JP4238472B2 - 自吸式ポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータと、モータの回転シャフトに固定された羽根車と、前記羽根車を収容するケーシングと、通水口を持つ仕切板およびパッキンと、呼び水用タンクを形成するケーシングカバーを備え、給湯暖房機器等に組み込まれて使用される自吸式ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に自吸式ポンプは、羽根車を収容するケーシングと、ケーシングの羽根車収容部内に水を充満させておくための呼び水用のケーシングカバーを有している。
【0003】
特に、ケーシングとケーシングカバーとが一体になった型のポンプとして、図12に示されるように構成されたものがある。
【0004】
図12は従来の自吸式ポンプの断面図で、図13は同自吸式ポンプにおけるケーシングカバーの平面図で、図14は同ケーシングカバーのA−A断面図を示し、これらを基に説明する。
【0005】
図12〜図14に示すように、モータ1には防錆された鉄板よりなるブラケット2が取り付けられ、このブラケット2に、耐食性、耐錆性、軽量化するために樹脂成形品よりなり、かつ、モータ1と反対側端が開口したケーシング3を取り付けている。
【0006】
ケーシング3内には、モータ1と接続され、かつ、鋼丸材を切削して作られたシャフト4を挿入してあり、シャフト4の先端にはネジを形成している。また、ケーシング3は、偶数枚の羽根5と前面シュラウド6を有する密閉式の羽根車7を収容しているポンプ室8と送水室9を形成している。羽根車7は耐食性、耐錆性、軽量化するために、また、溶着の相性のよい熱可塑性の樹脂成形品よりなっている。そして黄銅丸棒切削材または、黄銅のローレット材のネジ加工品をインサートし、このネジ加工品をシャフト4のネジに螺合して羽根車7をシャフト4に結合している。さらに羽根車7の筒状となっている回転部の外周部には、カーボンとバネおよびゴムパッキンよりなる回転側メカニカルシール10を設けてあり、この回転側メカニカルシール10をケーシング3のポンプ室8のシャフト4の貫通部に装着されたセラミックとゴムパッキンよりなる固定側メカニカルシール11に摺動させて水漏れを防止するようにしている。
【0007】
ケーシング3の開口側には、所定の位置に通水口を有する仕切板12とパッキン13を介在させてケーシングカバー14の開口側を結合させている。仕切板12は耐食性、耐錆性、軽量化するために、SUS板のプレス品または樹脂成形品で形成され、ケーシングカバー14は内部に吸込み水路15を形成する内壁16、呼び水用タンク17を有し、呼び水用タンク17の中程のビス締め付け部の根元に任意の数の三角リブ18を有している。また、吸込口19、吐出口20を持ち、耐食性、耐錆性、軽量化するために樹脂成形品で構成されている。
【0008】
次に、上記のように構成された自吸式ポンプの動作を説明する。
【0009】
まず、あらかじめケーシングカバー14内に呼び水を注入する。ケーシングカバー14内に注入された水は、吸込み水路15、呼び水用タンク17およびケーシング3内のポンプ室8と送水室9を充満する。まず、始動時ではモータ1の回転がシャフト4により羽根車7に伝達され、ケーシング3内のポンプ室8に収容された羽根車7が回転する。するとポンプ室8内の水が羽根車7によってかき回され、水中に空気が混入する。水と空気の混合水は羽根車7の外周に沿ってポンプ室8、送水室9から押し出され、ケーシングカバー14の呼び水用タンク17に流れ込み、水と一緒に押し出された空気のみが吐出口20より外部へ流出する。そして、この状態が続くとケーシング3内のポンプ室8の空気圧が徐々に低くなり、外部との圧力差によりケーシングカバー14の吸込口19から水が流入し、本格的な水送出状態に入るとケーシングカバー14の吸込み水路15、呼び水用タンク17には水が充満し、あふれた水が吐出口20より外部へ流出する。
【0010】
このとき、羽根車7の回転は水に遠心力を与え、前面シュラウド6は羽根車7内へ導水された水流の昇圧をする作用をする。また、ポンプ室8および送水室9は羽根車7から流出した水流をケーシングカバー14の呼び水用タンク17へ吐出する作用を行う。また、ケーシングカバー14においては、吸込口19よりケーシング3のポンプ室8への導水とケーシング3の送水室9からケーシングカバー14の呼び水用タンク17への吐出および吐出口20より外部への吐出する作用を行う。さらに、通水口を持つ仕切板12は、羽根車7の水流の昇圧作用を行う。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような構成の自吸式ポンプにおいては、ポンプへの給水圧が高い場合や、繰り返し水圧がかかる場合、羽根車収容部のケーシング、呼び水用タンクを形成するケーシングカバーに水圧による応力がかかり、最終的にはケーシングカバーの呼び水用タンクの中程のビス締め付け部の根元の三角リブの根元に割れが生じ水漏れが発生し、自吸式ポンプとしての耐久性を低下させる原因となる。
【0012】
本発明は以上の問題点を解決するものであり、ケーシングカバーへの水圧、繰り返し水圧に関する耐久性の優れた自吸式ポンプを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記問題点を解決するため、本発明の自吸式ポンプは、前記ケーシングカバーの呼び水用タンクの水路部分の一部に凸状の肉厚部分を形成した構成で、具体的にはケーシングカバー呼び水用タンクの中程のビス締め付け部の根元の三角リブのセンターを中心に、上下に任意の幅で、三角リブの外壁から呼び水用タンク、吸込み水路を形成する内壁に向かって凸起を形成し、呼び水用タンクの一部の剛性をアップするように構成したものである。
【0014】
本発明によれば、ケーシングカバーの呼び水用タンクの一部の凸起により、ポンプの繰り返し運転時でも、給水圧、繰り返し水圧による応力がかかっても凸起により剛性がアップするため、応力が緩和でき給水圧、繰り返し水圧に関する耐久性の優れた自吸式ポンプを提供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、モータと、モータの回転シャフトに固定された羽根車と、羽根車を収容しポンプ室を形成するためのケーシングを備え、通水口を持つ仕切板およびパッキンを介してケーシングに結合され、かつ、内部に呼び水用タンクを形成するケーシングカバーよりなる自吸式ポンプであって、ケーシングカバーの呼び水用タンクの水路部分の一部に凸状の肉厚部分を形成した自吸式ポンプであり、具体的にはケーシングカバーの呼び水用タンクの中程のビス締め付け部の根元の三角リブのセンターを中心に、上下に任意の幅で、三角リブの外壁から呼び水用タンク、吸込み水路を形成する内壁に向かって凸起を形成したため、ポンプの繰り返し運転時でも、給水圧、繰り返し水圧による応力がかかっても、凸起により剛性がアップするため、ケーシングカバーへの応力が緩和でき給水圧、繰り返し水圧に関する耐久性の向上という作用を有する。
【0017】
本発明の請求項に記載の発明は、請求項1に記載の自吸式ポンプにおいて、ケーシングカバーの呼び水用タンク中程のビス締め付け部の水路部分に、外壁と平行し、吐出し側および反吐出し側に水の流出口、流入口を持つ半円状の壁を形成したものであり、ポンプの繰り返し運転時でも、給水圧、繰り返し水圧による応力がかかっても、凸起により剛性がアップするため、また、半円状の壁により更に剛性がアップし、請求項1よりさらに給水圧、繰り返し水圧に関する耐久性の向上という作用を有する。
【0019】
本発明の請求項に記載の発明は、請求項1に記載の自吸式ポンプにおいて、ケーシングカバーの呼び水用タンクの水路部分に、上部外壁から吸込み水路を形成する内壁に接し、吐出し側および反吐出し側に水の流出口、流入口を持つ縦壁を形成したものであり、ポンプの繰り返し運転時でも、給水圧、繰り返し水圧による応力がかかっても、凸起により剛性がアップするため、また、吸い込み水路を形成する内壁に接する縦壁によりさらに剛性がアップし、請求項1よりさらに給水圧、繰り返し水圧に関する耐久性の向上という作用を有する。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の自吸式ポンプの断面図、図2は同自吸式ポンプにおけるケーシングカバーの平面図、図3は同ケーシングカバーのB−B断面図である。なお、先に説明した従来の技術の自吸式ポンプと同一構成部材には同じ符号を付与し、その構成および動作の説明は省略する。
【0022】
本実施の形態1の自吸式ポンプの特徴はケーシングカバーにあり、すなわち、図2〜図3に示すように、前記ケーシングカバー14の呼び水用タンク17の中程のビス締め付け部の根元の三角リブ18のセンターを中心に、上下に任意の幅で、三角リブ18の外壁から呼び水用タンク17、吸込み水路15を形成する内壁16に向かって凸起21を形成している。
【0023】
このように本実施の形態1の自吸式ポンプにおけるケーシングカバー14の呼び水用タンク17の凸起21により、ポンプの繰り返し運転時でも、給水圧、繰り返し水圧による応力がかかっても、凸起21により剛性がアップするため、ケーシングカバー14への応力の発生を抑制させることができる。
【0024】
(実施の形態2)
図4は本発明の実施の形態2の自吸式ポンプにおけるケーシングカバーの平面図、図5は同ケーシングカバーのC−C断面図である。
【0025】
この実施の形態2の特徴は、前記ケーシングカバー14の呼び水用タンク17の中程のビス締め付け部の水路部分に外壁と平行し、吐出し側及び反吐出し側に水の流出口22、流入口23を持つ半円状の壁24を形成した構成にある。
【0026】
この自吸式ポンプの構成により、ポンプの繰り返し運転時でも、給水圧、繰り返し水圧による応力がかかっても、半円状の壁24により剛性がアップするため、ケーシングカバー14への応力の発生を抑制させることができる。
【0027】
(実施の形態3)
図6は本発明の実施の形態3の自吸式ポンプにおけるケーシングカバーの平面図、図7は同ケーシングカバーのD−D断面図である。なお、先に説明した実施の形態1および実施の形態2と同一構成部材には、同じ符号を付与しその構成の説明は省略する。
【0028】
この実施の形態3の特徴は、前記実施の形態1に前記実施の形態2の内容を追加した構成にある。
【0029】
この自吸式ポンプの構成により、ポンプの繰り返し運転時でも、給水圧、繰り返し水圧による応力がかかっても、凸起21により剛性がアップするため、また、半円状の壁24により更に剛性がアップし、実施の形態1および実施の形態2よりさらにケーシングカバー14への応力の発生を抑制させることができる。
【0030】
(実施の形態4)
図8は本発明の実施の形態4の自吸式ポンプにおけるケーシングカバーの平面図、図9は同ケーシングカバーのE−E断面図である。
【0031】
この実施の形態3の特徴は、前記ケーシングカバー14の呼び水用タンク17の水路部分に上部外壁から吸込み水路15を形成する内壁16に接し、吐出し側及び反吐出し側に水の流出口25、流入口26を持つ縦壁27を形成した構成にある。
【0032】
この自吸式ポンプの構成により、ポンプの繰り返し運転時でも、給水圧、繰り返し水圧による応力がかかっても、上部外壁から吸込み水路15を形成する内壁16に接する縦壁27により剛性がアップするため、ケーシングカバー14への応力の発生を抑制させることができる。
【0033】
(実施の形態5)
図10は本発明の実施の形態5の自吸式ポンプにおけるケーシングカバーの平面図、図11は同ケーシングカバーのF−F断面図である。なお、先に説明した実施の形態1および実施の形態4と同一構成部材には、同じ符号を付与しその構成の説明は省略する。
【0034】
この実施の形態5の特徴は、前記実施の形態1に前記実施の形態4の内容を追加した構成にある。
【0035】
この自吸式ポンプの構成により、ポンプの繰り返し運転時でも、給水圧、繰り返し水圧による応力がかかっても、凸起21により剛性がアップするため、また、吸い込み水路15を形成する内壁16に接する縦壁27により、さらに剛性がアップし、実施の形態1および実施の形態4よりさらにケーシングカバー14への応力の発生を抑制させることができる。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明の自吸式ポンプは、ケーシングカバーの呼び水用タンク水路部分においての凸起、外壁と平行した半円状の壁および上部外壁から吸込み水路を形成する内壁に接する縦壁を形成する構成としたため、ポンプの繰り返し運転時でも、給水圧、繰り返し水圧による応力がかかっても、凸起、外壁と平行した半円状の壁及び上部外壁から吸込み水路を形成する内壁に接する縦壁により剛性がアップするため、ケーシングカバーへの応力の発生を抑制させることができるため、ケーシングカバーへの応力が緩和でき給水圧、繰り返し水圧に関する耐久性の優れた自吸式ポンプを提供することができ、その実用的効果の大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の自吸式ポンプの断面図
【図2】同自吸式ポンプにおけるケーシングカバーの平面図
【図3】同ケーシングカバーのB−B断面図
【図4】本発明の実施の形態2の自吸式ポンプにおけるケーシングカバーの平面図
【図5】同ケーシングカバーのC−C断面図
【図6】本発明の実施の形態3の自吸式ポンプにおけるケーシングカバーの平面図
【図7】同ケーシングカバーのD−D断面図
【図8】本発明の実施の形態4の自吸式ポンプにおけるケーシングカバーの平面図
【図9】同ケーシングカバーのE−E断面図
【図10】本発明の実施の形態5の自吸式ポンプにおけるケーシングカバーの平面図
【図11】同ケーシングカバーのF−F断面図
【図12】従来の自吸式ポンプの断面図
【図13】同自吸式ポンプにおけるケーシングカバーの平面図
【図14】同ケーシングカバーのA−A断面図
【符号の説明】
1 モータ
2 ブラケット
3 ケーシング
4 シャフト
5 羽根
6 前面シュラウド
7 羽根車
8 ポンプ室
9 送水室
10 回転側メカニカルシール
11 固定側メカニカルシール
12 仕切板
13 パッキン
14 ケーシングカバー
15 吸込み水路
16 内壁
17 呼び水用タンク
18 三角リブ
19 吸込口
20 吐出口
21 凸起
22 流出口
23 流入口
24 半円状の壁
25 流出口
26 流入口
27 縦壁

Claims (3)

  1. モータと、モータの回転シャフトに固定された羽根車と、前記羽根車を収容しポンプ室を形成するためのケーシングを備え、通水口を持つ仕切板およびパッキンを介して前記ケーシングに結合され、かつ、内部に呼び水用タンクおよび吸込み水路を形成するケーシングカバーよりなる自吸式ポンプであって、呼び水用タンク中程のビス締め付け部の根元に設けた三角リブのセンターを中心に、三角リブの外壁から呼び水用タンクと吸込み水路を形成する内壁に向かって所定幅の凸起を形成することで、ケーシングカバーの呼び水用タンクの水路部分の一部に凸状の肉厚部分を形成したことを特徴とする自吸式ポンプ。
  2. ケーシングカバーの呼び水用タンク中程のビス締め付け部の水路部分に、外壁と平行し、吐出し側および反吐出し側に水の流出口、流入口を持つ半円状の壁を形成したことを特徴とする請求項1記載の自吸式ポンプ。
  3. ケーシングカバーの呼び水用タンクの水路部分に、上部外壁から吸込み水路を形成する内壁に接し、吐出し側および反吐出し側に水の流出口、流入口を持つ縦壁を形成したことを特徴とする請求項1記載の自吸式ポンプ。
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