JP4234942B2 - リモコン式乗降ドア操作システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道や新交通システムに好適であるリモコン式乗降ドア操作システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄道を利用する乗客の安全を確保することを目的として、乗降位置以外のホーム縁部に固定柵を設置したりホームドアを設ける等の安全対策が取られている。上記ホームドアは、通常は閉じ動作しておりホームと軌道とを仕切っているが、列車が入線するとその車両ドアと連動して開閉するように構成されているもので、特に、列車の運行、乗客の状況等を集中管理して自動運転を行なう新交通システムでは設備として欠かせない。
【0003】
このように鉄道、新交通システムに各種安全対策が施されているものの朝夕のラッシュ時において乗降ドアに乗客が殺到するような状況や、或いはホームが湾曲して見通しの悪い場合には乗降状態を完全に把握できないことがある。そこで現状では必要に応じてホーム上に駅員を配置し乗客の誘導と安全確認を行なっている。
【0004】
具体的には、鉄道ではホームの柱に固定設置された戸閉合図操作器の閉釦を駅員が押すと、車掌から確認できる位置にホーム天井から吊り下げられた戸閉合図表示器に閉許可を示すランプが点灯し、車掌はこのランプが点灯していることを確認した上で列車の車両ドアを閉操作する。
【0005】
ところが、駅員が車両ドア近辺で安全を確認した後、戸閉合図操作器まで移動する間にかけ込み乗車が発生することも多々あり、このような場合については乗客の安全確保が万全であるとは言えない。そこで、例えば特開平10−167057号公報に記載の戸閉合図操作装置では、戸閉合図操作器を携帯式の無線装置で構成し、戸閉合図表示器の各ランプの点灯状態をリモコン操作できるようにしたものが示されている。
【0006】
この戸閉合図操作装置によれば、従来のように駅員が柱に設置された戸閉合図操作器までわざわざ戻る必要がなく、車両ドアに近い位置から、或いはホーム上を移動しながら戸閉合図を行なうことができるため、広範囲に安全を確認することができ、また、かけ込み乗車が発生した場合でも駅員は素早く対応することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、戸閉合図操作器を無線装置にした場合であっても、車両ドアの開閉操作そのものは車上の乗務員が行なうものであるため、駅員と列車乗務員との間でスムーズな連携が得られにくく、結果として運行の遅れや乱れが発生していた。
【0008】
本発明は以上のような従来の車両ドアの開閉システムにおける課題を考慮してなされたものであり、ホーム上の乗客の安全を確保しつつ列車の運行を正常に維持することができるリモコン式乗降ドア操作システムを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明において乗降ドアとは、車両ドアのみ開閉制御するシステムでは車両ドアと同義であり、車両ドアとホームドアの双方を開閉制御するシステムでは両ドアを含むものとする。
【0010】
本発明は、駅員に携帯され、列車の車両ドア開閉操作に関わる信号をホーム上から無線で送受信するリモコン式操作手段と、車両ドアの開閉に関わる指令信号を出力可能な車上スイッチと、列車側に設けられ、上記リモコン式操作手段から無線によって送信される操作信号又は上記車上スイッチから出力される指令信号を受信して乗降ドアを開閉制御するドア開閉制御手段と、ホーム側に設けられ、列車が入線して定位置に停止した際に、上記リモコン式操作手段と上記ドア開閉制御手段との間で車両ドア開閉操作に関わる信号の送受信を許可する無線操作許可手段と、から構成されるリモコン式乗降ドア操作システムである。
【0011】
本発明に従えば、列車がホームに入線して定位置に停止すると、無線操作許可手段からリモコン式操作手段に対して車両ドア開閉操作を許可する信号が送信される。無線操作が許可されたリモコン式操作手段によって車両ドアの開閉操作が行なわれると、操作信号がドア開閉制御手段に送信され、このドア開閉制御手段によって車両ドアが開閉制御される。
【0012】
このリモコン式乗降ドア操作システムは、ドア開閉制御手段として、上記ホームとの間で車両ドア開閉操作に関わる信号を送受信する車上送受信機と、この車上送受信機から受信した信号に基づき車両ドアを開閉制御する車両ドア開閉制御装置とを有し、また、無線操作許可手段として、リモコン式操作手段との間で車両ドア開閉操作に関わる信号を送受信する送受信機と、車上送受信機との間で車両ドア開閉操作に関わる信号を送受信する地上送受信機と、リモコン式操作手段から送受信機を介して受信した信号をその地上送受信機から車上送受信機に送信する信号集中制御装置と、を有することができる。
【0013】
本発明において上記リモコン式操作手段に、列車の発車を抑止するための出発抑止信号を出力する操作部を備え、この操作部を操作すると出発抑止信号が上記信号集中制御装置に受信され、この信号集中制御装置から上記地上送受信機を介してその出発抑止信号が列車側に送信されるように構成すれば、例えば車両ドアに万一、人や物が挟まれた場合に直ちに列車を発車させない状態にすることができる。
【0014】
本発明において、上記リモコン式操作手段に、マイクとこのマイクから入力された音声を音声信号に変えて送信する音声信号送信部を付加し、上記信号集中制御装置に、その音声信号を受信する音声信号受信部とその受信した音声信号をホーム上のスピーカーに音声出力する音声出力部とを付加すれば、マイクを通じて案内放送ができるようになる。
【0015】
本発明において、上記リモコン式操作手段と上記列車側にそれぞれ共通の音声信号送信機および音声信号受信機を有し、スイッチによって音声信号の送信、受信ができるように構成することもできる。
【0016】
本発明において、上記リモコン式操作手段と上記ドア開閉制御手段との間で車両ドア開閉操作に関わる信号の送受信が行なわれている期間、上記リモコン式操作手段によって車両ドアの開閉操作が行われることを列車の乗務員に対して報知する報知手段を上記列車に備えれば、列車乗務員に対して開閉操作を行なう必要のないことを知らせることができる。
【0017】
本発明において、上記車両ドア制御手段を、リモコン式操作手段によるドア開閉操作と独立して列車側からのドア開閉操作も受け付けるように構成すれば、列車乗務員に対して開閉操作を行なう必要のないことが知らされている場合であっても列車乗務員は独自にドア開閉操作を行なうことができる。
【0018】
本発明において、上記ホームの縁部に沿って設置されたホームドアが備えられ、そのホームドアを開閉するホームドア開閉制御装置を有する場合、上記無線操作許可手段は、車両ドア開閉操作に関わる信号を列車側に送信するとともに列車の車両ドアと連動して上記ホームドアが開閉動作するようにホームドア開閉制御装置を制御するように構成することが好ましい。
【0019】
本発明は、駅員に携帯され、車両ドア及びホームドアが含まれる乗降ドア開閉操作に関わる信号をホーム上から無線で送受信するリモコン式操作手段と、列車側に設けられ、上記リモコン式操作手段から無線によって送信される操作信号を受信して上記乗降ドアを開閉制御するドア開閉制御手段と、ホーム側に設けられ、列車が入線して定位置に停止した際に、上記リモコン式操作手段と上記ドア開閉制御手段との間で乗降ドア開閉操作に関わる信号の送受信を許可する無線操作許可手段と、を備え、上記リモコン式操作手段が、1つの主リモコン操作器と、1以上の従リモコン操作器とからなり、これらリモコン操作器が所定の乗降ドア毎に割り当てられるとともに、独立して乗降ドアの開閉操作ができるように構成され、上記従リモコン操作器は上記主リモコン操作器の許可を得てからドア開閉操作が行なえるように構成されれば、例えば、混雑時や見通しの悪い湾曲したホームにおいてホーム全体を一人の駅員が管理できないような場合に、ドア開閉操作を分担することで乗客の安全を確保することができるようになる。
【0020】
そして、ホームの責任者に主リモコン操作器を持たせることで指揮の統一を図ることができるようになる。
【0021】
さらに上記主リモコン操作器は、予め決められた範囲の乗降ドア開閉操作が行なえるとともにすべての乗降ドアを一括して開閉操作することもできるように構成し、従リモコン操作器は主リモコン操作器が担当する乗降ドアを除いて予め決められた範囲の乗降ドアのみ開閉操作することができるように構成すれば、混雑時には主、従両リモコン操作器を用いてドア開閉操作が行なえ、閑散時については主リモコン操作器だけで一括してドア開閉操作ができるようになる。
【0022】
また、各リモコン操作器に識別情報を与え、信号集中制御装置は特定の識別情報とともに送信される信号のみを有効として処理を行なうように構成することが好ましい。それにより、無効なリモコン操作器からの信号を排除して不正動作を防止することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示した一実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明に係るリモコン式乗降ドア操作システム(以下、乗降ドア操作システムと略称する)の全体構成を例示したものである。なお、本実施形態では、駅プラットホーム(以下ホームと略称する)に入出線する列車は11両(T1〜T11)編成とし、車両ドアの総数は44枚(#1〜#44)とする。また、ホームの縁部には転落防止用のホームドア装置が設置されており、車両ドアの枚数と同数のホームドアがそのホームドア装置に設けられているものとする。
【0025】
上記乗降ドア操作システムは、列車側に設けられる列車側制御装置100と、ホームドア側に設けられるホーム側制御装置200と、駅員が携帯する主リモコン操作器300および従リモコン操作器400とから主として構成されている。上記各リモコン操作器300および400はリモコン式操作手段として機能する。
【0026】
各装置の構成を説明する前に、以下の説明において使用する用語の定義を説明する。
【0027】
連動モードとは、ホームドアと車両ドアとを連携させて同時に操作するモードを意味し、この連動モードには地上モードと車上モードがある。地上モードは駅員が携帯するリモコン操作器やホームの集中制御装置(後述する)から乗降ドア(車両ドアとホームドア)の開閉操作を行なうモードを意味し、車上モードとは列車側で乗降ドアの開閉操作を行なうモードを意味する。
【0028】
一方、単独モードとはホーム側と列車側との連携を切り離し、ホームドアと車両ドアをそれぞれ独立して操作するモードを意味する。
【0029】
図1において上記列車側制御装置100は、車上スイッチ101と、列車定位置停止スイッチ102と、各車両ドアを開閉制御するための複数の車両ドア個別操作盤103と、これらを制御する車上制御装置104とから構成されている。なお、車両ドア個別操作盤103および車上制御装置104は車両ドア開閉制御装置として機能する。
【0030】
図2は上記車上スイッチ101の操作パネル101aを例示したものである。この操作パネル101aには、連動モードと単独モードのいずれか一方を選択するモード切替スイッチ101bと、一回の押下でドア開指令信号を出力する開押し釦スイッチ101cと、同じくドア閉指令信号を出力する閉押し釦スイッチ101dと、同じくドア再開閉指令信号を出力する再開閉押し釦スイッチ101eが備えられている。
【0031】
上記押し釦スイッチ101cおよび101dはオンされることによって点灯する照光式の押し釦スイッチからなり、連動モードにおいて、上記開押し釦スイッチ101cは、すべての乗降ドアが開確認されたときに点灯し、上記閉押し釦スイッチ101dはすべての乗降ドアが閉確認されたときに点灯するようになっている。
【0032】
また、地上モード表示灯101fは、地上モードが選択されているときに点灯し、車上モードでは点滅し、単独モードでは消灯するようになっている。
【0033】
操作可表示灯101gは、乗降ドアを操作してもよい状態にある期間、具体的には車上制御装置104がホーム集中制御盤(信号集中制御装置)202(図1参照)に対してドア開OK(主操作可)信号を継続して出力している期間について点灯し、異常表示灯101hは地上、車上からの操作に係わらず異常信号を受けたときに点灯するようになっている。
【0034】
図3および図4は乗降ドア開閉システムにおいて制御信号の流れを例示したものであり、図3に上記した車上制御装置104と車上スイッチ101との間で送受される信号SおよびSを示している。具体的には、車上スイッチ101から車上制御装置104に対しては連動モード設定信号、単独モード設定信号、開指令信号、閉指令信号、再開閉指令信号を含む信号Sが送信される。
【0035】
また、車上制御装置104から車上スイッチ101に対しては操作可表示信号、開表示灯101cを点灯させるための開表示信号、閉表示灯101dを点灯させるための閉表示信号、異常表示信号、地上モード表示信号を含む信号Sが送信される。
【0036】
図5は列車定位置停止スイッチ(無線操作許可手段)102の操作パネル102aを示したものである。この操作パネル102aには照光式のドア開OK押し釦スイッチ102bと出発OK表示灯102cが備えられている。
【0037】
ドア開OK押し釦スイッチ102cは1回押下されることによってドア開OK設定信号Sを車上制御装置104に出力する(図3参照)。このドア開OK設定信号Sを受けた車上制御装置104は、ドア開OK設定信号をホーム集中制御盤202に送信する。なお、このドア開OK設定信号は、ホーム集中制御盤202で主リモコン操作器300に送信する主操作可表示信号と従リモコン操作器400に送信する個別操作可表示信号に分けられる。なお、各表示信号には操作許可指令を含んでいるものとする。
【0038】
出発OK表示灯102cは、一連のドア開閉操作の直後に、初めてすべての乗降ドアの閉確認がとれたときに、車上制御装置104から与えられる出発OK表示信号Sによって点灯するようになっている(図3の信号S参照)。ただし、車上制御装置104は、出発OK表示信号を与える前にリモコン操作を許可するためのドア開OK設定信号と車上からドア開閉操作を行なうための操作可表示信号の双方の出力を停止させ、乗降ドアの開閉操作を禁止する。
【0039】
図1において、複数の車両ドア個別操作盤103は、車上制御装置104によって制御されており、車両ドアを個別に開閉制御するようになっている。なお、説明を簡単にするため、以下の説明では車両ドア#1〜#44(各車両について4枚の車両ドアがあり、#1〜#4は先頭車両の車両ドアを示す)のうち、車両ドア#1を代表してその構成および動作について説明する。
【0040】
車両ドア#1の個別操作盤103は、車上制御装置104から車両ドア#1開指令信号または車両ドア#1閉指令信号(図3の信号S参照)を受けて車両ドアを開閉し、また、車両ドア#1開確認信号、車両ドア#1閉確認信号、車両ドア#1異常表示信号を車上制御装置104に送信するようになっている(図3の信号S参照)。
【0041】
さらに、車上制御装置104は、車上スイッチ101、列車定位置停止スイッチ102、車両ドア個別操作盤103から与えられた各種指令,信号を、車上子(車上送受信機)105からホーム側に送信する(図3の信号S参照)。具体的には、ドア開OK設定信号、全ホームドア開指令、全ホームドア閉指令、ホームドア再開閉指令、全車両ドア開確認信号、車両ドア#1〜#44についての閉確認信号及び車両ドア異常表示信号をホーム側に送信する。
【0042】
図6は上記車上制御装置104の正面図である。
【0043】
この車上制御装置104のケース104aには電源スイッチ104bと車両ドア状態表示器104cが備えられている。
【0044】
車両ドア状態表示器104cは、車両番号T1〜T11の各ドア開状態を示す表示ランプ列104dと、車両番号T1〜T11の各ドア閉状態を示す表示ランプ列104eと、車両番号T1〜T11の各ドア異常状態を示す異常表示ランプ列104fとを備えている。これらのランプ列は、車上制御装置104内部で生成される車両ドア開/閉/異常表示信号のうちのいずれかの信号を受けて(図3の信号S参照)該当する表示ランプを点灯させるようになっている。
【0045】
なお、図中、104gは信号線を接続するためのコネクタであり、104hはヒューズである。
【0046】
上記車上子105から送信される信号はホーム側に設けられている地上子(地上送受信機)201に受信され、ホーム集中制御盤202に与えられる。
【0047】
図7はそのホーム集中制御盤202の操作パネルを例示したものである。
【0048】
同図において、操作パネルに設けられたモード切替スイッチ202aは“地上”、“車上”および“単独”の3つの切替位置を有し、“地上”では連動の地上モードに設定され、“車上”では連動の車上モードに設定され、“単独”では単独モードに設定される。ただし、単独モードではホームドアと車両ドアがそれぞれ独立して操作される。
【0049】
リモコン操作スイッチ202bを“入”にすると、後述するリモコン操作器による操作が有効になるとともにその右側に配置されている全乗降ドアスイッチ202cの設定は無効となる。これとは逆にリモコン操作スイッチ202bを“切”にすると、リモコン操作が無効になるとともに全乗降ドアスイッチ202cの設定が有効となる。
【0050】
上記した全乗降ドアスイッチ202cは“開”と“閉”の二つの切替位置を有し、“開”位置ではリモコン操作スイッチ202bが“切”であることを条件に全乗降ドアを開動作させることができ、また、“閉”位置では同じくリモコン操作スイッチ202bが“切”であることを条件に全乗降ドアを閉めることができるようになっている。
【0051】
全乗降ドアスイッチ202cの右側に配置されたリモコン操作スイッチ設定器202dには、主リモコン用のスイッチ群202eと、従リモコン操作器用のスイッチ群202fが備えられている。そしてスイッチを“入”にするとリモコン操作を担当する車両番号を指定することができ、“切”にすると担当しない車両番号を指定することができる。
【0052】
例えば図に示すように、主リモコンのT1とT2をそれぞれ“入”にすると、車両番号T1およびT2の車両ドアについては主リモコン操作器で開閉操作を行なうことができるようになり、T3〜T11を“切”にすると車両番号T3〜T11についてはドア開閉操作を担当しないことになる。
【0053】
そして、主リモコン操作器用のスイッチ群202eによって指定されなかった車両番号T3〜T11については従リモコン操作器用の各スイッチを“入”にすることによって、従リモコン操作器で開閉操作を行なうことができるようになる。
【0054】
このホーム集中制御盤202と上記各スイッチ202a〜202cとの間の信号の送受を図4の信号Sに示し、ホーム集中制御盤202と上記スイッチ群202e,202fとの信号の送受を信号S10及びS11にそれぞれ示す。
【0055】
また、リモコン操作スイッチ設定器202dの上側にはホームドア表示灯202gが配置されている。
【0056】
このホームドア表示灯202gは、開表示灯列202hと、閉表示灯列202iと、異常表示灯列202jとからなり、開表示灯列202hは車両番号に該当するホームドアから開確認信号を受けたときに点灯し、閉表示灯列202iは同じくホームドアから閉確認信号を受けたときに点灯し、異常表示灯列202jは同じくホームドアから異常信号を受けたときに点灯するようになっている。
【0057】
ホーム集中制御盤202とその操作パネルに設けられるホームドア表示灯202gとの間の信号の送受を図4の信号S12に示す。
【0058】
このホームドア表示灯202gの左側には車両ドア表示灯202kが配置されている。
【0059】
この車両ドア表示灯202kは、開表示灯列202 lと、閉表示灯列202mと、異常表示灯列202nと、全ドア開表示灯202 oとからなる。
【0060】
開表示灯列202 lは車両番号に該当する車両ドアから開確認信号を受けたときに点灯し、閉表示灯列202mは同じく車両ドアから閉確認信号を受けたときに点灯し、異常表示灯列202nは同じく車両ドアから異常信号を受けたときに点灯し、全ドア開表示灯202 oはすべての車両ドアが開いたときに点灯するようになっている。
【0061】
このホーム集中制御盤202と上記車両ドア表示灯202kとの間の信号の送受を図4の信号S13に例示する。
【0062】
なお、図中、202pは電源スイッチであり、202qはコネクタ、202rはヒューズである。
【0063】
上記ホーム集中制御盤202には、車両ドアに対応して設けられたホームドア#1〜#44を個別に開閉制御するためのホームドア個別操作盤(ホームドア開閉制御装置)203が接続されている。
【0064】
各ホームドア個別操作盤203は、車両ドア600a,600bに連動してホームドア500a,500bを開閉するように制御を行なっている。
【0065】
詳しくはホームドア500a,500bが格納される側壁501a,501bには、ホームドア500a,500bを進退させるためのドアエンジン503a,503bが内蔵されており、このドアエンジンによってホームドア500a,500b(両者をホームドア#1と呼ぶ)が開閉動作する。また、ホームドア500a,500bが開位置または閉位置に移動するとセンサ502a,502bによって検知されるようになっており、それにより、ホームドア#1の開閉状態はホームドア個別操作盤203を介してホーム集中制御盤202に管理される。
【0066】
従って、ホーム集中制御盤202からホームドア個別操作盤203に対してはホームドア開指令または閉指令(図4の信号S14参照)が送信され、その逆にはホームドア開確認信号、ホームドア閉確認信号、ホームドア異常表示信号(同図の信号S15参照)が送信される。
【0067】
また、上記ホーム集中制御盤202は送受信機204を介し、主リモコン操作器300および従リモコン操作器400との間で車両ドア開閉操作に関する信号の送受を行なうようになっている。
【0068】
図8はその主リモコン操作器300の構成を例示したものであり、(a)は左側面図、(b)は正面図である。
【0069】
この主リモコン操作器300は、例えばデジタルコード伝送方式による特定小電力無線装置を利用することができ、電波の到達距離が約200m確保できる出力のものを使用することができる。また、防水、防塵使用とすることが好ましい。
【0070】
同図(b)において、主リモコン操作器300の操作部301には電源オン/オフスイッチ302と、一括押し釦スイッチ303と、個別押し釦スイッチ304と、開押し釦スイッチ305と、閉押し釦スイッチ306と、再開閉押し釦スイッチ307と、出発抑止押し釦スイッチ308とが備えられている。また、操作部301の左側には表示部309が備えられ、車両ドアの操作状態を表示するようになっている。
【0071】
上記電源オン/オフスイッチ302は、押下する毎に電源の入、切が切り替わるとともに“入”で電源ランプが点灯するようになっている。
【0072】
上記一括押し釦スイッチ303は、押下している間は一括指令が出力され、そのスイッチ303から指を離せば一括指令が停止する。従って、“一括”指令を出す場合には、一括押し釦スイッチ303を押す操作に引き続いて所望の指令に該当する押し釦スイッチを押下することになる。ただし、車両ドア開OK信号を受けて表示部309の操作可表示ランプ309aが点灯した直後において、一回目の開押し釦スイッチ305が押下された場合には、一括押し釦スイッチ303を押さなくとも一括の全ドア開操作として処理される。
【0073】
上記個別押し釦スイッチ304は、押下している間は個別指令が出力され、そのスイッチから指を離せば個別指令が停止する。従って“個別”指令を出す場合には個別押し釦スイッチ304を押す操作に引き続いて所望の指令に該当する押し釦スイッチを押下することになる。ただし、一回目の全ドア開操作を除いては個別押し釦スイッチ304を押さなくとも個別ドア開操作として処理される。
【0074】
上記開押し釦スイッチ305は、押下することによって開指令信号が送信され、指を離すことによって開指令信号が停止する。
【0075】
上記閉押し釦スイッチ306は、押下することによって閉指令信号が送信され、指を離すことによって閉指令信号が停止する。
【0076】
上記再開閉押し釦スイッチ307は、押下することによって再開閉指令信号が送信され、指を離すことによって再開閉指令信号が停止する。この再開閉押し釦スイッチ307は、例えば乗降ドアに物または人が挟まれた場合に押下される。
【0077】
上記出発抑止押し釦スイッチ308は、押下することによって出発抑止指令信号が送信され、指を離すことによってその出発抑止指令信号が停止する。また、閉押し釦スイッチ305を押しながらこの出発抑止押し釦スイッチ308を押せば、出発抑止が解除されるようになっている。
【0078】
上記した主リモコン操作器300から送受信機204を介してホーム集中制御盤202に送信される各信号を図4の信号S16に例示する。
【0079】
また、表示部309にはLEDなどのランプが配列されており、上記した操作可ランプ309a以外に、全扉開表示信号を受けて点灯する全扉開ランプ309b、全扉閉表示信号を受けて点灯する全扉閉ランプ309c、異常表示信号を受けて点灯する扉異常ランプ309d、個別扉閉信号を受けて点灯する個別閉ランプ309e、地上モード信号に設定されている期間、点灯する地上モードランプ(報知手段)309f、およびホームの送受信機204との通信が確立しているときに点灯する通信ONランプ309gが備えられている。
【0080】
なお、上記地上モードランプ309fは、車上モードでは点滅し、単独モードでは消灯するようになっている。また、操作可ランプ309aは出発抑止中は点滅する。
【0081】
ホーム集中制御盤202から上記主リモコン操作器300に送信される信号を図4の信号S17に示す。
【0082】
また、図中310はアンテナを示しており、311はマイクを示している。
【0083】
このマイク311から入力された音声は音声信号に変換され、送受信機204を介してホーム集中制御盤202に送信される。ホーム集中制御盤202はその音声信号を増幅して出力する音声出力部を備えており、この音声出力部から出力された音声信号はホームに設置されたスピーカから音声として出力される。それにより、主リモコン操作器300を携帯する駅員は、ホームにアナウンスを流すことができる。
【0084】
さらに、この主リモコン操作器300は、音声信号送信機と音声信号受信機とを有するトランシーバ機能が備えられており、列車側にも共通の音声信号送信機と音声信号受信機が備えられている。それにより、列車乗務員との間で交信することができるようになっている。図中、312はそのための送信と受信とを切り換える切替スイッチであり、313は主リモコン操作器300に内蔵されているスピーカである。
【0085】
そして、例えば切替スイッチ312をオン/オフすれば、トランシーバ機能が働いて送信または受信することができ、切替スイッチ312を押し続ければ、その間、アナウンスを行なうことができるようになっている。
【0086】
図9は主リモコン操作器300の支配下にある従リモコン操作器の構成を例示したものであり、(a)は左側面図、(b)は正面図である。
【0087】
同図(b)において、従リモコン操作器400の操作部401には、電源オン/オフスイッチ402と、開押し釦スイッチ403と、閉押し釦スイッチ404と、再開閉押し釦スイッチ405と、出発抑止押し釦スイッチ406とが備えられている。また、操作部401の左側には表示部407が設けられ、車両ドアの操作状態を表示するようになっている。
【0088】
上記電源オン/オフスイッチ402は、上記主リモコン操作器300と同様に、押下する毎に電源の入/切が切り換わるとともに“入”で電源ランプが点灯するようになっている。
【0089】
上記開押し釦スイッチ403は、押下することによって開指令信号が送信され、指を離すことによって開指令信号が停止する。
【0090】
上記閉押し釦スイッチ404は、押下することによって閉指令信号が送信され、指を放すことによって閉指令信号が停止する。
【0091】
これらの開および閉押し釦スイッチ403,404から送信される指令は、常に個別指令として処理される。
【0092】
上記再開閉押し釦スイッチ405は、押下することによって再開閉指令信号が送信され、指を離すことによって再開閉指令信号が停止する。
【0093】
上記出発抑止押し釦スイッチ406は、押下することによって出発抑止指令信号が送信され、指を離すことによってその出発抑止指令信号が停止する。
【0094】
また、閉押し釦スイッチ404を押しながらこの出発抑止押し釦スイッチ406を押せば、出発抑止が解除されるようになっている。
【0095】
上記した従リモコン操作器400から送受信機204を介してホーム集中制御盤202に送信される各信号を図4の信号S18に例示する。
【0096】
また、表示部407には主リモコン操作器300と同様に、LEDなどのランプが配列されており、操作可ランプ407a、個別扉閉信号を受けて点灯する個別扉閉ランプ407b、異常信号を受けて点灯する個別扉異常ランプ407c、地上モード信号を受けて点灯する地上モードランプ407d、ホームの送受信機204との通信が確立しているときに点灯する通信ONランプ407eが備えられている。
【0097】
なお、上記操作可ランプ407aはホーム集中制御盤202から個別操作可表示信号を受信中に点灯し、出発抑止状態では点滅する。また、上記地上モードランプ407dは車上モードでは点滅し、単独モードでは消灯するようになっている。
【0098】
また、図中408はアンテナを示しており、409はアナウンスをするためのマイクを示している。412は音声送信、受信のための切換スイッチ、413はスピーカである。
【0099】
さらに、上記各ランプでは省スペース化を図る目的で同一ランプにて点灯と点滅を使い分け、異なった機能を表示するようにしたものがあるが、もちろん、機能表示毎に独立したランプを配置する構成であってもよい。また、小型の液晶表示部やCRT表示部を組み込み、画面上で各機能を総合的に表示するように構成することもできる。
【0100】
また、ホーム集中制御盤202から各ランプに送信される表示指令信号については図4の信号S19に例示する。
【0101】
次に、上記構成を有する乗降ドア操作システムの動作について説明する。
【0102】
(a) 地上・連動モード、(b) 車上・連動モード、(c) 単独モードの順に説明する。
(a) 地上・連動モード
ホーム集中制御盤202のモード切替スイッチ202aを操作することによって、予め、地上・連動モードが設定されており、且つ各機器の電源スイッチが投入されているものとする。また、車両ドアの開閉操作には、主リモコン操作器300と従リモコン操作器400の両方を使用するものとする。
(a-1) 主リモコン操作器による一斉開操作
1) 地上モードが選択されると、ホーム集中制御盤202は主リモコン操作器300及び従リモコン操作器400に対してそれぞれ地上モード信号を送信し、各リモコン操作器の地上モードランプ309f(図8(b)参照)、407d(図9(b)参照)を点灯させる。
【0103】
2) 列車がホームに入線して定位置に停止すると、列車の乗務員は列車定位置停止スイッチ(図5参照)のドア開OK押し釦スイッチ102bを押下する。
【0104】
3) ドア開OK押し釦スイッチ102bを押下すると、ドア開OK設定信号が車上制御装置104に与えられ、車上制御装置104はそのドア開OK設定信号を自己保持するとともに、車上子105、地上子201を介してホーム集中制御盤202にそのドア開OK設定信号を送信する。
【0105】
4) ドア開OK設定信号を受信したホーム集中制御盤202は、車上制御装置104に対し、地上モード表示信号を送信する。同時に主リモコン操作器300に対し主操作可表示信号を送信し、操作可ランプ309aを点灯させる。
【0106】
5) 一方、上記地上モード表示信号を受けた車上制御装置104は、車上スイッチ101(図2参照)の地上モード表示灯101fおよび操作可表示灯101gをそれぞれ点灯させる。この地上モード表示灯101fが点灯することにより、乗務員は車両ドアの開閉操作がホーム側から行なわれることを確認することができる。
【0107】
6) 車上制御装置104は、この時点から車上スイッチ101の開表示灯101c、閉表示灯101dについて、車両ドアのみの開閉確認表示だけでなく、ホームドアの開閉確認表示も行ない、車両ドアとホームドアからなる乗降ドアのすべてが一致して開、または閉であるときにそれらの表示灯101c、101dが点灯するように点灯条件を切り換える。
【0108】
7) ホーム集中制御盤202は、上記手順4)の時点から主リモコン操作器300の全扉開ランプ309b,全扉閉ランプ309c,個別扉閉ランプ309e及び従リモコン操作器400の個別扉閉ランプ407bについても、ホームドアの開閉確認だけでなく、車両ドアの開閉確認も合わせて、両者が一致している場合にそれらの開閉表示灯を点灯させるように点灯条件を切り換える。
【0109】
すなわち、列車が入線していない場合、リモコン操作器の各ランプはホームドアの開閉状態を表示しているが、列車が入線すると、その列車の車両ドアの開閉状態を合わせて表示することになる。なお、ホームドア装置をメンテナンスする場合には、リモコン操作器を用いてホームドアのみを開閉操作することがある。
【0110】
8) 次に、主リモコン操作器300の開押し釦スイッチ305を押下すると、開指令信号が送受信機204を介してホーム集中制御盤202に送信される。
【0111】
9) ホーム集中制御盤202は、この開指令信号が、主操作可表示信号を主リモコン操作器300に送信した後、初めて受信した開指令信号であるかどうかを判断し、初めて受信したものである場合に車上制御装置104に対して全車両ドア開指令信号を送信する。同時に全ホームドアの開閉制御を行なう各ホームドア個別操作盤203に対しても開指令信号(ホームドア#1〜#44へ)を送る。
【0112】
なお、本実施形態では主リモコン操作器300が操作された後でないと従リモコン操作器400を操作することができないようになっている。従って、ホーム集中制御盤202からリモコン操作器に対してドア開閉操作を許可する信号としては主操作可表示信号となる。
【0113】
10) 上記車上制御装置104は、全車両ドア開指令信号を受けると直ちに各車両ドア個別操作盤103に対してそれぞれ車両ドア開指令を送信する。
【0114】
11) このようにして、すべてのホームドア(ドア#1〜#44)および車両ドア(ドア#1〜#44)が一斉に開き始める。
【0115】
12) 各乗降ドアが開かれると、ホームドア個別操作盤203からホーム集中制御盤202に対してホームドア開確認信号が送信され、また車両ドア個別操作盤103から車上制御装置104に対しては車両ドア開確認信号がそれぞれ送られる。
【0116】
13) ホーム集中制御盤202および車上制御装置104は、各乗降ドアから送られるドア開確認信号に基づいて個々のドア表示灯202h,202 l,104dを点灯させる。
【0117】
また、全車両ドアの開確認信号が得られれば、ホーム集中制御盤202の全ドア開表示灯202 oを点灯させ、すべての乗降ドアの開確認信号が得られれば、主リモコン操作器300の全扉開ランプ309bと車上スイッチ101の開表示灯101cをそれぞれ点灯させる。
(a-2) 主及び従リモコン操作器による個別閉操作
1) 主リモコン操作器300を携帯する駅員(例えばホームの管理責任者)が、閉押し釦スイッチ305を押下すると、主リモコン操作器300からホーム集中制御盤202には閉指令信号が送信される。
【0118】
2) この閉指令信号を受けたホーム集中制御盤202は、主リモコン操作器300が担当する車両ドアおよびホームドアに対して閉指令信号を送信する。
【0119】
3) 閉指令信号を受けた車上制御装置104は、該当する車両ドアを制御している車両ドア個別操作盤103に対して直ちに閉指令信号を送る。
【0120】
4) また、閉指令信号を受けたホームドア個別操作盤203は、該当するホームドア装置に対して直ちに閉指令信号を送る。
【0121】
5) それにより、主リモコン操作器300が担当するホームドアと車両ドアが閉じ始める。
【0122】
6) また、ホーム集中制御盤202は、主リモコン操作器300からの閉指令信号を受けると同時に従リモコン操作器400に対して個別操作可信号を送信し、従リモコン操作器400の操作可ランプ407a(図9(b)参照)を点灯させる。それにより、従リモコン操作器400は、担当するホームドアおよび車両ドアを閉操作することができるようになる。
【0123】
7) 従リモコン操作器400を携帯する駅員(例えばホーム管理責任者に従う係員)は、その操作可ランプ407aが点灯していることを確認した上で閉指令押し釦スイッチ404を押下する。それにより、閉指令信号がホーム集中制御盤202に送信される。
【0124】
8) ホーム集中制御盤202は、上記個別操作可信号が存在している場合のみ、従リモコン操作器400が担当する車両ドアとホームドアを閉じるように制御する。
【0125】
9) それにより、従リモコン操作器400が担当する車両ドアとホームドアが閉じ始める。
【0126】
10) それらの各ドアが閉じると、閉確認信号が車上制御装置104およびホーム集中制御盤202にそれぞれ送信され、主リモコン操作器300の個別扉閉ランプ309e、従リモコン操作器400の個別扉閉ランプ407bが点灯するとともにホーム集中制御盤202のドア閉表示灯202i,202mが点灯する。
【0127】
11) 全ホームドア閉確認信号とすべての車両ドア閉確認信号を受信したホーム集中制御盤202および車上制御装置104は、各リモコン操作器300,400へ送信しているドア開OK設定信号および車上スイッチ101へ送信している操作可表示信号をそれぞれ停止する。それにより、各リモコン操作器の操作可ランプ309a、407a、車上スイッチ101の操作可表示灯が消灯する。
【0128】
なお、上記手順10)までにおいて、車上スイッチ101の操作可表示灯が点灯している間は、各リモコン操作器からのドア開閉操作に割り込んで、車上スイッチ101からドア開閉操作を行なうことができるものとする。
【0129】
12) ホーム集中制御盤202は、操作可信号の送出停止以降、各リモコン操作器による車両ドア開閉操作を受け付けないようにするとともに、主リモコン操作器300の全扉閉ランプ309cおよび従リモコン操作器400の個別扉閉ランプ407bについては、ホームドアの閉確認だけで点灯するように点灯条件を元に戻す。
【0130】
13) また、車上制御装置104は、操作可信号の送出停止以降、車上スイッチ101による車両ドア開閉操作を受け付けないようにするとともに、車上スイッチ101の各閉表示灯101dについて全車両ドアの閉確認だけで点灯するように点灯条件を元に戻す。
【0131】
14) 次いで車上制御装置104は、列車定位置停止スイッチ102に対して出発OK表示灯102cを点灯させる。
(a-3) 主リモコン操作器による個別再開閉操作
1) ホーム集中制御盤202は、主リモコン操作器300が担当するホームドア或いは車両ドアの何れかから閉確認信号がないことを条件に、主リモコン操作器300の全扉閉ランプ309cおよび個別扉閉ランプ309eをそれぞれ消灯させる。各ランプ309c及び309eの消灯により、ホーム管理責任者はこの主リモコン操作器300が担当する乗降ドアが閉じていないことを知ることができる。なお、主リモコン操作器300の担当外の乗降ドアが閉じられていない場合には個別扉閉ランプ309eのみ点灯させる。
【0132】
2) ホーム管理責任者は、操作可ランプ309aが点灯し、且つ全扉閉ランプ309cと個別扉閉ランプ309eの双方が消灯していることを確認した上で再開閉押し釦スイッチ307をワンプッシュする。
【0133】
3) 主リモコン操作器300からの再開閉指令を受けたホーム集中制御盤202は、まず主リモコン操作器300が担当する車両ドアの閉確認信号を受信している場合には、ホームドアのうち閉確認信号を受信していないホームドアに対して再開閉制御を行なう。具体的には開指令信号を送出し、その2秒後に閉指令信号を出力する。なお、「2秒」という時間については例示したものであって、状況により適宜変更して設定することができる。以下の説明においても同じである。
【0134】
4) また、ホーム集中制御盤202は、主リモコン操作器300が担当する車両ドアについてなお閉確認信号が得られない場合、閉じられてない車両ドアについて再開閉指令を車上制御装置104に送信し、同時に、その車両ドアに対向するホームドアに対しても開指令信号を送出し、その2秒後に閉指令信号を送出する。
【0135】
5) 車上制御装置104は、上記再開閉指令信号を受け、再開閉制御として当該車両ドアに対して開指令信号を送出し、その2秒後に閉指令信号を送出する。
【0136】
6) それにより、閉確認が得られなかった車両ドアおよびホームドアが再開閉動作を始める。
【0137】
なお、ホームドアと車両ドアにおける開閉状態には3通りの状況が起こり得る。すなわち、ア)車両ドアが閉じていてホームドアが未閉である場合、イ)車両ドアが未閉であってホームドアが閉じている場合、ハ)車両ドアとホームドアがともに未閉である場合である。
【0138】
上記ア)の場合はホームドアに対して再開閉制御を行い、イ)の場合は車両ドアに対して再開閉制御を行い、ハ)の場合は車両ドアとホームドアの双方に対して再開閉制御を行う。
【0139】
7) この再開閉動作後、なお当該車両ドアの閉確認信号が得られなかった場合には、上記手順3)〜6)を繰り返し実行する。
【0140】
8) ホーム集中制御盤202および車上制御装置104は、再開閉動作を3回繰り返しても当該ドアの閉確認信号が得られなかった場合、主リモコン操作器300に対して異常表示信号を送信して扉異常ランプ309dを点灯させ、再開閉動作を停止する。なお、上記再開閉動作の回数(3回)は適宜変更して設定することができる。以下の説明においても同じである。
【0141】
また、上記扉異常ランプ309dは、車両ドア全般について故障などの異常に対しても点灯するものとする。
(a-4) 従リモコン操作器による個別再開閉操作
1) ホーム集中制御盤202は、従リモコン操作器400が担当するホームドア或いは車両ドアの何れかから閉確認信号がないことを条件に、従リモコン操作器400の個別扉閉ランプ407bを消灯させる。同時にホーム集中制御盤202は、主リモコン操作器300の全扉閉ランプ309cを消灯させる。
【0142】
2) 従リモコン操作器400の操作者は、操作可ランプ407aが点灯し且つ個別扉閉ランプ407bが消灯していることを確認した上で再開閉押し釦スイッチ405をワンプッシュする。
【0143】
3) 従リモコン操作器400からの再開閉指令を受けたホーム集中制御盤202は、その担当するホームドアのうち閉確認信号を受信していないホームドアに対して閉指令信号を送出し、その2秒後に閉指令信号を送出する。
【0144】
4) ホーム集中制御盤202は、従リモコン操作器400が担当する車両ドアについて閉確認信号が得られない場合、再開閉指令を車上制御装置104に送信し、同時に、その車両ドアに対向するホームドアに対しても開指令信号を送出し、その2秒後に閉指令信号を送出する。
【0145】
5) 車上制御装置104は、再開閉指令信号を受けて当該車両ドアに対して開指令信号を送出し、その2秒後に閉指令信号を送出する。
【0146】
6) それにより、閉確認が得られなかった車両ドアおよびホームドアが再開閉動作を始める。
【0147】
なお、ホームドアと車両ドアにおける開閉状態には先に説明したように、ア)〜ウ)の3通りの状況が起こり得る。従って、ア)の場合はホームドアに対して再開閉制御を行い、イ)の場合は車両ドアに対して再開閉制御を行い、ハ)の場合は車両ドアとホームドアの双方に対して再開閉制御を行う。
【0148】
7) この再開閉動作後、なお当該車両ドアの閉確認信号が得られなかった場合には、上記手順3)〜6)を繰り返し実行する。
【0149】
8) ホーム集中制御盤202および車上制御装置104は、再開閉動作を3回繰り返しても当該ドアの閉確認信号が得られなかった場合、主リモコン操作器300および従リモコン操作器400に対してそれぞれ異常表示信号を送信して扉異常ランプ309dおよび個別扉異常ランプ407cを点灯させ、再開閉動作を停止する。
【0150】
なお、上記個別扉異常ランプ309dは、担当する乗降ドアの故障などの異常に対しても点灯するものとする。
(a-5) 主リモコン操作器による一括再開閉操作
1) 主リモコン操作器300の操作者は、操作可ランプ309aが点灯していることを確認した上で一括押し釦スイッチ303と再開閉押し釦スイッチ307をこの順に連続してワンプッシュする。
【0151】
2) ホーム集中制御盤202は、主リモコン操作器300からの一括+再開閉指令を受けてすべてのホームドアのうち閉確認信号を受信していないホームドアに対して閉指令信号を送出し、その2秒後に閉指令信号を送出する。
【0152】
3) ホーム集中制御盤202は、閉じられてない車両ドアがあれば再開閉指令を車上制御装置104に送信し、同時に、閉じられていない車両ドアに対向するホームドアに対しても開指令信号を送出し、その2秒後に閉指令信号を送出する。
【0153】
4) 車上制御装置104は、再開閉指令信号を受けて当該車両ドアに対して開指令信号を送出し、その2秒後に閉指令信号を送出する。
【0154】
5) それにより、閉確認が得られなかった車両ドアおよびホームドアが再開閉動作を始める。このようにして、仮に車両ドアに乗客の体の一部または持ち物が挟まれた場合には、車両ドアとホームドアの双方を開き、乗客が列車に乗車するか或いはホーム側に戻るかの何れかを選択することができるようにしている。
【0155】
6) この再開閉動作後、なお当該車両ドアの閉確認信号が得られなかった場合には、上記手順2)〜5)を繰り返し実行する。
【0156】
7) ホーム集中制御盤202および車上制御装置104は、再開閉動作を3回繰り返しても当該ドアの閉確認信号が得られなかった場合、主リモコン操作器300に対して異常表示信号を送信して扉異常ランプ309dを点灯させ、再開閉動作を停止する。
【0157】
また、扉異常が従リモコン操作器400の担当する車両ドアである場合には、従リモコン操作器400へ個別扉異常表示信号を送信し、個別扉異常ランプ407cを点灯させる。
(a-6) 出発抑止およびリモコン操作器による任意のドア開閉操作
1) 主リモコン操作器300の出発抑止押し釦スイッチ308、または従リモコン操作器400の出発抑止押し釦スイッチ406をワンプッシュすると、出発抑止指令信号がホーム集中制御盤202に送信される。
【0158】
2) 主リモコン操作器300または従リモコン操作器400から出発抑止指令信号を受けたホーム集中制御盤202は、“出発抑止”が設定されたものを判断し、その時点での乗降ドアの開閉状態に関わらず、まず車上制御装置104に対し、出発抑止指令信号として例えば全ホームドア開確認信号を送信し、続いて車両ドア再開閉指令信号を重ねて送信する。
【0159】
3) 車上制御装置104は、出発抑止指令信号として例えば上記全ホームドア開確認信号と車両ドア再開閉指令信号が連続して同時に得られたことにより、“出発抑止”が設定されたものと判断し、列車定位置停止スイッチ102への出発OK表示信号を遮断して消灯させる。また、ホーム集中制御盤202に対してはドア開OK設定信号を送信する。
【0160】
同時に車上制御装置104は、車上スイッチ101に対して地上モード表示信号を送信することにより地上モード表示灯101fを点灯させ、さらに操作可表示信号を断続的に送信して操作可表示灯101gを点滅させる。
【0161】
4) ホーム集中制御盤202は、出発抑止が設定された状態で列車定位置停止スイッチ102からドア開OK設定信号を受けると、上記車上制御装置104へ送信していた車両ドア再開閉信号のみを遮断する。
【0162】
一方、全ホームドア開確認信号については出発抑止が解除されるまで送信し続ける。また、ホーム集中制御盤202は、上記ドア開OK信号を受けると、主リモコン操作器300へ送信している主操作可表示信号を、従リモコン操作器400へ送信している個別操作可表示信号をそれぞれ断続させ、両リモコン操作器の操作可ランプ309a,407aを点滅させる。
【0163】
なお、上記出発抑止信号として各信号を組み合わせているのは、信号点数削減のための配慮であるが、出発抑止指令信号および信号抑止解除信号を独立して設ける場合には、当然、これらの信号の有無によって出発抑止設定、出発抑止解除を行うことができる。
【0164】
5) 主リモコン操作器300の操作可ランプ309aが点灯または出発抑止設定下の点滅状態で、一括押し釦スイッチ303と開押し釦スイッチ305をこの順に連続して押せば、すべての乗降ドアが開かれる。また、一括押し釦スイッチ303と閉押し釦スイッチ306とをこの順に押した場合には、すべての乗降ドアが閉まる。
【0165】
6) 操作可ランプ309aが点灯または出発抑止設定下の点滅状態で主リモコン操作器300の開押し釦スイッチ305のみを押せば、初めて行なうドア開操作である場合をのぞき、主リモコン操作器300の担当する乗降ドアが開き、また、閉押し釦スイッチ306を押せば担当する乗降ドアを閉めることができる。
【0166】
7) 従リモコン操作器400の操作可ランプ407aが点灯または出発抑止設定下の点滅状態で、開押し釦スイッチ403を押せば、担当する乗降ドアが開き、閉押し釦スイッチ404を押せば担当する乗降ドアが閉まる。
【0167】
8) 出発抑止の解除は、主リモコン操作器300、従リモコン操作器400のいずれからも行なうことができ、主リモコン操作器300の閉押し釦スイッチ306を押しながら出発抑止押し釦スイッチ308をワンプッシュすると、出発抑止解除指令としての車両ドア閉指令および出発抑止指令がホーム集中制御盤202に送信される。
【0168】
9) 主リモコン操作器300から送信された車両ドア閉指令と出発抑止指令が連続して同時に存在することを受け、ホーム集中制御盤202は出発抑止の設定を解除し、同時に車上制御装置104に送信していた全ドア開確認信号を遮断する。
【0169】
なお、出発抑止を解除しない限り全車両ドア開確認信号が常に送信されていることになり、列車側で勝手に解除されることはない。
【0170】
10) 車上制御装置104は、出発抑止が指令されている状態で全車両ドア開確認信号が0.5秒以上遮断されれば、出発抑止の設定を解除する。
【0171】
11) 出発抑止を解除したホーム集中制御盤202および車上制御装置104は、その時点での操作および状態表示を反映した通常の処理に戻る。
(b)車上・連動モード
(b-1) 開操作
1) ホーム集中制御盤202のモード切替スイッチ202aを車上モードに切り替えると、ホーム集中制御盤202から主リモコン操作器300および従リモコン操作器400に対して出力される地上モード信号が断続され、各リモコン操作器の地上モードランプ309f,407dがそれぞれ点滅する。それにより、リモコン操作者は地上モードランプ309fの表示状態が変化することによって車上モードが選択されていることを知ることができる。
【0172】
なお、この地上モードランプ309fは、地上モードが選択されている場合は点灯し、後述する単独モードが選択されている場合は消灯するようになっている。
【0173】
2) ホームに列車が入線して定位置に停止すると、列車乗務員は列車定位置停止スイッチ102のドア開OK押し釦スイッチ102bをワンプッシュする。
【0174】
3) この押し釦スイッチ102bの押下により、列車定位置停止スイッチ102から車上制御装置104にドア開OK設定信号が送られる。
【0175】
ドア開OK設定信号を受けた車上制御装置104は、その設定信号を自己保持しホーム集中制御盤202に送信する。
【0176】
4) そのドア開OK信号設定信号を受けると同時にホーム集中制御盤202は、断続する地上モード表示信号を車上制御装置104に送信する。
【0177】
また、ドア開OK信号設定信号を受けると同時に主リモコン操作器300に対して主操作可表示信号を送信して操作可ランプ309aを点灯させる。(車上モードであるにも係わらず主リモコン操作器300による操作を許可するのは、車上からの操作に対してリモコン操作器による割り込み操作を可能にするためである)
5) ドア開OK信号を受けた車上制御装置104は、車上スイッチ101の操作可表示灯101gを点灯させ、また、地上モード表示信号を断続信号で送ることによって地上モード表示灯101fを点滅させる。
【0178】
6) 車上制御装置104は、この時点から車上スイッチ101の開閉表示灯101c,101dについて、車両ドアの開閉確認表示だけでなく、ホームドアの開閉確認表示も合わせて行なうように点灯条件を切り替え、車両ドアとホームドアの双方がすべて一致している場合に当該表示灯を点灯させる。
【0179】
7) 次いで乗務員は、車上スイッチ101の開押し釦スイッチ101cをワンプッシュし、開指令信号を車上制御装置104へ送る。
【0180】
8) この開指令信号を受けた車上制御装置104は、ホーム集中制御盤202へ全ホームドア開指令信号を送信するとともに、すべての車両ドア個別操作盤103に対しては車両ドア開指令信号を送る。
【0181】
9) 全ホームドア開指令信号を受けたホーム集中制御盤202は、各ホームドア装置のドアエンジン(ホームドア#1では503aおよび503b)に開指令信号を与えてホームドアを開動作させ、また、車両ドア開指令信号を受けた各車両ドア個別操作盤103はすべての車両ドアを開動作させる。それにより、すべてのホームドアおよび車両ドアが一斉に開き始める。
【0182】
10) 各乗降ドアが開くと各乗降ドアからの開確認信号がホーム集中制御盤202および車上制御装置104に送られる。例えばホームドア#1が開くとセンサ502a,502bによって開状態が検知され、それらのセンサから出力される開確認信号がホームドア個別操作盤203を介してホーム集中制御盤202に送信される。
【0183】
11) 車両ドアの開確認信号を受けた車上制御装置104は、個々の車両ドア開表示灯(図6の104d参照)を点灯させる。また、ホーム集中制御盤202は、個々のホームドア開表示灯(図7の202h参照)および車両ドア開表示灯202 lを点灯させる。
【0184】
また、全車両ドアの開確認信号が得られれば、全車両ドア開表示灯202 oを点灯させ、地上および車上すべてのドアの開確認信号が得られれば、主リモコン操作器300の全扉開ランプ309bを点灯させるとともに、車上スイッチ101の開表示灯101cを点灯させる。
(b-2) 閉操作
1) 列車乗務員が車上スイッチ101の閉押し釦スイッチ101dをワンプッシュすると、閉指令信号が車上制御装置104へ送られる。
【0185】
2) 閉指令信号を受けた車上制御装置104は、全ホームドア閉指令信号をホーム集中制御盤202に送信するとともに、各車両ドア個別操作盤103に対して車両ドア閉指令信号を与える。
【0186】
3) 全ホームドア閉指令信号を受けたホーム集中制御盤202は、ホームドア個別操作盤203に同信号を送り、各個別操作盤203は各ホームドア装置のドアエンジン(図1に示したホームドア#1ではドアエンジン503a,503b)に閉指令信号を送り、ホームドア500a,500bを閉じる。
【0187】
それにより、すべてのホームドアおよび車両ドアが一斉に閉じ始める。
【0188】
4) 各乗降ドアが閉じると各乗降ドアからの閉確認信号がホーム集中制御盤202および車上制御装置104に送られる。
【0189】
5) ホーム集中制御盤202および車上制御装置104は、ホームドアおよび車両ドアから送られる閉確認信号に基づいてホームドア閉表示灯202iと車両ドア閉表示灯202m、および車両ドア閉表示灯104eを点灯する。
【0190】
また、全車両ドアの閉確認信号が得られれば、すべての車両ドア閉表示灯202mを点灯させ、地上および車上すべてのドアの閉確認信号が得られれば、主リモコン操作器300の全扉閉ランプ309cを点灯させるとともに、車上スイッチ101の閉表示灯101dを点灯させる。
【0191】
6) 車上制御装置104が全ホームドア閉確認信号とすべての車両ドア閉確認信号を受信すれば、車上制御装置104はホーム集中制御盤202へのドア開OK設定信号の送信と車上スイッチ101への操作可表示信号の送信を停止する。
【0192】
7) 各リモコン操作器の操作可ランプ309a,407aはドア開OK設定信号の送信停止によって消灯する。
【0193】
なお、手順6)までのリモコン操作器の操作可ランプ309aが点灯中は、車上スイッチ101からのドア開閉操作に割り込んで主リモコン操作器300の開閉押し釦スイッチ305,306、および従リモコン操作器400の開閉押し釦スイッチ403,404によるドア開閉操作もできるようになっている。
【0194】
8) ホーム集中制御盤202は、操作可表示信号の送出停止以降、各リモコン操作器からの車両ドア開閉操作を受け付けないようにするとともに、主リモコン操作器300の全扉閉ランプ309cおよび従リモコン操作器400の個別扉閉ランプ407bについて当該ホームドアの閉確認ありだけで点灯を維持するように点灯条件を元に戻す。
【0195】
9) また、車上制御装置104は、操作可表示信号の送出停止以降、車上スイッチ101からの車両ドア開閉操作を受け付けないようにするとともに、車上スイッチ101の閉表示灯101dについて、全車両ドアの閉確認ありだけで点灯するように点灯条件を元に戻す。
【0196】
10) 次いで車上制御装置104は、列車定位置停止スイッチ102へ出発OK表示信号を出力し、出発OK表示灯102cを点灯させる。
(b-3) 再開閉操作
1) 列車乗務員は、車上スイッチ101の操作可表示灯101gが点灯していることを確認した上で再開閉押し釦スイッチ101eをワンプッシュし、再開閉指令信号を車上制御装置104に送る。
【0197】
2) 再開閉指令信号を受けた車上制御装置104は、ホーム集中制御盤202に対してホームドア再開閉指令信号を送信すると同時に、すべての車両ドアのうち、閉確認信号を受信していない車両ドアについてその開閉制御を行なっている車両ドア個別操作盤103に対して開指令信号を送出し、その2秒後に閉指令信号を送出する。
【0198】
3) ホームドア再開閉指令信号を受けたホーム集中制御盤202は、閉確認信号のない車両ドアに対応するホームドアと、閉確認のないホームドアに対して開指令信号を送出し、その2秒後に閉指令信号を送出する。
【0199】
4) それにより、閉確認が得られなかった乗降ドア、すなわち車両ドアおよびホームドアが再開閉動作を始める。
【0200】
5) この再開閉動作後、なお当該車両ドアの閉確認信号が得られなかった場合には、上記手順2)〜4)を繰り返し実行する。
【0201】
6) ホーム集中制御盤202および車上制御装置104は、再開閉動作を3回繰り返しても当該ドアの閉確認信号が得られなかった場合、車上スイッチ101に対して異常表示信号を送信し異常ランプ101hを点灯させ、再開閉動作を停止する。
【0202】
また、ホーム集中制御盤202は、再開閉を行なった車両ドアを担当している主リモコン操作器300(および従リモコン操作器400)に異常表示信号(および個別扉異常表示信号)を送信し、扉異常ランプ309d(および個別扉異常ランプ407c)を点灯させる。
(c) 単独モード
(c-1) 地上側での開閉操作
1) ホーム集中制御盤202のモード切替スイッチ202aを“単独”に切り替え、携帯スイッチ202bを“切”に設定すれば、ホーム集中制御盤202は各リモコン操作器から送信されてくる信号をすべて無視する。
【0203】
2) 次いでホーム集中制御盤202は、各リモコン操作器への地上モード表示信号の送信を停止し、各リモコン操作器の地上モードランプ309f、407dを消灯させ、車上制御装置104との間の信号の送受信を停止させる。
【0204】
3) そこでホーム集中制御盤202の全乗降ドアスイッチ202cを「開」または「閉」に切り替えれば、ホームドアが一括して開動作、または一括して閉動作する。
(c-2) 車両側での開閉操作
1) 車上スイッチ101のモード切替スイッチ101bを“単独”に切り替えれば、車上制御装置104はホーム集中制御盤202との間の信号の送受信を停止する。
【0205】
2) そこで車上制御装置104の開閉押し釦スイッチ104d、104eをワンプッシュすれば、車両ドアの開閉を列車側から一括して制御することができるようになる。
【0206】
このように、単独モードを選択すれば、ホームドアについてはホーム集中制御盤202側で開閉制御され、車両ドアについては列車側で開閉制御されることになる。この単独モードは、例えば保守点検や修繕を行う場合に選択される。
【0207】
なお、上記実施形態では車両ドアとホームドアの双方を開閉制御する構成について説明したが、もちろん、車両ドアのみ開閉制御するシステムにも本発明を適用することができる。車両ドアのみ開閉制御するシステムの一具体例としては、従来の鉄道が示される。
【0208】
また、上記実施形態においてはリモコン操作器を主リモコン操作器300と従リモコン操作器400とで構成し、主リモコン操作器300を操作して初めて従リモコン操作器400の操作が可能になるように構成したが、これに限らず、複数のリモコン操作器を同一の構成にすることもできる。また、一つのリモコン操作器で乗降ドアの開閉操作を行なうこともできる。
【0209】
また、自動列車運転(ATO)装置によって列車が自動運転されるシステムでは、列車が定位置に停車したときに信号を送信する定位置アンテナが軌道上に設けられている。上記実施形態では列車定位置停止スイッチ102を手動で押下することによってドア開OK信号を送信するように構成したが、上記定位置アンテナから送信される信号をドア開OK信号とすれば、ドア開OK信号の送信も自動化することができるようになる。
【0210】
さらに、定位置アンテナに相当する設備がない列車やホームであっても、列車自身で停止したことを信号出力する手段、例えば零速度検出器によって検知される零速度信号をもってドア開OK信号とし、ホーム側に送信することもできる。
【0211】
また、上記実施形態では、出発抑止を行なうためにドア開確認信号などを送信するように構成したが、これに限らず、専用の出発抑止指令信号と出発抑止解除信号を設ける構成とすることもでき、さらにまた、停止時に列車の車輪に制動を与えている制動装置に対して制動を解除しないようにすることもできる。
【0212】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、請求項1および2の発明によれば、駅員に携帯されるリモコン式操作手段によって、入線して定位置に停止した列車の車両ドアを開閉操作できるように構成したため、ホームの混雑状態や乗客の乗降状態を直接目視によって確認しながら車両ドアの開閉操作を行なうことが可能になり、安全性を向上させることができ、さらに、列車側との連携がスムーズになることにより、列車運行の乱れや遅延を解消することができる。
【0213】
請求項3の発明によれば、上記リモコン式操作手段に、列車の発車を抑止するための出発抑止信号を出力する機能を備えたため、車両ドアに万一、人や物が挟まれた場合であっても即座に列車を発車させない状態にすることができる。
【0214】
請求項7の発明によれば、上記車両ドア開閉制御手段を、リモコン式操作手段によるドア開閉操作と独立して列車側からのドア開閉操作も受け付けるように構成したため、列車乗務員に対して開閉操作を行なう必要のないことが知らされている場合であっても列車乗務員は独自にドア開閉操作を行なうことができ、列車に関わる要員を効率的に運用することができるようになる。
【0215】
すなわち、車上乗務員には列車の管理責任があり、その責任のもとに車両ドアを開閉する場合にはその操作を妨げないようにすることができる。
【0216】
請求項4の発明によれば、上記リモコン式操作手段に、マイクとこのマイクから入力された音声を音声信号に変えて送信する音声信号送信部を付加したため、そのマイクを通じてホームに案内放送ができるようになる。それにより、利便性が高まるだけでなくサービス向上を図ることができる。また、緊急時においても緊急案内放送を行なうことができ迅速な対応をとることができる。
【0217】
請求項5の発明によれば、上記リモコン式操作手段と上記列車側にそれぞれ共通の音声信号送信機および音声信号受信機を備えたため、駅員と列車乗務員との間で交信ができる。
【0218】
請求項6の発明によれば、上記リモコン式操作手段に操作許可信号が送信されている期間、列車の乗務員に対してドア開閉操作の不要を報知するようにしたため、車両ドアの開閉操作をリモコン操作しているときは列車乗務員に対して開閉操作を行なう必要のないことを知らせることができる。
【0219】
請求項8の発明によれば、ホームにホームドアを有し、上記信号集中制御装置を、車両ドア開閉操作に関わる信号を列車側に送信すると同時にその車両ドアと連動してホームドアが開閉動作するようにホームドアを制御するように構成したため、ホームドアが設置されることの多い新交通システムや地下鉄においても安全性の向上を図り、正常な列車運行を確保することができる。
【0220】
請求項9の発明によれば、上記リモコン式操作手段を、所定の車両ドア毎に割り当てられた複数のリモコン操作器で構成したため、例えば、混雑時や見通しの悪い湾曲したホームにおいてホーム全体を一人の駅員が管理できないような場合であってもドア開閉操作を分担することで乗客の安全を確保することができる。
【0221】
そして、上記リモコン式操作手段を1つの主リモコン操作器と、1以上の従リモコン操作器とで構成したため、ホームの責任者に主リモコン操作器を持たせることで指揮の統一を図ることができる。
【0222】
請求項10の発明によれば、上記主リモコン操作器ですべての車両ドアを一括して開閉操作することもできるように構成したため、混雑時には主、従両リモコン操作器を用いてドア開閉操作が行なえ、閑散時については主リモコン操作器だけで一括してドア開閉操作ができる。
【0223】
請求項11の発明によれば、各リモコン操作器には識別情報を与えて無効なリモコン操作器からの信号を無視するように構成したため、リモコン操作器が盗難、紛失にあっても信号集中制御装置側でそのリモコン操作器を無効と設定しておくことで誤操作や妨害を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るリモコン式乗降ドア操作システムの全体構成図である。
【図2】 図1に示す車上スイッチの正面図である。
【図3】 本発明における制御信号の流れを示すブロック図である。
【図4】 本発明における制御信号の流れを示すブロック図である。
【図5】 図1に示す列車定位置停止スイッチの正面図である。
【図6】 図1に示す車上制御装置の正面図である。
【図7】 図1に示すホーム集中制御盤の正面図である。
【図8】 (a)は図1に示す主リモコン操作器の側面図、(b)はその正面図である。
【図9】 (a)は図1に示す従リモコン操作器4の側面図、(b)はその正面図である。
【符号の説明】
100 列車側制御装置
101 車上スイッチ
102 列車定位置停止スイッチ
103 車両ドア個別操作盤
104 車上制御装置
200 ホーム側制御装置
201 地上子
202 ホーム集中制御盤
203 ホームドア個別操作盤
204 送受信機
300 主リモコン操作器
400 従リモコン操作器
500a,500b ホームドア
503a,503b ドアエンジン
600a,600b 車両ドア

Claims (11)

  1. 駅員に携帯され、列車の車両ドア開閉操作に関わる信号をホーム上から無線で送受信するリモコン式操作手段と、
    車両ドアの開閉に関わる指令信号を出力可能な車上スイッチと、
    列車側に設けられ、上記リモコン式操作手段から無線によって送信される操作信号又は上記車上スイッチから出力される指令信号を受信して上記車両ドアを開閉制御するドア開閉制御手段と、
    ホーム側に設けられ、列車が入線して定位置に停止した際に、上記リモコン式操作手段と上記ドア開閉制御手段との間で車両ドア開閉操作に関わる信号の送受信を許可する無線操作許可手段とから構成されることを特徴とするリモコン式乗降ドア操作システム。
  2. 記ドア開閉制御手段として、上記ホームとの間で車両ドア開閉操作に関わる信号を送受信する車上送受信機と、この車上送受信機から受信した信号に基づき上記車両ドアを開閉制御する車両ドア制御装置とを有し、
    記無線操作許可手段として、上記リモコン式操作手段との間で車両ドア開閉操作に関わる信号を送受信する送受信機と、上記車上送受信機との間で車両ドア開閉操作に関わる信号を送受信する地上送受信機と、上記リモコン式操作手段から上記送受信機を介して受信した信号をその地上送受信機から上記車上送受信機に送信する信号集中制御装置とを有する請求項1記載のリモコン式乗降ドア操作システム。
  3. 上記リモコン式操作手段に、列車の発車を抑止するための出発抑止信号を出力する操作部が備えられ、この操作部の操作によって出発抑止信号が上記信号集中制御装置に受信され、この信号集中制御装置から上記地上送受信機を介してその出発抑止信号が列車側に送信される請求項2記載のリモコン式乗降ドア操作システム。
  4. 上記リモコン式操作手段に、マイクとこのマイクから入力された音声を音声信号に変えて送信する音声信号送信部が付加され、
    上記信号集中制御装置に、その音声信号を受信する音声信号受信部とその受信した音声信号をホーム上のスピーカーに音声出力する音声出力部とが付加され、上記マイクを通じて案内放送ができるように構成されている請求項2または3に記載のリモコン式乗降ドア操作システム。
  5. 上記リモコン式操作手段と上記列車側にそれぞれ共通の音声信号送信機および音声信号受信機を有し、スイッチによって音声信号の送信、受信ができるように構成されている請求項1〜4のいずれかに記載のリモコン式乗降ドア操作システム。
  6. 上記リモコン式操作手段と上記ドア開閉制御手段との間で車両ドア開閉操作に関わる信号の送受信が行なわれている期間、上記リモコン式操作手段によって車両ドアの開閉操作が行われることを列車の乗務員に対して報知する報知手段が上記列車に備えられている請求項1〜5のいずれかに記載のリモコン式乗降ドア操作システム。
  7. 上記ドア開閉制御手段は、上記リモコン式操作手段によるドア開閉操作と独立して列車側からのドア開閉操作も受け付けるように構成されている請求項1〜5のいずれかに記載のリモコン式乗降ドア操作システム。
  8. 上記ホームの縁部に沿って設置されたホームドアが備えられ、そのホームドアを開閉するホームドア開閉制御装置を有し、上記無線操作許可手段は、車両ドア開閉操作に関わる信号を列車側に送信するとともに列車の車両ドアと連動して上記ホームドアが開閉動作するように上記ホームドア開閉制御装置を制御するように構成されている請求項1〜7のいずれかに記載のリモコン式乗降ドア操作システム。
  9. 駅員に携帯され、車両ドア及びホームドアが含まれる乗降ドア開閉操作に関わる信号をホーム上から無線で送受信するリモコン式操作手段と、
    列車側に設けられ、上記リモコン式操作手段から無線によって送信される操作信号を受信して上記乗降ドアを開閉制御するドア開閉制御手段と、
    ホーム側に設けられ、列車が入線して定位置に停止した際に、上記リモコン式操作手段と上記ドア開閉制御手段との間で乗降ドア開閉操作に関わる信号の送受信を許可する無線操作許可手段と、を備え、
    上記リモコン式操作手段が1つの主リモコン操作器と、1以上の従リモコン操作器とからなり、これらリモコン操作器が所定の乗降ドア毎に割り当てられるとともに、独立して乗降ドアの開閉操作ができるように構成され、上記従リモコン操作器は上記主リモコン操作器の許可を得てからドア開閉操作が行なえるように構成されているリモコン式乗降ドア操作システム。
  10. 上記主リモコン操作器は、予め決められた範囲の乗降ドア開閉操作が行なえるとともにすべての乗降ドアを一括して開閉操作することもできるように構成され、上記従リモコン操作器は上記主リモコン操作器が担当する乗降ドアを除いて予め決められた範囲の乗降ドアのみ開閉操作することができるように構成されている請求項9記載のリモコン式乗降ドア操作システム。
  11. 上記各リモコン操作器に識別情報が与えられ、上記信号集中制御装置は特定の識別情報とともに送信される信号のみを有効として処理を行なうように構成されている請求項9又は10に記載のリモコン式乗降ドア操作システム。
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