JP4235737B2 - 内面螺旋案内路付き管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自然流下式の垂直下水道管路に使用して好適な内面螺旋案内路付き管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、実開平4─53842号公報に記載されているように、マンホールの側壁からマンホール内に突出された流入管の一端に曲り管を介して縦管の上端を接続し、縦管の下端をマンホール内の底部に設置して流入管によりマンホール内に流入された下水を縦管によりマンホール内の底部に導入することが知られている。
【0003】
しかしながら、このようにマンホール内に設けられる縦管が長い場合には、縦管下端から流出される下水の落下衝撃が大きいためにマンホールの底部を損傷するおそれがある。
【0004】
そこで、例えば、特開平8─41915号公報に記載され、図11に示すように、縦管本体a内面に沿って上端から下端まで螺旋状に形成された屈曲流下路が設けられた下水道用縦管が提案されている。
【0005】
この下水道用縦管の上端に十字型継手bが接続され、その十字型継手を介してマンホールc内に導入された流入管dの一端が接続されて、流入管d内の下水は十字型継手bを経由して下水道用縦管内に導入されるようになっている。そして、十字型継手bには、上方に点検口eが設けられるともに側方にも点検口fが設けられ、点検口e,fは蓋gにより閉塞されている。
【0006】
しかしながら、この下水道様縦管は、流入管dの延長線上に十字型継手bの点検孔fの円筒部が存在しているので、その部分に流入管dから流入した下水中の汚物が堆積し易いという問題点がある。又、下水用道縦管内の維持管理を行う場合には、まず、蓋gを外した点検孔e,fより小型カメラを挿入して点検する方法を採用するが、縦管内で水のしぶきのためにレンズの前面が濡れてしまって十分な点検を行うことができないという問題点がある。又、十字型継手bの上方又は側方に設けられた点検孔e,fは、詰まりや摩耗の心配される位置が縦管本体の中途にある場合には、その位置から離れているので、点検補修を十分に行うことができないという問題点もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の問題点を解決し、点検補修を容易に行うことができる内面螺旋案内路付き管を提供することを目的としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に記載の発明(本発明1)は、縦管本体内に、水を螺旋状に流下させる螺旋案内路が設けられた内面螺旋案内路付き管であって、前記縦管本体の中途に点検孔が開口され、該点検孔が閉塞部材により開閉自在とされている内面螺旋案内路付き管である。
【0009】
本願の請求項2に記載の発明(本発明2)は、前記点検孔の閉塞部材が、鞍部と支管部とを有する分岐支管形成部材と、その支管部を塞ぐ蓋部とからなる本発明1に記載の内面螺旋案内路付き管である。
【0010】
本願の請求項3に記載の発明(本発明3)は、前記分岐支管形成部材の支管部が、上向きに設けられている本発明2に記載の内面螺旋案内路付き管である。
【0013】
本発明において、縦管本体部の材質としては、強度や剛性等の点からは、強化プラスチックモルタル(以下、FRPMという)等が好ましい。又、螺旋案内路の材質としては、強度や加工性等の面からは、強化プラスチック(FRP)等が好ましい。流入管や流出管の材質としては、強度や加工性等の面からはFRPが好ましいが、汎用のプラスチックであってもよい。
【0014】
本発明において、螺旋案内路を形成する材質としては、金属類をはじめ、プラスチックが挙げられる。
プラスチックとしては、熱可塑性樹脂では、ポリ塩化ビニルをはじめ、ポリエチレン、ポリプロピレン、メタクリル樹脂等が挙げられ、熱硬化性樹脂では、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、ガラス繊維等の無機繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維等の有機繊維にて強化したものとして使用することができる。
【0015】
螺旋案内路の各路の高さは、縦管の径の1/20〜5/12程度が好ましい。
螺旋案内路の肉厚は、口径によっても異なるが、通常、縦管の内径の1/20〜15/100程度が好ましい。
螺旋案内路の螺旋ピッチは、1〜10程度が好ましい。
【0016】
本発明において、縦管本体の中途に開口される点検孔の位置として、詰まりや摩耗の心配される箇所であって、点検補修のし易い位置が望ましく、例えば、上位の螺旋案内路と下位の螺旋案内路の間等が好適である。
【0017】
点検孔の口径としては、縦管本体の口径によっても異なるが、カメラ、手先、高水圧ジェット器等が入る程度の口径が望ましく、例えば、100〜300mmが好ましい。
【0018】
本発明において、分岐支管形成部材としては、鞍部と支管部とを有する分岐支管(サドル)等が使用されるが、支管部の先端にフランジを有し、そのフランジに蓋部を取り外し自在に装着することができるもの実用的であり、好適に使用される。
【0019】
本発明において、蓋部としては、縦管本体内を流下する流体の流れる状態が確認できるように透明タイプの材料が好ましく、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリカーボネート等が好適に使用される。
【0020】
【作用】
本発明1の内面螺旋案内路付き管は、前記縦管本体の中途に点検孔が開口され、該点検孔が閉塞部材により開閉自在とされていることにより、通常は閉塞部材により点検孔を閉塞した状態にて内面螺旋案内路付き管に下水等の流体を流下させて使用し、点検補修が必要なときにだけ、閉塞部材を開いて縦管本体の中途に開口された詰まりや摩耗の心配される位置に近い部位の点検孔を開放し、その点検孔より目視やカメラを入れて点検することができるので、縦管本体の中途の詰まりや摩耗の位置の確認とその補修を容易に行うことができる。
【0021】
閉塞部材が、鞍部と支管部とを有する分岐支管形成部材と、その支管部を塞ぐ蓋部とからなると、縦樋本体の点検孔の周囲壁の外周面に分岐支管形成部材の鞍部を接合し、その支管部に蓋部をするだけよいので、点検孔の開閉機構を容易に設けることができる。
【0022】
分岐支管形成部材の支管部が、上向きに設けられていると、蓋部を開放したときの縦管内の流体の逆流を防止することができる。
【0023】
本発明4の内面螺旋案内路付き管は、前記縦管本体の前記流入管の延長線上の管壁部分に点検孔が開口され、該点検孔を塞ぐ蓋部が設けられ、該蓋部の内面が前記縦管本体の内面と略同様の弧面とされていることによって、通常使用時は、縦管本体部と略面一とされた蓋部により点検孔を閉塞した状態にて内面螺旋案内路付き管に下水等の流体を流下させることができるので、流入管から流入した下水中の汚物が縦管本体の上部に堆積しにくく、且つ、長尺物が詰まったような点検補修が必要なときにだけ、蓋部を開蓋して、その点検孔より長尺物やそれにまつわる汚物を除去することができるので、縦管本体の上部の詰まりの補修を容易に行うことができる。
【0024】
前記流入管の中途又は前記蓋部の内周面にスクリーンが設けられていると、流木や大きな石が縦管本体内に流れ込むの防止することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
本発明の内面螺旋案内路付き管の一例を図1〜図4を参照して説明する。
図1において、10は縦管であって、縦管本体11と、空気芯筒13と、螺旋案内路12,12′とからなる。
【0026】
縦管本体11の上端には、接続用管接続用の受口111が設けられている。 縦管本体11内の上部には、略中心部に、内部が中空とされたFRP製の空気芯筒13が立設されている。
【0027】
縦管本体11の内周面と、空気芯筒13の外周面との間(図1中L1区間)に、FRP製の第1の螺旋案内路12が配設されている。螺旋案内路12の内周面は、空気芯筒13の外周面に一体的に取り付けられている。
【0028】
螺旋案内路12の外周縁には、図2に示すように、その全長にわたって、例えば、ゴム製の帯状の弾性体14が接着剤により一体的に接着されている。この弾性体14は縦管本体11の内周面に圧接されることによって、螺旋案内路12を縦管本体11内に支持している。
【0029】
縦管本体11の下端には、流出管15が接続されており、流出管15の管頂のやや上方の縦管本体11の内部(図1中L3区間)には、FRP製の第2の螺旋案内路12′が配設されている。
【0030】
第2の螺旋案内路12′の外周縁には、上記と同様の弾性体が接着剤により一体的に接着されている。第2の螺旋案内路12′は、空気芯筒13には取り付けられていない。
縦管本体11の内部の第1の螺旋案内路12と第2の螺旋案内路12′間(図1中L2区間)には、螺旋案内路は配設されていない。
【0031】
このように、第1の螺旋案内路12と第2の螺旋案内路12′を適宜間隔をおいて設けるようにすると、第1の螺旋案内路12と第2の螺旋案内路12′の螺旋のピッチを適宜選択することにより、縦管本体11の長さや複数の流入管の高低差に応じて、縦管本体11内を螺旋状に流下させる下水の速度を適宜調節することができるので好ましいが、第1の螺旋案内路12が縦管本体11の下端まで配設されていても何ら構わない。
【0032】
縦管本体11の中途の螺旋案内路が配設されていない部分(図1中L2区間)の管壁に、点検孔112が開口されている。
【0033】
点検孔112の開閉は、図3に示すような、分岐支管形成部材20と蓋部30とからなる閉塞部材が用いられる。
分岐支管形成部材20は、支管部21の一端に、支管部21の中空部に連通する鞍部22が管軸と直交するように設けられ、他端にフランジ部23が設けられている。フランジ部23には、蓋部30がボルトにて固定されて、支管部21の中空部が閉塞されている。
【0034】
図4に示すように、点検孔の周囲壁の外周面に分岐支管形成部材20の鞍部22が接合され、点検孔は、支管部21のフランジ部23に固定された蓋部30により閉塞された状態とされている。そして、点検補修時には、蓋部30を取り外すことにより、点検孔を開放できるようになっている。
【0035】
図5及び図6に示す例では、分岐支管形成部材40は、支管部41の一端に、支管部41の中空部に連通する鞍部42が管軸に傾斜する(鞍部42を縦管本体11の点検孔の周囲壁の外周面に接合したときに、支管部41が上方を向く)ように設けられ、他端にフランジ部43が設けられている。フランジ部43には、シャッター型の蓋部50が取り付けられており、この蓋部50を開閉することにより、点検孔を開閉できるようにされている。
【0036】
図7に示す参考例では、縦管本体11の上端の受口111に縦管本体延長部11′の下端が接続され、その縦管本体延長部11′には横方向から流入管60が連結されている。
【0037】
縦管本体延長部11′の流入管60の延長線上の管壁部分に円形の点検孔71が開口され、その点検孔71を封鎖する円形の蓋部72が設けられている。蓋部72の内面は縦管本体延長部11′の内面と略同様の円弧面とされている。
【0038】
図8に示す参考例では、流入管60′が縦管本体延長部11′と十字状に交わるように連結されている。流入管60′の縦管本体延長部11′との交点を越えた部分には、点検孔81が開口され、その点検孔81を封鎖する蓋部82が設けられている。蓋部82の内面は縦管本体延長部11′の内面に略沿う円弧面とされている。
【0039】
図9に示す参考例では、図7に示す参考例において、更に、流入管60の中途にスクリーン90が設けられており、スクリーン90は上方に抜いてコミを除去することができるようになっている。スクリーンの網目は流木や大きな石を除去するため50mm前後が好ましい。網目が細かすぎると、水位が上昇し易く、大きすぎると流木や石を除去することができない。
【0040】
図10に示す参考例では、図7に示す参考例において、更に、蓋部72の内面にスクリーン90が設けられており、スクリーン90は蓋部72を開蓋することによりコミを除去することができるようになっている。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。
実施例1
図1〜図4を参照して説明した内面螺旋案内路付き管を作製した。
縦管10として、図1に示すような、硬質ポリ塩化ビニルからなり、肉厚6mm、内径350mmの縦管本体11の上端に、流入管接続用の受口111が一体的に設けられ、縦管本体11の上部(図1中L1区間)に、硬質ポリ塩化ビニルからなり、肉厚8mm:外径350mm、内径110mmの上部螺旋案内路12が3ピッチ配置され、下部(図1中L2区間)に、硬質ポリ塩化ビニルからなり、肉厚8mm、外径350mmの下部螺旋案内路12′が6ピッチ配設され、中途の螺旋案内路が配設されていない部分(図1中L2区間)であって、下部螺旋案内路12′の上端から600mmのところの管壁に、径150mmの点検孔が開口されているものを用いた。
【0042】
分岐支管形成部材20として、図3に示すような、硬質ポリ塩化ビニルからなり、鞍部22と支管部21とを有し、支管部21の先端にフランジ23を有する、350mm×150mmの分岐支管(サドル)を用いた。蓋部30としては、アクリル板からなるものを用いた。
【0043】
図4に示すように、点検孔の周囲壁の外周面に分岐支管形成部材20の鞍部22を接合し、支管部21のフランジ部23に固定された蓋部30により閉塞して、内面螺旋案内路付き管を作製した。
縦管本体の中途に開口された点検孔を閉塞する作業を迅速に行うことができた。
【0044】
又、得られた内面螺旋案内路付き管は、蓋部30を開蓋することにより、縦管本体の中途に開口された詰まりや摩耗の心配される位置に近い部位の点検孔を開放することができた。そして、その点検孔より目視やカメラを入れて点検することができ、縦管本体の中途の詰まりや摩耗の位置の確認とその補修を容易に行うことができた。
【0045】
図5に示すような、分岐支管形成部材40を使用して、図6に示すように、鞍部42を縦管本体11の点検孔の周囲壁の外周面に接合し、支管部41が水平面に対して30°上方を向くようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、内面螺旋案内路付き管を作製した。
縦管本体の中途に開口された点検孔を閉塞する作業を迅速に行うことができた。
【0046】
又、得られた内面螺旋案内路付き管は、蓋部50を開蓋することにより、縦管本体の中途に開口された詰まりや摩耗の心配される位置に近い部位の点検孔を開放することができた。そして、その点検孔より目視やカメラを上方に向けて設けられた支管部より入れて容易に点検することができ、縦管本体の中途の詰まりや摩耗の位置の確認とその補修を容易に行うことができた。
【0047】
図6に示すように、縦管本体延長部11′の流入管60の延長線上の管壁部分に点検孔71が開口され、その点検孔71を封鎖する蓋部72が設けられている。蓋部72の内面は縦管本体延長部11′の内面と略同様の円弧面とされている内面螺旋案内路付き管を作製した。
流入管上流より雨水流入と同時に竿竹(L=2000mm)を流入した。同時に汚物等の堆積が始まったが、蓋部72を開蓋することにより、容易に竿竹及びそれにまつわる汚物を除去して、流入水を滞留することなく流下させることができた。
【0048】
【発明の効果】
本発明の内面螺旋案内路付き管は、上記のとおりにされているので、縦管本体の上部や中途の詰まりや摩耗の位置の確認とその補修を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用される縦管の一例を説明する一部断面図である。
【図2】本発明に使用される螺旋案内路の一例を示す正面図である。
【図3】本発明に使用される分岐支管形成部材の一例を示す斜視図である。
【図4】本発明の内面螺旋案内路付き管の一例の一部を拡大して示す斜視図である。
【図5】本発明に使用される分岐支管形成部材の別の例を示す斜視図である。
【図6】本発明の内面螺旋案内路付き管の別の例の一部を拡大して示す斜視図である。
【図7】(a)は参考例の内面螺旋案内路付き管の別の例の一部を示す正面図であり、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図8】(a)は参考例の内面螺旋案内路付き管の別の例の一部を示す斜視図であり、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【図9】参考例の内面螺旋案内路付き管の更に別の例の一部を拡大して示す正面図である。
【図10】参考例の内面螺旋案内路付き管の更に別の例の一部を拡大して示す断面図である。
【図11】従来の下水道用縦管の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 縦管
11 縦管本体
12,12′ 螺旋案内路
20,40 分岐支管形成部材
21,41 支管部
22,42 鞍部
30,50,72,82 蓋部
71,81 点検孔
Claims (3)
- 縦管本体内に、水を螺旋状に流下させる螺旋案内路が設けられた内面螺旋案内路付き管であって、前記縦管本体の中途に点検孔が開口され、該点検孔が閉塞部材により開閉自在とされていることを特徴とする内面螺旋案内路付き管。
- 前記点検孔の閉塞部材が、鞍部と支管部とを有する分岐支管形成部材と、その支管部を塞ぐ蓋部とからなることを特徴とする請求項1に記載の内面螺旋案内路付き管。
- 前記分岐支管形成部材の支管部が、上向きに設けられていることを特徴とする請求項2に記載の内面螺旋案内路付き管。
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