JP4236391B2 - 可変圧縮比エンジン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、可変圧縮比エンジンの圧縮比可変機構に係り、特に該機構において圧縮比を変更するために作動するコントロールロッドの変位機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に搭載された動力用等のエンジンにおいて、圧縮比を運転状態に応じて適正な値に制御してエンジン性能の向上を図る可変圧縮比エンジンが従来から知られている。圧縮比を調整するための可変圧縮比機構としては特開昭62−35033号公報に記載されたものがある。この機構においては、シリンダ内におけるピストンの上下方向の往復動をクランクシャフトの回転運動に変換するコンロッドが、クランクシャフトとピストンとの間で平仮名のくの字状に屈曲することができるように、ピンによって枢着された2つの部分から構成されている。コンロッドの屈曲部のピンには、基端部の支軸を中心にして揺動することができるコントロールロッドが先端部において係合しているので、コンロッドの屈曲部がコントロールロッドの揺動範囲内で移動して一定の軌跡を描く。コントロールロッドの基端部の支軸(以下これをコントロールシャフトと呼ぶことにする。)を変位させることによって、コンロッド屈曲部の軌跡を調整し、ピストンの実質的なストロークを制御して圧縮比の変更を可能としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
コントロールシャフトを変位させる手段としては、図6に示すようなサーボモータ601とウォームギヤ602を用いて、コントロールロッド26の一端のコントロールシャフト27を移動させるものや、図7の(a)に示すコントロールロッド26に作用する引張力を利用するもの、あるいは図7の(b)に示す圧縮力を利用するもののように、外力に頼らないでコントロールロッド26に周期的に発生する荷重のみを利用してコントロールシャフト27を移動させるもの等がある。しかし、前者はウォームギヤの構造上、効率が約50%に低下するため、可変圧縮比エンジンの目的である燃費性能の向上および省エネルギーの効果が低減する要因となるので、あまり望ましくない。
【0004】
また、後者はラチェット機構やベーン式の油圧アクチュエータ等を用いてコントロールロッド26に周期的に発生する荷重だけでコントロールシャフト27を移動させる構造であるが、図8に示すようにコントロールシャフト27に発生するトルクは、その絶対値および方向のいずれもがコントロールシャフト27の位置によって複雑に変化するし、エンジン回転数の上昇に伴ってトルク変動の影響を受け難くなるため、コントロールシャフト27は一方向(平均トルク方向)に移動することができるだけになるので、圧縮比の確実な制御を行うことができない。また、コントロールシャフト27に発生するトルクはエンジンの回転時にカムシャフトに発生するトルクの約15〜20倍にもなるから、ベーン式の油圧アクチュエータを用いてコントロールシャフト27の位置を保持する場合には、ベーンおよび制御用スプール弁からの作動油の漏れ量が多くなって効率が低下するというような問題があった。
【0005】
本発明は、従来技術における前述のような問題に鑑み、新規な手段によってそれらの問題を解消することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、この課題を解決するための手段として特許請求の範囲の請求項1に記載された通りの可変圧縮比エンジンを提供する。即ち、本発明の可変圧縮比エンジンにおいては、どのような手段をとっても、圧縮比可変機構の作動と保持の制御を単に一つのアクチュエータによって高効率でしかも確実に実施することは困難であるという認識において、支軸を目標の方向に確実に作動させる作動機構と、その作動機構の効率を低下させることがない保持機構とを別に設けて、それらをそれぞれ独立に制御することにより、上記の問題を解決するものである。
【0007】
請求項1の可変圧縮比エンジンにおいては、コンロッドの屈曲度調整手段が、支軸の指令変位方向への駆動手段と、指令変位における保持手段とを備えていると共に、それらを個別に制御することができるように構成されているので、可変圧縮比エンジンの圧縮比を変化させる時に、保持手段が駆動手段の作動を妨げることがないため、駆動手段が効率よく圧縮比を変化させることができるだけでなく、設定された圧縮比を保持手段によって確実に保持することができる。
【0009】
具体的に、本発明の可変圧縮比エンジンは請求項1に記載されたような構成をとることができる。この場合は、支軸の駆動手段がラックピニオン機構と、それを駆動する油圧シリンダピストン機構から構成され、油圧回路によって、油圧シリンダの各室のうちの一方から制御油が流出する時に他方へ制御油が流入するように操作される。さらに、指令変位の保持手段として、支軸揺動部に形成されたロックピン噛合穴と、それに係合して支軸揺動部の揺動を阻止するロックピンと、ロックピンを作動させて係合と解除を切り換えるロックピン作動手段とを設けることができる。
【0010】
また本発明では、請求項2に記載されるように、支軸の駆動手段に使用される制御油供給源の流量を補助するために、エンジン本体のオイルポンプを利用することができる。そのために第2の油圧回路を設ける。さらに、第2の油圧回路と油圧シリンダの各室に通じる油圧回路との接合部よりもエンジンオイルポンプ側に、制御油の逆流を阻止するチェック弁を設けてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1に本発明の第1実施形態としての可変圧縮比エンジンの構成を示す。この可変圧縮比エンジンの本体1の基本的な構成は、通常の可変圧縮比エンジンのそれと同じものであって、シリンダブロック11の上方にシリンダヘッド12が覆着されており、シリンダブロック11に形成されたシリンダ11a内にピストン21が摺動自在に保持されている。シリンダヘッド12にはシリンダ11aへの吸排気を行う吸気通路101および排気通路102が形成され、それらの通路端には、それぞれ、吸気通路101を開閉する吸気バルブ41および排気通路102を開閉する排気バルブ42が設けられている。
【0013】
ピストン21の上方にはシリンダブロック11およびシリンダヘッド12の内部に燃焼室100が形成され、燃焼室100内における燃料と空気との混合気の爆発力によりピストン21を押し下げる。混合気への点火は、シリンダヘッド12を貫通し燃焼室100内に突出するように設けられた点火プラグ3により行なわれる。シリンダ11a内におけるピストン21の上下往復動はコンロッド(コネクティングロッド)23を介してクランクシャフト22の回転運動に変換され、図示しないトランスミッションへ伝達されるとともに、吸気バルブ41および排気バルブ42の動弁機構に伝達される。
【0014】
コンロッド23は第1、第2のコンロッド部材231,233からなり、第1のコンロッド部材231のビッグエンドと、第2のコンロッド部材233のスモールエンドとが上記クランクシャフト22等の軸方向と平行に設けられた接続ピン232によって接続され、コンロッド23が中間部の接続ピン232を屈曲部としてくの字状に屈曲自在となっている。第1のコンロッド部材231はスモールエンドがピストンピン24と接続され、第2のコンロッド部材233はビッグエンドがクランクシャフト22と接続される。
【0015】
また、コンロッド23の屈曲の程度を調整するためにコントロールロッド26がコンロッド23と連動するようになっている。コントロールロッド26は、その一端が第1のコンロッド部材231のビッグエンドに対して、上記クランクシャフト22等と平行に設けられた接続ピン25によって枢着されて略水平方向に伸びる棒状部材で、その他端は、コンロッド23の側方(図1において左側)にクランクシャフト22等と平行に設けられたコントロールシャフト(支軸)27により支持されている。
【0016】
コントロールシャフト27は、コントロール円板(支軸揺動部)28の中心から偏心した位置において、コントロール円板28の中心軸29の方向に平行に設置、固定されている。したがって、コントロール円板28を軸29の回りに回転させると、コントロールシャフト27は軸29の周りを公転することになり、コントロールシャフト27の位置を時計の略3時から略6時の区間で作動させることにより、コンロッド23の屈曲の程度を調整することができるようになっている。これにより、ピストン21の実質的なストローク量を制御して圧縮比εを変更する。図示例ではコントロールシャフト27が略6時の位置に近づくほど圧縮比εが高くなる。
【0017】
コントロールシャフト(支軸)27の公転角度は、コントロールシャフト制御回路(ECU)31とコントロールシャフト回転手段(支軸の駆動手段)32、コントロールシャフト保持手段(支軸の保持手段)33、および角度センサ34によって調整される。
【0018】
コントロールシャフト制御回路31は、エンジン回転数、スロットル開度、吸入空気量、冷却水温度等の検出信号を入力することによってエンジンの運転状態を検知するようになっており、そのエンジン運転状態において最も適正な圧縮比(指令圧縮比)を与えるコントロールシャフト27の公転角度位置の目標値を算出する。角度センサ34はコントロールシャフト27の実際の公転角度位置を検出する。この公転角度位置の目標値および検出値に基づいてコントロールシャフト制御回路31がコントロールシャフト回転手段32およびコントロールシャフト保持手段33に指令信号を出力し、コントロールシャフト27の公転角度位置を指令圧縮比に対応した位置に制御するようになっている。コントロールシャフト制御回路31としては、CPU,RAM,ROM等からなる一般的なマイクロコンピュータが用いられ得る。
【0019】
図2はコントロールシャフト回転手段32およびコントロールシャフト保持手段33の具体的構成を例示するもので、回転手段32の基本構成は、油圧シリンダ340内を摺動する油圧ピストンと一体化されたラック321、コントロール円板28と中心軸を同じくし、ラック321の直線運動を回転運動に変換するピニオン322と、ラックの作動および略位置決めを制御するスプール弁323からなる。ここではメインの駆動源として高圧オイルポンプ82を使用するが、コントロールシャフト27に作用するトルク変動の影響でラック321の片側の油室圧力が低下することが予想されるため、オイル流量アシスト用にエンジン本体のオイルポンプ81および逆流防止のためのチェック弁325A,325Bが設置されている。また、保持手段の基本構成はコントロール円板28を固定するために、円板28に形成されたロックピン噛合穴341に係合するロックピン331、およびロックピンのオンオフ制御を油圧で行うためのスプール弁332からなる。
【0020】
図3のフローチャートに、第1実施形態のコントロールシャフト制御回路31における圧縮比ε、すなわちコントロールシャフト27の公転角度位置の制御の手順を例示する。
【0021】
ステップS01ではエンジン回転数、スロットル開度、吸入空気量、冷却水温度等のエンジン運転状態を検出する。次のステップS02では、検出されたエンジン運転状態に対して適正な圧縮比を与えるコントロールシャフト公転角度位置の目標値を決定する。ステップS03では角度センサ34によりコントロールシャフト27の公転角度位置を検出し、ステップS04では公転角度位置の目標値(ステップS02)と検出値(ステップS03)を比較して目標値が検出値よりも大きいか否かを判断する。ここで肯定されればステップS05へ進んでコントロールシャフト27を左方向に公転させるように指令を出し、ステップS06において保持機構用スプール弁332を制御することによって保持用ロックピン331をオフ状態とし、さらにステップS07において回転機構用スプール弁323によってラック321を作動させてピニオン322を左回転させる。
【0022】
ステップS04において否定された時はステップS08へ進んで目標値と検出値が等しいか否かを判断する。ステップS08において肯定された時はステップS09へ進んでコントロールシャフト27を保持するように指令を出し、次のステップS10において保持機構用スプール弁332を制御することにより保持用ロックピン331をオン状態にするとともに、ステップS11において回転機構用スプール弁323によってラック321をオフ状態とする。
【0023】
ステップS08において否定された時は、ステップS12へ進んで目標値が検出値よりも小さいか否かを判断し、肯定されればステップS13においてコントロールシャフト27を右方向に公転させるように指令を出し、ステップS14において保持機構用スプール弁332を制御することによって保持用ロックピン331をオフ状態とし、さらにステップS15へ進んで回転機構用スプール弁323によってラック321を作動させて、ピニオン322を右回転させる。
【0024】
第1実施形態においては、ロックピン331およびラック321の何れか一方の作動時に他方の制御をオフすることが可能なため高効率であり、ロックピン331を一旦オン状態にすれば、コントロールシャフト27に発生する変動の影響を受けないで正確な位置に機械的に固定することが可能である。なお、この実施形態では図2においてロックピン331の噛合穴341が3ヶ所図示されているが、これに限られる訳ではない。
【0025】
(第2実施形態)
図4に本発明の第2実施形態としての可変圧縮比エンジンの要部を示す。この実施形態は、第1実施形態においてコントロールシャフト回転手段32およびコントロールシャフト保持手段33を別の機構に変えたものであるから、第1実施形態との相違点を中心にして説明する。
【0026】
回転手段の基本構成は、電動モータ326、モータの回転方向を切り替えるリレー327、モータの回転力を伝達するクラッチ328、およびクラッチのオンオフを制御するアクチュエータ(制御機構)329からなる。また、保持手段の基本構成はコントロール円板の回転を摩擦力によって制動するブレーキシュー333、ブレーキシューのオンオフを制御するアクチュエータ(制御機構)334からなる。
【0027】
コントロールシャフト27を左右何れかの方向に回転させる場合には保持手段であるブレーキシュー333をオフ状態とし、回転手段である電動モータ326およびクラッチ328をオン状態とする。コントロールシャフト27が回転位置の目標に達して、その位置を保持する場合には、保持手段であるブレーキシュー333をオン状態とし、回転手段である電動モータ326とクラッチ328をオフ状態とすることになる。
【0028】
図5のフローチャートに、第2実施形態におけるコントロールシャフト27の公転角度位置の制御の手順を例示する。
ステップS01からステップS03までは第1実施形態の場合と同様である。ステップS16においては、公転角度位置の目標値(ステップS02)が検出値(ステップS03)よりも大きいか否かを判断する。ここで肯定されるとステップS17へ進んで、コントロールシャフト27を左方向に公転させるように指令を出し、ついでステップS18へ進んで、ブレーキ制御用アクチュエータ334を用いてブレーキシュー333をオフ状態とし、ステップS19においてリレー327の切り替えにより電動モータ326を左方向に作動させ、さらにステップS20へ進んでクラッチ制御用アクチュエータ329を用いてクラッチ328をオン状態とすることにより、電動モータ326の回転力をコントロールシャフト27の公転駆動力として伝達する。
【0029】
ステップS16において否定された時は、ステップS21へ進んで目標値と検出値が等しいか否かを判断し、肯定されればステップS22へ進んでコントロールシャフト27を保持するように指令を出し、次のステップS23においてブレーキシュー333をオン状態とし、さらにステップS24においてクラッチ328をオフ状態とするとともに、ステップS25において電動モータ326をオフ状態とする。
【0030】
ステップS21において否定された時は、ステップS26へ進んで目標値が検出値よりも小さいか否かを判断し、肯定されればステップS27においてコントロールシャフト27を右方向に公転させるように指令を出し、ステップS28ではブレーキシュー333をオフ状態とし、ステップS29ではリレー327の切り替えにより電動モータ326を右方向に作動させ、さらにステップS30ではクラッチ328をオン状態とすることによって、電動モータ326の回転力をコントロールシャフト27の公転駆動力として伝達する。
【0031】
ここで、回転手段であるクラッチ制御用アクチュエータ329としては油圧式のものや電磁石を用いたものが一般的であるが、モータの回転数を充分に減速することができない場合には、半クラッチが可能である電磁パウダー式のものを用いることもできる。また、保持手段であるブレーキシュー333の周辺部には車両において広く用いられているドラムブレーキの技術を応用することができ、ブレーキ制御用アクチュエータ334には油圧を用いるものの他に、ソレノイドによって電磁力を発生する電磁アクチュエータも使用し得る。
【0032】
第2実施形態においても、第一実施形態の場合と同様に、回転手段である電動モータとクラッチ、および保持手段であるブレーキシューのいずれか一方の作動時に、他方の制御をオフとすることが可能であるため高効率である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可変圧縮比エンジンのシステム構成を例示する図である。
【図2】本発明の可変圧縮比エンジンの第1実施形態において圧縮比を調整するコントロールシャフトの回転手段と保持手段を示す概略図である。
【図3】第1実施形態の可変圧縮比エンジンにおいてコントロールシャフト制御回路によって実行される制御の手順を例示するフローチャートである。
【図4】本発明の可変圧縮比エンジンの第2実施形態において圧縮比を調整するコントロールシャフトの回転手段と保持手段を示す概略図である。
【図5】第2実施形態の可変圧縮比エンジンにおいてコントロールシャフト制御回路によって実行される制御の手順を例示するフローチャートである。
【図6】従来の可変圧縮比エンジンにおけるコントロールシャフト制御手段の代表例を示す斜視図である。
【図7】(a)および(b)はいずれも従来の可変圧縮比エンジンにおけるコントロールシャフト制御手段の他の例を示す側面図である。
【図8】コントロールシャフトの公転位置によって異なるコントロールシャフトの発生トルクの変化を示す線図である。
【符号の説明】
1…可変圧縮エンジン本体
21…ピストン
22…クランクシャフト
23…コンロッド
231…第1のコンロッド
232…接続ピン
233…第2のコンロッド
24…ピストンピン
25…接続ピン
26…コントロールロッド
27…コントロールシャフト(支軸)
28…コントロール円板(支軸揺動部)
29…コントロール円板軸
31…コントロールシャフト制御回路
32…コントロールシャフト回転手段(支軸駆動手段)
33…コントロールシャフト保持手段(支軸保持手段)
34…角度センサ
321…ラック
322…ピニオン
323…コントロールシャフト回転手段用スプール弁
325…チェック弁
326…電動モータ
327…リレー
328…クラッチ
329…クラッチ制御用アクチュエータ
331…ロックピン
332…コントロールシャフト保持手段用スプール弁
333…ブレーキシュー
334…ブレーキ制御用アクチュエータ
601…サーボモータ
602…ウォームギヤ
Claims (2)
- ピストンとクランクシャフトとの間でくの字状に屈曲し得るように接続された2つの部分から構成されていると共にシリンダ内における上記ピストンの上下動を上記クランクシャフトの回転運動に変換するコンロッドと、一端部において支軸の回りに揺動し得るように構成されていると共に他端部において上記コンロッドの屈曲部と係合しているコントロールロッドと、上記支軸と一体的に連動すると共に上記支軸を上記コンロッド側方向とその逆方向に変位させ得る支軸揺動部と、上記支軸を指令圧縮比に応じた任意の位置まで変位させて上記コンロッドの屈曲の程度を調整する屈曲度調整手段とを有する可変圧縮比エンジンにおいて、
上記屈曲度調整手段は、上記指令圧縮比に基づいて設定された上記支軸の指令変位方向への駆動手段と、指令変位における保持手段とを有し、それらを個別に制御することができるように構成しており、かつ上記支軸の指令変位方向への駆動手段として、上記支軸揺動部に設けられたピニオンと、該ピニオンに係合するラックと、該ラックに設けられたピストンと、該ピストンの両側に制御油で満たされた各室を有する油圧シリンダと、該油圧シリンダの各室のうちの一方から制御油が流出する時に他方へ制御油が流入するように操作される油圧回路と、上記ラックを駆動する制御油の供給源と、上記指令変位の方向に応じて流路を選択して制御油の流出入を切り換える流路切り換え手段とを備えていると共に、さらに、
上記指令変位における保持手段として、上記支軸揺動部の揺動を阻止するロックピンと、上記支軸揺動部に形成されたロックピン噛合穴と、該ロックピン噛合穴への上記ロックピンの係合と解除を切り換えるロックピン作動手段とを備えていることを特徴とする可変圧縮比エンジン。 - 請求項1記載の可変圧縮比エンジンにおいて、上記支軸の指令変位方向への駆動手段に使用された制御油供給源の流量を補助するために、エンジンのオイルポンプから吐出される油を上記各室へ流入させる第2の油圧回路を設け、さらに、この第2の油圧回路と上記油圧シリンダの各室に通じる油圧回路との接合部よりも上記エンジンオイルポンプ側に、制御油の逆流を阻止するチェック弁を設けたことを特徴とする可変圧縮比エンジン。
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