JP4237597B2 - 光ディスク成形金型およびこれを用いた光ディスクの成形方法 - Google Patents
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Description
さらに、スタンパの形状により転写に必要な温度が異なり、スタンパ形状が異なる都度に成形条件確立に膨大な労力と時間を要する。そのため、スタンパ形状の転写を確保し、反りが規格を満たす容易な条件出し方法が必要である。
すなわち、本発明は、金型内に形成された空隙部に樹脂材料を射出することによって成形される光ディスクの成形用に用いられる金型であって、前記空隙部を囲むように配され、情報記録溝を有するスタンパと、前記スタンパの外側に断熱材を介して配設された加熱手段とを具備し、前記断熱材が熱伝導性を調整可能に形成されることで、前記空隙部の温度プロファイルを調整することにより、各種スタンパの転写と反り(Tangential Tilt)の両立を確保し、成形条件確立を短期に達成することのできる光ディスク成形金型を提供する。この構成では、金型を取り替えることなく、断熱材を取り替えるだけでよいため極めて容易に調整することが可能である。
また、本発明では、前記断熱材が着脱自在に形成されたことを特徴とする。
また、本発明では、前記断熱材が厚さの異なる複数の断熱材を取り替え可能に構成されたことを特徴とする。
また、本発明では、前記断熱材が複数枚の断熱材を組み合わせることで断熱性を調整できるように構成されたことを特徴とする。
また、本発明では、組み合わされる複数枚の断熱材のうち前記スタンパ裏面と接触する該断熱材の面粗度が、スタンパ裏面の面粗度と同等であることを特徴とする。
n
T=Σ(ρk*Ck*δk 2)/κk 式(1)
k=1
断熱材の比重ρk(kg/m3)、比熱Ck(W・s/kg・K)
熱伝導率κk(W/m・K)、厚みδk(m)、断熱材の枚数n(層)
成形プロセスの射出開始から射出完了までに要する時間以上、保圧完了に要する時間以下であることを特徴とする。
また、本発明では、前記光ディスク成形金型において、組み合わされる複数枚の前記断熱材において、スタンパ裏面と接触する前記断熱材の熱膨張係数が、スタンパの熱膨張係数に最も近いことを特徴とする。
るスタンパと、前記スタンパの外側に断熱材を介して配設された加熱手段とを具備し、前記断熱材が熱伝導を調整可能に形成された光ディスク成形金型の前記空隙部に樹脂材料を射出することによって光ディスクを成形するに際し、樹脂の流動を変化させ、各種スタンパの転写を確保できるように、該断熱材によって前記空隙部の温度プロファイルを調整する工程を含む。
また、樹脂の流動を変化させ、各種スタンパの転写を確保できるようにし断熱材の調整によって空隙部の温度プロファイルを調整することにより、スタンパの形状に応じた転写を確保し、かつ反りと両立の可能な光ディスクの成形方法を提供する。
本実施の形態の光ディスク成形金型は、図1に示すように、スタンパ6の外側に断熱材15を着脱自在に構成したカセット1と、このカセット1を固定側型板3に装着し、このスタンパ6と、可動側型板2との間に形成される空間K内に溶融樹脂を射出しこのスタンパ6の形状に樹脂を転写した後、樹脂を冷却固化し、スタンパの情報記録溝を転写することにより光ディスクを成形するものである。
そしてこの断熱材15は着脱自在に形成されており、このカセット1は、必要とする温度プロファイルに応じて取り替えることにより最適な温度プロファイルを得ることができるように構成される。
そこで、ある一定の型温度、成形サイクルにおける各断熱材料を用いた場合の樹脂充填後の樹脂(スタンパ)表面最高温度を図2に示す。(図中の温度は、解析により求めた温度を示しており、解析と実際の温度が一致していることは確認済みである。)
また実際にスタンパ形状に合わせた断熱材の変化方法として、例えばスタンパ形状において溝深さがより深い場合には、より熱伝導率の小さなジルコニア或いはポリイミドを使用することで転写を確保することができる。これは断熱効果により、樹脂の冷却を抑制し、転写に必要な時間だけ樹脂を高温に保持するためである。これにより、保温がなされ、長時間をかけて硬化させることができる。
まず、熱伝導率、比熱、比重、厚みが異なる複数枚の断熱材を組み合わせることである。このように、熱伝導率、比熱、比重、厚みを組み合わせることで自由に熱伝導を変化させることが可能となり、必要な樹脂流動が得られ、転写を確保することができる。
ここで例として、第1断熱材としてアモルファスカーボンを、第2断熱材として種々の断熱材を重ね合わせた場合における配置を図8(a)および(b)に示す。図8(a)および(b)に示すように、スタンパ6と、金型本体としての固定側型板3との間に、断熱材15を挟む際に、スタンパ6側に第1断熱材15aとしてのアモルファスカーボン、固定側型板3側に第2断熱材15bを配した場合(図8(a))、およびスタンパ6側に第2断熱材15b、固定側型板3側に第1断熱材としてのアモルファスカーボン15aを配した場合(図8(b))について、転写時の樹脂表面温度を測定した結果を示す。図4は第2断熱材としてジルコニアを用いた場合、図5は第2断熱材としてアルミナを用いた場合である。いずれも2種類の断熱材(ジルコニアとアモルファスカーボン)、(アルミナとアモルファスカーボン)の組み合わせで総厚みを1mmに保ち各材質の厚み比率を変化させた場合の転写時樹脂表面温度の変化を測定したものである。このグラフより、組み合わせる材質及び組み合わせる厚み比率によって樹脂表面温度(樹脂流動)を変化させることが可能であることがわかる。
熱伝導率κk(W/m・K)、厚みδk(m)、断熱材の枚数n(層)
アモルファスカーボンと種々の特性を有した断熱材を組み合わせた断熱材において、射出後の樹脂(スタンパ)表面温度の低下抑制時間(冷却抑制時間)を解析により求めた結果を図7に示す。ここで式(1)より求めた場合、アモルファスカーボンに付加する断熱材の材質と冷却抑制時間は式(2)と計算される。
T=(ρ1・C1/κ1)δ1 2+(ρ2・C2/κ2)δ2 2 式(2)
=2.5×10-7×(ρ2・C2/κ2)+0.05
アモルファスカーボンδ1:0.5mm
第2断熱材δ2:0.5mm
この計算から求めた式は、解析結果より求めた式(グラフ中)とほぼ一致する結果を得た。つまり近似的に式(1)により冷却抑制時間を予測することが可能である。またこの冷却抑制時間はスタンパ形状の転写時のみで良く、それ以上長くなるとディスク取り出し時に充分に冷却されず、取り出しによる反り発生の恐れがある。そのため冷却抑制を転写に必要な時間内に、具体的には射出完了から保圧過程終了までの時間内であれば良い。そのため、式(1)で求められる時間は射出開始から射出終了までの時間以上、射出開始から保圧完了までの時間以内におさまるような断熱材質、厚み選定を行うのが望ましい。つまり、式(2)を示すような断熱材の材質と厚みを決定することが必要である。
表3に各種熱膨張係数を用いた場合の成形寿命を示す。表中表示の各断熱材の組み合わせで製品に外観不良が発生するまでの成形可能な成形ショット数にて比較した。その結果、スタンパ6裏面に配置する断熱材1の熱膨張係数がスタンパに近い方が寿命が長くなる傾向を確認することが出来る。また断熱材の寿命を更に伸ばすために、断熱材の片面若しくは両面に耐摩耗性膜を形成することは効果的である。
また該断熱材が取り外し可能で、該断熱材がスタンパと該スタンパを固定している支持体との間に挟み込む光ディスク成形金型以外に、該断熱材が先に金型に組み込まれ、スタンパのみを取り外し可能にした金型においても適応可能である。
その際断熱材の厚みが薄すぎる場合は作業上の破損等の問題もあるため、厚みは0.5mm以上が望ましい。
2・・・可動側型板
3・・・固定側型板
4・・・固定側ミラーインサート
5・・・スタンパ取り付け面
6・・・スタンパ
7・・・スタンパホルダ
8・・・外周リング
9・・・回転リング
10・・・可動側ミラーインサート
15・・・断熱材
16・・・金型温調配管
Claims (9)
- 金型内に形成された空隙部に樹脂材料を射出することによって成形される光ディスクの成形用に用いられる金型であって
前記空隙部を囲むように配され、情報記録溝を有するスタンパと、前記スタンパの外側に断熱材を介して配設された加熱手段とを具備し、
前記断熱材は、材質の異なる複数の材料で構成され、前記材料のうち、1つがアモルファスカーボンを含み、もっとも熱容量の小さい材料が前記スタンパの裏面に配された光ディスク成形金型。 - 前記断熱材が着脱自在に形成されたことを特徴とする請求項1記載の光ディスク成形金型。
- 前記断熱材が厚さの異なる複数の断熱材を取り替え可能に構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の光ディスク成形金型。
- 組み合わされる複数枚の断熱材のうち前記スタンパ裏面と接触する該断熱材の面粗度が、組み合わせる複数枚の該断熱材の中で最も小さくなるように配されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光ディスク成形金型。
- 組み合わされる複数枚の断熱材のうち前記スタンパ裏面と接触する該断熱材の面粗度が、スタンパ裏面の面粗度と同等であることを特徴とする1または2に記載の光ディスク成形金型。
- 組み合わされる複数枚の該断熱材において、該断熱材の各材質特性の比重:ρ、比熱:Cの積、ρ×Cが最も小さい材質をスタンパ裏面に配置する或いは、スタンパ裏面を基準に小さい順に配置することを特徴とする請求項1または2記載の光ディスク成形金型。
- 組み合わされる複数枚の前記断熱材において、スタンパ裏面と接触する前記断熱材の熱膨張係数が、スタンパの熱膨張係数に最も近いことを特徴とする請求項1または2記載の光ディスク成形金型。
- 該断熱材が取り外し可能で、該断熱材がスタンパと該スタンパを固定する支持体との間に挟み込むように構成され、該断熱材の複数枚の各厚みがそれぞれ変化し、合計の断熱材の厚みが一定となるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の光ディスク成形金型。
- 金型内に形成された空隙部を囲むように配され、情報記録溝を有するスタンパと、前記スタンパの外側に断熱材を介して配設された加熱手段とを具備し、
前記断熱材が熱伝導性を調整可能に形成された光ディスク成形金型の前記空隙部に樹脂材料を射出することによって光ディスクを成形する光ディスク成形方法であって、
前記断熱材が、樹脂の流動を変化させ、各種スタンパの転写を確保できるように、アモルファスカーボンを含み、材質の異なる複数の材料で構成され、前記材料のうち、もっとも熱容量の小さい材料が前記スタンパの裏面に配された断熱材の調整によって前記空隙部の温度プロファイルを調整する工程を含むことを特徴とする光ディスクの成形方法。
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