JP4123921B2 - 光ディスク成形金型 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク成形金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、光ディスクは各業界から非常に注目されている。中でも、記憶容量の飛躍的な増大及びデジタル化が要求される昨今、この大容量化及びデジタル化に対応するためにCD及びDVD等が市場に登場している。
【0003】
上記光ディスクの場合、各種スタンパに応じてスタンパの形状が大きく異なる。例えば、0.6mm厚のDVD基板において、スタンパの溝深さは、DVD−ROMの場合約120μm、DVD−RAMの場合約60μm、DVD−Rの場合約180μmである。このスタンパの表面形状を忠実に転写させる為に、従来の光ディスク成形において、金型温度を調整している。具体的には、転写を確保する為に樹脂の流動良化目的で金型温度を高く設定することが必要だが、金型温度を高く設定するほど、金型内から基板を取り出した後の冷却過程において、基板の反り、特に円周方向の反り(以下 Tangential Tilt)が大きくなり、光ディスクの反り規格を満たすことが困難になる。そして、スタンパ形状により転写必要温度が異なり、スタンパ形状が異なる都度成形条件確立に膨大な労力と時間を要することになる。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−178774号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように各種スタンパ毎に金型温度を調整していては、転写と反りの両立に膨大な労力と時間を要する。
【0006】
そこで、本出願人は、特願第2001−139688号において、転写性を向上させ、生産性をそこなわないようにすること、特に、冷却時間を長期化させず、反りを悪化させずに転写性だけを向上させる為に、スタンパを受容する支持体とスタンパの間に、着脱式に位置せしめられた均一密度の断熱板を挿入し、断熱材の表面のうちスタンパと接触しない第1の面の表面に発泡材を配置することを特徴とする光ディスクの成形金型を提案した。
【0007】
本発明では、上記問題点に鑑み、上記出願内容をさらに発展させ、スタンパ形状に応じて転写を確保し、かつ反りと両立可能な光ディスク成形金型を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために本発明は、空隙部に樹脂材を射出することにより光ディスク成形体を成形する為のスタンパを含む光ディスク成形金型の前記スタンパと金型温調配管との間に断熱材を有する構成において、スタンパ裏面の該断熱材と金型コア材の間に発泡材を挿入することで断熱効果を高め、各種スタンパの転写とTangential Tiltの両立を確保し、成形条件確立を短期に達成する光ディスク成形金型を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光ディスク成形金型について、図面を参照しながら説明する。尚、各図において同じ構成部分については同じ符号を付している。
【0010】
図1において、1はスタンパ着脱部材を示し、スタンパ取り付け面5を含む部品、スタンパホルダ7、外周リング8から主に構成され、以後1の部材をカセットと定義する。カセット1にはスタンパ6と断熱板15が取り付けてある。また、3はスタンパ取り付け側の固定側型板、2は可動側型板を示す。
【0011】
光ディスク成形の場合、スタンパ形状に樹脂を転写する為に、樹脂の分解温度近くまで(例;ポリカーボネートの場合330℃以上)溶融した樹脂を、樹脂の軟化点以下の温度(例;ポリカーボネートの場合100℃前後)の金型内に短時間で射出し(0.1秒程度)、スタンパ形状に樹脂を転写した後、樹脂を冷却固化(数秒オーダー)させ、金型を開き成形体を取り出す。スタンパ形状に樹脂を転写する際には、樹脂の粘度を低くすることが必要で、その為には射出時のスタンパ表面温度を高くしたい。金型温度を高く設定することでスタンパ表面温度も高くすることは可能であるが、成形体を取り出す時の温度も高くなり、冷却過程において成形体の反りがアンバランスとなり、特に円周方向の反り(Tangential Tilt)が悪化する。
【0012】
そこで、スタンパ6と金型温調配管16の間に断熱板15を入れることにより、射出時に高温の樹脂からスタンパ表面に移動した熱が、金型の温調により奪われる割合を小さくし(樹脂冷却速度の遅延化)、結果として射出時のスタンパ表面温度が高くなり、樹脂の流動良化により転写が向上する。
【0013】
図2は図1のカセット部を取り出し、さらに断熱板の部分を拡大したことを示す。断熱板15のスタンパ6と接触しない面15Bの表面粗度を大きくすることで、上記断熱材の効果をより高め、射出時のスタンパ表面温度を高くすることができ、樹脂の流動良化により転写が向上する。その結果、金型温度を低下させることができ、Tangential Tiltが変化せず転写と反りを両立できる成形条件確立を短期に達成できる。或いは、冷却時間を短縮することで成形サイクルを短縮することができる。
【0014】
上述の15Bの表面粗度を0.1〜10Sにすることで、より断熱効果を高めることができると共に、射出時の断熱効果を調節し、スタンパの形状に応じて、
転写に必要な断熱効果を発揮させることができる。その結果、金型温度を調節せず同条件で各スタンパの転写が確保でき、金型温度を調節しない為に基板の反りが変化せず、成形条件確立の時間を短縮することができる。
【0015】
また、該断熱材が接触する金型コア材の表面粗度17を該断熱材と同レベルとすることで、より断熱効果を高めることができると共に、射出時の断熱効果を調節し、スタンパの形状に応じて、転写に必要な断熱効果を発揮させることができる。その結果、金型温度を調節せず同条件で各スタンパの転写が確保でき、金型温度を調節しない為に基板の反りが変化せず、成形条件確立の時間を短縮することができる。
【0016】
上記、該断熱材の表面粗度を大きくする具体方法としては、機械加工仕上げで加工することである。スタンパ裏面の埃等の異物形状が成形体表面に転写(以下バンプと記載)されるのを防ぐ為に、スタンパ裏面と接触する面の面粗度は重要である。その結果、断熱材を使用しない場合、金型コア材がスタンパ裏面と接触していた為、スタンパ表面と接触する金型コア面17の面粗さは0.1S程度に調整されている。その調整には、例えばDLC(Diamond Like Carbon)の様な表面処理があるが、コストが高くまた処理日数も必要であった。しかし、表面粗度を大きくできることで、機械加工で加工するだけで十分所定の表面粗度を得ることができる。現在の機械加工技術で3〜5Sは図面の標準公差で可能であり、0.1〜10Sも可能である。このように、機械加工だけで加工することにより、コストを低減しかつ加工日数を短縮できる。
【0017】
図3は、図1のカセット1において、断熱板15の反スタンパ側に発泡18を挿入したことを示す。この発泡は、金型が圧縮されている時以外は発泡内にエアーを有しており、熱伝導が固体や液体に比べ低くなる。その結果、金型が圧縮されていない射出の際、断熱効果を大きくすることで、スタンパ表面温度が金型温度により低下される効果を減少させ、樹脂の流動良化により転写が向上する。その結果、金型温度を低下させることができ、Tangential Tiltが変化せず転写と反りを両立できる成形条件確立を短期に達成できる。或いは、冷却時間を短縮することで成形サイクルを短縮することができる。なお、発泡としてはどのような種類でも有効である。
【0018】
【発明の効果】
以上のように本発明は、スタンパと接触しない面の断熱材の表面粗度を大きくする、或いは断熱材と金型コア材の間に発泡を挿入することで、断熱効果を高める。その結果、射出時の樹脂流動を良化させ、スタンパ形状に応じた転写を良化させる。転写良化により、金型設定温度を低下させることによりサイクル短縮を図ることができ、反り(特にTangential Tilt)も良化し、安定した成形が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のスタンパを受容する支持体の金型温調配管とスタンパの間に、着脱式に位置せしめられた断熱板を含んだ金型の概略図
【図2】 本発明の断熱板を含んだ金型の断熱板部の拡大図
【図3】 本発明のスタンパ裏面の断熱板と金型コア材の間に発泡を挿入した概略図
【符号の説明】
1 カセット
2 可動側型板
3 固定側型板
4 固定側ミラーインサート
5 スタンパ取り付け面
6 スタンパ
7 スタンパホルダ
8 外周リング
9 回転リング
10 可動側ミラーインサート
15 断熱板
15A 断熱板のスタンパ接触面
15B 断熱板の反スタンパ接触面
16 金型温調配管
17 金型コア材の断熱材或いはスタンパ裏面との接触面
18 発泡材

Claims (1)

  1. スタンパを含む金型内の空隙部に樹脂材を射出することで光ディスク成形体を成形する光ディスク成形金型において、
    前記スタンパと金型温調配管との間に配置され、かつ、前記スタンパと接触して設けられる断熱材を有し、前記断熱材の表面のうち前記スタンパと接触しない第1の面の表面に発泡を配置したこと
    を特徴とする光ディスク成形金型。
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