JP4240938B2 - 車両用ドアロック装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用ドアロック装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用ドアロック装置においては、車両ドアのロック及びアンロック状態に関わらずキーシリンダを所定の基準位置に保つために、相対回動可能な2枚のレバー(キーレバー及びロッキングレバー)を組み合わせて構成されている。
【0003】
図6は、従来の車両用ドアロック装置の組み付け図である。車両用ドアロック装置41は、ロッキングレバー42と、キーレバー43と、固定ピン44とを備えている。ロッキングレバー42は、その位置によってドアのロック及びアンロックを切り替える。キーレバー43は、キー操作に連動してロッキングレバー42に係合され、ロッキングレバー42をロック及びアンロックの各対応する位置に移動させる。固定ピン44は、ロッキングレバー42及びキーレバー43に貫挿した状態でその先端部がカシメられ、ロッキングレバー42及びキーレバー43を相対回動可能に連結する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような車両用ドアロック装置41においては、ロッキングレバー42及びキーレバー43を貫挿するための固定ピン44及びこれにカシメを行う工程が必要となるため、部品数及び工数が増大してコストの増大を余儀なくされている。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、部品数及び工数を増大することなくロッキングレバー及びキーレバーを連結可能な車両用ドアロック装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、外力により回動操作されるキーレバーと、前記キーレバーに対し所定範囲で相対回動可能に連結され、該キーレバーに係合されて該キーレバーと一体で回動し、所定の回動位置に選択的に位置決めされてロックとアンロックとの切り替えを行うロッキングレバーとを備えた車両用ドアロック装置において、前記キーレバー及び前記ロッキングレバーのいずれか一方に備えられ、先端に抜け止め部が形成されている係止凸部と、前記キーレバー及び前記ロッキングレバーのいずれか他方に備えられ、底壁に前記抜け止め部と略同一形状に貫通された差し込み孔が形成されている凹部と該凹部の開口周縁部を連結する連結部と、を有し、前記抜け止め部が前記差し込み孔に差し込まれた状態において、該抜け止め部及び差し込み孔が相対回動されることで該抜け止め部を前記凹部の底壁及び前記連結部の底壁に係止し、該キーレバーと該ロッキングレバーとを連結した。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ロッキングレバーは、スナップフィットによって不動部に対して軸支した。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記スナップフィットは、複数個の腕部及び係止爪を備え、前記複数個の腕部は、ロッキングレバーに対し垂直方向一側に向かって外形が略円筒形状となるように突出しており、前記キーレバーは、前記ロッキングレバーに形成された軸挿入孔を貫通して前記腕部の内周面に当接するように差し込まれる軸部を備えた。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記ロッキングレバーの一側において前記スナップフィットが立設され、前記ロッキングレバーの他側において前記スナップフィットと同軸上に前記係止凸部が立設されている。
【0009】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、キーレバー及びロッキングレバーのいずれか一方の備える係止凸部の先端に形成された抜け止め部が同他方の備える凹部の底壁に前記抜け止め部と略同一形状に貫通形成された差し込み孔に差し込まれ、該抜け止め部と差し込み孔とが相対回動されることによって抜け止め部が凹部の底壁及び連結部の底壁に係止される。従って、抜け止め部を差し込み孔に差し込んだ状態で互いに相対回動させるのみで、キーレバーとロッキングレバーとが容易に連結される。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、ロッキングレバーを不動部に組み付ける際にスナップフィットを用いたことにより、ロッキングレバーは容易に不動部に組み付けられる。
【0012】
請求項3,4に記載の発明によれば、キーレバーに備えられた軸部がロッキングレバーに形成された軸挿入孔を貫通してスナップフィットが備える腕部の内周面に当接するように差し込まれている。従って、軸部が当接することによりスナップフィットの縮径が抑制されるため、スナップフィットとサブベースとが安定して係止され、ロッキングレバーがサブベースから脱落することが抑制される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
図1は、車両用ドアロック装置1の概観図であり、図2は、図1のA−A線断面図である。また、図3は、キーレバーとロッキングレバーの分解斜視図であり、図4は、キーレバーとロッキングレバーの組み付け後の斜視図である。
【0014】
車両用ドアロック装置1は、不動部としてのサブベース2、ロッキングレバー3、キーレバー4、操作レバー5及びリフトレバー6を備えている。サブベース2は、例えば金属板により形成されており、各構成品を設置する取り付け基盤となっている。
【0015】
サブベース2には、該サブベース2に対し垂直方向一側(図2の左下側)に向かって円筒形に突出する円筒部2aが形成されており、該円筒部2aの内周面によって円形の取り付け孔2bが形成されている。この取り付け孔2bは、ロッキングレバー3を軸支するために設けられている。また、サブベース2には、円筒部2aとは反対側に突出する回動規制部2c(図1参照)が形成されている。この回動規制部2cは、ロッキングレバー3の回動範囲を規制するために設けられている。
【0016】
ロッキングレバー3は、例えば樹脂材にて形成されており、軸挿入孔8を備えている。また、ロッキングレバー3は、軸挿入孔8の一側(図2の左下側)においてその開口周縁部から立設されたスナップフィット7を備えている。このスナップフィット7は、前記サブベース2の取り付け孔2bと係合することでロッキングレバー3を同サブベース2に対して回動可能に取着する。詳述すると、スナップフィット7は、複数個(本実施形態では4個)の腕部7a及び係止爪7bを備えている。複数の腕部7aは、ロッキングレバー3に対し垂直方向一側(図2の左下側)に向かって外形が略円筒形状となるように突出しており、その外周面の径は取り付け孔2bの内周面の径と略等しく設定されている。複数の腕部7aの内周面の径は軸挿入孔8の内周面の径と略等しく設定されている。また、腕部7aの突出長は円筒部2aの突出長と略等しく設定されている。
【0017】
係止爪7bは、腕部7aの先端においてスナップフィット7の径方向外側に突出形成されている。係止爪7bは、その先端側から徐々に肉厚となるように形成されており、腕部7aと連続する基端側において腕部7aの外周面よりも外側まで突出している。従って、ロッキングレバー3をサブベース2に組み付けると円筒部2aの先端に係止爪7bが係止されて、ロッキングレバー3はサブベース2に対して回動可能に抜け止めされる。
【0018】
さらに、ロッキングレバー3は、軸挿入孔8の他側(図2の右上側)においてその開口周縁部から立設された係止凸部9を備えている。係止凸部9は、支柱部9a及び抜け止め部9bを備えている。抜け止め部9bは、支柱部9aの先端部に連続形成されており、互いに相反する径方向に向かう2つの係止片を備えている。
【0019】
また、ロッキングレバー3には、前述した回動規制部2c(図1参照)と当接することにより、サブベース2に対する回動可能範囲を規制する位置決め部10,11が形成されている。両位置決め部10,11は、回動中心から径方向に互いに等しい距離に位置しており、両位置決め部10,11の間に回動規制部2cが配置されている。
【0020】
さらに、ロッキングレバー3は、連結柱12及び板部材13を備えている。連結柱12は、略円柱形状を有して支柱部9aの軸線方向と略平行に形成されている。連結柱12の先端部は前記操作レバー5(摺動孔5a)と連結するためのものである。連結柱12の外周面には、平面状に切り欠かれた押圧面12aが形成されている。この押圧面12aは、キーレバー4に当接されて該キーレバー4から伝達される力を受ける。
【0021】
図3及び図4に併せ示されるように、板部材13は、ロッキングレバー3の下部において略周方向に延設された平板によって形成されている。そして、板部材13の先端部には、押圧部14が一体形成されている。押圧部14はテーパ状の斜面14aを介して先端に向かって徐々に肉厚となるように隆起している。押圧部14の先端は平面状の端面14bを形成している。この端面14bは、キーレバー4に当接されて該キーレバー4から伝達される力を受ける。
【0022】
キーレバー4は、例えば樹脂材により形成されており、円盤部21及びレバー部22を備えている。円盤部21は、略円盤状に形成されており、その中心部には凹部23が形成されている。凹部23の底壁には前述した係止凸部9の先端に形成された抜け止め部9bと略同一形状に貫通された差し込み孔24が形成されている。この差し込み孔24は、その向きが後述の態様で挿通される係止凸部9の向きと変更されることで係止凸部9を凹部23の底壁に対して係止する。
【0023】
また、円盤部21には、所定の径方向においてその周縁部(凹部23の周縁部)を連結する連結部25が一体形成されている。連結部25は、該連結部25の下面から凹部23の底面までの長さが前述した係止凸部9の抜け止め部9bの肉厚と略等しくなるように形成されている。また、凹部23の底壁の厚さは、係止凸部9の支柱部9aの軸線方向への長さと略等しく設定されている。
【0024】
連結部25には、中心部から下方に向かって軸部26が延設されている。軸部26は、先端が球状に丸みを帯びた略円柱形状に形成されており、その外周面の径は軸挿入孔8の内周面の径と略等しく設定されている。キーレバー4をロッキングレバー3に組み付ける際、軸部26が軸挿入孔8に差し込まれることで、これらロッキングレバー3及びキーレバー4が回動可能に位置決めされる。尚、レバー部22は、後述の態様で連結柱12と押圧部14との間に位置するように組み付けられている。
【0025】
また、軸部26の軸線方向への長さは、軸部26を軸挿入孔8内に挿入した時にその先端が係止爪7bの近傍に配置されるように設定されている。従って、軸部26は、軸挿入孔8を貫通してスナップフィット7の中心部まで差し込まれ、腕部7aの内周面に当接している。従って、腕部7aの内側への撓みは、この軸部26によって回避され、円筒部2aに係止された係止爪7bが外れることが防止される。
【0026】
レバー部22は、円盤部21から径方向外側に延設されている。レバー部22は、平板状に形成されており、先端に円筒部27が突出形成されている。円筒部27には取り付け部28(図1参照)が取着されている。この取り付け部28は、図示しない連結部材を介して車両ドアに取着されたキーシリンダと連結されている。従って、ユーザによる車両ドアの施錠及び解錠動作に伴うキーシリンダの回動は、連結部材及び取り付け部28を介してキーレバー4に伝達される。例えば、ユーザによる車両ドアの施錠動作が行われると、キーシリンダの回動が連結部材を介して取り付け部28に伝達され、キーレバー4を図1において時計回りに回動させるようになっている。一方、ユーザによる車両ドアの解錠動作が行われると、キーシリンダの回動が連結部材を介して取り付け部28に伝達され、キーレバー4を図1において反時計回りに回動させるようになっている。尚、キーシリンダには図示しない付勢部材が設けられており、ユーザによる車両ドアの施錠及び解錠動作後において基準の回動位置に復帰するようになっている。この基準の回動位置は、車両ドアの施錠及び解錠動作に対応するキーシリンダの各回動位置の略中間位置に設定されている。そして、キーレバー4も、これに連動して所定の基準位置に復帰する。
【0027】
レバー部22の一側(図3の左側)の側面は、第1押圧部22aを形成している。また、レバー部22の他側(図4の手前側)には、下面側において側面から回動方向に略長四角形状に切り欠かれた切り欠き部29が形成されている。そして、レバー部22には、切り欠き部29の終端において下方向へ突出する押圧凸部30が形成されている。押圧凸部30は、テーパ状の斜面30aを介して切り欠き部29から遠ざかるにつれて下方向への突出量が徐々に小さくなるように形成されている。この押圧凸部30の切り欠き部29側の端面は、第2押圧部31を形成している。
【0028】
このように形成されたキーレバー4は、ロッキングレバー3の押圧面12a及び端面14bとの間で回動可能に組み付けられている。そしてキーレバー4は、図4において時計回り方向に回動することによって第1押圧部22aが押圧面12aと当接し、ロッキングレバー3と一体で同方向に回動する。一方、キーレバー4は、図4において反時計回り方向に回動することによって第2押圧部31が端面14bと当接し、ロッキングレバー3と一体で同方向に回動する。
【0029】
ここで、キーシリンダの回動位置の復帰に連動して、キーレバー4も所定の基準位置に復帰することは既述のとおりである。このとき、キーレバー4は、ロッキングレバー3の回動位置に関係なく、サブベース2に対して一定の位置(角度)を保つ。このキーレバー4の基準位置は、ロッキングレバー3の押圧面12a及び端面14bのいずれとも離隔されるように設定されている。
【0030】
尚、後述するように、差し込み孔24と抜け止め部9bとは、キーレバー4が押圧面12aと端面14bとの間で回動する際に、その向きが一致しないように設定されている。従って、キーレバー4の作動時に抜け止め部9bが差し込み孔24から抜け、キーレバー4がロッキングレバー3から脱落することがない。
【0031】
このように形成された車両用ドアロック装置1では、車両ドアの施錠及び解錠動作に伴うキーシリンダの回動に連動してキーレバー4がいずれか方向に回動されると、この回動方向に応じてロッキングレバー3の押圧面12a又は端面14bが押圧される。ロッキングレバー3は、押圧面12a又は端面14bが押圧されることによってサブベース2に対して相対回転する。この際、ロッキングレバー3の回動は、位置決め部10又は11が回動規制部2cに当接することで規制される。ロッキングレバー3は、両位置決め部10,11のうちどちらが回動規制部2cに当接しているかによってサブベース2に対する相対位置(角度)が選択的に変位する。
【0032】
図1に示されるように、操作レバー5は、一側端が分岐して2つのレバー部を形成している。そして、一方のレバー部には、長手方向に沿って摺動孔5aが形成されている。また、他方のレバー部は押し出し部5bとなっている。操作レバー5は、図示しない車両のドアハンドルと連結されており、ユーザがドアハンドルを操作することによって図1の左右方向に略沿って移動する。操作レバー5は、摺動孔5aに前記連結柱12の先端部が貫挿されることでロッキングレバー3と連結されており、ロッキングレバー3の回動に伴う変位に連動してその配置が変化する。操作レバー5は、ロッキングレバー3の位置決め部10,11のいずれが回動規制部2cと当接しているかに対応して押し出し部5bがリフトレバー6(当接部6a)と当接可能な位置又は当接不能な位置に移動配置される。
【0033】
リフトレバー6は、図示しないポールと一体に連結されており、該リフトレバー6の作動に連動してポールが作動する。ポールは車両ドアのラッチと係脱することによって車両ドアの開閉状態を制御するもので、リフトレバー6の作動によって車両ドアの開閉状態が制御される。従って、ドアハンドルの操作による操作レバー5の移動時に押し出し部5bが当接部6aと当接可能な位置に配置されている時は、ドア開放が許容されるアンロック状態となる。また、ドアハンドルの操作による操作レバー5の移動時に押し出し部5bが当接部6aに当接不能な位置に配置されている時は、ドア開放が許容されないロック状態となる。
【0034】
このような構成を有する車両用ドアロック装置1の動作について図1を参照して以下に総括的に説明する。まず、キーシリンダの回動に連動したキーレバー4の一側方向(反時計回り方向)の回動によりロッキングレバー3の端面14bが押圧されると、ロッキングレバー3は位置決め部11が回動規制部2cと当接するまで回動する(図1の状態)。このとき、ロッキングレバー3の連結柱12の移動によって操作レバー5は、押し出し部5bの対向位置に当接部6aが配置されるように位置決めされる。この状態でユーザがドアハンドルを操作すると操作レバー5は、摺動孔5aの向き(図1の右方向)に略沿って移動することで押し出し部5bが当接部6aを押圧し、リフトレバー6(ポール)を作動させる。これにより、ポールによるラッチの固定が解除され、車両ドアが開放される。
【0035】
また、キーシリンダの回動に連動したキーレバー4の他側方向(時計回り方向)の回動によりロッキングレバー3の押圧面12aが押圧されると、位置決め部10が回動規制部2cと当接するまで回動する。このとき、ロッキングレバー3の連結柱12の位置によって操作レバー5(摺動孔5a)は、図1において上方に押し上げられて配置される。これにより、操作レバー5の押し出し部5bも図1の上方に押し上げられ、該押し出し部5bの対向位置に当接部6aが存在しないように位置決めされる。従って、この状態でユーザがドアハンドルを操作して操作レバー5を移動させても、押し出し部5bは当接部6aを押圧することができず、リフトレバー6(ポール)を作動させることができない。これにより、ポールによるラッチの固定は解除されない。
【0036】
次に、キーレバー4とロッキングレバー3との組み付け態様について説明する。尚、キーレバー4の組み付けに先立って、ロッキングレバー3はサブベース2に組み付けられている。
【0037】
図5(a)及び図5(b)は、キーレバー4とロッキングレバー3の組み付け動作を示す説明図である。ロッキングレバー3にキーレバー4を組み付ける際には、先ず、図2に示した態様でキーレバー4の軸部26がロッキングレバー3の軸挿入孔8に差し込まれる。この際、図5(a)に示すように、係止凸部9に形成された抜け止め部9bが、円盤部21に形成された差し込み孔24を貫通するように両者の向きを合わせて差し込まれる。
【0038】
次に、キーレバー4を円盤部21を中心に時計回り(矢印の方向)に回動させる。キーレバー4がロッキングレバー3に対して相対的に回動すると、同時に抜け止め部9bも差し込み孔24に対して相対的に回動する。従って、図5(b)に示されるように、抜け止め部9bの向きに対し差し込み孔24の向きがずらされる。そして、抜け止め部9bは連結部25の底壁に係止され、キーレバー4はロッキングレバー3に対して軸線方向への抜け止めがされる。
【0039】
またこのとき、図4に示すように、レバー部22の下面に形成された押圧凸部30が、連結柱12と、押圧部14との間に位置決めされる。詳述すると、図5(a)に示すように、係止凸部9に形成された抜け止め部9bを円盤部21に形成された差し込み孔24に差し込んだ状態では、レバー部22の下面に形成された押圧凸部30は、図において押圧部14の右側に位置している。
【0040】
この状態から前述したようにキーレバー4を円盤部21を中心として時計回りに回動させると、押圧凸部30も同様に押圧部14に対して相対的に回動し、押圧部14と当接する。
【0041】
押圧凸部30及び押圧部14は、前述したように、ともにテーパ状に形成された斜面30a及び斜面14aを備えており、押圧凸部30と押圧部14とが当接する際には、先ず、互いにテーパ状の斜面30aと斜面14aとが当接する。
【0042】
斜面30aと斜面14aとが当接した状態から更にキーレバー4を時計回りに回動させると、斜面30aと斜面14aとが互いに圧接し互いに押し広げる方向の力を及ぼし合いながら摺動する。キーレバー4の回動に伴い発生する力は、板部材13に撓みを発生させる。
【0043】
このようにしてキーレバー4は、押圧凸部30と押圧部14との圧接によって板部材13を撓ませながら時計回りに回動し、最終的には押圧凸部30が押圧部14を乗り越える位置まで回動する。
【0044】
押圧凸部30が押圧部14を乗り越えると、押圧凸部30と押圧部14とが非接触状態となるため押圧凸部30と押圧部14とが圧接することによって発生していた力が解放される。従って、撓んでいた板部材13がその弾性力によって元の状態(位置)に戻る。このようにしてキーレバー4とロッキングレバー3との組み付けが終了する。
【0045】
尚、組み付け後のキーレバー4は、前記連結柱12及び押圧部14との間でロッキングレバー3に対する回動範囲が規制されることは既述のとおりである。すなわち、キーレバー4は、第1押圧部22aが連結柱12に当接する角度から、押圧凸部30が押圧部14の端面14bに当接する角度までにその回動範囲が制限されている。キーレバー4は、押圧凸部30が押圧部14を乗り越えて連結柱12及び押圧部14との間に配置されるため、同キーレバー4が組み付け時の状態に戻るまで回動することはない。これにより、抜け止め部9bの向きが差し込み孔24の向きに一致することはなく、ロッキングレバー3に対するキーレバー4の相対回動によって同キーレバー4が脱落することはない。
【0046】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)係止凸部9を差し込み孔24に差し込んだ状態でキーレバー4とロッキングレバー3を相対的に回動させることにより係止凸部9が凹部23の底壁に係止される。そして、係止凸部9は、差し込み孔24から外れなくなりキーレバー4とロッキングレバー3とが連結される。従って、固定ピンなどの部品を用いることなく容易にキーレバー4とロッキングレバー3とが連結できる。そして、ひいては車両用ドアロック装置1の製造コストを低減することができる。
【0047】
(2)キーレバー4とロッキングレバー3とを組み付けた後の相対回動可能な範囲は、係止凸部9を差し込み孔24に差し込み可能な範囲とずらして設定されている。従って、上記相対回動において、キーレバー4とロッキングレバー3との連結が外れることがなく車両用ドアロック装置1を安定して作動させることができる。
【0048】
(3)ロッキングレバー3は、スナップフィット7を取り付け孔2bに挿入することによって容易にサブベース2に組み付けられる。従って、車両用ドアロック装置1を効率的に組み付けることができる。
【0049】
(4)キーレバー4をロッキングレバー3に組み付ける際に、軸部26はスナップフィット7の軸挿入孔8の中心部まで差し込まれるため、スナップフィット7の腕部7aは縮径することが抑制される。従って、ロッキングレバー3をサブベース2に安定して取着することができ、信頼性の高い車両用ドアロック装置1を提供することができる。
【0050】
(5)係止凸部9から延設された抜け止め部9bは、互いに径方向外側に向かう2つの係止片によって形成されているため、キーレバー4とロッキングレバー3の回動の中心を挟んだ両端部を支持することにより安定した抜け止めが行われる。従って、キーレバー4がロッキングレバー3から離脱することがなく車両用ドアロック装置1を安定して作動させることができる。
【0051】
なお、本発明の実施の形態は上記実施形態に限定されるものではなく、次のように変更してもよい。
・上記実施形態において、ロッキングレバー3に係止凸部9を形成するとともにキーレバー4に差し込み孔24を形成する構成としたが、両者が係止凸部9を差し込み孔24に差し込んだ状態で相対的に回動し抜け止めを行う構造のものであればよい。従って、キーレバー4に係止凸部を形成するとともにロッキングレバー3に差し込み孔を形成したものであってもよい。
【0052】
・上記実施形態において、抜け止め部9bは、支柱部9aの先端部の外周面から互いに径方向外側に向かう2つの係止片によって形成されていた。しかし、抜け止め部を差し込み孔に差し込んだ状態でキーレバーとロッキングレバーを相対的に回動させ抜け止め部と凹部の間で係止状態を作り、その係止状態が車両用ドアロック装置の使用時に維持できるものであればよい。従って、抜け止め部の数及び形状は限定されない。
【0053】
・上記実施形態において、スナップフィット7は、4つの腕部7a及びその先端に形成された係止爪7bによって形成されていたが、腕部7aの数は一例であり他の数を採用してもよい。
【0054】
・上記実施形態において、スナップフィット7は、中心部に軸挿入孔8を備え、その内部にキーレバー4の軸部26が差し込まれていた。しかし、キーレバー4とロッキングレバー3とを相対的に回動できる状態で固着できればよく、スナップフィット7の軸挿入孔8及びキーレバー4の軸部26を備えていないものを用いてもよい。
【0055】
次に、以上の実施形態から把握することができる請求項以外の技術的思想を、その効果とともに以下に記載する。
(イ)前記係止凸部は、前記キーレバーと前記ロッキングレバーとの回動の中心から互いに相反して径方向外側に向かう抜け止め部によって形成されていることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の車両用ドアロック装置。この構成によれば、係止凸部は、互いに相反して径方向外側に向かう抜け止め部によってキーレバーとロッキングレバーの抜け止めを行っている。従って、キーレバーとロッキングレバーの回動の中心を挟んだ両端部を支持することにより安定した抜け止めが行われる。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、部品数及び工数を増大することなくロッキングレバー及びキーレバーを連結可能な車両用ドアロック装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両用ドアロック装置の概観図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】キーレバーとロッキングレバーの分解斜視図。
【図4】キーレバーとロッキングレバーの組み付け後の斜視図。
【図5】キーレバーとロッキングレバーの組み付けの説明図。
【図6】従来の車両用ドアロック装置の組み付け図。
【符号の説明】
1…車両用ドアロック装置、2…不動部としてのサブベース、3…ロッキングレバー、4…キーレバー、5…操作レバー、7…スナップフィット、9…係止凸部、24…差し込み孔、26…軸部。
Claims (4)
- 外力により回動操作されるキーレバーと、
前記キーレバーに対し所定範囲で相対回動可能に連結され、該キーレバーに係合されて該キーレバーと一体で回動し、所定の回動位置に選択的に位置決めされてロックとアンロックとの切り替えを行うロッキングレバーとを備えた車両用ドアロック装置において、
前記キーレバー及び前記ロッキングレバーのいずれか一方に備えられ、先端に抜け止め部が形成されている係止凸部と、
前記キーレバー及び前記ロッキングレバーのいずれか他方に備えられ、底壁に前記抜け止め部と略同一形状に貫通された差し込み孔が形成されている凹部と該凹部の開口周縁部を連結する連結部と、を有し、
前記抜け止め部が前記差し込み孔に差し込まれた状態において、該抜け止め部及び差し込み孔が相対回動されることで該抜け止め部を前記凹部の底壁及び前記連結部の底壁に係止し、該キーレバーと該ロッキングレバーとを連結したことを特徴とする車両用ドアロック装置。 - 前記ロッキングレバーは、スナップフィットによって不動部に対して軸支されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ドアロック装置。
- 前記スナップフィットは、複数個の腕部及び係止爪を備え、前記複数個の腕部は、ロッキングレバーに対し垂直方向一側に向かって外形が略円筒形状となるように突出しており、
前記キーレバーは、前記ロッキングレバーに形成された軸挿入孔を貫通して前記腕部の内周面に当接するように差し込まれる軸部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の車両用ドアロック装置。 - 前記ロッキングレバーの一側において前記スナップフィットが立設され、前記ロッキングレバーの他側において前記スナップフィットと同軸上に前記係止凸部が立設されていることを特徴とする請求項3に記載の車両用ドアロック装置。
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