水系の不感脂
化剤により処理を施したのち乾燥して印刷刷版を得るこ
とができる。
【0087】尚、第一現像以下の工程は一工程づつ実施
しても差し支えないが、実用的にはこれら作業を一貫し
て行うことのできる自動現像機を使用するのが作業工程
が容易であり、好ましい。
【0088】
【実施例】次ぎに本発明を実施例によりさらに詳しく具
体的に説明するが、もとより本発明はこれら実施例に限
定されるものではない。
【0089】〔実施例1〕カーボンブラックCWA(ア
クリル酸樹脂でグラフト化されたカーボンブラック;カ
ーボンブラック含有量55重量%;チバガイギー社製)
30.0g、蒸留水45.0g、イソプロピルアルコー
ル60.0gおよびアンモニア水(NH3 として28〜
30重量%含有)15.0gを、カッタC20装着のホ
モジナイザーHG30(日立製作所社製)にて10分間
攪拌粉砕した後、15ミクロンのフィルターを通して濾
過してカーボンブラックの分散液を得た。この分散液は
固形分を21.5重量%含有していた。
【0090】ジムロートコンデンサー、温度計、窒素ガ
ス流入口、窒素ガス流出口、滴下ロートを装着した2L
丸底フラスコに、水120.0g,ドデシル硫酸ナトリ
ウム7.0g,過硫酸アンモニウム4.0gを加え、攪
拌しながら1時間窒素置換を行った。その後、温度を7
0℃に昇温し、激しく攪拌しながらスチレン345g,
グリシジルメタアクリレート22.5gおよびジビニル
ベンゼン(80重量%)12.5gの混合液を100分
間かけて滴下ロートから添加した。その後さらに2時
間、窒素雰囲気下70℃にて重合反応を行った。得られ
たラテックスは、固形分25.4重量%で平均粒径は
0.8ミクロンであった。
【0091】得られたラテックス50.0gに攪拌しな
がらカーボンブラック分散液30.0g、蒸留水70.
0g,メタノール30.0gおよび弗素系界面活性剤と
してメガファックF−177(大日本インキ化学工業社
製)0.02gをこの順番で加え、さらに室温にて10
分間攪拌して塗布液とした。
【0092】予めマット剤を除去したポジ型PS版HP
(ポリクロームジャパン社製)の上に、さきの塗布液を
ロッド番号#9のワイヤーバーを用いて塗布し、80℃
2分間乾燥して、本発明の平版印刷版原版1を得た。塗
布量は1.2g/m2 であった。
【0093】平版印刷版原版1を用い、1W赤外線半導
体レーザーを搭載したテスト露光機(波長808nm、
露光エネルギー量150mJ/cm2 ;ライン電子社
製)にて画像露光を行った後、ネガ用PS版現像液ND
−1(ポリクロームジャパン社製)1:3希釈溶液を用
い手現像にて25℃、10秒間の条件で第一現像を行
い、水洗、乾燥した。次にPS版用プリンターP−80
6−G(大日本スクリーン社製)にて35カウントの露
光を行った。その後ディック版面保護液(大日本インキ
化学工業社製)を用いて樹脂マスク層を除去し、次いで
ポジ用PS版現像液PD−1(ポリクロームジャパン社
製)1:8希釈溶液を用いて30℃、12秒間で第二現
像処理を行った後、ガム液UG1(ポリクロームジャパ
ン社製)処理を施して乾燥し、印刷刷版1を得た。以上
の作業はいずれも明室下で行われた。
【0094】黄色安全灯の下で半導体レーザーで描いた
画像と同じ画像を書き出したフィルムを用い、P−80
6−Gプリンター(大日本スクリーン社製)にて35カ
ウントでポジ型PS版HP(ポリクロームジャパン社
製)に焼き付け、現像液PD1(ポリクロームジャパン
社製)およびフィニッシングガムPF2(ポリクローム
ジャパン社製)を充填した自動現像機PD−912P
(大日本スクリーン社製)にて30℃、12秒の条件で
現像し、乾燥して比較印刷刷版1を得た。比較印刷刷版
1と印刷刷版1とを印刷機SPRINT26(株式会社
小森製)に2面付けし、インキGEOS−G紅N(大日
本インキ化学工業社製)、湿し水NA108W(大日本
インキ化学工業社製)1:50希釈、用紙ロイヤルコー
ト(王子製紙社製)を用いて5万部の印刷テストを実施
した。印刷物の評価項目としては、網点(2%、50
%、98%)の太り、細り、付き具合、マイクロライン
の付き具合、水幅、汚れ戻り、インキの着肉状況、刷り
だし状況、印刷物濃度変化、地汚れ状況などであった
が、印刷刷版1の印刷物にはバンディングなどの問題は
見られず、印刷物評価項目においても標準となる従来法
に従って作製された比較印刷刷版1による印刷物と全く
同等の評価を得た。
【0095】〔実施例2〕実施例1で作製したラテック
ス45.0gに攪拌しながら実施例1で作製したカーボ
ンブラック分散液30.0g、蒸留水70.0g,メタ
ノール30.0g、ヒドロキシプロピルセルロース2%
水溶液(東京化成工業社製)10.0gおよび弗素系界
面活性剤としてメガファックF−177(大日本インキ
化学工業社製)0.02gをこの順番で加え、さらに室
温にて10分間攪拌して塗布液とした。
【0096】予めマット剤を除去したポジ型PS版HP
(ポリクロームジャパン社製)の上に、塗布液をロッド
番号#9のワイヤーバーを用いて塗布し、80℃2分間
乾燥して、本発明の平版印刷版原版2を得た。塗布量は
1.5g/m2 であった。
【0097】平版印刷版原版2を用い、1W赤外線半導
体レーザーを搭載したテスト露光機(波長808nm、
露光エネルギー量160mJ/cm2 ;ライン電子社
製)にて画像露光を行った後、ネガ用PS版現像液ND
−1(ポリクロームジャパン社製)1:3希釈溶液を用
い手現像にて25℃、10秒間の条件で第一現像を行
い、水洗、乾燥した。次にPS版用プリンターP−80
6−G(大日本スクリーン社製)にて35カウントの露
光を行った。次いでポジ用PS版現像液PD−1(ポリ
クロームジャパン社製)1:8希釈溶液を用いて30
℃、12秒間で第二現像処理を行った後、ディック版面
保護液(大日本インキ化学工業社製)を用いて樹脂マス
ク層を除去した。水洗後、ガム液UG1(ポリクローム
ジャパン社製)処理を施して乾燥し、印刷刷版2を得
た。以上の作業はいずれも明室下で行われた。
【0098】実施例1で作製した比較印刷刷版1と印刷
刷版2とを印刷機SPRINT26(株式会社小森製)
に2面付けし、インキGEOS−G紅N(大日本インキ
化学工業社製)、湿し水NA108W(大日本インキ化
学工業社製)1:50希釈、用紙ロイヤルコート(王子
製紙社製)を用いて5万部の印刷テストを実施した。印
刷物の評価項目としては、網点(2%、50%、98
%)の太り、細り、付き具合、マイクロラインの付き具
合、水幅、汚れ戻り、インキの着肉状況、刷りだし状
況、印刷物濃度変化、地汚れ状況などであったが、印刷
刷版2の印刷物にはバンディングなどの問題は見られ
ず、印刷物評価項目においても、標準となる従来法に従
って作製された比較印刷刷版1による印刷物と全く同等
の評価を得た。
【0099】〔実施例3〕ブラックカラー用カーボンブ
ラックHCF30.0g、蒸留水45.0g、イソプロ
ピルアルコール60.0gおよびテトラエチルアンモニ
ウムハイドロキサイド10%水溶液45.0gを、カッ
タC20装着のホモジナイザーHG30(日立製作所社
製)にて10分間攪拌粉砕した後、15ミクロンのフィ
ルターにて濾過し、カーボンブラックの分散液を得た。
この分散液は固形分を22.5重量%含有していた。
【0100】スチレンーアクリル酸共重合物エマルジョ
ン「ジョンクリル7610」(ジョンソンポリマー社
製)25.0gに攪拌しながらカーボンブラック分散液
35.0g、蒸留水240.0g,および弗素系界面活
性剤としてメガファックF−470(大日本インキ化学
工業社製)を0.8重量%含有したメタノール溶液10
0.0gをこの順番で加え、さらに室温にて10分間攪
拌して塗布液とした。
【0101】予めマット剤を除去したポジ型PS版HP
(ポリクロームジャパン社製)の上に、塗布液をロッド
番号#9のワイヤーバーを用いて塗布し、80℃2分間
乾燥して、本発明の平版印刷版原版3を得た。塗布量は
1.4g/m2 であった。
【0102】平版印刷版原版3を用い、赤外線半導体レ
ーザーを搭載した露光機トレンドセッター3244F
(クレオ社製)にて画像露光を行った後、ネガ用PS版
現像液ND−1(ポリクロームジャパン社製)1:5希
釈溶液を用い手現像にて25℃、10秒間の条件で第一
現像を行い、水洗、乾燥した。次にPS版用プリンター
P−806−G(大日本スクリーン社製)にて35カウ
ントの露光を行った。次いでポジ用PS版現像液PD−
1(ポリクロームジャパン社製)1:8希釈溶液を用い
て30℃、12秒間で第二現像処理を行った後、ディッ
ク版面保護液(大日本インキ化学工業社製)を用いて樹
脂マスク層を除去した。水洗後、ガム液UG1(ポリク
ロームジャパン社製)処理を施して乾燥し、印刷刷版3
を得た。以上の作業はいずれも明室下で行われた。
【0103】書き込み画像がトレンドセッター3244
Fによる画像と同じフィルムを用いた以外は、実施例1
による従来法のPS版印刷刷版を作製する方法と同じ方
法で比較印刷刷版2を作製した。比較印刷刷版2と印刷
刷版3とを印刷機RZK(ローランド社製)に2面付け
し、インキGEOS−G紅N(大日本インキ化学工業社
製)、湿し水108W(大日本インキ化学工業社製)
1:50希釈、用紙OKトップコート(王子製紙社製)
を用いて5万部の印刷テストを実施した。印刷物の評価
項目としては、網点(2%、50%、98%)の太り、
細り、付き具合、マイクロラインの付き具合、水幅、汚
れ戻り、インキの着肉状況、刷りだし状況、印刷物濃度
変化、地汚れ状況などであったが、印刷刷版3の印刷物
にはバンディングなどの問題は見られず、印刷物評価各
項目においても、標準となる従来法に従って作製された
比較印刷刷版2による印刷物と全く同等の評価を得た。
【0104】〔実施例4〕カーボンブラックCWA(チ
バガイギー社製)80.0g、蒸留水140.0、イソ
プロピルアルコール160.0gおよびテトラメチルア
ンモニウムハイドロオキサイド水溶液(純分25%)2
0.0gを、カッタC20装着のホモジナイザーHG3
0(日立製作所社製)にて10分間攪拌粉砕した後、1
5ミクロンのフィルターにて濾過し、カーボンブラック
CWAの分散液を得た。この分散液は固形分を22.0
重量%含有していた。
【0105】スチレンーアクリル酸共重合物エマルジョ
ン「ジョンクリル780」(ジョンソンポリマー社製)
25.0gに攪拌しながらカーボンブラックCWA分散
液35.0g、蒸留水240.0g,および弗素系界面
活性剤としてメガファックF−470(大日本インキ化
学工業社製)を0.8重量%含有したメタノール溶液1
00.0gをこの順番で加え、さらに室温にて10分間
攪拌して塗布液とした。
【0106】予めマット剤を除去したポジ型PS版HP
(ポリクロームジャパン社製)の上に、塗布液をロッド
番号#9のワイヤーバーを用いて塗布し、80℃2分間
乾燥して、本発明の平版印刷版原版4を得た。塗布量は
1.3g/m2 であった。
【0107】平版印刷版原版4を用い、YAGレーザー
を搭載した露光機クレッセント42T(ガーバー社製)
にて画像露光を行った後、ネガ用PS版現像液ND−1
(ポリクロームジャパン社製)1:5希釈溶液を用い手
現像にて25℃、10秒間の条件で第一現像を行い、水
洗、乾燥した。次にPS版用プリンターP−806−G
(大日本スクリーン社製)にて35カウントの露光を行
った。次いで、ディック版面保護液(大日本インキ化学
工業社製)を用いて樹脂マスク層を除去した後、現像液
PD1(ポリクロームジャパン社製)およびフィニッシ
ングガムPF2(ポリクロームジャパン社製)を充填し
た自動現像機PD−912P(大日本スクリーン社製)
にて30℃、12秒の条件で現像し、乾燥して印刷刷版
4を得た。以上の作業はいずれも明室下で行われた。
【0108】書き込み画像がクレッセント42Tによる
画像と同じフィルムを用いた以外は、実施例1による従
来法のPS版印刷刷版を作製する方法と同じ方法で比較
印刷刷版3を作製した。比較印刷刷版3と印刷刷版4と
を印刷機RZK(ローランド社製)に2面付けし、イン
キGEOS−G紅N(大日本インキ化学工業社製)、湿
し水108W(大日本インキ化学工業社製)1:50希
釈、用紙OKトップコート(王子製紙社製)を用いて5
万部の印刷テストを実施した。印刷物の評価項目として
は、網点(2%、50%、98%)の太り、細り、付き
具合、マイクロラインの付き具合、水幅、汚れ戻り、イ
ンキの着肉状況、刷りだし状況、印刷物濃度変化、地汚
れ状況などであったが、印刷刷版4の印刷物にはバンデ
ィングなどの問題は見られず、印刷物評価各項目におい
ても標準となる従来法に従って作製された比較印刷刷版
3による印刷物と全く同等の評価を得た。
【0109】
【発明の効果】本発明による平版印刷版原版は、コンピ
ューターからのデジタル情報を、高密度エネルギー光を
使って直接印刷版原版に書き込むことができ、本発明に
よる印刷刷版作製方法によれば、バンディングなど高密
度エネルギー光を使うことによって生じるトラブルもな
く、容易に使用した樹脂マスク層も除去できて良好な印
刷刷版を明室下で作製することができる。また本発明の
方法により作製された印刷刷版は、印刷工程に於いて従
来法により作製されたPS版印刷刷版と比較して印刷特
性において全く変わりない印刷刷版であった。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上にポジ型の感光性画像形成層、
    樹脂マスク層をこの順に有し、該樹脂マスク層が主たる
    構成成分として少なくとも、光を吸収し熱を発生する物
    質、平均粒子径が0.005ミクロン〜15ミクロンま
    での樹脂粒子及び弗素系界面活性剤を含有することを特
    徴とする平版印刷版原版。
  2. 【請求項2】 前記した、光を吸収し熱を発生する物質
    が、グラフト重合された顔料である請求項1に記載の平
    版印刷版原版。
  3. 【請求項3】 前記した、グラフト重合された顔料が、
    グラフト重合されたカーボンブラックである請求項1又
    は2に記載の平版印刷版原版。
  4. 【請求項4】 支持体上にポジ型の感光性画像形成層、
    樹脂マスク層をこの順に有し、該樹脂マスク層が主たる
    構成成分として少なくとも、光を吸収し熱を発生する物
    質、平均粒子径が0.005ミクロン〜15ミクロンま
    での樹脂粒子及び弗素系界面活性剤を含有する平版印刷
    版原版に、高密度エネルギー光の画像様露光を施し照射
    部を溶融させて樹脂マスク層に画像部を形成し、非画像
    部を湿式法により除去したマスク画像を有することを特
    徴とする平版印刷版原版。
  5. 【請求項5】 支持体上にポジ型の感光性画像形成層、
    樹脂マスク層をこの順に有し、該樹脂マスク層が主たる
    構成成分として少なくとも、光を吸収し熱を発生する物
    質、平均粒子径が0.005ミクロン〜15ミクロンま
    での樹脂粒子及び弗素系界面活性剤を含有する平版印刷
    版原版に、高密度エネルギー光による画像様露光工
    程、樹脂マスク層の非画像部を湿式法により除去して
    マスク画像を形成する工程、活性光線の全面露光によ
    りポジ型感光性画像形成層にマスク画像に基づく潜像画
    像を形成する工程、マスク画像を除去する工程、ポ
    ジ型感光性画像形成層をポジ用の現像液を用いて現像処
    理し印刷刷版画像を形成する工程、水洗、ガム引き、
    乾燥工程を経て印刷刷版を得ることを特徴とする平版印
    刷刷版作製方法。
  6. 【請求項6】 前記した、樹脂マスク層の非画像部を
    湿式法により除去してマスク画像を形成する工程におい
    て、用いる処理液が少なくともアルカリ剤と有機溶剤を
    含有する水溶液である請求項5に記載の平版印刷刷版作
    製方法。
  7. 【請求項7】 前記した、マスク画像を除去する工程に
    おいて、用いる処理液が版面保護液又はプレートクリー
    ナーである請求項5又は6に記載の平版印刷刷版作製方
    法。
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