JPH1170656A - インクジェットプリンタおよびインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法 - Google Patents

インクジェットプリンタおよびインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法

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JPH1170656A
JPH1170656A JP18587698A JP18587698A JPH1170656A JP H1170656 A JPH1170656 A JP H1170656A JP 18587698 A JP18587698 A JP 18587698A JP 18587698 A JP18587698 A JP 18587698A JP H1170656 A JPH1170656 A JP H1170656A
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徹 谷川
Yuichiro Ikemoto
雄一郎 池本
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 吐出されるインク滴サイズを適切に制御でき
るインクジェットプリンタおよびインクジェットプリン
タ用記録ヘッドの駆動方法を提供する。 【解決手段】 インク滴を吐出するノズル開口と、ノズ
ル開口に連通するインク室と、インク室にインクを供給
するインク供給路と、印加電圧に応じてインク室を膨張
・収縮させる圧電素子とを備える。インク室を膨張させ
てノズル開口内のメニスカスをインク室方向に引き込む
第一行程(A〜B)と、インク室にインクを充填してメ
ニスカスをノズル開口の方向に移動させる第二行程(B
〜C)と、インク室を収縮させてインク滴を吐出させる
第三行程(C〜D)とを含む一連の吐出行程を行うに際
し、第一行程のメニスカスの引き込み量または第二行程
の所要時間の少なくとも一方を変化させて第三行程の開
始時点のメニスカス位置を制御することにより、第三行
程で吐出するインク滴の大きさを制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はノズル開口部からイ
ンク滴を吐出して記録用紙に記録を行うインクジェット
プリンタおよびインクジェットプリンタ用記録ヘッドの
駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インク室に連通したノズル開口部
からインク滴を吐出して記録用紙に記録を行うインクジ
ェットプリンタが普及している。この種のプリンタにお
いては、高解像度化のために安定的にインク滴サイズを
小さくする方法や、中間階調の画像表現を行うためにド
ット間でインク滴サイズを変化させる方法等が検討され
ている。
【0003】インク滴サイズを小さくするための方法の
一つとして、インク室を膨張させてノズル内のメニスカ
スと呼ばれるインク先端部の位置をインク室の方向に一
旦引き込み、このメニスカスが元の位置に戻る前にイン
ク室を収縮させてノズル開口部よりインク滴を吐出する
という方法が提案されている。
【0004】例えば、特開昭55−17589号公報で
は、初期状態からインク室の内容積を増加する方向に変
位駆動してから初期状態に復元する行程によってインク
を噴射する方法が提案されている。そして、この公報に
は、吸込行程における変位量(インク室の内容積の増加
変位量)を変えることで粒径(液滴径)を変えることが
できる旨が記載されている。
【0005】また、例えば特開平2−6137号公報で
は、インク室内の圧力を一度減少させたのち初期状態に
復元させる際の印加電圧を変化させてインク滴サイズを
制御する方法が提案されている。
【0006】また、例えば、特開昭59−143652
公報では、インク滴の吐出のための主パルスの前に補助
パルスを印加してノズル内のメニスカス位置を変化させ
ることによりインク滴サイズを制御する方法が提案され
ている。
【0007】また、例えば特開平5−16359号公報
では、補助パルスを印加したのち、インク室内の残留圧
力波の周期に合わせて主パルスを印加することでインク
滴サイズを制御する方法が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た特開昭55−17589号公報には、吸込行程におけ
る変位量を変えることで液滴径を変えることができる旨
が示唆されているにすぎず、具体的にインク滴サイズを
制御する駆動方法は明らかでなく、インク滴の適切な制
御は困難であると考えられる。
【0009】また、特開平2−6137号公報に記載の
方法は、インク室内の圧力を一度減少させたのち初期状
態に復元させる際の印加電圧を変化させることでインク
滴サイズを制御するものであり、インクの充填を考慮し
たメニスカスの引き込み位置の制御については何ら示唆
がなく、実際上、正確なインク滴サイズの制御は困難で
ある。
【0010】特開昭59−143652公報および特開
平5−16359号公報に記載の方法は、いずれも補助
パルスによってノズル内のメニスカス位置を調整した後
に主パルスを印加するものであり、補助パルスが必要で
ある。この場合、補助パルスのパルス幅とその波高値、
あるいは補助パルスと主パルスとの時間間隔によってメ
ニスカス位置は変化するので、これらの複数のパラメー
タを調整する必要があった。しかも、前者の公報の記載
では、補助パルスとインク滴サイズとの位置との関係が
不明確であり、また、後者の公報には、インク位置の変
動周期とインク滴サイズとの関係が記述されているもの
の、ノズル内に引き込まれたメニスカス位置とインク滴
サイズとの関係については具体的な記述がなく、実際
上、これらの方法によって適切にインク滴サイズを制御
することは困難であった。
【0011】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、吐出されるインク滴のサイズを適切
に制御することができるインクジェットプリンタおよび
インクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法を提供
することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係るインクジェ
ットプリンタは、インク滴を吐出するためのノズル開口
部と、ノズル開口部に連通するインク室と、インク室に
インクを供給するインク供給路と、印加電圧に応じてイ
ンク室を膨張または収縮させる圧電素子と、圧電素子に
よってインク室を膨張させることによりノズル開口部を
介して外気に接するインク先端部をインク室の方向に引
き込む第1行程と、インク供給路からインク室にインク
を供給することによりインク先端部をノズル開口部の方
向に前進させる第2行程と、圧電素子によってインク室
を収縮させることにより前記ノズル開口部からインク滴
を吐出させる第3行程とを制御する行程制御手段とを備
えたインクジェットプリンタであって、行程制御手段
が、第1行程におけるインク先端部の引き込み量または
第2行程の所要時間の少なくとも一方を変化させて第3
行程の開始時点におけるインク先端部の位置を制御する
ことにより、第3行程において吐出されるインク滴の大
きさを制御するように構成したものである。ここで、行
程制御手段が、さらに、第3行程におけるインク室の収
縮量の制御をも行うことによりインク滴の大きさを制御
するように構成することも可能である。
【0013】本発明に係るインクジェットプリンタ用記
録ヘッドの駆動方法は、インク滴を吐出するためのノズ
ル開口部と、ノズル開口部に連通するインク室と、イン
ク室にインクを供給するインク供給路と、印可電圧に応
じてインク室を膨張または収縮させる圧電素子とを備え
たインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法であ
って、圧電素子によってインク室を膨張させることによ
りノズル開口部を介して外気に接するインク先端部をイ
ンク室の方向に引き込む第1行程と、インク供給路から
インク室にインクを供給することによりインク先端部を
ノズル開口部の方向に前進させる第2行程と、圧電素子
によってインク室を収縮させることにより前記ノズル開
口部からインク滴を吐出させる第3行程とを含み、第1
行程におけるインク先端部の引き込み量または第2行程
の所要時間の少なくとも一方を変化させて第3行程の開
始時点におけるインク先端部の位置を制御することによ
り、第3行程において吐出されるインク滴の大きさを制
御するように構成したものである。ここで、さらに、第
3行程におけるインク室の収縮量の制御をも行ってイン
ク滴の大きさを制御するように構成することも可能であ
る。
【0014】本発明に係るインクジェットプリンタまた
はインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法で
は、第1行程におけるインク先端部の引き込み量または
第2行程の所要時間の少なくとも一方を変化させること
により、第3行程の開始時点、すなわち吐出開始時点に
おけるインク先端部の位置が調整(選択)され、これに
より、インク滴の大きさが制御される。特に、第3行程
の開始時点におけるインク先端部の位置を一定にした場
合には、インク滴のサイズが一定となる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0016】[第1の実施の形態]図1は本発明の一実
施の形態に係るインクジェットプリンタの要部の概略構
成を表すものである。なお、本発明の実施の形態に係る
インクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法は本実
施の形態に係るインクジェットプリンタによって具現化
されるので、以下併せて説明する。
【0017】このインクジェットプリンタ1は、記録用
紙2に対してインク滴を吐出して記録を行う記録ヘッド
11と、この記録ヘッド11にインクを供給するインク
カートリッジ12と、記録ヘッド11の位置と記録用紙
2の紙送りとを制御するヘッド位置・紙送りコントロー
ラ13と、ヘッド駆動信号により記録ヘッド11のイン
ク滴吐出動作を制御するヘッドコントローラ14と、入
力される画像データに所定の画像処理を行って記録デー
タとしてヘッドコントローラ14に供給する画像処理部
15と、ヘッド位置・紙送りコントローラ13、ヘッド
コントローラ14および画像処理部15を制御するシス
テムコントローラ16とを備えている。ここで、ヘッド
コントローラ14が本発明における「行程制御手段」に
対応する。
【0018】図2は図1における記録ヘッド11の斜視
断面構造を表し、図3は図2における記録ヘッド11を
矢印Z(図2)の方向から見た断面構造を表す。これら
の図に示したように、記録ヘッド11は、順次積層され
たノズルプレート111a、流路プレート111bおよ
び振動プレート111cを備えて構成されている。これ
らの各プレートは、例えばガラスやステンレス材等で形
成され、図示しない接着剤による接着、またはガラスを
溶融して圧着する等の方法により、相互に貼り合わされ
ている。なお、これらの各プレートは、一体に形成する
ようにしてもよい。
【0019】流路プレート111bの図中上面側には、
選択的に凹部が形成されており、この凹部と振動プレー
ト111cとによって、複数のインク室113とこれら
のインク室に連通する共通流路117とを構成してい
る。共通流路117と各インク室113との連通部分は
挟路となっており、ここから各インク室113の方向に
向かうに従って流路幅が拡がるような構造となってい
る。各インク室113における共通流路117に連通し
た側と反対側の部分は、流路幅が次第に狭まっていく構
造になっており、その終端部の流路プレート111bに
は、厚み方向に穿たれた流路孔114が設けられてい
る。そして、この流路孔114は、最下層のノズルプレ
ート111aに形成された微小なノズル開口115へと
連通しており、このノズル開口115からインク滴が吐
出されるようになっている。すなわち、各ノズル開口1
15ごとに、流路孔14およびインク室113が1組と
して配設されている。ここで、インク室113が本発明
における「インク室」に対応し、ノズル開口115の先
端部が本発明における「ノズル開口部」に対応し、共通
流路117が本発明におけるインク供給路に対応する。
【0020】各インク室113が形成された領域の振動
プレート111c上には、図3に示したように、下電極
121、圧電素子(ピエゾ素子)122および上電極1
23が順次積層配置されている。下電極121と上電極
123との間に、図1のヘッドコントローラ14から入
力されたヘッド駆動信号の電圧が印加されると、圧電素
子122がたわみ、インク室113の容積が増大(膨
張)したり減少(収縮)するようになっている。ここ
で、圧電素子122が本発明における「圧電素子」に対
応する。
【0021】本実施の形態では、記録ヘッド11には、
複数のノズル開口115が千鳥状に(互い違いに)2列
に配列形成されている。各列におけるノズル開口115
の間隔は等間隔である。一方の列の各ノズル開口115
に対応するインク室113と、他方の列の各ノズル開口
115に対応するインク室113とは、ノズル開口11
5の配列に関して互いに反対側に設けられ、千鳥状の配
列をなしている。なお、ノズル開口115は、上記のよ
うに千鳥状に2列に配列するのではなく、例えば、一直
線上にのみ等間隔で配列するようにしてもよく、また、
その他の配列としてもよい。
【0022】共通流路117は、図1に示したインクカ
ートリッジ12に連通している。このインクカートリッ
ジ12は、共通流路117を経て各インク室113にイ
ンクを常時一定速度で供給するようになっている。この
インクの供給は、例えば毛細管現象を利用して行うこと
ができるが、そのほか、インクカートリッジ12に所定
の加圧機構を設けて加圧することで行うようにしてもよ
い。記録ヘッド11は、図示しないキャリッジ駆動モー
タおよびこれに付随するキャリッジ機構によって記録用
紙2の紙送り方向と直交する方向に往復移動しながらイ
ンク滴を吐出することにより、記録用紙2に画像を記録
するようになっている。
【0023】図4は図1におけるヘッドコントローラ1
4の回路構成を表すものである。この図に示したよう
に、ヘッドコントローラ14は、マイクロプロセッサ等
から構成されてヘッドコントローラ14全体を制御する
主制御部141と、主制御部141が実行するプログラ
ムが格納されたROM(Read Only Memory)142と、
RAM(Random Access Memory)等からなり、主制御部
141による所定の演算や一時的なデータ記憶等に用い
られるワークメモリ143と、不揮発性メモリからなる
駆動電圧波形記憶部144と、タイマ機能を有するカウ
ンタ145と、駆動電圧波形記憶部144から読み出さ
れたディジタルデータをアナログに変換するためのディ
ジタルアナログ(D/A)コンバータ146と、D/A
コンバータ146の出力を増幅してヘッド駆動信号とし
て出力するアンプ147とを備えている。
【0024】駆動電圧波形記憶部144は、記録ヘッド
11を駆動するヘッド駆動信号の電圧波形を示すデータ
(以下、波形データという。)を記憶するためのもので
ある。この波形データは、各画素ドットを形成するため
のインク滴のサイズに対応した様々な形の駆動電圧波形
を含むものであり、より具体的には、図2における下電
極121と上電極123との間に印加されて圧電素子1
22を駆動する電圧の波形(後述する図5(a)におけ
るA〜Eの波形)をディジタル化したものである。な
お、図4では、ヘッドコントローラ14から出力される
ヘッド駆動信号を1つだけ図示しているが、実際には、
図2におけるノズル開口115の数(すなわち、圧電素
子122の数)に対応した数のヘッド駆動信号が並列に
出力されるようになっている。
【0025】カウンタ145は、本プリンタの動作タイ
ミングの基準クロックとしてシステムコントローラ16
から入力される吐出タイミングクロック(図示せず)に
よってリセットされると共に、このリセット時点からカ
ウントアップを開始して、上記した波形データによって
定まる所定の時間の経過後に主制御部141にタイムア
ップ信号を出力するようになっている。このタイムアッ
プ信号は、後述するように、第1行程の開始トリガとな
るものである。
【0026】次に、以上のような構成のインクジェット
プリンタの動作を説明する。
【0027】まず、図5を参照して、記録ヘッド11の
基本的な動作を説明する。ここで、図5(a)は記録ヘ
ッド11の下電極121,上電極123間に印加される
駆動電圧波形の一例を表し、図5(b)はこの駆動電圧
波形の主な時点A〜Fにおけるインク室113の状態を
表し、図5(c)はA〜Fの各時点におけるノズル開口
115の状態を表すものである。なお、図5(c)で
は、説明の便宜上、ノズル開口115を上向きに描いて
いる。
【0028】ここで、記録ヘッド11の3つの動作行程
の定義を行う。図5(a)において、まず、駆動電圧を
第1の電圧V1から電圧0に変化させる行程(AからB
まで)を第1行程とし、これに要する時間をt1とす
る。また、電圧0を保持して待つ行程(BからCまで)
を第2行程とし、これに要する時間をt2とする。さら
に、電圧0から第2の電圧V2に変化させる行程(Cか
らDまで)を第3行程とし、これに要する時間をt3と
する。なお、以下の説明では、第1の電圧V1を引き込
み電圧といい、第2の電圧V2を吐出電圧という。な
お、本実施の形態では、第3行程の所要時間t3および
吐出電圧V2を一定にしておくものとする。
【0029】この記録ヘッド11は、一定の周波数(例
えば1〜10kHz程度)で駆動されるようになってお
り、この駆動周波数に対応してインク滴の吐出タイミン
グ周期T(すなわち、吐出タイミングクロックの周期)
が定まる。第3行程の開始時点である時点Cおよび時点
G等は、上記した吐出タイミングクロックに同期してお
り、これらの各吐出タイミングクロックに先立ってそれ
ぞれ第1および第2行程が行われるようになっている。
【0030】まず時点Aおよびそれ以前においては、図
5(b)の状態PA のように、圧電素子122への電圧
V1の印加により振動プレート112cは内側にわずか
にたわんだ状態で静止し、インク室113は収縮状態と
なっている。時点Aにおいて、ノズル開口115内にお
けるメニスカス(インク先端部)の位置は、図5(c)
の状態MA に示したように、ノズル開口115の端部
(以下、開口端という。)と同位置となっているものと
する。
【0031】次に、時点Aの電圧V1から時点Bの電圧
0へと駆動電圧を減少させる第1行程を行うと、圧電素
子122への印加電圧が0になるので振動プレート11
2cのたわみがなくなり、インク室113は膨張する
(図5(b)の状態PB )。このため、ノズル開口11
5内におけるメニスカスはインク室113の方向に引き
込まれ、時点Bでは、例えば図5(c)のMB の状態に
まで後退する(すなわち、開口端から遠ざかる)。
【0032】ここで、後述するように、時点Aと時点B
との電位差V1である引き込み電圧V1の大きさを変更
することで第1行程におけるメニスカスの引き込み量を
変えることができるので、間接的に、次の第2行程の終
了時点、すなわち第3行程の開始時点におけるメニスカ
ス位置を調整することが可能である。このメニスカス位
置、すなわち開口端からメニスカスまでの距離は、第3
行程において吐出されるインク滴のサイズに大きく影響
するので、これを調整することでインク滴のサイズを制
御することができる。すなわち、この第1行程における
メニスカスの引き込み量を変えることでインク滴のサイ
ズを制御することが可能である。なお、第1行程に要す
る時間t1は、本実施の形態では、適切な値に固定する
ものとして説明するが、必要に応じて可変にしてもよ
い。
【0033】次に、時点Bから時点Cまでの時間t2の
間、駆動電圧を0に固定して振動プレート112cのた
わみがない状態を維持することでインク室113の容積
を一定に保つ第2行程を行う。ところが、この間もイン
クカートリッジ12からのインク供給は連続的に行われ
ているので、ノズル開口115内におけるメニスカス位
置は開口端に向かって変位し、時点Cでは、例えば図5
(c)のMC の状態にまで前進する。
【0034】ここで、第2の実施の形態で説明するよう
に、第2行程の所要時間t2を変更することによりメニ
スカス位置の前進量を変えることができるので、これに
より第3行程の開始時点におけるメニスカス位置を調整
することができる。すなわち、第2行程の所要時間t2
を調整することでインク滴のサイズを制御することが可
能である。
【0035】次に、時点Cの電圧0から時点Dの吐出電
圧V2へと駆動電圧を急激に増大させる第3行程を行
う。この時点Cは上記した吐出タイミングパルス(図示
せず)と同期している。この場合、時点Dでは圧電素子
122に大きな吐出電圧V2が印加されるので、振動プ
レート112cは図5(b)の状態PD に示したように
内側に大きくたわみ、インク室113は急激に収縮す
る。このため、図5(c)の状態MD に示したように、
ノズル開口115内のメニスカスは開口端に向かって一
気に押され、ここからインク滴として吐出される。吐出
されたインク滴は空気中を飛翔し、記録用紙2(図1)
上に着弾する。
【0036】その後、駆動電圧を再びV1まで減少させ
て振動プレート112cを僅かに内側にたわませて初期
状態にし(図5(b)の状態PE )、この状態を次の吐
出サイクルの第1行程開始時点Fまで維持する。駆動電
圧を再びV1に減少させた直後の時点Eにおいては、図
5(c)の状態ME に示したように、吐出されたインク
滴量にほぼ対応する分だけメニスカス位置が後退した状
態となるが、その後も行われるインクの充填(リフィ
ル)により、次の吐出サイクルの第1行程開始時点Fの
メニスカス位置は、図5(c)の状態MF に示したよう
に、開口端と同じ位置にまで回復する。このときの状態
は、時点Aにおける状態MA と同じものである。
【0037】このようにして1サイクルの吐出動作が終
了する。以下、このようなサイクル動作を各ノズル開口
115ごとに並行してそれぞれ繰り返し行うことで、記
録用紙2(図1)への画像記録が連続的に行われる。
【0038】次に、図6を参照して、図1のインクジェ
ットプリンタ1の全体動作を説明する。ここで、図6は
ヘッドコントローラ14(図1)における1吐出サイク
ルの要部の動作を表すものである。なお、ここでは、直
前の吐出サイクルにおいてヘッドコントローラ14のカ
ウンタ145(図4)が既にリセットされているものと
して説明する。また、図6のステップS106でヘッド
駆動信号を出力する以前においては、前回の吐出サイク
ルの吐出終了時点I(図5)における電圧V1がそのま
ま保持されているものとする。
【0039】図1において、図示しないパーソナルコン
ピュータ等の情報処理装置から印刷データがインクジェ
ットプリンタ1に入力されると、画像処理部15は、こ
の入力データに対して所定の画像処理(例えば圧縮され
たデータの伸長等)を行ったのち、これを記録データと
してヘッドコントローラ14に送出する。
【0040】ヘッドコントローラ14の主制御部141
(図4)は、記録データが入力されると(図6ステップ
S101;Y)、このデータを基に、ここで対象として
いる1つのドットを形成するためのインク滴サイズを判
定(選択)する(ステップS102)。例えば、高い濃
度を表現するにはインク滴サイズを大きくし、低い濃度
を表現する場合や高解像度表現を行う場合にはインク滴
サイズを小さくするように判定する。また、自然画像や
濃度勾配をもった画像等を表現する場合には、必要に応
じて、隣接するドット間でインク滴サイズを異ならせる
ように判定する。
【0041】次に、主制御部141は、判定したインク
滴サイズに応じた駆動電圧波形の波形データを駆動電圧
波形記憶部144から読み出す(ステップS103)。
この駆動電圧波形記憶部144には、図4で説明したよ
うに、インク滴サイズに応じた様々な形の波形データが
記憶されている。本実施の形態では、例えば上記したよ
うに各ドットごとにインク滴サイズを変える場合には、
各ドットについて、判定されたインク滴サイズに対応す
る引き込み電圧V1をもった波形データを読み出す。ま
た、インク滴サイズを一定に制御する場合には、予め決
められた1種類の波形データのみをすべてのドットにつ
いて繰り返し読み出す。
【0042】次に、主制御部141は、読み出した波形
データを基に、前回のサイクルにおける第3行程の開始
時点H(すなわち、カウンタ145がリセットされてカ
ウントアップが開始された時点である吐出時点)から現
サイクルにおける引き込み開始時点C(第1行程開始時
点)までの時間τを求める(ステップS104)。この
時間τは、図5から明らかなように、吐出の間隔(吐出
タイミングクロックの周期)Tから第1行程および第2
行程の所要時間の合計(t1+t2)を差し引くことで
求められる。以上述べたステップS101〜S104の
処理は、図5の時点I以降、時点A以前の短時間内に行
われる。なお、今回読み出した波形データにおける電圧
V1(すなわち、時点Aにおける電圧)が、前回の吐出
サイクルにおける時点Iでの電圧と異なるときは、読み
出し直後のできるだけ早い時点で、圧電素子122に印
加している電圧V1の値を今回読み出した新たな値に変
更し、これを保持する。
【0043】こののち、主制御部141は、ステップS
104で求めた時間τの経過を待つ(ステップS10
5)。そして、時間τが経過し、時点Aにおいてカウン
タ145からタイムアップ信号が入力されると(ステッ
プS105;Y)、主制御部141は読み出した波形デ
ータの出力を開始する(ステップS106)。この波形
データは、D/Aコンバータ146でアナログ信号に変
換されたのちアンプ147で増幅されて、例えば図5
(a)のA〜Eに示したような波形のヘッド駆動信号と
して記録ヘッド11に供給される。記録ヘッド11で
は、このヘッド駆動信号の電圧波形に基づいて、図5で
説明したような3つの行程が行われ、これにより、波形
データによって指定された通りのサイズのインク滴が吐
出される。そして、さらに、時点E以後の期間で次の吐
出サイクルの準備、すなわち、入力データに基づくイン
ク滴サイズの判定や波形データの読み出し等の処理(ス
テップS101〜S104)を行う。以後、このような
吐出動作と吐出準備処理とを繰り返す。
【0044】さて、ステップS106においてヘッド駆
動信号の出力が開始したのちは、第3行程の開始時点C
で吐出タイミングクロックが入力されるので(ステップ
S107;Y)、ここでカウンタ145はリセットさ
れ、さらに次の吐出サイクルのためのカウントアップを
開始する(ステップS108)。そして、図5(a)の
時点Dにおいて第3行程が終了し(ステップS10
9)、さらに時点Eにおいて駆動電圧がV1に戻された
のち、次の吐出サイクルの開始時点Fが到来するまでの
間、電圧V1をそのままあるいは上記のように変更して
保持する。この間にインク室113にはインクが充填
(リフィル)されて、次の吐出の準備が行われる。これ
で、1吐出サイクルを終了する。
【0045】図7はメニスカスの引き込み電圧V1とメ
ニスカスの前進所要時間との関係の一実験例の結果を表
すものである。ここで、メニスカスの前進所要時間と
は、引き込み電圧によってノズル開口115内でインク
室113の方向に引き込まれたメニスカスが開口端方向
に前進してノズル開口115の開口端に達するまでの時
間をいう。この図で、横軸は引き込み電圧V1を表し、
単位はボルトである。縦軸は前進所要時間を表し、単位
はマイクロ秒(μsec)である。なお、この実験結果
は、引き込みに要する時間、すなわち図5における第1
行程の所要時間t1に対応する時間を14μsecとし
て行った場合のものである。
【0046】この図から明らかなように、前進所要時間
の増分は引き込み電圧V1に比例して増加している。イ
ンクの供給速度は一定と考えることができるので、図7
の結果から、引き込み電圧V1に応じて引き込み直後の
メニスカス位置が定まることが判る。このことは、引き
込み電圧によって吐出時(第3行程開始時点)における
メニスカス位置を調整し得ることを意味する。この点
を、さらに図8を用いて説明する。
【0047】図8は第2行程の所要時間t2を一定にし
つつ第1行程の引き込み電圧V1を変化させた場合にお
けるメニスカス位置の変化を表すものである。この図の
(a)はヘッド駆動信号の電圧波形を表し、横軸は時
間、縦軸は電圧を表す。また、(b)はメニスカス位置
の変化の様子を表し、横軸は時間、縦軸はメニスカス位
置(開口端からメニスカスまでの距離)を表す。ここ
で、実線で示したメニスカス位置の軌跡31は、引き込
み電圧をより小さく(V1=V11)した場合の電圧波
形33に対応し、破線で示したメニスカス位置の軌跡3
2は、引き込み電圧をより大きく(V1=V12)した
場合の電圧波形34に対応する。なお、ここでは、上記
したように第3行程における所要時間t3および吐出電
圧V2の大きさは一定であるとして説明する。さらに、
第1行程の所要時間t1もまた一定として説明するが、
この値は必要に応じて可変にしてもよい。
【0048】この図から明らかなように、引き込み電圧
が大きいと、メニスカスは深く引き込まれる。一方、イ
ンクの供給速度は同じなので、メニスカスの前進速度
(図8(b)で、メニスカス位置が開口端に向かって前
進するときの軌跡31,32の傾きの大きさ)は等し
い。したがって、第2行程の所要時間t2が等しいとい
う条件の下では、第3行程の開始時点C(すなわち吐出
開始時点)におけるメニスカス位置を比較すると、引き
込み量が小さい場合の位置x1よりも引き込み量が大き
い場合の位置x2の方が深くなる。すなわち、メニスカ
スを深く引き込むことによって、メニスカスがより深い
位置にある状態で吐出が行われることになる。ここで、
吐出時におけるメニスカス位置が深いほどインク滴サイ
ズは小さくなることが判っているから、結局、メニスカ
スを深く引き込むことでインク滴サイズを小さくするこ
とができる。また、引き込み電圧V1を種々に変更する
ことにより、インク滴サイズを種々に変化させることが
可能である。
【0049】このように、本実施の形態では、引き込み
電圧V1によってメニスカスを引き込む第1行程と、駆
動電圧を0に保持した状態でインクを供給してメニスカ
ス位置を所望の位置に調整する第2行程と、メニスカス
位置が所望の位置に来たときに吐出電圧V2を印加して
インク滴を吐出する第3行程の3行程によってインク吐
出動作を行うに際し、第1行程における引き込み電圧V
1を変化させることにより、各記録ドットごとにインク
滴サイズを変化させることが可能である。
【0050】以上の説明では、第3行程における所要時
間t3(すなわち、インク室113の収縮速度)および
吐出電圧V2の大きさ(すなわち、インク室113の収
縮量)は一定としたが、これらのパラメータをも変化さ
せるようにしてもよい。一般に、インク滴サイズは、第
3行程における吐出電圧V2の大きさによっても変化
し、この吐出電圧V2を小さくするほど、インク滴サイ
ズは小さくなる。したがって、引き込み電圧V1の制御
と併せてこのパラメータ(V2)の制御をも行うように
すれば、より多様な制御が可能となり、インク滴サイズ
の範囲を拡大することも可能となる。
【0051】[第2の実施の形態]次に、本発明の他の
実施の形態を説明する。
【0052】本実施の形態は、第1行程の引き込み電圧
V1を一定にしつつ第2行程の所要時間t2の長さを変
化させることで第3行程開始時のメニスカス位置を調整
するものである。ここで、第3行程開始時点(すなわ
ち、インク滴の吐出開始時点)Cの位置は、上記した吐
出タイミングクロックに同期して固定されているので、
第2行程の所要時間t2の長さを変化させるためには、
第1行程の開始時点Aの位置を変更する必要がある。な
お、本実施の形態では、予め図4の駆動電圧波形記憶部
144に、各インク滴のサイズに応じてそれぞれ異なる
長さの第2行程所要時間t2をもつ複数種類の波形デー
タを格納しておき、これを読み出して利用するようにす
ればよい。その他の構成は上記第1の実施の形態の場合
と同様である。
【0053】図9は第1行程の引き込み電圧V1を一定
にしつつ第2行程の所要時間t2の長さを変化させた場
合におけるメニスカス位置の変化を表すものである。こ
の図の(a)はヘッド駆動信号の電圧波形を表し、横軸
は時間、縦軸は電圧を表す。また、(b)はメニスカス
位置の変化の様子を表し、横軸は時間、縦軸はメニスカ
ス位置(開口端からメニスカスまでの距離)を表す。こ
こで、実線で示したメニスカス位置の軌跡41は、第2
行程の所要時間をより長く(t2=t21)した場合の
電圧波形43に対応し、破線で示したメニスカス位置の
軌跡42は、第2行程の所要時間をより短く(t2=t
22)した場合の電圧波形44に対応する。なお、本実
施の形態においても、第3行程における所要時間t3お
よび吐出電圧V2の大きさは一定であるとして説明す
る。さらに、第1行程の所要時間t1もまた一定として
説明するが、この値は必要に応じて可変にしてもよい。
【0054】この図から明らかなように、第2行程の所
要時間t2が短いと、引き込まれたメニスカスが吐出前
に開口端の方向に前進できる時間は小さい。一方、イン
クの供給速度は同じなので、メニスカスの前進速度(図
9(b)で、メニスカス位置が開口端に向かって前進す
るときの軌跡41,42の傾きの大きさ)は等しい。し
たがって、メニスカスの引き込み量が等しいという条件
の下では、第3行程の開始時点C(すなわち吐出開始時
点)におけるメニスカス位置を比較すると、第2行程の
所要時間t2が長い場合の位置x1よりも、第2行程の
所要時間t2が短い場合の位置x2′の方が深くなる。
すなわち、第2行程の所要時間t2を短くすることによ
って、メニスカスがより深い位置にある状態で吐出が行
われることになる。したがって、第2行程の所要時間t
2を短くすることで、インク滴サイズを小さくすること
ができる。また、第2行程の所要時間t2を種々に変更
することにより、インク滴サイズを種々に変化させるこ
とが可能である。
【0055】図10および図11は本実施の形態に係る
一実験例を説明するためのものである。ここで、図10
は、この実験で用いた駆動電圧波形〜を表し、図1
1は、図10の駆動電圧波形〜のそれぞれに対応し
た吐出時のメニスカス位置と、得られたインク滴径とを
表す。この例では、第1行程における引き込み電圧V1
を20V、第1行程の所要時間を7μsec、第2行程
における吐出電圧V2を20Vに固定しておき、第2行
程の所要時間t2を32μsec、16μsec、
4μsecの3つの場合に設定した場合の結果を表
す。
【0056】これらの図から明らかなように、第2行程
の所要時間t2を32μsec、16μsec、
4μsecとしたときの吐出時のメニスカス位置は図1
1にそれぞれ図示したようであり、これにより得られた
インク滴径は、それぞれ、40.0μm、34.4μ
m、22.4μmであった。このことから、第2行程の
所要時間t2を変化させることによりインク滴サイズを
自在に制御することができることが判る。
【0057】このように、本実施の形態では、引き込み
電圧V1によってメニスカスを引き込む第1行程と、駆
動電圧を0に保持した状態でインクを供給してメニスカ
ス位置を所望の位置に調整する第2行程と、メニスカス
位置が所望の位置に来たときに吐出電圧V2を印加して
インク滴を吐出する第3行程の3行程によってインク吐
出動作を行うに際し、第2行程の所要時間t2を変化さ
せることにより、各記録ドットごとにインク滴サイズを
制御することが可能である。
【0058】また、上述したように、インク滴サイズ
は、第3行程における所要時間t3(インク室113の
収縮速度)や吐出電圧V2の大きさ(インク室113の
収縮量)によっても変化するので、第2行程の所要時間
t2の制御と併せてこれらのパラメータ(t3,V2)
の制御をも行うようにすれば、より多様な制御が可能と
なり、インク滴サイズの範囲を拡大することも可能とな
る。
【0059】[第3の実施の形態]次に、本発明のさら
に他の実施の形態を説明する。
【0060】本実施の形態は、第1行程のメニスカスの
引き込み量および第2行程の所要時間t2の双方を変化
させることで第3行程開始時点のメニスカス位置を調整
するものである。ここで、第3行程開始時点(インク滴
の吐出時点)Cの位置は、上記した吐出タイミングクロ
ックに同期して固定されているので、第2行程の所要時
間t2の長さを変化させるためには、第1行程の開始時
点Aの位置を変更する必要がある。したがって、本実施
の形態では、第1行程の引き込み電圧V1の大きさと第
1行程の開始時点Aの位置とを変化させてメニスカス位
置を調整する。なお、本実施の形態では、予め図4の駆
動電圧波形記憶部144に、各インク滴のサイズに応じ
てそれぞれ異なる引き込み電圧V1および第2行程所要
時間t2を組み合わせた複数種類の波形データを格納し
ておき、これを読み出して利用するようにすればよい。
その他の構成は上記第1の実施の形態の場合と同様であ
る。
【0061】図12は第1行程のメニスカスの引き込み
量および第2行程の所要時間t2の双方を変化させた場
合におけるメニスカス位置の変化を表すものである。こ
の図の(a)はヘッド駆動信号の電圧波形を表し、横軸
は時間、縦軸は電圧を表す。また、(b)はメニスカス
位置の変化の様子を表し、横軸は時間、縦軸はメニスカ
ス位置(開口端からメニスカスまでの距離)を表す。こ
こで、実線で示したメニスカス位置の軌跡51は、第1
行程の引き込み電圧をより小さく(V1=V11)する
と共に第2行程の所要時間をより長く(t2=t21)
した場合の電圧波形53に対応し、破線で示したメニス
カス位置の軌跡52は、第1行程の引き込み電圧をより
大きく(V1=V12)すると共に第2行程の所要時間
をより短く(t2=t22)した場合の電圧波形54に
対応する。なお、本実施の形態においても、第3行程に
おける所要時間t3および吐出電圧V2の大きさは一定
であるとして説明する。さらに、第1行程の所要時間t
1もまた一定として説明するが、この値は必要に応じて
可変にしてもよい。
【0062】この図から明らかなように、引き込み電圧
が大きいと、メニスカスは深く引き込まれ、また、第2
行程の所要時間t2が短いと、引き込まれたメニスカス
が吐出前に開口端の方向に前進できる時間は小さい。一
方、インクの供給速度は同じなので、メニスカスの前進
速度(図12(b)で、メニスカス位置が開口端に向か
って前進するときの軌跡41,42の傾きの大きさ)は
等しい。したがって、第3行程の開始時点C(すなわち
吐出開始時点)におけるメニスカス位置を比較すると、
第1行程の引き込み電圧V1が小さくかつ第2行程の所
要時間t2が長い場合の位置x1よりも、第1行程の引
き込み電圧V1が大きくかつ第2行程の所要時間t2が
短い場合の位置x2″の方が深くなる。すなわち、第1
行程の引き込み量を大きく第2行程の所要時間t2を短
くすることによって、メニスカスがより深い位置にある
状態で吐出が行われることになる。したがって、第1行
程の引き込み量を大きくすると共に第2行程の所要時間
t2を短くすることで、インク滴サイズを小さくするこ
とができる。
【0063】また、第1行程の引き込み電圧V1と第2
行程の所要時間t2とを種々に変更することにより、イ
ンク滴サイズを種々に変化させることが可能である。例
えば、第1行程の引き込み電圧V1を大きくすると共に
第2行程の所要時間t2を長くしたり、あるいは逆に、
第1行程の引き込み電圧V1を小さくすると共に第2行
程の所要時間t2を短くするような制御も可能である。
これにより、多様な制御が可能となる。
【0064】また、上述したように、インク滴サイズ
は、第3行程における所要時間t3(インク室113の
収縮速度)や吐出電圧V2の大きさ(インク室113の
収縮量)によっても変化するので、第1行程の引き込み
電圧V1および第2行程の所要時間t2の制御と併せて
これらのパラメータ(t3,V2)の制御をも行うよう
にすれば、さらに多様な制御が可能となり、インク滴サ
イズの範囲を拡大することも可能となる。
【0065】以上、いくつかの実施の形態を挙げて本発
明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定さ
れず、その均等の範囲内で種々変更可能である。例え
ば、上記の各実施の形態では、第2行程の保持電圧を0
Vにすると共に第1行程の引き込み電圧V1および第3
行程の吐出電圧V3を同極性の電圧としたが、本発明は
これに限られることはなく、例えば、引き込み電圧V1
を0Vにすると共に第2行程の保持電圧と第3行程の吐
出電圧V2とを逆極性の電圧にすることも可能である。
【0066】また、上記の実施の形態では、ヘッドコン
トローラ14の主制御部141が駆動電圧波形記憶部1
44から波形データを読み出し、これを基に、指定され
たインク滴サイズを得るためのヘッド駆動信号を作成し
て出力するというソフトウェア的手法によって制御を行
うこととしたが、本発明はこれに限定されるものではな
く、ロジック回路を用いてヘッド駆動信号を作成すると
いうハードウェア的手法によって制御を行うようにして
もよい。
【0067】また、上記の各実施の形態では、インク室
113へのインク供給を常時一定速度で行うこととした
が、例えば、第2行程の期間、および第3行程終了後の
リフィル期間の2つの期間においてのみインク供給を行
うようにしてもよい。また、、例えばインクカートリッ
ジ12に加圧機構を設けて圧力制御を行うことにより、
第2行程におけるインク供給速度と、第3行程終了後の
リフィル期間におけるインク供給速度とを異ならせるよ
うにしてもよい。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように請求項1ないし請求
項5のいずれかに記載のインクジェットプリンタまたは
請求項6ないし請求項10のいずれかに記載のインクジ
ェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法によれば、第1
行程におけるインク先端部の引き込み量または第2行程
の所要時間の少なくとも一方を変化させることにより、
第3行程の開始時点におけるインク先端部の位置を調整
するようにしたので、吐出されるインク滴のサイズを任
意に制御することができる。このため、例えば、各ドッ
トごとにインク滴のサイズを変化させるような調整も容
易となるので、中間階調の画像表現を適切かつ容易に行
うことが可能となり、また、例えば、インク滴のサイズ
を小さく制御することが容易になるので、高解像度の画
像表現を容易に行うことが可能となる。したがって、記
録画像の品質を向上することができるという効果があ
る。
【0069】特に、請求項2記載のインクジェットプリ
ンタまたは請求項7記載のインクジェットプリンタ用記
録ヘッドの駆動方法によれば、上記制御に加えて第3行
程におけるインク室の収縮量の制御をも行うことにより
インク滴のサイズを制御するようにしたので、さらに多
彩なインク滴サイズ制御が可能となるという効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るインクジェットプ
リンタの全体構成を表すブロック図である。
【図2】記録ヘッドの一構造例を表す斜視断面図であ
る。
【図3】記録ヘッドの一構造例を表す断面図である。
【図4】ヘッドコントローラの一構成例を表すブロック
図である。
【図5】記録ヘッドの動作の一例を表す説明図である。
【図6】ヘッドコントローラの主制御部の動作を説明す
るための流れ図である。
【図7】メニスカスの引き込み電圧とメニスカスの前進
所要時間との関係を調べるための一実験例の結果を表す
図である。
【図8】第1行程の引き込み電圧を変化させた場合にお
けるメニスカスの挙動の変化を表す図である。
【図9】第2行程の所要時間の長さを変化させた場合に
おけるメニスカスの挙動の変化を表す図である。
【図10】図9に示した実施の形態に係る一実験例にお
いて用いた駆動電圧波形を表す図である。
【図11】図9に示した実施の形態に係る一実験例にお
いて得られた結果を表す図である。
【図12】第1行程のメニスカスの引き込み電圧および
第2行程の所要時間の長さの双方を変化させた場合にお
けるメニスカスの挙動の変化を表す図である。
【符号の説明】
1…インクジェットプリンタ、2…記録用紙、11…記
録ヘッド、12…インクカートリッジ、14…ヘッドコ
ントローラ、111c…振動プレート、113…インク
室、115…ノズル開口、117…共通流路、122…
圧電素子、141…主制御部、144…駆動電圧波形記
憶部、145…カウンタ、V1…引き込み電圧、V2…
吐出電圧、t1…第1行程の所要時間、t2…第2行程
の所要時間、t3…第3行程の所要時間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷川 徹 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 池本 雄一郎 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 徳永 洋 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク滴を吐出するためのノズル開口部
    と、 前記ノズル開口部に連通するインク室と、 前記インク室にインクを供給するインク供給路と、 印加電圧に応じて前記インク室を膨張または収縮させる
    圧電素子と、 前記圧電素子によって前記インク室を膨張させることに
    より前記ノズル開口部を介して外気に接するインク先端
    部をインク室の方向に引き込む第1行程と、前記インク
    供給路から前記インク室にインクを供給することにより
    前記インク先端部を前記ノズル開口部の方向に前進させ
    る第2行程と、前記圧電素子によって前記インク室を収
    縮させることにより前記ノズル開口部からインク滴を吐
    出させる第3行程とを制御する行程制御手段とを備えた
    インクジェットプリンタであって、 前記行程制御手段は、前記第1行程におけるインク先端
    部の引き込み量または前記第2行程の所要時間の少なく
    とも一方を変化させて前記第3行程の開始時点における
    前記インク先端部の位置を制御することにより、前記第
    3行程において吐出されるインク滴の大きさを制御する
    ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
  2. 【請求項2】 前記行程制御手段は、さらに、前記第3
    行程における前記インク室の収縮量の制御をも行うこと
    により、インク滴の大きさを制御することを特徴とする
    請求項1記載のインクジェットプリンタ。
  3. 【請求項3】 前記行程制御手段は、前記第2行程の所
    要時間を一定にしつつ前記第1行程におけるインク先端
    部の引き込み量を変化させることによって、前記第3行
    程の開始時点における前記インク先端部の位置を制御す
    ることを特徴とする請求項1または請求項2記載のイン
    クジェットプリンタ。
  4. 【請求項4】 前記行程制御手段は、前記第1行程にお
    けるインク先端部の引き込み量を一定にしつつ前記第2
    行程の所要時間を変化させることによって、前記第3行
    程の開始時点における前記インク先端部の位置を制御す
    ることを特徴とする請求項1または請求項2記載のイン
    クジェットプリンタ。
  5. 【請求項5】 前記行程制御手段は、前記第1行程にお
    けるインク先端部の引き込み量および前記第2行程の所
    要時間を変化させることによって、前記第3行程の開始
    時点における前記インク先端部の位置を制御することを
    特徴とする請求項1または請求項2記載のインクジェッ
    トプリンタ。
  6. 【請求項6】 インク滴を吐出するためのノズル開口部
    と、前記ノズル開口部に連通するインク室と、前記イン
    ク室にインクを供給するインク供給路と、印可電圧に応
    じて前記インク室を膨張および収縮させる圧電素子とを
    備えたインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法
    であって、 前記圧電素子によって前記インク室を膨張させることに
    より前記ノズル開口部を介して外気に接するインク先端
    部をインク室の方向に引き込む第1行程と、 前記インク供給路から前記インク室にインクを供給する
    ことにより前記インク先端部を前記ノズル開口部の方向
    に移動させる第2行程と、 前記圧電素子によって前記インク室を収縮させることに
    より前記ノズル開口からインク滴を吐出させる第3行程
    とを含み、 前記第1行程におけるインク先端部の引き込み量または
    前記第2行程の所要時間の少なくとも一方を変化させて
    前記第3行程の開始時点における前記インク先端部の位
    置を制御することにより、前記第3行程において吐出さ
    れるインク滴の大きさを制御することを特徴とするイン
    クジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法。
  7. 【請求項7】 さらに、前記第3行程における前記イン
    ク室の収縮量の制御をも行うことことにより、インク滴
    の大きさを制御することを特徴とする請求項6記載のイ
    ンクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法。
  8. 【請求項8】 前記第2行程の所要時間を一定にしつつ
    前記第1行程におけるインク先端部の引き込み量を変化
    させることによって、前記第3行程の開始時点における
    前記インク先端部の位置を制御することを特徴とする請
    求項6または請求項7記載のインクジェットプリンタ用
    記録ヘッドの駆動方法。
  9. 【請求項9】 前記第1行程におけるインク先端部の引
    き込み量を一定にしつつ前記第2行程の所要時間を変化
    させることによって、前記第3行程の開始時点における
    前記インク先端部の位置を制御することを特徴とする請
    求項6または請求項7記載のインクジェットプリンタ用
    記録ヘッドの駆動方法。
  10. 【請求項10】 前記第1行程におけるインク先端部の
    引き込み量および前記第2行程の所要時間を変化させる
    ことによって、前記第3行程の開始時点における前記イ
    ンク先端部の位置を制御することを特徴とする請求項6
    または請求項7記載のインクジェットプリンタ用記録ヘ
    ッドの駆動方法。
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