JP4237960B2 - ローソニア・イントラセルラリス・ワクチン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)タンパク質をコードする核酸配列、これらの配列を含むDNA断片、組換えDNA分子および生組換え運搬体、そのような核酸配列、DNA断片、組換えDNA分子および生組換え運搬体を含む宿主細胞、これらのヌクレオチド配列にコードされるタンパク質、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)感染に対するワクチン、その製造方法、ならびにローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)の検出のための診断手段に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
ブタ増殖性腸疾患(PPEまたはPE)は、世界中の現代の養豚業における重要な疾患となっている。該疾患は、成長中の家畜群の15%〜50%を冒し、確認された問題家畜群における個々の動物の30%までを冒す。現在、余分な飼料および施設時間経費における年間経済的損失は、罹患ブタ1匹当たり5〜10米ドルであると見積もられている。PPEは、多種多様な臨床的徴候(死亡、衰弱および貧血動物、漿液性、濃い又は真っ赤な下痢、機能低下、食欲低下および運動に対する抵抗、成長遅延ならびにFCRの増加)の慢性および急性状態の一群である。しかし、2つの一貫した特徴がある。第1に、剖検時に認められるにすぎない病理学的変化として、小腸および結腸粘膜の肥厚がある。第2に、罹患腸の小腸上皮細胞内の細胞質内小湾曲細菌の存在が挙げられる。現在、これらの細菌がPPEの病原体であると確認されており、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)と称されている。
【0003】
何年にもわたり、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)は実質的に全ての動物[サル、ウサギ、フェレット、ハムスター、キツネ、ウマ、ならびにダチョウおよびエモー(emoe)などの多様な他の動物を含む]を冒すことが判明している。ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)は、真核生物の小腸上皮細胞内でのみ増殖するグラム陰性有鞭毛細菌であり、無細胞培養は記載されていない。ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)は、該細胞内で維持され増殖するためには、分裂するクリプト細胞に侵入しなければならない。該細菌は細胞膜に結合し、侵入小胞を介して小腸上皮細胞に素早く侵入する。ついでこれは急速(3時間以内)に分解し、該細菌は該細胞質内で自由に繁殖し増殖する。該細菌が感染細胞の成熟を妨げ、分裂を継続し、形成不全クリプト細胞を形成するメカニズムは依然として不明である。
【0004】
ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)の感染、該疾患の治療および予防に関する現在の知見は、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)を無細胞培地内で培養できないことにより妨げられている。ラット小腸上皮細胞内でローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)を共培養することに成功したという報告があるが、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)に対するワクチンが必要とされていることが明らかであるにもかかわらず、これはそのようなワクチンの開発につながっていない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
驚くべきことに、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)が、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)に対する防御免疫を単独で又は一緒になって誘導しうる3つの新規外膜タンパク質(OMP)を産生することが、本発明において見出された。
【0006】
それらの3つの新規外膜タンパク質を、19/21kD、37kDおよび50kDタンパク質とする。該19/21kDタンパク質は19kD形および21kD形の2つの異なる形態で見出され、一方のタンパク質は他方のタンパク質の修飾体であり、両者は同一のアミノ酸配列を含む。
【0007】
該37kDおよび50kDタンパク質のアミノ酸配列は、配列識別番号配列番号2および4で示される。これらの2つのタンパク質をコードする遺伝子の配列を決定し、それらの核酸配列を配列識別番号配列番号1および3に示す。該19/21kDタンパク質は、それぞれ7、12および12アミノ酸の3つの内部アミノ酸配列により特徴づけられる。これらのアミノ酸配列を配列番号5、6および7に示す。
【0008】
多数の異なる核酸配列が1つの同一タンパク質をコードしうることが、当技術分野においてよく知られている。この現象は、一般には、アミノ酸をコードする各トリプレットの2番目および特に3番目の塩基における、ゆらぎとして知られている。この現象は、同一タンパク質を尚もコードする2つの核酸配列に関する約30%の非相同性を引き起こす。したがって、約70%の配列相同性を有する2つの核酸配列は尚も1つの同一タンパク質をコードしうる。
【0009】
【発明の実施の形態】
したがって、1つの実施形態は、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)タンパク質をコードする核酸配列およびそのタンパク質の免疫原性断片をコードするその核酸配列の一部であって、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも70%の相同性レベルを有する核酸配列またはその一部に関する。
【0010】
好ましくは、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)タンパク質をコードする核酸配列または該核酸配列の一部は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも80%、好ましくは90%、より好ましくは95%の相同性を有する。より一層好ましいのは、98%または更には100%の相同性レベルである。
【0011】
また、この実施形態は、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsoniaintracellularis)タンパク質をコードする核酸配列およびそのタンパク質の免疫原性断片をコードするその核酸配列の一部であって、配列番号3の核酸配列に対して少なくとも70%の相同性レベルを有する核酸配列またはその一部に関する。
【0012】
好ましくは、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)タンパク質をコードする核酸配列または該核酸配列の一部は、配列番号3の核酸配列に対して少なくとも80%、好ましくは90%、より好ましくは95%の相同性を有する。より一層好ましいのは、98%または更には100%の相同性レベルである。
【0013】
ヌクレオチド相同性のレベルは、コンピュータープログラム「BLAST2 SEQUENCES」を用いて、www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/bl2seq/bl2.html.において見出されるサブプログラム「BLASTN」を選択することにより測定することができる。このプログラムに関する参考文献としては、Tatiana A,Tatusova,Thomas L.Madden FEMS Microbiol.Letters174:247−250(1999)が挙げられる。用いるパラメーターは以下のデフォルトパラメーターである:マッチに関するリウォード(reward):+1、ミスマッチに関するペナルティー:−2、オープン・ギャップ:5、伸長ギャップ:2、ギャップx ドロップオフ(dropoff):50。
【0014】
また、本発明のこの実施形態の1つの形態は、配列番号2に示すアミノ酸配列を含む新規ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)タンパク質またはそのポリペプチドの免疫原性断片をコードする核酸配列に関する。
【0015】
その実施形態の好ましい形態においては、その核酸配列は、配列番号1に記載の核酸配列に対して少なくとも90%、より好ましくは95%、98%または更には100%の相同性を有する。
【0016】
また、本発明のこの実施形態の1つの形態は、配列番号4に示すアミノ酸配列を有する新規ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)タンパク質または該ポリペプチドの免疫原性断片をコードする核酸配列に関する。
【0017】
その実施形態の好ましい形態においては、その核酸配列は、配列番号3に記載の核酸配列に対して少なくとも90、より好ましくは95%、98%または更には100%の相同性を有する。
【0018】
本発明は、新規ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)37kDおよび50kDタンパク質をコードする核酸配列を開示するものであるため、これらのタンパク質を十分な量で得ることが今や初めて可能となった。これは、例えば、該タンパク質をコードする遺伝子を発現させるための発現系を用いて行うことができる。したがって、より好ましい実施形態において、本発明は、本発明の核酸配列を含むDNA断片に関する。そのようなDNA断片は、例えば、本発明の核酸配列がクローニングされるプラスミドでありうる。そのようなDNA断片は、例えば、後記のとおり、プライマーとして使用してDNA量を増加させるのに有用である。
【0019】
該核酸配列の発現のための必須要件は、該核酸配列に機能的に連結した適当なプロモーターであり、この場合、該核酸配列は該プロモーターの制御下にある。プロモーターの選択は、タンパク質発現のための宿主細胞として使用する細胞内で遺伝子転写を指令しうる任意の真核性、原核性またはウイルス性プロモーターに及ぶことが、当業者に明らかである。
【0020】
したがって、この実施形態の更に好ましい形態は、機能的に連結したプロモーターの制御下に配置された本発明のDNA断片または核酸配列を含む組換えDNA分子に関する。これは、例えば、標準的な分子生物学的技術(Maniatis/Sambrook)(Sambrook,J.Molecular cloning:a laboratory manual,1989.ISBN 0−87969−309−6)により得ることができる。機能的に連結したプロモーターは、連結している核酸配列の転写を制御しうるプロモーターである。そのようなプロモーターは、ローソニア(Lawsonia)プロモーター、例えば、該19/21kD、37kDまたは50kD遺伝子のインビボ発現に関与するプロモーターでありうる。ただし、そのプロモーターは、発現に使用する細胞内で機能的でなければならない。それはまた、異種プロモーターでありうる。該宿主細胞が細菌である場合、使用しうる有用な発現制御配列には、Trpプロモーターおよびオペレーター(Goeddelら,Nucl.Acids Res.,8,4057,1980);lacプロモーターおよびオペレーター(Changら,Nature,275,615,1978);外膜タンパク質プロモーター(Nakamura,K.およびInouge,M.,EMBO J.,1,771−775,1982);バクテリオファージラムダプロモーターおよびオペレーター(Remaut,Eら,Nucl.Acids Res.,11,4677−4688,1983);α−アミラーゼ(B.subtilis)プロモーターおよびオペレーター、選択された宿主細胞に適合した終結配列および他の発現増強配列および発現制御配列が含まれる。該宿主細胞が酵母である場合、有用な発現制御配列には、例えば、α−交配因子が含まれる。昆虫細胞の場合、バキュロウイルスのポリヘドロンまたはp10プロモーターを使用することができる(Smith,G.E.ら,Mol.Cell.Biol.3,2156−65,1983)。該宿主細胞が哺乳類由来の場合、例示的な有用な発現制御配列には、SV−40プロモーター(Berman,P.W.ら,Science,222,524−527,1983)またはメタロチオネインプロモーター(Brinster,R.L.,Nature,296,39−42,1982)または熱ショックプロモーター(Voellmyら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82,4949−53,1985)が含まれる。
【0021】
細菌、酵母、真菌、昆虫および哺乳類細胞発現系は、非常に頻繁に使用されている系である。そのような系は当技術分野においてよく知られており、一般には、例えば、Clontech Laboratories,Inc.4030 Fabian Way,Palo Alto,California 94303−4607,USAから商業的に入手可能である。これらの発現系の他には、寄生体に基づく発現系が非常に魅力的な発現系である。そのような系は、例えば、公開番号2 714 074を有するフランス国特許出願および米国NTIS公開番号US 08/043109(Hoffman,S.およびRogers,W.:公開日1993年12月1日)に記載されている。
【0022】
本発明のこの実施形態の更に一層好ましい形態は、本発明の19/21kD、37kDまたは50kDタンパク質またはその免疫原性断片をコードする核酸配列、本発明のDNA断片または本発明の組換えDNA分子を含む生組換え運搬体(Live Recombinant Carrier)(LRC)に関する。そのような運搬体は、例えば、細菌またはウイルスである。これらのLRCは、追加的な遺伝情報(この場合には、本発明の19/21kD、37kDまたは50kDタンパク質またはその免疫原性断片をコードする核酸配列)がクローニングされている微生物またはウイルスである。そのようなLRCに感染した動物は、該運搬体の免疫原に対してだけではなく、該遺伝暗号(例えば、19/21kD、37kDまたは50kD遺伝子)が該LRC内に追加的にクローニングされたタンパク質の免疫原性部分に対しても免疫原性応答を引き起こす。細菌LRCの一例として、当技術分野で公知の弱毒化サルモネラ(Salmonella)株が好ましく使用されうる。生組換え運搬寄生体は、とりわけ、Vermeulen,A.N.(Int.Journ.Parasitol.2:1121−1130(1998))に記載されている。また、LRCウイルスは、標的細胞内に該核酸配列を輸送する手段として使用することができる。生組換え運搬ウイルスはベクターウイルスとも称される。ベクターとしてしばしば使用されるウイルスとしては、ワクシニアウイルス(Panicaliら;Proc.Natl.Acad.Sci.USA,79:4927(1982)、ヘルペスウイルス(E.P.A.0473210A2)およびレトロウイルス(Valerio,Dら;Baum,S.J.,Dick,K.A.,Lotzova,E.およびPluznik,D.H.(編),Experimental Haematology today−1988.Springer Verlag,New York:pp.92−99(1989))が挙げられる。
【0023】
該宿主動物において本発明の挿入核酸配列の発現を誘導しうる選択された細菌、寄生虫またはウイルスのゲノム内に組換え核酸配列を導入するためには、当技術分野でよく知られているインビボ相同組換えの技術を用いることができる。
【0024】
最後に、本発明のこの実施形態のもう1つの形態は、本発明のタンパク質をコードする核酸配列、そのような核酸配列を含むDNA断片またはそのような核酸配列を含む組換えDNA分子(該核酸配列は、機能的に連結したプロモーターの制御下にある)を含む宿主細胞に関する。この形態はまた、本発明の19/21kD、37kDまたは50kDタンパク質またはその断片をコードする核酸分子を含有する生組換え運搬体を含有する宿主細胞に関する。宿主細胞は、細菌に基づくプラスミド(例えば、pBR322)または細菌発現ベクター(例えば、pGEX)またはバクテリオファージと組合された、細菌由来の細胞、例えば、大腸菌(Escherichia coli)、バシラス・サチリス(Bacillus subtilis)およびラクトバシラス(Lactobacillus)種でありうる。該宿主細胞はまた、酵母特異的ベクター分子と組合された真核生物由来の細胞(例えば、酵母細胞)、またはベクターまたは組換えバキュロウイルスと組合された高等真核細胞、例えば昆虫細胞(Luckowら;Bio−technology 6:47−55(1988))、例えばTi−プラスミドに基づくベクターまたは植物ウイルスベクターと組合された植物細胞(Barton,K.A.ら;Cell 32:1033(1983))、同様に適当なベクターまたは組換えウイルスと組合された哺乳類細胞、例えばHela細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはクランデルネコ(Crandell Feline)腎細胞でありうる。
【0025】
本発明のもう1つの実施形態は、本発明の新規タンパク質、すなわち、該19/21kDタンパク質、該37kDおよび50kDタンパク質、ならびにそれらの免疫原性断片に関する。
【0026】
免疫原性断片の概念は後記で定義する。
【0027】
この実施形態の1つの形態は、配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも70%相同なアミノ酸配列を有するローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)タンパク質、および該タンパク質の免疫原性断片に関する。
【0028】
好ましい形態においては、該実施形態は、配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、好ましくは90%、より好ましくは95%の相同性の配列相同性を有するローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)タンパク質、およびそのようなタンパク質の免疫原性断片に関する。より一層好ましいのは、98%または更には100%の相同性レベルである。
【0029】
この実施形態のもう1つの形態は、とりわけ、配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも70%相同なアミノ酸配列を有するローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)タンパク質、および該タンパク質の免疫原性断片に関する。
【0030】
好ましい形態は、配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、好ましくは90%、より好ましくは95%の相同性の配列相同性を有するローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)タンパク質、およびそのようなタンパク質の免疫原性断片に関する。より一層好ましいのは、98%または更には100%の相同性レベルである。
【0031】
この実施形態の更にもう1つの形態は、
a)外膜調製物をSDS−PAGEに付し、
b)そのゲルから19または21kDのバンドを切り出す工程を含む製造方法により入手可能な、19/21kDの分子量を有するローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)外膜タンパク質、およびそのタンパク質の免疫原性断片に関する。
【0032】
実施例1において、これらの工程の実施方法の一例を詳しく説明する。まず、感染ブタ回腸からローソニア・イントラセルラリス(L.intracellularis)を単離する工程、ついで、ローソニア・イントラセルラリス(L.intracellularis)外膜タンパク質調製物を得るための方法を説明する。最後に、「外膜タンパク質の配列決定」の項で、19または21kDのバンドを該ゲルから単離するための方法を説明する。
【0033】
好ましい形態においては、このローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)タンパク質またはそのタンパク質の免疫原性断片は、配列番号5に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも70%相同な内部アミノ酸配列、配列番号6に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも70%相同な内部アミノ酸配列、または配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも70%相同な内部アミノ酸配列を有する。
【0034】
より好ましい形態においては、このローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)タンパク質またはそのタンパク質の免疫原性断片は、配列番号5、6または7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、好ましくは90%、より好ましくは95%の相同性の配列相同性を有する。より一層好ましいのは、98%または更には100%の相同性レベルである。
【0035】
タンパク質相同性のレベルは、コンピュータープログラム「BLAST2 SEQUENCES」を用いて、www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/bl2seq/bl2.html.において見出されるサブプログラム「BLASTP」を選択することにより測定することができる。このプログラムに関する参考文献としては、Tatiana A,Tatusova,Thomas L.Madden FEMS Microbiol.Letters 174:247−250(1999)が挙げられる。用いるマトリックス:「blosum62」。用いるパラメーターは以下のデフォルトパラメーターである:オープン・ギャップ:11、伸長ギャップ:1、ギャップx ドロップオフ(dropoff):50。
【0036】
本発明に含まれる特定のタンパク質の場合、個々のローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)株間で自然変異が存在しうると理解されるであろう。これらの変異は、全体の配列中のアミノ酸の相違により又は該配列中の欠失、置換、挿入、逆位もしくは付加により示されうる。生物学的および免疫学的活性を実質的に改変しないアミノ酸の置換は、例えば、Neurathら,“The Proteins”Academic Press New York (1979)に記載されている。関連アミノ酸間のアミノ酸置換または進化中に頻繁に生じた置換としては、とりわけ、Ser/Ala、Ser/Gly、Asp/Gly、Asp/Asn、IIe/Valが挙げられる(Dayhof,M.D.,Atlas of protein sequence and structure,Nat.Biomed.Res.Found.,Washington D.C.,1978,vol.5,suppl.3を参照されたい)。他のアミノ酸の置換には、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Thr/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Leu/IIe、Leu/ValおよびAla/Gluが含まれる。この情報に基づき、LipmanおよびPearsonは、タンパク質を迅速かつ高感度に比較し(Science,227,1435−1441,1985)相同タンパク質間の機能的類似性を測定するための方法を開発した。本発明の代表的な実施形態のそのようなアミノ酸置換ならびに欠失および/または挿入を有する変異は、生じるタンパク質がそれらの免疫反応性を保有している限り、本発明の範囲内に含まれる。これは、種々の野外分離体から単離された場合の本発明のローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)タンパク質が、同じ免疫学的特性を有する同じタンパク質を表す一方で約70%の相同性レベルを有しうる理由を説明するものである。ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)感染に対して又は少なくとも該感染の臨床的徴候に対して免疫応答を誘導しうるタンパク質を尚も与える、本発明の或るタンパク質のアミノ酸配列内の変異は、「該免疫原性に実質的に影響を及ぼさない」とみなされる。
【0037】
しかし、タンパク質を、例えばワクチン接種の目的に又は抗体を産生させるために使用する場合には、必ずしも該全タンパク質を使用する必要はない。また、単独で又は担体(例えばKLH)と共役してそのタンパク質に対する免疫応答を誘導しうる、そのタンパク質の断片(いわゆる免疫原性断片)を使用することが可能である。「免疫原性断片」は、宿主において免疫応答を誘導する能力を尚も保有する(すなわち、B−またはT−細胞エピトープを含む)、完全長タンパク質の断片であると理解される。現在、種々の技術を利用して、抗原断片(決定基)をコードするDNA断片を容易に同定することが可能である。Geysenら(特許出願WO84/03564、特許出願WO86/06487、米国特許第4,833,092号、Proc.Natl.Acad.Sci.81:3998−4002(1984)、J.Imm.Meth.102,259−274(1987))により記載されている方法(いわゆるPEPSCAN法)は、エピトープ(免疫学的に重要な該タンパク質の領域)検出のための、実施容易で、迅速で十分に確立された方法である。該方法は、世界中で用いられており、それ自体が当業者によく知られている。この(実験的)方法は、B細胞エピトープの検出に特に適している。また、いずれかのタンパク質をコードする遺伝子の配列が与えられると、現在公知のエピトープに対するそれらの配列上および/または構造上の一致に基づいて、免疫学的に重要なエピトープとして特定のポリペプチド断片を示すことが、コンピューターアルゴリズムにより可能である。これらの領域の決定は、HoppおよびWoods(Proc.Natl.Acad.Sci.78:38248−3828(1981))による親水性の基準とChouおよびFasman(Advances in Enzymology 47:45−148(1987)および米国特許第4,554,101号)による二次構造的観点との組合せに基づく。同様に、Berzofskyの両親媒性の基準(Science 235,1059−1062(1987)および米国特許出願NTIS 07/005,885)の助けによりコンピューターにより、該配列からT細胞エピトープを予想することが可能である。概要は、一般的原理に関してはShan Lu,Tibtech 9:238−242(1991)に、マラリアエピトープに関してはGoodら,Science 235:1059−1062(1987)に、概説としてはLu,Vaccine 10:3−7(1992)に、HIVエピトープに関してはBerzowsky,The FASEB Journal 5:2412−2418(1991)に記載されている。
【0038】
したがって、本発明のもう1つの実施形態の1つの形態は、前記のとおりの本発明の1以上のタンパク質またはその免疫原性断片と医薬上許容される担体とを含む、ブタに対してローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)感染を防御しうるワクチンに関する。
【0039】
本発明の更にもう1つの実施形態は、ワクチンとして使用するための本発明のタンパク質に関する。
【0040】
更にもう1つの実施形態は、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)感染に対するワクチンの製造のための、本発明のタンパク質の使用に関する。
【0041】
本発明のワクチンの製造方法の1つは、感染腸壁から採取した粘膜擦り取りにより得た細菌から本発明のタンパク質または免疫原性断片を生化学的に精製することによるものである。しかし、これは、非常に時間のかかるワクチン製造方法である。
【0042】
したがって、本発明のタンパク質または免疫原性断片をコードする遺伝子の発現産物をワクチン中で使用することが、はるかに簡便である。該37kDおよび50kDタンパク質をコードする遺伝子の核酸配列は、本発明で示されている。該19/21kDタンパク質をコードする遺伝子は、Maniatis(Maniatis/Sambrook(Sambrook,J.Molecular cloning:a laboratory manual,1989.ISBN 0−87969−309−6)に記載の混合プローブハイブリダイゼーションを用いて、容易に位置決定し単離することができる。配列番号5、6および7に示すアミノ酸配列は、以下の配列を有する混合プローブの基礎を形成する。
【0043】
【表1】
Figure 0004237960
【0044】
これらの配列を使用して、該19/21kDタンパク質をコードする遺伝子を位置決定し、該37kDおよび50kDタンパク質をコードする遺伝子を単離したのと同様にして該遺伝子を単離することができる。
【0045】
これらの遺伝子の発現産物に基づくそのようなワクチンは、本発明の1以上のタンパク質または本発明のその免疫原性断片を後記の医薬上許容される担体と混合することにより容易に製造することができる。
【0046】
あるいは、本発明のワクチンは、本発明のタンパク質または本発明のその免疫原性断片を発現しうる前記の生組換え運搬体を含みうる。胃上皮に感染する例えばサルモネラ(Salmonella)運搬体またはウイルス運搬体に基づくそのようなワクチンは、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)の自然感染態様により近いという、サブユニットワクチンより優れた利点を有する。さらに、それらの自己増殖は1つの利点である。なぜなら、免疫化のために、少量の該組換え運搬体だけしか必要でないからである。
【0047】
前記のワクチンはすべて、能動ワクチン接種に資する。すなわち、本発明の1以上のタンパク質またはその免疫原性断片により、該宿主の免疫系が、これらのタンパク質に対する抗体を産生するように誘導されるのである。あるいは、そのような抗体を、例えばウサギにおいて産生させたり、あるいは後記の抗体産生細胞系から得ることができる。ついでそのような抗体を宿主動物に投与することができる。このワクチン接種方法、すなわち、受動ワクチン接種は、動物が既に感染しており自然免疫応答を誘導する時間が無い場合に選択されるワクチン接種である。それは、免疫低下性動物にワクチン接種するのにも好ましい方法である。ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)に対する投与抗体は、これらの場合、該細菌に直接結合しうる。これは、それがローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)の増殖を直ちに減弱または停止するという利点を有する。したがって、本発明のこの実施形態の1つの形態は、本発明の3つのローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)タンパク質のいずれかに対する抗体を含むワクチンに関する。
【0048】
ワクチンはまた、本発明のタンパク質またはその免疫原性断片を含む前記の宿主細胞に基づきうる。
【0049】
もう1つの効率的なワクチン接種方法は、関連抗原をコードするDNAでの直接ワクチン接種である。タンパク質をコードするDNAでの直接ワクチン接種は、多数の異なるタンパク質に関して成功している(例えば、Donnellyら,The Immunologist 2:20−26(1993)に概説されているとおりである)。このワクチン接種方法は、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)感染に対するブタのワクチン接種に非常に有効である。したがって、本発明のこの実施形態の更に他の形態は、本発明のタンパク質または本発明の免疫原性断片をコードする核酸配列を含むワクチン、およびそのような核酸配列を含むDNA断片を含むワクチンに関する。この実施形態の更に他の形態は、本発明の組換えDNA分子を含むワクチンに関する。DNAワクチンは、例えば無針注射器を使用する皮内投与により容易に投与することができる。この投与方法は、ワクチン接種される動物の細胞内に直接的に該DNAを運搬する。1〜100μgのマイクログラム範囲のDNA量が非常に良好な結果を与える。
【0050】
もう1つの実施形態においては、本発明のワクチンは更に、他のブタ病原生物およびウイルスに由来する1以上の抗原、またはそのような抗原をコードする遺伝情報を含む。そのような生物およびウイルスは、好ましくは、仮性狂犬病ウイルス、ブタインフルエンザウイルス、ブタパルボウイルス、伝染性胃腸炎ウイルス、ロタウイルス、大腸菌(Escherichia coli)、エリシペロ・ルジオパシエ(Erysipelo rhusiopathiae)、ボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bordetella bronchiseptica)、サルモネラ・コレレスイス(Salmonella cholerasuis)、ヘモフィルス・パラスイス(Haemophilus parasuis)、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)、ストレプトコッカス・スイス(Streptococcus suis)、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)およびアクチノバシラス・プリゥロニュウモニエ(Actinobacillus pleuropneumoniae)よりなる群から選ばれる。
【0051】
本発明の全てのワクチンは医薬上許容される担体を含む。医薬上許容される担体は、例えば無菌水または無菌生理食塩水でありうる。より複雑な形態においては、該担体は、例えばバッファーでありうる。
【0052】
ワクチンの製造方法は、本発明のタンパク質またはその免疫原性断片と医薬上許容される担体とを混合することを含む。
【0053】
また、本発明のワクチンは、好ましい態様においては、アジュバントを含有しうる。アジュバントは、一般には、宿主の免疫応答を非特異的に増強する物質を含む。多数の種々のアジュバントが当技術分野で公知である。アジュバントの具体例としては、フロイント完全および不完全アジュバント、ビタミンE、非イオンブロック重合体、ムラミルジペプチド、Quill A(登録商標)、鉱油、例えばBayol(登録商標)またはMarkol(登録商標)、植物油、およびCarbopol(登録商標)(ホモ重合体)またはDiluvac(登録商標)Forteが挙げられる。該ワクチンはまた、いわゆる「ビヒクル」を含みうる。ビヒクルは、該ポリペプチドがそれに共有結合することなく付着している化合物である。しばしば使用されるビヒクル化合物としては、例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウムまたは酸化アルミニウム、シリカ、カオリンおよびベントナイトが挙げられる。該抗原を部分的に包埋するそのようなビヒクルの特別な形態は、いわゆるISCOM(EP 109,942、EP 180,564、EP 242,380)である。また、該ワクチンは、1以上の適当な界面活性化合物または乳化剤、例えばSpanまたはTweenを含みうる。
【0054】
しばしば、例えば分解し易いポリペプチドの分解を防ぎ、該ワクチンの貯蔵寿命を増加させ、あるいは凍結乾燥効率を改善させるために、該ワクチンを安定化剤と混合する。有用な安定化剤としては、とりわけ、SPGA(Bovarnikら;J.Bacteriology 59:509(1950))、炭水化物、例えばソルビトール、マンニトール、トレハロース、デンプン、ショ糖、デキストランまたはグルコース、タンパク質、例えばアルブミンまたはカゼインまたはそれらの分解産物、およびバッファー、例えばリン酸アルカリ金属が挙げられる。また、該ワクチンを、生理的に許容される希釈剤に懸濁させることができる。言うまでもなく、アジュバント化、ビヒクル化合物または希釈剤の添加、ポリペプチドの乳化または安定化のための他の方法も、本発明に含まれる。
【0055】
本発明のワクチンは、1〜100マイクログラムの量で非常に適切に投与されうるが、原則として、より少ない用量が用いられうる。100マイクログラムを超える用量は、免疫学的には非常に適しているが、商業的理由からはそれほど魅力的なものではない。
【0056】
生弱毒化組換え運搬体(例えば、前記のLRC−ウイルスおよび細菌)に基づくワクチンは、該感染中にそれ自体で増殖するため、それよりはるかに低い用量で投与されうる。したがって、非常に適切な量は、細菌およびウイルスに関してそれぞれ10および10 CFU/PFUの間の範囲となろう。
【0057】
多数の投与方法を適用することができる。例えば、該ワクチンの筋肉内投与による全身投与が、適当な投与方法である。この経路に従う場合には、全身投与のための当技術分野で公知の標準的な方法が良く適している。経口投与も、有効な投与方法である。なぜなら、該感染は消化管感染だからである。好ましい経口投与方法は、非常に酸性な胃環境中でのみ分解する当技術分野で公知で頻繁に使用されるカプセル内に該ワクチンをパッケージングすることである。また、胃のpHを一時的に増加させるために、該ワクチンを、当技術分野で公知の化合物と混合することが可能であろう。
【0058】
例えば該ワクチンの筋肉内投与による全身投与も適している。この経路に従う場合には、全身投与のための当技術分野で公知の標準的な方法が良く適している。
【0059】
疾患に対する防御の観点からは、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)感染の迅速かつ正確な診断が重要である。したがって、本発明のもう1つの目的は、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)感染の検出に適した診断手段を提供することである。
【0060】
ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)の検出のための診断試験は、例えば、被検動物から単離した細菌DNAと、該19/21kD、37kDまたは50kD遺伝子のコード配列に基づく特異的プローブまたはPCRプライマーとの反応に基づく。ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)DNAが該動物において存在する場合には、これは、例えば、特異的PCRプライマーに特異的に結合し、ついでPCR反応で増幅される。ついで該PCR反応産物は、DNAゲル電気泳動において容易に検出されうる。該DNAは、被検動物の消化管から採取したスワブ中に存在する微生物から最も容易に単離されうる。ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)DNAによる選択的PCR反応用のプライマーの長さを決定するための方法は、標準的なPCRテキストに記載されている。少なくとも12ヌクレオチドのヌクレオチド配列を有するプライマーが頻繁に使用されるが、15、より好ましくは18ヌクレオチドを超えるプライマーが、ある程度はより選択的である。特に、少なくとも20、好ましくは少なくとも30ヌクレオチドの長さを有するプライマーが非常に一般的に適用されうる。PCR技術は、Dieffenbach & Dreksler;PCR primer,a laboratory manual.ISBN 0−87969−447−5(1995)に詳細に記載されている。したがって、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)タンパク質をコードする核酸、または少なくとも12、好ましくは15、より好ましくは18、より一層好ましくは20、22、25、30、35または40ヌクレオチド(その順序で好ましくなる)の長さを有するそれらの核酸の一部であって、配列番号1または3に記載の核酸配列に対して少なくとも70%の相同性を有する該核酸配列またはそれらの一部も、本発明の一部である。そのような核酸配列をPCR反応におけるプライマーとして使用して、それらがコードするDNAの量を増加させることができる。これは、例えば前記の組織におけるローソニア(Lawsonia)の検出のための診断手段として使用する特異的ヌクレオチド配列の迅速な増幅を可能にする。
【0061】
DNAに基づくもう1つの試験は、スワブから得た細菌物質の増殖、およびそれに続く古典的DNA精製、およびそれに続く、放射能標識または色標識された19/21kD、37kDまたは50kDタンパク質特異的DNA断片での古典的ハイブリダイゼーションに基づくものである。PCR反応およびハイブリダイゼーション反応は共に、当技術分野でよく知られており、とりわけ、Maniatis/Sambrook(Sambrook,J.ら,Molecular cloning:a laboratory manual,ISBN 0−87969−309−6)に記載されている。
【0062】
したがって、本発明の1つの実施形態は、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)DNAの検出のための診断試験に関する。そのような試験は、本発明の核酸配列またはその断片(該19/21kD、37kDまたは50kDタンパク質をコードするDNAに特異的なもの)を含む。そのDNAに特異的な断片は、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)DNAに対する相同性がより高いため、他の細菌のDNAよりローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)DNAに対して、比較しうる条件下、より良好に結合する断片(例えば、前記のとおりの少なくとも12ヌクレオチドのプライマー)であると理解される。
【0063】
血清中のローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)抗体の検出のための診断試験は、例えば、本発明の19/21kD、37kDまたは50kDタンパク質またはその抗原断片がELISAプレートのウェルの壁にコートされた単純な標準的なサンドイッチELISA試験でありうる。そのような抗体の検出方法は、例えば、19/21kD、37kDまたは50kDタンパク質またはその抗原断片を被検哺乳動物からの血清と共にインキュベートし、ついで例えば、関連哺乳動物抗体に対する標識抗体と共にインキュベートするものである。ついで色反応が、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)に対する抗体の存在または不存在を示しうる。診断試験系のもう1つの例は、例えば、本発明の19/21kD、37kDまたは50kDタンパク質またはその抗原断片を含むウエスタンブロットを被検哺乳動物の血清と共にインキュベートし、ついで該ブロットを分析するものである。
【0064】
したがって、本発明のもう1つの実施形態は、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)に対する抗体の検出のための診断試験に関する。そのような試験は、本発明のタンパク質またはその断片を含む。
【0065】
また、本発明は、本発明の19/21kD、37kDまたは50kDタンパク質またはその抗原断片と共に血清をインキュベートすることを含む、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)に対する抗体の血清中での検出方法に関する。
【0066】
また、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)抗原の特異的19/21kD、37kDおよび50kDタンパク質の抗原物質の検出に基づく従ってローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)感染の検出に適した診断試験は、例えば、標準的なELISA試験でありうる。そのような試験の一例においては、ELISAプレートのウェルの壁を、該19/21kD、37kDまたは50kDタンパク質に対する抗体でコートする。被検物質と共にインキュベートした後、標識された抗ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)抗体を該ウェルに加える。ついで色反応が、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)由来の抗原物質の存在を示す。したがって、本発明の更にもう1つの実施形態は、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)の抗原物質の検出のための診断試験に関する。そのような試験は、本発明のタンパク質またはその断片に対する抗体を含む。
【0067】
前記で特徴づけられたとおりに表される本発明のポリペプチドまたはその免疫原性断片は、ポリクローナル、単一特異性またはモノクローナルでありうる抗体(またはその誘導体)の製造に使用することができる。ポリクローナル抗体が望ましい場合には、ポリクローナル血清を製造し加工するための技術が当技術分野で公知である(例えば、MayerおよびWalter編,Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology,Academic Press, London, 1987)。本発明のポリペプチド(またはその変異体または断片)対して反応性であるモノクローナル抗体は、同様に当技術分野で公知の技術により近交系マウスを免疫することにより製造することができる(KohlerおよびMilstein,Nature,256,495−497,1975)。
【0068】
本発明の更にもう1つの実施形態は、本発明の19/21kD、37kDもしくは50kDタンパク質またはその抗原性断片に対する抗体と共に血清、体液の組織をインキュベートすることを含む、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)からの抗原物質の検出方法に関する。
【0069】
最後に、本発明の1つの実施形態は、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)タンパク質をコードする核酸、または少なくとも20、好ましくは25、30、35または40ヌクレオチド(その順序で好ましくなる)の長さを有するそれらの核酸の一部であって、配列番号1または3に記載の核酸配列に対して少なくとも70%の相同性を有する該核酸配列またはそれらの一部に関する。そのような核酸配列をPCR反応におけるプライマーとして使用して、それらがコードするDNAの量を増加させることができる。これは、例えば前記の組織におけるローソニア(Lawsonia)の検出のための診断手段として使用する特異的ヌクレオチド配列の迅速な増幅を可能にする。
【0070】
【実施例】
実施例1:
感染ブタ回腸からのローソニア・イントラセルラリス(L.intracellularis)の分離
組織病理学的に及び抗酸Ziehl−Neelsen染色により確認されたローソニア・イントラセルラリス(L.intracellularis)感染回腸を、PEで死亡したブタから集め、−80℃で保存した。融解後、ローソニア・イントラセルラリス(L.intracellularis)細菌を、該感染腸壁から採取した粘膜擦り取り物から分離した。Lawsonら(Vet.Microbiol.10:303−323(1985))に記載のとおりに、細胞内細菌を遊離させるために、該回腸擦り取り物をオムニミキサーを用いてPBS中で繰返しホモジナイズした。細胞残渣を除去するための低速遠心分離の後で得られた上清を5.0、3.0、1.2および0.8μmフィルター(Millipore)で濾過した。ついで該濾液を8000gで30分間遠心分離して、ローソニア・イントラセルラリス(L.intracellularis)細菌の小さなペレットを得た。これらの細菌を、Percoll勾配を用いて更に精製した。精製された細菌の種類をPCRにより評価し(Jonesら,J.Clin.Microbiol.31:2611−2615(1993))、一方、存在しうる混入細菌または腸残渣を示すために、分離された細菌の純度(>95%)を位相差顕微鏡検査により評価した。
【0071】
ローソニア・イントラセルラリス(L.intracellularis)外膜タンパク質調製物
ローソニア・イントラセルラリス(L.intracellularis)からの外膜タンパク質(OMP)を、Barenkampら,J.Inf.Dis.148:1127(1983)に記載されているのと実質的に同じ方法で精製した。簡単に説明すると、Percoll勾配精製細菌を超音波により破壊した。膜断片を分画遠心により集め、Sarkosylおよび不溶性Sarkosyl OMPを超遠心分離によりペレット化した。該ペレットを50mM TRIS/HCl(pH7.5)に再溶解した。該OMPを4〜12% BIS/TRIS NuPAGE SDSポリアクリルアミドゲル(NOVEX)上で、該製造業者の説明に従い分離した(図1;パネルA)。比較のために、該隣接レーンに、全ローソニア・イントラセルラリス(L.intracellularis)細胞タンパク質をローディングした。該タンパク質を、Coomassie Brilliant Blue R250を使用して染色した。該外膜調製物においては、全細胞調製物と比較した場合の、50、37および19/21kDaにおけるタンパク質バンドの明らかに認められる増強を観察することができた。このことは、これらのタンパク質がOMPであることを示している。
【0072】
精製された外膜タンパク質および全細胞に対して産生させた及び実験的攻撃後に産生させた抗血清
ローソニア・イントラセルラリス(L.intracellularis)の全細胞および精製OMPに対する抗血清をウサギにおいて産生させた。n−GNE(水:油=45:55)中の全細胞(R291)またはOMP(R279)の調製物を、ウサギに筋肉内注射した。免疫前に耳静脈から血液サンプルを集めた。また、Percoll勾配精製細菌で実験的に経口攻撃しローソニア・イントラセルラリス(L.intracellularis)感染に典型的な臨床的徴候および死後病変を現したブタ(BIG304T4)から、血清を得た。
【0073】
ローソニア・イントラセルラリス(L.intracellularis)外膜タンパク質の抗原の特徴づけ
ローソニア・イントラセルラリス(L.intracellularis)OMPの抗原性を調べるために、該OMP調製物を4〜12% BIS/TRISNuPAGE SDS−PAGE(NOVEX)上にローディングした。分離後、該タンパク質を、基本的にはTowbinら(Natl.Proc.Acad.Sci.,76:4350−4354(1979))に従い、0.025MTRIS/0.192M グリシン/20% メタノール中のImmobilon−P PVDF膜(Millipore)にブロッティングした。膜を、0.05% Tween20(PBST)を含有する0.04M PBS中の1%脱脂粉乳でブロッキングし、ついでウサギR279抗血清(図1;パネルB)およびウサギR291抗血清(図1;パネルC)と共に1時間インキュベートし、ついでPBSTで2回洗浄した。ウサギ血清を、1% 脱脂乳/PBST中、500の希釈度で使用した。1:2000希釈したHRP共役ヤギ抗ウサギ免疫グロブリンを適用して、該ウサギ抗体を検出した。血清活性産物を、Enhanced Chemoluminescence(ECL,Amersham)により、該製造業者のプロトコールに従い検出した。両方の抗血清(R279およびR291)は、前記のタンパク質を認識した。主として、全細胞タンパク質をOMP調製物と比較して、50および37kDaのシグナルが再び増加し、このことはこれらの2つのタンパク質がOMPであることを示している。
【0074】
外膜タンパク質の配列決定
配列決定のために、BioRadProtean II系を該マニュアルに従い使用して、該OMP懸濁液を分取10% SDS−PAGEゲル上にローディングした。4つのタンパク質バンド(19/21、37および50kD)を該ゲルから切り出し、4℃でEurosequence(Groningen,The Netherlands)に輸送した。該全タンパク質のトリプシン消化後に得られた単離されたペプチドの及びN末端のタンパク質配列を、Applied Biosystems 120A PTH Sequenator上での自動エドマン分解により決定した。得られたタンパク質配列(表1)を、該コード遺伝子の増幅用のPCRプライマーの作製に使用した。該タンパク質配列から、該19kDおよび21kDタンパク質は、基本的には、同一タンパク質に相当すると結論づけた。サイズの相違は、おそらく、翻訳後修飾によるものであろう。
【0075】
外膜タンパク質遺伝子の増幅
OMP遺伝子を増幅するために、QIAGEN Genomic Tip 100を該製造業者による記載のとおりに使用して、ローソニア・イントラセルラリス(L.intracellularis)ゲノムDNAをPercoll勾配精製細菌から単離した。得られたタンパク質配列に基づく縮重プライマーを使用して、このDNAをPCRにおいて使用した。プライマー911(ggI gtI tgg gaY ttY aa)および912(tcc caI gcRtaR tcY tt)を使用して、50kDタンパク質をコードするDNAを増幅した。プライマー990(tcR aaI gcR aaR ttIacI cc)および1021(gcI gaR gtI acI gcI ag)を使用し、2.5mM MgClと共にEXPAND(BoehringerMannheim)を使用して、37kDタンパク質をコードするDNAを増幅した。ついで該PCR混合物からの1μlを取り、同じプライマーを使用するネスティドPCRにおいて使用した。これは、該50kDおよび37kDタンパク質に関してそれぞれ1260bpおよび656bpのバンドを与えた。PCR産物をアガロースゲルから切断し、QIAGENスピンプレップキットを使用して精製し、pCR−TOPO−blunt II(Novagen)内にクローニングした。該クローニング混合物を大腸菌(E.coli)TOP 10F内に形質転換した。M13フォワードおよびM13リバースプライマーを使用するコロニーPCRにより、推定形質転換体をインサートに関してスクリーニングした。インサートを有するプラスミドを含有する推定クローンから、QIAGENミニプレップキットを使用してプラスミドDNAを単離した。ついで、M13フォワードおよびM13リバースプライマーを使用し、PRISM Ready Reaction DyeDeoxy Terminator Sequencing Kit(Applied Biosystems)を製造業者のプロトコールに従い使用して、インサートを配列決定した。第1PCRにおいてプライマー923(tat agc tgt tga tgg tgc tt)を使用しネスティドPCRにおいて936(ggt gat aat atg ctttac t)およびポリ−Gプライマー(ata tgg ggg ggg ggg ggg g)を使用するc−テーリングPCRを用いて、該50kDコード領域のC末端部分を増幅した。これは、前記のとおりにクローニングされ配列決定された840bpのバンドを与えた。
【0076】
pET24aにおける50kDタンパク質コード化DNAのクローニング
ローソニア・イントラセルラリス(L.intracellularis)染色体DNAを鋳型として使用して、該50kDタンパク質の成熟部分をコードするDNAを、プライマー967(gga att cca tat gta ttg att tta agg caa a)および968(cgc gga tcc gcg atc ctt gat aat tca agg)ならびにEXPAND系を使用して増幅した。該PCR産物を該ゲルから単離し、NdeIおよびBamHIで切断し、NdeIおよびBamHIで切断されたpET24a(Novagen)内に連結してプラスミドpP5−aを得た。理論的には、pP5−aに媒介される50kDタンパク質の発現の誘導は、細胞質に局在する50kDのタンパク質を与えるはずである。なぜなら、クローニングされたP5のタンパク質配列分析は、いずれの種類の分泌シグナルの同定にもつながらなかったからである。OMPは、発現後にその天然局在部位である外膜に移行した場合にのみ、適切に折りたたんで抗原的に活性となることが、十分に確認されている。該外膜への該50kDタンパク質の移行を可能にするために、大腸菌(E.coli)phoEシグナル配列が該成熟50kDタンパク質の前に融合されるようにプライマー972(gga att cca tat gaa aatgaa aaa gag cac tct ggc)および969(ccg ctc gag gaa ttg ata ctt cat att taa)を使用する重複伸長PCRを適用した。該構築物をpCR−TOPO−blunt II内にクローニングした。正しいクローンを配列決定により同定した後、NdeIおよびXhoIを使用して、該インサートをpCR−TOPO−blunt IIプラスミドから切り出した。ついで該DNA断片を、NdeIおよびXhoIで切断されたpET24a内に連結して、プラスミドpP5−fを得た。そのクローニングが該50kDタンパク質のC末端部分に6×Hisタグの付加をもたらすように、プライマー969を設計した。
【0077】
大腸菌(E.coli)BL21(DE3)における該50kDタンパク質の過剰発現
プラスミドpP5−aおよびpP5−fをBL21(DE3)内に形質転換した。得られた株BL21−P5−aおよびBL21−P5−fを、o/n培養後、37℃でロータリーシェーカー(180rpm)に付した(新鮮な5mlのLB中で希釈した)。3時間の培養後、T7 RNAポリメラーゼを50μM イソプロピルチオガラクトシド(IPTG)で誘導し、培養を3時間継続した。細胞を遠心分離により集め、サンプルを適当な対照と共に、2つの4〜12% BIS/TRIS NuPAGE SDSポリアクリルアミドゲル(NOVEX)上に該製造業者の記載に従いローディングした。該第1ゲルをクーマシーブリリアントブルー250Rで染色した(図2;パネルA)。該第2ゲルをウエスタンブロット法に使用した。該ブロットをブタ血清(BIG304T4;図2;パネルB)でプローブした。誘導後、株BL21−P5−a(レーン2)およびBL21−P5−f(レーン3)においては、該陰性対照(レーン5)において欠けている余分のタンパク質バンドが出現した。株BL21−P5−fにおいて産生されたタンパク質は、天然50kDタンパク質(レーン4)と比較して若干高い分子量で移動したが、これは、おそらく、C末端Hisタグによるものであろう。
【0078】
【表2】
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【0079】
【配列表】
【化1】
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【図面の簡単な説明】
【図1】ローソニア・イントラセルラリス(L.intracellularis)全細胞およびローソニア・イントラセルラリス(L.intracellularis)外膜調製物のSDS−PAGEゲル電気泳動およびイムノブロット(ウサギ抗血清でプローブされたもの)。レーン1,予め染色された精度マーカー(BioRad);2,ローソニア・イントラセルラリス(L.intracellularis)全細胞抽出物;3,ローソニア・イントラセルラリス(L.intracellularis)外膜調製物。パネル;A:クーマシーブリリアントブルーでのタンパク質の可視化;B:精製された外膜タンパク質(R279)に対して産生させた血清でプローブしたブロット;C,全細胞(R291)に対して産生させた血清でプローブしたブロット。該19/21kD、37kDおよび50kDタンパク質は、それぞれP1/P2、P4およびP5で示されている。
【図2】該50kDタンパク質の過剰発現。本文中に記載されている種々のpET24a由来構築物を含有するBL21(DE3)内で、該タンパク質を過剰発現させた。全細胞抽出物をSDS−PAGEにより分離し、クーマシーブルーブリリアントブルー(パネルA)で染色するか、またはImmunobilon−P PVDF膜上にブロットし実験的感染ブタから得た抗血清でプローブした(パネルB)。レーン1:45kDaの予め染色された精度マーカー(BioRad)バンド;レーン2:BL21−P5−a;レーン3:BL21−P5−f;レーン4:精製されたローソニア・イントラセルラリス(L.intracellularis)外膜タンパク質(50kDタンパク質だけが認められる)。レーン5:未誘導のBL21−P5−a。

Claims (3)

  1. a)外膜調製物をSDS−PAGEに付し、
    b)そのゲルから19または21kDのバンドを切り出す工程を含む製造方法により入手可能な、19/21kDの分子量を有するローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)外膜タンパク質であって、配列番号5に記載のN末端アミノ酸配列、配列番号6に記載の内部アミノ酸配列、および配列番号7に記載の内部アミノ酸配列を含む前記タンパク質
  2. 試験サンプル中のローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)に対する抗体の検出のための方法であって、請求項1に記載のタンパク質を使用することを特徴とする方法。
  3. 請求項1に記載のタンパク質に対する抗体。
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