JP3912698B2 - 現像ロールの製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機、プリンター等に用いられる現像ロールの製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真複写機による複写はつぎのようにして行われる。すなわち、軸中心に回転する感光ドラムに原稿像を静電潜像として形成し、これにトナーを付着させてトナー像を形成する。ついで、このトナー像を複写紙に転写することにより複写が行われる。この場合、上記感光ドラム表面に対して静電潜像を形成させるためには、予め感光ドラム表面を帯電させ、この帯電部分に対して原稿像を光学系を介して投射し、光の当たった部分の帯電を打ち消すことにより静電潜像をつくるということが行われている。そして、上記静電潜像の形成に先立って感光ドラム表面を帯電させる方式としては、最近では、帯電ロールを感光ドラム表面に直接接触させて感光ドラム表面を帯電させるロール帯電方式が採用されている。さらに、このようにして感光ドラム表面に形成された静電潜像にトナー像を形成させる方法としては、現像ロールを用いた方式(接触現像方式)が採られている。すなわち、摩擦帯電した現像ロール表面にトナーが付着し、このトナーが現像ロールから感光ドラム表面の静電潜像に向かって飛翔することにより、感光ドラム表面にトナー像が形成される。このトナー像が、複写紙上に定着されることにより複写が行われる。
【0003】
このような現像ロールの製法としては、例えば芯金の外周面に弾性内層を形成した後、円筒研削機等によって弾性内層の表面に円筒研削処理を施し、弾性内層の表面を粗面に形成した後、その弾性内層の表面にさらに弾性外層形成材料を塗布して現像ロールを製造する方法が提案されている(特開平7−84443号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平7−84443号公報に記載の現像ロールの製法では、円筒研削機に用いる砥石の状態、あるいは弾性内層に用いる材料の種類または材料の冷凍温度等によって、弾性内層の表面粗さにばらつきが生じたり、弾性内層の表面に鋭く尖った部分ができる。そのため、弾性内層表面の尖った部分では、その尖りにより、弾性外層との間隔が狭くなってリークが発生したり、画像むらが生じたりしていた。また、トナーが現像ロール表面に付着してトナーフィルミングが発生する等の問題も生じていた。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、最内層(ベースゴム層)の表面粗さのばらつきを少なくすることにより、リーク等の発生を防止でき、良好な画像特性を長期間維持することができる現像ロールの製法の提供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の現像ロールの製法は、ベースゴム層形成用の金型と芯金を準備し,上記金型内に芯金を挿入した後,芯金と金型の間の空隙にベースゴム層形成材料を導入して上記芯金の外周面にベースゴム層を形成する工程と、上記ベースゴム層の外周に中間層形成材料であるコーティング液を塗工し,乾燥および加熱処理を行い,中間層を形成する工程と、上記中間層の外周に最外層形成材料であるコーティング液を塗工し,乾燥および加熱処理を行い,最外層を形成する工程とを備えた現像ロールの製法であって、上記ベースゴム層形成材料として導電性シリコーンゴムを用い、かつ、上記金型として、放電加工処理によって金型内面の表面粗さ(Rz)が12〜50μmの粗面に形成されたものを用い、この金型内面の粗面をベースゴム層外周面に転写させ、さらに上記塗工により中間層および最外層を形成することにより、現像ロール外周面の表面粗さ(Rz)を1.5〜40μmの範囲に設定するという構成をとる。
【0007】
本発明者らは、ベースゴム層の表面粗さのばらつきを少なくすることによりリーク等の発生を防止でき、良好な画像特性を長期間維持することができる現像ロールを得るべくその製法について鋭意研究を重ねた。そして、ベースゴム層表面を円筒研削する従来の方法に代わる方法について開発研究を続けた結果、ベースゴム層を形成するために用いる金型に着目し、その金型の内面を粗面にして、この粗面をベースゴム層表面に転写することを着想した。この着想に基づき、金型内面の粗面化方法について一連の研究を重ねた結果、放電加工によって所定の表面粗さに粗面化すると、生成した粗面の全体が均一な粗面化度になることを見いだした。そして、上記金型を鋳型として導電性シリコーンゴムによりベースゴム層を形成すると、ベースゴム層に導電性が付与されるとともに、金型内面に形成された均一な粗面がベースゴム層表面に精密に転写され、ベースゴム層表面に表面粗さのばらつきの少ない粗面を形成でき、しかも、その転写により形成されたベースゴム層の粗面上に、コーティング液の塗工によって中間層および最外層を形成することから、所望の表面粗さを有する現像ロールを得ることができ、所期の目的を達成することができるようになる。
【0008】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を説明する。
【0009】
本発明の現像ロールの製法について、図1に示す現像ロールを例に具体的に説明する。この現像ロールは、芯金1の外周面に沿ってベースゴム層2が形成され、その外周面に中間層3が形成され、さらにその外周面に最外層4が形成されて構成されている。
【0010】
まず、上記現像ロールのベースゴム層2、中間層3および最外層4の形成材料をつぎのようにして調製する。すなわち、上記ベースゴム層2形成材料用の各成分をニーダー等の混練機を用いて混練し、コンパウンド状のベースゴム層2形成材料を調製する。また、上記中間層3形成材料用の各成分をボールミル、ロール等の混練機を用いて混練し、この混合物に有機溶剤を加えて混合、攪拌することにより、中間層3形成材料(コーティング液)を調製する。さらに、上記最外層4形成材料用の各成分をボールミル、ロール等の混練機を用いて混練し、この混合物に有機溶剤を加えて混合、攪拌することにより、最外層4形成材料(コーティング液)を調製する。上記有機溶剤としては、例えばテトラヒドロフラン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メタノール、トルエン、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0011】
一方、図2に示すように、ベースゴム層2形成用の円筒状金型21、および表面を研磨した円柱状の銅電極22をそれぞれ準備し、上記円筒状金型21の筒内に上記銅電極22を挿入する。つぎに、上記銅電極22に電流を流し、これを矢印方向に自転させて円筒状金型21の内面に放電加工処理を施して、図3に示すように、金型内面が均一な粗面23に形成された円筒状金型21を作製する。このような放電加工処理により、金型内面に表面粗さのばらつきの少ない均一な粗面23を形成することができる。
【0012】
つぎに、図4に示すように、芯金1を準備し、その外周面に必要に応じて接着剤、プライマー等を塗布した後、下蓋24を外嵌した円筒状金型21の筒内に上記芯金1をセットする。そして、上記芯金1と円筒状金型21の間の空隙に前記コンパウンド状のベースゴム層2形成材料を注型等した後、上記円筒状金型21に上蓋25を外嵌する。ついで、下蓋24および上蓋25を外嵌した円筒状金型21全体を加熱してコンパウンド状のベースゴム層2形成材料をオーブン加硫し(170℃×15分)、芯金1の外周面にベースゴム層2を形成する。なお、必要に応じて二次加硫を行う。その後、上記ベースゴム層2が形成された芯金1を円筒状金型21から脱型する。このように上記特殊な円筒状金型21を鋳型としてベースゴム層2を形成すると、円筒状金型21の内面に形成した均一な粗面23(図3参照)がベースゴム層2表面に転写されるため、図5に示すように、ベースゴム層2表面を表面粗さのばらつきの少ない均一な粗面2aに形成することができる。
【0013】
そして、上記ベースゴム層2の外周面に前記中間層3形成材料(コーティング液)を塗工した後、乾燥および加熱処理を行い、ベースゴム層2の外周面に中間層3を形成する。さらに、上記中間層3の外周面に最外層4形成材料(コーティング液)を塗工した後、乾燥および加熱処理を行い、中間層3の外周に最外層4を形成する。なお、上記塗工法は、特に制限するものではなく、ディッピング法、スプレーコーティング法、ロールコート法等の従来公知の方法が適用できる。このようにして、図1に示したような、芯金1の外周面に沿ってベースゴム層2が形成され、その外周面に中間層3が形成され、さらにその外周面に最外層4が形成された現像ロールが得られる。この現像ロールは、ベースゴム層2表面に形成された粗面2aの表面粗さのばらつきが少ないため、このベースゴム層2上に形成される中間層3および最外層4の厚みも略均一となり、リーク等の発生がなく、良好な画像特性を長期間維持することができる。
【0014】
このような本発明の現像ロールの製法において、用いる円筒状金型21の材質は特に限定はなく、例えばSCM435、S45C、SHCM645等があげられ、好ましくはSCM435が用いられる。
【0015】
上記円筒状金型21の内面に放電加工処理を施す方法としては、前記銅電極22を用いる方法に限定されるものではなく、放電加工機(例えば、ジャパックスDP−85)を用いる方法が好ましい。なお、上記銅電極22は、表面を研磨したものを用いたが、これは表面を研磨しないものを用いると、円筒状金型21内面に形成される粗面の表面粗さのばらつきが大きくなるおそれがあるからであり、表面研磨したものを用いることが好ましい。
【0016】
上記放電加工処理は、円筒状金型21内面の表面粗さ(Rz)が12〜50μmの範囲になるよう行う必要があり、好ましくは30〜40μmの範囲である。なお、上記表面粗さの設定は、例えば銅電極22に流す電流量を制御することにより行うことができる。一方、上記円筒状金型21を鋳型として形成されたベースゴム層2の表面粗さ(Rz)は、20〜30μmの範囲に設定することが好ましい。また、現像ロールの表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)が1.5〜40μmの範囲になるよう設定する必要があり、好ましくは2〜20μmの範囲である。また、現像ロールの算術平均粗さ(Ra)は0.2〜4.0μmの範囲になるよう設定することが好ましく、特に好ましくは0.2〜1.5μmの範囲である。なお、上記表面粗さはJIS B 0601に記載の方法に準拠して測定した値である。
【0017】
なお、本発明の現像ロールの製法は、図1に示した3層構造の現像ロールの製法に限定されるものではなく、3層構造以外の現像ロールを製造することも勿論可能である。また、上記現像ロールの各層の形成材料等についても特に限定はないが、つぎに示す材料を用いることが好ましい。
【0018】
前記芯金1としては、例えば金属製の中実体からなる芯金や、内部を中空にくり抜いた金属製の円筒体等が用いられる。そして、その材料としては、ステンレス、アルミニウム、鉄にメッキを施したもの等があげられる。
【0019】
上記芯金1の外周面に形成されるベースゴム層2形成材料としては、低硬度でへたりが少ないという点から、導電性シリコーンゴムが用いられる。上記導電性シリコーンゴムに用いられる導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、チタン酸カリウム、酸化鉄、c−TiO2 、c−ZnO、c−SnO2 、イオン導電剤(四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、界面活性剤等)等の従来公知のものが用いられる。なお、上記「c−」は、導電性を有するという意味である。
【0020】
上記ベースゴム層2の外周面に形成される中間層3の形成材料としては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム(ニトリルゴム)(以下「NBR」と略す)、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(水素化ニトリルゴム)(以下「H−NBR」と略す)、ポリウレタン系エラストマー、クロロプレンゴム(CR)等があげられるが、接着性およびコーティング液の安定性からH−NBRが好ましい。上記材料には、さらに導電剤、加硫剤、加硫促進剤、滑剤、助剤等を適宜に添加してもよい。上記導電剤としては、前記と同様のものがあげられ、加硫剤としては硫黄等があげられ、加硫促進剤としてはテトラメチルチウラムジスルフィド(CZ)、オルト−トリル−ビグアニジン(BZ)等があげられ、滑剤としてはステアリン酸等があげられ、助剤としては亜鉛華(ZnO)等があげられる。
【0021】
上記中間層3の外周面に形成される最外層4の形成材料としては、例えばフッ素ゴム、フッ素樹脂、フッ素ゴムとフッ素樹脂の混合物、シリコーン樹脂、シリコーングラフトアクリルポリマー、アクリルグラフトシリコーンポリマー、反応性シリコーンオイル、非反応性シリコーンオイル等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0022】
そして、上記最外層4形成材料には、導電剤、帯電制御剤等を適宜に添加することもできる。上記帯電制御剤としては、従来から用いられている四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、アジン系(ニグロシン系)化合物、アゾ化合物、オキシナフトエ酸金属錯体、界面活性剤(アニオン系、カチオン系、ノニオン系)等があげられる。また、安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、補強剤、滑剤、離型剤、染料、顔料、難燃剤等を必要に応じて適宜に添加することも可能である。
【0023】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0024】
【実施例1〜3】
まず、後記の表1に示す各成分を同表に示す割合で配合し、先に述べた方法に従い、各層の形成材料を調製した。一方、図2に示したように、ベースゴム層2形成用の円筒状金型21、および表面を研磨した円柱状の銅電極22をそれぞれ準備し、上記円筒状金型21の筒内に上記銅電極22を挿入した。つぎに、上記銅電極22に電流を流し、これを矢印方向に自転させて円筒状金型21の内面に放電加工処理を施して、図3に示したように、金型内面が均一な粗面23に形成された円筒状金型21を作製した。つぎに、図4に示したように、芯金1の外周面に接着剤等を塗布した後、下蓋24を外嵌した円筒状金型21の筒内に上記芯金1をセットした。そして、上記芯金1と円筒状金型21の間の空隙に前記コンパウンド状のベースゴム層2形成材料を注型した後、上記円筒状金型21に上蓋25を外嵌した。ついで、下蓋24および上蓋25を外嵌した円筒状金型21全体を加熱してコンパウンド状のベースゴム層2形成材料をオーブン加硫し(170℃×15分)、芯金1の外周面にベースゴム層2を形成した。その後、上記ベースゴム層2が形成された芯金1を円筒状金型21から脱型した。そして、上記ベースゴム層2の外周面に前記中間層3形成材料(コーティング液)を塗工した後、乾燥および加熱処理を行い、ベースゴム層2の外周面に中間層3を形成した。さらに、上記中間層3の外周面に最外層4形成材料(コーティング液)を塗工した後、乾燥および加熱処理を行い、中間層3の外周に最外層4を形成した。このようにして、図1に示したような、芯金1の外周面に沿ってベースゴム層2が形成され、その外周に中間層3が形成され、さらにその外周に最外層4が形成された現像ロールを作製した。
【0025】
なお、現像ロールの各層の電気抵抗と厚み、ベースゴム層および中間層の硬度についても、下記の表1に併せて示した。また、各層の厚みは平均の厚みを示した。
【0026】
【比較例1】
内面に放電加工処理を施した円筒状金型21に代えて、内面に鏡面仕上げを施した円筒状金型を用いた。そして、この円筒状金型を用いて実施例と同様にして、芯金の外周面にベースゴム層を形成した。つぎに、上記ベースゴム層の表面を円筒研削法により研削し、ベースゴム層表面を粗面に形成した。それ以外は、実施例と同様にして、上記ベースゴム層の外周に中間層を形成し、さらにその外周に最外層を形成して現像ロールを作製した。
【0027】
【表1】
【0028】
【実施例4〜6、比較例2】
上記表1に示した各成分に代えて、下記の表2に示す各成分を用いた。すなわち、ベースゴム層形成材料である導電性シリコーンゴムを下記表2に示すものに代え、かつ、最外層の厚みを薄くした。それ以外は、実施例1〜3および比較例1と同様にして現像ロールを作製した。
【0029】
【表2】
【0030】
このようにして得られた実施例品および比較例品の現像ロールについて、下記の基準に従い、複写画質、リークおよび耐久複写画質について比較評価を行った。これらの結果を、後記の表3および表4に併せて示した。また、金型内面の表面粗さ(Rz)、ベースゴム層の表面粗さ(Rz)および現像ロールの表面粗さ(Rz、Ra)についても併せて示した。なお、表面粗さは、JIS B 0601に記載の方法に準拠して測定し、Rzは十点平均粗さ、Raは算術平均粗さを示している。
【0031】
〔複写画質〕
現像ロールを実際に複写機(沖電気社製のマイクロライン400)に組み込んで複写を行った。そして、ドット再現性が良好なものを○、ややつぶれているものを△、完全につぶれているものを×として表示した。
【0032】
〔リーク〕
図6に示すような方法で現像ロール61に流れる電流値を測定し、電流印加時の最大電流値が1mAを超える箇所が1ケ所でも存在する場合をリーク発生とした。そして、リークが発生しなかったものを○、リークが発生したものを×として表示した。なお、図において、62は芯金、63は金属ロール、64は電流計であり、荷重は両端700gである。
【0033】
〔耐久複写画質〕
現像ロールを実際に複写機(沖電気社製のマイクロライン400)に組み込んで繰り返し複写を行った。そして、5000〜10000枚複写する間にドット再現性の不良が発生したものを△、10000枚以上複写してもドット再現性が良好なものを○として表示した。
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
上記表3および表4の結果から、実施例品の現像ロールは、複写画質および耐久複写画質に優れ、しかもリークが発生しないことがわかる。
【0037】
これに対して、比較例1品の現像ロールは、ベースゴム層の表面粗さのばらつきが大きいため、複写画質に劣り、しかもリークが発生することがわかる。これは、ベースゴム層形成材料として用いた導電性シリコーンの硬度が小さく強度が弱いため、ベースゴム層表面を円筒研削法により研磨すると、図7に示すように、ベースゴム層71表面に研磨により引きちぎられた部分71aができ、複写画質が劣ったり、リークが発生するためである。なお、図において、72は中間層、73は最外層である。
【0038】
また、比較例2品の現像ロールは、比較例1品の現像ロールと比べて、ベースゴム層の表面粗さのばらつきが少なく、複写画質および耐久複写画質については問題はないが、つぎの理由によりリークが発生することがわかる。すなわち、ベースゴム層形成材料として用いた導電性シリコーンの硬度が大きいため、円筒研削法によってベースゴム層表面を研磨すると、図8に示すように、ベースゴム層81表面に鋭く尖った部分81aができる。そして、ベースゴム層81表面の鋭く尖った部分81aでは、その尖りにより、最外層83との間隔が狭くなってリークが発生するからである。また、最外層83の厚みが比較例1品に比べて薄すぎるため、より一層リークが発生しやすくなっている。なお、図において、82は中間層である。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、本発明の現像ロールの製法は、金型内に芯金を挿入した後、上記芯金と金型の間の空隙にベースゴム層形成材料である導電性シリコーンゴムを導入して上記芯金の外周面にベースゴム層を形成する際に、上記金型として、金型内面が放電加工処理によって所定の表面粗さを示す粗面に形成されたものを用いる方法である。そのため、上記金型を鋳型として形成されたベースゴム層は、金型内面に形成した均一な粗面がベースゴム層表面に転写され、ベースゴム層表面を、表面粗さのばらつきの少ない均一な粗面に形成できる。このように均一な粗面に形成されたベースゴム層表面上に、コーティング液の塗工により中間層および最外層を形成し、現像ロールを製造すると、中間層および最外層の厚みが略均一になり、所望の表面粗さを有する現像ロールを得ることができるため、リーク等の発生を防止でき、良好な画像特性を長期間維持することができるようになる。そして、このような現像ロールを、本発明の製法により容易に製造することができる。
【0040】
また、本発明の現像ロールの製法によれば、ベースゴム層表面に円筒研削処理を施す等の煩雑な工程を省略できるため、製造コストを下げることができるとともに、円筒研削処理による削り粉等も生じないため、ベースゴム層形成材料の節約を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の現像ロールの製法により得られた現像ロールの一例を示す断面図である。
【図2】本発明の現像ロールの製法に用いる金型内面への放電加工処理を示す説明図である。
【図3】本発明の現像ロールの製法に用いる金型を示す一部切欠断面斜視図である。
【図4】本発明の現像ロールの製法工程を示す説明図である。
【図5】本発明の製法により得られるベースゴム層の表面状態を示す模式図である。
【図6】現像ロールのリークを測定するための説明図である。
【図7】比較例1品の現像ロールを示す模式図である。
【図8】比較例2品の現像ロールを示す模式図である。
【符号の説明】
21 円筒状金型
23 粗面
Claims (1)
- ベースゴム層形成用の金型と芯金を準備し,上記金型内に芯金を挿入した後,芯金と金型の間の空隙にベースゴム層形成材料を導入して上記芯金の外周面にベースゴム層を形成する工程と、上記ベースゴム層の外周に中間層形成材料であるコーティング液を塗工し,乾燥および加熱処理を行い,中間層を形成する工程と、上記中間層の外周に最外層形成材料であるコーティング液を塗工し,乾燥および加熱処理を行い,最外層を形成する工程とを備えた現像ロールの製法であって、上記ベースゴム層形成材料として導電性シリコーンゴムを用い、かつ、上記金型として、放電加工処理によって金型内面の表面粗さ(Rz)が12〜50μmの粗面に形成されたものを用い、この金型内面の粗面をベースゴム層外周面に転写させ、さらに上記塗工によって中間層および最外層を形成することにより、現像ロール外周面の表面粗さ(Rz)を1.5〜40μmの範囲に設定することを特徴とする現像ロールの製法。
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