JP4237974B2 - 核スピントモグラフィ測定像の処理および表示装置 - Google Patents

核スピントモグラフィ測定像の処理および表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的に医学分野で患者の検査のために応用されるような核スピントモグラフィ(KST、同義語:磁気共鳴トモグラフィ)に関する。
特に、本発明は核スピントモグラフィ測定像の処理および表示装置ならびに撮像MR法に関する。
【0002】
【従来の技術】
核スピントモグラフィは第一に高いコントラスト分解能を特徴とする医学診断のための断層像撮像法である。軟組織の優れた表示可能性に基づいて、核スピントモグラフィはX線コンピュータトモグラフィを多くの点で凌駕する方法として開発されてきた。核スピントモグラフィは現在、分オーダの測定時間の際に優れた像質を可能にするスピンエコーシーケンスおよび勾配エコーシーケンスの応用に基づいている。
【0003】
特に生物学的組織内にしばしば生ずる水素原子核は医学診断に有効な像の作成を可能にする。しかし、例えば13C、19F、23Na、31Pのような重い磁気核も生物学的組織内のそれらのわずかな濃度にもかかわらず検知され、水素核と類似して像として表示される。生物学的組織内に存在する最も重要な核の共鳴振動数と、等しい測定周波数におけるそれらの相対的な検知感度とはその自然の存在を考慮に入れて図3に示されている。
【0004】
しかし、検査される原子核が異なる分子に含まれている実験では、等しい磁界の際にわずかに異なる共鳴振動数が観測される。その原因はいわゆる“化学シフト”を生じさせる分子内の電子である。化学シフトとは、核が位置している化学結合の形式に関係して共鳴振動数が磁界強さに比例してわずかにシフトする性質をいう。
【0005】
図4には例として2Tの磁界強さにおける人間の上肢筋肉からの燐スペクトルが示されている。異なる化学シフトに基づいてメタボライト・アデノシン−3−リン酸(ATP)、リン酸クレアチニン(PCr)、無機リン酸塩(Pi)、リン酸ジエステル(PDE)が区別される。
【0006】
特に水素の共鳴振動数の撮像の場合には脂肪と水との間の境界層における患者組織の表示の際に、化学シフトの影響に起因するアーティファクトが生ずる。人体内での化学シフトの高い濃度に基づいて主として自由水と脂肪との水素核が像に寄与する。それらの相対的な共鳴振動数差Δfは約3ppm(100万分の1)である。Δfはデータ取得の間に能動的な勾配(“読取り勾配”または“周波数コード化勾配”の方向の両方の核の像の相対的なシフトを生じる。シフト量は画素あたりに使用される帯域幅に関係し、この帯域幅はなかんずく視野およびマトリックスの大きさに関係する。
【0007】
従って、利用者にアナトミー(解剖学)へのオリエンテーションを容易にするために、スピン種の信号を完全にまたはある程度まで抑制することが要求される。
【0008】
一般に脂肪信号は、重要な診断上の情報が水信号から取り出されるという理由から抑制される。脂肪信号の挿入(または不完全な抑制)は(例えば整形外科学で)アナトミックなオリエンテーションの役割をする。
【0009】
水素核の核共鳴の撮像の際、固定的に設定された脂肪抑制度を有する水像の表示が通常行なわれる。この標準法は、両方のスピン種のただ1つ(特に脂肪)を捕捉し、角度α≦90°だけ横方向の平面内で回転する選択的な狭帯域のHFパルスを入射するために、水と脂肪との間の周波数シフトを利用する。適当な勾配パルス(スポイラー勾配)の入射により横方向の磁化が完全にデフェージングされ、縦方向のスピン成分のみがコヒーレントであるように取り計らわれる。α=90°の場合、HFパルスの入射の後に縦方向の成分がもはや存在していないので、すべての脂肪成分が抑制される。
【0010】
しかしながら、上記の方法によれば、表示される像のなかに入る抑制度が利用者によりこれまで撮像の前にしか固定的に設定され得ず、変更は測定の終了後に可能でない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、測定の後に測定像のなかの2つまたはそれ以上のコントラスト像の成分の表示を変更し得る核スピントモグラフィ測定像の処理および表示装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この課題は本発明によれば請求項1の特徴事項により解決される。従属請求項は本発明の中心的な考え方の特に有利な実施態様に関する。
【0013】
すなわち、少なくとも2つのコントラスト像を同時に撮像するためにメモリを有する核スピントモグラフィ測定像の処理および表示装置が提案される。コントラスト像は例えばそれぞれ異なる化学シフトを有する種々のスピン集団から取得されたものであってよい。しかしコントラスト像を種々の磁気共鳴像(アナトミック磁気共鳴像、磁気共鳴血管撮影像または機能的磁気共鳴像)から取得し、重畳された像を同一のアナトミーの2つまたは3つの像の切換えにより取得することも考えられる。
【0014】
さらに、この装置は、撮像されたコントラストを可視化するための像スクリーンとコントラストを選択するために像スクリーン上に可視化される入力装置とを含んでいる。
【0015】
本発明によれば、入力装置によって、2つまたは3つの撮像されたコントラスト像の間でコントラストの無段階的な切換えが可能にされる。
【0016】
入力装置は2つのコントラスト像用として直線的なスライダの形態で実現され、終端点がそれぞれ純粋なコントラスト像に相当する。
【0017】
特にスピン集団に基づくコントラスト像の場合、第1のスピン集団は水を、第2のスピン集団は脂肪であってよい。
【0018】
コントラストの同時撮像は処理装置内でディクソン(Dixon)法により、もしくは標準法によるそれぞれ他のスピン集団の信号の抑制により行われる。
【0019】
本発明の別の特に有利な実施態様は、それぞれのスピン集団のコントラスト表示が相異なる色で行われることである。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の他の利点、特徴および特性は以下において図面を参照して実施例により詳細に説明される。
【0021】
図1は本発明により対象物の核スピン像を発生するための核スピントモグラフィ装置の概要図を示す。核スピントモグラフィ装置の構成は従来のトモグラフィ装置の構成に相当する。基本磁界磁石1が例えば人体の検査すべき部分のような対象物の検査範囲内の核スピンを分極もしくは方向付けるための時間的に一定な強い磁界を発生する。基本磁石磁界の核スピン共鳴測定のために必要な高い均等性は、人体の検査すべき部分が入れられる球状の測定ボリュームMのなかに定められている。均等性の必要条件を支援するために、また特に時間的に不変の影響を消去するために、適当な個所に強磁性の材料から成るいわゆるシム板が取付けられる。時間的に可変の影響は、シム電流源15により駆動されるシムコイル2により消去される。
【0022】
基本磁界磁石1内に、3つの部分巻線から成る円筒状の勾配コイルシステム3が入れられている。各部分巻線は増幅器14からデカルト座標系のそれぞれの方向に直線状の勾配磁界を発生するための電流を供給される。勾配磁界システム3の第1の部分巻線はx方向の勾配Gxを、第2の部分巻線はy方向の勾配Gyを、第3の部分巻線はz方向の勾配Gzを発生する。各増幅器14は、シーケンス制御装置18により勾配パルスを時間的に正しく発生するべく駆動されるディジタル‐アナログ変換器DACを含んでいる。
【0023】
勾配磁界システム3の内側に、高周波電力増幅器30から発せられる高周波パルスを、検査すべき対象物または検査すべき対象物範囲の核を励起しまた核スピンを方向付けるための交番磁界に変換する高周波アンテナ4が位置している。高周波アンテナ4によって、歳差運動する核スピンから出発する交番磁界(すなわち通常、1つまたは複数の高周波パルスと1つまたは複数の勾配パルスとから成るパルスシーケンスによって惹き起された核スピンエコーパルス)が電圧に変換され、この電圧は増幅器7を介して高周波システム22の高周波受信チャネル8に供給される。高周波システム22はさらに送信チャネル9を含み、そのなかで磁気的な核共鳴を励起するための高周波パルスが発生される。その際にそのつどの高周波パルスは設備コンピュータ20により予め定められたパルスシーケンスに基づいてシーケンス制御装置18内にディジタル的に複素数の列として表示される。この数列は実数成分および虚数成分としてそれぞれ入力端12を経て高周波システム22内のディジタル‐アナログ変換器DACに、これから送信チャネル9に供給される。送信チャネル9内でパルスシーケンスは高周波搬送周波数により変調され、その基本周波数が測定ボリューム内の核スピンの共鳴振動数に相当する。
【0024】
送信作動から受信作動への切換えは送信受信切換器6を介して行われる。高周波アンテナ4は核スピンを励起するための高周波パルスを測定ボリュームM内に入射し、その結果として生ずるエコー信号を検出する。このようにして取得された核共鳴信号は高周波システム22の受信チャネル8内で位相判別して復調され、それぞれのアナログ‐ディジタル変換器を介して測定信号の実数部分および虚数部分に変換される。像コンピュータ17により、こうして取得された測定データから像が再構成される。測定データ、像データおよび制御プログラムの管理は設備コンピュータ20を介して行われる。制御プログラムによる設定に基づいてシーケンス制御装置18はそれぞれ所望のパルスシーケンスおよびk空間の相応の標本化をコントロールする。特にシーケンス制御装置18は勾配の時間的に正しい投入、定められた位相および振幅を有する高周波パルスの送信ならびに核共鳴信号の受信を制御する。高周波システム22およびシーケンス制御装置18に対する時間基準はシンセサイザ19から与えられる。核スピン像を発生するための制御プログラムの選択ならびに発生された核スピン像の表示は、キーボードならびに1つまたは複数の像スクリーンを含んでいる端末装置21を介して行われる。なお、図1において、5は対象物(患者)が載せられる対象物台、11は高周波システム22の出力端である。
【0025】
本発明の基本的な考えは2つまたは3つのコントラスト像の核スピントモグラフィ像を別々に発生することである。これは上記の方法による、またはディクソン(Dixon)法による2点法または多点法による分離した撮像により行われる。
【0026】
像情報(すなわち、例えば脂肪および水のように2つの種の場合にスピン種またはスピン集団のコントラスト像)が像コンピュータ17のメモリ25内に別々に存在しているならば、設備コンピュータ20のソフトウェアの側から、表示範囲のなかで純粋な水像から純粋な脂肪像への無段階的な切換えを画素ごとに線形に発生することが可能である。
合計(x)=脂肪×(1−x)+水×x
【0027】
純粋な脂肪像はx=0に対して得られ、純粋な水像はx=1に対して得られ、等しい重み付けはx=0.5に対して得られる。(脂肪および水はここで単に例として理解すべきである)。パラメータxの制御は、例として図2aに示されているように、端末装置21上の入力インタフェースを介して行われる。2つのコントラストの切換えのためには一次元スライダ23(図2a)で十分である。このスライダは左端に100%のコントラスト1を、右端に100%のコントラスト2を、中央位置に50‐50コントラストを有し、それらの間に連続的な移行を有する。
【0028】
メモリ25内に3つのスピン種の同時の撮像が存在する場合、3つのコントラストの切換えのために三角形コントローラ24(図2b)が使用される。3つの角の位置はそれぞれコントラストの100%として解釈され、中央位置は3つのコントラストの1/3−1/3−1/3として解釈され、2つのコントラストの間の三角形境界上の位置は3つのコントラストの2つの間を切換える
【0029】
図2cには、どのように3つのコントラストのコントロールが計算により変換されるかを示す。向かい合う三角形の辺への垂線の長さはそれぞれのコントラスト成分の尺度を表す。
【0030】
その際に成分の全長は正規化されている。
1+x2+x3=1
【0031】
3つのコントラスト像は相応のコントラスト成分を有する垂線の重み付けから生ずる。
1×コントラスト1+x2×コントラスト2+x3×コントラスト3
【0032】
コントラストコントロールを能動化するためには、コマンド(例えばマウスキーまたはキーボード)およびその後の入力装置の一次元(2つのコントラストのコントロールの場合)または二次元(3つのコントラストのコントロールの場合)の運動で十分である。この入力装置はマウスであってよいが、マウスでなくてもよい。運動は任意の形式の“翻訳”により位置インジケータまたはコントラストインジケータの位置に変換される。
【0033】
理想的にこうしてダイナミックに例えば純粋な水表示から純粋な脂肪表示へ、または第3の種の表示へ切換ええられる。通常のグレイスケール表示のほかに、多色の表示(水に対しては青スケール、脂肪に対しては赤スケール等々)も考えられる。
【0034】
言及しておくべきこととして、以上の説明はコントラスト像がアナトミック磁気共鳴像、磁気共鳴血管撮影像または機能的磁気共鳴像のような種々の形式の磁気共鳴像から成るときに等しく当てはまる。
【図面の簡単な説明】
【図1】核スピントモグラフィ装置の概要構成図。
【図2】図2aは2つのコントラストの切換えのための一次元スライダの形態の入力装置を示す図、図2bは3つのコントラストの切換えのための三角形コントローラの形態の入力装置を示す図、図2cは三角形コントローラの可能な設定を示す図。
【図3】生物学的組織内に存在する最も重要な核の共鳴振動数およびそれらの相対的な検知感度を示す図。
【図4】2Tの磁界強さにおける人間の上肢筋肉からの燐スペクトルを示す図。
【符号の説明】
1 基本磁界磁石
2 シムコイル
3 勾配コイルシステム
4 高周波アンテナ
5 対象物台
6 送信受信切換器
7 増幅器
8 高周波受信チャネル
9 送信チャネル
11 出力端
12 入力端
14 増幅器
15 シム電流源
17 像コンピュータ
18 シーケンス制御装置
19 シンセサイザ
20 設備コンピュータ
21 端末装置
22 高周波システム
23 一次元スライダ
24 三角形コントローラ
25 メモリ

Claims (7)

  1. 少なくとも2つのコントラスト像を記憶するためのメモリ(25)と、核スピントモグラフィ測定像を可視化するための像スクリーン(21)と、表示すべき核スピントモグラフィ測定像のコントラストを選択するために像スクリーン(21)上に可視化される入力装置(24)と、入力装置(24)を用いて選択されたコントラストに基づいてメモリ(25)内に記憶されているコントラスト像から像スクリーン(21)上に表示すべき核スピントモグラフィ測定像を計算するための処理装置とを含み
    入力装置は3つのコントラスト像用として三角形コントローラ(24)の形態で実現され、終端点がそれぞれ純粋なコントラスト像に相当する
    ことを特徴とする核スピントモグラフィ測定像の処理および表示装置。
  2. 入力装置が3つのコントラスト像の間でコントラストの無段階的な選択を可能にすることを特徴とする請求項1記載の装置。
  3. コントラスト像がそれぞれ異なる化学シフトの種々のスピン集団に基づいていることを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
  4. コントラスト像が種々の形式の磁気共鳴像に基づいていることを特徴とする請求項1乃至の1つに記載の装置。
  5. 第1のスピン集団が水を、第2のスピン集団が脂肪を表すことを特徴とする請求項記載の装置。
  6. 処理装置内でコントラスト像の同時の計算がディクソン(Dixon)法により、もしくは標準法によるそれぞれ他のスピン集団の信号の抑制により行われることを特徴とする請求項1乃至の1つに記載の装置。
  7. それぞれのスピン集団のコントラスト表示が相異なる色で行われることを特徴とする請求項1乃至の1つに記載の装置。
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