JP4239241B2 - インクジェットプリンタおよびインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法 - Google Patents

インクジェットプリンタおよびインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法 Download PDF

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はノズル開口部からインク滴を吐出して記録用紙に記録を行うインクジェットプリンタおよびインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インク室に連通したノズル開口部からインク滴を吐出して記録用紙に記録を行うインクジェットプリンタが普及している。この種のプリンタにおいては、高解像度化のために安定的にインク滴サイズを小さくする方法や、中間階調の画像表現を行うためにドット間でインク滴サイズを変化させる方法等が検討されている。
【0003】
インク滴サイズを小さくするための方法の一つとして、インク室を膨張させてノズル内のメニスカスと呼ばれるインク先端部の位置をインク室の方向に一旦引き込み、このメニスカスが元の位置に戻る前にインク室を収縮させてノズル開口部よりインク滴を吐出するという方法が提案されている。
【0004】
例えば、特開昭55−17589号公報では、初期状態からインク室の内容積を増加する方向に変位駆動してから初期状態に復元する行程によってインクを噴射する方法が提案されている。そして、この公報には、吸込行程における変位量(インク室の内容積の増加変位量)を変えることで粒径(液滴径)を変えることができる旨が記載されている。
【0005】
また、例えば特開平2−6137号公報では、インク室内の圧力を一度減少させたのち初期状態に復元させる際の印加電圧を変化させてインク滴サイズを制御する方法が提案されている。
【0006】
また、例えば、特開昭59−143652公報では、インク滴の吐出のための主パルスの前に補助パルスを印加してノズル内のメニスカス位置を変化させることによりインク滴サイズを制御する方法が提案されている。
【0007】
また、例えば特開平5−16359号公報では、補助パルスを印加したのち、インク室内の残留圧力波の周期に合わせて主パルスを印加することでインク滴サイズを制御する方法が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した特開昭55−17589号公報には、吸込行程における変位量を変えることで液滴径を変えることができる旨が示唆されているにすぎず、具体的にインク滴サイズを制御する駆動方法は明らかでなく、インク滴の適切な制御は困難であると考えられる。
【0009】
また、特開平2−6137号公報に記載の方法は、インク室内の圧力を一度減少させたのち初期状態に復元させる際の印加電圧を変化させることでインク滴サイズを制御するものであり、インクの充填を考慮したメニスカスの引き込み位置の制御については何ら示唆がなく、実際上、正確なインク滴サイズの制御は困難である。
【0010】
特開昭59−143652公報および特開平5−16359号公報に記載の方法は、いずれも補助パルスによってノズル内のメニスカス位置を調整した後に主パルスを印加するものであり、補助パルスが必要である。この場合、補助パルスのパルス幅とその波高値、あるいは補助パルスと主パルスとの時間間隔によってメニスカス位置は変化するので、これらの複数のパラメータを調整する必要があった。しかも、前者の公報の記載では、補助パルスとインク滴サイズとの位置との関係が不明確であり、また、後者の公報には、インク位置の変動周期とインク滴サイズとの関係が記述されているものの、ノズル内に引き込まれたメニスカス位置とインク滴サイズとの関係については具体的な記述がなく、実際上、これらの方法によって適切にインク滴サイズを制御することは困難であった。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、吐出されるインク滴のサイズを適切に制御することができるインクジェットプリンタおよびインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るインクジェットプリンタは、インク滴を吐出するためのノズル開口部と、ノズル開口部に連通するインク室と、インク室にインクを供給するインク供給路と、印加電圧に応じてインク室を膨張または収縮させる圧電素子と、圧電素子によってインク室を膨張させることによりノズル開口部を介して外気に接するインク先端部をインク室の方向に引き込む第1行程と、インク供給路からインク室にインクを供給することによりインク先端部をノズル開口部の方向に前進させる第2行程と、圧電素子によってインク室を収縮させることにより前記ノズル開口部からインク滴を吐出させる第3行程とを制御する行程制御手段とを備えたインクジェットプリンタであって、行程制御手段が、第1行程におけるインク先端部の引き込み量を一定にしつつ第2行程の所要時間を変化させて第3行程の開始時点におけるインク先端部の位置を制御することにより、第3行程において吐出されるインク滴の大きさを制御するように構成したものである。ここで、行程制御手段が、さらに、第3行程におけるインク室の収縮量の制御をも行うことによりインク滴の大きさを制御するように構成することも可能である。
【0013】
本発明に係るインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法は、インク滴を吐出するためのノズル開口部と、ノズル開口部に連通するインク室と、インク室にインクを供給するインク供給路と、印可電圧に応じてインク室を膨張または収縮させる圧電素子とを備えたインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法であって、圧電素子によってインク室を膨張させることによりノズル開口部を介して外気に接するインク先端部をインク室の方向に引き込む第1行程と、インク供給路からインク室にインクを供給することによりインク先端部をノズル開口部の方向に前進させる第2行程と、圧電素子によってインク室を収縮させることにより前記ノズル開口部からインク滴を吐出させる第3行程とを含み、第1行程におけるインク先端部の引き込み量を一定にしつつ第2行程の所要時間を変化させて第3行程の開始時点におけるインク先端部の位置を制御することにより、第3行程において吐出されるインク滴の大きさを制御するように構成したものである。ここで、さらに、第3行程におけるインク室の収縮量の制御をも行ってインク滴の大きさを制御するように構成することも可能である。
【0014】
本発明に係るインクジェットプリンタまたはインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法では、第1行程におけるインク先端部の引き込み量を一定にしつつ第2行程の所要時間を変化させることにより、第3行程の開始時点、すなわち吐出開始時点におけるインク先端部の位置が調整(選択)され、これにより、インク滴の大きさが制御される。特に、第3行程の開始時点におけるインク先端部の位置を一定にした場合には、インク滴のサイズが一定となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
[第1の実施の形態]
図1は本発明の一実施の形態に係るインクジェットプリンタの要部の概略構成を表すものである。なお、本発明の実施の形態に係るインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法は本実施の形態に係るインクジェットプリンタによって具現化されるので、以下併せて説明する。
【0017】
このインクジェットプリンタ1は、記録用紙2に対してインク滴を吐出して記録を行う記録ヘッド11と、この記録ヘッド11にインクを供給するインクカートリッジ12と、記録ヘッド11の位置と記録用紙2の紙送りとを制御するヘッド位置・紙送りコントローラ13と、ヘッド駆動信号により記録ヘッド11のインク滴吐出動作を制御するヘッドコントローラ14と、入力される画像データに所定の画像処理を行って記録データとしてヘッドコントローラ14に供給する画像処理部15と、ヘッド位置・紙送りコントローラ13、ヘッドコントローラ14および画像処理部15を制御するシステムコントローラ16とを備えている。ここで、ヘッドコントローラ14が本発明における「行程制御手段」に対応する。
【0018】
図2は図1における記録ヘッド11の斜視断面構造を表し、図3は図2における記録ヘッド11を矢印Z(図2)の方向から見た断面構造を表す。これらの図に示したように、記録ヘッド11は、順次積層されたノズルプレート111a、流路プレート111bおよび振動プレート111cを備えて構成されている。これらの各プレートは、例えばガラスやステンレス材等で形成され、図示しない接着剤による接着、またはガラスを溶融して圧着する等の方法により、相互に貼り合わされている。なお、これらの各プレートは、一体に形成するようにしてもよい。
【0019】
流路プレート111bの図中上面側には、選択的に凹部が形成されており、この凹部と振動プレート111cとによって、複数のインク室113とこれらのインク室に連通する共通流路117とを構成している。共通流路117と各インク室113との連通部分は挟路となっており、ここから各インク室113の方向に向かうに従って流路幅が拡がるような構造となっている。各インク室113における共通流路117に連通した側と反対側の部分は、流路幅が次第に狭まっていく構造になっており、その終端部の流路プレート111bには、厚み方向に穿たれた流路孔114が設けられている。そして、この流路孔114は、最下層のノズルプレート111aに形成された微小なノズル開口115へと連通しており、このノズル開口115からインク滴が吐出されるようになっている。すなわち、各ノズル開口115ごとに、流路孔14およびインク室113が1組として配設されている。ここで、インク室113が本発明における「インク室」に対応し、ノズル開口115の先端部が本発明における「ノズル開口部」に対応し、共通流路117が本発明におけるインク供給路に対応する。
【0020】
各インク室113が形成された領域の振動プレート111c上には、図3に示したように、下電極121、圧電素子(ピエゾ素子)122および上電極123が順次積層配置されている。下電極121と上電極123との間に、図1のヘッドコントローラ14から入力されたヘッド駆動信号の電圧が印加されると、圧電素子122がたわみ、インク室113の容積が増大(膨張)したり減少(収縮)するようになっている。ここで、圧電素子122が本発明における「圧電素子」に対応する。
【0021】
本実施の形態では、記録ヘッド11には、複数のノズル開口115が千鳥状に(互い違いに)2列に配列形成されている。各列におけるノズル開口115の間隔は等間隔である。一方の列の各ノズル開口115に対応するインク室113と、他方の列の各ノズル開口115に対応するインク室113とは、ノズル開口115の配列に関して互いに反対側に設けられ、千鳥状の配列をなしている。なお、ノズル開口115は、上記のように千鳥状に2列に配列するのではなく、例えば、一直線上にのみ等間隔で配列するようにしてもよく、また、その他の配列としてもよい。
【0022】
共通流路117は、図1に示したインクカートリッジ12に連通している。このインクカートリッジ12は、共通流路117を経て各インク室113にインクを常時一定速度で供給するようになっている。このインクの供給は、例えば毛細管現象を利用して行うことができるが、そのほか、インクカートリッジ12に所定の加圧機構を設けて加圧することで行うようにしてもよい。記録ヘッド11は、図示しないキャリッジ駆動モータおよびこれに付随するキャリッジ機構によって記録用紙2の紙送り方向と直交する方向に往復移動しながらインク滴を吐出することにより、記録用紙2に画像を記録するようになっている。
【0023】
図4は図1におけるヘッドコントローラ14の回路構成を表すものである。この図に示したように、ヘッドコントローラ14は、マイクロプロセッサ等から構成されてヘッドコントローラ14全体を制御する主制御部141と、主制御部141が実行するプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)142と、RAM(Random Access Memory)等からなり、主制御部141による所定の演算や一時的なデータ記憶等に用いられるワークメモリ143と、不揮発性メモリからなる駆動電圧波形記憶部144と、タイマ機能を有するカウンタ145と、駆動電圧波形記憶部144から読み出されたディジタルデータをアナログに変換するためのディジタルアナログ(D/A)コンバータ146と、D/Aコンバータ146の出力を増幅してヘッド駆動信号として出力するアンプ147とを備えている。
【0024】
駆動電圧波形記憶部144は、記録ヘッド11を駆動するヘッド駆動信号の電圧波形を示すデータ(以下、波形データという。)を記憶するためのものである。この波形データは、各画素ドットを形成するためのインク滴のサイズに対応した様々な形の駆動電圧波形を含むものであり、より具体的には、図2における下電極121と上電極123との間に印加されて圧電素子122を駆動する電圧の波形(後述する図5(a)におけるA〜Eの波形)をディジタル化したものである。なお、図4では、ヘッドコントローラ14から出力されるヘッド駆動信号を1つだけ図示しているが、実際には、図2におけるノズル開口115の数(すなわち、圧電素子122の数)に対応した数のヘッド駆動信号が並列に出力されるようになっている。
【0025】
カウンタ145は、本プリンタの動作タイミングの基準クロックとしてシステムコントローラ16から入力される吐出タイミングクロック(図示せず)によってリセットされると共に、このリセット時点からカウントアップを開始して、上記した波形データによって定まる所定の時間の経過後に主制御部141にタイムアップ信号を出力するようになっている。このタイムアップ信号は、後述するように、第1行程の開始トリガとなるものである。
【0026】
次に、以上のような構成のインクジェットプリンタの動作を説明する。
【0027】
まず、図5を参照して、記録ヘッド11の基本的な動作を説明する。ここで、図5(a)は記録ヘッド11の下電極121,上電極123間に印加される駆動電圧波形の一例を表し、図5(b)はこの駆動電圧波形の主な時点A〜Fにおけるインク室113の状態を表し、図5(c)はA〜Fの各時点におけるノズル開口115の状態を表すものである。なお、図5(c)では、説明の便宜上、ノズル開口115を上向きに描いている。
【0028】
ここで、記録ヘッド11の3つの動作行程の定義を行う。図5(a)において、まず、駆動電圧を第1の電圧V1から電圧0に変化させる行程(AからBまで)を第1行程とし、これに要する時間をt1とする。また、電圧0を保持して待つ行程(BからCまで)を第2行程とし、これに要する時間をt2とする。さらに、電圧0から第2の電圧V2に変化させる行程(CからDまで)を第3行程とし、これに要する時間をt3とする。なお、以下の説明では、第1の電圧V1を引き込み電圧といい、第2の電圧V2を吐出電圧という。なお、本実施の形態では、第3行程の所要時間t3および吐出電圧V2を一定にしておくものとする。
【0029】
この記録ヘッド11は、一定の周波数(例えば1〜10kHz程度)で駆動されるようになっており、この駆動周波数に対応してインク滴の吐出タイミング周期T(すなわち、吐出タイミングクロックの周期)が定まる。第3行程の開始時点である時点Cおよび時点G等は、上記した吐出タイミングクロックに同期しており、これらの各吐出タイミングクロックに先立ってそれぞれ第1および第2行程が行われるようになっている。
【0030】
まず時点Aおよびそれ以前においては、図5(b)の状態PA のように、圧電素子122への電圧V1の印加により振動プレート112cは内側にわずかにたわんだ状態で静止し、インク室113は収縮状態となっている。時点Aにおいて、ノズル開口115内におけるメニスカス(インク先端部)の位置は、図5(c)の状態MA に示したように、ノズル開口115の端部(以下、開口端という。)と同位置となっているものとする。
【0031】
次に、時点Aの電圧V1から時点Bの電圧0へと駆動電圧を減少させる第1行程を行うと、圧電素子122への印加電圧が0になるので振動プレート112cのたわみがなくなり、インク室113は膨張する(図5(b)の状態PB )。このため、ノズル開口115内におけるメニスカスはインク室113の方向に引き込まれ、時点Bでは、例えば図5(c)のMB の状態にまで後退する(すなわち、開口端から遠ざかる)。
【0032】
ここで、後述するように、時点Aと時点Bとの電位差V1である引き込み電圧V1の大きさを変更することで第1行程におけるメニスカスの引き込み量を変えることができるので、間接的に、次の第2行程の終了時点、すなわち第3行程の開始時点におけるメニスカス位置を調整することが可能である。このメニスカス位置、すなわち開口端からメニスカスまでの距離は、第3行程において吐出されるインク滴のサイズに大きく影響するので、これを調整することでインク滴のサイズを制御することができる。すなわち、この第1行程におけるメニスカスの引き込み量を変えることでインク滴のサイズを制御することが可能である。なお、第1行程に要する時間t1は、本実施の形態では、適切な値に固定するものとして説明するが、必要に応じて可変にしてもよい。
【0033】
次に、時点Bから時点Cまでの時間t2の間、駆動電圧を0に固定して振動プレート112cのたわみがない状態を維持することでインク室113の容積を一定に保つ第2行程を行う。ところが、この間もインクカートリッジ12からのインク供給は連続的に行われているので、ノズル開口115内におけるメニスカス位置は開口端に向かって変位し、時点Cでは、例えば図5(c)のMC の状態にまで前進する。
【0034】
ここで、第2の実施の形態で説明するように、第2行程の所要時間t2を変更することによりメニスカス位置の前進量を変えることができるので、これにより第3行程の開始時点におけるメニスカス位置を調整することができる。すなわち、第2行程の所要時間t2を調整することでインク滴のサイズを制御することが可能である。
【0035】
次に、時点Cの電圧0から時点Dの吐出電圧V2へと駆動電圧を急激に増大させる第3行程を行う。この時点Cは上記した吐出タイミングパルス(図示せず)と同期している。この場合、時点Dでは圧電素子122に大きな吐出電圧V2が印加されるので、振動プレート112cは図5(b)の状態PD に示したように内側に大きくたわみ、インク室113は急激に収縮する。このため、図5(c)の状態MD に示したように、ノズル開口115内のメニスカスは開口端に向かって一気に押され、ここからインク滴として吐出される。吐出されたインク滴は空気中を飛翔し、記録用紙2(図1)上に着弾する。
【0036】
その後、駆動電圧を再びV1まで減少させて振動プレート112cを僅かに内側にたわませて初期状態にし(図5(b)の状態PE )、この状態を次の吐出サイクルの第1行程開始時点Fまで維持する。駆動電圧を再びV1に減少させた直後の時点Eにおいては、図5(c)の状態ME に示したように、吐出されたインク滴量にほぼ対応する分だけメニスカス位置が後退した状態となるが、その後も行われるインクの充填(リフィル)により、次の吐出サイクルの第1行程開始時点Fのメニスカス位置は、図5(c)の状態MF に示したように、開口端と同じ位置にまで回復する。このときの状態は、時点Aにおける状態MA と同じものである。
【0037】
このようにして1サイクルの吐出動作が終了する。以下、このようなサイクル動作を各ノズル開口115ごとに並行してそれぞれ繰り返し行うことで、記録用紙2(図1)への画像記録が連続的に行われる。
【0038】
次に、図6を参照して、図1のインクジェットプリンタ1の全体動作を説明する。ここで、図6はヘッドコントローラ14(図1)における1吐出サイクルの要部の動作を表すものである。なお、ここでは、直前の吐出サイクルにおいてヘッドコントローラ14のカウンタ145(図4)が既にリセットされているものとして説明する。また、図6のステップS106でヘッド駆動信号を出力する以前においては、前回の吐出サイクルの吐出終了時点I(図5)における電圧V1がそのまま保持されているものとする。
【0039】
図1において、図示しないパーソナルコンピュータ等の情報処理装置から印刷データがインクジェットプリンタ1に入力されると、画像処理部15は、この入力データに対して所定の画像処理(例えば圧縮されたデータの伸長等)を行ったのち、これを記録データとしてヘッドコントローラ14に送出する。
【0040】
ヘッドコントローラ14の主制御部141(図4)は、記録データが入力されると(図6ステップS101;Y)、このデータを基に、ここで対象としている1つのドットを形成するためのインク滴サイズを判定(選択)する(ステップS102)。例えば、高い濃度を表現するにはインク滴サイズを大きくし、低い濃度を表現する場合や高解像度表現を行う場合にはインク滴サイズを小さくするように判定する。また、自然画像や濃度勾配をもった画像等を表現する場合には、必要に応じて、隣接するドット間でインク滴サイズを異ならせるように判定する。
【0041】
次に、主制御部141は、判定したインク滴サイズに応じた駆動電圧波形の波形データを駆動電圧波形記憶部144から読み出す(ステップS103)。この駆動電圧波形記憶部144には、図4で説明したように、インク滴サイズに応じた様々な形の波形データが記憶されている。本実施の形態では、例えば上記したように各ドットごとにインク滴サイズを変える場合には、各ドットについて、判定されたインク滴サイズに対応する引き込み電圧V1をもった波形データを読み出す。また、インク滴サイズを一定に制御する場合には、予め決められた1種類の波形データのみをすべてのドットについて繰り返し読み出す。
【0042】
次に、主制御部141は、読み出した波形データを基に、前回のサイクルにおける第3行程の開始時点H(すなわち、カウンタ145がリセットされてカウントアップが開始された時点である吐出時点)から現サイクルにおける引き込み開始時点C(第1行程開始時点)までの時間τを求める(ステップS104)。この時間τは、図5から明らかなように、吐出の間隔(吐出タイミングクロックの周期)Tから第1行程および第2行程の所要時間の合計(t1+t2)を差し引くことで求められる。以上述べたステップS101〜S104の処理は、図5の時点I以降、時点A以前の短時間内に行われる。なお、今回読み出した波形データにおける電圧V1(すなわち、時点Aにおける電圧)が、前回の吐出サイクルにおける時点Iでの電圧と異なるときは、読み出し直後のできるだけ早い時点で、圧電素子122に印加している電圧V1の値を今回読み出した新たな値に変更し、これを保持する。
【0043】
こののち、主制御部141は、ステップS104で求めた時間τの経過を待つ(ステップS105)。そして、時間τが経過し、時点Aにおいてカウンタ145からタイムアップ信号が入力されると(ステップS105;Y)、主制御部141は読み出した波形データの出力を開始する(ステップS106)。この波形データは、D/Aコンバータ146でアナログ信号に変換されたのちアンプ147で増幅されて、例えば図5(a)のA〜Eに示したような波形のヘッド駆動信号として記録ヘッド11に供給される。記録ヘッド11では、このヘッド駆動信号の電圧波形に基づいて、図5で説明したような3つの行程が行われ、これにより、波形データによって指定された通りのサイズのインク滴が吐出される。そして、さらに、時点E以後の期間で次の吐出サイクルの準備、すなわち、入力データに基づくインク滴サイズの判定や波形データの読み出し等の処理(ステップS101〜S104)を行う。以後、このような吐出動作と吐出準備処理とを繰り返す。
【0044】
さて、ステップS106においてヘッド駆動信号の出力が開始したのちは、第3行程の開始時点Cで吐出タイミングクロックが入力されるので(ステップS107;Y)、ここでカウンタ145はリセットされ、さらに次の吐出サイクルのためのカウントアップを開始する(ステップS108)。そして、図5(a)の時点Dにおいて第3行程が終了し(ステップS109)、さらに時点Eにおいて駆動電圧がV1に戻されたのち、次の吐出サイクルの開始時点Fが到来するまでの間、電圧V1をそのままあるいは上記のように変更して保持する。この間にインク室113にはインクが充填(リフィル)されて、次の吐出の準備が行われる。これで、1吐出サイクルを終了する。
【0045】
図7はメニスカスの引き込み電圧V1とメニスカスの前進所要時間との関係の一実験例の結果を表すものである。ここで、メニスカスの前進所要時間とは、引き込み電圧によってノズル開口115内でインク室113の方向に引き込まれたメニスカスが開口端方向に前進してノズル開口115の開口端に達するまでの時間をいう。この図で、横軸は引き込み電圧V1を表し、単位はボルトである。縦軸は前進所要時間を表し、単位はマイクロ秒(μsec)である。なお、この実験結果は、引き込みに要する時間、すなわち図5における第1行程の所要時間t1に対応する時間を14μsecとして行った場合のものである。
【0046】
この図から明らかなように、前進所要時間の増分は引き込み電圧V1に比例して増加している。インクの供給速度は一定と考えることができるので、図7の結果から、引き込み電圧V1に応じて引き込み直後のメニスカス位置が定まることが判る。このことは、引き込み電圧によって吐出時(第3行程開始時点)におけるメニスカス位置を調整し得ることを意味する。この点を、さらに図8を用いて説明する。
【0047】
図8は第2行程の所要時間t2を一定にしつつ第1行程の引き込み電圧V1を変化させた場合におけるメニスカス位置の変化を表すものである。この図の(a)はヘッド駆動信号の電圧波形を表し、横軸は時間、縦軸は電圧を表す。また、(b)はメニスカス位置の変化の様子を表し、横軸は時間、縦軸はメニスカス位置(開口端からメニスカスまでの距離)を表す。ここで、実線で示したメニスカス位置の軌跡31は、引き込み電圧をより小さく(V1=V11)した場合の電圧波形33に対応し、破線で示したメニスカス位置の軌跡32は、引き込み電圧をより大きく(V1=V12)した場合の電圧波形34に対応する。なお、ここでは、上記したように第3行程における所要時間t3および吐出電圧V2の大きさは一定であるとして説明する。さらに、第1行程の所要時間t1もまた一定として説明するが、この値は必要に応じて可変にしてもよい。
【0048】
この図から明らかなように、引き込み電圧が大きいと、メニスカスは深く引き込まれる。一方、インクの供給速度は同じなので、メニスカスの前進速度(図8(b)で、メニスカス位置が開口端に向かって前進するときの軌跡31,32の傾きの大きさ)は等しい。したがって、第2行程の所要時間t2が等しいという条件の下では、第3行程の開始時点C(すなわち吐出開始時点)におけるメニスカス位置を比較すると、引き込み量が小さい場合の位置x1よりも引き込み量が大きい場合の位置x2の方が深くなる。すなわち、メニスカスを深く引き込むことによって、メニスカスがより深い位置にある状態で吐出が行われることになる。ここで、吐出時におけるメニスカス位置が深いほどインク滴サイズは小さくなることが判っているから、結局、メニスカスを深く引き込むことでインク滴サイズを小さくすることができる。また、引き込み電圧V1を種々に変更することにより、インク滴サイズを種々に変化させることが可能である。
【0049】
このように、本実施の形態では、引き込み電圧V1によってメニスカスを引き込む第1行程と、駆動電圧を0に保持した状態でインクを供給してメニスカス位置を所望の位置に調整する第2行程と、メニスカス位置が所望の位置に来たときに吐出電圧V2を印加してインク滴を吐出する第3行程の3行程によってインク吐出動作を行うに際し、第1行程における引き込み電圧V1を変化させることにより、各記録ドットごとにインク滴サイズを変化させることが可能である。
【0050】
以上の説明では、第3行程における所要時間t3(すなわち、インク室113の収縮速度)および吐出電圧V2の大きさ(すなわち、インク室113の収縮量)は一定としたが、これらのパラメータをも変化させるようにしてもよい。一般に、インク滴サイズは、第3行程における吐出電圧V2の大きさによっても変化し、この吐出電圧V2を小さくするほど、インク滴サイズは小さくなる。したがって、引き込み電圧V1の制御と併せてこのパラメータ(V2)の制御をも行うようにすれば、より多様な制御が可能となり、インク滴サイズの範囲を拡大することも可能となる。
【0051】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の他の実施の形態を説明する。
【0052】
本実施の形態は、第1行程の引き込み電圧V1を一定にしつつ第2行程の所要時間t2の長さを変化させることで第3行程開始時のメニスカス位置を調整するものである。ここで、第3行程開始時点(すなわち、インク滴の吐出開始時点)Cの位置は、上記した吐出タイミングクロックに同期して固定されているので、第2行程の所要時間t2の長さを変化させるためには、第1行程の開始時点Aの位置を変更する必要がある。なお、本実施の形態では、予め図4の駆動電圧波形記憶部144に、各インク滴のサイズに応じてそれぞれ異なる長さの第2行程所要時間t2をもつ複数種類の波形データを格納しておき、これを読み出して利用するようにすればよい。その他の構成は上記第1の実施の形態の場合と同様である。
【0053】
図9は第1行程の引き込み電圧V1を一定にしつつ第2行程の所要時間t2の長さを変化させた場合におけるメニスカス位置の変化を表すものである。この図の(a)はヘッド駆動信号の電圧波形を表し、横軸は時間、縦軸は電圧を表す。また、(b)はメニスカス位置の変化の様子を表し、横軸は時間、縦軸はメニスカス位置(開口端からメニスカスまでの距離)を表す。ここで、実線で示したメニスカス位置の軌跡41は、第2行程の所要時間をより長く(t2=t21)した場合の電圧波形43に対応し、破線で示したメニスカス位置の軌跡42は、第2行程の所要時間をより短く(t2=t22)した場合の電圧波形44に対応する。なお、本実施の形態においても、第3行程における所要時間t3および吐出電圧V2の大きさは一定であるとして説明する。さらに、第1行程の所要時間t1もまた一定として説明するが、この値は必要に応じて可変にしてもよい。
【0054】
この図から明らかなように、第2行程の所要時間t2が短いと、引き込まれたメニスカスが吐出前に開口端の方向に前進できる時間は小さい。一方、インクの供給速度は同じなので、メニスカスの前進速度(図9(b)で、メニスカス位置が開口端に向かって前進するときの軌跡41,42の傾きの大きさ)は等しい。したがって、メニスカスの引き込み量が等しいという条件の下では、第3行程の開始時点C(すなわち吐出開始時点)におけるメニスカス位置を比較すると、第2行程の所要時間t2が長い場合の位置x1よりも、第2行程の所要時間t2が短い場合の位置x2′の方が深くなる。すなわち、第2行程の所要時間t2を短くすることによって、メニスカスがより深い位置にある状態で吐出が行われることになる。したがって、第2行程の所要時間t2を短くすることで、インク滴サイズを小さくすることができる。また、第2行程の所要時間t2を種々に変更することにより、インク滴サイズを種々に変化させることが可能である。
【0055】
図10および図11は本実施の形態に係る一実験例を説明するためのものである。ここで、図10は、この実験で用いた駆動電圧波形▲1▼〜▲3▼を表し、図11は、図10の駆動電圧波形▲1▼〜▲3▼のそれぞれに対応した吐出時のメニスカス位置と、得られたインク滴径とを表す。この例では、第1行程における引き込み電圧V1を20V、第1行程の所要時間を7μsec、第2行程における吐出電圧V2を20Vに固定しておき、第2行程の所要時間t2を▲1▼32μsec、▲2▼16μsec、▲3▼4μsecの3つの場合に設定した場合の結果を表す。
【0056】
これらの図から明らかなように、第2行程の所要時間t2を▲1▼32μsec、▲2▼16μsec、▲3▼4μsecとしたときの吐出時のメニスカス位置は図11にそれぞれ図示したようであり、これにより得られたインク滴径は、それぞれ、40.0μm、34.4μm、22.4μmであった。このことから、第2行程の所要時間t2を変化させることによりインク滴サイズを自在に制御することができることが判る。
【0057】
このように、本実施の形態では、引き込み電圧V1によってメニスカスを引き込む第1行程と、駆動電圧を0に保持した状態でインクを供給してメニスカス位置を所望の位置に調整する第2行程と、メニスカス位置が所望の位置に来たときに吐出電圧V2を印加してインク滴を吐出する第3行程の3行程によってインク吐出動作を行うに際し、第2行程の所要時間t2を変化させることにより、各記録ドットごとにインク滴サイズを制御することが可能である。
【0058】
また、上述したように、インク滴サイズは、第3行程における所要時間t3(インク室113の収縮速度)や吐出電圧V2の大きさ(インク室113の収縮量)によっても変化するので、第2行程の所要時間t2の制御と併せてこれらのパラメータ(t3,V2)の制御をも行うようにすれば、より多様な制御が可能となり、インク滴サイズの範囲を拡大することも可能となる。
【0059】
[第3の実施の形態]
次に、本発明のさらに他の実施の形態を説明する。
【0060】
本実施の形態は、第1行程のメニスカスの引き込み量および第2行程の所要時間t2の双方を変化させることで第3行程開始時点のメニスカス位置を調整するものである。ここで、第3行程開始時点(インク滴の吐出時点)Cの位置は、上記した吐出タイミングクロックに同期して固定されているので、第2行程の所要時間t2の長さを変化させるためには、第1行程の開始時点Aの位置を変更する必要がある。したがって、本実施の形態では、第1行程の引き込み電圧V1の大きさと第1行程の開始時点Aの位置とを変化させてメニスカス位置を調整する。なお、本実施の形態では、予め図4の駆動電圧波形記憶部144に、各インク滴のサイズに応じてそれぞれ異なる引き込み電圧V1および第2行程所要時間t2を組み合わせた複数種類の波形データを格納しておき、これを読み出して利用するようにすればよい。その他の構成は上記第1の実施の形態の場合と同様である。
【0061】
図12は第1行程のメニスカスの引き込み量および第2行程の所要時間t2の双方を変化させた場合におけるメニスカス位置の変化を表すものである。この図の(a)はヘッド駆動信号の電圧波形を表し、横軸は時間、縦軸は電圧を表す。また、(b)はメニスカス位置の変化の様子を表し、横軸は時間、縦軸はメニスカス位置(開口端からメニスカスまでの距離)を表す。ここで、実線で示したメニスカス位置の軌跡51は、第1行程の引き込み電圧をより小さく(V1=V11)すると共に第2行程の所要時間をより長く(t2=t21)した場合の電圧波形53に対応し、破線で示したメニスカス位置の軌跡52は、第1行程の引き込み電圧をより大きく(V1=V12)すると共に第2行程の所要時間をより短く(t2=t22)した場合の電圧波形54に対応する。なお、本実施の形態においても、第3行程における所要時間t3および吐出電圧V2の大きさは一定であるとして説明する。さらに、第1行程の所要時間t1もまた一定として説明するが、この値は必要に応じて可変にしてもよい。
【0062】
この図から明らかなように、引き込み電圧が大きいと、メニスカスは深く引き込まれ、また、第2行程の所要時間t2が短いと、引き込まれたメニスカスが吐出前に開口端の方向に前進できる時間は小さい。一方、インクの供給速度は同じなので、メニスカスの前進速度(図12(b)で、メニスカス位置が開口端に向かって前進するときの軌跡41,42の傾きの大きさ)は等しい。したがって、第3行程の開始時点C(すなわち吐出開始時点)におけるメニスカス位置を比較すると、第1行程の引き込み電圧V1が小さくかつ第2行程の所要時間t2が長い場合の位置x1よりも、第1行程の引き込み電圧V1が大きくかつ第2行程の所要時間t2が短い場合の位置x2″の方が深くなる。すなわち、第1行程の引き込み量を大きく第2行程の所要時間t2を短くすることによって、メニスカスがより深い位置にある状態で吐出が行われることになる。したがって、第1行程の引き込み量を大きくすると共に第2行程の所要時間t2を短くすることで、インク滴サイズを小さくすることができる。
【0063】
また、第1行程の引き込み電圧V1と第2行程の所要時間t2とを種々に変更することにより、インク滴サイズを種々に変化させることが可能である。例えば、第1行程の引き込み電圧V1を大きくすると共に第2行程の所要時間t2を長くしたり、あるいは逆に、第1行程の引き込み電圧V1を小さくすると共に第2行程の所要時間t2を短くするような制御も可能である。これにより、多様な制御が可能となる。
【0064】
また、上述したように、インク滴サイズは、第3行程における所要時間t3(インク室113の収縮速度)や吐出電圧V2の大きさ(インク室113の収縮量)によっても変化するので、第1行程の引き込み電圧V1および第2行程の所要時間t2の制御と併せてこれらのパラメータ(t3,V2)の制御をも行うようにすれば、さらに多様な制御が可能となり、インク滴サイズの範囲を拡大することも可能となる。
【0065】
以上、いくつかの実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されず、その均等の範囲内で種々変更可能である。例えば、上記の各実施の形態では、第2行程の保持電圧を0Vにすると共に第1行程の引き込み電圧V1および第3行程の吐出電圧V3を同極性の電圧としたが、本発明はこれに限られることはなく、例えば、引き込み電圧V1を0Vにすると共に第2行程の保持電圧と第3行程の吐出電圧V2とを逆極性の電圧にすることも可能である。
【0066】
また、上記の実施の形態では、ヘッドコントローラ14の主制御部141が駆動電圧波形記憶部144から波形データを読み出し、これを基に、指定されたインク滴サイズを得るためのヘッド駆動信号を作成して出力するというソフトウェア的手法によって制御を行うこととしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ロジック回路を用いてヘッド駆動信号を作成するというハードウェア的手法によって制御を行うようにしてもよい。
【0067】
また、上記の各実施の形態では、インク室113へのインク供給を常時一定速度で行うこととしたが、例えば、第2行程の期間、および第3行程終了後のリフィル期間の2つの期間においてのみインク供給を行うようにしてもよい。また、、例えばインクカートリッジ12に加圧機構を設けて圧力制御を行うことにより、第2行程におけるインク供給速度と、第3行程終了後のリフィル期間におけるインク供給速度とを異ならせるようにしてもよい。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1ないし請求項のいずれかに記載のインクジェットプリンタまたは請求項ないし請求項のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法によれば、第1行程におけるインク先端部の引き込み量を一定にしつつ第2行程の所要時間を変化させることにより、第3行程の開始時点におけるインク先端部の位置を調整するようにしたので、吐出されるインク滴のサイズを任意に制御することができる。このため、例えば、ドットごとにインク滴のサイズを変化させるような調整も容易となるので、中間階調の画像表現を適切かつ容易に行うことが可能となり、また、例えば、インク滴のサイズを小さく制御することが容易になるので、高解像度の画像表現を容易に行うことが可能となる。したがって、記録画像の品質を向上することができるという効果がある。
【0069】
特に、請求項2記載のインクジェットプリンタまたは請求項記載のインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法によれば、上記制御に加えて第3行程におけるインク室の収縮量の制御をも行うことによりインク滴のサイズを制御するようにしたので、さらに多彩なインク滴サイズ制御が可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るインクジェットプリンタの全体構成を表すブロック図である。
【図2】記録ヘッドの一構造例を表す斜視断面図である。
【図3】記録ヘッドの一構造例を表す断面図である。
【図4】ヘッドコントローラの一構成例を表すブロック図である。
【図5】記録ヘッドの動作の一例を表す説明図である。
【図6】ヘッドコントローラの主制御部の動作を説明するための流れ図である。
【図7】メニスカスの引き込み電圧とメニスカスの前進所要時間との関係を調べるための一実験例の結果を表す図である。
【図8】第1行程の引き込み電圧を変化させた場合におけるメニスカスの挙動の変化を表す図である。
【図9】第2行程の所要時間の長さを変化させた場合におけるメニスカスの挙動の変化を表す図である。
【図10】図9に示した実施の形態に係る一実験例において用いた駆動電圧波形を表す図である。
【図11】図9に示した実施の形態に係る一実験例において得られた結果を表す図である。
【図12】第1行程のメニスカスの引き込み電圧および第2行程の所要時間の長さの双方を変化させた場合におけるメニスカスの挙動の変化を表す図である。
【符号の説明】
1…インクジェットプリンタ、2…記録用紙、11…記録ヘッド、12…インクカートリッジ、14…ヘッドコントローラ、111c…振動プレート、113…インク室、115…ノズル開口、117…共通流路、122…圧電素子、141…主制御部、144…駆動電圧波形記憶部、145…カウンタ、V1…引き込み電圧、V2…吐出電圧、t1…第1行程の所要時間、t2…第2行程の所要時間、t3…第3行程の所要時間

Claims (8)

  1. インク滴を吐出するためのノズル開口部と、
    前記ノズル開口部に連通するインク室と、
    前記インク室にインクを供給するインク供給路と、
    印加電圧に応じて前記インク室を膨張または収縮させる圧電素子と、
    前記圧電素子によって前記インク室を膨張させることにより前記ノズル開口部を介して外気に接するインク先端部をインク室の方向に引き込む第1行程と、前記インク供給路から前記インク室にインクを供給することにより前記インク先端部を前記ノズル開口部の方向に前進させる第2行程と、前記圧電素子によって前記インク室を収縮させることにより前記ノズル開口部からインク滴を吐出させる第3行程とを制御する行程制御手段と
    を備えたインクジェットプリンタであって、
    前記行程制御手段は、前記第1行程におけるインク先端部の引き込み量を一定にしつつ前記第2行程の所要時間を変化させて前記第3行程の開始時点における前記インク先端部の位置を制御することにより、前記第3行程において吐出されるインク滴の大きさを制御する
    ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
  2. 前記行程制御手段は、さらに、前記第3行程における前記インク室の収縮量の制御をも行うことにより、インク滴の大きさを制御する
    ことを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタ。
  3. 前記行程制御手段は、前記第2行程の所要時間を一定にしつつ前記第1行程におけるインク先端部の引き込み量を変化させることによって、前記第3行程の開始時点における前記インク先端部の位置を制御する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のインクジェットプリンタ。
  4. 前記行程制御手段は、前記第1行程におけるインク先端部の引き込み量および前記第2行程の所要時間を変化させることによって、前記第3行程の開始時点における前記インク先端部の位置を制御する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のインクジェットプリンタ。
  5. インク滴を吐出するためのノズル開口部と、前記ノズル開口部に連通するインク室と、前記インク室にインクを供給するインク供給路と、印可電圧に応じて前記インク室を膨張および収縮させる圧電素子とを備えたインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法であって、
    前記圧電素子によって前記インク室を膨張させることにより前記ノズル開口部を介して外気に接するインク先端部をインク室の方向に引き込む第1行程と、
    前記インク供給路から前記インク室にインクを供給することにより前記インク先端部を前記ノズル開口部の方向に移動させる第2行程と、
    前記圧電素子によって前記インク室を収縮させることにより前記ノズル開口からインク滴を吐出させる第3行程と
    を含み、
    前記第1行程におけるインク先端部の引き込み量を一定にしつつ前記第2行程の所要時間を変化させて前記第3行程の開始時点における前記インク先端部の位置を制御することにより、前記第3行程において吐出されるインク滴の大きさを制御する
    ことを特徴とするインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法。
  6. さらに、前記第3行程における前記インク室の収縮量の制御をも行うことにより、インク滴の大きさを制御する
    ことを特徴とする請求項記載のインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法。
  7. 前記第2行程の所要時間を一定にしつつ前記第1行程におけるインク先端部の引き込み量を変化させることによって、前記第3行程の開始時点における前記インク先端部の位置を制御する
    ことを特徴とする請求項または請求項記載のインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法。
  8. 前記第1行程におけるインク先端部の引き込み量および前記第2行程の所要時間を変化させることによって、前記第3行程の開始時点における前記インク先端部の位置を制御する
    ことを特徴とする請求項または請求項記載のインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法。
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