JP4239999B2 - 膜パターンの形成方法、膜パターン、デバイス、電気光学装置、及び電子機器 - Google Patents
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Description
このとき、配線を形成する領域にのみ機能液を選択的に吐出(配置)できることが望ましい。そこで、前記配線形成領域を区画するバンクの表面を撥液化処理し、その他の部分、例えば配線形成領域となる基板上を親液化処理することで、前記配線形成領域に機能液を吐出した際に、機能液の一部がバンクの上面に吐出されても、配線形成領域に全ての機能液を流れ込ませて微細化された配線(膜パターン)を形成する技術がある。
そして、このような知見に基づき、本発明者は本発明を完成させた。
バンク上に配置された機能液が、バンク上面に対する静的接触角が小さ過ぎると、機能液がバンク上に着弾するとともに、バンク上に濡れ拡がり、前記パターン形成領域に機能液を良好に落とし込むことができなくなる場合がある。そこで、本発明を採用すれば、前記バンク上面に対する機能液の静的接触角が20°以上の撥液性を付与することで、バンク上に着弾した機能液を前記パターン形成領域に良好に落とし込むことができる。
このようにすれば、形成されたバンクが無機質であることにより、熱処理に対し高い耐性を有するものとなる。したがって、例えば機能液を硬化処理する際に比較的高温で熱処理を行う必要がある場合に、バンクが溶融してしまうなどの不都合が生じることなく、熱処理に対し十分対応可能となる。また、ポリシラザン液、又は感光性ポリシロキサン液をポジ型レジストとして機能させることで、これから得られるバンクのパターン精度をより良好にすることができ、したがって、このバンクから得られる膜パターンについても、そのパターン精度をより高くすることが可能となり、微細配線を形成する場合に好適に採用することができる。
ここで、例えば機能液が導電性微粒子を含んだ導電性材料である場合、形成される膜パターンに導電性付与することができ、この膜パターンを配線として形成することができる。
このようにすれば、膜パターンの主なる機能を担う第2の機能材料が第1の機能材料によって基板から剥離することを防止するようになる。
なお、本発明において第2の機能材料は、膜パターンの主なる機能を有する材料であり、例えば膜パターンを配線として形成する場合には、主として電流を流す機能を担う銀や銅である。また、前記第1の機能材料としては、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、モリブデン、チタン及びタングステン等が挙げられる。
このようにすれば、例えば膜パターンを配線として用いた場合のエレクトロマイグレーションを抑制することが可能となる。
ここで、エレクトロマイグレーションとは、長時間にわたり配線に電流を流すことによって原子が電子の流れに沿って移動する現象であり、配線の抵抗値の増加や断線の原因となる。なお、このエレクトロマイグレーションを抑制する材料としては、チタン等が挙げられる。
このようにすれば、絶縁特性を有する材料を、例えば膜パターンを配線として採用する場合における絶縁層として機能させることができる。
このようにすれば、CVDによるプラズマダメージ、及び四フッ化炭素(テトラフルオロメタン)を処理ガスとするプラズマ処理法(CF4プラズマ処理法)によって、バンクに対して撥液処理を行った際に、膜パターンの主材料へのプラズマダメージを抑制できる。よって、本膜パターンの形成方法において、好適にプラズマ処理を採用することができる。
このとき、前記主材料のプラズマダメージを抑制するための材料は、前記プラズマダメージによる拡散を抑制するためのバリア材料であることが好ましい。
このようにすれば、膜パターンを金属配線として用いた場合に、層間絶縁膜への金属イオンの拡散によるリーク電流の発生を防止することができる。
本発明の膜パターンは、前述したようにバンクの端部まで、機能液が確実に流し込まれることで所望の形状に形成されており、信頼性が高いものとなる。
本発明のデバイスによれば、前述したように、信頼性の高い膜パターンを、例えばスイッチング素子に接続される配線として有することで確実な動作を可能とし、信頼性の高いデバイスとなる。
本発明の電気光学装置によれば、信頼性の高いデバイスを搭載したことで、このデバイスを備えた電気光学装置を確実に駆動させることができる。
本発明の電気光学装置によれば、信頼性の高い電気光学装置を電子機器の表示部として用いることで、その表示を良好に行うことが可能となる。
(第1実施形態)
まず、本発明の膜パターンの形成方法を、液滴吐出法によって液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから導電性微粒子を含有する配線パターン(膜パターン)用インク(機能液)を液滴状に吐出し、配線パターンに対応して基板上に形成されたバンクの間、すなわちバンクに区画された領域に、配線パターン(膜パターン)を形成するようにした場合の実施形態について説明する。なお、この実施形態では、特に、異なる二種類の機能液を吐出することにより、複数の材料が積層されてなる配線パターン(膜パターン)を形成するものとする。
本実施の形態では、導電性微粒子として、例えば、金、銀、銅、鉄、クロム、マンガン、モリブデン、チタン、パラジウム、タングステン及びニッケルのうちのいずれかを含有する金属微粒子の他、これらの酸化物、並びに導電性ポリマーや超電導体の微粒子などが用いられる。
導電性微粒子の粒径は1nm以上0.1μm以下であることが好ましい。0.1μmより大きいと、後述する液滴吐出ヘッドの吐出ノズルに目詰まりが生じるおそれがある。また、1nmより小さいと、導電性微粒子に対するコーティング剤の体積比が大きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多となる。
本実施形態では、分散媒としては、水系のものを用いて説明するが、前記の導電性微粒子を分散できるものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法(インクジェット法)への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
図1は、液滴吐出装置IJの概略構成を示す斜視図である。
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1と、X軸方向駆動軸4と、Y軸方向ガイド軸5と、制御装置CONTと、ステージ7と、クリーニング機構8と、基台9と、ヒータ15とを備えている。
ステージ7は、この液滴吐出装置IJにより液体材料(配線パターン用インク)を配置される基板Pを支持するものであって、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。
Y軸方向ガイド軸5は、基台9に対して動かないように固定されている。ステージ7は、Y軸方向駆動モータ3を備えている。Y軸方向駆動モータ3はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ7をY軸方向に移動する。
クリーニング機構8は、液滴吐出ヘッド1をクリーニングするものである。クリーニング機構8には、図示しないY軸方向の駆動モータが備えられている。このY軸方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構は、Y軸方向ガイド軸5に沿って移動する。クリーニング機構8の移動も制御装置CONTにより制御される。
ヒータ15は、ここではランプアニールにより基板Pを熱処理する手段であり、基板P上に配置された液体材料に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒータ15の電源の投入及び遮断も制御装置CONTにより制御される。
図2において、液体材料(配線パターン用インク、機能液)を収容する液体室21に隣接してピエゾ素子22が設置されている。液体室21には、液体材料を収容する材料タンクを含む液体材料供給系23を介して液体材料が供給される。ピエゾ素子22は駆動回路24に接続されており、この駆動回路24を介してピエゾ素子22に電圧を印加し、ピエゾ素子22を変形させることにより、液体室21が変形し、吐出ノズル25から液体材料が吐出される。この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子22の歪み量が制御される。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子22の歪み速度が制御される。ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
このようにして親液化処理を行ったら、この基板P上にバンクを形成する。なお、本実施形態で形成するバンクは、後述する実験例で用いたバンクと同一のものである。
このバンクは、仕切部材として機能する部材であり、バンクの形成はリソグラフィ法や印刷法等、任意の方法で行うことができる。例えば、リソグラフィ法を使用する場合は、まず、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法で、図3(b)に示すように、基板P上に所望のバンク高さに合わせてバンクの形成材料、本実施形態では、例えばポリシラザン液を塗布し、ポリシラザン薄膜31を形成する。
・化学式(1);−(SiCH3(NH)1.5)n−
・化学式(2);SiCH3(NH)1.5+H2O
→SiCH3(NH)(OH)+0.5NH3
・化学式(3);SiCH3(NH)1.5+2H2O
→SiCH3(NH)0.5(OH)2+NH3
・化学式(4);SiCH3(NH)(OH)+SiCH3(NH)(OH)+H2O
→2SiCH3O1.5+2NH3
・化学式(5);SiCH3(NH)(OH)+SiCH3(NH)0.5(OH)2
→2SiCH3O1.5+1.5NH3
・化学式(6);SiCH3(NH)0.5(OH)2+SiCH3(NH)0.5(OH)2
→2SiCH3O1.5+NH3+H2O
次いで、図3(c)に示すようにマスクを用いてポリシラザン薄膜31を露光する。このとき、このポリシラザン薄膜31は前述したようにポジ型レジストとして機能するので、後の現像処理によって除去する箇所を、選択的に露光する。露光光源としては、前記感光性ポリシラザン液の組成や感光特性に応じ、従来のフォトレジストの露光で用いられている高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマレーザー、X線、電子線等から適宜選択され用いられる。照射光のエネルギー量については、光源や膜厚にもよるものの、通常は0.05mJ/cm2以上、望ましくは0.1mJ/cm2以上とされる。上限は特にないものの、あまりに照射量を多く設定すると処理時間の関係から実用的でなく、通常は10000mJ/cm2以下とされる。露光は、一般に周囲雰囲気(大気中)あるいは窒素雰囲気とすればよいが、ポリシラザンの分解を促進するため、酸素含有量を富化した雰囲気を採用してもよい。
次いで、図4(d)に示すように再度加湿処理を行う。加湿条件については、図3(d)に示した工程での加湿処理条件と同様とする。このようにして加湿処理を行うと、バンクBを形成するポリシラザンはSi−OH化がより一層促進される。
すると、このポリメチルシロキサン(シリカ系セラミックス膜)からなるバンクBは、前述したようにポリシロキサンを骨格とし、側鎖に疎水基であるメチル基を有したものとなることから、熱処理に対し高い耐性を有し、また、撥液化処理を行うことなく、そのままで良好な撥水性を有したものとなる。なお、ここでの焼成温度を例えば400℃以上で行うと、側鎖のメチル基が脱離して撥水性が著しく低下するおそれがある。したがって、焼成温度については、400℃未満で行うのが好ましく、350℃以下程度で行うのが望ましい。また、ポリシラザン液の種類によっては、図3(d)、図4(d)に示した加湿処理を省略することもできる。
本実施形態においては、形成されたバンクBはその主成分となる骨格が無機質であり、熱処理に対し高い耐性を有しているので、配線パターン用インクX1、X2からなる膜パターンを焼成処理しても、その際に溶融してしまうなどの不都合を生じることなく十分な耐性を発揮するものとなる。
また、ポリシラザン液をポジ型レジストとして機能させることで、これから得られるバンクのパターン精度をより良好にすることができ、したがって、このバンクから得られる膜パターンについても、そのパターン精度をより高くすることが可能となり、微細配線を形成する場合に好適に採用することができる。
ここで、バンク上面に対するインクの静的接触角が所望の値より低いと、濡れ性が良すぎるため、インクがバンク上に着弾した後これがバンク上に濡れ拡がり、前記膜パターン形成領域34にインクが良好に流れ落ちなくなる場合が考えられる。そこで、前記バンクの上面に対するインクの静的接触角が20°以上となっていることが好ましい。このようにすれば、バンク上に着弾したインクを前記膜パターン形成領域34に良好に落とし込むことができる。
次に、図5を用いて、機能液(インク)の配置工程について説明する。図5(a),(b)は、膜パターン形成領域にインクを吐出する際の側断面図を示し、図5(c),(d)は、前記膜パターン形成領域にインクを吐出する際の平面図を示したものである。
基板Pに所定量の配線パターン用インクX1を吐出した後、分散媒の除去のため、必要に応じて乾燥処理をする。そして、この乾燥処理によって配線パターン用インクX1は、自らの上に配置される他の種類の配線パターン用インクと混じり合わない程度に固化される。この乾燥処理は、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる処理の他、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源は一般には、出力10W以上5000W以下の範囲のものが用いられるが、本実施形態では100W以上1000W以下の範囲で十分である。
なお、配線パターン用インクX1の分散媒を除去しなくとも、配線パターン用インクX1と次に吐出する他の配線パターン用インクとが混じり合わない場合には、中間乾燥工程を省略しても良い。
そして、前述の中間乾燥工程を再度行うことにより、配線パターン用インクX2の分散媒を除去し、図6(c)に示すように、バンクB、B間の膜パターン形成領域34に配線パターン用インクX1と配線パターン用インクX2とが積層されてなる配線33を形成する。
なお、配線パターン用インクX2の分散媒を除去するための中間乾燥工程を省略して、後述する熱処理/光処理工程を行っても良い。
吐出工程後の乾燥膜については、微粒子間の電気的接触をよくするため、分散媒を完全に除去する必要がある。また、導電性微粒子の表面に分散性を向上させるために有機物などのコーティング材がコーティングされている場合には、このコーティング材も除去する必要がある。そのため、吐出工程後の基板Pには熱処理及び/又は光処理を施すようにする。
なお、機能液に、導電性微粒子でなく、熱処理または光処理により導電性を発現する材料を含有させておき、本熱処理/光処置工程において配線33に導電性を発現させるようにしてもよい。
また、バンクB、B間の膜パターン形成領域34にクロムと銀とが積層されてなる配線が形成されるので、配線としての主な機能を担う銀を、クロムにより基板Pに対して確実に密着させることができる。
第2実施形態として、前記第1実施形態とは異なる構成からなる配線33について、図7を参照して説明する。なお、本第2実施形態においては、前記第1実施形態と異なる部分について説明する。
本第2実施形態では、前記第1実施形態において説明した材料配置工程と中間乾燥工程を繰り返し行うことにより、図7に示すように、膜パターン形成領域34にチタンを導電性微粒子として用いた配線パターン用インクX3と銀を導電性微粒子として用いた配線パターン用インクX2(主材料)とを積層する。このとき、配線パターン用インクX2,X3の配置工程は、バンクBの上面に対する、前記配線パターン用インクX2,X3の前進接触角と後退接触角との差が10°以上、かつ前記後退接触角が13°以上となる条件の下で行うようにしている。
そして、これらの配線パターン用インクX2,X3に前記第1実施形態において説明した熱処理/光処理工程を行うことにより、膜パターン形成領域34に、チタン、銀、チタンの順に積層されてなる配線33を形成する。
なお、エレクトロマイグレーションの発生を遅らせる材料としては、前述のチタンの他に、鉄、パラジウム及びプラチナ等を挙げることができる。
第3実施形態として、前記第1実施形態、又は第2実施形態とは異なる構成からなる配線33について、図9を参照して説明する。なお、本第3実施形態においては、前記第1実施形態と異なる部分について説明する。
本第3実施形態では、前記第1実施形態において説明した材料配置工程と中間乾燥工程を繰り返し行うことによって、図9に示すように、膜パターン形成領域34に、基板P側からマンガンを導電性微粒子として用いた配線パターン用インクX4、銀を導電性微粒子として用いた配線パターン用インクX2、ニッケルを導電性微粒子として用いた配線パターン用インクX5を順に積層する。このとき、配線パターン用インクX2,X4の配置工程は、バンクBの上面に対する、前記配線パターン用インクX2,X4の前進接触角と後退接触角との差が10°以上、かつ前記後退接触角が13°以上となる条件の下で行うようにしている。
そして、これらの配線パターン用インクX2、X4、X5に前記第1実施形態において説明した熱処理/光処理工程を行うことにより、膜パターン形成領域34に、マンガン、銀、ニッケルの順に積層してなる配線33を形成する。
このとき、前記のニッケルは、前記プラズマダメージによって銀の拡散を抑制するためのバリア材料として機能させてもよい。
このようにすれば、配線33上に層間絶縁膜を形成した場合に、この層間絶縁膜に金属イオン(銀)が拡散することによるリーク電流の発生を防止できる。
また、本発明で形成する膜パターンとしては、複数の機能液で形成する場合に、これら機能液を同じ材料としてもよく、その場合には、一回の塗布処理では所望の膜厚が得られないような場合に、処理を繰り返すことで、所望の膜厚が得られるようにすることができる。
さらに、複数の機能液を積層することなく、一回の機能液塗布で、本発明に係る膜パターンを形成するようにしてもよく、また、膜パターンの種類についても、配線パターン以外の絶縁パターンなどとしてもよい。
前述した実施形態における、ポリメチルシロキサンからなるバンクの上面の、各種インク(機能液)やこれに用いられる分散液に対する濡れ性を測定する方法として、その接触角(動的接触角、及び静的接触角)を調べた。なお、ポリメチルシロキサンは前述したように、側鎖にメチル基を備えているので、水系のインクに対しては十分な撥水性を有している。しかしながら、アルコール系分散液(1―オクタノール)に対しては親液性が高過ぎてしまう。そこで、CF4ガスを用いたプラズマ処理による撥液化処理を行ったポリメチルシロキサンからなるバンクにおけるインクの接触角についても実験を行った。
前記バンク上面(固体試料)の、吐出されるインク(液体試料)に対する動的接触角(前進接触角及び後退接触角)を測定する方法としては、例えば(1)ウィルヘルミー法、(2)拡張収縮法、(3)転落法などが知られている。
(2)拡張収縮法は、注射針やガラス毛細管等の先端から、固体試料(バンクの形成材料)表面上に液体試料を一定流量で押し出すことによって液滴を形成しながら、固体試料表面と液滴の間の接触角を測定することによって前進接触角を得、逆に注射針やガラス毛細管等の先端から液滴を形成している液体試料(インク)を引き込みながら、固体試料表面と液滴の間の接触角を測定することによって後退接触角を得る方法である。
(3)転落法は、固体試料(バンクの形成材料)上に液滴を形成し、この固体試料を傾ける、あるいは垂直にして固体試料上の液体(インク)を転落移動させながら、固体試料と液滴の間の接触角を測定するものである。液体が移動する方向の前方における接触角が前進接触角であり、後方における接触角が後退接触角である。
図9(a)に示すように、固体試料(バンク)12の表面上に吐出した液滴(インク)13内に針状管体14の先端が挿入されている状態で、固体試料12を水平方向に移動させる。すると、液滴13内に針状管体14が挿入されているので、液滴13と針状管体14との界面張力により、図9(b)に示すように、固体試料12の移動に伴い液滴13が針状管体14に引きずられるように変形する。
そして、このような動的接触角において特に後退接触角θ1は、液滴13の移動し易さの指標となり、この後退接触角θ1が大きければ液滴13が移動し易いことを示し、小さければ液滴13が移動しにくいことを示すものとなる。
また、インク材料として、Agインク(水系分散液)、Agインク(炭化水素系分散液)、そして、テトラデカン(C14H30)、1−オクタノール等の分散媒のみを用いた。図10中に示す、θは、上記各インクに対する静的接触角を示し、θaは、上記各インクに対する前進接触角を示し、θrは、上記各インクに対する後退接触角を示している。
すると、バンク上に着弾したインクは、溝状の膜パターン形成領域X0内に落とし込まれる。このとき、バンク上にインクの着弾跡(残渣)が残っているか否かを目視により確認した。そして、バンク上にインクの着弾跡が残らなかった場合の判定結果を可、残った場合の判定結果を不可とした。このような実験により、図10に示した結果を得た。なお、図11に示した、バンクがポリメチルシロキサンに対して、1−オクタノールを用いた場合、バンクに着弾するとバンク上に濡れ拡がってしまい測定することができず、判定結果として測定不能とした。この原因としては、バンクに対する1−オクタノールの静的接触角θが8.0°と非常に親液性が高いためと考えられる。
次に、本発明の電気光学装置の一例である液晶表示装置について説明する。図12は、本発明に係る液晶表示装置について、各構成要素とともに示す対向基板側から見た平面図であり、図13は図12のH−H’線に沿う断面図である。図14は、液晶表示装置の画像表示領域においてマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図で、図15は、液晶表示装置の部分拡大断面図である。
データ線6aに書き込む画素信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次で供給してもよく、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。また、TFT30のゲートには走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmをこの順に線順次で印加するように構成されている。
ここで、この配線が前記第1実施形態において説明したクロムと銀との2層からなる場合には、ゲート線61、ソース線及びドレイン線の密着性が向上された液晶表示装置100を得ることができる。また、前記配線が第2実施形態において説明したチタン、銀、チタンの順で積層されてなる場合には、ゲート線61、ソース線及びドレイン線のエレクトロマイグレーションが抑制された液晶表示装置100を得ることができる。また、前記配線が前記第3実施形態において説明したマンガン、銀、ニッケルの順で積層されてなる場合には、ゲート線61、ソース線及びドレイン線の密着性が向上されると共に銀のプラズマ処理による劣化が抑止された液晶表示装置100を得ることができる。
そして、前記のTFT30を有する基板上に、有機EL表示素子に用いられる蛍光性材料のうち、赤、緑および青色の各発光色を呈する材料すなわち発光層形成材料及び正孔注入/電子輸送層を形成する材料をインクとし、各々をパターニングすることで、自発光フルカラーEL装置を製造することができる。
本発明における電気光学装置の範囲には、このような有機EL装置も含まれており、本発明によれば、例えば複数の機能性を有する配線を備えた有機EL装置を提供することができる。
図16において、有機EL装置301は、基板311、回路素子部321、画素電極331、バンク部341、発光素子351、陰極361(対向電極)、および封止基板371から構成された有機EL素子302に、フレキシブル基板(図示略)の配線および駆動IC(図示略)を接続したものである。回路素子部321は、アクティブ素子であるTFT30が基板311上に形成され、複数の画素電極331が回路素子部321上に整列して構成されたものである。そして、TFT30を構成するゲート配線61が、前述した実施形態の配線パターンの形成方法により形成されている。
この発光素子形成工程において、正孔注入層形成工程における第1吐出工程と、発光層形成工程における第2吐出工程とで前記の液滴吐出装置IJを用いることができる。
また、導電性材料としては、Ag,Al,Au,Cu,パラジウム、Ni,W−si,導電性ポリマーなどが好適に採用可能である。このようにして形成されたゲート走査電極512は、機能液とバンク上面とは前述した接触角の関係を満たしているので、バンク511上に機能液の着弾跡が残ることがなく、溝511aからはみ出ることなく微細な配線パターンを形成することが可能となっている。
また、溝511a内における良好な吐出結果を得るためには、図17(a)に示すように、この溝511aの形状として順テーパ(吐出元に向かって開く向きのテーパ形状)を採用するのが好ましい。これにより、吐出された液滴を十分に奥深くまで入り込ませることが可能となる。
なお、前述したようにバンク514の上面に対する機能液の前進接触角と後退接触角との差が10°以上、かつ後退接触角が13°以上となる条件の下で、前記のソース線及びドレイン線を構成する機能液を配置している。
また、ソース電極515及びドレイン電極516を配置した溝514aを埋めるように絶縁材料517が配置される。以上の工程により、基板510上には、バンク514と絶縁材料517からなる平坦な上面520が形成される。
図18に示す液晶表示装置(電気光学装置)901は、大別するとカラーの液晶パネル(電気光学パネル)902と、液晶パネル902に接続される回路基板903とを備えている。また、必要に応じて、バックライト等の照明装置、その他の付帯機器が液晶パネル902に付設されている。
図19(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図19(a)において、600は携帯電話本体を示し、601は前記実施形態の液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。
図19(b)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図19(b)において、700は情報処理装置、701はキーボードなどの入力部、703は情報処理本体、702は前記実施形態の液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。
図19(c)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図19(c)において、800は時計本体を示し、801は前記実施形態の液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。
図19(a)〜(c)に示す電子機器は、前記実施形態の液晶表示装置を備えたものであるので、この電子機器自体も良好なものとなる。
なお、本実施形態の電子機器は液晶装置を備えるものとしたが、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ型表示装置等、他の電気光学装置を備えた電子機器とすることもできる。
Claims (12)
- 機能液を基板上に配置して膜パターンを形成する方法であって、
前記基板上に前記膜パターンの形成領域に対応したバンクを形成する工程と、
前記バンクによって区画されたパターン形成領域に前記機能液を配置する工程と、
前記機能液を硬化処理して膜パターンとする工程と、を有し、
前記機能液の配置を、前記バンク上面に対する該機能液の後退接触角が13°以上となる条件の下で、行うことを特徴とする膜パターンの形成方法。 - 前記バンクを形成する工程は、光酸発生剤を含有し、ポジ型レジストとして機能する感光性ポリシラザン液、又は感光性ポリシロキサン液を塗布し、次いでこれを露光し現像してパターニングした後、焼成することにより、シロキサン結合を骨格とする材質のバンクを形成することを特徴とする請求項1に記載の膜パターンの形成方法。
- 前記機能液に含有される機能材料が、導電性材料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の膜パターンの形成方法。
- 前記機能液は、形成する膜パターンの主なる機能を担う主材料と、該主材料と前記基板との密着性を向上させるための材料と、を含有してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の膜パターンの形成方法。
- 前記機能液は、形成する膜パターンの主なる機能を担う主材料と、該主材料のエレクトロマイグレーションを抑制するための材料と、を含有してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の膜パターンの形成方法。
- 前記機能液は、形成する膜パターンの主なる機能を担う主材料と、絶縁特性を有する材料と、を含有してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の膜パターンの形成方法。
- 前記機能液は、形成する膜パターンの主なる機能を担う主材料と、該主材料のプラズマダメージを抑制するための材料と、を含有してなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の膜パターンの形成方法。
- 前記主材料のプラズマダメージを抑制するための材料は、前記プラズマダメージによる拡散を抑制するためのバリア材料であることを特徴とする請求項7に記載の膜パターンの形成方法。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の膜パターン形成方法によって形成された膜パターン。
- 請求項9に記載の膜パターンを備えることを特徴とするデバイス。
- 請求項10に記載のデバイスを備えることを特徴とする電気光学装置。
- 請求項11に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
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