JP4240421B2 - 現像ロール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンター等の電子写真装置に用いられる現像ロールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真複写機による複写はつぎのようにして行われる。すなわち、軸中心に回転する感光ドラムに原稿像を静電潜像として形成し、これにトナーを付着させてトナー像を形成する。ついで、このトナー像を複写紙に転写することにより複写が行われる。この場合、上記感光ドラム表面に対して静電潜像を形成させるためには、予め感光ドラム表面を帯電させ、この帯電部分に対して原稿像を光学系を介して投射し、光の当たった部分の帯電を打ち消すことにより静電潜像をつくるということが行われている。そして、上記静電潜像の形成に先立って感光ドラム表面を帯電させる方式としては、最近では、帯電ロールを感光ドラム表面に直接接触させて感光ドラム表面を帯電させるロール帯電方式が採用されている。さらに、このようにして感光ドラム表面に形成された静電潜像にトナー像を形成させる方法としては、現像ロールを用いた方式が採られている。すなわち、摩擦帯電した現像ロール表面にトナーが付着し、このトナーが現像ロールから感光ドラム表面の静電潜像に向かって飛翔することにより、感光ドラム表面にトナー像が形成される。このトナー像が、複写紙上に定着されることにより複写が行われる。
【0003】
上記電子写真複写機における現像ロールとしては、例えば、軸体の外周面に、外周面が鏡面である最内層が形成されたベースロールの表面に、中間層、最外層がこの順で積層されたものが提案されている。上記中間層および最外層は、ポリマー成分を溶解した各溶液に、導電剤等を均一に分散させた各コーティング液を用い、ベースロールに順次塗布し乾燥することにより形成される。例えば、ロールコート法による形成は、つぎのようにして行われる。すなわち、ベースロールを準備し、このベースロールをその軸方向が水平面に対し垂直方向になるようにして固定した後、この外周面の上方から下方に向かって塗布ローターを螺旋状に移動させながらコーティング液を塗布し乾燥させることにより行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記コーティング液を用いて得られる現像ロールには、コーティング液膜の液だれが主因と考えられる塗布むらが発生するという問題がある。例えば、外周面が鏡面である最内層を有するベースロールの表面に、ロールコート法により、中間層および最外層を形成した現像ロールには、図9に示すように、塗布ローターのローターピッチに対応したすじ状の塗布むら8が残存する。この塗布むら8は、現像ロールの軸方向と略直交するすじ状部になっており、その部分は凸部である。これにより、塗布むらの凸部と凹部とで特性値(電気抵抗値等)が大きくばらつき、複写画質にむらが生じたり、現像ロールを電子写真複写機に組み込んで長期使用した場合、現像ロール表面にトナーフィルミング(トナーの固着)が生じたりする。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、特性値、特に電気抵抗値のばらつきが抑制された現像ロールの提供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の現像ロールは、軸体と、この外周面に形成されたゴムまたはエラストマーからなる最内層と、この最内層の外周面に軸方向を水平面に対し垂直方向にし塗布ロータを螺旋状に移動させた状態で形成された少なくとも二層の被覆層とを備えた現像ロールであって、上記最内層の外周面が型面転写により凹凸粗面に形成され、かつその表面粗さ(Rz)が15〜50μmの範囲に設定され、上記被覆層が、コーティング液からなる液膜中の溶剤の揮散により形成されているという構成をとる。
【0007】
すなわち、本発明者らは、特性値、特に電気抵抗値のばらつきが抑制された現像ロールを得るべく一連の研究を重ねた。その結果、軸体と、ゴムまたはエラストマーからなる最内層と、この最内層の外周面に形成された中間層と、この中間層の外周面に形成された最外層とを備えた現像ロールにおいて、最内層の外周面を凹凸粗面とし、その最内層の表面粗さ(Rz)を15〜28μmの範囲に設定し、上記最外層の表面粗さ(Rz)を4〜8μmの範囲に設定すれば、現像ロールの軸方向の電気抵抗値のばらつきを0.1×10 9 Ω以下にすることができることを見いだし、本発明に到達した。特に、上記中間層および最外層を、コーティング液からなる液膜中の溶剤を揮散させることにより形成する場合、液膜からの液だれが凹凸粗面の凸部で止められ、結果、塗布むらの発生が抑えられる。そして、液だれの抑制に伴い、液膜中の導電剤等の移動も抑制され、現像ロール表面の特性値(電気抵抗値等)のばらつきが一層抑えられる。
【0008】
さらに、上記最内層の外周面の凹凸粗面を、銅電極を用いた放電加工処理により粗面に形成された、円筒状金型の内周面を転写させて形成すると、最内層における凸部外観形状を丸みを帯びた形状(尖っていない形状)にできることを突き止めた。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
本発明の現像ロールの一例を図1および図2に示す。この現像ロールは、軸体1の外周面に最内層2が形成され、その外周面に中間層3が形成され、さらにその外周面に最外層4が形成されて構成される。そして、最内層2の表面は、凹凸粗面に形成されている。この凹凸粗面の凸部の外観形状は、どのような形状であっても差し支えはないが、例えば線状の凸部を設ける場合には、凸部が液だれ方向(重力方向)に対して直交する方向に延びた状態で設けることが好ましい。
【0011】
本発明において、最内層2の表面粗さ(Rz)は、15〜28μmの範囲内になっている。すなわち、表面粗さ(Rz)が15μm未満であると、凹凸粗面度合が不充分なため、コーティング液膜中の溶剤を揮散させることにより中間層3等を形成する場合、液だれの抑制効果があまり得られないからであり、逆に28μmを超えると、凹凸粗面度合が大きすぎて、現像ロール表面が粗くなりすぎてしまうからである。なお、上記表面粗さ(Rz)は、JIS B 0601の表面粗さの定義と表示により示されるなかの十点平均粗さに準拠して測定した値である。
【0012】
また、本発明の現像ロールは、その最外層の表面粗さ(Rz)が、4〜8μmの範囲内になっている。すなわち、4μm未満であると、現像ロール表面が平滑すぎるため、トナーフィルミングが生じるおそれがあり、逆に8μmを超えると、現像ロール表面が凹凸粗面度合が大きすぎるため、複写画質にむらが生じるおそれがあるからである。
【0013】
本発明の現像ロールは、例えばつぎのようにして製造することができる。すなわち、まず最内層2形成材料を構成する各成分を各種の方法により分散させ、コンパウンド状の最内層2形成材料を調製する。また、中間層3形成材料および最外層4形成材料となる各コーティング液を調製する。上記各コーティング液は、各形成材料を構成する各成分をボールミルやロール等の混練機を用いて混練し、この混合物に有機溶剤を加えて混合し、攪拌することにより調製される。有機溶剤としては、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メタノール、トルエン、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド等の各種のものがあげられ、単独であるいは2種以上併せて用いられる。
【0014】
一方、従来公知の円筒状金型(内周面が鏡面)を準備し、この内周面に各種の粗面化処理を施すことにより、最内層2形成用の円筒状金型を作製する。円筒状金型の材質としては、特に限定されるものではなく、例えばSCM435、S45C、SHCM645等の各種のものがあげられる。また、粗面化処理方法としては、銅電極を用いた放電加工処理、市販の放電加工機(ジャパックスDP−85等)、サンドブラスト等の各種の方法があげられる。なかでも、凹部および凸部を適度の分散状態で円筒状金型内周面に分布させることができ、また最内層2における凸部外観形状を丸みを帯びた形状(尖っていない形状)にできるという理由から、銅電極を用いた放電加工処理が好ましい。ここで、銅電極を用いた放電加工処理とは、その字句どおり、円筒状金型内周面に銅電極を用いて放電加工を施す処理をいう。具体的には、例えば、図3に示すように、円柱状の銅電極5および内周面が鏡面である円筒状金型6を準備し、この銅電極5を円筒状金型6の中空部に挿入した後、電流を流しながら銅電極5を周方向に回転させて、円筒状金型6の内周面に放電加工を施す。なお、上記銅電極5は、表面が研磨処理されてあってもよいし、研磨処理されてなくてもよい。
【0015】
つぎに、図4に示すように、軸体1を準備し、軸体1の外周面に必要に応じて接着剤、プライマー等を塗布した後、下蓋11を外嵌した最内層2形成用の円筒状金型12(内周面の凹凸粗面は図示せず)の中空部に上記軸体1をセットする。そして、上記軸体1と円筒状金型12との間の空隙に上記コンパウンド状の最内層2形成材料を注型等した後、上記円筒状金型12に上蓋13を外嵌する。ついで、下蓋11および上蓋13を外嵌した円筒状金型12ごとオーブンに入れ、加熱することによりコンパウンド状の最内層2形成材料を加硫し(170℃×15分)、軸体1の外周面に最内層2を形成する。なお、必要に応じて二次加硫を行う。その後、上記最内層2が形成された軸体1を円筒状金型12から脱型する。このようにして、円筒状金型12の凹凸粗面が転写された最内層2を有するベースロールを作製する。
【0016】
そして、上記ベースロールの最内層2の外周面に前記中間層3形成材料(コーティング液)を塗工した後、乾燥および加熱処理を行い、溶剤を揮散等することにより、最内層2の外周面に中間層3を形成する。さらに、上記中間層3の外周面に最外層4形成材料(コーティング液)を塗工した後、乾燥および加熱処理を行い、溶剤を揮散等することにより、中間層3の外周面に最外層4を形成する。上記塗工方法としては、ディッピング法、スプレーコーティング法、ロールコート法等の各種の方法が採用できるが、先に述べたロールコート法を採用した場合にその改善効果が高い。このようにして、図1および図2に示す、軸体1の外周面に、外周面が凹凸粗面である最内層2、中間層3、最外層4がこの順で形成された現像ロールを作製できる。
【0017】
このようにして得られた現像ロールは、最内層2の凹凸粗面の凸部により、中間層3形成用コーティング液や最外層4形成用コーティング液の液だれが抑制されるため、図5に示すように、現像ロール表面に塗布むらが残存しないものとなる。図において、15は微小凸部であり、この微小凸部により、耐トナーフィルミング性を確保している。
【0018】
なお、本発明の現像ロールにおいて、最内層2の表面を粗面化する方法は、先に述べた、従来公知の円筒状金型の内周面を予め粗面化処理する方法に限定されるものではなく、その他の各種の方法によって行ってもよい。例えば、軸体1の外周面に、外周面が鏡面である最内層2を形成した後、この鏡面に物理的処理(紫外線照射等)や化学的処理(薬剤散布等)を施す方法があげられる。ただし、製造工程を簡略化しやすく、製品の同一性を確保しやすいという理由から、円筒状金型の内周面を予め粗面化処理する方法が好適である。また、現像ロールの各層の形成材料等について特に限定はないが、本発明の現像ロールの一例である上記三層構造の現像ロールの場合、つぎに示す材料を用いることが好ましい。
【0019】
上記軸体1としては、金属製の中実体からなる芯金や、内部を中空にくり抜いた金属製の円筒体等の各種のものがあげられ、特に限定されるものではない。そして、その材質としては、ステンレス、アルミニウム等があげられる。
【0020】
上記軸体1の外周面に形成される最内層2の形成材料としては、例えばエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ポリウレタン系エラストマー等があげられる。この材料には、導電剤やシリコーンオイル等の各種の添加剤が適宜に配合される。導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、チタン酸カリウム、酸化鉄、c−TiO2 、c−ZnO、c−SnO2 (ここで「c−」は導電性を有するという意味)等の各種のものがあげられる。また、シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル等の各種のものがあげられる。なかでも、上記最内層2の形成材料としては、低硬度でへたりが少ないという点から、導電性シリコーンゴムを用いることが好ましい。
【0021】
上記最内層2の外周面に形成される中間層3の形成材料としては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、ポリウレタン系エラストマー、クロロプレンゴム(CR)等があげられる。なかでも、接着性およびコーティング液の安定性の観点から、水素化ニトリルゴムが好ましい。この材料には、導電剤等の各種の添加剤が適宜に配合される。導電剤としては、上記最内層2の形成材料として例示したものと同種のものがあげられる。
【0022】
上記中間層3の外周面に形成される最外層4の形成材料としては、例えばフッ素ゴム、フッ素樹脂、フッ素ゴムとフッ素樹脂との混合物、シリコーン樹脂、シリコーングラフトアクリルポリマー、アクリルグラフトシリコーンポリマー、反応性シリコーンオイル、非反応性シリコーンオイル等があげられる。これらは単独であるいは2種以上併せて用いられる。この材料には、導電剤や帯電制御剤等の各種の添加剤が適宜に配合される。導電剤としては、上記最内層2の形成材料として例示したものと同種のものがあげられる。また、帯電制御剤としては、四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、アジン系(ニグロシン系)化合物、アゾ化合物、オキシナフトエ酸金属錯体、界面活性剤(アニオン系、カチオン系、ノニオン系)等の各種のものがあげられる。
【0023】
つぎに、実施例および参考例について比較例と併せて説明する。
【0024】
【実施例1】
まず、内周面が鏡面である円筒状金型および表面を研磨した円柱状の銅電極を準備し、この銅電極を円筒状金型内周面の中空部に挿入した後、電流を流しながら銅電極を周方向に回転させて、放電加工処理を施した。ついで、下蓋を外嵌し、放電加工処理を施した上記円筒状金型の中空部に、外周面に接着剤が塗布された軸体をセットした後、円筒状金型と軸体との間の空隙部に、最内層形成材料であるシリコーンゴムコンパウンド(導電剤およびシリコーンオイル含有、信越化学工業社製のKE1357 A/B)を注型し、上蓋を外嵌した(図4参照)。そして、円筒状金型ごとオーブンに入れ加熱することによりシリコーンゴムコンパウンドを加硫し(170℃×15分)、その後脱型して、最内層付き軸体(ベースロール)を製造した。この最内層の外周面の表面粗さ(Rz)は、15〜28μmであった。
【0025】
一方、水素化ニトリルゴム(日本ゼオン社製のゼットポール0020)100重量部(以下「重量部」を「部」と略す)と、ステアリン酸0.5部と、亜鉛華5部と、ケッチェンブラックEC30部と、硫黄1部と、加硫促進剤BZ1部と、加硫促進剤CZ2部とを有機溶剤に分散させたコーティング液を準備し、このコーティング液を、ロールコート法により、上記最内層の外周面に塗工した(塗布ローターピッチ2mm)。その後、乾燥および加熱処理を行ない、最内層の外周面に中間層を形成した。さらに、フッ素ゴム(旭硝子社製のアフラス210)100部と、酸化マグネシウム5部と、水酸化カルシウム5部と、シリコーンオイル(信越化学工業社製のKF8005)40部と、ビスフェノールAF(セントラル社製)2部と、テトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート2部とを有機溶剤に分散させたコーティング液を準備し、このコーティング液を、ロールコート法により、上記中間層の外周面に塗工した。その後、乾燥および加熱処理を行ない、中間層の外周面に最外層を形成した。このようにして、図1および図2に示す、三層構造の現像ロールを作製した。
【0026】
【参考例1】
最内層の外周面の表面粗さ(Rz)が22〜40μmとなるように、円筒状金型内周面に銅電極を用いた放電加工処理を施した以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
【0027】
【参考例2】
最内層の外周面の表面粗さ(Rz)が28〜50μmとなるように、円筒状金型内周面に銅電極を用いた放電加工処理を施した以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
【0028】
【比較例1】
円筒状金型内周面に粗面化処理を施さないこと以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。なお、最内層の外周面の表面粗さ(Rz)は、1〜3μmであった。
【0029】
【比較例2】
最内層の外周面の表面粗さ(Rz)が60〜70μmとなるように、円筒状金型内周面に銅電極を用いた放電加工処理を施した以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
【0030】
【比較例3】
最内層の外周面の表面粗さ(Rz)が8〜12μmとなるように、円筒状金型内周面に銅電極を用いた放電加工処理を施した以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
【0031】
【比較例4】
最内層の外周面の表面粗さ(Rz)が4〜11μmとなるように、円筒状金型内周面に銅電極を用いた放電加工処理を施した以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
【0032】
このようにして得られた各現像ロールについて、下記の基準に従い、現像ロール表面の表面粗さ(Rz、Ra)、複写画質、耐トナーフィルミング性、電気抵抗値のばらつき、耐久複写画質について比較評価を行い、その結果を、下記の表1および表2に示した。
【0033】
〔表面粗さ(Rz、Ra)〕
JIS B 0601に準拠して測定した。なお、Rzは、十点平均粗さであり、Raは算術平均粗さである。
【0034】
〔複写画質〕
現像ロールを実際に複写機に組み込んで複写を行った。そして、ドット再現性が良好なものを○、やや潰れているものを△、完全に潰れているものを×として表示した。
【0035】
〔耐トナーフィルミング性〕
現像ロール表面に現像剤(トナー)が厚く付着した部分は、帯電性が悪くなり、複写画質に不良を生じる。具体的には、現像ロール表面に現像剤の一部が1μm以上の厚みで付着すると、画質が著しく悪化する。そこで、現像ロールを実際に複写機に組み込み、3万枚ハーフトーン画像を複写し、現像ロール表面を目視することにより評価した。すなわち、トナーが厚み1μm以下であったものを○、厚みが1μmを超えていたものを△として表示した。
【0036】
〔電気抵抗値のばらつき〕
図6に示すように、現像ロール21の表面に針状のピン22を点接触させて電圧250Vを印加し、現像ロール21の軸方向1mm間隔で電気抵抗値を測定した。なお、図において、23は軸体である。その結果、電気抵抗値のばらつきが小さいものを○、大きいものを△として表示した。
【0037】
〔耐久複写画質〕
現像ロールを実際に複写機に組み込んで繰り返し複写を行った。そして、5,000枚を複写するまでにドット再現性の不良が発生したものを×、5,000〜10,000枚複写する間にドット再現性の不良が発生したものを△、10,000枚を超えて複写してもドット再現性が良好なものを○として表示した。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
上記表1および表2の結果から、実施例1品ならびに参考例1品および2品の現像ロールはすべて、電気抵抗値のばらつきが抑制されていることがわかる。そして、実施例1品の現像ロールは、電気抵抗値のばらつきの抑制効果に加えて、複写画質、耐トナーフィルミング性、耐久複写画質についても良好な結果が得られている。また、比較例3品および4品の現像ロールは、最内層表面の表面粗さが比較的小さいため、実施例1品の現像ロールと比べて、耐トナーフィルミング性および耐久複写画質に多少劣るものの、全体としては良好な結果が得られている。さらに、参考例1品および2品の現像ロールは、最内層表面の表面粗さが比較的大きいので、実施例1品の現像ロールと比べて、複写画質に多少劣るものの、全体としては良好な結果が得られている。
【0041】
これに対し、比較例1品の現像ロールは、最内層が実質的に鏡面であるため、電気抵抗値のばらつきが大きく、しかも耐トナーフィルミング性、複写画像、耐久複写画質のすべてが悪くなっている。また、比較例2品の現像ロールは、最内層の表面粗さ(Rz)が非常に大きいため、複写画質および耐久複写画質が悪くなっている。
【0042】
【実施例4】
実施例1と同様にして現像ロールを作製した。
【0043】
【比較例5】
比較例1と同様にして、現像ロールを準備した。
【0044】
このようにして得られた実施例2品および比較例5品の現像ロールについて、上記電気抵抗値のばらつき評価と同様の方法で、電気抵抗値を測定し、その結果を、図7(実施例2)および図8(比較例5)に示した。
【0045】
図7および図8に示す結果より、実施例2品の現像ロール(図7に示すグラフより、軸方向の電気抵抗値のばらつきが0.1×10 9 Ω以内)は、比較例5品のもの(図8に示すグラフより、軸方向の電気抵抗値のばらつきが2.0×10 9 Ω以内)と比較して、電気抵抗値のばらつきが抑制されていることがわかる。
【0046】
【発明の効果】
以上のように、本発明の現像ロールは、軸体と、この外周面に形成されたゴムまたはエラストマーからなる最内層と、この最内層の外周面に形成された中間層と、この中間層の外周面に形成された最外層とを備え、上記最内層の外周面の表面粗さ(Rz)が15〜28μmの範囲に設定され、かつ上記最外層の表面粗さ(Rz)が4〜8μmの範囲に設定され、かつ軸方向の電気抵抗値のばらつきが0.1×10 9 Ω以下に設定されたものである。このため、コーティング液を用いて中間層および最外層を形成する場合、コーティング液からなる液膜が大幅に液だれして、塗布むらが残存してしまうといったことがない。しかも、液だれとともに液膜中の導電剤等が移動して、得られる現像ロールの特性値(電気抵抗値等)にばらつきが生じてしまうといったこともない。したがって、本発明の現像ロールを複写機に組み込んで長期使用した場合、トナーフィルミングが生じたりせず、良好な複写画質を得ることができる。
【0047】
特に、上記最内層の外周面の凹凸粗面を、銅電極を用いた放電加工処理により粗面に形成された、円筒状金型の内周面を転写させて形成すると、最内層における凸部外観形状を丸みを帯びた形状(尖っていない形状)にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の現像ロールの一例を示す断面図である。
【図2】図1に示す現像ロールの模式的拡大断面図である。
【図3】銅電極を用いた放電加工処理を説明するための説明図である。
【図4】本発明の現像ロールの製法を示す説明図である。
【図5】本発明の現像ロールの表面状態を示す模式的説明図である。
【図6】現像ロールの電気抵抗値を測定する方法を示す説明図である。
【図7】 実施例2品の現像ロールについて、軸方向1mm間隔の電気抵抗値の測定値を示すグラフ図である。
【図8】 比較例5品の現像ロールについて、軸方向1mm間隔の電気抵抗値の測定値を示すグラフ図である。
【図9】従来の現像ロールの表面状態を示す模式的説明図である。
【符号の説明】
1 軸体
2 最内層
3 中間層
4 最外層
Claims (3)
- 軸体と、この外周面に形成されたゴムまたはエラストマーからなる最内層と、この最内層の外周面に軸方向を水平面に対し垂直方向にし塗布ロータを螺旋状に移動させた状態で形成された少なくとも二層の被覆層とを備えた現像ロールであって、上記最内層の外周面が型面転写により凹凸粗面に形成され、かつその表面粗さ(Rz)が15〜50μmの範囲に設定され、上記被覆層が、コーティング液からなる液膜中の溶剤の揮散により形成されていることを特徴とする現像ロール。
- 上記二層の被覆層が、最内層の外周面に形成された中間層と、この中間層の外周面に形成された最外層とであり、その最外層の表面粗さ(Rz)が4〜10μmの範囲に設定されている請求項1記載の現像ロール。
- 上記最内層の表面粗さ(Rz)が15〜28μmの範囲に設定され、上記最外層の表面粗さ(Rz)が4〜8μmの範囲に設定されている請求項2記載の現像ロール。
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