以下、図面に基づいて本発明を詳しく説明する。図1はスロットインタイプのディスク駆動装置の一例を概略的に示した斜視外観図である。図1において、1は装置の外装を成す筐体であり、その前面は図示せぬ操作スイッチ類を配した操作面2とされ、その操作面2にはディスク(本例において、直径12cmのディスクを符号Dで示すが、直径8cmのディスクにも適用する)を出し入れするスリット状の開口部3(スロット)が形成される。尚、開口部3は塵埃の侵入を防止する図示せぬフラップ板により開閉自在とされる。又、図1において、符号f1,f2で示されるハッチング部分と符号f3で示される中心透明部分は、ディスクの主発光部分を表しているが、係る構成については後述する。
次に、図2は筐体内部に設けられるドライブユニット(ディスク駆動部)を示す。このドライブユニット4は、昇降機構により昇降されるものでなく、上記筐体1に対して固定される固定式であり、これは金属などから形成されるシャーシ5に多数の電子部品などを装置して構成され、その上部にはクランプ盤6が昇降可能にして設けられる。シャーシ5は、ベースプレート5Aと該ベースプレートの上部を覆う天板5Bとを備え、その天板5Bには上記のクランプ盤6のほか、後述するスライダ11に近接して方形枠状のスライドプレート7が取り付けられる。尚、シャーシ5の前端部5Cは図1に示した開口部3に対応して開口され、これによりシャーシ5の内部にディスクDを引き込み得るようになっている。
図3に示すように、シャーシ5の内部には、ディスクDを回転させるためのターンテーブル8と、ディスクのピット列を検出するためのピックアップ9が設けられる。そして、ターンテーブル8と図2に示したクランプ盤6とによりディスクDが中心部をチャッキングされた状態で回転されると共に、ピックアップ9が回転中のディスクDの盤面に沿ってその内周側から外周側(符号Eで示される位置)まで半径方向に移動するようになっている。尚、図3では、両移動端でのピックアップ9をそれぞれ実線で示している。
又、ドライブユニット4は、ターンテーブル8と図1に示した開口部3との間でディスクDの搬入および搬出を行うディスク搬送機構10を備える。本例において、ディスク搬送機構10は、図1に示した開口部3に対し外部から人為的に挿入されたディスクDをドライブユニット4内に向けて搬入(ローディング)すると共に、ドライブユニット4内におけるディスクDを開口部3からドライブユニット4及び筐体1の外部に向けて搬出(アンローディング)するものであり、これは図1に示した開口部3に正対してディスクの搬送方向(搬入方向L1および搬出方向L2)に往復直進移動するスライダ11を有し、このスライダ11にディスクDが同行することにより、ドライブユニット4に対するディスクDの搬入および搬出が行われる構成とされる。
尚、シャーシ5には、スライダ11をディスクの搬送方向L1,L2に移動させるための搬送駆動部12と、スライダ11の移動案内をする左右一対のガイドレール13とが設けられる。そして、搬送駆動部12の駆動力が送りネジ14を通じてスライダ11に伝達され、これによりスライダ11がガイドレール13に沿ってディスクの搬送方向L1,L2に往復直進移動するようになっている。因みに、スライダ11はターンテーブル8よりも搬入方向L1側で一端側が送りネジ14、他端側が一方のガイドレール13で移動案内され、ディスクDはスライダ11による搬送時に左右両側縁がガイドレール13の部位で水平状に支持(直径8cmの小径ディスクでは不支持)されるようになっている。
ここで、図3はスライダ11がディスクの搬出方向L2における終端位置まで移動した状態であり、このときディスクDは搬出方向前部側を開口部3から外部に露出させた状態で他端側(搬出方向後部側)をスライダ11により抜き取り可能に支持され、そのディスクDを抜き取った後には別のディスクを筐体の開口部3に挿入して、これをスライダ11によりドライブユニット4内に搬入可能とされる。
又、図4はスライダ11がディスクの搬入方向L1における終端位置まで移動した状態であり、このときディスクDはその中心部がターンテーブル8と対応する位置にあって該ターンテーブル8により中心部を支持されるようになっている。
次に、図5はスライダの底面側を示した斜視図である。この図で明らかなように、スライダ11の底面には、二つ一組にして互いの頂部(図5における上向きの面)がV字状の傾斜面を成す二組のリブ15A,15A及びリブ15B,15Bが形成され、係る二組のリブ15A,15Aとリブ15B,15Bとの間には、ゴムなどから形成されるテーパ状の圧接ローラ16が設けられる。図5及び図6のように、圧接ローラ16は回転軸17に固定され、その回転軸17は支軸18を回転支点部とするグリップアーム19に支持される。又、グリップアーム19には、圧接ローラ16に近接して後述する挟持案内部20が形成される。そして、上記圧接ローラ16と挟持案内部20とを有するグリップアーム19は、支軸18の外周に設けられるバネ21(捩りコイルバネ)により、圧接ローラ16の支持側と挟持案内部20の形成側が、リブ15A,15Bに向かって付勢される。
ここに、リブ15A,15Bと圧接ローラ16は、ディスクの搬出方向後部側で該ディスクの外周縁部の二箇所をその厚さ方向から摘む2つの挟持手段22,22を構成する。つまり、2つの挟持手段22,22は、図6〜図8に示すように、それぞれ表面側押圧部を成すリブ15A,15Bと裏面側押圧部を成す圧接ローラ16とにより構成されるもので、これによるディスクの挟持力は上記バネ21の弾力により一定に保たれるようになっている。尚、図8において、挟持手段を構成するリブ15A(及び15B)と圧接ローラ16とが成す夾角θは10〜30度に設定されるのであり、これによってリブ15A,15Bおよび圧接ローラ16がディスクDの信号記録エリアに接触せずして該ディスクの外周縁部のみに接触することが可能とされている。
ここで、外周縁部とは、ディスク外周の角部、または、角部とその近傍部である。具体的な例として、リブ15A,15Bを樹脂材で形成すれば、これが比較的硬いことからこのリブとはディスクの角の稜線が当接する線接触となり、圧接ローラ16とは、これがゴム等の柔軟性を有する材料で形成されれば、ディスクの角の稜線及びその近傍の面(表面及び端面)を含んだ面接触となる。又、圧接ローラ16を高硬度材料で形成した場合は、両方ともディスクの角部での線接触となる。いずれにおいても、上記したように、ディスクの信号記録面に接触するものではない。
一方、圧接ローラ16がディスクに接触する位置は、上述したように2つのリブ15A,15Bの間であると、それぞれが対向せずしてディスクがリブ側の2点とローラ側の1点支持となり、安定した支持が可能である。特に、圧接ローラ16を、2つのリブ15A,15B間の中央に位置させることが力のバランスがとれて好ましい。
上述した挟持手段の理解を助けるための図が図9である。この図は、一方のリブと圧接ローラとを便宜的に対向する位置にした例を示している。この図からも夾角θを設けたことにより、リブ15A(15B)及び圧接ローラ16がディスクDの外周縁部(角部または角部とその近傍部)に接触していることが理解される。
他方、挟持案内部20は、ディスクを搬出する際における挟持手段22によるディスクの支持を補助するためのもので、係る挟持案内部20にはターンテーブルで支持されたディスクを搬出するときに該ディスクの搬出方向後部側を押し上げてその外周縁部をリブ15A,15Bと圧接ローラ16との間に案内するための傾斜面20Aが形成される(図10参照)。
又、図5、図6、及び図11に示すように、スライダ11の底面にはディスクの搬出方向に向かってV字状に広がる位置調整面23が形成され、その位置調整面23によりディスクの位置決めを行えるようにしてある。つまり、挟持手段22によりディスク(図11において、Dは直径12cmの大径ディスク、dは直径8cmの小径ディスクを示す)の外周縁部を摘んで該ディスクを片持ち状態に支持するとき、ディスクD(ディスクdを含む)の端面を位置調整面23に接触せしめることにより、ディスクの搬送方向L1,L2においてターンテーブルとディスクの中心が合致するようにしてある。尚、位置調整面23の角度λは90度が好ましいが、その角度λは必要に応じて変更することができる。
又、図11において、位置調整面23は左右のそれぞれが大径ディスクDと小径ディスクdに共通の直線状の形態とされるが、これを図12のような二段の面として大径ディスクDと小径ディスクdが別々の面で位置決めされるようにしてもよい。
しかして、上記のようなスライダ11によれば、図13のように左右一対の挟持手段22によりディスクの搬出方向後部側でその外周縁部の二箇所を摘んで該ディスクを水平状に支持しながら、ディスクの搬送方向L1,L2に沿って該ディスクの搬入および搬出を行うことができる。
尚、搬送時のディスクDは、後述するサイドガイドにより搬送方向L1,L2に直交する方向の両側縁も支持(上記のように小径ディスクでは不支持)されるが、ディスクの搬入時においてその中心部がターンテーブル上に案内される直前には上記サイドガイドによる支持がなくなる。このため、ディスクはターンテーブルに向かって移動(降下)できるようになる。
すなわち、ディスクの搬入時では、図13のようにスライダ11とディスクDは一体となって搬入方向L1に移動して行くが、これによってディスクの中心孔hがターンテーブル8上に達すると、図14のようにクランプ盤6が降下してディスクDの中心部を押す。このとき、挟持手段に22よりディスクDの外周縁部は依然として摘まれているが、上記サイドガイドによるディスクDの支持がなくなるために、図5に示したバネ21の弾力に抗してディスクDが図14のように傾き、その中心孔hがターンテーブル8に嵌合して行く。その一方で、スライダ11はさらに搬入方向L1に移動するが、この段階ではディスクD(小径ディスクを含む)の中心孔hがターンテーブル8に引っ掛かっているので、結果として挟持手段22からディスクDの外周縁部が抜け、その挟持手段22に替わって当該ディスクDがターンテーブル8で中心部を支持され、その状態でクランプ盤6がさらに降下してターンテーブル8との間でディスクの中心部をチャッキング(クランプ)するようになる。
尚、図15において、24は上記のサイドガイドであり、このサイドガイド24はガイドレール13の内壁面に相対向して形成され、これによりディスクの搬送方向L1,L2に直交する方向でディスクDの両側縁が摺動自在に支持されるようになっている。
特に、図15および図16に示すように、サイドガイド24よりもディスクの搬入方向L1に延びるガイドレール13の先端は、ディスクの中心部がターンテーブル8上に到達したときディスクの搬入方向L1への移動を阻止するように間隔が狭められた障壁25とされ、これによりディスクの中心孔hがターンテーブル8の縁に引っ掛からずともディスクDを所定位置に停止させてターンテーブル8とクランプ盤6とによるチャッキング動作が適正に行われる構成となっている。
一方、ディスクの搬出時には、クランプ盤6が上昇されつつ、スライダ11が搬出方向L2へ移動を開始し、該スライダに設けられる挟持手段22によりディスクが片持ち状態で支持されるようになる(図17、図18参照)。
詳しくは、図19(a)のようにディスクDがターンテーブル8で支持されている状態において、挟持手段22はディスクDより上位にあって該ディスクから離間している(図ではディスクDと挟持案内部20が重なっているが、その両者も図面直角方向において離間している)。この状態でスライダ11が搬出方向L2への移動を開始すると、これに連動してクランプ盤6の上昇が行われる一方、ディスクの端面に臨んだ挟持案内部20がその傾斜面20Aにより図19(b)の如くディスクDの搬出方向後部側を押し上げて該ディスクの外周縁部をリブ15A,15B(表面側押圧部)と圧接ローラ16(裏面側押圧部)との間に案内するようになる。特に、挟持案内部20によりディスクの搬出方向後部側が押し上げられると、図19(b)のようにディスクDの搬出方向前部側はターンテーブル8による支持位置より下がり、これによってディスクDの搬出方向前部側の端面が後述するディスクサポータ26に設けられるストッパ27に接して該ディスクが搬出方向L2に移動するのを規制される一方、傾斜したディスクDに沿って挟持案内部20を形成するグリップアーム19が図20の想像線で示すようバネ21の弾力に抗して下方揺動し、これによってリブ15A,15Bと圧接ローラ16の間隙がディスクの外周縁部を受け入れるように広げられる。尚、このときディスクDの搬出方向後部側の端面も図11などに示した位置調整面23に接し、搬入方向L1に対するディスクの移動も規制される。
そして、スライダ11が搬出方向L2にさらに移動すると、図19(c)のように開口部3とターンテーブル8との間に設けられるストッパ27が起立してディスクの搬出方向前部側を押し上げると共に、これによってグリップアーム19に作用する負荷が軽減されるために、グリップアーム19が図20の実線で示すようバネ21の弾力により上方揺動する。この結果、ディスクDは図19(c)のように搬出方向後部側で外周縁部を挟持手段22により確りと摘まれて水平状に支持される。その後、ディスクDは、その両側縁をも上記サイドガイド24により支持され、この状態でスライダ11により搬出方向後部側を押されながら開口部3に向けて搬出されて行く。尚、ディスクDの搬送時においては、ストッパ27を備えるディスクサポータ26はディスクDに干渉しないようにしてある。
ここで、上記のディスクサポータ26について説明を加えると、これは図21のように細長のプレート28に上記ストッパ27を設けるなどして構成される。ストッパ27は、プレート28に形成される円柱状の突起(ボス)で、その2つがディスクの搬送方向L1,L2に直交する方向に一定の間隔(ディスクDの直径より小さい間隔)をあけて設けられる構成とされる。
29はプレート28の両端に形成される軸部であり、この軸部29はベースプレート5Aに形成される図示せぬブラケットにより回動自在に支持されている。又、プレート28の一端にはローラ形のカム従節30が設けられる。
そして、係るディスクサポータ26は、ストッパ27が起立状態を保つようにターンテーブル8側の縁が図示せぬ弾性部材によりベースプレート5Aの表面に向けて付勢されており、カム従節30が加圧されたときにはディスクサポータ26が上記弾性部材の弾力に抗して軸部29回りに回動してストッパ27が開口部3側に傾斜するようになっている。
図21および図22において、31はディスクサポータを作動させるためのレバーであり、このレバー31はベースプレート5A上でディスクの搬送方向L1,L2に摺動自在に設けられる。又、レバー31はバネ32により開口部3側に付勢され、付勢方向における一端に上記カム従節30を加圧するためのカム33が形成されると共に、その逆側の一端には直角に折れ曲がった受圧部34が形成される。
そして、スライダ11が搬入方向L1における終端位置に差し掛かったとき、レバー31の受圧部34がスライダ11により押圧され、これによりカム33がカム従節30を加圧してディスクサポータ26を上記の如く作動させるようになっている。
要するに、スライダ11が搬入方向L1における終端位置に達してディスクをターンテーブル8に引き渡したときには、ディスクサポータ26が倒伏してディスクの回転駆動を阻害せぬよう該ディスクから完全に離間する。
一方、ターンテーブル8上のディスクを搬出すべくスライダ11が搬出方向L2に移動開始した時点では、カム従節30がカム33により依然として押圧されることにより、図23のようにディスクサポータ26が倒伏状態を保ち、上記挟持手段22でディスクの搬出方向後部側の外周縁部が適正に摘まれるまでストッパ27が搬出方向L2に対するディスクDの移動を規制するが、スライダ11は搬出方向L2に移動し続けるので、ディスクサポータ26は、カム33の輪郭に応じて図24の想像線に示す状態から実線で示す状態に徐々に立ち上がり、その過程でストッパ27がディスクDを押し上げるような働きをする。
ここで、ストッパ27により押し上げられたディスクは、その搬出方向前部側をディスクサポータの上面部26Aにより一時的に支持されるが、その上面部26Aは図25のようにV字形とされるのであり、このためディスクの信号記録エリアはディスクサポータの上面部26Aに接触せず、その上面部26Aにはディスクの搬出方向前部側でディスクの外周縁部のみ(図26に示すハッチング部分)が接触する。
そして、スライダ11が搬出方向L2にさらに移動すると、上記挟持手段22による搬出方向後部側でのディスクの挟持力により、搬出方向前部側ではディスクがディスクサポータの上面部26Aから離間され、これに替わってディスクの両側縁が上記サイドガイド24により支持されるようになる。
尚、図22のように、レバー31にはベースプレート5Aの下方に垂下する突片35が形成され、その突片35により、スライダ11による受圧部34の押圧と同時にスイッチSW1が押圧され、これにより(正確には該スイッチSW1と後述するスイッチSW2の双方が押圧操作されることにより)、スライダ11を搬送方向L1,L2に移動させるための搬送駆動部が停止されるようになっている。
又、図21において、36は小径のディスクdに対応するディスクサポータで、これも円柱状の突起から成るストッパ37、そのストッパを備えるプレート38、その回転支点部を成す軸部39、およびカム従節40などから構成され、上記レバー31にはカム従節40に対応してカム41が形成される。尚、その作用ついてはディスクサポータ26と同様であるので説明を省略する。
次に、ディスクが発光する構成について説明すると、図5に示すように、スライダ11には左右一対の光源50が設けられる。本例において、光源50は発光ダイオード(LED)、それも赤、緑、青の光の合成により様々な光色を発生することのできるマルチカラーLED(チップ型)とされるが、これを赤と緑の二色LDEや単色LEDなどとしてもよい。
特に、係る光源50は、図27〜図29のように外周縁部が挟持手段22により挟持されたディスクD(小径のディスクを含む)の搬出方向後部側の端面f0に臨むようになっており、このためディスクDの搬入および搬出に際して光源50もディスクDの搬出方向後部側の端面f0に臨んでディスクDと共に同方向に直進移動する。
しかして、その光源50から発せられた光は、図29のようにディスクDの搬出方向後部側(搬入方向側)の端面f0からディスクDの内部に入射し(図28の矢印方向)、ディスクDの内周縁と外周縁との間で反射を繰り返すなどしてディスクの搬出方向前部側の端面f1まで導光される。このため、遮光性の保護膜により覆われないディスクの透明部、特にこの外周端面f1と、中心の内周面f2、および中心孔の周辺領域f3(図1も参照)は、移動中にも拘らず高輝度で発光し、搬出完了時においては開口部3から露出されるディスクDの発光により視認性が向上して暗所においてもその位置が明確となり、優れたイルミネーション効果も発現される。
尚、マルチカラーLEDから成る光源50にして、光色変換制御を行うことによりディスクの発光色を周期的に変化させてイルミネーション効果をより一層向上させることができる。又、光源50はディスクの中心孔hの直径より稍大きな間隔で2つを隣り合わせに配することが好ましく、これにより光源50から発せられた光を図29に示した矢印のようにディスクの搬出方向後部側から搬出方向前部側へ良好に導光することが可能とされるが、係る光源50は一つでも2つ以上でもよく、更にはLEDのような点光源に代えて蛍光管などを用いることもできる。
次に、図30及び図31は、スライダ11をディスクの搬入方向と搬出方向とに移動させるための搬送駆動部を示す。これらの図で明らかなように、搬送駆動部12は電気モータから成る駆動源51、そのロータ軸に固着されるプーリ52、そのプーリ52の動力がベルト53を介して伝達される従動プーリ54、その従動プーリ54と同軸上に固着されるウォーム55、及びこのウォーム55と噛み合うウォームホイール56を含み、そのウォームホイール56が送りネジ14の一端に固着される構成となっている。尚、駆動源51のロータ軸にウォーム55を直結する構成でもよい。
ここで、スライダ11の一端部には、送りネジ14と係合するキャリヤ60が設けられる。図32および図33から明らかなように、係るキャリヤ60は送りネジ14を貫通せしめるブラケット部61A,61Bを有するキャリヤ本体61と、そのキャリヤ本体61に対して送りネジ14の軸方向に移動可能とされるリニアガイド62とを含み、そのリニアガイド62にラック状のランナプレート63が設けられる構成となっている。ランナプレート63には、送りネジの外周に形成される螺旋溝14Aに嵌まり込む突起64が形成され、その突起64が板バネ65の作用により螺旋溝14Aから容易に離脱せぬようにしてある。又、送りネジ14の外周には、キャリヤ本体の一方のブラケット部61Aとリニアガイド62との間で圧縮コイルバネ66が設けられる。
これにより、図1に示した筐体の開口部3からその内部にディスクを挿入すると、その外周縁部の二箇所が図7などに示したスライダの挟持手段22により挟持されるほか、ユーザによるディスクの押込力により、リニアガイド62が静止状態のままスライダ11が圧縮コイルバネ66の弾力に抗して筐体の奥側に移動し、これにより図示せぬスイッチが操作(ON操作)されて送りネジ14の回転駆動が開始され、しかしてその回転駆動によりスライダ11がディスクの外周縁部を摘んだまま該ディスクを連れてその搬入方向に移動する。
一方、図2に示したシャーシの天板5Bには、図34に示すようなトリガーレバー71がディスクの搬送方向L1,L2に摺動可能に取り付けられる。又、天板5Bに取り付けられる方形枠状のスライドプレート7(図2参照)も、上記の如くディスクの搬送方向L1,L2に移動可能とされるが、これは図34に示すバネ72(プレート付勢手段)によりディスクの搬出方向L2に付勢される。又、図34に示すように、スライドプレート7の裏面には、ディスクの搬送方向L1,L2に平行して、二つ一組の突条73A,73Bが左右に一組ずつ設けられる一方、スライダ11の上面には左右一対の揺動リンク74が取り付けられる。
75は揺動リンク74の回動中心であり、その回動中心75から隔たる揺動リンク74の一端にはスライダ11の内部に垂下する第1ピン76(図5参照)が突設され、逆側の一端(ディスクの搬送方向に直交する左右方向の外側)にはスライドプレート7などを押し込むための第2ピン77が突設される。
そして、図1に示した筐体の開口部3にディスクを挿入したとき、その外周縁部が上記のようにスライダの挟持手段22により挟持されるほか、ディスクの端面で第1ピン76が押圧されることにより、揺動リンク74が図示せぬバネ力に抗して図34の矢印方向(回動中心75回り)に回動する。
これにより、図35のように第2ピン77が突条73A,73Bの間に挿入(大径のディスク挿入時)された状態でスライダ11がディスクの搬入方向L1に移動し、やがて第2ピン77が図34に示したトリガーレバー71と突条73Aとの間に配される図示せぬカムレバーに衝突し、これによってトリガーレバー71が図示せぬバネの弾力に抗してスライダ11と共にディスクの搬入方向L1に移動し、ディスクの中心部がターンテーブルに対応する位置に到達したときには、トリガーレバー71の部位71Aでクランプアーム6Aの部位が押圧され、これによりクランプアーム6Aの一端に取り付けられるクランプ盤6がターンテーブルに向かって押し下げられ(図34における図面直角方向奥側)、そのクランプ盤6とターンテーブルとによりディスクの中心部がチャッキングされることになる。
尚、スライダ11がディスクの搬入方向L1に移動している最中に、搬入途中のディスクがユーザにより開口部から抜き取られた場合、係るディスクによる第1ピン76の押圧が無くなるため、揺動リンク74が図示せぬバネの作用により図34の矢印とは逆向きの回動を始め、これによって突条73Aの内壁に所定の間隔で形成した切欠部79に第2ピン77が入り込み(図35参照)、その突条73Aを有するスライドプレート7をディスクの搬入方向L1に押し込むこととなる。
しかして、スライドプレート7がバネ72(プレート付勢手段)に抗してディスクの搬入方向L1に移動され、そのスライドプレート7により天板5Bに設けたスイッチSW2の押圧操作が行われてディスク搬送機構の搬送駆動部12が逆転され、これによりスライダ11の移動方向が搬入方向L1から搬出方向L2に変換される構成となっている。これによれば、ディスクを置き去りにして、スライダ11のみがディスクの搬入方向L1に移動する動作が防止される。
つまり、本例において、ピン76,77を有してスライダ11に回動可能に取り付けられる揺動リンク74と、ピン77に対応する複数の切欠部79を有してスライドプレート7に固定される突条73Aとは、大径のディスクが搬入途中に抜き取られることに対応して、スライドプレート7をバネ72に抗してディスクの搬入方向L1に移動させるプレート移動手段を構成すると共に、これによるスライドプレート7の移動(搬入方向L1)を検知するスイッチSW2は、スライドプレート7の移動領域内に固定されて検知手段を構成する。
尚、検知手段を構成するスイッチSW2には、リミットスイッチやマイクロスイッチといった接触型の検出器が用いられるが、これに基づく上記のような逆転動作制御は簡易な制御回路で容易に実現することができる。
又、ディスクの搬出方向L2に方向変換されたスライダ11は、開口部に近接する位置に停止されてディスクの再挿入に備えるが、その停止動作はディスクの挿入時に「ON」操作される上記の図示せぬスイッチがスライダ11で「OFF」操作されることにより行われる。
ここで、上記の動作は直径12cmの大径ディスクの場合であり、直径8cmの小径ディスクの場合には、大径ディスクとの直径の相違によって第2ピン77が図36のように突条73Bの内側に案内されるが、突条73Bとトリガーレバー71との間にも図示せぬカムレバーが配され、そのカムレバーが第2ピン77で大径ディスクの搬入時とは異なるタイミングで操作されてトリガーレバー71が所定のタイミングで動作することにより、小径ディスクのチャッキングも適正に行われるようになっている。
又、小径ディスクが搬入途中に抜き取られた場合にも、突条73Bの内壁に形成される切欠部79に第2ピン77が入り込み、これよってディスクの搬入方向L1に対するスライドプレート7の移動が行われる。
つまり、本例において、ピン76,77を有してスライダ11に回動可能に取り付けられる揺動リンク74と、ピン77に対応する複数の切欠部79を有してスライドプレート7に固定される突条73Bとは、小径のディスクが搬入途中に抜き取られることに対応して、スライドプレート7をバネ72に抗してディスクの搬入方向L1に移動させるプレート移動手段を構成するが、これによりスライドプレート7がディスクの搬入方向L1に移動されたときの動作は大径ディスクの場合と同様であるので説明を省略する。
尚、本例において、ディスクが搬入途中に抜き取られずとも、スライダ11が搬入方向L1の終端位置に達するときに第2ピン77で突条73A,73Bの先端が加圧され、これによりスライドプレート7を介してスイッチSW2の押圧操作が行われるが、このときには図22に示したスイッチSW1が、スイッチSW2より先にスライダ11で押圧操作されるので、搬送駆動部は逆転せずして停止する。
以上、本発明について説明したが、本発明はCDプレーヤ、DVDレコーダ、又はカーナビゲーション用のDVDプレーヤなど様々なディスク駆動装置に適用できる。
又、上記例では、装置のシャーシを構成する天板にスライドプレート7を取り付け、そのスライドプレート7に、2つ一組のリブ73A,73Bをディスクの搬送方向L1,L2に平行して左右に一組ずつ固定し、それらリブ73A,73Bの内壁に所定の間隔で切欠部79を形成する一方、スライダ11にディスクの種別(大小)を判別する左右一対の揺動リンク74を回動自在に取り付け、その揺動リンク74にディスクの端面で押圧される第1ピン76と、切欠部79に対応してスライドプレート7をディスクの搬入方向L1に押圧する第2ピン77を設けることにより、プレート移動手段を構成したが、突条73A,73Bに代えて、スライドプレート7に長孔を形成してもよい。尚、この場合、上記長孔には切欠部79と同様の凹部がディスクの搬入方向L1に沿って所定の間隔で形成される。又、切欠部79に代えて、スライドプレート7にピン状の突起を設ける一方、揺動リンク74の一端に鉤状の係止部を設け、搬入途中のディスクが抜き取られた場合に、上記突起と鉤状の係止部が係合してスライドプレート7がディスクの搬入方向L1に移動する構成としてもよい。