JP4237073B2 - 被覆用ターゲット - Google Patents

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特許請求の範囲
請求項1
被覆用ターゲットにおいて、該ターゲットの組成は(AlaCr1−a)からなり、aは原子比率で0.45≦a≦0.75、該ターゲットの酸素含有量は、2000ppm以上、9800ppm以下、該ターゲット中のAl、Crは、Al相、Cr相として独立させて存在させ該ターゲット中の酸素を該Cr相に多く存在させたことを特徴とする被覆用ターゲット。
請求項2
被覆用ターゲットにおいて、該ターゲットの組成は(Al Cr 1−a−b Si )からなり、a、bはそれぞれ原子比率で0.45≦a≦0.75、0<b≦0.2、該ターゲットの酸素含有量は、2000ppm以上、9800ppm以下、該ターゲット中のAl、Cr及びSiは、Al相、Cr相及びSi相として独立させて存在させ該ターゲット中の酸素を該Cr相に多く存在させたことを特徴とする被覆用ターゲット。
請求項3
請求項1又は2記載の被覆用ターゲットにおいて、該ターゲットの相対密度を95%以上としたことを特徴とする被覆用ターゲット。
請求項4
請求項1乃至3何れかに記載の被覆用ターゲットにおいて、該ターゲットに存在する空孔の大きさを直径0.5mm未満としたことを特徴とする被覆用ターゲット。
発明の詳細な説明
発明は、切削加工に使用されるエンドミルの表面被覆材として有用な硬質皮膜を被覆す蒸発源として使用されるターゲットに関するものである。
AlCr系皮膜は、耐高温酸化特性に優れた硬質皮膜材として、下記に示す特許文献1から3が開示されている。
特許文献1は金属成分としてAlCrとC、N、Oの1種より選択されるAlCr系硬質膜において、高硬度を有する非晶質膜に関する事例が開示されている。しかしこの非晶質膜の硬度は最大でも21GPa程度であり、耐摩耗効果は期待できず、密着性に関しても十分ではない。特許文献2、特許文献3に開示されている硬質皮膜はAlCrの窒化物であり、約1000℃の耐高温酸化特性を有しているが、1000℃以上の耐酸化特性の検討は行われていない。硬度は21GPa程度で硬度の改善が不十分であり耐摩耗性に乏しい。特許文献4は、AlおよびCrを必須成分として含有するカソード放電型アークイオンプレーティング用ターゲットおよびその製造方法が開示されている。
特許第3027502号公報 特許第3039381号公報 特開平2002−160129号公報 特開2003−286566号公報
本願発明は、上記の問題点を改善し、Cr系皮膜の欠点である硬度を高めることにより耐摩耗性を改善し、その結果優れた寿命を発揮する被覆エンドミル効率よく得ることのできるターゲットを提供することを目的とする。
本願発明は、被覆用ターゲットにおいて、該ターゲットの組成は(AlCr1−a)からなり、aは原子比率で0.45≦a≦0.75、該ターゲットの酸素含有量は、重量比で2000ppm以上、3850ppm以下、該ターゲット中のAl、Crは、Al相、Cr相として独立させて存在させ、該ターゲット中の酸素を該Cr相に多く存在させたことを特徴とする被覆用ターゲットである。更に、該ターゲットの組成は(AlCr1−a−bSi)からなり、a、bはそれぞれ原子比率で0.45≦a≦0.75、0<b≦0.2、該ターゲットの酸素含有量は、重量比で2000ppm以上、3850ppm以下、該ターゲット中のAl、Cr及びSiは、Al相、Cr相及びSi相として独立させて存在させ、該ターゲット中の酸素を該Cr相に多く存在させたたことを特徴とする被覆用ターゲットである。上記構成を採用することにより、硬質皮膜を効率よく得ることのできるターゲットを提供することができる。
本願発明の被覆用ターゲットの実施態様として、該ターゲットの相対密度を95%以上、より好ましくは98%以上、更に、該ターゲットに存在する空孔の大きさを直径0.5mm未満、としたことを特徴とする被覆用ターゲットで有る。
本願発明の被覆用ターゲットを用いて、切削加工に用いても十分な耐摩耗性を有し、基体表面とその直上の硬質皮膜とが密着性の改善を図り、更に耐高温酸化特性に優れた硬質皮膜を得ることが出来た。
本発明のターゲットの相対密度を95%以上とすることで、成膜時の放電状態が安定し、効率よく本発明の硬質皮膜が得られる。ターゲットの相対密度が95%未満では、ターゲット中に微小な空孔等の合金成分の粗な部分が生じることにより、この様なターゲットを皮膜形成に用いた場合、金属成分の蒸発が不均一となって、皮膜の組成がばらつき、膜厚が不均一となる。また、空孔部分は成膜時に、局所的かつ急速に消耗するので、減耗速度が速くなりターゲットの寿命が短くなる。空孔が多数存在する場合には、局所的な減耗が急速に進むだけではなく、ターゲットの強度が劣化して欠損やクラックが生じる原因ともなる。従ってターゲットの相対密度は95%以上であることが必要であり、好ましくは98%以上である。ターゲットの相対密度を95%以上にしても、ターゲット中に存在する空孔が局所的に大きい場合には、放電状態が不安定となり不適切である。ターゲット中に直径1mm以上の空孔が存在すると、ターゲットを構成する合金成分の蒸発またはイオン化のためのアーク放電が中断して成膜を行うことができない。空孔の直径が0.5mm以上になると放電の中断はしないものの、放電状態が不安定となる。従って、安定した放電状態を維持し、安定した被覆を行うには、ターゲット中に存在する空孔の直径を0.5mm未満、好ましくは0.3mm以下にすることが好ましい。
本願発明のターゲット、AlCr系、AlCrSi系では、AlCr系又ではAl相、Cr相、AlCrSi系では、Al相、Cr相及びSi相として存在し、該被覆用ターゲット中の酸素は、実質的にCr相に多く含有することが好ましい。各元素が化合物として存在する場合は、放電状態が不安定であり、局部的に蒸発する場合があり、その結果、マクロパーティクルの増加や、ターゲット表面における窒化反応が不十分であり、目的とする皮膜硬度が得られない場合が確認された。
ターゲット中の酸素は、実質的にCr相に多く含有することがより好ましい。Cr相に多く酸素が存在する場合、特にマクロパーティクルが少なく、高密度な硬質皮膜を得ることができる。ターゲットに含有される不純物の銅やマグネシウムは、本発明のターゲットを構成するAl、Cr、及びもしくはSi蒸気圧が高く気化しやすいので、多量に含まれる場合には、ターゲット製造時にガス化してターゲット内部に空孔が形成され、この様な欠陥が原因で成膜時の放電状態が不安定となる。そこで、ターゲットに含まれる銅の含有量は、0.05%以下に抑えることが好ましく、より好ましくは0.02%以下である。また、マグネシウムの含有量は、0.03%以下に抑えることが好ましく、より好ましくは0.02%以下である。この様な不純物の含有量を低減する方法として、例えば原料粉末の真空溶解や、清浄雰囲気で原料粉末の配合、混合を行うこと等が挙げられる。例えば、混合比や粒径等を適切に調整した原材料のCr粉末、Al粉末、及びもしくはSi粉末を、V型ミキサー等で均一に混合して混合粉末とした後、これに冷間静水圧加圧処理、或いは熱間静水圧加圧処理を施す方法が本発明のターゲットを得る有効な方法として挙げられる。これらの方法の他、熱間押出法や超高圧ホットプレス法等によっても本発明のターゲットを製造することができる。
本願発明のターゲットを蒸発またはイオン化させて、基体上に被覆するAIP法が有効である。しかし、ターゲットの特性が不適切な場合には、成膜時に安定した放電状態が保てず、得られる皮膜の成分組成が不均一となり、皮膜の強度が得られない等の問題が生じる。そこで優れた耐摩耗性を発揮する本発明の被覆エンドミルを得るには、使用するターゲットの特性についても検討した。即ち、耐摩耗性に優れた硬質皮膜を得るには、ターゲットの組成は、(AlCr1−a)系では、aは原子比率で0.45≦a≦0.75、(AlCr1−a−bSi)系では、xが0.45≦x≦0.75、yが0≦y≦0.2とする。AIP法では、使用するターゲットの成分組成が、形成される皮膜の成分組成を決定付けることから、ターゲットの成分組成は、目的とする皮膜の成分組成と略同一とする。
該硬質皮膜を得るためのターゲットの酸素含有量は、2000ppm以上、3850ppm以下とする。ターゲット内の酸素含有量は2000ppm以上とするが、更に2500ppm以上が好ましい。ターゲット内の酸素含有量が2000ppm未満の場合、例えば1800ppmの場合、硬質皮膜内に酸化物としての結合状態が確認できず、硬質皮膜の耐摩耗性の改善効果が少ない。一方、酸素含有量の上限は3850ppmとする。酸素含有量が3850ppmを超えると、成膜時にターゲットからガスが突発的に発生し、アーク放電状態が不安定となり、マクロパーティクルが増加して、硬質皮膜表面が荒くなる傾向がある。最悪の場合にはターゲットそのものが破損して良好に成膜されない。従って、酸素含有量を本発明の規定範囲に制御することにより、安定した放電状態を維持することができ、ターゲット表面をランダムに移動するアークスポットの分布面積が広がり、またアークスポットの移動速度が早くなり、硬質皮膜中のマクロパーティクルを減少させる効果に加え、例えば窒素雰囲気では、ターゲット成分の窒化反応が活発に行われるようになり、皮膜硬度向上に効果的である。一方、本発明の硬質皮膜を得るためには、酸素を含有する反応ガスを使用することも選択肢に含まれる。以下、実施例に基づき、本願発明を具体的に説明する。
(実施例1)
成膜には酸素含有の合金ターゲットを用い、反応ガスを真空装置内に導入し全圧を3.0Pa、バイアス電圧を−100V、被覆温度を450℃とし、膜厚を約5μmとし、(Al0.6Cr0.4)(N0.800.080.100.02)を成膜し、本発明例1とした。皮膜組成は、電子プローブX線マイクロアナリシス及びオージェ電子分光法により決定した。X線光電子分光分析は、PHI社製1600S型X線光電子分光分析装置を用いて分析した。本発明例1のX線光電子分光分析結果を図1に示す。図1は結合エネルギーが530eV近傍のナロースペクトル示し、Cr−O及びAl−Oの結合の存在を示す。図2はCr−N及びCr−Oの結合の存在を示す。図3はAl−N及びAl−Oの結合の存在を示す。図4のX線回折結果は、硬質皮膜のX線回折における(111)面の回折強度をI(111)、(200)面の回折強度をI(200)とした時に、I(200)/I(111)の値が4以下であることを示す。
(実施例2)
実施例1と同様に、(AlCr1−x−ySi)(N0.950.05)を成膜し、比較例2、x=0.20、y=0、比較例3、x=0.30、y=0、本発明例4、x=0.50、y=0、本発明例5、x=0.60、y=0、本発明例6、x=0.70、y=0、比較例7、x=0.80、y=0及び(AlCr1−x)N系の従来例9、x=0.20、従来例10、x=0.50、従来例11、x=0.70、を製作し、押込硬さを測定した。試験機は微小押込み硬さ試験機を用い、圧子はダイヤモンド製の対稜角115度の三角錐圧子を用い、最大荷重を49mN、荷重負荷ステップ4.9mN/sec、最大荷重時の保持時間は1秒とした。測定値は10点測定の平均値を示した。図5より、本発明例4〜6、Al添加量、45〜75原子%の範囲で、酸素を含有しない系より高硬度を示した。本発明の硬質皮膜は、酸素を含有することにより高硬度となり、40GPa以上を得ることが出来る。これによって密着性並びに耐摩耗性に優れた硬質皮膜が得られる。
(実施例3)
高速度鋼を基体に用い、表1に示す皮膜組成の、本発明例12〜20、比較例21〜26及び従来例10を製作した。AIP法による被覆条件は、被覆基体温度450℃、反応圧は3.5Paでバイアス電圧を−150Vの条件で被覆処理を行なった。表1に皮膜の組成等を示す。
表1の試料を用いて、大気中1100℃の酸化条件で処理した皮膜の酸化層、実施例2同様に微小押込み硬さ、薄板の変形量より算出した残留圧縮応力を測定した。表1より、酸化層厚さは、本発明例12〜20は、殆ど酸化進行が無く、耐高温酸化特性に優れていることが確認された。従来例10は酸化進行が著しく硬質皮膜は殆ど酸化物となり、酸素の内向拡散が基体まで達していた。押込み硬さもC、Bを含有させることにより、更に高硬度となる。残留圧縮応力は、本発明例12〜20は低い。
表1の本発明例及び比較例を用いて圧痕試験による皮膜剥離状況を併記する。測定はロックウェル硬度計により1470Nの荷重で圧痕を形成し、光学顕微鏡により観察した。本発明例12〜20は剥離が無く、優れた密着性を示した。これは本発明例が適正なE値の範囲内にあるためである。比較例21〜26、従来例10は被覆基体の塑性変形に追従することができず、圧痕周辺部に膜剥離が発生した。
(実施例4)
表1に示す本発明例12から20、比較例21から26及び従来例10の硬質皮膜を高速度鋼、Co:8wt%、V:4wt%、Mo:6wt%、W:8wt%、Cr:4wt%、C:1.6wt%及びその固溶体、残部がFe、を基体として、外径12mmの4枚刃の波状切刃を有する粗加工用エンドミルに、各組成からなるターゲットを配置したアークイオンプレーティング装置内に工具をセットし、真空中450℃で1時間の脱ガス加熱工程を実施し、Arイオンによる被覆基体のクリーニング処理を行なった。実施例3と同じ方法でエンドミル表面に、硬質皮膜を3μmの厚さで被覆した。表1に示す本発明例12から20、比較例21から26及び従来例10の硬質皮膜被覆エンドミルを用いて、下記条件の切削試験を行いエンドミルが切削不能に至るまでの時間を表1に併記する。
(切削条件)
切削方法:粗加工
被削材:SKD11(硬さHB219)
切り込み:Rd、6mm、Ad、12mm
切削速度:30m/min
送り:0.05mm/刃(107mm/min)
切削油:エアーブロー
表1より、本発明例12から20の高速度鋼を基体とした硬質皮膜被覆エンドミルは、従来例10と比較して切削不能に至るまでの切削時間が長く、耐摩耗性に優れている。本発明例18は本発明皮膜被覆後にダイヤモンド粒子を含有した粒子を工具すくい面に投射することにより、硬質皮膜表面を平滑にしたが、本発明例12と比較しても、より切削寿命が延長している。比較例21は被覆条件をバイアス電圧−500Vで被覆した硬質皮膜のX線回折による最強強度面指数が(220)面を示し、I(200)/I(111)の値が4.5となり、本発明例に比べて切削寿命が短い。比較例22はターゲットに含有する酸素濃度が1800ppmからなるターゲットを使用した場合を示すが、X線光電子分光分析により酸化物としての結合状態が確認されない場合を示し、本発明例に比べて切削寿命が短い。比較例23はAl含有量が20原子%の場合であり、弾性回復率は30%以下となり、切削寿命が短く、耐摩耗性が十分ではない。比較例24はAl含有量が80原子%の場合であり、切削寿命が短く耐摩耗性に劣る。比較例25は酸素含有量が55原子%の場合であるが耐摩耗性がAlの六方晶系化合物の(001)面ピーク強度十分ではない。比較例26はSi含有量が34原子%の場合であるが耐摩耗性が十分ではない。
更に、比較例24、26は半価幅が1度以上となり、耐摩耗性が十分ではなく、工具寿命が短い。また、結晶粒径のアスペクト比についても、比較例24、26が5を超えて大きくなっている。これらは、皮膜の(111)面配向が強い為、残留圧縮応力も高くなって皮膜の密着性が低下したことが短寿命となった原因と考えられる。更に比較例24はピーク強度比Q2/Q1の値が、0.1を超えて大きい値を示した。このことは、膜組成におけるAl含有量の多いため、Alの六方晶系化合物の含有割合が増加したためである。これによって、皮膜の硬度が低下し、十分な耐摩耗性が得られなかった。
(実施例5)
表2に示した組成からなるターゲットを使用し、酸素の含有量、相対密度、空孔の大きさ、ターゲット組織が及ぼす放電状態、並びに硬質皮膜の特性への影響について検討した。
本発明例27から31は、安定した放電状態を示し皮膜特性と共に良好であった。また、本発明例32から34は、一時的に放電状態が不安定になったが、皮膜の性能は満足のいくものが得られた。本発明例32は、相対密度が92%の場合の例を示すが、放電状態がやや不安定であったことから、放電状態を安定に保つためには、相対密度は95%以上であることが好ましい。皮膜硬度については、他のターゲットの場合と比較して、僅かに低下が見られた。本発明例33は、ターゲット表面の空孔の大きさが0.8mmの場合の例を示すが、同様に放電状態がやや不安定であったことから、放電状態を安定に保つためには、空孔の大きさを0.5mm未満とすることが好ましい。
次に、ターゲット組織が及ぼす硬質皮膜の特性への影響を示す。図7は本発明例31、図8は比較例34の光学顕微鏡組織を示す。図9から13には本発明例31の組織を走査型電子顕微鏡(以下、SEMと言う。)で観察し、同じ視野をAl、Si、Cr、Oの各元素毎に分析し、マッピングした結果を示す。図14から17には比較例34の組織をSEM観察し、同じ視野をAl、Si、Crの各元素毎に分析し、マッピングした結果を示す。図10から図13及び図15から図17において、白色及び灰色となっている領域には、分析対象となった元素が存在していることを示す。これらの図より、比較例34にはCr相、Al相、Si相が重なって存在する領域が存在しており、化合物相として存在する領域が見られた。一方、本発明例31はAl相、Cr相、Si相が独立して存在していることが確認できた。また、本発明例31と比較例34を2θ−θ法によりX線回折を行った。その結果を図18に示す。図18より、比較例34には複数の化合物によるピークが確認された。図19には硬質皮膜の強度である皮膜硬度と、ヤング率との関係を、本発明例31と比較例34とを比較して示した。皮膜硬度とヤング率の測定は、実施例2と同一測定法で実施した。図19より、化合物相を含む比較例34は、Al相、Cr相、Si相より構成される本発明例31に比べ、皮膜硬度、ヤング率と共に低くなる傾向を示した。このことから、本発明のターゲットとしては、Al相、Cr相、Si相が独立して存在していることが好ましいと考えられる。図13より、酸素の存在場所としてはCr相に多く存在していることも確認された。
図1は、本発明例のCr−O及びAl−Oの結合エネルギーを示す。 図2は、本発明例のCr−N及びCr−Oの結合エネルギーを示す。 図3は、本発明例のAl−N及びAl−Oの結合エネルギーを示す。 図4は、本発明例のX線回折結果を示す。 図5は、本発明例と従来例のAl添加量と皮膜硬度の関係を示す。 図6は、本発明例31の光学顕微鏡組織を示す。 図7は、比較例34の光学顕微鏡写真を示す。 図8は、本発明例31のSEM観察像を示す。 図9は、本発明例31の組織をAl元素でマッピングした結果を示す。 図10は、本発明例31の組織をSi元素でマッピングした結果を示す。 図11は、本発明例31の組織をCr元素でマッピングした結果を示す。 図12は、本発明例31の組織をO元素でマッピングした結果を示す。 図13は、比較例34のSEM観察像を示す。 図14は、比較例34の組織をAl元素でマッピングした結果を示す。 図15は、比較例34の組織をSi元素でマッピングした結果を示す。 図16は、比較例34の組織をCr元素でマッピングした結果を示す。 図17は、本発明例31、比較例34を2θ−θ法によりX線回折を行った結果を示す。 図18は、本発明例31、比較例34の皮膜硬度とヤング率の関係を示す。

Claims (4)

  1. 被覆用ターゲットにおいて、該ターゲットの組成は(AlCr1−a)からなり、aは原子比率で0.45≦a≦0.75、該ターゲットの酸素含有量は、重量比で2000ppm以上、3850ppm以下、該ターゲット中のAl、Crは、Al相、Cr相として独立させて存在させ、該ターゲット中の酸素を該Cr相に多く存在させたことを特徴とする被覆用ターゲット。
  2. 被覆用ターゲットにおいて、該ターゲットの組成は(AlCr1−a−bSi)からなり、a、bはそれぞれ原子比率で0.45≦a≦0.75、0<b≦0.2、該ターゲットの酸素含有量は、重量比で2000ppm以上、3850ppm以下、該ターゲット中のAl、Cr及びSiは、Al相、Cr相及びSi相として独立させて存在させ、該ターゲット中の酸素を該Cr相に多く存在させたことを特徴とする被覆用ターゲット。
  3. 請求項1又は2記載の被覆用ターゲットにおいて、該ターゲットの相対密度を95%以上としたことを特徴とする被覆用ターゲット。
  4. 請求項1乃至3何れかに記載の被覆用ターゲットにおいて、該ターゲットに存在する空孔の大きさを直径0.5mm未満としたことを特徴とする被覆用ターゲット。
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