JP4243346B2 - ノンリニア映像放送システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビジョン放送に使用する放送システムに係り、特に、ランダムアクセスが可能な不揮発性のデジタルデータ記憶装置を用いたノンリニア映像放送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、映像放送システムとして、長らくビデオテープレコーダ(VTR)が使用されてきた。VTRは、その記録媒体としてシーケンシャルアクセスを行う磁気テープを用いるため、あるシーンを録画した直後に、そのシーンを再生・放送したいような場合に、テープ巻き戻しに伴う待ち時間が発生し、迅速な応答が困難であった。また、録画済みの映像の編集の際にも迅速な編集を行うには、シーケンシャルアクセスおよび低速な記録再生速度が支障となった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これに対して、近年、映像のデータ圧縮技術の進歩と相俟って、磁気ディスク装置(ハードディスク装置)のようなより高速なランダムアクセスの可能な記憶媒体を利用したいわゆるノンリニア映像編集システムが使用され始めている。
【0004】
ノンリニア映像編集システムにおいては、外部VTRや回線から一旦デジタイズしてディスク内に取り込んだ映像データについては、タイムラインと呼ばれる編集機能を用いて、迅速に、そのディスク内の映像の任意のシーンを切り出して組み合わせることにより、いわゆるカット編集を行うことができる。この際のシーンの「切り出し」は実際の映像データの複写を行う訳ではなく、単に、元の映像データの部分であるシーンを特定する情報、すなわちディスク上でのそのシーンの開始位置および終了位置の情報(通常、アドレス情報)を保持することにより、等価的に映像データの複写が行える。編集結果の再生時には、このシーン特定情報を参照して、元の映像データの対応する範囲の内容をディスクから読み出すことにより、再生が行われる。タイムライン上でのこのようなカットシーンを時系列に並べた映像データはパッケージと呼ばれる。したがって、一旦ディスクに取り込まれた映像データからカット編集を行うことは、極めて迅速かつ容易に実現される。
【0005】
ところで、1つの放送番組は予めその放送枠(オンエア開始時刻およびオンエア終了時刻)が定まっており、通常、その中のどの時刻に何をオンエアするかは予め番組進行表(タイムスケジュール)でこまごまと決定される。番組進行表は、短時間にかつ正確に作成する必要があり、また、修正も容易に行える必要がある。
【0006】
特に、スポーツ番組等においては、番組が始まった時点で未だすべての番組要素が確定してはおらず、番組の進行と共に番組の構成要素を確定していく場合がある。このような場合、柔軟な番組進行表の作成および変更がより一層迅速・容易に行える必要がある。
【0007】
本発明は、このような従来の要請に鑑みてなされたものであり、その目的は、番組進行表を電子的に作成すると共に、これを柔軟にかつ迅速・容易に修正することができるノンリニア映像放送システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によるノンリニア映像放送システムは、映像データを格納する不揮発性のランダムアクセス記憶装置と、該ランダムアクセス記憶装置に対して外部から映像データをレコードとして収録する収録手段と、前記ランダムアクセス記憶装置に格納されている映像データから切り出された1または複数のシーンの各々の開始位置および終了位置を表わすシーン特定情報からなるプレイリストを作成するプレイリスト作成手段と、放送すべき番組毎に、絶対時刻の時間軸情報エリアを有する番組進行表をディスプレイ上に表示するとともに、ユーザの指示に従って、CMの長さを定めたCMブロックを前記時間軸情報エリア内に配置し、他の領域におのおの前記プレイリストで定義される複数のパッケージを配置することにより、番組進行表を作成する番組進行表作成手段と、2つのCMブロック間に配置された1個以上のパッケージをロールとして管理するロールテーブルと、
ユーザの指示に応じて、前記時間軸情報エリア内に配置されたロールに対して、そのロールの時間軸上の一点を指定するポインタ手段と、該ポインタ手段により指定された一点において当該ロールを、それぞれ独立に編集可能な第1および第2のロール部分に分割するロール分割手段と、前記番組進行表の時間軸情報エリア内に前記ロールの各パッケージが配置された時間軸上の時刻に対応して、当該パッケージのプレイリストに規定されたシーン特定情報に基づき前記ランダムアクセス記憶装置から順次対応する映像を再生して、該再生出力を放送用に送出する再生手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
上記ロール分割手段により、ロールの任意の位置でロールを分割し、分割した部分を独立に編集の対象とすることが可能になる。
【0010】
なお、各シーンには映像データの他に対応する音声データを含んでもよい。
【0011】
より具体的には、前記ロール分割手段は、前記ロールの分割に伴って、当該ロールを構成していたパッケージの1つを第1および第2のパッケージに分割するよう前記ロールテーブルを更新する。さらに、前記ロール分割手段は、前記パッケージの分割に伴って、当該パッケージを構成していたシーンの1つを第1および第2のシーンに分割し、第1のシーンおよび当該パッケージ内のそのシーン以前のシーン(もしあれば)を前記第1のパッケージに含め、前記第2のシーンおよび当該パッケージ内のそのシーン以降のシーン(もしあれば)をその第2のパッケージ内に含めるよう前記プレイリストを更新する。
【0012】
前記ロール分割手段は、ユーザに指示に従って、前記分割により得られた一方のロール部分を他のCMブロック間に移動させたとき、当該ロール部分は当該他のCMブロック間にある他のロールとともに合体して新たな1つのロールが形成されるよう前記ロールテーブルを更新する。
【0013】
これにより、この新たなロールを1つの単位とし取り扱う(別途保存したりや移動したりする)ことができる。
【0014】
好ましくは、現在収録中のレコードの1時点においてシーンの開始位置をユーザが指定したとき、この開始位置のみが指定されたシーンを仮のシーンとして前記プレイリストに登録するとともに、このプレイリストにより定まるパッケージを前記番組進行表の前記時間軸情報エリアに配置することを許容し、さらに前記レコードの収録が進行し、そのレコードにおいて前記シーンの開始位置より後方の収録済みの位置においてユーザが前記分割手段により分割を指示したとき、その分割位置を前記仮のシーンの終了位置を確定するよう当該プレイリストを更新する。
【0015】
この構成により、とりあえず所望のシーンの開始位置のみを決定して、この仮シーンをパッケージとして時間軸情報エリアに登録することができる。その後、収録の進行状況を確認して、必要な部分までの位置でそのロール(この場合はパッケージでありかつシーンでもある)の分割を指示すれば、その位置で、仮シーンの終了位置が確定される。時間軸情報エリアにおいてその分割により切り離された後半のロール部分は廃棄することができる。このように、シーンの開始位置が決まった段階でとりあえず、そのシーンをパッケージとして番組進行表の時間軸情報エリアに配置することができるので、作業性が向上し、柔軟な番組進行が行える。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面により詳細に説明する。まず、図1〜図18により、本発明の前提としてのシステムの構成および動作を説明し、最後に、図19以降の図により本発明の特徴部分の実施の形態を説明する。
【0017】
図1に本発明が適用されたノンリニア映像放送システムの全体の概略構成を示す。このシステムは、デジタル録画再生装置10を有する。デジタル録画再生装置10は、映像(ビデオ)データおよび音声(オーディオ)データをデジタル的に記憶する不揮発性のランダムアクセス記憶装置140を内蔵する。本実施の形態では、ランダムアクセス記憶装置140として、ハードディスク装置を用いる。デジタル録画再生装置10は、映像信号および音声信号の入力端子を有する。本実施の形態では、この映像信号および音声信号はアナログ信号を想定している。この入力端子には、回線、VTR等が接続されうる。
【0018】
このデジタル録画再生装置10には、ユーザが主として、映像等のカット編集を行うための編集端末装置101と、ユーザが主として、番組進行表(以下、キューシートと呼ぶ)をコンピュータと対話的に作成するためのキューシート管理端末102とが接続されている。
【0019】
編集端末装置101は、デジタル録画再生装置10の2系統の出力映像をそれぞれ受像するモニタ6a,6bと、それぞれデジタル録画再生装置10に接続された、編集用の操作コントローラ18と、編集用のグラフィックユーザインタフェース(GUI)環境を提供するディスプレイ12、キーボード14およびマウス16を有し、収録、カット編集および再生等の各種操作をディスプレイ画面上で対話的に行うためのものである。モニタ(PP/TL)6aは、デジタル録画再生装置10に収録されている後述のレコードやパッケージを確認するためのモニタである。モニタ(EE)6bは、エフェクト等の確認のためのモニタである。
【0020】
キューシート管理端末装置102は、デジタル録画再生装置10の他の2系統の出力映像をそれぞれ受像するモニタ7a,7bと、それぞれデジタル録画再生装置10に接続された、放送用の操作コントローラ(ライブコントローラともいう)19と、キューシート管理用のGUI環境を提供するパーソナルコンピュータ(以下、単にPCという)11、ディスプレイ13、キーボード15およびマウス17を有し、キューシート作成・編集およびオンエア等の各種操作をディスプレイ画面上で対話的に行うためのものである。このPC11は、ローカルエリアネットワーク(LAN)のハブ5を介してデジタル録画再生装置10に接続されている。モニタ7aはオンエア出力を監視するためのモニタであり、モニタ7bはオンエア予定の映像をオンエアに先立ち確認するプレビューのためのモニタである。
【0021】
本実施の形態においては、PC11は、主としてGUIの制御を行うものであり、より具体的には、ユーザによりディスプレイ上に表示されたボタンが押されたときに、その旨をデジタル録画再生装置10に通知し、かつ、デジタル録画再生装置10からの情報を逐次GUIに反映するという役割を果たす。これに対して、デジタル録画再生装置10は、他の全ての制御を担い、後述するレコード、シーン、パッケージ、ロール、CMブロック等のデータベース管理を行う。但し、後述する各種の制御は、システム全体として実現されれば足り、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。
【0022】
デジタル録画再生装置10の出力の本線9には、出力する映像にテキストを重畳するスーパーインポーズを行うためのスーパー装置191と、スイッチャ194に接続される。スーパー装置191には、ユーザから提供CM送出指示を受けたCMバンク193から映像情報が入力される。スイッチャ194の他方の入力端には、ユーザからCM送出指示を受けたCMバンク193から映像および音声情報が入力される。スイッチャ194は、ユーザにより手動で切り替えられ、このスイッチャ194の出力がオンエアされる。
【0023】
キューシート管理端末装置102において、PC11にプリンタ(図示せず)を接続し、キューシートを印刷出力することもできる。
【0024】
操作コントローラ18,19に特有の操作としては、ジョグ・シャトルダイヤル18a,19aによる再生速度の可変制御が可能である。このダイヤルは、シャトルダイヤルとして、または、ジョグダイヤルとして選択的に機能する。シャトルダイヤルは、その回転角度に応じて再生速度を決定するものであり、傾きを大きくするほど再生速度が速くなる。傾きを0にすると再生が静止する。ジョグダイヤルはその回転の速さに応じて再生速度を決定するものであり、早く回転させるほど再生速度が速くなる。回転を停止すると再生が静止する。ユーザは、通常、このダイヤルの操作を、再生出力の接続されたモニタを見ながら行う。
【0025】
なお、本実施の形態では、キューシート管理端末装置102においても編集端末装置101の一部の機能を備えている。この代わりに、キューシート管理端末装置102と編集端末装置101とを同一の端末装置上で実現することも可能である。
【0026】
図2に、デジタル録画再生装置10のハードウエア構成を示す。
【0027】
デジタル録画再生装置10には、本例では、17スロットのEISAバス110と、12スロットのデジタルビデオバス(CCIR601)130を備えている。EISAバス125のスロットには、プロセッサカード121、ディスプレイコントローラカード122、RS422インタフェースカード125が装着される。また、カードによっては、EISAバス125およびデジタルビデオバス130の両スロットにまたがって装着される。図示の例では、このようなカードは、ゲンロックリファレンスカード124、ディスクコントローラカード123、ビデオ入力インタフェースカード126、ビデオ出力インタフェースカード127、およびオーディオ入出力インタフェースカード128である。
【0028】
プロセッサカード121には、マイクロプロセッサ、RAM、入出力インタフェース等が搭載されている。このプロセッサカード121には、システム用のハードディスクドライブ160およびフロッピーディスク(フレキシブルディスク)ドライブ150が接続され、さらにキーボード14及びマウス16が接続される。ディスプレイコントローラカード122にはディスプレイコントローラが搭載され、ディスプレイ12の表示動作を制御する。
【0029】
ビデオ入力インタフェースカード126には、例えば外部VTRからのビデオ入力が接続され、ビデオ出力インタフェースカード127から外部のモニタへのビデオ信号が出力される。また、オーディオ入出力インタフェースカード128では、外部VTRからのオーディオ入力および外部のスピーカへのオーディオ出力のインタフェースがとられる。これらの入出力インタフェースカードは増設することができる。
【0030】
デジタルビデオバス130には、入出力ビデオ信号を切り替えるビデオルータ133を内蔵している。ビデオルータ133は、プロセッサの制御下で、この例では、32入力の任意の入力を32出力の任意の出力へ切り替えることができる。
【0031】
ディスクコントローラボード123は、ビデオ用ハードディスクドライブ(ランダムアクセス記憶装置)140を制御する。この例では、SCSI−2FAST/WIDEバス135を介して4.2Gバイトのハードディスクを複数台(図の例では4台:計16.8Gバイト)制御している。ディスクコントローラボード123およびハードディスクドライブ(以下、単にディスクともいう)140は複数組増設することもできる。
【0032】
ゲンロックリファレンスインタフェースカード124には、内部クロックを外部の通常のNTSCまたはPALのブラックバースト信号にロックするためのものである。RS422インタフェースカード125は、操作コントローラ18,19を接続するためのインタフェースを提供する。
【0033】
その他、図示しないが、LANを構成するためのLANボードも装着される。
【0034】
図3に、ディスクコントローラカード123に搭載されるディスクコントローラ123aの構成を示す。これは、図2において、ディスクコントローラカード123を2枚実装した場合に相当する。1つのディスクコントローラ123aには、2つのチャンネルのために2個のJPEG(Joint Photographic Expert Group)圧縮/伸張チップ123b,123cを有している。より長時間の映像信号の収録のために、本例では、モーションJPEG圧縮技術を利用し、映像を圧縮してハードディスクに格納する。各チップには、1本のビデオ入出力チャンネルと、4本のオーディオ入出力チャンネルがあり、入力ビデオ信号およびオーディオ信号を圧縮してディスクに格納するとともに、この圧縮格納情報を伸張して出力することができる。
【0035】
本システムでは、おのおのレコーダまたはプレーヤとして機能しうる複数(ここでは4個)の物理的なリソースを有し、これら4個のリソースは図3に示した圧縮/伸張チップの個数に対応する。ユーザの目的に応じてこれらのリソースを収録/再生あるいは編集等の異なる機能に割り当てることができる。本システムでは、このような論理的なビデオレコーダ(プレーヤ)を仮想レコーダあるいは仮想プレーヤ(または内部プレーヤ)と呼ぶ。各リソースは、ディスク140に対して独立にアクセスすることができる。また、ディスク140に対して、周知のストライピング等の手法により、見かけ上、書き込みと読み出しを同時に実行できるように構成されている。例えば、あるリソースで書き込み中のシーンデータを他のリソースで数秒の遅れで読み出すことができる。この数秒の遅れは、データの読み書きの相対的なずれを吸収するためのデータのバッファリングに相当する時間である。
【0036】
ここで、本明細書における「タイムライン」とは複数の映像シーン(および対応する音声シーン)を時間軸上で組み合わせるカット編集の機能またはそのための作業エリアを表わし、このカット編集により作成されるものが「プレイリスト」である。プレイリストにより定まるパッケージの再生はプレーヤではなくタイムライン(TL)に割り当てられたリソースにより再生される。したがって、このリソースを「TL:タイムライン」と称することもある。
【0037】
図4に、本実施の形態におけるキューシート管理画面の一例を示す。この画面は、ユーザがシステムと対話的に番組のキューシートを作成・編集し、かつ、その番組のオンエア等を監視、操作するためのものであり、図1のディスプレイ13上に表示される。この画面および後述する各種画面の画像データは、予めPC11内のハードディスク装置またはデジタル録画再生装置10の内部のシステム用ハードディスク160内に格納されており、必要時に読み出される。また、キューシートの各種の管理データ(シートの情報、レコードの情報、パッケージの情報、ロールの情報、CMブロックの情報、警告の情報等)はデジタル録画再生装置10側で管理し、必要時にコピーをPC側へ送って、上記画像の上に重ねて表示されるようになっている。
【0038】
このキューシート管理画面の最上段には、プルダウンメニュー、その下には各種ツールを配置したツールバーがある。これらの必要な要素については、後述する。
【0039】
さらにその下には、4つのエリアが横方向に並んでいる。第1のエリアは、現在時刻・タイトルエリアである。このエリア内には「現在時刻」を表示する表示欄と、このキューシートの番組の「タイトル」を表示する表示欄がある。現在時刻は、放送局内の放送用基準時計信号を受けてこれに基づいて、逐次更新表示される。勿論、内部に自己の時計機能を設けて、これを用いてもよい。番組のタイトルは、ユーザが入力することができる。
【0040】
第1のエリアの右側には、第2のエリアとして「OA時刻」エリアがある。このエリア内には、当該番組のオンエア(OA)「開始」時刻および「終了」時刻を表示するための表示欄がある。両時刻は、ユーザが指定することができる。さらにその右側には、第3のエリアとして「OAポインタ情報」エリアがある。このエリア内には、現在のOAポインタの時刻「OAタイム」を示す表示欄と、そのオリジナルタイムコード「オリジナルTC」を表示する表示欄がある。OAポインタは、後述するOAポインタが現在どこまで進んでいるかを示すものである。オリジナルタイムコードは、現在オンエア中の映像の元素材におけるタイムコードを示している。第3のエリアのさらに右側には、第4のエリアとして「カウントダウン」エリアがある。このエリアは、特定のイベントの発生、例えば、ブロック(CMブロックや後述するロール)の開始時刻(入り)あるいは終了時刻(明け)までの時間をカウントダウン表示するための2つの表示欄を含む。特定のイベントはユーザが選択することができる。
【0041】
図4のキューシート管理画面の中段には、時間軸情報エリアが画面の幅一杯に亘って拡がっている。この時間軸情報エリア(特に固定時間軸表示および実時間軸表示)は、番組のタイムスケジュールを定めるエリアであり、ユーザが時間軸に沿って番組の構成要素を任意に配置できるようになっている。番組の構成要素としては、1つのCMの長さ(枠)を定めるCMブロック、映像(音声含む)のカットシーンを組み合わせ編集して出来上がったパッケージ、二つのCMブロック間に位置する1個または複数個のパッケージからなるロール、ロール上の任意の時点に配置される提供CMがある。提供CMとは、「この番組は○○の提供によりお送りします。」のようなスポンサーを示すテキストをロールの映像の上に重畳(スーパーインポーズ)するものをいう。本明細書においては、単に、「CM」というときには、通常の映像を有するCMのことであり、「提供CM」とは区別する。
【0042】
個々のパッケージ、ロール、CMブロック、提供CMには、ユーザにそれが何であるかが分かるように名称(CM3、ロール4等)およびユーザが入力した任意のキャプションが付加される。また、個々のロール、CMブロック、および提供CMの開始位置に対応づけて、そのOA開始時刻(絶対時刻)を示す「OAタイム」およびオリジナルタイムコードを示す「オリジナルTC」を数値で表示している。図の例では、個々のOAタイムやタイムコードの文字列の相互の重なりを避けると共に、表示に要する高さを軽減し、かつ、ユーザに見やすくするために、垂直から少し斜めに傾けて文字列を表示している。OAタイムやオリジナルタイムコードを表示するか否かは、それぞれ、時間軸情報表示エリアの右端のボタンで、ユーザが選択できるようになっている。
【0043】
図4において、ロールのOA開始時刻の直前、および提供CMのOA開始時刻の直前の時点に三角マーク△が付加されている。この三角マークは、ユーザに対してロール入り(またはCM明け)や提供CM入りが間近であることをこの時点でユーザに対して知らせるための「警告」が発せられることを示している。また、図には逆三角形マーク▽も見られる。これは、所望の目的で、その時点に警告を発生するためにユーザが定義したものである。警告を発生する時点は、後述するようにユーザが設定することができる。これらの警告は、本実施の形態では、警報音と、その警報が何を意味するかを示すメッセージのウインドウ表示(図示せず)により行われる。この代わりに、そのメッセージを告げる音声により警告を行うようにしてもよい。
【0044】
時間軸情報エリアの下部には、この番組のオンエア開始後に、現時点で、オンエアがどこまで進んでいるかを示すOAポインタが、左端から次第に右側に延びていくバーで示されている。さらにその下には、時間軸上の1カ所を示すプレビューポインタがある。このプレビューポインタは、未送出の部分も含めて、キューシートの任意の部分の映像をプレビューモニタ7b(図1)で確認する際のプレビュー位置を示すためのポインタである。このときのユーザによるプレビュー操作は、前述したライブコントローラ19のダイヤル19aにより行える。プレビューポインタの下には時間軸に沿って、現在、キューシートのどの位置のどの割合の部分が表示されているかを示すとともに、時間軸に沿って番組要素のスクロールを行うためのスクロールバー表示がある。この表示対象の「位置」はユーザの指示によりスクロールすることができる。また、「割合」は、このスクロールバー表示の右側の虫眼鏡ボタンにより、拡大または縮小することができる。
【0045】
図4のキューシート管理画面の下段には、各種の尺(デュレーション)の表示エリア、プレビューポインタ情報エリアおよび検尺エリアがある。尺表示エリアは、オンエア開始時刻から終了時刻までの「放送枠」時間を示す表示欄、時間軸情報エリアに配置されたCMブロックの長さの総量時間を示す「CM総量」表示欄、放送枠からCM総量を引いて得られる時間を示す「正味」表示欄、正味時間のうち既にロールが割り当てられたロールの総量時間を示す「既確定」時間表示欄、および正味時間から既確定時間を引いて得られる時間を示す「残り尺」表示欄を有する。これらの尺表示により、キューシート作成時に、必要なCMブロックを配置した後、ロールを順次配置していくときに、現在どれだけの既確定時間があり、残り尺がどれだけあるか、ということが直ちに認識できる。残り尺時間が0フレームになった時点で、すべての放送枠が番組要素で埋まったことになる。過不足がある場合、残り尺時間の文字表示色を変えることによりユーザに注意を促す。この尺表示により、ユーザは一切尺計算を行う必要がなくなり、極めて便利であるとともに、ロールの総量が正味時間より余ったり足りなくなったりするユーザの誤操作が防止される。
【0046】
プレビューポインタ情報エリアには、プレビューしている映像のOA時刻を示す「OAタイム」表示欄と、それに対応するオリジナルタイムコードを示す「オリジナルTC」表示欄がある。
【0047】
検尺エリアには、検尺の対象となる第1の時点t1(OAタイム)を表示する表示欄と、第2の時点t2(OAタイム)を表示する表示欄と、両時点の差時間Δtを表示する表示欄がある。時点t1,t2は、ユーザが2つのタイムマーカー(図示せず)をダイヤル操作またはマウス操作等により図の時間軸情報エリア内で操作して、指定することができる。これにより、時間軸情報エリア内の任意の2点間の時間間隔に迅速かつ正確に把握することができる。
【0048】
図4のキューシート管理画面の下段の右端には、「時間表示」エリアがある。これは、このキューシートのOAタイムを24時間制にするか29時間制にするかを番組の終了時刻に合わせてユーザが選択できるようにするものである。29時間制の場合には、便宜上、OAタイムは24:00時の次は1:00時に戻らず25:00時となる。時間表示エリアの下には、「収録」エリアがある。これは、回線からの収録を指示するための「REC」ボタンとその収録を停止するための「STOP」ボタンを揺する。両ボタンは、安全のために、両ボタンのいずれかが操作される度に、以後のそれらのボタン操作が禁止されるロック状態となる(「ロック」チェックボックスに自動的にチェックが入る)。次の操作は、「ロック」チェックボックスのチェックを外してから行う必要がある。回線からの収録は、予約することもでき、図4の画面の下には、その収録予約時刻が表示されている。
【0049】
図4のキューシート管理画面には、3種の表示モード、すなわち、固定時間軸表示モード、実時間軸表示モードおよびリスト表示モードがある。図4は固定時間軸表示モードが選択された状態を示している。固定時間軸表示モードは、個々のパッケージやCMブロック等の番組要素が、ユーザにその内容が分かるように、実際のその尺に関係なく均等な尺で表示される。固定時間軸表示モードでは、各番組要素の順番にのみ意味があり、時間軸方向の長さには意味がない。
【0050】
しかし、この固定時間軸表示では、実際上の個々の番組要素の長さの関係が把握困難なので、別に実時間軸表示モードを設けた。これを図5に示す。これは、時間軸情報エリアの表示が、個々の番組要素の表示幅を実際の尺に合わせた以外、図4の固定時間軸表示モードと同様である。この実時間軸表示モードによれば、個々の番組要素の尺がどのくらいで、他の番組要素の尺との比率がどのくらいかということを一目瞭然に把握することができる。
【0051】
本実施の形態では、さらに、リスト表示モードを設けている。その画面を図6に示す。固定時間軸表示モードや実時間軸表示モードでは、個々の番組要素の具体的な細部の情報が分からない。この具体的な細部の情報を明らかにするものがリスト表示である。図では、時間軸表示モードにおけるキューシート管理画面の中段部および下段部を利用して各番組要素の詳細情報を上から下へOAタイム順に表示している。図6の例では、CMブロックをロールと区別して表示している。尺表示は画面右下に移動して残されている。
【0052】
このように、キューシート管理画面に3種類の表示モードを設けたので、ユーザは、必要に応じて、画面上の切り替えボタンの操作により、任意の表示モードを即座に選択することができる。
【0053】
キューシート管理画面の時間軸情報エリアに配置されるパッケージは、予め図1の編集端末装置101で作成され、デジタル録画再生装置10に保管されている。編集端末装置101とキューシート端末装置102との間のパッケージの交換は、後述するパッケージ管理ウインドウ(図10)を経由して行われる。図7により、このパッケージの構成について簡単に説明する。
【0054】
図7の上段に、ディスク140に格納される映像等のデータのフォーマットを示す。外部の回線やVTRからは、1トラック分の映像データ、4トラック分の音声データ、および1トラック分のタイムコード(TC)が組として、ハードディスクドライブ140内の仮想的な内部カセット内にレコードとして格納される。なお、外部からのタイムコードは、その映像を撮影したカメラ等の機器から生成され、映像とともに記録されたものである。このタイムコードはオリジナルのタイムコードと呼ぶ。
【0055】
本明細書では、内部カセットに一度に書き込まれる連続した映像等の単位を「レコード」と呼ぶ。また、内部カセットに記録されたレコード内の着目した一部分を「シーン」または「カットシーン」と呼ぶ。このシーンは、タイムライン編集時にその開始位置であるIN点および終了位置であるOUT点の情報により特定される。このIN点およびOUT点のデータはディスクの中で一意に定まるアドレスであり、ここでは「フィールド番号(またはフレーム番号)」である。このIN点、OUT点のデータがユーザによりタイムコードで指定された場合には、対応するフィールド番号に変換(換算)される。
【0056】
図7の下段に示すように、このシーン特定情報を、タイムライン上で仮想的に時系列に並べることにより、シーンのカット編集が行える。このようなカット編集により出来上がったシーンの組合せが「パッケージ」である。パッケージは単独のシーンにより構成することもできる。なお、パッケージは、実際には、このような複数のシーンの映像データ等(音声データを含む)の実体データを順次連続して複写したものではない。このパッケージの実体は、前述したように単なるシーンを特定する情報の集合にすぎない。このようなシーン特定情報の集合を本明細書では「プレイリスト」と呼んでいる。
【0057】
図8に、このプレイリストの構成例を示す。プレイリスト80は、映像V、音声A1,A2,A3,A4の各面の情報からなり、各面は、個々のシーンについて、そのシーンを格納した内部カセットのカセット名81、シーン名82、IN点83、OUT点84、デュレーション(IN点からOUT点までのシーンの長さ)85、再生速度86を規定している。図8では、理解しやすいように、IN点およびOUT点をタイムコードの形式(時:分:秒:フィールド(またはフレーム))で示しているが、実際にシステムが保持するのはこれをディスク内アドレスとしてのフィールド数に換算したフィールド番号である。システムは、パッケージの再生時にこのプレイリストを参照して順次該当するシーンの指定された部分をディスクから読み出すことにより、あたかもそれらのシーンが組み合わされた1本のビデオテープを再生しているかのように機能する。このようなパッケージのカット編集は、映像データ等の実体的な複写(再生および記録)動作を伴うことなく、単にシーンの特定情報の組合せで実現される。したがって、ディスク内に既に存在するレコードに基づくパッケージの作成および修正は極めて迅速に行うことができる。
【0058】
次に、キューシート管理画面におけるツールバーに示された主要なツールの機能について説明する。
【0059】
ユーザがツールバー上の「CM」ボタンを押すと、図9のCMブロック管理ウインドウがディスプレイ13上に開かれる。このウインドウは「閉じる」ボタンの押下により閉じられる。このウインドウでは、任意の長さのCMブロックおよび提供CMを登録しておくことができる。本実施の形態において、CMブロックとは、CMの実体的な映像データを保持するものではなく、単にCMの長さを定めるとともに、後述するポストロール、プリロール機能を有するものである。
【0060】
なお、図中の「CC」は、Cow Catcherの略であり、番組の先頭に入るCMを示す。「HH」は、Hitch Hikeの略であり、番組の終わりに入るCMを示す。「SB」は、Station Breakの略であり、番組と番組の間に入るCMを示す。ユーザはこのウインドウから所望のCMブロックをマウスで選択して、キューシート管理画面上の時間軸情報エリア内にドラッグ&ドロップすることができる。この配置を行った時点では、そのCMブロックのOA開始時刻は定まっておらず、時間軸情報エリアの上部に沿ったOAタイムエリアに時刻を示す文字列は”untime”となる。後述するCMブロック詳細情報のOA開始時刻およびOA終了時刻もuntimeとなる。また、既にドラッグ&ドロップしてある任意のCMブロックを選択した状態で「確定」ボタンを押すことにより、そのCMブロックのアンタイムの時刻を確定することができる。このCMブロックは、後述するようにユーザのマウス操作により時間軸上を移動させることができる。
【0061】
任意のOA開始時刻は図13のOAタイム設定ウインドウで変更することができる。OAタイム設定ウインドウは、変更対象のOAタイムまたはブロックを選択して、ツールバーの「OAボタン」を押すか、当該OAタイムの文字をダブルクリックすることにより開かれる。OAタイムを変更したブロックの後続のブロックのOAタイムをこの変更に合わせて調整するか否かはユーザが選択できる。
【0062】
ツールバー上の「パッケージ」ボタンを押すと、図10のパッケージ管理ウインドウがディスプレイ13上に開かれる。このパッケージ管理ウインドウには、前述した編集端末装置101またはキューシート管理端末装置102による編集により複数のパッケージが収納されている。後述するIN点のみが指定された仮のシーンからなるパッケージも収納されている。好ましくは、このような仮のシーンは、他のパッケージとは別の表示態様で区別して表示される。パッケージを時間軸情報エリア内へ配置する方法は、CMブロックの場合と同様、ドラッグ&ドロップの他、このウインドウ上で所望のパッケージをマウスで選択して、「選択」ボタンを押すことにより行える。ドラッグ&ドロップの際には、隣接する既配置のブロックに接して配置することもできる。特定のパッケージを選択し、「編集」ボタンを押して、パッケージの内容を変更するためのウインドウ(図示せず)を開くことも可能である。
【0063】
図4から分かるように、1つのCMブロックの間に配置された1個または複数個のパッケージにより「ロール」が構成される。
【0064】
時間軸情報エリア内に一旦配置されたブロック(CMブロック、パッケージ、ロール)は、時間軸上をマウス操作により移動させることができる。ロールを選択すれば、そのロールを構成する全てのパッケージが移動の対象となる。パッケージを選択すれば、そのパッケージのみが移動の対象となる。移動のために、ユーザはマウスで移動対象のブロックを選択し、移動先までドラッグ&ドロップする。移動先にそのブロックを収納するに充分な空間がない場合には、その移動処理を中断するか、それ以降のブロックを押し下げて移動処理を続行するかをダイアログ(図示せず)によりユーザに問い合わせる。OA開始時刻が確定したブロックに接するように移動させれば、その移動したブロックのOA開始時刻も自動的に更新される。
【0065】
既に配置された任意のブロックをマウスでダブルクリックすれば、そのブロックの詳細情報を見ることができる。そのブロックがCMブロックである場合、図11の「CMブロック詳細情報」ウインドウが開かれる。このウインドウでは、そのCMブロックのブロック名、ブロック区分、キャプション、デュレーション、OA開始時刻、OA終了時刻を確認することができる。また、このウインドウで「CM流し切り替わり」の設定を行える。CM流しとは、図12に示すように、CMブロックにより外部のCMバンクからのCMがオンエアされる時間中に、そのCMブロックの直前のロールの後のりしろ部分と、そのCMブロックの直後のロールの前のりしろ部分とを再生出力することをいう。「のりしろ部分」とは、図7で説明したカットシーンの前後に存在する、そのシーンと連続したレコード部分をいう。図12に示すように、各CMブロックでは、この後のりしろに相当する部分を「ポストロール」と呼び、前のりしろに相当する部分を「プリロール」と呼ぶ。ポストロールとプリロールの長さは、CMブロック詳細情報のウインドウ内で設定することができる。但し、好ましくは、ポストロールとプリロールの和がそのCMブロックの長さと一致するか、またはそれ以上となるように設定する。これは、ポストロールとプリロールの間に隙間が生じないようにするためである。「中央切り替わり」にすれば、ポストロールとプリロールは、共に、そのCMブロックの長さの半分の長さに設定される。このポストロールとプリロールを設けることにより、オンエア時のロールの再生時にのりしろ部分も含めて再生するので、外部のCMのオンエアのタイミングが若干ずれたとしても、空白シーンがオンエアされるおそれがなくなる。
【0066】
CMブロック詳細情報ウインドウでは、さらに、そのCMブロックの入りまたは明けの設定した時間(例えば数分、あるいは数十秒)だけ前の時点で警告(警報)を発生することを設定できる。この警告を設定したとき、時間軸情報エリア内の所定の位置に上記三角マークが表示される。初期状態では、この警告が設定されている。
【0067】
上述したユーザ定義警告は、ツールバー上の逆三角マークを、設定した位置までドラッグ&ドロップすることにより、任意の時間軸上に配置することができる。この際、図16に示すような追加用の警告情報ウインドウが開かれ、正確なOAタイムを設定することができる。また、ツールバー上の「警告情報」ボタンを押すことによっても追加用の警告情報ウインドウが開き、このウインドウ上で任意のOAタイムに警告情報を追加することができる。
【0068】
マウスでダブルクリックされたブロックがCMブロック以外の場合には、図15の「ブロック詳細情報」ウインドウが開かれる。そのブロックの詳細情報を見ることができる。このウインドウでは、そのブロック(ロール)のブロック名、キャプション、デュレーション、OA開始時刻、OA終了時刻が表示され、さらに、このロールを構成するパッケージのリスト(パッケージ名、OA開始時刻、OA終了時刻、デュレーション)が表示される。すなわち、ロール毎に、このようなリストの内容が、システム内にロールテーブル(図示せず)として記憶されている。また、このウインドウ上で、このブロックの入りの設定時間前に警告を発生するか否かを設定できる。「ブロック詳細情報」ウインドウのキャプション、警告情報の設定変更を行った後、確定ボタンを押せば、その内容がキューシートに反映される。
【0069】
システム定義、ユーザ定義によらず、一旦配置された警告は、その警告をマウスで選択した状態で、ツールバー上の「警告情報」ボタンを押すことにより、図17の変更用の「警告情報」ウインドウが開き、このウインドウ上でその警告情報を変更することができる。
【0070】
ツールバー上の「手動送出」ボタンを押せば、図14の「手動送出」ウインドウが開かれる。このウインドウは、1個以上の特定のパッケージを指定してそのパッケージを手動またはリモートで送出したり、予約時刻を設定してその時刻に送出したりするためのものである。これは、ユーザが何らかの理由によりキューシートとは関係なく(キューシートを変更することなく)、特定のパッケージを送出したいときに用いることができる。
【0071】
次に、上記の種々の機能を実現するための処理手順を説明する。本実施の形態では、これらの処理は、GUIの制御に関しては、PC11のプロセッサが担当し、その他の制御に関しては、デジタル録画再生装置10内のプロセッサが担当する。しかし、全体のシステムとして同様の機能が達成されれば足りるので、フローチャート内では、特に、両者の分担を厳密に区別していない。なお、このフローチャートおよび以下に説明するフローチャートにおいて、ステップの順序に意味がある場合を除いて、各ステップの順序は図示のものに限らず、任意である。
【0072】
まず、図18により、キューシート作成処理の主要な処理手順の一例を説明する。この処理は、ユーザとPCとの対話処理なので、システム側ではユーザの指示や操作に応じて、対応する処理を実行する。
【0073】
システムは、ユーザから、番組のタイトルの入力を受け付ける(S21)。また、この番組のOA開始時刻およびOA終了時刻の入力を受け付ける(S22)。これにより、前述した「放送枠」時間が算出され、放送枠表示欄に表示される。この時間は、以後のすべての尺計算の基準となる。
【0074】
ユーザから時間軸情報エリア内にCMブロックの入力があれば(S23)、そのCMブロックを時間軸情報エリア内に仮に配置する(S24)。このCMブロックのOAタイムは、前述したOAタイム設定ウインドウで確定することができる。CMブロックの入力に伴い、尺計算が実行され、CM総量時間が増加し、正味時間が減少するよう更新・表示される(S25)。
【0075】
ユーザにより上記パッケージ管理ウインドウ(図10)から時間軸情報エリア内に任意のパッケージの入力があれば(S26)、そのパッケージがすでに登録されているか否かを調べる(S27)。システムは、このパッケージの重複配置を、パッケージ名称でチェックするか、または、オリジナルタイムコードでチェックする。重複していることが判明した場合には、警告メッセージ(図示せず)を表示して(S30)、後述のステップS32へ移行する。意図的な重複を許す場合に、ユーザの確認をとった後、ステップS28へ移行するようにしてもよい。パッケージの配置位置は、CMブロックの場合と同様であるが、前述のように、既にOAタイムが確定している他のパッケージまたはCMブロックに接触して配置されれば、そのパッケージのOAタイムは自動的に決定される。
【0076】
ステップS28では、CMブロック間でそのパッケージが最初のパッケージである場合には、そのパッケージを含むロールを作成するようロールテーブルを作成する。この際、ロールの名称は自動的に付けられる。そのロールのキャプションはユーザが付加することができる。そのパッケージが最初のパッケージではない場合、既にあるロールにそのパッケージが追加される。その後、尺計算が実行され、正味時間、既確定時間、残り尺時間が更新、表示される(S29)。
【0077】
ユーザから提供CMの入力があった場合には(S31)、その提供CMが指定された位置に配置される(S32)。提供CMは、ロールに重畳されてオンエアされるので、尺計算には何ら影響を及ぼさない。
【0078】
前述したようなCMブロック、ロール、パッケージの編集(修正、移動、削除等)、および警告等の編集(追加、修正、削除等)の指示がユーザからあった場合(S33)、システムはそれに対応した編集処理を実行する(S34)。
【0079】
以上の処理を、ユーザの指示に応じて繰り返し実行することにより、キューシートが作成される。
【0080】
なお、本実施の形態では、キューシートがそのOA開始時刻まで完全に満たされる前にオンエアを開始し、オンエア開始後も、番組進行表の現時刻より後の部分の作成および修正を行うことができることに留意されたい。
【0081】
次に図19により、本実施の形態における、キューシートに基づく自動送出の処理手順の一例を説明する。
【0082】
まず、番組のOA開始時刻になるまで待機し(S51)、その時刻になったら、以下の処理に進む。
【0083】
現時刻でユーザに対する何らかの警告(CM入り、ロール入り等の前の警告、提供CMの警告あるいはユーザ定義の警告)の発生が必要が否かを判断する(S52)。必要であれば、それに対応する警告を発生する(S53)。また、次に送出するロールの直前にCMブロックがあるかを調べる(S54)。なければ、現時刻がそのロールのOA開始時刻となった時点で(S57)、そのロールの再生・送出を開始する(S58)。その後、ステップS59へ移行する。
【0084】
先のステップS54で、次に送出するロールの直前にCMブロックがあると判定された場合には、現時刻がそのCMブロックのプリロール分だけ、そのロールのOA開始時刻より前の時点になったとき(S55)、当該プリロール分前から、そのロールの前のりしろ部分を再生・送出開始する(S56)。
【0085】
現時刻が現在送出中のロールのOA終了時刻になったかを調べる(S59)。そのロールのOA終了時刻でなければステップS62へ進む。OA終了時刻であれば、そのロールの直後にCMブロックがあるかを調べる(S60)。CMブロックがなければステップS63へ進む。CMブロックがあれば、そのロールの後のりしろ部分を再生・送出開始する(S61)。ついで、現時刻が、当該CMブロックのポストロール分だけ、そのロールのOA終了時刻より後の時点かを調べる(S62)。そうであれば、ステップS63へ進み、そうでなければ、ステップS64へ移行する。ステップS63では、現在のロールまたはのりしろ部分の再生・送出を停止する。ステップS64では、現時刻が番組のOA終了時刻に達したかを調べ(S64)、達するまでの間、ステップS52に戻り上記の処理を繰り返す。
【0086】
さて、本実施の形態におけるハサミ処理(分割処理)を説明する。
【0087】
今、図20(a)に示すように、キューシートにおいて、CMブロックCM3、ロールR3、CMブロックCM4の順に番組要素が並んでいるとする。また、ロールR3は、2つのパッケージP1,P2から構成されているとする。このようなキューシートに対してプレビューを行い、プレビューポインタがロールR3の中間分である時刻t3の位置にあるとする。この状態で、ユーザがキューシートのツールバー上のハサミマークを指示すると、ロールR3がこの位置で2つのロール部分に分割される。この分割位置は、ロールR3を構成するパッケージP2の中間部分に相当している。したがって、ロールR3の分割に伴い、このパッケージP2は、図20(b)に示すようにパッケージP21とP22に二分されることになる。すなわち、図22に示すように、ロールR3を構成するパッケージが2個から3個へ増加するよう、ロールR3のロールテーブルが更新される。なお、偶然、パッケージの境界に分割位置が来た場合にはパッケージの分割は不要である。
【0088】
この分割により、さらにパッケージP2を構成するシーンにも影響が及びうる。パッケージP2が複数のシーンで構成され、偶然それらのシーンの境界で分割される場合には、シーンの特定情報への影響はない。しかし、1つのシーンの中間部分に分割位置が来る場合がある。この場合には、図21に示すように、例えばシーン2が新たなシーンS21,S22に分割される。すなわち、図示しないが、パッケージP2のプレイリストは、シーンS2のシーン特定情報が削除され、同じ位置にシーンS21とシーンS22シーン特定情報が挿入されるよう更新される。
【0089】
このハサミ処理は、キューシートに基づくオンエアを開始する前の静的な状態で実行できることは勿論であるが、オンエア開始後の動的な状態であっても利用することができる。例えば、今、図20のキューシートに基づいてオンエアが開始され、ロールR3内の時刻t1にまでOAポイントが達したとする。この時点であっても、例えば、後続のパッケージP2の映像をプレビューしていて問題の箇所を発見したような場合、ハサミ処理を用いてその問題を除去することが可能である。その問題の箇所がパッケージP2の後半部分にある場合、ユーザはその手前の位置t3にプレビューポインタをおいた状態でハサミ処理を指示する。これによって、パッケージP22を独立の新たなパッケージとして、これを編集の対象とすることが可能になる。この編集の例としては、例えばアナウンサーの失言があったような場合には、その箇所の音声シーンを削除した後、編集後のパッケージP22を元の位置に戻すことができる。編集後のパッケージP22は新たに作成されるので、編集前のパッケージP22は廃棄する(図示しないゴミ箱に捨てる)。この処理の間に、OAポインタが直前のパッケージP21にまで進んでも、このハサミ処理による悪影響はない。
【0090】
図23により、ハサミ処理を実現するための処理手順の一例を示す。まず、ハサミによる分割位置が属するロール内の1つのパッケージの中間にその分割位置があるかを調べる(S91)。もし、2つのパッケージの境界位置が分割位置であれば、パッケージの分割は必要ないからである。パッケージの分割が必要な場合、前述のように、そのパッケージを、分割位置で新たな2つのパッケージに分割するようロールテーブルを更新する(S92)。次に、ハサミの分割位置が属するパッケージ内の1つのシーンの中間にその分割位置があるか否かを調べる(S93)。もし、2つのシーンの境界位置が分割位置であれば、シーンの分割は必要ないからである。シーンの分割が必要な場合、前述のように、そのシーンを、分割位置で新たな2つのシーンに分割するよう、プレイリストを更新する(S94)。
【0091】
次に、本発明の効果的な用途として、追っかけ放送について説明する。試合時間よりも放送枠が短いスポーツ番組や、試合時間が予定より延びる可能性のあるスポーツ番組などでは、生放送をしていると試合のクライマックスで放送が終了してしまうおそれがある。これを避けるために、試合経過が分かる程度に試合の前半部分を短く編集し、実際の試合開始時刻より遅れて編集結果の放送を開始する。放送中は、試合終了の映像が丁度放送終了直前に放送されるように時間配分を計算(予測)しながら編集し、順次放送していく。このように、収録した映像を時間配分を予測しながら編集し、それを順次遅れて放送していく(疑似生)放送形態を「追っかけ放送」と呼ぶ。
【0092】
例えば、図24に示すように、例えば12:00から16:00頃まで継続して行われるイベント(スポーツなど)を最初から継続的に収録しておく一方、これより短い放送枠の番組の放送時間14:00から16:00で、イベントの主要部分を切り出して遅延させながら放送していき、最終的にはイベントの終了に番組の終了を合わせる。この放送形態では、収録作業、編集作業、番組の進行作業(試合時間の予測とキューシート管理)、送出作業を同時並行的に行うため、従来、多くの人手と多くのVTRを必要としていた。
【0093】
このような追っかけ放送において、本発明のキューシートを用いたノンリニア映像放送システムは極めて好適である。特に、キューシートが放送枠の最後まで完成していなくても、オンエアを開始することができ、進行していくイベントの収録結果をみながら、番組要素を決定していくことができる。
【0094】
さらに極端な場合、本発明では、シーンの終了位置が確定していなくても、そのシーンをパッケージとしてキューシートに配置することが可能である。これは、そのシーンの開始位置が指定された時点で、一旦、仮のシーンを作成し、これをパッケージとしてパッケージ管理ウインドウに登録できるようにしたことによる。図25に示すように、あるレコードの収録が継続されており、シーンS4としてそのIN点を指定したとする。この状態で、OUT点が確定していないとしても、ユーザは、この仮のシーンS4をパッケージとして登録し、これをキューシート内に配置することができる。図25のキューシートに示すように、シーンS4をパッケージP3として配置し、その収録点が時刻txを経過した後で、キューシート上のその時刻txの位置にハサミを入れる(ハサミ処理を実行する)と、この時点でシーンS4のOUT点が確定され、そのプレイリストが完結する。そのパッケージP3の終了位置も確定される。キューシート上のハサミで分割した後半部分は廃棄する。この処理は、特に、シーンを収録した時刻とそれを送出する時刻とが非常に近い場合(例えば5分〜15分)に有効である。このような場合には、OUT点が未だ収録されていないときに送出が始まってしまうからである。
【0095】
以上、本発明の好適に実施の形態について説明したが、本発明は、上記の具体例に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された範囲内で種々の変形・変更を行うことが可能である。例えば、上記CMブロックは本発明において必須のものではなく、CMブロックに代えて、CMのパッケージを挿入するようにしてもよい。また、本発明は、CM自体のない放送にも適用可能である。
【0096】
【発明の効果】
本発明のノンリニア映像放送システムによれば、番組進行表を電子的に作成すると共に、これを柔軟にかつ迅速・容易に修正することができる。例えば、番組進行表が完成する前に、この番組表に従ってオンエア開始することができ、オンエア開始後も未送出の部分を修正することができる。したがって、本発明は、特に追っかけ放送に利用して好適である。
【0097】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1の実施の形態におけるシステム構成を示すブロック図である。
【図2】図1のシステム内のデジタル録画再生装置10の内部構成を示す構成図である。
【図3】図2の装置内のディスクコントローラの内部構成を示す構成図である。
【図4】図1のシステムのキューシート端末装置のディスプレイ上に表示される第1の表示モードのキューシート管理画面の中間調画像を示す図である。
【図5】図1のシステムのキューシート端末装置のディスプレイ上に表示される第2の表示モードのキューシート管理画面の中間調画像を示す図である。
【図6】図1のシステムのキューシート端末装置のディスプレイ上に表示される第3の表示モードのキューシート管理画面の中間調画像を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における内部カセット、レコード、パッケージ、シーンの関係を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるプレイリストの構成例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態におけるCMブロック管理ウインドウの画面例の中間調画像を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態におけるパッケージ管理ウインドウの画面例の中間調画像を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態におけるCMブロック詳細情報ウインドウの画面例の中間調画像を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態におけるCMブロックの機能を説明するための図である。
【図13】本発明の実施の形態におけるOAタイム設定ウインドウの画面例の中間調画像を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態における手動送出ウインドウの画面例の中間調画像を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態におけるブロック詳細情報ウインドウの画面例の中間調画像を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態における警告情報(追加)ウインドウの画面例の中間調画像を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態における警告情報(変更)ウインドウの画面例の中間調画像を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態におけるキューシート作成処理のフローチャートである。
【図19】本発明の実施の形態における自動送出処理のフローチャートである。
【図20】本発明の実施の形態における、キューシート上のロールの分割の前(a)および後(b)の状態を説明するための図である。
【図21】図20(a)のパッケージP2の分割に伴うシーンの分割を説明するための図である。
【図22】図20のロールの分割によるロールテーブルの変化の前(a)および後(b)の状態を説明するための図である。
【図23】本発明の実施の形態におけるハサミ処理のフローチャートである。
【図24】本発明の実施の形態における追っかけ放送を説明するための図である。
【図25】本発明の実施の形態において、OUT点が確定していないシーンをパッケージとしてキューシートに配置する場合の説明図である。
【符号の説明】
5…ハブ、6a,6b…モニタ、7a,7b…モニタ、9…本線、10…デジタル録画再生装置、12,13…ディスプレイ、14,15…キーボード、16,17…マウス、18,19…操作コントローラ、18a,19a…ダイヤル、80…プレイリスト、101…編集端末装置、102…キューシート管理端末装置、110…EISAバス、121…プロセッサカード(RAM含む)、122…ディスプレイコントローラカード、123…ディスクコントローラカード、124…ゲンロックリファレンスカード、125…RS422インタフェースカード、126…ビデオ入力インタフェースカード、127…ビデオ出力インタフェースカード、128…オーディオ入出力インタフェースカード、130…デジタルビデオバス、133…ビデオルータ、135…SCSI−2バス、140…ビデオ用ハードディスクドライブ(ランダムアクセス記憶装置)、150…フロッピーディスクドライブ、160…システム用ハードディスクドライブ、191…スーパー装置、193…CMバンク、194…スイッチャ。
Claims (3)
- 記憶装置に対して外部から映像データをレコードとして収録する収録手段と、
前記記憶装置に格納されている映像データから切り出された1または複数のシーンの各々の開始位置および終了位置を表わすシーン特定情報からなるプレイリストを作成するプレイリスト作成手段と、
時間軸情報エリアを有する番組進行表をディスプレイ上に表示するとともに、ユーザの指示に従って、CMの長さを定めたCMブロックを前記時間軸情報エリア内に配置し、他の領域におのおの前記プレイリストで定義される複数のパッケージを配置することにより、番組進行表を作成する番組進行表作成手段と、
2つのCMブロック間に配置された1個以上のパッケージをロールとして管理するロールテーブルと、
ユーザの指示に応じて、前記時間軸情報エリア内に配置されたロールに対して、そのロールの時間軸上の一点を指定するポインタ手段と、
該ポインタ手段により指定された一点において、当該ロールを構成していたパッケージの1つを第1および第2のパッケージに分割するよう前記ロールテーブルを更新し、当該ロールを、それぞれ独立に編集可能な第1および第2のロール部分に分割するロール分割手段と、
前記番組進行表の時間軸情報エリア内に前記ロールの各パッケージが配置された時間軸上の時刻に対応して、当該パッケージのプレイリストに規定されたシーン特定情報に基づき前記記憶装置から順次対応する映像を再生して、該再生出力を放送用に送出する再生手段と、
現在収録中のレコードの1時点においてシーンの開始位置をユーザが指定したとき、この開始位置のみが指定されたシーンを仮のシーンとして前記プレイリストに登録するとともに、このプレイリストにより定まるパッケージを前記番組進行表の前記時間軸情報エリアに配置することを許容し、さらに前記レコードの収録が進行し、そのレコードにおいて前記シーンの開始位置より後方の収録済みの位置においてユーザが前記分割手段により分割を指示したとき、その分割位置を前記仮のシーンの終了位置を確定するよう当該プレイリストを更新する制御手段と
を備えたことを特徴とするノンリニア映像放送システム。 - 前記ロール分割手段は、前記パッケージの分割に伴って、当該パッケージを構成していたシーンの1つを第1および第2のシーンに分割し、第1のシーンおよび当該パッケージ内のそのシーン以前のシーン(もしあれば)を前記第1のパッケージに含め、前記第2のシーンおよび当該パッケージ内のそのシーン以降のシーン(もしあれば)をその第2のパッケージ内に含めるよう前記プレイリストを更新することを特徴とする請求項1記載のノンリニア映像放送システム。
- 前記ロール分割手段は、ユーザに指示に従って、前記分割により得られた一方のロール部分を他のCMブロック間に移動させたとき、当該ロール部分は当該他のCMブロック間にある他のロールとともに合体して新たな1つのロールが形成されるよう前記ロールテーブルを更新することを特徴とする請求項1または2記載のノンリニア映像放送システム。
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