JP4235861B2 - 快適軽量嵩高ポリエステル繊維成形品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン性不飽和有機酸をグラフト重合して得られた、洗濯耐久性にすぐれた軽量嵩高性で吸湿性が高く、アンモニア消臭性を有するポリエステル繊維成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル繊維は多くの優れた特徴を有している為に、合成繊維として極めて広い用途を有している。しかしその反面、天然高分子繊維素材と比較して、吸湿性に乏しいため、帯電しやすく、油性汚れが落ちにくい等の欠点を有するほか、タバコの火等により溶融して孔が飽きやすいなどの欠点を有している。また、特に衣料、寝装等の用途に用いる場合、吸水性、吸湿性がないためにべとつき、蒸し暑いと言った欠点を有している。
【0003】
従来これらの欠点を改良するためにポリエステルに後加工で吸湿性の機能剤を付与する方法が提案されているが、風合い硬化のため、高い性能が付けられない上、洗濯耐久性も低い。また、ポリエステル高分子に吸湿性機能剤を製糸工程にて練り込む方法も提案されている。この場合、風合いの硬化は避けられ、洗濯耐久性も比較的いいのだが、添加量が増えると機械的特性が低下するため、高い性能を付けるのが難しく、吸湿性機能剤の含水成分が、製糸工程での大きな問題になり生産が非常に難しくなる。また、重合段階でポリエステルに様々な吸湿性のモノマーやポリマーを共重合させる方法も提案されている。これらの方法を用いれば、洗濯耐久性は非常にすぐれているのだが、高機能のためにその共重合量を多くすれば、紡糸、延伸等の製糸工程での生産技術が非常に困難になる上、ポリエステルのすぐれた機械的特性も低下する。後加工工程にて親水性不飽和重合体をグラフト重合する方法が提案されている。しかしながら、一般に疎水性高分子成形品にアクリル酸、メタクリル酸のような親水性不飽和単量体をグラフト重合する場合、グラフト重合効率が著しく低く、また不均一になりやすい欠点を有している。
【0004】
一方、衣料・寝装品・生活資材・インテリア等の分野では、汗や尿などから発せられるアンモニア臭が問題になる場合がある。
【0005】
ポリエステルにアンモニア消臭機能を付与するためには、後加工でアンモニア消臭性の機能剤を付与する方法が提案されているが、前記同様、風合い固化の問題がある上に洗濯耐久性も低い。また、グラフト重合により有機酸系モノマーをポリエステルに共重合することにより、耐久性のあるアンモニア消臭性を付与させることもできるが、高い吸湿性を得ようと有機酸基を金属塩等に置換していくと、アンモニア消臭性能が低下する。その為、両性能を実現するためにはグラフト重合率を高くする必要があるが、機械的特性の低下や、グラフト重合時のモノマーやキャリヤーの残存臭気等の問題がおこるため実現は難しく、アンモニア消臭性と高吸湿性を両立させた製品は今まで作られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、衣料・寝装品・生活資材・インテリア等に適したエチレン性不飽和有機酸をグラフト重合して得られた、洗濯耐久性にすぐれた快適で軽量嵩高である、高吸湿・アンモニア消臭性にすぐれたポリエステル繊維形成品及びそれらを含む製品を、安全かつ能率的に提供する事である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、(1)20℃×65%RH環境下での吸湿率が5%以上でかつアンモニア消臭性能を有し、繊維断面の形状が異形断面係数R(繊維断面の内外周長/(繊維断面積)1/2)≧4.5である軽量嵩高で高吸湿、アンモニア消臭性のポリエステル繊維であり、さらに(2)JIS L0217−103法による繰返し洗濯試験10回後の20℃×65%RH環境下での吸湿率が4%以上、アンモニア消臭性能の低下のない前記(1)記載の軽量嵩高ポリエステル繊維成形品。また、(3)疎水性ラジカル開始剤、フタルイミド系化合物、界面活性剤及びエチレン性不飽和有機酸を含む水性乳化液中にポリエステル繊維成形品を浸漬、加熱処理しグラフト重合した後、塩基性アルカリ金属化合物と金属イオン封鎖剤を含む水性液で、その水性液pHが8以上10未満になるまで処理する、前記(1)記載の軽量嵩高ポリエステル繊維の製造法である。
【0008】
本発明によると、高い吸湿性とアンモニア消臭性を兼ね備え、洗濯耐久性にすぐれた軽量嵩高なポリエステル繊維成形物が効率よく得られる。また、これらの製品からの臭気は非常に少ないため、消費特性上も好ましく、衣料・寝装品・生活資材・インテリア等への活用に非常に有用である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリエステルとは、繊維成形性のポリエステルであれば特に限定はされないが、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を主たるカルボン酸成分とし、エチレングリコール、プロピレングリコール、もしくはテトラメチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、あるいはポリエチレン2,6−ナフタレート等の線状ポリエステルを主成分としたものが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが望ましい。
【0010】
また、本発明におけるポリエステルは、用途によっては難燃性、易染性、制電性等の機能性を有する化合物等が共重合していても、ダル剤、無機粒子等の添加剤が含まれていても構わない。
【0011】
本発明におけるポリエステルの繊維断面の形状は異形断面係数R(繊維断面の内外周長/(繊維断面積)1/2)≧4.5の範囲に当てはまる必要がある。より、具体的に示せば、中空率5%以上の中空断面や△断面、扁平糸のように、表面積が多く嵩高であれば、特に限定される物ではなく、ポリエステル紡糸時に異形断面ノズルを使うことにより作ることが出来る。
【0012】
この、異形断面係数Rは光学顕微鏡等により繊維断面を撮影し、その断面形状から繊維断面の内外周長/(繊維断面積)1/2で計算されるものである。
【0013】
この異形断面係数Rが4.5以上であることにより、軽量嵩高性が得られ、さらに優れた吸放湿性、アンモニア消臭性、すなわち吸放湿速度、アンモニア消臭速度の向上が見られ、快適性能が飛躍的に向上する。また、性能面だけでなく、後述するグラフト加工が均一でかつ効率よく行われる。すなわち、表面積を多く嵩高にすることにより非常に効率よくグラフト加工が行われる訳である。それらの表面積効果をより効率良く得るためには、さらに短繊維の状態で加工を行うことが望ましい。
【0014】
本発明におけるポリエステル繊維成形品およびそれらを含む製品とは、その成形形態はわた、トウ、糸、織物、編物、不織布、敷物などいずれでもよく、そのいずれの状態でも加工される。
【0015】
得られた高吸湿、アンモニア消臭性ポリエステル繊維成形品はそれらのみでも良いが、製品の機械的特性やコスト等を考慮に入れると、混繊、混紡、交織、交編、等の方法で混合されるのが望ましい。また、吸湿性、アンモニア消臭性の点から考えると、グラフト加工ポリエステル繊維の混率は10%以上が好ましい。
【0016】
グラフト重合されるエチレン性不飽和有機酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、スチレンスルホン酸、クロトン酸、ブテントリカルボン酸等が例示され、各々単独または混合物としてグラフト重合に用いられるが、特にアクリル酸及び/又はメタクリル酸が好ましい。また、不飽和有機酸以外のエチレン性不飽和単量体を共存させても良い。
【0017】
グラフト重合率(GT%)、すなわちポリエステル繊維成形物に対するエチレン性不飽和有機酸のグラフト重合による重量増加率は、12%以上が望ましい、これよりもグラフト重合率が低いと、目標とする吸湿性もしくはアンモニア消臭性のいずれかの機能が十分発揮できない。性能の点から、より望ましくは15%以上である。グラフト重合率(GT%)は反応前の絶乾重量(W0)に対するグラフト重合し洗浄した後の絶乾重量(W1)からの重量増加率から計算できる。
グラフト率(GT%)=(W1−W0)×100/W0
【0018】
グラフト重合方法は特に限定されないが、疎水性ラジカル開始剤、アルキルフタルイミド系化合物、界面活性剤及びエチレン性不飽和有機酸を含む水性乳化液中にポリエステル繊維成形品を浸漬、加熱処理する方法が望ましい。これらの方法を用いることにより、効率よく均一にグラフト重合することができ、繊維物理特性の低下が少ない。
【0019】
グラフト重合浴中における、エチレン性不飽和有機酸の濃度は1重量%以上10重量%以下が好ましい。このような濃度で加工することにより、通常12%以上のグラフト率を得ることが可能となる。
【0020】
また、疎水性ラジカル開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、トルイルパーオキサイド、芳香族アルキルパーオキサイド系化合物、ジクロルベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、キュメンハイドロパーオキサイド、過安息香酸、過安息香酸エステル等があげられる。なお、疎水性ラジカル重合開始剤の使用量は、グラフト重合浴に対して、0.01重量%以上5重量%以下程度である。
【0021】
アルキルフタルイミド系化合物とは、フタルイミドのN基に脂肪族もしくは芳香族のアルキル基を有する化合物であるが、加工処理後の製品への残存量、臭気、安全性、取り扱い性を考えると、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル等の低分子量脂肪族アルキル基が望ましい。また、これらは単独で用いても、数種類混合して用いても良い。
【0022】
この、アルキルフタルイミド系化合物の使用量は、グラフト重合浴に対し、0.01重量%以上2.0重量%以下が望ましい。これより少ないと、均一にグラフト重合が行われず、グラフト重合率も上がらない。また、これ以上使用量を増やしても、グラフト重合率は高くならず、最終製品に残存するアルキルフタルイミドの量も多くなり、臭気が残り、消費特性上好ましくない。また、安全性、処理液コスト、反応性の点から、より好ましくは0.1重量%以上1.0重量%以下である。
【0023】
これらの加工により得られた吸湿性ポリエステル繊維成形品及びそれらを含む製品中に残存するアルキルフタルイミド系化合物の量は2000ppm以下である事が望ましい。これ以上残存量が多くなると臭気が残るだけでなく、消費特性上も好ましくない。これらは、最終製品5gを充てん管に入れ、180℃で15分間熱処理し、発生したガスをクロロホルムで抽出し、ガスクロマトグラフィーを用いて測定することができる。また、最終製品におけるアルキルフタルイミド系化合物の量を2000ppmにするためには、アルキフルタルイミドの使用量にもよるが、反応後の製品乾燥もしくは成形工程にて、140℃以上の温度で処理してやればよい。
【0024】
界面活性剤としては、非イオン型界面活性剤、アニオン型界面活性剤、カチオン型界面活性剤、両性界面活性剤、非イオンアニオン型界面活性剤、非イオンカチオン型界面活性剤などが用いられ、これらは単独又は場合によっては2種以上の併用で用いられるが、乳化系の安定性及びグラフト重合の効率の面からは、非イオン系界面活性剤、非イオンアニオン型界面活性剤又は非イオン型界面活性剤とアニオン型活性剤の混合物が好ましい。
【0025】
かくして調整されたグラフト重合浴中にポリエステル繊維成形品を浸漬して加熱処理するが、処理条件は通常50℃から150℃で5分から3時間であり、好ましくは70℃から130℃で30分から120分間である。雰囲気としては窒素ガス雰囲気が好ましい。
【0026】
さらにグラフト重合した後、塩基性アルカリ金属化合物と金属イオン封鎖剤を含む水性液で、その水性液pHが8以上10未満になるまで処理する事により、高い吸湿性とアンモニア消臭性の両性能を得ることができる。
【0027】
すなわち、これらの方法によりグラフト重合されたポリエステル繊維成形品は、共重合したエチレン不飽和有機酸の酸性基の一部をアルカリ金属塩化する事により、高い吸湿性能を得ることができる。また、不飽和有機酸の酸性基の一部はアルカリ金属塩化せずに残す必要がある。残った酸性基により、アンモニア消臭性能を得ることができる。これらの両特性を得るためには、グラフト重合した後の塩基性アルカリ金属化合物と金属イオン封鎖剤を含む水性液での処理において、アルカリ添加量を徐々に追加するか、低濃度で数回の処理に分けて、処理液中のpHが8以上10未満の地点でになるまで処理する必要がある。水性液pHが8未満の場合は、十分な吸湿性能が得られず、10以上になるとアンモニア消臭性能が得られなくなるだけでなく、繊維の機械的特性の低下も激しく、製品として望ましくない。
【0028】
このアルカリ金属塩化に用いる金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム等があげられ、塩基性アルカリ金属化合物としては、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸−2−ナトリウム、リン酸−3−ナトリウムなど無機弱酸のアルカリ金属塩、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウムなど有機弱酸のアルカリ金属塩、亜硫酸ナトリウム、珪酸ナトリウム等の水に溶けてアルカリ性を示す化合物であり、これらは単独または2種以上の混合物として用いられる。なお、該アルカリ金属化合物の使用濃度は10g/L(リットル)の濃度で使用されるのが、機械的性能上望ましい。
【0029】
本発明において、上記のアルカリ金属化合物と共に用いられる金属イオン封鎖剤は公知の物質が使用される。一般に金属イオン封鎖剤としては、ピロリン酸ナトリウム、トリリン酸ナトリウム、トリメタリン酸ナトリウム、テトラメタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム等の縮合リン酸塩類、エチレンジアミンテトラ酢酸の2ナトリウム塩、エチレンジアミンテトラ酢酸の4ナトリウム塩、エチレンジアミンテトラ酢酸の2アンモニウム塩、エチレンジアミンテトラ酢酸の4アンモニア塩等のエチレンジアミンテトラ酢酸塩、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン−N、N’N’−トリ酢酸類、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、グリコールエーテルジアミンテトラ酢酸、シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸、ニトリロトリ酢酸類等があげられる。これらの金属イオン封鎖剤の使用量は用水中に溶存する多価金属イオンの量にもよるが、一般には0.01〜5g/Lの濃度で使用すれば十分である。
【0030】
アルカリ金属化合物と金属イオン封鎖剤を含む水溶液によるグラフト重合したポリエステル繊維成形品のアルカリ金属塩化処理は、一般には常温から100℃の範囲の温度で行われる。
【0031】
この方法により、20℃×65%RH環境下での吸湿率が5%以上であり、なおかつアンモニア消臭性能を有した軽量嵩高で高吸湿、アンモニア消臭性ポリエステル繊維成形品を得ることができる。この場合のアンモニア消臭性能とは、3Lのポリ容器に100ppmの濃度になるようにアンモニア水を滴下し、そのポリ容器にサンプルを3g入れ、密閉し20分後のポリ容器中のアンモニア濃度が10ppm以下になるような性能のことを言う。アンモニア濃度は(株)ガステック社製のガス検知管を使用して測定する。20分後に10ppmより高いアンモニア濃度であれば、実使用において臭気の吸収は不十分であり十分なアンモニア消臭性能とはいえない。
【0032】
これらの軽量嵩高、高吸湿、アンモニア消臭性ポリエステル繊維形成品は洗濯による、性能低下も非常に低く、JIS L0217−103法による繰返し洗濯試験10回後も20℃×65%RH環境下での吸湿率が4%以上で、アンモニア消臭性能の低下の無く、実用上非常に有用である。
【0033】
本発明の方法により作られたポリエステル繊維成形品は軽量嵩高で、なおかつ高吸湿性とアンモニア消臭性を兼ね備えており、従来ポリエステル繊維を用いた場合に問題となっていたべとつき、蒸し暑いという点を改善することができた上に、高度なアンモニア消臭機能が付与されているため、衣料・寝装品・生活資材・インテリア等に非常にすぐれた性能を発揮する。また、その性能は実使用における洗濯後も継続され、多くの用途に使うことが可能である。
【0034】
以下、実施例により本発明を説明する。実施例における吸湿性ポリエステル繊維成形品の評価方法は以下の通りである。
(1)洗濯耐久性試験:JIS L0217−103法にて10回洗濯試験する。
(2)グラフト重合率(GT%):反応前の絶乾重量(W0)とグラフト重合し洗浄した後の絶乾重量(W1)とから、反応前の絶乾燥重量に対する重量増加率から計算した。
グラフト率(GT%)=(W1−W0)×100/W0
(3)吸湿率(M%):最終品の絶乾重量(S0)から環境温湿度下で48時間放置した後の重量(S1)への重量増加量から計算した。
吸湿率(M%)=(S1−S0)×100/S0
(4)アンモニア消臭性:3Lのポリ容器に100ppmの濃度になるようにアンモニア水を滴下し、そのポリ容器にサンプルを3g入れ、密閉し20分後のポリ容器中のアンモニア濃度を(株)ガステック社製のガス検知管を使用して測定した。
(5)異形断面度係数(R):市販の光学顕微鏡を用い、繊維の断面形状を撮影し、画像処理ソフトを用いて、繊維断面の内外周長および繊維断面積を算出し、以下の式により計算した。
異形断面度係数(R)=繊維断面の内外周長/(繊維断面積)1/2
【0035】
(実施例1、2及び比較例1、2)
ベンゾイルパーオキサイド0.1重量%、N−ブチルフタルイミド、炭酸ナトリウムおよびポリエチレングリコールとアニオン系の界面活性剤よりなる乳化水性液に、アクリル酸とメタクリル酸の等量混合モノマーを加えてグラフト重合浴を調整し、この水性液の1/15重量のポリエチレンテレフタレート綿(6d、カット長/64mm)を浸漬して、窒素ガス雰囲気下、100℃で1時間グラフト重合を行った。次いで、80℃の熱水で10分処理し、その後、炭酸ナトリウム3g/Lおよびジエチレンジアミンテトラ酢酸−4−ナトリウム塩0.5g/Lの水溶液を用いて、70℃×10分の処理を処理液が所定のpHになるまで数回繰り返し、その後、湯水洗を行い、乾燥機(140℃×10分)を用いて乾燥させ最終製品を得た。
【0036】
上記実施例および比較例で得られた繊維製品について、異形断面度係数、グラフト重合率、吸湿率、アンモニア消臭性、N−アルキルフタルイミド残存量、および最終製品の臭気を調べた。この結果を表1に示す。また、実施例1および2に繊維の概略断面図を図1、2に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0004235861
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、衣料・寝装品・生活資材・インテリア等に適した洗濯耐久性にすぐれた軽量嵩高、高吸湿性、アンモニア消臭性のポリエステル繊維成形品及びそれらを含む製品を得る事ができる。また、それらおよびそれらを含む製品からの臭気は非常に少なく、洗濯後も高い性能を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の繊維の断面を模式的に示した概略図である。
【図2】 実施例2の繊維の断面を模式的に示した概略図である。

Claims (2)

  1. 疎水性ラジカル開始剤、フタルイミド系化合物、界面活性剤及びエチレン性不飽和有機酸を含む水性乳化液中にポリエステル繊維成形品を浸漬、加熱処理してグラフト重合した後、塩基性アルカリ金属化合物と金属イオン封鎖剤を含む水性液で、その水性液pHが8以上10未満になるまで処理して得られた20℃×65%RH環境下での吸湿率が5%以上で、かつアンモニア消臭性能を有し、繊維断面の形状が異形断面係数R(繊維断面の内外周長/(繊維断面積) 1/2 )≧4.5であるポリエステル繊維成形品。
  2. JIS L0217−103法による繰返し洗濯試験10回後の20℃×65%RH環境下での吸湿率が4%以上、アンモニア消臭性能の低下のない請求項1記載のポリエステル繊維成形品。
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