JP4236859B2 - 切断用ホイール及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電子材料や半導体製品等の微小な部品の高精度な切断加工や溝入れ加工に用いられる切断用ホイールに関する。
【0002】
【従来の技術】
このような部品としては、ハードディスクのヘッドとして用いられるGMRヘッド等がある。このGMRヘッドは、例えば縦1.2mm、横0.9mm、厚さ0.3mm程度のごく微小な部品である。このような微小な部品は、まず複数の部品を一体の基板として製作して、その後切断用ホイールによって基板のまま各部品にまとめて溝入れ加工を施したり、基板を個々の部品に切り分けている。
この加工に用いられる切断用ホイールとしては、円柱形状をなす工具本体の外周に、略薄板リング状の砥石を、互いの間にスペーサを挟み込んで工具本体の軸線方向に複数枚設けたものがある。このように複数の砥石を設けた切断用ホイールを用いることで、基板の複数箇所で切断加工または溝入れ加工を同時に行うことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような切断用ホイールでは、複数の砥石及びスペーサを用いているため、これら各部材の厚みのばらつき及び各部材の組み付け精度のばらつきが累積して、組み上がりの砥石の位置、すなわちワークの切断位置に影響する。このため、この切断用ホイールでは、ワークの加工精度の確保が困難である。
また、この切断用ホイールでは、各部材間の隙間を完全に無くすことは困難なので、使用を続けるうちにワークの加工精度が低下しやすい。
さらに、近年、ワークである基板はますます小型化されており、これに伴い、基板の加工に供する切断用ホイールについても、より薄い砥石で正確な加工を行うという要求が強まっている。特に、GMRヘッドのスライダーの加工においては、切断に用いる砥石の厚さが100μm以下となってきている。
このような寸法では、砥石の厚みのばらつきが相対的に大きくなるので、切断用ホイールの形状精度を維持することが一層困難である。また、ワークの切断ピッチも狭くなってきているため、砥石間にスペーサを入れることが困難である。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、加工精度が良い切断用ホイール及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる切断用ホイールは、円柱形状をなす台金の外周に、砥粒を金属結合相中に分散配置してなる砥粒層が全周にわたって形成される切断用ホイールであって、前記砥粒層には、周面全周にわたる凹部と、該凹部によって前記台金の軸線方向に隔てられて外周部がワークの切削に供される複数のフランジ状凸部とが形成されており、前記砥粒層は、前記台金上に形成されて仕上げ用砥粒が分散されるメタル焼結体によって構成された内周層と、該内周層上にめっき処理によって形成されて前記仕上げ用砥粒よりも平均粒径の大きい粗加工用砥粒が分散される外周層とを有し、前記凹部の深さGは前記外周層の厚みTを超える深さとされ、前記フランジ状凸部は、前記外周層の外周面から内周層の外周部にかけて、径方向内側に向かうにつれて漸次前記軸線方向の幅が拡げられるテーパー形状に形成されていて、前記各フランジ状凸部において、前記内周層は、前記外周層よりも前記軸線方向の両側に張り出していることを特徴としている。
【0006】
このように構成される切断用ホイールでは、円柱形状をなす台金の外周に形成される砥粒層に、凹部によって台金の軸線方向に隔てられる複数のフランジ状凸部が形成されている。ワークの切削に作用する複数のフランジ状凸部は、台金に設けられる砥粒層に一体的に形成されているので、フランジ状凸部の位置精度を高精度とすることができ、また、使用を続けることによるフランジ状凸部の位置のずれが生じない。
ここで、砥粒としては、例えばダイヤモンドやcBN等の超砥粒が用いられる。
【0007】
ここで、ワークから切り出される部品が例えばハードディスクのヘッドである場合、何らかの理由でヘッドから破片が脱落した際に、この破片によってハードディスクの記録面が損傷してしまう恐れがあるので、部品の切断面をバリやクラック等のない鏡面に加工することが望まれている。
従来は、ワークの切断と切断面の鏡面加工を同時に行うため、砥粒を細かくした切断用ホイールを用いてワークの切断を行っていた。
しかし、このように砥粒を細かくすると切断用ホイールの切れ味が不良となるため、ワークに割れや加工による変質等のダメージを与えてしまったり、ワークの加工精度が低下してしまうという不都合があった。
また、切れ味を重視して、砥粒を粗くした切断用ホイールを用いた場合には、ワークにチッピングやクラック等が発生しやすく、切断面をさらに二次加工して補正する必要があった。
【0008】
そこで、本発明にかかる切断用ホイールにおいて、砥粒層は、台金上に形成されて仕上げ用砥粒が分散される内周層と、内周層上に形成されて仕上げ用砥粒よりも平均粒径の大きい粗加工用砥粒が分散される外周層とを有し、凹部の深さGは外周層の厚みTを超える深さとされ、前記外周層の外周面から内周層の外周部にかけて、径方向内側に向かうにつれて漸次前記軸線方向の幅が拡げられるテーパー形状に形成されていて、各フランジ状凸部において、内周層は、外周層よりも軸線方向の両側に張り出している構成としている。
この構成では、ワークの切削に供されるフランジ状凸部のうち、重切削を強いられる外周部(特に外周部の中央部)には、平均粒径の大きい(すなわち粗い)粗加工用砥粒が分散される外周層が形成されているので、切れ味が確保される。そして、内周層は、外周層よりも台金の軸線方向の両側に張り出しているので、外周層による切断面は、より平均粒径の小さい(すなわち細かい)仕上げ用砥粒が分散される内周層によって仕上げ切削される。
すなわち、この切断用ホイールでは、一度の切削加工でワークに粗加工と仕上げ加工との両方が施される。
【0010】
また、このように構成される切断用ホイールにおいては、仕上げ用砥粒の平均粒径D1が25μmよりも大きいと、ワークにチッピングやクラック等が生じやすくなり、切断面の仕上がりが悪くなってしまう。また、平均粒径D1が1.6μmよりも小さいと、切れ味が不良であるため、ワークにダメージを与えたり、加工精度が低下してしまう。
一方、粗加工用砥粒の平均粒径D2が50μmよりも大きいと、ワークに大きなチッピングやクラック等が生じやすくなり、その後の内周層による切断面の仕上げに大きな負担が生じることとなる。また、平均粒径D2が5μmよりも小さいと、切れ味が不良であるため、ワークにダメージを与えたり、加工精度が低下してしまう。
このため、本発明にかかる切断用ホイールにおいては、仕上げ用砥粒の平均粒径D1は25μm〜1.6μmの範囲内とし、粗加工用砥粒の平均粒径D2は、50μm〜5μmの範囲内とすることが好ましい。
【0011】
また、このように構成される切断用ホイールにおいては、粗加工用砥粒の平均粒径D2が、仕上げ用砥粒の平均粒径D1の1.3倍よりも小さいと、内周層と外周層の双方の効果(または砥粒層本体と側面砥粒層の双方の効果)が小さくなってしまう。一方、平均粒径D2が平均粒径D1の3倍よりも大きいと、ワークにクラックやチッピングが発生し、その後の内周層(または側面砥粒層)による切削によってもクラックやチッピングが除去できなくなってしまう。
このため、粗加工用砥粒の平均粒径D2は、仕上げ用砥粒の平均粒径D1の1.3倍〜3倍の範囲内とすることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
〔第一の実施の形態〕
以下より、本発明の第一の実施の形態にかかる切断用ホイールについて、図1から図3を用いて説明する。図1は本実施形態にかかる切断用ホイールを示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図、図2は本実施形態にかかる切断用ホイールの製造工程を概略的に示す図、図3は本実施形態にかかる切断用ホイールによるワークの切断の様子を概略的に示す図である。
本実施の形態にかかる切断用ホイール1は、円柱形状をなす台金2の外周に、砥粒層3が全周にわたって形成されるものである。台金2としては、例えばS45C等の鋼材が用いられ、砥粒層3は、金属結合相内に、人工または天然ダイヤモンドやcBN等の超砥粒を分散配置して形成されるものである。
【0013】
砥粒層3には、周面全周にわたる凹部6と、凹部6によって台金2の軸線O方向に隔てられて外周部がワークの切削に供される複数のフランジ状凸部7とが形成されている。フランジ状凸部7は、砥粒層3において台金2の軸線Oに略直交させて形成されている。
ここで、一つのワークから得られる部品の数を多くするために、ワークの切断代は極力小さくすることが望ましい。このため、フランジ状凸部の前記軸線方向の幅W1は、0.3mm以内とすることが好ましい。
また、本実施の形態では、凹部6の軸線O方向の幅W2は、ワークから切り出される部材の幅の二倍としている。ここで、図1(b)は砥粒層3の概略形状を示すためのものであって、各部の正確な寸法比を示すものではない。
【0014】
砥粒層3は、台金2上に形成されて仕上げ用砥粒が分散される内周層8と、内周層8上に形成されて仕上げ用砥粒よりも平均粒径の大きい粗加工用砥粒が分散されてなる外周層9とを有している。
ここで、凹部6の深さGは、外周層9の厚みTを超える深さとされている。
内周層8は、超砥粒が分散されたメタル焼結体によって構成される。外周層9は、めっきよって超砥粒が分散された状態で形成されるNi(ニッケル)、Cu(銅)、Co(コバルト)、Cr(クロム)等の金属層、またはこれらの合金からなる金属層によって構成される。
【0015】
また、各フランジ状凸部7において、内周層8は、外周層9よりも前記軸線O方向の両側に張り出している。
本実施の形態では、フランジ状凸部7は、外周層9の外周面から内周8の外周部にかけて、径方向内側に向かうにつれて漸次軸線O方向の幅が広げられるテーパー形状に形成している。ここで、フランジ状凸部7の側面において、テーパー形状とされる部分よりも径方向内側の部分は、軸線Oに略垂直に交差する平面とされている。
【0016】
内周層8に分散される仕上げ用砥粒の平均粒径D1は25μm〜1.6μmの範囲内とされ、外周層9に分散される粗加工用砥粒の平均粒径D2は、50μm〜5μmの範囲内とされている。
また、粗加工砥粒の平均粒径D2は、仕上げ用砥粒の平均粒径D1の1.3倍〜3倍の範囲内とされている。本実施の形態では、粗加工用砥粒の平均粒径D2は11μmとされており、仕上げ用砥粒の平均粒径D1は7μmとされている。
【0017】
以下より、このように構成される切断用ホイール1の製造工程について説明する。
【0018】
〔内周層形成工程〕
まず、台金2の外周に、砥粒層3を構成する内周層8を形成する。本実施の形態では、内周層8は、仕上げ用砥粒が分散されたメタル焼結体によって構成している。
このような内周層8は、台金2の外周に、Cu−Sn系のメタル焼結体原料をマトリックスとして平均粒径D1の超砥粒を分散させてこれを焼結することによって形成される。
【0019】
〔外周層形成工程〕
次に、内周層8の外周に、砥粒層3を構成する外周層9を形成する。
本実施の形態では、内周層8の外周にめっき処理によって粗加工用砥粒が分散されたニッケルまたはニッケル基合金層を形成し、これを外周層9としている。
このような外周層9は、例えば図2に概略的に示す砥粒層製造装置10を用いて製造される。
砥粒層製造装置10は、攪拌機が配設されためっき槽11を有している。めっき槽11内には、めっき槽11の内面から離間させ、かつ電源の陰極が接続された状態で、内周層8が形成された台金2が設置される。
めっき槽11中には、台金2の内周層8の外周面と対向させてニッケル製の陽極板12が配置されている。
【0020】
外周層9を形成する際には、めっき槽11に、めっき液として、超砥粒であるダイヤモンド粉末(平均粒径はD2)が分散されためっき液Mを入れ、めっき液Mを攪拌機によって攪拌しながら通電する。
台金2の表面及び内周層8の外周面を除く他の表面にはマスキングが施されており、内周層8の外周面にのみ、超砥粒を含む所定の厚さの砥粒層を析出させて、この砥粒層を外周層9とする。
【0021】
〔砥粒層整形工程〕
次に、上記の工程で得られた砥粒層3に整形を施して、凹部6とフランジ状凸部7を形成する。
凹部6は、例えば型彫り放電加工機やワイヤ放電加工機等の放電加工機によって砥粒層3の外周部の一部を除去することによって形成される。
このようにして砥粒層3の外周部に凹部6を形成することで、砥粒層3において凹部6によって台金2の軸線O方向に隔てられる部分が、フランジ状凸部7をなす。
また、この砥粒層整形工程では、凹部6の形成に加えて、さらにフランジ状凸部7の外周部の整形も行う。すなわち、フランジ状凸部7を、外周層9の外周面から内周8の外周部にかけて、径方向内側に向かうにつれて漸次軸線O方向の幅が広げられるテーパー形状に形成する。このようにして砥粒層3の整形を行うことで、本発明にかかる切断用ホイール1を得る。
【0022】
この切断用ホイール1は、台金2を図示しない駆動軸に対して同軸にして固定し、この状態で駆動軸の軸線まわりに回転駆動させ、砥粒層3のフランジ状凸部7の外周部でワークを切断(研削)加工する。
この切断用ホイール1においては、フランジ状凸部7のうち、まず外周部によってワークWの切削が行われる。このように重切削を強いられる外周部(特に外周部の中央部)には、平均粒径の大きい(粗い)粗加工用砥粒が分散される外周層9が形成されているので、切れ味が確保される。このとき、ワークWには若干のチッピングが生じてもよい。
【0023】
そして、内周層8は、外周層9よりも軸線O方向の両側に張り出しているので、図3に示すように、切り込み量が大きくなるにつれて、または切断用ホイール1が送り方向に移動するにつれて、外周層9による切断面は、より平均粒径の小さい(細かい)仕上げ用砥粒が分散される内周層8によって仕上げ切削される。
このとき、外周層9の切削によってワークWにチッピングが生じていても、外周層9によって切削が行われた領域は内周層8による切削によって除去されて、鏡面に仕上げられる。
すなわち、この切断用ホイール1によれば、一度の切削加工で粗加工と仕上げ加工の両方が行われる。
ここで、この切断加工の際に、ワークWの切断面全体を内周層8によって鏡面に仕上げるため、切断用ホイール1のワークWに対する切り込み深さは、少なくともフランジ状凸部7の側面において軸線Oに垂直な部分がワークWの裏面側まで達する深さに設定される。
【0024】
ここで、凹部6の軸線O方向の幅W2、すなわちワークの切断に作用するフランジ状凸部7間の距離がワークの切断に作用する部材の幅と同一とすると、ワークを切断した際にフランジ状凸部7間に部材を挟み込んでしまう恐れがある。このため、本実施の形態では、凹部6の軸線O方向の幅W2は、ワークから切り出される部材の幅の二倍としている。
この場合には、まず一度目の切断加工では、互いに凹部6によって隔てられる各フランジ状凸部7によって、ワークにおいて切断すべきラインを一本おきに切断する。そして、二度目の切断加工では、各フランジ状凸部7によって、切断すべきラインのうち、一度目の切断加工で切断したラインから一本ずれたラインを切断する。これによって、フランジ状凸部7間に部材を挟み込んでしまうことなく、ワークから部材を所望の幅で切り出すことができる。
【0025】
このように構成される切断用ホイール1によれば、ワークの切削に作用する複数のフランジ状凸部7は、台金2に設けられる砥粒層3に一体的に形成されているので、フランジ状凸部7の位置精度を高精度とすることができ、また、使用を続けることによるフランジ状凸部7の位置のずれが生じない。
このように、本実施の形態にかかる切断用ホイール1によれば、加工精度を良好にすることができる。
【0026】
さらに、この切断用ホイール1では、ワークの切削に供されるフランジ状凸部7のうち、重切削を強いられる外周部(特に外周部の中央部)に平均粒径の大きい粗加工用砥粒が用いられる外周層9が形成されているので、切れ味が確保される。そして、内周層8は、外周層9よりも台金2の軸線O方向の両側に張り出しているので、外周層9による切断面は、より平均粒径の小さい仕上げ用砥粒が用いられる内周層8によって仕上げ切削される。
すなわち、この切断用ホイール1では、一度の切削加工でワークに粗加工と仕上げ加工との両方が施されるので、一度の切削加工で、切断面をバリ等のない鏡面に加工することが可能となり、加工精度と切削加工の効率とを双方とも向上させることができる。
【0027】
なお、上記第一の実施形態において、フランジ状凸部7を、外周層9の外周面から内周部8の外周部にかけて、径方向内側に向かうにつれて漸次軸線O方向の幅が広げられるテーパー形状に形成した例を示したが、図4(a)、(b)はこれに対する参考例であって、図4(a)に示す参考例では、内周層8及び外周層9を四角形断面形状に形成してあり、また図4(b)に示す参考例では、内周層8の外周部も含めた外周層9の表面を曲面状に形成してある。
【0028】
〔第二の実施の形態〕
以下より、本発明の第二の実施の形態にかかる切断用ホイールについて、図5から図7を用いて説明する。図5は本実施形態にかかる切断用ホイールを示す断面図、図6は本実施形態にかかる切断用ホイールの製造工程を概略的に示す図、図7は本実施形態にかかる切断用ホイールによるワークの切断の様子を概略的に示す図である。
本実施の形態にかかる切断用ホイール21は、第一の実施の形態に示す切断用ホイール1と同様に、円柱形状をなす台金2の外周に、凹部6及びフランジ状凸部7が形成される砥粒層3が全周にわたって形成されるものであって、砥粒層3を内周層8及び外周層9によって構成する代わりに、砥粒層基部22及び側面砥粒層23によって構成したものである。
【0029】
本実施の形態において砥粒層3を構成する砥粒層本体22は、前記粗加工用砥粒が分散されるものであって、その外周には、凹部6及びフランジ状凸部7が形成されている。
また、本実施の形態において砥粒層3を構成する側面砥粒層23は、砥粒層本体22のフランジ状凸部7の側面に形成されるものであって、前記仕上げ用砥粒が分散されている。
ここで、砥粒層本体22及び側面砥粒層23は、例えば超砥粒が分散されたメタル焼結体によって構成される他、めっき等によって超砥粒が分散された状態で形成されるNi(ニッケル)、Cu(銅)、Co(コバルト)、Cr(クロム)等の金属層、またはこれらの合金からなる金属層によって構成されてもよい。
この切断用ホイール21において、フランジ状凸部7の外周部の形状は任意である。本実施の形態では、フランジ状凸部7の外周部は、断面視略四角形状としている。
【0030】
以下より、このように構成される切断用ホイール21の製造工程について説明する。
【0031】
〔砥粒層本体形成工程〕
まず、台金2の外周に、砥粒層3を構成する砥粒層本体22を形成する。本実施の形態では、砥粒層本体22は、超砥粒が分散されたメタル焼結体によって構成している。
【0032】
〔砥粒層本体整形工程〕
次に、上記の工程で得られた砥粒層本体22に整形を施して、図6(a)に示すように、凹部6とフランジ状凸部7を形成する。
凹部6は、例えば型彫り放電加工機やワイヤ放電加工機等の放電加工機によって砥粒層本体22の外周部の一部を除去することによって形成される。
このようにして砥粒層本体22の外周部に凹部6を形成することで、砥粒層本体22において凹部6によって台金2の軸線O方向に隔てられる部分が、フランジ状凸部7をなす。
【0033】
〔側面砥粒層形成工程〕
次に、図6(b)に示すように、砥粒層本体22においてフランジ状凸部7の側面に、砥粒層3を構成する側面砥粒層23を形成する。
本実施の形態では、砥粒層本体22の外周にめっき処理によって仕上げ用砥粒が分散されたニッケルまたはニッケル基合金層Nを形成し、このうちフランジ状凸部7の側面に形成される部分を側面砥粒層23としている。
このような側面砥粒層23は、第一の実施の形態において切断用ホイール1の外周層を形成する際と同様に、図2に示す砥粒層製造装置10を用いて、砥粒層本体22の外周にめっき処理を施すことによって製造される。ここで、フランジ状凸部7の外周面にニッケルまたはニッケル基合金層Nが形成されないよう、フランジ状凸部7の外周面にマスクを施した状態でこのめっき処理を行ってもよい。
【0034】
そして、図6(c)に示すように、砥粒層本体22の外周に形成したニッケルまたはニッケル基合金層Nのうち、フランジ状凸部7の外周面に位置する部分を研磨等によって除去してフランジ状凸部7の外周部で砥粒層本体22を露出させることで、本発明にかかる切断用ホイール21を得る。
ここで、めっき処理の際にフランジ状凸部7の外周面にマスクを施していた場合には、フランジ状凸部7の外周面にはニッケルまたはニッケル基合金層Nは形成されないので、めっき処理後にニッケルまたはニッケル基合金層Nを除去する作業は不要であり、めっき処理後に前記マスクを除去することで、フランジ状凸部7の外周部で砥粒層本体22が露出された切断用ホイール21を得る。
【0035】
この切断用ホイール21は、台金2を図示しない駆動軸に対して同軸にして固定し、この状態で駆動軸の軸線まわりに回転駆動させ、砥粒層3のフランジ状凸部7の外周部でワークを切断(研削)加工する。
この切断用ホイール21においては、フランジ状凸部7のうち、まず外周部によってワークWの切削が行われる。このように重切削を強いられる外周部の中央部には、平均粒径の大きい粗加工用砥粒が用いられる砥粒層本体22が露出されており、この荒切削用砥粒がワークの切削に作用するので、切れ味が確保される。
【0036】
そして、図7に示すように、フランジ状凸部7の側面には、砥粒層本体22よりも平均粒径の小さい側面砥粒層23が形成されているので、ワークWの切断面は、より細かい超砥粒が用いられる側面砥粒層23によって仕上げ切削される。
このとき、ワークWにおいて砥粒層本体22によって切削される領域にチッピングが生じていても、ワークWの切断面は側面砥粒層23による仕上げ切削によって、鏡面に仕上げられる。
すなわち、この切断用ホイール21によれば、一度の切削加工で粗加工と仕上げ加工の両方が行われる。
【0037】
また、本実施の形態では、フランジ状凸部7の側面に設けられる側面砥粒層23を、超砥粒が分散されるニッケルまたはニッケル基合金からなる金属結合相によって形成している。この金属結合相からなる側面砥粒層23は硬度が高く、磨耗が進行しにくいので、フランジ状凸部7の形状を長期にわたって維持することができ、寿命を向上させることができる。
また、この金属結合相は剛性が高いので、フランジ状凸部7はこの金属結合相からなる側面砥粒層23により補強されることとなって、ワークWの切削の際に応力を受けてもフランジ状凸部7にたわみや変形が生じにくくなり、ワークWの切断精度が向上するとともに、フランジ状凸部7の折損等が生じにくくなる。
【0038】
ここで、上記各実施の形態に示す切断用ホイールにおいて、ワークの仕上げ切削に供される内周層8または側面砥粒層23に分散される仕上げ用砥粒の平均粒径D1が25μmよりも大きいと、ワークにチッピングやクラック等が生じやすくなり、切断面の仕上がりが悪くなってしまう。また、平均粒径D1が1.6μmよりも小さいと、切れ味が不良であるため、ワークにダメージを与えたり、加工精度が低下してしまう。
一方、ワークの粗加工に供される外周層9または砥粒層本体21に分散される粗加工用砥粒の平均粒径D2が50μmよりも大きいと、ワークに大きなチッピングやクラック等が生じやすくなり、その後の内周層8または側面砥粒層23による切断面の仕上げに大きな負担が生じることとなる。また、平均粒径D2が5μmよりも小さいと、切れ味が不良であるため、ワークにダメージを与えたり、加工精度が低下してしまう。
このため、本発明にかかる切断用ホイールにおいては、仕上げ用砥粒の平均粒径D1は25μm〜1.6μmの範囲内とし、粗加工用砥粒の平均粒径D2は、50μm〜5μmの範囲内とすることが好ましい。
【0039】
また、外周層9または砥粒層本体22に分散される超砥粒の平均粒径D2が、内周層8または側面砥粒層23に分散される超砥粒の平均粒径D1の1.3倍よりも小さいと、これらの粒径の差が小さくなりすぎて、内周層8と外周層9との間、または砥粒層本体22と側面砥粒層23との間で分散される超砥粒の粒径を変えたことによる効果が小さくなってしまう。一方、平均粒径D2が平均粒径D1の3倍よりも大きいと、ワークにクラックやチッピングが発生し、その後の内周層8や側面砥粒層23による切削によってもクラックやチッピングが除去できなくなってしまう。
このため、外周層9または砥粒層本体22に分散される超砥粒の平均粒径D2は、内周層8または側面砥粒層23に分散される超砥粒の平均粒径D1の1.3倍〜3倍の範囲内とすることが好ましい。
【0040】
また、上記各実施の形態では、砥粒層3の内周層8や砥粒層本体22を、超砥粒が分散されたメタル焼結体によって構成し、外周層9や側面砥粒層23を、超砥粒が分散された状態で形成される金属層または合金層をめっき処理によって形成した例を示したが、これに限られることなく、内周層8や砥粒層本体22をめっき処理によって形成してもよく、また外周層9や側面砥粒層23をメタル焼結体やレジン焼結体によって構成してもよい。
【0041】
【実施例】
次に、本発明の切断用ホイール(以下本発明とする)と、性能の比較のために本発明において砥粒層3を単層構造とした切断用ホイール(以下、比較例とする)とを用意し、これら切断用ホイールのそれぞれについて、ワークの切削試験を行い、ワークの切断面の状態の比較と、その寿命とを比較した。
【0042】
〔第一実施例〕
本実施例では、本発明の切断用ホイールとして、第一の実施の形態で示すように、砥粒層3を、内周層8と外周層9とによって構成したものを用いている(以下、この切断用ホイールを本発明1とする)。
本発明1及び比較例1、2は、いずれも台金2として、内径40mm、外径65mm、幅12mmのS45C材を用いている。
本発明1は、この台金2の外周に、砥粒層3を構成する内周層8を形成している。内周層8を形成した時点での砥粒層3の外径は74.7mmとした。ここでは、内周層8は、Cu−Sn系のメタル焼結体原料中に平均粒径4.5μmのダイヤモンド粒を25vol%の割合で分散したものを焼結してなる構成としている。
そして、この内周層8の外周面に、外径が75mmとなるように、平均粒径8.2μmのダイヤモンド粒を分散した金属結合相をめっき処理によって形成し、外周層9とした。すなわち、外周層9の厚みは0.15mmである。
ここで、外周層9を形成するめっき処理では、めっき液としてスルファミン酸Ni液を用い、3Aの電流で5時間のダイヤモンド分散めっき処理を行った。
さらに、型彫り放電加工機やワイヤー放電加工機によって砥粒層3に凹部6を形成して、台金2の軸線O方向に離間される5つのフランジ状凸部7を形成した。ここで、フランジ状凸部7の幅は、0.2mmとした。
【0043】
また、比較例1として、台金2の表面に、本発明1における内周層8の形成方法と同じ方法によって、平均粒径8.2μmのダイヤモンド粒を25vol%の割合で分散してなる砥粒層を形成した。ここで、この砥粒層の外径は、本発明1の外径と同じく75mmとした。さらに、本発明と同様に、型彫り放電加工機、ワイヤー放電加工機によって砥粒層に凹部を形成して、台金2の軸線O方向に離間される5つのフランジ状凸部を形成した。ここで、フランジ状凸部の幅は、0.2mmとした。
【0044】
一方、比較例2として、台金2の表面に、本発明1における内周層8の形成方法と同じ方法によって、平均粒径4.5μmのダイヤモンド粒を25vol%の割合で分散してなる砥粒層を形成した。ここで、この砥粒層の外径は、本発明1の外径と同じく75mmとした。さらに本発明1と同様に、型彫り放電加工機、ワイヤー放電加工機によって砥粒層に凹部を形成して、台金2の軸線O方向に離間される5つのフランジ状凸部を形成した。ここで、フランジ状凸部の幅は、0.2mmとした。
【0045】
これら本発明1、比較例1、2のそれぞれについて、以下の切削試験を行った。
ここでは、ワークとして、縦50mm、横50mm、厚さ1.0mmのAl23−TiC(アルミナ−チタンカーバイド)を用いた。このワークは、図8に示すように、上面に複数本の溝16aが切削方向に並行に形成される櫛歯状冶具16に対してワックスを用いて固定している。
以下に、この切削試験の切削条件を示す。これら切断用ホイールが装着される切断機として、不二越社製マイクログラインダーを用い、切断用ホイールの回転数は9000回転/min、送り速度は100mm/min、切り込み量は1.5mm(フルカット)とし、切削方向はダウンカットとし、クーラントとして、エマルジョンタイプの水溶性クーラントを1.5L/min供給した。
この切削試験の結果を、以下の表1に示す。
【0046】
【表1】
Figure 0004236859
【0047】
表1に示すように、切断面の表面粗さRa、及びチッピングの大きさについては、本発明1と比較例2とが同程度となっており、比較例1のみが、切断面の表面粗さRa及びチッピング量が大きくなっている。
これは、比較例1では、全ての切削を、平均粒径の大きい砥粒によって行っているために、ワークにチッピングやクラック等が発生しやすくなっていると思われる。
【0048】
一方、切断用ホイールの寿命については、本発明1と比較例1とが1000ライン以上の切断が可能であるが、比較例2は、380ラインで磨耗量が大きくなりすぎてワークの切断が不能となってしまった。
これは、比較例2では、全ての切削を、平均粒径の小さい砥粒によって行っているために、切断用ホイールの切れ味が不良となっているためと思われる。
【0049】
〔第二実施例〕
本実施例では、本発明の切断用ホイールを、第二の実施の形態で示すように、砥粒層3を、砥粒層本体22と側面砥粒層23とによって構成したものを用いている(以下、この切断用ホイールを本発明2とする)。
本発明2及び比較例3、4は、いずれも台金2として、内径40mm、外径80mm、幅15mmのS45C材を用いている。
本発明2では、この台金2の外周に、砥粒層3を構成する砥粒層本体22を形成し、その外径を90mmとした。ここでは、砥粒層本体22は、Cu−Sn系のメタル焼結体原料中に平均粒径11.5μmのダイヤモンド粒を25vol%の割合で分散したものを焼結してなる構成としている。
そして、この砥粒層本体22の外周に、型彫り放電加工機やワイヤー放電加工機によって凹部6を形成して、台金2の軸線O方向に離間される7つのフランジ状凸部7を形成した。ここで、フランジ状凸部7の幅は0.1mm、フランジ状凸部7間の間隔は1mmとした。
さらに、この砥粒層本体22の外周に、平均粒径7.2μmのダイヤモンド粒を分散した金属結合相をめっき処理によって形成し、砥粒層本体22の外周を露出させる処理を経て、フランジ状凸部7の側面に側面砥粒層23を形成した。これにより、フランジ状凸部7の幅と側面砥粒層23の厚みとの合計(すなわち刃厚)は0.13mmとした。
ここで、外周層9を形成するめっき処理では、めっき液としてスルファミン酸Ni液を用い、2Aの電流で1時間のダイヤモンド分散めっき処理を行った。
【0050】
また、比較例3として、台金2の表面に、本発明2における砥粒層本体22の形成方法と同じ方法によって、平均粒径11.5μmのダイヤモンド粒を25vol%の割合で分散してなる砥粒層を形成した。ここで、この砥粒層の外径は、本発明2の外径と同じく90mmとした。さらに、本発明2と同様に、型彫り放電加工機、ワイヤー放電加工機によって砥粒層に凹部を形成して、台金2の軸線O方向に離間される7つのフランジ状凸部を形成した。ここで、フランジ状凸部の幅は0.1mm、フランジ状凸部間の間隔は1mmとした。
【0051】
一方、比較例4として、台金2の表面に、本発明2における砥粒層本体22の形成方法と同じ方法によって、平均粒径7.2μmのダイヤモンド粒を25vol%の割合で分散してなる砥粒層を形成した。ここで、この砥粒層の外径は、本発明2の外径と同じく90mmとした。さらに本発明2と同様に、型彫り放電加工機、ワイヤー放電加工機によって砥粒層に凹部を形成して、台金2の軸線O方向に離間される5つのフランジ状凸部を形成した。ここで、フランジ状凸部の幅は0.1mm、フランジ状凸部間の間隔は1mmとした。
【0052】
これら本発明2、比較例3、4のそれぞれについて、以下の切削試験を行った。
ここでは、ワークとして、縦80mm、横80mm、厚さ5.0mmのフェライトを用た。このワークは、クランプを用いて作業台に固定している。
この切削試験では、このワークに対して溝入れ加工を行い、500ライン切断後の刃部の形状から、これら切断用ホイールの寿命を評価した。
以下に、この切削試験の切削条件を示す。これら切断用ホイールが装着される切断機として、不二越社製マイクログラインダーを用い、切断用ホイールの回転数は6000回転/min、送り速度は600mm/min、切り込み量は3mmとし、切削方向はダウンカットとし、クーラントとして、エマルジョンタイプの水溶性クーラントを1.5L/min供給した。
この切削試験の結果を、以下の表2に示す。
【0053】
【表2】
Figure 0004236859
【0054】
表2に示すように、ワークに生じたチッピングの大きさについては、本発明2と比較例4とが同程度となっており、比較例3のみが、チッピング量が大きくなっている。
これは、比較例3では、全ての切削を、平均粒径の大きい砥粒によって行っているために、ワークにチッピングやクラック等が発生しやすくなっていると思われる。
【0055】
一方、ワークのカーフ幅(すなわち切断幅)は、本発明2と比較例3とが同程度となっており、比較例4のみが、カーフ幅が大きくなっている。
これは、比較例4では、全ての切削を、平均粒径の小さい砥粒によって行っているために、切れ味が不良となっているためと思われる。
【0056】
さらに、これら本発明2、比較例3、4について、500ライン切断後の刃部の形状を比較した。ここでは、これら切断用ホイールの刃部において、刃部の先端からR形状となっている範囲を比較した。
表2に示すように、比較例3では刃部の先端から0.10mmの範囲がR形状となっているのに対して、比較例4では刃部の先端から0.15mmの範囲がR形状となっており、比較例3に比べて比較例4では刃部の磨耗が進行していることがわかる。
一方、本発明2では、範囲は0.05mmと、比較例3よりもさらに磨耗が抑えられており、切削性能が維持されていることがわかる。
【0057】
以上の各切削試験の結果から、本発明にかかる切断用ホイールは、切断面の状態を良好にしてワークの切断が可能であり、また長寿命であることがわかる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる切断用ホイールによれば、ワークの切削に作用する複数のフランジ状凸部が、台金に設けられる砥粒層に一体的に形成されているので、フランジ状凸部の位置精度を高精度とすることができ、また、使用を続けることによるフランジ状凸部の位置のずれが生じない。
このため、本発明にかかる切断用ホイールでは、ワークの加工精度を良好にすることができる。
【0059】
また、本発明にかかる切断用ホイールにおいて、砥粒層を、台金上に形成される内周層と、内周層上に形成されてこの内周層に分散される砥粒よりも平均粒径の大きい砥粒が分散されてなる外周層とを有し、凹部の深さGは外周層の厚みTを超える深さとされ、各フランジ状凸部において、内周層は、外周層よりも前記軸線方向の両側に張り出している構成とすることで、ワークの切削に供されるフランジ状凸部のうち、重切削を強いられる外周部(特に外周部の中央部)に、粗い砥粒が用いられる外周層が形成されているので切れ味が確保される。そして、内周層は、外周層よりも前記軸線方向の両側に張り出しているので、外周層による切断面は、より細かい砥粒が用いられる内周層によって仕上げ切削される。
すなわち、この切断用ホイールによれば、一度の切削加工で粗加工と仕上げ加工との両方を行うことができ、効率的にワークの加工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施の形態にかかる切断用ホイールを示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図である。
【図2】 本発明の第一の実施の形態にかかる切断用ホイールを製造する工程を示す図である。
【図3】 本発明の第一の実施形態にかかる切断用ホイールによるワークの切断の様子を概略的に示す図である。
【図4】 本発明の第一の実施の形態にかかる切断用ホイールのフランジ状凸部の形状に対する参考例を示す断面図である。
【図5】 本発明の第二の実施の形態にかかる切断用ホイールを示す断面図である。
【図6】 本発明の第二の実施の形態にかかる切断用ホイールの製造工程を概略的に示す図である。
【図7】 本発明の第二の実施の形態にかかる切断用ホイールによるワークの切断の様子を概略的に示す図である。
【図8】 本発明にかかる切断用ホイールと比較例の切断用ホイールの切削試験の様子を示す斜視図である。
【符号の説明】
1、21 切断用ホイール 2 台金
3 砥粒層 6 凹部
7 フランジ状凸部 8 内周層
9 外周層 22 砥粒層本体
23 側面砥粒層 G 凹部の深さ
O 台金の軸線 T 外周層の厚み

Claims (4)

  1. 円柱形状をなす台金の外周に、砥粒を金属結合相中に分散配置してなる砥粒層が全周にわたって形成される切断用ホイールであって、
    前記砥粒層には、周面全周にわたる凹部と、該凹部によって前記台金の軸線方向に隔てられて外周部がワークの切削に供される複数のフランジ状凸部とが形成されており、
    前記砥粒層は、前記台金上に形成されて仕上げ用砥粒が分散されるメタル焼結体によって構成された内周層と、該内周層上にめっき処理によって形成されて前記仕上げ用砥粒よりも平均粒径の大きい粗加工用砥粒が分散される外周層とを有し、前記凹部の深さGは前記外周層の厚みTを超える深さとされ、
    前記フランジ状凸部は、前記外周層の外周面から内周層の外周部にかけて、径方向内側に向かうにつれて漸次前記軸線方向の幅が拡げられるテーパー形状に形成されていて、
    前記各フランジ状凸部において、前記内周層は、前記外周層よりも前記軸線方向の両側に張り出していることを特徴とする切断用ホイール。
  2. 前記仕上げ用砥粒の平均粒径D1は25μm〜1.6μmの範囲内とされ、
    前記粗加工用砥粒の平均粒径D2は、50μm〜5μmの範囲内とされていることを特徴とする請求項1記載の切断用ホイール。
  3. 前記粗加工用砥粒の平均粒径D2は、前記仕上げ用砥粒の平均粒径D1の1.3倍〜3倍の範囲内とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の切断用ホイール。
  4. 請求項1記載の切断用ホイールの製造方法であって、
    前記台金の外周に、メタル焼結体によって構成された前記内周層を形成する内周層形成工程と、
    該内周層の外周にめっき処理によって前記外周層を形成する外周層形成工程と、
    これら内周層、外周層に整形を施して、これら内周層、外周層の周面全周にわたる前記凹部と、該凹部によって前記台金の軸線方向に隔てられる複数の前記フランジ状凸部とを形成するとともに、前記フランジ状凸部を、前記外周層の外周面から内周層の外周部にかけて、径方向内側に向かうにつれて漸次前記軸線方向の幅が拡げられるテーパー形状に形成する砥粒層整形工程とを有していることを特徴とする切断用ホイールの製造方法。
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