JP4235317B2 - 揮発性有機化合物を含む汚染土壌の浄化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油分などの揮発性有機化合物を含んだ汚染土壌を加熱して浄化する揮発性有機化合物を含む汚染土壌の浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、産業活動に伴って各事業所の敷地内やその周辺地域の土壌が油等の揮発性有機化合物の廃液によって汚染され、その土壌の地下を流れる地下水にまで汚染が及んでいるといったことが取り沙汰されて問題となっている。このように汚染された土壌を処理する方法として、その土壌を掘削してロータリーキルン等へ投入し、ロータリーキルンに備えたバーナで加熱して土壌中にしみ込んでいる揮発性有機化合物を揮発させて土壌の浄化処理を行うと共に、揮発した揮発性有機化合物を別途設けたアフターバーナで燃焼して分解し、無害化して大気中へ排出するようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来装置では、土壌の加熱浄化用ロータリーキルンにバーナ1基と、排ガス中の揮発性有機化合物の燃焼分解用にアフターバーナ1基の計二基のバーナを設置しているために高価格の装置となっている。また、汚染物質中に有機ハロゲン化合物が含まれている場合に低温で燃焼分解を行うと猛毒のダイオキシン等の発生が懸念されるため、アフターバーナにおいて揮発性有機化合物を燃焼分解させる際にはダイオキシン等を完全に分解することの可能なかなりの高温で燃焼させており、それに伴って発生する排ガスもかなりの熱量を保有しているが、これをそのまま大気中へ排出してしまうことは熱効率や省エネルギーの観点からも再考の余地があった。
【0004】
本発明は上記の点に鑑み、汚染土壌の加熱浄化処理を経済的に行うことができる揮発性有機化合物を含む汚染土壌の浄化装置を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するために、請求項1記載の揮発性有機化合物を含む汚染土壌の浄化装置にあっては、揮発性有機化合物を含む汚染土壌を加熱して揮発性有機化合物を土壌から揮発分離するロータリーキルンを配設し、該ロータリキルンの排気ダクトは途中にダスト捕捉用の集塵機とガス吸引用の排風機とを介して排ガス中の揮発性有機化合物を燃焼分解する燃焼炉に連結し、該燃焼炉には炉内に熱風を送り込むバーナを備えると共に、燃焼炉の排気ダクトは途中に排風機を介して煙突に連結する一方、燃焼炉とロータリーキルンとを熱風ダクトで連結し、該熱風ダクトの途中には風量調整用のダンパーを配設し、該ダンパーによる吸引量を調整しながら燃焼炉の高温排ガスの一部を熱風ダクトを通して吸引して燃焼炉内の高温ガスの一部をロータリーキルンの一端側から導入し、汚染土壌を高温排ガスに晒して加熱昇温して浄化するように構成したことを特徴としている。
【0006】
また、請求項2記載の揮発性有機化合物を含む汚染土壌の浄化装置にあっては、前記ロ−タリ−キルンより排出される処理土壌を更に加熱するバーナを備えた第2のロータリーキルンを配設したことを特徴としている。
【0007】
また、請求項3記載の揮発性有機化合物を含む汚染土壌の浄化装置にあっては、前記燃焼炉の排気ダクトに熱交換器を設け、該熱交換器にて予熱した空気をバーナまたは燃焼炉内の少なくとも一方に燃焼用空気として供給するようにしたことを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1記載の揮発性有機化合物を含む汚染土壌の浄化装置によれば、先ず、燃焼炉のバーナを燃焼させて燃焼炉内を高温雰囲気に維持させると共に、その高温ガスの一部を熱風ダクトを通じてロータリーキルン内に導入する。そして、揮発性有機化合物を含む汚染土壌をロータリーキルン内に投入すると、汚染土壌中の揮発性有機化合物はロータリーキルン内を転動流下していく間に高温ガスに晒されて加熱昇温され、土壌より揮発分離する。揮発分離した揮発性有機化合物を含む排ガスはロータリーキルンの排気ダクトを通じて燃焼炉内へと導入されることとなるが、燃焼炉内で高温ガス雰囲気に晒されて揮発性有機化合物が燃焼分解される。
【0009】
この揮発性有機化合物として油分が多く含まれていると、燃焼分解する時には多量の燃焼熱が発生する。例えば、土壌の供給量が10トン/Hとして土壌中に10%の油分を含んでいるとすれば、燃焼炉では100kg/Hの油分が燃焼することとなり、相当の燃焼熱が発生し、この燃焼熱によって燃焼炉内温度を相当上昇させ得る。燃焼炉内で揮発性有機化合物の完全燃焼と臭気及びダイオキシンを分解するには燃焼炉内温度を略800℃以上程度に維持すれば良いと考えられ、燃焼炉内温度を略800℃以上の適宜値となるように燃焼炉のバーナをコントロールすれば、バーナの燃焼量は油分の燃焼熱に助けられて低く抑えることができる。
【0010】
この燃焼炉にて発生する高温ガスは、前記のように熱風ダクトを介してロータリーキルンへと導入されて土壌の加熱に活用されており、これによって、従来、ロータリーキルンに備えていたバーナが不要となって低コスト化を図ることができる。また、汚染土壌中の油分の燃焼熱をうまく活用する構造となっているために油分を多く含む汚染土壌を浄化処理するには好適であり、バーナの燃料量が削減できて省エネルギー化も図れ、経済的な装置となっている。
【0011】
また、本発明の請求項2記載の揮発性有機化合物を含む汚染土壌の浄化装置によれば、ロ−タリ−キルンにてある程度の温度まで加熱された処理土壌を第2のロータリーキルンに導入し、バーナにて処理土壌を更に高温、例えば、略800℃程度まで加熱昇温度させると、汚染土壌中に残留する揮発性有機化合物を完全に揮発分離または焼却することができ、汚染土壌の完全な浄化処理を行うことができる。
【0012】
また、本発明の請求項3記載の揮発性有機化合物を含む汚染土壌の浄化装置によれば、燃焼炉の高温ガスの内、ロータリーキルンへ戻らない余剰分は燃焼炉の排気ダクトから大気中へと排出されるが、その排ガスが保有する熱量を熱交換器によって清浄な外気と熱交換し、昇温した清浄空気を燃焼炉のバーナ燃焼用空気や揮発性有機化合物の燃焼用空気として使用する。これによって排ガスとして放出する熱量を有効に利用でき、更に経済的となる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0014】
図中の1は、油等の揮発性有機化合物によって汚染された土壌を掘削したものを加熱して浄化処理するロータリーキルンであって、内部に多数の掻上げ羽根を周設した円筒状のドラム2を回転自在に傾斜支持し、駆動装置(図示せず)により所定の速度で回転させている。前記ドラム2の一端には投入ホッパ3を、他端には排出ホッパ4を配設しており、投入ホッパ3を介してドラム2内へ臨ませた投入コンベヤ5により汚染土壌をドラム2内に投入し、掻上げ羽根で掻上げながらドラム2内を転動流下させる間に汚染土壌を加熱し、汚染土壌中に含まれる揮発性有機化合物を揮発分離させると共に、浄化された土壌を排出ホッパ4の排出口6より排出する。
【0015】
ロータリーキルン1の投入ホッパ3にはロータリーキルン1にて揮発分離される揮発性有機化合物を含むガスを排出する排気ダクト7を連結しており、該排気ダクト7はその途中にガス中のダストを除去するバグフィルタ等の集塵機8とガスを吸引する排風機9とを介して燃焼炉10へと連結している。
【0016】
燃焼炉10にはバーナ11を備えており、炉内にバーナ11よりの熱風を送り込んで揮発性有機化合物を燃焼分解するようになっている。なお、前記燃焼炉10は揮発性有機化合物が高温雰囲気に十分に晒されて完全に燃焼分解するように、排ガスが炉内を通過するのに少なくとも1乃至2秒以上かかる程度の炉長さを確保することが好ましい。また、燃焼炉10内の温度は揮発性有機化合物を完全に燃焼分解させるために、バーナ11の燃焼と排ガス中の揮発性有機化合物との燃焼とによって略800℃以上となるように調整するのが好ましく、燃焼炉10内の温度を温度センサにて逐次検出してバーナ11の燃焼量をコントロールする。
【0017】
12は燃焼炉10とロータリーキルン1とを連結する熱風ダクトであって、途中に風量調整用のダンパー13を介してロータリーキルン1の排出ホッパ4側に連結しており、ダンパー13にてガス量を調整しながら燃焼炉10内の高温ガスの一部をロータリーキルン1内に導入させるようにしている。
【0018】
14は燃焼炉10の排気ダクトであって、燃焼炉10にて発生する排ガスを下流の煙突15より大気中へ排出するようにしており、その途中には熱交換器16と排ガスを吸引する排風機17を配している。
【0019】
18は熱交換器16に清浄な外気を導入するための外気導入ダクトであって、一端に外気を吸引する排風機19を配設し、熱交換機16の下流でバーナ用外気導入ダクト20と燃焼炉用外気導入ダクト21とに分岐させ、バーナ用外気導入ダクト20はバーナ11と、燃焼炉用外気導入ダクト21は途中に風量調整用のダンパー22を介して燃焼炉10とにそれぞれ連結している。バーナ用外気導入ダクト20はバーナ11の燃焼用空気を供給するものであり、また、燃焼炉用外気導入ダクト21は燃焼炉10内にて油分などの揮発性有機化合物が良好に燃焼するように空気を供給するためのもので、燃焼炉10内の酸素濃度を酸素センサにて逐次検出するなどしてダンパー22の開度を適宜コントロールすると良い。
【0020】
しかして、揮発性有機化合物を含む汚染土壌を浄化処理する場合には、先ず、燃焼炉10に備えたバーナ11を燃焼させると共に、下流の排風機17により高温ガスを吸引して燃焼炉10内に高温ガス流を維持する。このときのバーナ11の燃焼量は燃焼炉10内の揮発性有機化合物を完全に燃焼分解できる炉内温度、例えば、略800℃以上の適宜値となるようにコントロールされる。
【0021】
次いで、ロータリーキルン1の下流の排風機9を駆動して風量調整用ダンパー13により吸引量を調整しながら燃焼炉10より高温ガスの一部を熱風ダクト12を通して吸引し、ロータリーキルン1内に導入する。そして、投入コンベヤ5によってロータリーキルン1の投入ホッパ3側から掘削した揮発性有機化合物を含んだ汚染土壌をドラム2内へ投入し、汚染土壌を燃焼炉10より導入した高温ガスに晒して加熱昇温し、土壌中に含まれている揮発性有機化合物を揮発分離し、浄化された土壌を排出ホッパ4側の排出ゲート6より排出する。このとき、例えば、ロータリーキルン1内に導入される高温ガス温度が略800℃程度であれば、処理土壌は略300℃程度に加熱されるように土壌供給量や高温ガス導入量等を設計すると良い。
【0022】
一方、ロータリーキルン1から排気される揮発性有機化合物を含んだ排ガスは集塵機8にてダストを除去した後、燃焼炉10内へと導入される。この排ガスは燃焼炉10内の高温ガスと略1乃至2秒以上接触することとなり、ガス中に含まれる揮発性有機化合物は完全に燃焼され、臭気やダイオキシン等も分解されて無害となる。このとき、汚染土壌中に油分を含んでいれば、この油分が燃焼炉10内にて燃焼して燃焼熱を発生させ、燃焼炉内温度を相当上昇させることとなる。この燃焼熱が多量であればバーナ11による燃焼熱を少し補充するだけで燃焼炉10内の温度を略800℃程度以上に保つことができるようになる。この燃焼熱を含んだ高温ガスはロータリーキルン1へと戻されて有効に利用される。
【0023】
また、燃焼炉10から排気される高温の排ガスは熱交換器16によって外気と熱交換され、昇温した外気はバーナ用外気導入ダクト20を介してバーナ11の燃焼用空気として導入されると共に、燃焼炉用外気導入ダクト21を介して揮発性有機化合物の燃焼用空気として燃焼炉10へと導入される。これによって排ガスの保有する熱量を有効に利用できる。
【0024】
このように、上記装置は、ロータリーキルン1で揮発分離させた揮発性有機化合物中に多量の油分を含んでおれば、この油分を燃焼炉10内で燃焼させて多量の燃焼熱を発生させ、この燃焼熱によって燃焼炉10の炉内温度を高温にしてバーナ11の燃焼量を抑える共に、燃焼熱の一部を熱風ダクト12を介してロータリーキルン1に戻して汚染土壌を加熱浄化するという構造となっているので、装置全体として汚染土壌中の油分の燃焼熱を効果的に活用でき、油分を多く含む汚染土壌の浄化処理には好適な装置となっている。
【0025】
また、図2中の23はロータリーキルン1と略同構造の第2のロータリーキルンであって、一端側にバーナ24を備え、他端側の排気ダクト25はロータリーキルン1(集塵機8等でも良い)へと連結し、投入コンベヤ26をロータリーキルン1の排出口6に臨ませている。この第2のロータリーキルン23はロータリーキルン1から排出される処理土壌を更に加熱して完全に無害化とするもので、ロータリーキルン1から排出される処理土壌を投入コンベヤ26によって第2のロータリーキルン23に投入し、処理土壌がドラム内を転動流下する間にバーナ24より高温の熱風を供給して加熱し、処理土壌中にわずかに残留する揮発性有機化合物を完全に焼却させる温度、例えば、略800℃程度まで加熱する。
【0026】
このようにロータリーキルン1によって汚染土壌中に残留する揮発性有機化合物の大部分を揮発分離または焼却すると共に、このロータリーキルン1で揮発分離または焼却されなかった残りの揮発性有機化合物を第2のロータリーキルン23で完全に焼却することができ、汚染土壌の完全な浄化処理が行える。
【0027】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1記載の揮発性有機化合物を含む汚染土壌の浄化装置によれば、揮発性有機化合物を含む汚染土壌を加熱して揮発性有機化合物を土壌から揮発分離するロータリーキルンを配設し、該ロータリキルンの排気ダクトは途中にダスト捕捉用の集塵機とガス吸引用の排風機とを介して排ガス中の揮発性有機化合物を燃焼分解する燃焼炉に連結し、該燃焼炉には炉内に熱風を送り込むバーナを備えると共に、燃焼炉の排気ダクトは途中に排風機を介して煙突に連結する一方、燃焼炉とロータリーキルンとを熱風ダクトで連結し、該熱風ダクトの途中には風量調整用のダンパーを配設し、該ダンパーによる吸引量を調整しながら燃焼炉の高温排ガスの一部を熱風ダクトを通して吸引して燃焼炉内の高温ガスの一部をロータリーキルンの一端側から導入し、汚染土壌を高温排ガスに晒して加熱昇温して浄化するように構成したので、従来装置よりバーナの本数を減らして低コスト化が図れ、また油分を多く含む汚染土壌を浄化処理するときには、油分の燃焼熱を有効活用してバーナの燃焼量を削減し、省エネルギー化が図れて経済的である。
【0028】
また、請求項2記載の揮発性有機化合物を含む汚染土壌の浄化装置によれば、前記ロ−タリ−キルンより排出される処理土壌を更に加熱するバーナを備えた第2のロータリーキルンを配設したので、ロータリーキルン1によって揮発分離または焼却されなかったわずかの揮発性有機化合物を完全に焼却することができ、汚染土壌の完全な浄化処理を行うことができる。
【0029】
また、請求項3記載の揮発性有機化合物を含む汚染土壌の浄化装置によれば、前記燃焼炉の排気ダクトに熱交換器を設け、該熱交換器にて予熱した空気をバーナまたは燃焼炉内の少なくとも一方に燃焼用空気として供給するようにしたので、大気中へと排出される排ガスが保有する熱量も有効利用することができて経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る揮発性有機化合物を含む汚染土壌の浄化装置の一実施例を示す概略説明図である。
【図2】本発明に係る揮発性有機化合物を含む汚染土壌の浄化装置の他の実施例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1…ロータリーキルン 7、14…排気ダクト
8…集塵機 10…燃焼炉
11…バーナ 12…熱風ダクト
16…熱交換器 23…第2のロータリーキルン
24…バーナ
Claims (3)
- 揮発性有機化合物を含む汚染土壌を加熱して揮発性有機化合物を土壌から揮発分離するロータリーキルンを配設し、該ロータリキルンの排気ダクトは途中にダスト捕捉用の集塵機とガス吸引用の排風機とを介して排ガス中の揮発性有機化合物を燃焼分解する燃焼炉に連結し、該燃焼炉には炉内に熱風を送り込むバーナを備えると共に、燃焼炉の排気ダクトは途中に排風機を介して煙突に連結する一方、燃焼炉とロータリーキルンとを熱風ダクトで連結し、該熱風ダクトの途中には風量調整用のダンパーを配設し、該ダンパーによる吸引量を調整しながら燃焼炉の高温排ガスの一部を熱風ダクトを通して吸引して燃焼炉内の高温ガスの一部をロータリーキルンの一端側から導入し、汚染土壌を高温排ガスに晒して加熱昇温して浄化するように構成したことを特徴とする揮発性有機化合物を含む汚染土壌の浄化装置。
- 前記ロータリーキルンより排出される処理土壌を更に加熱するバーナを備えた第2のロータリーキルンを配設したことを特徴とする請求項1記載の揮発性有機化合物を含む汚染土壌の浄化装置。
- 前記燃焼炉の排気ダクトに熱交換器を設け、該熱交換器にて予熱した空気をバーナまたは燃焼炉内の少なくとも一方に燃焼用空気として供給するようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の揮発性有機化合物を含む汚染土壌の浄化装置。
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