JP2009054706A - 電子デバイスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクのはみ出しを最小限に抑えて形成された配線パターンを備える電子デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】樹脂フィルム3の表面に設けられた凸部5の側面は、凹部4の底に向かって傾斜した形状を有する。凸部5の側面は、水平方向に対して5度以上の傾斜角度θを有することが好ましい。配線は、インクジェット法を用いて金属超微粒子を含むインクを基板1の上に塗布した後、インクを加熱することによって形成される。インクは、基板1に撥液処理を行った後に塗布されることが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】樹脂フィルム3の表面に設けられた凸部5の側面は、凹部4の底に向かって傾斜した形状を有する。凸部5の側面は、水平方向に対して5度以上の傾斜角度θを有することが好ましい。配線は、インクジェット法を用いて金属超微粒子を含むインクを基板1の上に塗布した後、インクを加熱することによって形成される。インクは、基板1に撥液処理を行った後に塗布されることが好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、電子デバイスの製造方法に関する。
近年、半導体装置の集積度の増加に伴い個々の素子の寸法は微小化が進み、各素子を構成する配線やゲートなどの幅も微細化されている。
基板上に配線を形成する方法としては、真空蒸着法やスパッタリング法などがある。これらの方法で得られた膜は、フォトリソグラフィ法によって所望のパターンに加工される。しかし、フォトリソグラフィ法は、工程が煩雑である上に、使用する材料の無駄が大きいという問題を有していた。
これに対して、インクジェット法によって配線を形成することも行われている(例えば、特許文献1参照。)。この方法によれば、基板上に所望のパターンを有する配線を直接形成できる。したがって、上記した方法に比べて、工程を短縮できるだけでなく、使用する材料の無駄を減らすことができる。
しかし、インクジェット法によって、基板に形成された溝にインクを流し込んで配線を形成しようとする場合、溝の幅がインクジェットヘッドから吐出されるインク滴より小さいと、インクが溝からはみ出してしまい、所望の配線パターンを形成できなくなるという問題があった。電子デバイスに対しては、今後も小型化および高性能化の要求が高く、これに伴って配線は益々高密度化する傾向にある。このため、上記課題に対する解決策が急務となっている。
そこで、本発明は、インクのはみ出しを最小限に抑えて形成された配線パターンを備える電子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
本発明は、表面に凹部と凸部が設けられた基板と、該凹部に埋め込まれた配線とを備えた電子デバイスの製造方法であって、
前記凸部の側面は、前記凹部の底に向かって傾斜した形状を有しており、
前記配線は、インクジェット法を用いて金属超微粒子を含むインクを前記基板の上に塗布した後、該インクを加熱することによって形成されることを特徴とする電子デバイスの製造方法に関する。
前記凸部の側面は、前記凹部の底に向かって傾斜した形状を有しており、
前記配線は、インクジェット法を用いて金属超微粒子を含むインクを前記基板の上に塗布した後、該インクを加熱することによって形成されることを特徴とする電子デバイスの製造方法に関する。
本発明において、前記凸部の側面は、水平方向に対して5度以上の傾斜角度を有することが好ましい。
本発明において、前記凸部の上部断面は三角形を呈するものとすることができる。
本発明において、前記凸部の上部断面は半円または楕円の円弧に沿った形状とすることもできる。
本発明において、前記基板は、円筒形の基材と、該基材の周囲に巻かれた樹脂フィルムとを有しており、
前記凹部および前記凸部は、前記樹脂フィルムの表面に設けられているものとすることができる。
前記凹部および前記凸部は、前記樹脂フィルムの表面に設けられているものとすることができる。
本発明において、前記インクは、前記基板に撥液処理を行った後に塗布されることが好ましい。
本発明によれば、凸部の側面が凹部の底に向かって傾斜した形状を有しているので、インクのはみ出しを最小限に抑えて配線パターンを形成することができる。
上記したように、インクジェット法によって、基板に形成された溝にインクを流し込んで配線を形成しようとする場合、溝の幅がインクジェットヘッドから吐出されるインク滴より小さいと、インクが溝からはみ出してしまい、所望の配線パターンを形成できなくなる。これに対して、インクジェットヘッドの駆動電圧を低くしたり、基板に撥液処理を行ったりして、インク滴を小さくしても十分な改善には至らない。また、溝と溝にインクを滴下し、両側の溝にインクが流れ込むようにしても、インクは溝からはみ出してしまう。溝の間の平坦部上でインクが広がってしまい、溝にうまく流れ込まないためである。
そこで、本発明者は、鋭意研究した結果、溝の側面を底部に向かって傾斜した形状とすることにより、インクが溝に流れ込みやすくなることを見出した。以下、本発明による電子デバイスの製造方法について詳細に説明する。
本実施の形態においては、円筒形の基材の周囲に樹脂フィルムが巻かれたものを基板として用いる。この樹脂フィルムには、所定のパターンを構成する凹部と凸部が設けられており、凹部にインクを流し込むことによって配線が形成されるようになっている。尚、この凹部は、上記の溝に対応するものである。
図1(a)および(b)は、基板の断面図の例である。いずれの図においても、基板1は、基材2の上に樹脂フィルム3が設けられた構造を有しており、樹脂フィルム3には、凹部4(または4′)と凸部5(または5′)が設けられている。
本実施の形態においては、凹部と凹部の間にある凸部の側面が、凹部の底に向かって傾斜した形状を有する。この形状は、凸部の側面全体であってもよいが、図1(a)および(b)に示すように、凸部5(または5′)の上部側面のみに設けられていてもよい。尚、かかる形状は、例えば、凸部5(または5′)をドライエッチングすることによって形成できる。
図1(a)は、凸部5の上部断面が三角形を呈している例である。この図に示すように、凸部5の側面は、凹部4の底に向かって傾斜している。したがって、凸部5の上方から滴下されたインクは、凸部5にあたった後に側面を伝って左右の凹部4に流れ込む。ここで、凸部5の側面は、水平方向に対して、90度より小さい角度で5度以上の大きさの傾斜角度θを有することが好ましい。インクを効果的に流し込むには、側面の傾斜が急である方がよいからである。
本実施の形態において、凸部の幅は8μmとすることができ、凹部の幅は12μmとすることができる。また、傾斜角度θを5度とした場合、凸部の上部断面を形成する三角形の高さは0.35μmとすることができ、底辺は8μmとすることができる。
図1(b)は、凸部5′の上部断面が半円の円弧に沿った形状を有する場合である。尚、半円ではなく、楕円の円弧に沿った形状となっていてもよい。この場合にも、凸部5′の側面は、凹部4′の底に向かって傾斜している。したがって、凸部5′の上方から滴下されたインクは、凸部5′にあたった後に側面を伝って左右の凹部4′に流れ込む。この場合にも、側面の傾斜角度θは、90度より小さい角度で5度以上の大きさとなることが好ましい。換言すると、凸部の幅を8μmとし、凹部の幅を12μmとした場合、上部断面の曲率半径は23μmより小さいことが好ましい。
本実施の形態においては、基板に撥液処理を行ってから、インクを塗布することが好ましい。これにより、基板の上でインク滴が広がってしまうのを抑制できる。
本実施の形態で用いられるインクとしては、溶剤中に金属超微粒子が分散したものが挙げられる。
金属超微粒子には、導電性の高い金属の超微粒子を用いる。具体的には、金、銀、銅、パラジウム、錫、白金、タングステン、ニッケル、タンタル、インジウム、亜鉛、チタン、クロム、鉄およびコバルトよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属、または、これらの金属の合金若しくは酸化物の超微粒子とすることができる。これらのうち、導電性が高い点から、銀または銅が好ましく用いられる。尚、金属超微粒子の平均粒径は、100nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。
金属超微粒子を得る方法としては、例えば、減圧した不活性ガス雰囲気中で金属を蒸発させた後、冷却部上に超微粒子として回収するガス中蒸発法が挙げられる。この方法によって得られた金属超微粒子を有機溶媒と混合することによりインクとすることができるが、超微粒子同士の凝集を防ぐには、例えば、金属を蒸発させる際に真空室に有機溶媒の蒸気を導入し、金属超微粒子の表面を有機溶媒で覆うようにするのがよい。これにより、有機溶媒中での金属超微粒子の凝集を防いで、超微粒子が良好に分散した状態のインクを得ることができる。
また、インクは、次の方法によっても得られる。この方法によれば、インクジェット用として好適なインクが得られる。すなわち、インクジェットノズルを目詰まりさせたりすることがなく、また、使用する溶剤の選択範囲が広いので、インクジェット法に適した特性(粘度および表面張力など)のインクとすることができる。
まず、第1の溶剤の蒸気が存在するガス雰囲気中で金属を蒸発させて、金属の蒸気と第1の溶剤の蒸気とを接触させた後、冷却部上で捕集して、第1の溶剤中に金属微粒子が分散した金属超微粒子分散液を得る(第1の工程)。次に、この分散液に低分子量の極性溶剤である第2の溶剤を加え、金属超微粒子を沈降させてから、上澄み液を捨てて第1の溶剤を除去する(第2の工程)。残った沈降物に第3の溶剤を加えると、粒径100nm以下の金属超微粒子が独立状態で分散したインクが得られる(第3の工程)。
第1の工程では、まず、真空室中であって、且つ、Heなどの不活性ガスの圧力を10Torr以下とする雰囲気の下で、金属を蒸発させる。次いで、蒸発した金属の蒸気を冷却捕集する。この際、真空室中に第1の溶剤の蒸気を導入し、金属が粒成長する段階において、その表面に第1の溶剤の蒸気を接触させる。これにより、第1の溶剤中に金属超微粒子が独立且つ均一に分散した分散液が得られる。
第2の工程では、まず、第1の工程で得られた分散液に第2の溶剤を加える。すると、分散液中に含まれた金属超微粒子が沈降するので、静置法やデカンテーション法などによって上澄み液を除去する。この操作を複数回繰り返すことによって、第1の溶剤を実質的に除去することができる。これにより、第1の工程で蒸発した金属蒸気が凝縮する際に、共存する第1の溶剤が変性して生じる副生成物を除くことができる。また、用途によっては、第1の工程で使い難い低沸点溶剤、水またはアルコール系溶剤などに分散したインクとする必要がある。第2の工程で第1の溶剤を除去した後、次の第3の工程で溶剤置換を行えば、こうした溶剤に分散したインクを得ることができる。
第3の工程では、第2の工程で得られた沈降物に新たな第3の溶剤を加えて、溶剤置換を行う。これにより、平均粒径100nm以下の金属超微粒子が独立状態で分散している分散液、すなわち、本実施の形態におけるインクを得ることができる。
上記の例においては、第1の工程および/または第3の工程で分散剤を加えることが好ましい。尚、第3の工程で分散剤を添加する場合には、第1の工程で使用する溶剤(第1の溶剤)に溶解しない分散剤であっても構わない。分散剤としては、例えば、アルキルアミン、カルボン酸アミドおよびアミノカルボン酸塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。アルキルアミンとしては、炭素数4〜20の主骨格を有するものが好ましく、なかでも炭素数8〜18の主骨格を有するものが、安定性や取り扱いの容易性の点から好ましい。アルキルアミンの炭素数が3以下では、アミンの塩基性が強すぎて金属超微粒子を腐食するおそれがある。一方、炭素数が20を超えると、インクの粘度が上昇して取扱い容易性が低下するおそれがある。尚、アルキルアミンは1級〜3級のいずれであってもよいが、安定性や取り扱い容易性の点からは1級のアルキルアミンが好ましく用いられる。
分散剤としてのアルキルアミンの含有量は、金属超微粒子に対して0.1〜10質量%とすることができ、0.2〜7質量%とすることが好ましい。0.1質量%未満では、金属超微粒子が独立状態で分散せずに凝集する場合がある。一方、10質量%を超えると、インクの粘度が高くなってゲル状物質となるおそれがある。
アルキルアミンの具体例としては、ブチルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサドデシルアミン、オクタデシルアミン、ココアミン、タロウアミン、水素化タロウアミン、オレイルアミン、ラリウルアミンおよびステアリルアミンなどの1級アミン、ジココアミン、ジ水素化タロウアミンおよびジステアリルアミンなどの2級アミン、ドデシルジメチルアミン、ジドデシルモノメチルアミン、テトラデシルジメチルアミン、オクタデシルジメチルアミン、ココジメチルアミン、ドデシルテトラデシルジメチルアミンおよびトリオクチルアミンなどの3級アミン、ナフタレンジアミン、ステアリルプロピレンジアミン、オクタメチレンジアミンおよびノナンジアミンなどのジアミンなどが挙げられる。また、カルボン酸アミドやアミノカルボン酸塩の具体例としては、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリル酸ラウリルアミド、オレイン酸アミド、オレイン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ラウリルアミド、ステアラニリドまたはオレイルアミノエチルグリシンなどが挙げられる。
上記の例において、第1の溶剤は、ガス中蒸発法の際に用いる金属超微粒子生成用の溶剤であり、また、金属超微粒子を冷却捕集する際に容易に液化できるよう比較的沸点の高い溶剤である。第1の溶剤としては、炭素数5以上のアルコール類、例えば、テルピネオール、シトロネオール、ゲラニオール、およびフェネチルアルコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する溶剤、または、有機エステル類、例えば、酢酸ベンジル、ステアリン酸エチル、オレイン酸メチル、フェニル酢酸エチルおよびグリセリドよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する溶剤を挙げることができる。尚、使用する金属超微粒子の種類によって適宜選択することが好ましい。
第2の溶剤は、分散液中の金属超微粒子を沈降させて、第1の溶剤を分離除去できるものであればよい。具体的には、アセトンなどの低分子量の極性溶剤が挙げられる。
第3の溶剤としては、主鎖の炭素数が6〜20の非極性炭化水素、水または炭素数15以下のアルコールなどの常温で液体のものを挙げることができる。非極性炭化水素の場合、炭素数が6未満では乾燥が速くなりすぎて、得られるインクの取り扱いが難しくなる。一方、炭素数が20を超えると、インクの粘度が上昇したり、焼成後に炭素が残留したりするなどの問題が生じる。また、アルコールの場合も炭素数が15を超えると、同様の問題が生じる。例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカンおよびトリメチルペンタンなどの長鎖アルカン、シクロヘキサン、シクロヘプタンおよびシクロオクタンなどの環状アルカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼンおよびドデシルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノールおよびテルピネオールなどのアルコールなどを用いることができる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。例えば、長鎖アルカンの混合物であるミネラルスピリットとすることもできる。
インクの粘度は、温度0〜50℃において、1〜100mPa・sとすることが好ましく、1〜10mPa・sとすることがより好ましい。また、インクの表面張力は、25〜80mN/mとすることが好ましく、30〜60mM/mとすることがより好ましい。このようなインクであれば、塗布時におけるインクの供給安定性や液滴形成飛翔安定性を維持したり、インクジェット装置のヘッドの高速応答性などを実現したりするのに適したものとすることができる。
また、インク中の金属超微粒子濃度は、10〜70質量%とすることが好ましく、10〜50質量%とすることがより好ましい。10質量%未満では、粘度および表面張力などの値は問題ないが、焼成後に得られる導電膜の電気抵抗が導電回路として十分な値にならない。一方、70質量%を超えると、粘度および表面張力などの値が上記範囲から外れてしまい、インクジェット法に適したインクとすることができなくなる。
尚、金属超微粒子は、上記のガス中蒸発法に代えて、液相還元法などの化学還元法によって得ることもできる。この場合、金属超微粒子を製造するための原料としては、例えば、ビスヘキサフルオロアセチルアセトネート銅、ビスアセチルアセトネートニッケルおよびビスアセチルアセトネートコバルトなどの金属含有有機化合物を用いることができる。具体的には、まず、上記原料を適当な溶媒に溶解して分散剤を加えた後、所定の温度で加熱分解して金属超微粒子を発生させる。その後、上記例における第3の溶剤などで溶剤置換すると、平均粒径が約100nm以下である金属超微粒子が分散した状態のインクが得られる。この場合、得られたインクは、真空中での加熱により濃度が80質量%になるまで濃縮しても、安定な分散状態を維持することができる。
本実施の形態において、金属超微粒子を含むインクには、基板との密着性を向上させるために、有機ケイ素化合物および有機マンガン化合物などの金属含有有機化合物を添加することができる。有機ケイ素化合物としては、常温で液体である非極性炭化水素系溶剤に可溶であり、分解温度が150〜250℃程度であるものが用いられる。例えば、ジフェニルシラン、テトラアリルシランまたはデカメチルテトラシロキサンなどを挙げることができる。また、有機マンガン化合物としては、例えば、オクタン酸マンガン、ナフテン酸マンガンまたはリノール酸マンガンなどを用いることができる。添加量は、金属超微粒子の質量に対し、ケイ素またはマンガンの質量で、0.5〜10質量%程度とするのがよい。0.5質量%未満の添加量では、密着性の向上に寄与しない。一方、添加量が10質量%を超えると、導電膜の比抵抗が上昇してしまう。
尚、密着性に効果がある他の金属含有有機化合物の例としては、ケイ素、マンガン、クロム、ニッケル、チタン、マグネシウム、アルミニウム、ゲルマニウム、タンタル、ニオブおよびバナジウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含有する脂肪酸塩が挙げられる。これらの内で、分解温度が300℃以下のものが好ましい。具体的には、(C17H35COO)2Mgまたは(C17H35COO)3Alなどを挙げることができる。
インクの塗布は、インクジェット法によって行う。この方法によれば、オフセット印刷などのように版下を作製することなしに、基板の必要な領域にのみ必要な量のインクを塗布できる。したがって、基板の全面にインクを塗布し焼成して導電膜とした後に、フォトリソグラフィ法によって不要な部分の導電膜を除去する方法に比べて、工程数を削減することができ、また、インクの無駄も低減することができる。さらに、エッチング工程で生じる廃液の問題も解消することができる。
インクジェット装置の方式は、コンティニュアス型(連続吐出型)とオンデマンド型に大別されるが、本実施の形態においてはいずれの方式であってもよい。
コンティニュアス型では、インクはポンプでノズルから連続的に押し出された後、超音波発振器によって微小な液滴になる。生じたインク滴には、偏向電極を介して電荷が加えられる。これにより、インク滴は、軌道を曲げられて基板面に到達する。一方、偏向電極で軌道を曲げられなかったインク滴は、ガターと呼ばれる回収口に吸い込まれた後、インクタンクに戻って再利用される。
上記のコンティニュアス型では、基板上にインクを吐出していないときであっても、インクは常に連続して噴射される。これに対して、オンデマンド型は、必要なときに必要な量のインクが吐出される方式である。この方式には、コンティニュアス型に比べて装置を小型化できるという長所がある。オンデマンド型は、インク滴に圧力を加える方法によって、ピエゾ方式やサーマル方式などに分かれる。ピエゾ方式は、電圧を加えると変形するピエゾ素子(圧電素子)をインクの詰まった微細管に取り付け、これに電圧を加えて変形させることでインクを管外へ噴出させる方式である。また、サーマル方式は、加熱によって管内のインクに気泡を発生させてインクを噴射する方式である。
本実施の形態によれば、基板に設けられた凸部の側面に、凹部の底に向かって傾斜した形状を設けているので、インクジェットヘッドから吐出されたインク滴の直径が凹部の幅より大きい場合であっても、凸部の側面を伝って凹部にインクが流れ込みやすくなる。また、凸部の上部に留まるインクの量を少なくすることもできる。したがって、凹部からインクがはみ出るのを最小限に抑えることが可能となる。
本実施の形態によれば、例えば、インクジェットヘッドから吐出されるインク滴の大きさが1ピコリットル〜100ピコリットルである場合に、幅が10μmであってピッチが18μmである凹部にもインク滴を良好に流し込むことができる。尚、1ピコリットル〜100ピコリットルに対応するインク滴の直径は、おおよそ10μm〜60μm程度である。
基板の上にインクを塗布した後は、加熱によりインクを乾燥させて、インク中に含まれる溶剤を除去する。次いで、インクを高温で焼成して配線を形成する。
以上述べたように、基板に設けられた凸部の側面に凹部の底に向かって傾斜した形状を設けることにより、インク滴の直径より小さい凹部であってもインクを良好に流し込むことができる。すなわち、本実施の形態によれば、微細な溝に導電膜を埋め込むことができるので、微細な配線パターンを有する電子デバイスが得られる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することができる。
1 基板
2 基材
3 樹脂フィルム
4、4′ 凹部
5、5′ 凸部
2 基材
3 樹脂フィルム
4、4′ 凹部
5、5′ 凸部
Claims (6)
- 表面に凹部と凸部が設けられた基板と、該凹部に埋め込まれた配線とを備えた電子デバイスの製造方法であって、
前記凸部の側面は、前記凹部の底に向かって傾斜した形状を有しており、
前記配線は、インクジェット法を用いて金属超微粒子を含むインクを前記基板の上に塗布した後、該インクを加熱することによって形成されることを特徴とする電子デバイスの製造方法。 - 前記凸部の側面は、水平方向に対して5度以上の傾斜角度を有することを特徴とする請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
- 前記凸部の上部断面は三角形を呈することを特徴とする請求項1または2に記載の電子デバイスの製造方法。
- 前記凸部の上部断面は半円または楕円の円弧に沿った形状を有することを特徴とする請求項1または2に記載の電子デバイスの製造方法。
- 前記基板は、円筒形の基材と、該基材の周囲に巻かれた樹脂フィルムとを有しており、
前記凹部および前記凸部は、前記樹脂フィルムの表面に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。 - 前記インクは、前記基板に撥液処理を行った後に塗布されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
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