JP4237597B2 - 光ディスク成形金型およびこれを用いた光ディスクの成形方法 - Google Patents

光ディスク成形金型およびこれを用いた光ディスクの成形方法 Download PDF

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Description

本発明は、光ディスク成形金型およびこれを用いた光ディスクの成形方法に関するものである。
近年、記憶容量の飛躍的な増大及びデジタル化が要求されてきており、この大容量化及びデジタル化に対応すべく、CD、DVD等の光ディスクが注目されている。
上記光ディスクの場合、種類に応じてスタンパの形状が大きく異なる。例えば、0.6mm厚のDVD基板において、スタンパに形成される情報溝の深さは、DVD-ROMの場合約120nm、DVD-RAMの場合約60nm、DVD-Rの場合180nmである。このスタンパの表面形状を忠実に転写し、高精度に制御された情報書き込みを行うため、従来の光ディスク成形においては、金型温度を調整している。具体的には、転写を確保する為に樹脂の流動性を高めるという目的で金型温度を高く設定することが必要であるが、金型温度を高く設定すればするほど、金型内から基板を取り出した後の冷却過程において、基板の反り、特に円周方向の反り(以下Tangential Tilt)が大きくなり、光ディスクの反りに関する規格を満たすことが困難になる。また、このようにしてできてしまった反りを解消する為には長い冷却時間を要し成形サイクルが長くなり、短サイクル成形が不可能となる。
さらに、スタンパの形状により転写に必要な温度が異なり、スタンパ形状が異なる都度に成形条件確立に膨大な労力と時間を要する。そのため、スタンパ形状の転写を確保し、反りが規格を満たす容易な条件出し方法が必要である。
たとえば、断熱効果を利用して微細形状を転写させる方法としては、特許文献1に示すように樹脂シートに微細形状を有したローラーを押し付けて微細な凹凸パターンを転写させる方法がある。この方法を用いて多種多様なディスクを転写成形する場合には、微細な凹凸パターンの大きさを変化させるたびに転写成形品の反りが変化してしまう問題がある。また、転写成形品の外径と内径と転写溝の偏芯を確保することが非常に困難である。
また、特許文献2では、スタンパ形状に適した断熱層の材質、厚みを変化させて断熱スタンパを形成する方法が提案されている。この断熱スタンパを用いて成形すると、スタンパ形状に適した断熱層の材質、厚みを変化させて断熱スタンパを製作する必要があり、コストと時間を要するという問題点があった。
特開平5-200757号公報 特開2001-236698号公報
このようにスタンパ毎に金型温度を調整しようとすると、転写と反りの両立に膨大な労力と時間を要することになる。このため、どんな形状のスタンパを用いても容易に転写や反りを調整することのできる金型が望まれていた。
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、短サイクル下でスタンパ形状に応じて転写を確保し、かつ反りを抑制することの可能な光ディスク成形金型およびこれを用いた成形方法を提供することを目的とする。
そこで本発明では、金型内に形成された空隙部に樹脂材料を射出することによって成形される光ディスクの成形用に用いられる金型であって前記空隙部を囲むように配され、情報記録溝を有するスタンパと、前記スタンパの外側に断熱材を介して配設された加熱手段とを具備し、前記断熱材は、材質の異なる複数の材料で構成され、前記材料のうち、1つがアモルファスカーボンを含み、もっとも熱容量の小さい材料が前記スタンパの裏面に配されたことを特徴とする。
すなわち、本発明は、金型内に形成された空隙部に樹脂材料を射出することによって成形される光ディスクの成形用に用いられる金型であって、前記空隙部を囲むように配され、情報記録溝を有するスタンパと、前記スタンパの外側に断熱材を介して配設された加熱手段とを具備し、前記断熱材が熱伝導性を調整可能に形成されることで、前記空隙部の温度プロファイルを調整することにより、各種スタンパの転写と反り(Tangential Tilt)の両立を確保し、成形条件確立を短期に達成することのできる光ディスク成形金型を提供する。この構成では、金型を取り替えることなく、断熱材を取り替えるだけでよいため極めて容易に調整することが可能である。
なお上記該断熱材の熱伝導を変化させる方法としては、熱伝導性が異なる材質の断熱材およびまたは厚みの異なる断熱材を複数種用意しておき、必要に応じて入れ替えることにより、該断熱材の材質あるいは厚みを変化させ、熱伝導の最適化が達成される。
また、該断熱材の構成方法としては、熱伝導率の異なる複数枚の該断熱材を組み合わせる方法、さらに、金型の該断熱材挿入深さを一定として、その深さに合致するよう該断熱材の厚みを変化させる方法などがある。
すなわち、本発明の光ディスク成形金型は、金型内に形成された空隙部に樹脂材料を射出することによって成形される光ディスクの成形用に用いられる金型であって、前記空隙部を囲むように配され、情報記録溝を有するスタンパと、前記スタンパの外側に断熱材を介して配設された加熱手段とを具備し、前記断熱材が前記空隙部の温度プロファイルを調整可能に形成される。
また、本発明では、前記断熱材が着脱自在に形成されたことを特徴とする。
また、本発明では、前記断熱材が熱伝導性の異なる材質で構成された複数の断熱材を取り替え可能に構成されたことを特徴とする。
また、本発明では、前記断熱材が厚さの異なる複数の断熱材を取り替え可能に構成されたことを特徴とする。
また、本発明では、前記断熱材が複数枚の断熱材を組み合わせることで断熱性を調整できるように構成されたことを特徴とする。
また、本発明では、組み合わされる複数枚の断熱材のうち前記スタンパ裏面と接触する該断熱材の面粗度が、複数枚の該断熱材の中で最も小さくなるように配されことを特徴とする。
また、本発明では、組み合わされる複数枚の断熱材のうち前記スタンパ裏面と接触する該断熱材の面粗度が、スタンパ裏面の面粗度と同等であることを特徴とする。
また、本発明では、組み合わされる複数枚の該断熱材において、該断熱材の各材質特性の比重:ρ、比熱:C、熱伝導率κ、厚みδよりなる下記計算式より算出される時間Tが、
n
T=Σ(ρk*Ck*δk 2)/κk 式(1)
k=1
断熱材の比重ρk(kg/m3)、比熱Ck(W・s/kg・K)
熱伝導率κk(W/m・K)、厚みδk(m)、断熱材の枚数n(層)
成形プロセスの射出開始から射出完了までに要する時間以上、保圧完了に要する時間以下であることを特徴とする。
また、本発明では、組み合わされる複数枚の該断熱材において、該断熱材の各材質特性の比重:ρ、比熱:Cの積、ρ×Cが最も小さい材質をスタンパ裏面に配置する或いは、スタンパ裏面を基準に小さい順に配置することを特徴とする。
また、本発明では、前記光ディスク成形金型において、組み合わされる複数枚の前記断熱材において、スタンパ裏面と接触する前記断熱材の熱膨張係数が、スタンパの熱膨張係数に最も近いことを特徴とする。
また、本発明では、前記光ディスク成形金型において、該断熱材が取り外し可能で、該断熱材がスタンパと該スタンパを固定する支持体との間に挟み込むように構成され、該断熱材の複数枚の各厚みがそれぞれ変化し、合計の断熱材の厚みが一定となるようにしたことを特徴とする。
また、本発明では、金型内に形成された空隙部を囲むように配され、情報記録溝を有す
るスタンパと、前記スタンパの外側に断熱材を介して配設された加熱手段とを具備し、前記断熱材が熱伝導を調整可能に形成された光ディスク成形金型の前記空隙部に樹脂材料を射出することによって光ディスクを成形するに際し、樹脂の流動を変化させ、各種スタンパの転写を確保できるように、該断熱材によって前記空隙部の温度プロファイルを調整する工程を含む。
また、本発明では、前記光ディスクの成形方法であって、成形に先立ち、前記断熱材を取り替えることによって、成形条件を最適化する工程を含む。
また、本発明では、前記光ディスクの成形方法であって、成形工程中に、前記断熱材を取り替えることによって、成形条件を最適化する工程を含む。
以上のように本発明は、該断熱材の熱伝導を変化させることで、スタンパ形状に応じて転写を確保し、かつ反りと両立可能な光ディスク成形金型を提供する。
また、樹脂の流動を変化させ、各種スタンパの転写を確保できるようにし断熱材の調整によって空隙部の温度プロファイルを調整することにより、スタンパの形状に応じた転写を確保し、かつ反りと両立の可能な光ディスクの成形方法を提供する。
以下本発明の光ディスク成形金型について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、各図において同じ構成部分については同じ符号を付している。
本実施の形態の光ディスク成形金型は、図1に示すように、スタンパ6の外側に断熱材15を着脱自在に構成したカセット1と、このカセット1を固定側型板3に装着し、このスタンパ6と、可動側型板2との間に形成される空間K内に溶融樹脂を射出しこのスタンパ6の形状に樹脂を転写した後、樹脂を冷却固化し、スタンパの情報記録溝を転写することにより光ディスクを成形するものである。
そしてこの断熱材15は着脱自在に形成されており、このカセット1は、必要とする温度プロファイルに応じて取り替えることにより最適な温度プロファイルを得ることができるように構成される。
このカセット1は、スタンパ取り付け面5と、スタンパホルダ7と、外周リング8とを具備し、このスタンパ取り付け面5にスタンパ6と断熱材15が取り付けられる。また、スタンパ取り付け側の固定側型板は、固定側プレート12に、金型を加熱するための加熱手段としての金型温調配管16を具備し、カセット取り付け側に開口する外周吸引部14を備え、カセット1を吸引して深さ方向を固定するとともにボルト13によってカセット1を面方向に固定可能に構成されている。また可動側型板2は可動側ミラーインサート10に金型を加熱するための金型温調配管16を具備し、ボルト11で固定可能に構成される。
光ディスク成形の場合、スタンパ形状に樹脂を転写する為に、樹脂の分解温度近くまで(例;ポリカーボネートの場合330℃以上)溶融した樹脂を、樹脂の軟化点以下の温度(例;ポリカーボネートの場合100℃前後)の金型内に短時間で射出し(0.1秒程度)、スタンパ形状に樹脂を転写した後、樹脂を冷却固化(数秒オーダー)させ、金型を開き成形体を取り出す。スタンパ形状に樹脂を転写する際には、樹脂の粘度を低くすることが必要で、その為には射出時のスタンパ表面温度を高くしたい。金型温度を高く設定することでスタンパ表面温度も高くすることは可能であるが、成形体を取り出す時の温度も高くなり、冷却過程において成形体の反りがアンバランスとなり、特に円周方向の反り(Tangential Tilt)が悪化することがある。
そこで、本実施の形態では、スタンパ6と金型温調配管16の間に断熱材15を入れることにより、射出時に高温の樹脂からスタンパ表面に移動した熱が、金型の温調により奪われる割合を小さくし(樹脂冷却速度の遅延化)、結果として射出時のスタンパ表面温度が高くなり、樹脂の流動良化により転写が向上する。
スタンパ形状の転写について上述したが、スタンパ形状は、光ディスクの種類或いは各メーカーによっても異なる。この結果、スタンパ形状により転写可能な金型温度が異なり、転写の確認と成形体の反り両立に多大な時間と労力を費やすことになる。
そこで、本実施の形態では、該断熱材を取り替えることにより熱伝導を変化させることで、各種スタンパ形状の転写を確保することができ、金型温度を変化させない為反りの状態(Tangential Tilt)が変化せず転写と反りを両立できる成形条件確立を短期に達成することができる。
次に、断熱材の熱伝導を変化させる方法について説明する。
Figure 0004237597
まず、断熱材の熱伝導率が異なる別材質を用いることである。表1は各材質の物性値の例を示す。これらの断熱材を用いて樹脂流動に及ぼす影響を説明するが、以後樹脂温度に従って説明する。これは、樹脂は高温になればなるほど粘度が低下して流動性が向上することが材料物性から確認済みであるためである。また温度と粘度の関係は樹脂の種類により決まるため、便宜上樹脂温度比較で樹脂流動性を説明する。さらにディスク成形における樹脂温度について必要不可欠な条件は、微細な形状を転写させる過程(樹脂充填後)で樹脂温度が転写に必要な一定温度まで達しているかどうかである。
そこで、ある一定の型温度、成形サイクルにおける各断熱材料を用いた場合の樹脂充填後の樹脂(スタンパ)表面最高温度を図2に示す。(図中の温度は、解析により求めた温度を示しており、解析と実際の温度が一致していることは確認済みである。)
この結果から、断熱材の熱伝導率を小さくすることにより、樹脂温度を高くすることができ、その結果樹脂流動を変化させることができることがわかる。また、ここで金型材質の熱伝導率は20W/m・Kより大きい(表中の型材では23W/m・K)ため、該断熱材として、15W/m・K以下の材質が望ましい。それは、熱伝導率が15W/m・K以上である場合は、熱伝導率変化による樹脂温度変化(樹脂流動変化)が顕著に現われず、熱伝導率変化の効果が現われにくいためである。
また実際にスタンパ形状に合わせた断熱材の変化方法として、例えばスタンパ形状において溝深さがより深い場合には、より熱伝導率の小さなジルコニア或いはポリイミドを使用することで転写を確保することができる。これは断熱効果により、樹脂の冷却を抑制し、転写に必要な時間だけ樹脂を高温に保持するためである。これにより、保温がなされ、長時間をかけて硬化させることができる。
次に、断熱材の厚みを変化させる場合について説明する。図3は断熱材の厚みを変化させた場合における転写時樹脂表面温度を示す図である。その結果、断熱材厚みを変化させることにより樹脂温度を変化させることができ、樹脂流動を調整することが可能である。例えばスタンパ形状において溝深さがより深い場合には、より厚い断熱材を使用することで転写を確保することができる。しかし、断熱材厚みをある一定以上に厚くしても保温効果は飽和していく傾向があるため、断熱材の材質と厚みの組み合わせによる断熱材選定が必要である。実際に断熱材を選定する手順としては、まずある一定の型温度・成形サイクルにて、スタンパ形状に適した転写時樹脂表面温度を確保可能な断熱材質を選択し、微調整として厚みを調整する方法が効率的である。
また、断熱材の構成方法について説明する。
まず、熱伝導率、比熱、比重、厚みが異なる複数枚の断熱材を組み合わせることである。このように、熱伝導率、比熱、比重、厚みを組み合わせることで自由に熱伝導を変化させることが可能となり、必要な樹脂流動が得られ、転写を確保することができる。
ここで例として、第1断熱材としてアモルファスカーボンを、第2断熱材として種々の断熱材を重ね合わせた場合における配置を図8(a)および(b)に示す。図8(a)および(b)に示すように、スタンパ6と、金型本体としての固定側型板3との間に、断熱材15を挟む際に、スタンパ6側に第1断熱材15aとしてのアモルファスカーボン、固定側型板3側に第2断熱材15bを配した場合(図8(a))、およびスタンパ6側に第2断熱材15b、固定側型板3側に第1断熱材としてのアモルファスカーボン15aを配した場合(図8(b))について、転写時の樹脂表面温度を測定した結果を示す。図4は第2断熱材としてジルコニアを用いた場合、図5は第2断熱材としてアルミナを用いた場合である。いずれも2種類の断熱材(ジルコニアとアモルファスカーボン)、(アルミナとアモルファスカーボン)の組み合わせで総厚みを1mmに保ち各材質の厚み比率を変化させた場合の転写時樹脂表面温度の変化を測定したものである。このグラフより、組み合わせる材質及び組み合わせる厚み比率によって樹脂表面温度(樹脂流動)を変化させることが可能であることがわかる。
また、ジルコニアとアルミナ単体及びその組み合わせの場合の樹脂表面温度変化を図6に示す。(ここで各断熱材の種類・組み合わせにおいて、樹脂充填時の樹脂表面温度が同等になる様に型温度を変化させている。)その結果、ジルコニアとアルミナを組み合わせることにより、樹脂表面最高温度からの冷却速度(グラフの傾き)を変化させることができる。
これに対し、従来は、通常市販の材質を用いて断熱材としているため、それぞれ単体材質による冷却速度しか実現できな。しかしながら、複数枚の材質を複合で使用することにより、冷却速度を自由に調整することが可能になる。この冷却速度が速いとサイクル短縮が可能になるが、その反面ディスクの反りの悪化が予想される。そのため、使用する樹脂材料に合わせた冷却速度に調整するために有効的である。
また、ここで断熱材質、厚みにより転写時樹脂表面温度が変化するのは、断熱材の保熱効果によるものである。保熱効果が高い場合、射出完了時におけるディスク中心部の高い熱エネルギーが樹脂(スタンパ)表面に伝わる速度より、樹脂(スタンパ)表面の温度が金型温調媒体へ伝わる速度が遅い場合、樹脂表面温度が高温に保持される。
しかし、この保熱効果が高すぎると、冷却不充分によるディスク取り出し時のディスク温度が高くなってしまい、取り出しによる変形がディスクの反りという悪影響を及ぼす。そのため、複合断熱材の材質、厚みを選定する選定指標が必要であり、本発明では射出された樹脂の表面温度が低下しない微小な時間(T)を計算する算出式として式(1)を用いた。
Figure 0004237597
断熱材の比重ρk(kg/m3)、比熱Ck(W・s/kg・K)
熱伝導率κk(W/m・K)、厚みδk(m)、断熱材の枚数n(層)
アモルファスカーボンと種々の特性を有した断熱材を組み合わせた断熱材において、射出後の樹脂(スタンパ)表面温度の低下抑制時間(冷却抑制時間)を解析により求めた結果を図7に示す。ここで式(1)より求めた場合、アモルファスカーボンに付加する断熱材の材質と冷却抑制時間は式(2)と計算される。
T=(ρ1・C1/κ1)δ1 2+(ρ2・C2/κ2)δ2 2 式(2)
=2.5×10-7×(ρ2・C2/κ2)+0.05
アモルファスカーボンδ1:0.5mm
第2断熱材δ2:0.5mm
この計算から求めた式は、解析結果より求めた式(グラフ中)とほぼ一致する結果を得た。つまり近似的に式(1)により冷却抑制時間を予測することが可能である。またこの冷却抑制時間はスタンパ形状の転写時のみで良く、それ以上長くなるとディスク取り出し時に充分に冷却されず、取り出しによる反り発生の恐れがある。そのため冷却抑制を転写に必要な時間内に、具体的には射出完了から保圧過程終了までの時間内であれば良い。そのため、式(1)で求められる時間は射出開始から射出終了までの時間以上、射出開始から保圧完了までの時間以内におさまるような断熱材質、厚み選定を行うのが望ましい。つまり、式(2)を示すような断熱材の材質と厚みを決定することが必要である。
また材質を重ねる場合において、複数枚の断熱材の組み合わせが同材質・同厚みであるにもかかわらず、重ねる順番により樹脂表面最高温度を変化させることも可能である。先の述べた図4、図5を用いて説明する。図4ではアモルファスカーボンとジルコニアの組み合わせ、図5ではアモルファスカーボンとアルミナの組み合わせにおいて厚みが同一の場合でも配置する順序(ここでは図8(a)に示すA配置、図8(b)に示すB配置)を比較するとA配置の場合がB配置の場合に比べて樹脂表面最高温度が高くなる結果が得られる。つまり断熱材の配置順番により樹脂表面最高温度が調整可能である。この調整による変化可能温度は、材質によっても異なるが数℃〜十数℃程度である。また、種々の物性を有した断熱材にて、この配置順序の違いによる温度差を確認すると、以下の法則を確認することが出来た。それは、複数枚の断熱材を重ねる際、比重と比熱の積が小さい断熱材の順番でスタンパ裏面から金型側に配置することが比熱と比熱の積が大きい断熱材の順番でスタンパ裏面から金型側に配置することより、樹脂表面最高温度を高くすることが可能である。ここで、アモルファスカーボン15aがスタンパ6の裏面側に配置するA配置と第2断熱材15bをスタンパ6裏面に配置するB配置における樹脂表面最高温度差を図9に示す。その結果比重と比熱の積が、第1断熱材であるアモルファスカーボンより大きい場合にはA配置が、小さい場合にはB配置が樹脂表面最高温度が高いことが言える。
射出充填された樹脂の熱エネルギーは、スタンパおよびスタンパ裏面に配置された断熱材の表面温度を上昇させた後、断熱材特有の熱伝導率にて金型方向へ伝導していく。つまり樹脂充填後の微小時間において、樹脂(スタンパ)表面の熱エネルギーは、スタンパ裏面に配置する断熱材表面の温度上昇に費やされるため、断熱材温度が上昇しやすい方が樹脂(スタンパ)表面の温度低下が抑制される。つまりスタンパ裏面に配置させる断熱材の熱容量(比重と比熱の積)が低い方が、射出後の微小時間における樹脂(スタンパ)表面の熱エネルギーを奪い取る能力が低く、樹脂表面最高温度が高くなったものと考える。
次に2種類の断熱材を用いた場合における各断熱材の面粗度と成形したディスク表面の外観検査の合否を表2に記す。ここで図8(a)の構造を例にとると第1断熱材15aのスタンパ側の面を面A、固定側型板3側の面を面B、第2断熱材15bのスタンパ側の面を面C、第2断熱材15bの固定側型板3側の面を面Dとする。この組み合わせの際、組み合わせる複数枚の断熱材において、スタンパ裏面と接触する断熱材の面粗度が、組み合わせる複数枚の断熱材の中で最も小さいこと或いは、スタンパ裏面の面粗度と同等であることにより、スタンパ裏面の表面形状の凹凸に忠実に転写し、成形体の梨地発生を防ぎ、成形体の品質が向上する。
Figure 0004237597
また、この組み合わせの際、組み合わせる複数枚の断熱材において、スタンパ裏面と接触する断熱材の熱膨張係数が、スタンパの熱膨張係数に最も近くなるように構成することにより、スタンパと断熱材の熱収縮を小さくすることができ、スタンパの歪み或いは断熱材の歪が小さくなり、スタンパの長寿命化、成形体への歪み転写が無いことによる品質向上、断熱材の長寿命化を図ることができる。
表3に各種熱膨張係数を用いた場合の成形寿命を示す。表中表示の各断熱材の組み合わせで製品に外観不良が発生するまでの成形可能な成形ショット数にて比較した。その結果、スタンパ6裏面に配置する断熱材1の熱膨張係数がスタンパに近い方が寿命が長くなる傾向を確認することが出来る。また断熱材の寿命を更に伸ばすために、断熱材の片面若しくは両面に耐摩耗性膜を形成することは効果的である。
Figure 0004237597
次に、構成方法として、該断熱材が取り外し可能で、該断熱材がスタンパと該スタンパを固定している支持体との間に挟み込まれるように構成された光ディスク成形金型において、該断熱材の複数枚の各厚みをそれぞれ変化させ、合計の断熱材の厚みを一定にする方法がある。断熱材の合計の厚みが十分必要な熱伝導率を達成していれば、金型の材質など熱伝導性材料を挟み込んでもよい。この断熱材合計の厚みを一定にすることで、カセットを統一化することができ、低コストで金型を提供できると共に、該断熱材の種類或いは厚みを変化させることで樹脂の流動を変化させ、各種スタンパの転写を確保することができる。
また該断熱材が取り外し可能で、該断熱材がスタンパと該スタンパを固定している支持体との間に挟み込む光ディスク成形金型以外に、該断熱材が先に金型に組み込まれ、スタンパのみを取り外し可能にした金型においても適応可能である。
最後に、本発明の実施例で利用した断熱材の材質および厚み、組み合わせる断熱材の枚数については一例である。前記実施の形態に限定されることなく、スタンパ形状に適した断熱材の材質、厚み、組み合わせ枚数、組み合わせ後の層厚みを選択し、転写や反りの規格を満たす組み合わせを選択するようにすればよい。
その際断熱材の厚みが薄すぎる場合は作業上の破損等の問題もあるため、厚みは0.5mm以上が望ましい。
以上説明したように本発明の金型装置は、該断熱材の熱伝導を変化させることで、スタンパ形状に応じて転写を確保し、調整が容易でかつ反りを防止することができ、種々の光ディスクの成形装置として有効である。
本発明のスタンパを受容する支持体の金型温調配管とスタンパの間に、着脱自在に位置せしめられた断熱材を含んだ金型の概略図 断熱材の熱伝導率と転写時樹脂表面最高温度との関係を示す図 断熱材の厚みと転写時樹脂表面最高温度との関係を示す図 アモルファスカーボンとジルコニアによる複合断熱材の転写時樹脂表面最高温度との関係を示す図 アモルファスカーボンとジルコニアによる複合断熱材の転写時樹脂表面最高温度との関係を示す図 アルミナとジルコニアによる複合断熱材の樹脂表面温度変化を示す図 断熱材の物性値と冷却抑制時間との関係を示す図 断熱材配置図 断熱材配置違いによる樹脂表面温度差との関係を示す図
符号の説明
1・・・カセット
2・・・可動側型板
3・・・固定側型板
4・・・固定側ミラーインサート
5・・・スタンパ取り付け面
6・・・スタンパ
7・・・スタンパホルダ
8・・・外周リング
9・・・回転リング
10・・・可動側ミラーインサート
15・・・断熱材
16・・・金型温調配管

Claims (9)

  1. 金型内に形成された空隙部に樹脂材料を射出することによって成形される光ディスクの成形用に用いられる金型であって
    前記空隙部を囲むように配され、情報記録溝を有するスタンパと、前記スタンパの外側に断熱材を介して配設された加熱手段とを具備し、
    前記断熱材は、材質の異なる複数の材料で構成され、前記材料のうち、1つがアモルファスカーボンを含み、もっとも熱容量の小さい材料が前記スタンパの裏面に配された光ディスク成形金型。
  2. 前記断熱材が着脱自在に形成されたことを特徴とする請求項1記載の光ディスク成形金型。
  3. 前記断熱材が厚さの異なる複数の断熱材を取り替え可能に構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の光ディスク成形金型。
  4. 組み合わされる複数枚の断熱材のうち前記スタンパ裏面と接触する該断熱材の面粗度が、組み合わせる複数枚の該断熱材の中で最も小さくなるように配されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光ディスク成形金型。
  5. 組み合わされる複数枚の断熱材のうち前記スタンパ裏面と接触する該断熱材の面粗度が、スタンパ裏面の面粗度と同等であることを特徴とする1または2に記載の光ディスク成形金型。
  6. 組み合わされる複数枚の該断熱材において、該断熱材の各材質特性の比重:ρ、比熱:Cの積、ρ×Cが最も小さい材質をスタンパ裏面に配置する或いは、スタンパ裏面を基準に小さい順に配置することを特徴とする請求項1または2記載の光ディスク成形金型。
  7. 組み合わされる複数枚の前記断熱材において、スタンパ裏面と接触する前記断熱材の熱膨張係数が、スタンパの熱膨張係数に最も近いことを特徴とする請求項1または2記載の光ディスク成形金型。
  8. 該断熱材が取り外し可能で、該断熱材がスタンパと該スタンパを固定する支持体との間に挟み込むように構成され、該断熱材の複数枚の各厚みがそれぞれ変化し、合計の断熱材の厚みが一定となるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の光ディスク成形金型。
  9. 金型内に形成された空隙部を囲むように配され、情報記録溝を有するスタンパと、前記スタンパの外側に断熱材を介して配設された加熱手段とを具備し、
    前記断熱材が熱伝導性を調整可能に形成された光ディスク成形金型の前記空隙部に樹脂材料を射出することによって光ディスクを成形する光ディスク成形方法であって、
    前記断熱材が、樹脂の流動を変化させ、各種スタンパの転写を確保できるように、アモルファスカーボンを含み、材質の異なる複数の材料で構成され、前記材料のうち、もっとも熱容量の小さい材料が前記スタンパの裏面に配された断熱材の調整によって前記空隙部の温度プロファイルを調整する工程を含むことを特徴とする光ディスクの成形方法。
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