JP3849457B2 - 光ディスク射出成形用金型 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクの射出成形用金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ディスクの成形において、金型温度を調整して、成形ディスクへの転写を確保している。金型温度が高ければ転写性は向上するが、ディスクを取り出すまでの冷却時間が長くなり、生産性との両立が困難である。また、冷却時間を短くすると、ディスクの反りが悪化する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように金型温度を調整していては、転写性と反り、生産性の両立が困難であった。
【0004】
本発明は上記問題点に鑑み、転写性を向上させ、生産性を損なわないようにすること。特に、冷却時間を長期化させない、反りを悪化させずに転写性だけを向上させる光ディスクの射出成形用金型を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する為に本発明は、スタンパの一方の表面はその少なくとも一部をアモルファスカーボンの断熱材で覆われ、かつ、前記断熱材は前記スタンパと前記スタンパ固定する支持体との間に挟み込まれた構成であることを特徴とする光ディスク射出成形金型を提供する。
【0006】
なお上記断熱板はアモルファスカーボン材料であって、該断熱板上記スタンパに接する面の面粗さが0.10s以下、あるいは0.5〜2.0mmの厚みを有することでより上記目的を達成することができる。また前記断熱材の固定方法として、前記スタンパの中央部と該断熱板中央部とを、スタンパホルダーにて前記支持体に共締めして且つ該断熱板外周部を吸引して該支持体に固定するより好適である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明の光ディスク射出成形用金型について、図面を参照しながら説明する。
【0008】
図1において、1はスタンパ着脱部材を示し、スタンパ取り付け面5を含む部品、スタンパホルダ7、外周リング8から主に構成され、以後この1の部材をカセットと定義する。カセット1にはスタンパ6と断熱板15が取り付けてある。また3はスタンパ取り付け側の固定側型板、2は可動側型板を示す。
【0009】
図1は、本発明の請求項1記載のスタンパを受容する支持体の金型温調配管16とスタンパ6の間に、着脱式に位置せしめられた均一密度の断熱板15を含み、本発明の請求項7記載の断熱板15を、スタンパホルダ7でスタンパ6の中央部と共締めし、断熱板15の外周部を吸引し、カセット方式の金型で、オフラインにてスタンパ6及び断熱板15の着脱作業を可能とした金型のカセットを金型に取り付ける或いは取り外す際の概略図を示している。
【0010】
光ディスク成形の場合、スタンパ形状に樹脂を転写する為に、樹脂の分解温度近くまで(例;ポリカーボネートの場合330℃以上)溶融した樹脂を、樹脂の軟化点以下の温度(例;ポリカーボネートの場合100℃前後)の金型内に短時間で射出し(0.1秒程度)、スタンパ形状に樹脂を転写した後、樹脂を冷却固化(数秒オーダー)させ、金型を開き成形体を取り出す。スタンパ形状に樹脂を転写する際には、樹脂の粘度を低くすることが必要で、その為には射出時のスタンパ表面温度を高く保っておきたい。この時、生産性を考慮すると、タクトは短いほうが好ましいので、結果として金型温度よりは高い温度で成形体は金型から取り出されることになる。つまり、金型から成形体が取り出されたあと次の樹脂が射出されるまでの間にスタンパ表面温度は金型温度の影響を受け低下することになる。この時に、スタンパ6と金型温調配管16の間に断熱板15を入れることにより、射出時までのスタンパ表面温度をより高温に保つことが可能となり、その結果転写が向上する。
【0011】
この際、断熱板のスタンパ面と接する面5を鏡面仕上げとすることで、スタンパとの密着性を向上させることにより、成形圧力に対するスタンパと断熱板の強度を向上させることができ、スタンパと断熱板の寿命を長くすることができる。
【0012】
また、断熱板のスタンパ面と接する面5の表面粗度を0.10s以下とすることで、成形圧力により断熱板表面がスタンパ面に転写されることによるスタンパ品質の悪化を防ぎ、スタンパの寿命を長くすることができる。
【0013】
金型材質の熱伝導度は20W/m・kより大きいため、この断熱板は、15W/m・k以下の熱伝導度、かつ成形圧力に耐えうる300Hv以上の硬度を有する材料とすることで断熱効果が大きく成形射出時の転写が向上する。
【0014】
また、断熱板は0.5mm以下の厚みでは断熱効果が小さくまた強度が弱くなり、2.0mm以上の厚みでは断熱効果は変わらないため、断熱板は0.5〜2.0mmの厚みを有することで断熱効果が大きく、成形射出時の転写が向上する。
【0015】
断熱板は、高強度・高耐熱性・低磨耗・高強度・低熱伝導のアモルファスカーボンを材料とすることで転写を向上させることができるとともに断熱板及びスタンパの寿命も長くすることができる。アモルファスカーボンの1例を挙げると、UNIVEKSTM(ユニチカ株式会社製)は、熱伝導度5〜8W/m・k、硬度500Hv、曲げ強度100〜220Mpa、アモルファス状態を維持できる温度2600度まで(すべてカタログ値)である。
【0016】
断熱板15を、スタンパホルダ7でスタンパ6の中央部と共締めし、断熱板15の外周部を吸引する取り付け方法とすることで、成形時の金型への固定が確実となり安定した成形が可能となることで、成形体の品質が安定する。
【0017】
カセット方式の金型に断熱板及びスタンパを取り付けることにより、スタンパ取りつけ面及び断熱板が傷ついた場合に交換が容易であるため製造のリードタイムを短縮することができる。また異物がスタンパの裏面と断熱板及びスタンパ取り付け面の間に存在する状態で成形を行った場合、成形の際の圧縮力により(例えばDVD−ROM成形で、15〜30Ton)、異物形状がスタンパ及び金型に転写され、スタンパに転写された場合はその転写が成形ディスクに転写されるため不良品ディスクを作ることになり、製品品質に重大な欠陥をもたらすとともに、スタンパも作り直しすることになる。またスタンパ取り付け面に転写された場合きれいに拭き取らないと次のスタンパに転写されることになり、また傷になった場合傷の面全体を研磨するか或いはこの部分の部品を作り直すこととなり、製造のリードタイムが長くなり、製造コストが増大するという重大な影響を及ぼす。しかし、カセット方式を用いることにより、スタンパ取りつけ面がカセット内に含まれることで、スタンパの交換作業がオフラインで作業できることから、スタンパの裏面とスタンパ取り付け面の間の異物を除去する際により異物の見やすい環境で作業できることにより、異物のない状態でスタンパをスタンパ取りつけ面に取り付けることができるので、異物の挟み込みによるバンプの発生を防止することができる。またクリーン度のより高い場所にて上記スタンパ交換作業を行うことで、よりバンプの発生を防止することができる。そしてバンプのない成形を行うことで、製造のリードタイムを守り、製造コストを抑えることができる。
【0018】
【発明の効果】
以上のように本発明は、成形中の射出開始時において、スタンパ表面の初期冷却を遅延化し転写性を向上させる為に、スタンパを受容する支持体とスタンパの間に、着脱式に位置せしめられた均一密度の断熱板を含むことにより、転写性が向上し、その結果金型温度を低下させることができ、反りが良化するとともに冷却時間を短縮することで生産性を向上させることができる光ディスクの射出成形用金型を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスタンパを受容する支持体の金型温調配管とスタンパの間に、着脱式に位置せしめられた均一密度の断熱板を含み、カセットを金型に取り付ける或いは取り外す際の金型の概略図
【符号の説明】
1 カセット
2 可動側型板
3 固定側型板
4 固定側ミラーインサート
5 スタンパ取り付け面
6 スタンパ
7 スタンパホルダ
8 外周リング
9 回転リング
10 可動側ミラーインサート
11、13 ボルト
12 回転リング
14 外周吸引部
15 断熱板
16 金型温調配管

Claims (4)

  1. スタンパの一方の表面はその少なくとも一部をアモルファスカーボンの断熱材で覆われ、かつ、前記断熱材は前記スタンパと前記スタンパ固定する支持体との間に挟み込まれた構成であることを特徴とする光ディスク射出成形用金型。
  2. 断熱材スタンパに接する面の面粗さは、0.10s以下であることを特徴とする請求項1記載の光ディスク射出成形金型。
  3. 断熱材は、その厚みが0.5〜2.0mmであること特徴とする請求項1または2に記載の光ディスク射出成形金型。
  4. 断熱材は、スタンパの中央部と断熱板の中央部とをスタンパホルダーにて支持体に共締めして、且つ、断熱板の外周部を吸引して前記支持体に固定することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の光ディスク射出成形用金型。
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