JP4239419B2 - 熱処理炉及びその加熱制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックス成形体を加熱焼成する熱処理炉の加熱制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミックス成形品の製造工程においては、成形のために原料粉末にバインダが添加されている。成形体を加熱焼成する段階で、このバインダが急激に分解することがある。その際の発生ガス等が原因となってセラミックス成形体に割れ、クラックが生じることがあり、また積層品では層間剥がれなどを生じることがある。このような問題を防止するために長時間をかけて脱バインダ処理を行っているが、効率の良い最適な脱脂条件を決定するには長時間を要し、困難な作業を伴う。
【0003】
上記問題を解決する一つの手段として、従来、例えば特開昭63−316104号公報に記載されたものがある。この例では、セラミック試料を加熱炉で加熱し、セラミック試料の物理的性質の変化、例えば寸法の収縮,重量変化の時間的微分値を検出し、この値が亀裂,割れを生じない最大収縮速度あるいは最大減量速度を越えると、温度調節器により試料の収縮速度あるいは減量速度が上記最大値以下となるようにセラミック試料の温度を調節するようにしている。
【0004】
また、特開平9−68509号公報には、「材料の加熱によって該材料から発生するガスの発生量に基づいて加熱温度を制御することを特徴とする材料の加熱制御方法」が開示さている。
【0005】
さらにまたニューセラミックス1997年No.1には、脱バインダ過程の解析に有効なダイナミック熱天秤、として所定の重量変化速度となるように昇温速度を制御するようにした方式が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来方法では、数グラム程度の成形体しか対応できないのが実情である。即ち、成形体が小さいか又は少量の場合は、所定温度を目標にして加熱した際の重量減少への反応が早く、比較的制御も容易である。しかし成形体が大きいか又は多量になると、加熱した際の重量減少への反応が遅く、また一度加熱され重量減少が進行すると所定の重量減少速度以上になった場合にこれを抑える制御は難しくなる。
【0007】
結局、従来方式では量産条件とは大きく異なる試料にしか有効でないといった問題があった。そのため試料の種類・形状・重量・設置状態等による熱伝達の差や、試料の発熱等による様々な測定条件の変化に汎用的に対応し、しかも利用者が制御方式等に関する専門的な知識、経験、予備実験等を必要とせず、最適な制御開始温度(時間)や最適な制御パラメータ等を自動的に設定する方式が求められていた。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、量産に近い条件での制御が可能で、しかもより高精度な制御が可能な熱処理炉及びその加熱制御装置を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、セラミックス成形体を加熱焼成する熱処理炉の加熱制御装置において、上記成形体を加熱しながら重量を常時測定し、その重量変化に基づいて所定の重量変化速度になるようにヒータ出力の最大出力値に対する割合を制御する出力制御手段を備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1において、上記出力制御手段は、重量変化速度の設定値と重量変化速度の実測値との偏差に基づいて、PID制御方式により成形体の重量変化速度が設定値となるようにヒータ出力の最大出力値に対する割合を制御する機能を有することを特徴としている。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2において、上記出力制御手段は、上記重量変化速度の設定値と実測値との偏差、該偏差の時間微分値、及び炉体温度の時間微分値に基づいて、ファジィ推論を用いてPID制御方式における制御係数を測定条件に合わせた最適な値となるように自動的に計算する機能を有することを特徴としている。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3において、上記出力制御手段は、重量変化速度の設定値より算出した所定の重量減少速度に到達したときファジィ推論を自動的に開始し、重量変化率の設定値が設定上限温度に到達したときファジィ推論を自動的に終了する機能を有することを特徴としている。
【0013】
請求項5の発明は、請求項2において、2つ以上の独立制御回路を備え、上記出力制御手段は、特定のゾーン(メインゾーン)のみヒータ出力の最大出力値に対する割合を制御し、該メインゾーン以外のゾーンは該メインゾーンの検出温度を設定温度として温度制御する機能を有することを特徴としている。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1ないし5の何れかに記載の加熱制御装置を備えたことを特徴とする熱処理炉である。
【0015】
【発明の作用効果】
請求項1,6の発明によれば、成形体を加熱しながら重量を常時測定し、その重量変化に基づいて所定の重量変化速度になるようにヒータ出力値(ヒータ出力の最大出力値に対する割合)を制御するようにしたので、実際の量産に対応した条件のもとでの脱バインダ処理が可能であり、しかもより高精度な制御が可能である。
【0016】
また一回の演算式によってヒータ出力を求めてフィードバック制御を行なうことにより、材料の加熱をより直接的に制御でき、対象となる材料が数百グラム以上の場合においても精度よく制御を行なうことができる。なお、従来は特定の演算式によって昇温速度または加熱温度を求めて、さらにその昇温速度または加熱温度に基づいてPID制御等の演算式によってヒータ出力値を求めサイリスタに出力するという方式であったため少なくとも2回の演算を行なう必要があり制御形態が複雑になり、対象となる材料が多い場合(例えば数百グラム程度の場合)には制御精度の向上は困難であった。
【0017】
請求項2,6の発明によれば、重量変化速度の設定値と重量変化速度の実測値との偏差に基づいて、PID制御方式により成形体の重量変化速度が設定値となるようにヒータ出力値を制御するようにしたので、より一層実際の量産に対応した条件のもとでの脱バインダ処理が可能であり、しかもより高精度な制御が可能である。
【0018】
請求項3,6の発明によれば、上記重量変化速度の設定値と実測値との偏差、該偏差の傾斜値(時間微分値)、炉体温度の傾斜値(時間微分値)に基づいて、ファジィ推論を用いて制御係数を測定条件に合わせて自動的に最適化する、いわゆるチューニングするようにしたので、利用者が制御方式等に関する専門知識を持つ必要がなく、例えば熱伝導率の大きく異なる材料や、熱容量の大きな匣を多段に重ねた場合、あるいは材料のチャージ量を増加させた場合など様々な条件に汎用的に対応し、また外乱等によるバラツキも修正し、精度良く制御を行なうことができる。なお、従来の方式で測定条件に合わせて所定の重量変化速度を得るように制御を行なう場合、数多くの予備実験や経験、制御方式等に関する専門知識が必要であり、非常に困難であった。
【0019】
請求項4,6の発明によれば、重量変化速度の設定値より算出した所定の重量減少速度に到達したときファジィ推論を自動的に開始し、重量変化率の設定値が設定上限温度に到達したときファジィ推論を自動的に終了するようにしたので、材料や重量変化速度設定値に合わせた最適な制御開始温度(時間)を、材料の重量変化速度から自動的に設定することができ、材料や制御方式等に関する専門知識を必要とせず使用できるようになり、また、重量変化開始直後の制御も精度よく所定の重量変化速度に制御可能になった。なお、従来の方法では、重量変化速度設定値や、測定材料が変わった場合、利用者が制御開始温度(時間)等を設定する必要があり、材料や制御等に関する知識,経験,予備実験等が要求され、また重量減少開始直後の重量変化速度が設定通りに制御できない問題があった。
【0020】
請求項5,6の発明によれば、特定のゾーン(メインゾーン)のみヒータ出力値制御とし、該メインゾーン以外のゾーンは該メインゾーンの検出温度を設定温度として温度制御するようにしたので、予備実験を必要とすることなく、炉内上下方向の温度分布のばらつきを低減でき、さらに汎用性の高いシステムをそのまま多ゾーン炉に適応可能になった。
【0021】
【実施の形態】
以下本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
図1,図2は本発明の第1実施形態を説明するための図であり、図1はブロック構成図であり、図2は炉体温度及び材料重量の時間経過に伴う変化特性を示す特性図である。
【0022】
図中、1は加熱炉、2は炉内に配置された材料wの重量を常時計測する天秤、3は材料wを加熱するヒータ、4はヒータ3への給電をオンオフ制御するサイリスタ、5は天秤2によって測定された材料wの重量データが入力され、該重量データをもとに所要のヒータ出力値を算出し、サイリスタ4に制御信号を出力するCPUである。このCPU5にはあらかじめ所要の重量変化速度目標値、最終到達重量および上限温度が設定されている。なお、炉内温度は図示しない温度センサにより検出され、該検出値は上記CPU5に入力されている。
【0023】
本第1実施形態では、図2に示すように、まず、炉体温度が所定温度Toになるまでは一定の昇温速度となるようにヒータ3への給電量が制御されて上記材料wが加熱される。そして上記所定温度Toに達すると、CPU5において、天秤2で測定された材料wの重量データに基づいて重量変化速度(単位時間当たりの重量変化量)が計算され、該計算値が所定の目標重量変化速度となるように所要のヒータ出力値が算出される。
【0024】
上記算出されたヒータ出力値に基づく制御信号がサイリスタ4に出力されてヒータ3の出力制御が行なわれる。この一連の処理が一定の周期ごとに逐次繰り返えされ、このようにして材料wが所定の重量変化速度でもって減量していき、脱バインダ処理がなされる。なお、図2は材料wの重量減少状態を示しており、該重量減少の割合が重量変化速度となる。
【0025】
上記脱バインダ処理の過程で材料wの重量があらかじめ設定された最終到達重量Woに達するか、または炉体温度が上限温度に達した場合、本脱バインダ処理が終了したとみなされ、その後は所定の温度プロファイルに合わせた温度制御が行われる。
【0026】
このように本第1実施形態では、炉体温度が所定温度Toに達した後においては、材料wの重量が所定の目標重量変化速度で減量していくようにヒータ3の出力値を計算し、該計算値に基づいてヒータ3の出力制御を行うようにしたので、実際の量産に対応した条件のもとでの脱バインダ処理が可能であり、しかもより高精度な制御が可能である。
【0027】
上述のように従来は所要の昇温速度または加熱温度を求めてフィードバック制御を行っていたが、この場合特定の演算式によって昇温速度または加熱温度を求めて、さらにその昇温速度または加熱温度に基づいて一般的にはPID制御等の演算式によってヒータ出力値を求めサイリスタに出力するという方式であった。これでは制御を行なうために少なくとも2回の演算を行なう必要があるため制御形態が複雑になり、対象となる材料が多い場合(例えば数百グラム程度の場合)には制御精度の向上は困難であった。
【0028】
これに対して本第1実施形態の方式では一回の演算式によってヒータ出力を求めてフィードバック制御を行なうことにより、材料の加熱をより直接的に制御でき、対象となる材料が数百グラム以上の場合においても精度よく制御を行なうことができる。
【0029】
ちなみに、上記従来の所定の重量変化速度で減量するよう「温度制御」するようにした方式の場合には、数グラムといった少量の試料については、温度状態の重量減少への反応が早いため問題は生じない。しかし量産条件に対応した製品の場合には、温度状態の重量変化速度に対する反応が遅く、しかも一旦加熱されて重量減少が進行した場合に重量減少速度が過大となるとこれを抑える制御は非常に困難である。これに対して本実施形態では、重量変化速度が所定値となるようにヒータ出力自体を制御するようにしているので、該ヒータ出力の重量変化速度に対する反応が極めて直接的であることから、制御精度を向上できる。
【0030】
次に本発明の第2実施形態を説明する。
本第2実施形態装置は上記第1実施形態と同様に図1に示す構成となっている。そして上記CPU5は、直近の過去5回の重量測定データをもとに重量変化速度実測値を求め、これと目標値である重量変化速度設定値との偏差eを求め、該偏差eを基にPID制御方式によりヒータ出力値を求める。具体的には、上記偏差eを下記の式に代入し、ヒータ出力値を求める。
【0031】
M=Kp×e+Ki×∫edt+Kd×de/dt
ここで、M:ヒータ出力値(%)
Kp:比例係数
Ki:積分係数
Kd:微分係数
dt:制御周期の単位時間。
積分項はeの累積値とし、最大値をMm(最大出力値)/Kiに制限している。
微分値は現在の偏差eと前回制御時の偏差との差を用いた。
【0032】
こうして求めた出力値によってヒータの出力制御を行い、これを例えば制御周期を6秒として繰り返し行なうことによって、上記重量変化速度の実測値が目標値となるように制御する。
【0033】
このように本第2実施形態では、PID制御とヒータ出力値フィードバック制御の組み合わせによって材料wの重量変化速度が目標値になるように制御したので、実際の量産に対応した条件のもとでの脱バインダ処理が可能であり、しかもより高精度な制御が可能である。
【0034】
ここで上記実施形態の場合、測定条件の変化に対して制御方式等に関する専門知識、経験、予備実験等を必要とするという問題が懸念される。また、ある特定条件では重量変化速度を一定に制御できるが、測定条件を変えた場合、重量変化開始温度,重量変化開始時間や試料への熱伝達や必要なヒータ出力等が大きく変わるため、同様の制御が困難であるといった懸念もある。
【0035】
図3ないし図14は上記懸念を回避できる本発明の第3実施形態を説明するための図であり、図3は全体構成を示すブロック構成図、図4はCPUの機能を説明するための機能ブロック図、図5〜図13はファジイ制御の説明図、図14は制御結果を示す重量変化特性図であり、図中、図1と同一符号は同一または相当部分を示す。
【0036】
本第3実施形態の加熱炉1では、材料wは、その重量が常時天秤2によって測定されているとともに、その温度が熱電対6によって常時測定されている。またヒーター3の温度は熱電対7によって常時測定されている。そしてこれらの測定データは通信によってCPU5に読み込まれる。該CPU5では、これらのデータをもとに材料wの重量変化速度が所定の目標重量変化速度となるように所要のヒータ出力を算出し、該ヒータ出力を発生させるための制御信号をサイリスタ4に出力し、該サイリスタ4はCPU5からの制御信号をもとにヒーター3の出力制御を行なう。
【0037】
本第3実施形態では、CPU5は図4に示す制御を行う。まず例えば過去10回の重量測定データ(試料重量)をもとに重量変化速度実測値を求め、これと重量変化速度設定値(目標値)とから偏差eを求める。また重量変化速度の傾斜値de/dtを求める。次に、炉体温度実測値より、該炉体温度の傾斜値dT /dt を求める。さらに過去1分間のヒータへの出力値の積算値Mtotal を求める。
【0038】
そしてこれらのデータを入力要素としたファジィ推論により、例えば「偏差eが小さく、偏差の傾斜値de/dtが小さく、炉体温度の傾斜値dT /dtが大きく、出力値の1分間の積算値Mtotal が大きい場合は、比例定数Kpを小さくし、積分係数Kiを大きくし、微分係数Kdを小さくする」といった約500のルールに従い、後述する式の各係数(Kp,Ki,Kd)を出力要素として求める。
【0039】
このファジィ推論における演算プロセスは図13に示すとおりである。即ち、上記偏差e,偏差の傾斜値de/dt,炉体温度の傾斜値dT /dt,出力値の1分間の積算値Mtotal 等が入力要素としてデータ入力され、メンバシップ関数より上記入力要素ラベルとその適合度が決定され、各入力要素ラベルの組合せに対応する出力要素ラベルをルールより決定し、各出力要素を重心法により計算し、各パラメータを決定する。
【0040】
このような演算を数秒から数十秒周期で行い、最適な係数を設定することで様々な測定環境に汎用的に適用でき、さらに精度良くダイナミックTG制御が可能となる。
【0041】
ファジィ推論による本制御における入力要素は、
(1) 偏差e
(2) 偏差の傾斜値de/ dt
(3) 炉体温度の傾斜値dT/dt
(4) 過去1分間の出力積算値Motal
で、これらのメンバシップ関数を図6〜図9に示す。
【0042】
また出力要素は
(1) 係数Kp
(2) 係数Ki
(3) 係数Kd
で、これらのメンバシップ関数を図10〜図12に示す。これらの図に示された、NS,NL,ZR,PS,PM,PLは大きさを定性的に評価するためにメンバシップ関数に与えた名称であり、下記の意味を持つ。
【0043】
NL:負側大(Negative Large)
NS:負側小(Negative Small)
ZR:零(Zero)
PS:正側小(Positive Small)
PM:正側中(Positive Medium)
PL:正側大(Positive Large)
ここで図5の破線で示す状態▲1▼におけるファジィ推論演算プロセスを示す。状態▲1▼における各入力要素は、
(1)偏差e=5
(2)偏差の傾斜値de/ dt=−1
(3)炉体温度の傾斜値dT/dt=−1
(4)過去1分間の出力積算値Motal =80
である。
【0044】
各要素のメンバシップ関数よりラベルとその適合度を求めると、図6〜図9に破線で示すように、
(1)偏差e:PL=0.6,PS=0.3
(2)偏差の傾斜値de/ dt:ZR=0.7,NS=0.2
(3)炉体温度の傾斜値dT/dt:ZR=0.6,NS=0.4
(4)過去1分間の出力積算値Motal :PS=0.8,ZR=0.2
となる。
【0045】
これらの入力要素の適合ラベル組合せに対応した出力要素ラベルを経験則より記述したのが「ルール」であるが、この「ルール」は各入力要素メンバシップ関数ラベルの組合せである。本制御における入力要素ラベル数はそれぞれ5、5、5、4であるため、ルール数は、5×5×5×4=500(通り)である。その抜粋を表1に示す。
【0046】
【表1】
Figure 0004239419
【0047】
上述の状態▲1▼の入力要素ラベルの組合せは表2に示すように16通りあり(表2中の( )内の数字は各適合度を示す)、ルールによりそれらに対応する出力要素のラベルが決定する。また各入力要素適合度の最少値をルールの適合度とする。表1のルールより上記入力要素に対応する出力要素ラベルを探すと表3に示す通りとなる。
【0048】
【表2】
Figure 0004239419
【0049】
【表3】
Figure 0004239419
【0050】
これらの結果から各出力値を重心法により計算する。この方法は、各ラベルの座標と考えその適合度で重み付けをして合計した値を適合度の総和で割ることで、メンバシップ関数を図形として考えた際の重心位置の計算に相当する方法である。各出力要素Kp,Ki,Kdは式1,式2,式3に示すように、それぞれ26.2、65.5、37.1となる。
【0051】
【式1】
Figure 0004239419
【0052】
【式2】
Figure 0004239419
【0053】
【式3】
Figure 0004239419
【0054】
これらの出力値を下記の演算式に代入しヒーター出力値を計算する。
【0055】
M=Kp×e+Ki×∫edt+Kd×de/dt
ここで、M:出力値(%)
Kp:比例係数
Ki:積分係数
Kd:微分係数
dtは制御周期の単位時間、積分項は偏差eの累積値、微分項は現在の偏差eと前回制御時の偏差との差を用いている。
【0056】
これを例えばファジィ推論を1分周期で、ヒータ出力値計算を6秒周期で行い、その出力値よりヒータ出力制御を繰り返し行なうことで、所定の重量変化速度を得るように制御する。
【0057】
従来の方式で測定条件に合わせて所定の重量変化速度を得るように制御を行なう場合、数多くの予備実験や経験、制御方式等に関する専門知識が必要であり、非常に困難であった。
【0058】
本第3実施形態では、測定条件に合わせた最適なPIDの制御係数を、ファジィ推論により自動的に計算することによって、利用者が制御方式等に関する専門知識を持つ必要がなく、例えば熱伝導率の大きく異なる材料や、熱容量の大きな匣を多段に重ねた場合、あるいは材料のチャージ量を増加させた場合など様々な条件に汎用的に対応し、また外乱等によるバラツキも修正し、精度良く制御を行なうことができる。
【0059】
実際に評価を行った際の制御結果を図14に示す。同図から明らかなように、本第3実施形態方式を採用することにより、ハンチングを抑え一定の重量変化速度で制御を行なうことができた。なお、ファジィ推論の出力要素は、PIDの制御係数の増減量でも可能である。
【0060】
次に本発明の第4実施形態を説明する。
本第4実施形態における制御装置は上記第3実施形態と同様に図3,図4に示す構成となっている。そしてCPU5にはあらかじめ所要の重量変化速度目標値、最終到達重量および上限温度が設定されており、該CPU5は、上記重量変化速度目標値より計算開始係数Krを自動的に決定する。ただし、このKrは0より大きく1以下の値で、重量変化速度目標値が小さいほど1に近い値をとる。
【0061】
まず、ある温度プロファイルで材料wを加熱する。その際に、CPU5は、天秤2によって測定された材料wの過去10回の重量データをもとに、重量変化速度を常時計算する。その重量変化速度が設定値に計算開始係数Krを掛けた値に到達したら、設定プロファイルでの加熱を終了し、所定の重量変化速度になるようなヒータ出力値を算出し、ヒータ3の出力を該計算値に制御することで所定の重量変化速度を得る。
【0062】
上記過程で材料wの重量があらかじめ設定しておいた最終到達重量に達するか、または温度が上限温度に達した場合、本制御の終了とみなしてその後は所定の温度プロファイルに合わせて温度制御を行なう。
【0063】
従来の方法では、重量変化速度設定値や、測定材料が変わった場合、利用者が制御開始温度(時間)等を設定する必要があり、材料や制御等に関する知識,経験,予備実験等が要求され、また重量減少開始直後の重量変化速度が設定通りに制御できない問題があった。
【0064】
本第4実施形態では、材料や重量変化速度設定値に合わせた最適な制御開始温度(時間)を、材料の重量変化速度寄り自動的に設定することにより、材料や制御方式等に関する専門知識を必要とせず使用できるようになり、また、重量変化開始直後の制御も精度よく所定の重量変化速度に制御可能になった。
【0065】
上記第4実施形態は、量産に近い条件でのダイナミックTG制御が可能な、材料の加熱制御方式であるが、これをさらに量産に近づけようと考えた場合、炉体自体の容積の増加に伴う回路構成の多ゾーン化が予想される。例えば、上中下の3ゾーン構成の炉床昇降式炉の場合、炉体下部からの放熱の影響により下段ゾーンは上段・中断に比べ高い出力値が必要である。このような回路構成の炉に上述のダイナミックTG制御方式を適用する場合、各ゾーンへの出力値を独立に計算することができないため、出力値の補正等が必要である。しかし、その補正値は炉体構造、ヒーター構成・種類等で全く異なり、汎用的に対応することは困難である。
【0066】
図15〜16は本発明の第5実施形態を説明するための図であり、図1,図3と同一符号は同一又は相当部分を示す。本第5実施形態では、炉体1は上下方向中心のメインゾーン1aと、その上,下に位置する上,下サブゾーン1b,1cとで構成されている。該各ゾーン1a〜1cの材料wの合計重量は電子天秤2によって常時測定されている。
【0067】
上記各ゾーン1a〜1cは別個独立に設けられたヒータ出力制御回路を備えており、該各制御回路は、各ゾーン用のヒータ3a〜3c、該各ヒータ3a〜3cの温度を常時計測する熱電対7a〜7c、上記各ヒータ3a〜3cへの給電回路をオンオフするサイリスタ4a〜4cを備えている。
【0068】
そして上記各熱電対7a〜7c及び天秤2の検出データは通信によってCPU5に読み込まれる。このCPU5は、これらのデータをもとに、材料wの重量変化速度が所定の目標値となるようにメインゾーン1aのヒータ3aにて発生させるべきヒーター出力を算出し、サイリスタ4aにサイリスタ制御信号を出力する。サイリスタ4aはCPU5からの制御信号をもとにヒーター4aの出力制御を行なう。
【0069】
そして上記CPU5は、熱電対7aで測定されたメインゾーン1aの温度を上,下サブゾーン1b,1cの目標温度として温調器8a,8bに設定し、該温調器8a,8bにより該サブゾーン1b,1cの温度をメインゾーン1aの温度に一致させる温度制御を行う。
【0070】
本実施形態では、メインゾーン1aにおいては、上記実施形態におけるのと同様のヒータ出力制御が行われ、サブゾーン1b,1cでは上記メインゾーン1aにおける制御方式で制御されたヒーター温度を設定値とし、温調器にて独立に制御される。
【0071】
多ゾーンに分割された構造の炉は、そのゾーン毎に必要な出力値が異なるため独立に制御することが望ましい。この独立制御の場合、各ゾーンを、材料wの重量変化により計算されたヒータ出力値に基づいて制御するには各ゾーン独立に計算することが必要となるが、出力値の計算式は1つであるため各ゾーン独立に計算することは不可能である。よって、計算された値を各ゾーン毎に補正することが必要となるが、そのための補正式を導くための予備実験の手間が大きく、しかも汎用性に欠けるという問題がある。
【0072】
本第5実施形態では、メインゾーンのみヒータ出力制御を行い、上下サブゾーンについてはメインゾーンの温度実測値を目標温度とする温度制御を行うようにしたので、上記予備実験の手間等の問題を回避しつつ、炉内上下方向の温度分布のばらつきを低減でき、さらに汎用性の高いシステムをそのまま多ゾーン炉に適応可能になった。
【0073】
本実施形態では、多ゾーン炉においてダイナミックTG制御を行なう場合、ある1つのゾーン(メインゾーンとする)を従来の出力値制御方式で制御し、その他のゾーンはその出力値制御されたメインゾーンの温度を設定温度とし、これを制御する方式を開発した。これにより、様々な回路構成の炉に汎用的に対応し、各ソーンを独立に制御することにより炉内温度分布が均一になり、より量産に近い条件(匣20段以上)でのダイナミックTG制御が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る熱処理炉の加熱制御装置のブロック構成図である。
【図2】上記第1実施形態における重量変化速度自動制御結果を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る熱処理炉の加熱制御装置のブロック構成図である。
【図4】上記第2実施形態におけるCPUの制御内容を示すブロック構成図である。
【図5】本発明の第3実施形態におけるファジィ制御を説明するための炉体温度及び材料重量の時間変化を示す特性図である。
【図6】上記ファジィ制御におけるメンバシップ関数を示す図である。
【図7】上記ファジィ制御におけるメンバシップ関数を示す図である。
【図8】上記ファジィ制御におけるメンバシップ関数を示す図である。
【図9】上記ファジィ制御におけるメンバシップ関数を示す図である。
【図10】上記ファジィ制御におけるメンバシップ関数を示す図である。
【図11】上記ファジィ制御におけるメンバシップ関数を示す図である。
【図12】上記ファジィ制御におけるメンバシップ関数を示す図である。
【図13】上記ファジィ制御のプロセスを示すブロック図である。
【図14】上記制御結果を示す特性図である。
【図15】本発明の第5実施形態に係る加熱炉の制御装置を示すブロック構成図である。
【図16】上記第5実施形態における制御結果を示す特性図である。
【符号の説明】
1 熱処理炉
3 ヒータ
4 サイリスタ
5 CPU(出力制御手段)
w セラミックス成形体

Claims (6)

  1. セラミックス成形体を加熱焼成する熱処理炉の加熱制御装置において、上記成形体を加熱しながら重量を常時測定し、その重量変化に基づいて所定の重量変化速度になるようにヒータ出力の最大出力値に対する割合を制御する出力制御手段を備えたことを特徴とする熱処理炉の加熱制御装置。
  2. 請求項1において、上記出力制御手段は、重量変化速度の設定値と重量変化速度の実測値との偏差に基づいて、PID制御方式により成形体の重量変化速度が設定値となるようにヒータ出力の最大出力値に対する割合を制御する機能を有することを特徴とする熱処理炉の加熱制御装置。
  3. 請求項2において、上記出力制御手段は、上記重量変化速度の設定値と実測値との偏差、該偏差の時間微分値、及び炉体温度の時間微分値に基づいて、ファジィ推論を用いてPID制御方式における制御係数を測定条件に合わせた最適な値となるように自動的に計算する機能を有することを特徴とする熱処理炉の加熱制御装置。
  4. 請求項3において、上記出力制御手段は、重量変化速度の設定値より算出した所定の重量減少速度に到達したときファジィ推論を自動的に開始し、重量変化率の設定値が設定上限温度に達したときファジィ推論を自動的に終了する機能を有することを特徴とする熱処理炉の加熱制御装置。
  5. 請求項2において、2つ以上の独立制御回路を備え、上記出力制御手段は、特定のゾーン(メインゾーン)のみヒータ出力の最大出力値に対する割合を制御し、該メインゾーン以外のゾーンは該メインゾーンの検出温度を設定温度として温度制御する機能を有することを特徴とする熱処理炉の加熱制御装置。
  6. 請求項1ないし5の何れかに記載の加熱制御装置を備えたことを特徴とする熱処理炉。
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