以下、本発明の実施の形態に係る複合機(通信装置の実施形態の一例)について、図面に基づき説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る複合機1の構成例を示したブロック図である。この複合機1は、他の装置から送信された、画像データ、及び、前記画像データの宛先及び送信元を示す送受信情報を含むデータを受信可能に構成されたものである。具体的には、複合機1は、PSTN(公衆交換電話網:Public Switched Telephone Network)2を介して通信可能に接続されたファクシミリ装置3、又は、インターネット4を介して通信可能に接続されたインターネットファクシミリ装置5から、画像データ、及び、前記送受信情報を含むデータを受信するものである。すなわち、複合機1は、ファクシミリ機能及びインターネットファクシミリ機能を備えたものである。
ここで、送信元を示す送受信情報としては、送信元のファクシミリ番号(電話番号)、送信元のメールアドレス、送信元名(例えば、「○○○株式会社」)などが挙げられる。また、宛先を示す送受信情報は、複合機1が受信した画像データの受取人の氏名(例えば、「△△様」)、会社名、会社内等の部署名などを示す情報であり、例えば、受信したデータ(ここでは、電子メール)のヘッダに記載されている、複合機1のメールアドレスに対応付けられたニックネームが挙げられる。
この複合機1は、図示するように、制御部(CPU:Central Processing Unit)7、ROM(Read Only Memory)8、RAM(Random Access Memory)9、原稿読取部10、コーデック(CODEC:Coder and Decoder)11、画像メモリ12、記録部13、操作部14、表示部15、スピーカ16、モデム17、NCU(Network Control Unit)18、及び、LAN I/F(Local Area Network Interface)19を備えたものであって、各部7乃至19は、バス20によって通信可能に接続されている。
制御部7は、ROM8に格納されている制御プログラムに従って、この複合機1を構成する各部を制御するものである。ROM8は、制御部7によって複合機1の各部が制御されるための各種制御プログラムなどを格納するものである。
また、本実施形態においては、後述するスピーカ16から音声を出力するための音声データの生成に必要なデータとして、辞書データ及び音響データがこのROM8に格納されている。ここで、辞書データは、単語の読みとアクセントを示すデータであり、音響データは、辞書データに基づいて生成される表音文字列を音声波形(音声データ)に変換する処理に必要な各音素の波形を示すデータである。なお、ここでは、辞書データ及び音響データがROM8に格納されているが、辞書データ及び音響データを他のメモリに格納しておいてもよい。RAM9は、制御部7の主メモリ、ワークエリア等として機能するものである。
原稿読取部10は、原稿の画像データを読み取るものであり、図示しないがCCDカラーラインセンサや光源等の光学系を備えるフラットベッドスキャナ(FBS:Flat Bed Scanner)や、自動原稿給送装置(ADF:Automatic Document Feeder)等の原稿供給機構等を有して構成されている。
コーデック11は、画像データを符号化及び復号するものである。具体的には、原稿読取部10で原稿から読み取られた画像データをJPEG(Joint Photographic Experts Group)、MH(Modified Huffman)、MR(Modified Read)、MMR(Modified Modified Read)、JBIG(Joint Bi-level Image Group)方式等により符号化し、符号化されている画像データを復号する。なお、コーデック11は、JPEG形式、PDF(Portable Document Format)形式、TIFF(Tagged Image File Format)形式等の画像形式にも対応して画データを符号化、復号する。
画像メモリ12は、コーデック11により符号化された画像データ、受信した画像データなどを蓄積するものである。記録部13(処理実行手段の一部に相当する)は、画像メモリ12から読み出された後にコーデック11により復号された画像データを記録紙に印刷出力するものである。この記録部13における記録方式としては、例えば、電子写真方式やインクジェット記録方式等の各種の記録方式を用いることができる。
操作部14(入力受付手段の一部に相当する)は、ユーザが情報を入力するテンキーなどの入力キー、タッチパネル等から構成されており、ユーザによる各種の入力操作は、この操作部14を介して行われる。表示部15は、例えば操作部14に並設された、各種の設定状態や複合機1の動作状態などを文字や図形などで表示する液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)や、点灯又は消灯で表示するLEDランプなどを備えている。スピーカ16(音声出力手段の一部に相当する)は、音声データに対応する音声を出力するものである。
モデム17は、例えばITU−T(国際電気通信連合)の勧告V.34規格又はこれと同様のものに従った送受信データの変調及び復調を行うものである。NCU18は、電話回線を制御して電話をかけたり、切ったりする回線網制御装置であり、PSTN2を介して、前記ファクシミリ装置3と通信可能に接続されている。
LAN I/F19は、LAN(Local Area Network)22と複合機1とを通信可能に接続するものである。このLAN22には、メールサーバ23とルータ24が接続されるとともに、ルータ24及びインターネット4を介してインターネットファクシミリ装置5が接続されている。また、LAN22には、クライアントPC25(端末装置の一例)が接続されており、クライアントPC25から複合機1が有する各種機能を利用することができるようになっている。なお、このクライアントPC25は、画像データを視認可能に表示する機能を備えたものである。また、図示していないが、LAN22には、複数台のクライアントPC25が接続されている。
一方、インターネットファクシミリ装置5は、複合機1に対して、画像データ及び送受信情報を含むデータ(ここでは、電子メール)を送信するものである。具体的には、TIFF形式やPDF形式の画像データ(画像ファイル)を添付するとともに、送信元を示す送受信情報としての自装置5のメールアドレスをヘッダに記載した電子メールを複合機1へ送信するものである。なお、このインターネットファクシミリ装置5は、送信元を示す送受信情報の他に、宛先を示す送受信情報としての画像データの受取人名(ニックネーム)をヘッダに記載した電子メールを送信することもできる。
また、ファクシミリ装置3は、複合機1に対して、画像データ及び送受信情報を含むデータ(ここでは、ファクシミリデータ)を送信するものである。具体的には、送信元を示す送受信情報として、画像データの送信に先立って、ファクシミリ通信手順内のTSI(送信端末識別)信号により自装置3のファクシミリ番号を送信した後、画像データを送信するものである。
図2は、本発明の主要部の一例を示す機能構成図である。複合機1の制御部7は、機能的に、受信部7a、抽出部7b、処理実行部7c、転送設定部7d、処理実行制御部7e、音声出力制御部7f、音声生成部7g、音声出力部7h、認証情報生成部7i、入力受付部7j、判断部7k、及び、選択受付部7mを備えている。また、複合機1のRAM9は、機能的に、登録情報記憶部9a、転送設定記憶部9b、及び、認証情報記憶部9cを備えている。
ここでは、制御部7が、ROM8に予め格納されている制御プログラムを読み出して実行することにより、受信部7a、抽出部7b、処理実行部7c、転送設定部7d、処理実行制御部7e、音声出力制御部7f、音声生成部7g、音声出力部7h、認証情報生成部7i、入力受付部7j、判断部7k、及び、選択受付部7mを含む機能部として機能するとともに、RAM9を、登録情報記憶部9a、転送設定記憶部9b、及び、認証情報記憶部9cを含む機能部として機能させるものである。
受信部7a(受信手段に相当する)は、画像データ、及び、前記画像データの宛先及び送信元を示す送受信情報を含むデータを受信するものである。具体的には、インターネットファクシミリ装置5からデータを受信する場合、TIFF形式やPDF形式の画像データ(画像ファイル)が添付されるとともに、送信元を示す送受信情報としてのインターネットファクシミリ装置5のメールアドレスがヘッダに記載された電子メールを受信するものである。また、インターネットファクシミリ装置5から、画像データが添付されるとともに、インターネットファクシミリ装置5のメールアドレスに加えて、宛先を示す送受信情報としての画像データの受取人名(ニックネーム)がヘッダに記載された電子メールを受信することもできる。また、ファクシミリ装置3からデータを受信する場合、ファクシミリの通信手順内のTSI信号により、送受信情報としてのファクシミリ装置3のファクシミリ番号を受信した後、画像データを受信するものである。
抽出部7b(抽出手段に相当する)は、受信部7aにより受信されたデータから送受信情報を抽出するものである。具体的には、受信部7aがインターネットファクシミリ装置5又はファクシミリ装置3から受信したデータの中から、送信元を示す送受信情報である、送信元のメールアドレス、送信元のファクシミリ番号、送信元名などの情報を抽出する。また、受信部7aがインターネットファクシミリ装置5又はファクシミリ装置3から受信したデータに宛先を示す送受信情報が含まれている場合には、宛先を示す送受信情報として、受取人を示すニックネーム、会社名、部署名などの情報を抽出する。
なお、抽出した送受信情報に対応する情報が、後述する登録情報記憶部9aに格納されている場合には、その情報が登録情報記憶部9aから抽出部7bによって読み出されるようになっている。例えば、抽出部7bは、送信元を示す送受信情報としての送信元のメールアドレスを抽出した場合には、そのメールアドレスに対応する登録情報を登録情報記憶部9aから検索し、メールアドレスに対応する登録情報(例えば、送信元の会社名など)を検出できた場合には、その登録情報を登録情報記憶部9aから読み出す。
処理実行部7c(処理実行手段の一部に相当する)は、受信部7aにより受信された画像データに対して所定の処理を実行するものである。ここで、所定の処理は、本実施形態においては、画像データを印刷出力する処理(以下、「印刷処理」ともいう。)、又は、自装置1と通信可能に接続されたクライアントPC25へ画像データを転送する処理(以下、「転送処理」ともいう。)のどちらか一方である。処理実行部7cは、印刷処理を実行する場合、受信部7aにより受信されて画像メモリ12に蓄積された画像データをコーデック11により復号し、復号された画像データを記録部13により印刷出力する。また、転送処理を実行する場合、受信部7aにより受信されて画像メモリ12に蓄積された画像データをLAN I/F19を介してクライアントPC25へ転送する。また、この処理実行部7cは、受信部7aが画像データとともに受信した送受信情報に応じて、送受信情報毎に、言い換えれば、画像データの送信元又は宛先毎に、画像データを異なるクライアントPC25へ転送することも可能である。
転送設定部7d(転送設定手段に相当する)は、外部から入力された情報に基づいて、処理実行部7cにより画像データを転送するか否かを設定するものである。具体的には、操作部14を介して入力された情報に基づいて、処理実行部7cにより画像データを転送するか否かを示す転送設定情報を転送設定記憶部9bに格納するものである。なお、転送設定部7dは、画像データを転送する設定を行う際に、操作部14を介して入力された情報に基づいて、処理実行部7cにより転送される画像データの転送先(ここでは、複数のクライアントPC25のうちのいずれか1のクライアントPC25)を、送受信情報に対応付けて指定(変更)することも可能である。
処理実行制御部7e(処理禁止手段に相当する)は、処理実行部7cによる所定の処理の実行を制御するものである。具体的には、処理実行部7cによって実行される所定の処理を変更する制御や、所定の処理の実行を禁止する制御を行う。すなわち、処理実行部7cにより画像データを印刷出力するか、或いは、画像データを転送するかを変更する制御や、所定の処理の実行を禁止する制御を行う。なお、この処理実行制御部7eによる処理実行部7cの制御は、転送設定部7dによって設定された転送設定情報、又は、後述する選択受付部7mが受け付けた選択に基づいて行われる。
音声出力制御部7f(音声出力禁止手段に相当する)は、受信部7aによりデータが受信された際に、転送設定部7dによって画像データを転送する旨の設定がなされている場合に、後述する音声出力部7hによる音声の出力を禁止するものである。具体的には、転送設定部7dによって画像データを転送する旨の転送設定情報が転送設定記憶部9bに格納されている場合に、音声出力部7hによる音声の出力に必要な音声データを生成する音声生成部7gにより音声データの生成を禁止する。このように、ここでは、音声生成部7gによる音声データの生成を禁止することにより、音声出力部7hによる音声の出力を禁止する。
音声生成部7g(音声生成手段に相当する)は、抽出部7bにより抽出された送受信情報に基づいて、宛先及び送信元を表す音声データを生成するものである。具体的には、抽出部7bにより抽出された送受信情報に基づいて、宛先及び送信元を表す音声をスピーカ16から出力させるために、抽出部7bにより抽出された送受信情報、及び、ROM8に格納されている辞書データに基づいて表音文字列を生成し、生成した表音文字列をROM8に格納されている音響データに基づいて音声波形(音声データ)に変換する処理を行うことにより、音声データを生成する。なお、音声生成部7gは、抽出部7bにより送受信情報に対応する登録情報が登録情報記憶部9aから読み出されている場合には、送受信情報及び読み出された登録情報に基づいて音声データが生成する。
音声出力部7h(音声出力手段の一部に相当する)は、音声生成部7gにより生成された音声データに対応する音声をスピーカ16により出力するものである。この音声出力部7hにより出力される音声は、具体的には、例えば、「□□様よりファクシミリを受信しました」や、「○○様、△△様よりファクシミリを受信しました」などの宛先及び送信元表す音声である。なお、本実施形態においては、前記音声生成部7gにより生成された音声データに対応する音声が出力された後に、後述する入力受付部7jにより個人認証情報(例えば、パスワード)の入力が受け付けられるようになっており、個人認証情報の入力を促すために、例えば、「認証情報を入力して下さい」などの音声もこの音声出力部7hによりスピーカ16から出力されるようになっている。
認証情報生成部7i(認証情報生成手段に相当する)は、抽出部7bにより抽出された送受信情報に基づいて、宛先及び送信元にそれぞれ対応する個人認証情報である送受信認証情報を生成するものである。ここでは、抽出部7bにより抽出された送受信情報に対応する個人認証情報を認証情報記憶部9cから読み出すことにより、送受信認証情報を生成するものである。
抽出部7bにより抽出された送受信情報が宛先を示す情報である場合、認証情報生成部7iは、抽出された宛先を示す送受信情報に基づいて、宛先に対応する個人認証情報である送受信認証情報を生成する。すなわち、ここでは、宛先に対応付けて認証情報記憶部9cに格納されている個人認証情報を読み出すことにより、送受信認証情報を生成する。また、抽出部7bにより抽出された送受信情報が送信元を示す情報である場合、認証情報生成部7iは、抽出された送信元を示す送受信情報に基づいて、送信元に対応する個人認証情報である送受信認証情報を生成する。すなわち、ここでは、送信元に対応付けて認証情報記憶部9cに格納されている個人認証情報を読み出すことにより、送受信認証情報を生成する。
入力受付部7j(入力受付手段の一部に相当する)は、音声出力部7hにより音声が出力された後に、個人認証情報(ここでは、パスワード)の入力を受け付けるものである。具体的には、音声出力部7hにより音声が出力された後に、操作部14を介して個人認証情報の入力を受け付けるものである。
判断部7k(判断手段に相当する)は、入力受付部7jにより受け付けられた個人認証情報が、送受信認証情報と一致するか否かを判断するものである。具体的には、入力受付部7jにより受け付けられた個人認証情報が、認証情報生成部7iによって認証情報記憶部9cから読み出された個人認証情報(送受信認証情報)と一致するか否かを判断するものである。ここで、処理実行制御部7eは、判断部7kによって入力受付部7jが受け付けた個人認証情報が送受信認証情報と一致しないと判断された場合には、処理実行部7cによる所定の処理の実行を禁止する制御を行う。
選択受付部7mは、入力された個人認証情報が、送受信認証情報と一致すると判断部7kにより判断された場合に、処理実行部7cにより実行される所定の処理の選択を受け付けるものである。具体的には、操作部14を介して入力された情報に基づいて、処理実行部7cにより画像データを印刷出力させるか、又は、画像データを予め設定された転送先(例えば、クライアントPC25)へ転送させるかの選択を受け付けるものである。処理実行制御部7eは、入力された個人認証情報と送受信認証情報とが一致する場合には、この選択受付部7mが受け付けた選択に基づいて、処理実行部7cに印刷処理又は転送処理を実行させる。
登録情報記憶部9aは、受信部7aにより受信される送受信情報に対応する登録情報を格納するものである。ここで、登録情報としては、送信元を示す、メールアドレス、ファクシミリ番号、送信元名(個人名や会社名)の他に、宛先を示す、受取人名(個人のニックネーム、個人名、会社名、会社等の部署名)などが挙げられる。
例えば、受信部7aが受信したデータから送信元のファクシミリ番号が抽出部7bによって抽出された場合、抽出されたファクシミリ番号に対応する送信元名が登録情報記憶部9aに格納されていれば、その送信元名が抽出部7bによって登録情報記憶部9aから読み出される。また、受信部7aが受信したデータから抽出されたファクシミリ番号に対応するニックネームが登録情報記憶部9aに格納されている場合には、そのニックネームが抽出部7bによって登録情報記憶部9aから読み出される。
そして、抽出部7bによって抽出された送受信情報のみでは宛先及び送信元を表す音声データを生成することができない場合、言い換えれば、宛先名及び送信元名を表す音声を出力することができない場合には、抽出された送受信情報及びそれに対応する登録情報記憶部9aの登録情報に基づいて、音声データが生成されるようになっている。
このように、抽出部7bは、受信部7aにより受信されたデータに含まれている送受信情報に基づいて、宛先名及び送信元名を取得する処理、又は、受信部7aにより受信されたデータに含まれている送受信情報及びそれに対応する登録情報記憶部9aの登録情報に基づいて、宛先名及び送信元名を取得する処理を行う。
転送設定記憶部9b(転送設定手段の一部に相当する)は、受信部7aにより受信された画像データを転送するか否かの設定を示す転送設定情報を格納するものであり、転送設定部7dは、操作部14から入力された情報に基づいて、この転送設定情報を変更することが可能である。また、この転送設定記憶部9bには、画像データの転送先を示す転送先情報(例えば、クライアントPC25のIPアドレス)も併せて格納することができ、転送設定部7dは、この転送先情報を操作部14を介して入力された情報に基づいて書き換えることにより、画像データの転送先となる端末装置を変更することができる。
認証情報記憶部9c(認証情報記憶手段)は、送受信情報と、少なくとも1の個人認証情報とを対応付けて格納するものである。具体的には、宛先を示す各送受信情報とそれぞれ対応付けられた個人認証情報と、送信元を示す各送受信情報とそれぞれ対応付けられた個人認証情報とを格納している。そして、抽出部7bによって宛先を示す送受信情報が抽出された場合には、その抽出された宛先を示す送受信情報に対応する個人認証情報が認証情報生成部7iによって送受信認証情報として読み出され、抽出部7bによって送信元を示す送受信情報が抽出された場合には、その抽出された送信元を示す送受信情報に対応する個人認証情報が認証情報生成部7iによって送受信認証情報として読み出されるようになっている。そのため、認証情報生成部7iは、簡便に送受信認証情報を生成することができる。
以下、ファクシミリ装置3又はインターネットファクシミリ装置5から、画像データ及び送受信情報を含むデータを受信した場合に、複合機1において行われる動作について、図3及び図4に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、ファクシミリ装置3から受信するデータは、具体的にはファクシミリデータであり、インターネットファクシミリ装置5から受信するデータは、具体的には電子メールである。
まず、複合機1の受信部7aは、画像データ及び送受信情報を含むデータを受信したか否かを判断する(S1)。具体的には、LAN I/F19を介してインターネットファクシミリ装置5から画像データが添付されて電子メールを、或いは、NCU18を介してファクシミリ装置3からファクシミリデータを受信したか否かを判断する。ここで、画像データ及び送受信情報を含むデータを受信していないと判断した場合(S1:NO)、待機状態となる。逆に、画像データ及び送受信情報を含むデータを受信したと判断した場合(S1:YES)、抽出部7bは、受信部7aにより受信されたデータから送受信情報を抽出する(S2)。そして、抽出した送受信情報に対応する登録情報を登録情報記憶部9aから読み出す(S3)。但し、抽出した送受信情報に対応する登録情報が登録情報記憶部9aに格納されていない場合には、S3の処理が行われることなく処理がS4へ進められる。
次に、転送設定部7dは、受信部7aにより受信された画像データを転送する設定であるか否かを、転送設定記憶部9bに格納されている転送設定情報に基づいて判断する(S4)。ここで、画像データを転送する設定であると判断した場合(S4:YES)、処理実行部7cは、転送設定部7dの判断結果に基づく処理実行制御部7eの制御に従って、転送設定記憶部9bに格納されている転送先情報の端末装置(クライアントPC25)へ受信部7aが受信した画像データを転送する(S5)。そして、音声出力制御部7fは、転送設定部7dの判断結果に基づいて、音声出力部7hによる音声の出力を禁止する(S6)。すなわち、音声生成部7gによる音声データの生成を禁止する。
一方、転送設定部7dにより、受信部7aによって受信された画像データを転送する設定ではないと判断された場合(S4:NO)、音声生成部7gは、宛先及び送信元を表す音声データを生成する(S7)。具体的には、受信部7aが受信したデータから抽出された送受信情報、及び、その送受信情報に対応する登録情報記憶部9aの登録情報に基づいて、ROM8の辞書データ及び音響データを用いて音声データを生成する。
続いて、認証情報生成部7iは、音声データが生成されると、送受信認証情報を生成する(S8)。ここでは、具体的には、抽出部7bによって抽出された送受信情報が宛先を示す情報である場合には、その宛先を示す送受信情報に対応する個人認証情報を認証情報記憶部9cから読み出すことにより、送受信認証情報を生成する。また、抽出部7bによって抽出された送受信情報が送信元を示す情報である場合には、その送信元を示す送受信情報に対応する個人認証情報を認証情報記憶部9cから読み出すことにより、送受信認証情報を生成する。また、抽出部7bによって抽出された送受信情報が宛先を示す情報及び送信元を示す情報からなるものである場合には、宛先を示す送受信情報に対応する個人認証情報を認証情報記憶部9cから読み出して送受信認証情報を生成する。
次に、音声出力部7hは、音声生成部7gによって生成された音声データに対応する音声をスピーカ16により出力する(S9)。そして、表示部15には、個人認証情報の入力を促す情報(例えば、「送信元に対応する認証情報を入力して下さい」や、「宛先に対応する認証情報を入力して下さい」等のメッセージ)が表示される(S10)。そして、入力受付部7jは、操作部14を介して、個人認証情報(ここでは、パスワード)が入力されたか否かを判断する(S11)。ここで、個人認証情報が入力されたと判断した場合(S11:YES)、入力受付部7jは、入力された個人認証情報を受け付け、判断部7kは、入力が受け付けられた個人認証情報が、認証情報生成部7iにより生成された送受信認証情報と一致するか否かを判断する(S12)。
個人認証情報が入力されていないと入力受付部7jによって判断された場合(S11:NO)、又は、受け付けられた個人認証情報と送受信認証情報とが一致しないと判断部7kにより判断された場合(S12:NO)、S9以降の動作が再度行われる。
一方、受け付けられた個人認証情報が送受信認証情報と一致すると判断部7kにより判断された場合(S12:YES)、選択受付部7mは、表示部15に処理の選択を促す旨の情報(例えば、印刷処理と転送処理のいずれかの選択を促すメッセージ)を表示させるとともに、操作部14を介して、印刷処理と転送処理のいずれかの処理が選択されたか否かを判断する(S14)。ここで、処理が選択されていないと判断した場合(S14:NO)、S13の動作が繰り返し実行される。
選択受付部7mは、処理が選択されたと判断した場合(S14:YES)、操作部14を介して入力された情報に基づいて、選択された処理が印刷処理であるか、又は、転送処理であるかを判別する(S15)。ここで、選択された処理が印刷処理であると選択受付部7mにより判別された場合(S15:印刷)、処理実行部7cは、記録部13により画像データを印刷出力する処理を実行する(S16)。逆に、選択された処理が転送処理であると選択受付部7mにより判別された場合(S15:転送)、処理実行部7cは、画像データを予め転送設定記憶部9bに設定された転送先(例えば、クライアントPC25)へ転送する(S17)。
以上説明した複合機1によれば、インターネットファクシミリ装置5又はファクシミリ装置3から画像データを受信した際に、宛先及び送信元を表す音声がスピーカ16から出力されるので、複合機1のユーザがその画像データの宛先(例えば、画像データを受け取るべきユーザの名前、会社名、部署名など)又は送信元(例えば、送信元の会社名など)を容易に識別することができる。
また、スピーカ16から宛先及び送信元を表す音声が出力された後に入力された個人認証情報が、送受信認証情報と一致しなかった場合には、画像データに対する印刷処理や転送処理が禁止されるので、画像データを受け取るべきユーザ(送受信認証情報に対応する個人認証情報を入力したユーザ)のみが画像データの内容を確認することができ、個人情報の漏洩を防止することができる。
また、受信部7aによりデータが受信された際に、転送設定部7dによって画像データを転送する旨の設定がなされている場合に、音声出力部7hによる音声の出力が禁止されるので、クライアントPC25で画像データの内容をユーザが確認することができる場合に、スピーカ16から音声が出力されるといった不要な処理が行われることを防止することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下の形態であってもよい。すなわち、本実施形態においては、通信装置が複合機1である場合について説明したが、通信装置がファクシミリ装置である形態や、ファクシミリ通信機能及びインターネットファクシミリ通信機能の少なくとも一方を有する複合機である形態であってもよい。
また、本実施形態においては、入力された個人認証情報と、送受信認証情報とが一致する場合にのみ、画像データに対する所定の処理の実行が許可される場合について説明したが、個人認証情報を入力することなく、画像データに対する所定の処理(例えば、画像データを印刷出力する処理)が実行される形態であってもよい。
また、本実施形態においては、認証情報記憶部9cに格納されている個人認証情報が読み出されることにより、送受信認証情報が生成される場合について説明したが、画像データとともに受信した送受信情報に基づいて送受信認証情報を生成する処理(例えば、送受信情報のハッシュ値を生成する処理)を行うことにより、送受信認証情報が生成される形態であってもよい。
また、本実施形態においては、画像データを受信した際に、受信した画像データをクライアントPC25へ転送する設定がなされている場合に、音声データに対応する音声の出力を禁止する場合について説明したが、受信した画像データを転送する設定がなされている場合であっても音声データに対応する音声の出力を行うようにしてもよい。この場合、クライアントPC25のユーザがクライアントPC25から離れた場所にいてクライアントPC25に転送された画像データの内容が直ちに確認されないようなときに、画像データの受信を前記ユーザに通知することができる。
また、本実施形態においては、処理実行部7cにより実行される所定の処理が画像データを印刷出力する処理、又は、画像データをクライアントPC25へ転送する処理のどちらか一方の処理である場合について説明したが、所定の処理として、これら両方の処理を同時に行ったり、或いは、所定の処理として、処理実行部7cにより、画像データを表示部15の液晶表示装置に表示させる処理が実行されるようにしてもよい。
また、本実施形態においては、個人認証情報が操作部14のテンキーなどを介して入力されるパスワードである場合について説明したが、個人認証情報はこれに限定されるものではなく、例えば、指紋情報などであってもよい。
また、本実施形態においては、複合機1が音声出力手段を備えている場合について説明したが、音声出力手段を複合機1と接続された他の装置(例えば、クライアントPC25)に設けてもよい。
また、本実施形態においては、送受信情報が、宛先を示す情報と送信元を示す情報との両方を含むものである場合に説明したが、送受信情報は、宛先を示す情報と、送信元を示す情報とのどちらか一方であってもよい。