JP4230931B2 - 動釣合い試験機用の回転体支持装置 - Google Patents
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Description
たとえば、タイヤ付ホイールのように、内径を基準とする回転体用の動釣合い試験機には、回転体の内径を、回転主軸によって把持する回転体支持装置が適用される。この回転主軸は動釣合い試験時に回転する軸であり、その内部に上下方向に変位可能で、テーパー面を有するピストン体を備える。さらに、当該ピストン体のテーパー面に密接し、平面視で、放射方向に変位可能な複数の爪状の部材(以下、「把持爪」と称する)を備える。動釣合い試験の際には、回転主軸に回転体の内径が係合させられ、ピストン体が変位させられる。そして、把持爪が、ピストン体のテーパー面により放射方向外方に変位させられて(押し広げられて)、さらに、回転体の内径に圧着させられるように押圧されて、回転体が把持される。すなわち、回転体は、把持爪によって把持される。その後、回転主軸と一体的に回転体が回転させられることで動釣合い試験が行われる。
この発明は、かかる技術背景のもとになされたものであり、安価な構成で、確実に回転体を支持できる動釣合い試験機用の回転体支持装置を提供することを目的とする。
この構成によれば、把持爪は、空気が供給されることで把持を解除する方向に付勢される。すなわち、把持爪への付勢力は空気圧によるものであるので、その力を一定に保つことができ、把持爪の把持状態を確実に解除できる。
この構成によれば、ばねによりピストン体の上方へ向かう力が増加される。把持爪は、ピストン体が上方に移動することにより回転体の内径を把持するので、ピストン体の上方へ向かう力が増加すれば、把持爪の回転体の内径を把持する把持力を強めることができる。よって、確実に回転体が把持される。
この構成によれば、ピストン体が上方に移動した際は、把持爪は、回転体の内径を把持するとともに、弱い力で把持を解除する方向に付勢されている。ピストン体はテーパー面を有しており、把持爪は、通常、そのテーパー面に密接している。そして、ピストン体が上方に移動することで、ピストン体のテーパー面によって外方に押し広げられるように押圧されて、回転体の内径を把持する。回転体の内径は、通常は円形であるが、特殊な回転体では内径より直径の大きな凹部が存在することがある。このような特殊な回転体では、動釣合い試験時に、その凹部に把持爪が対抗していると、把持爪に外方への遠心力が働くため、把持爪の位置が不安定となり動釣合い試験に誤差が生じる。そこで、上記の構成としておくことで、動釣合い試験時において、把持爪は、回転体を把持するとともにピストン体のテーパー面に密接することとなる。すなわち、把持爪の位置が安定するので、動釣合い試験において誤差が生じない。
図1は、この発明の一実施形態にかかる回転体支持装置が備えられた動釣合い試験機1を説明するための全体概要図である。
動釣合い試験機1は、ベースフレーム2と、ベースフレーム2にばね3によって振動可能に保持された回転主軸4と、ベースフレーム2に固定されたモータ5と、モータ5の駆動力を回転主軸4に伝達して回転主軸4を回転させるために必要なプーリ6およびベルト7とを備える。
図2は、回転体支持装置としての回転主軸4の具体的な構造を示す縦断面図であり、タイヤ付ホイール12がチャックされていない状態を示している。
ベース24の内面中央部には上方に向かって延びるガイド29が備えられ、ガイド29の上方には、当該ガイド29に嵌合し、上下方向に移動可能なピストン体30が備えられている。ピストン体30は、ガイド29に嵌合し、上部外面がケース25の内面と気密に密接する嵌合部301と、嵌合部301の上面中央部から上方に延び、その上部にテーパー面302Aを有するテーパー軸302とで構成される。テーパー軸302は、ブロック26の中空部分に挿入されており、ブロック26と気密に密接する。また、テーパー軸302のテーパー面302Aは、ブロック26の上方に突出している。
このとき、タイヤ付ホイール12が回転主軸4にセットされていれば、すなわち、ホイール121が受け部111の上面に載せられていれば、各把持爪112の接触部112Bの段差が、ホイール121のハブ孔121Aに係合する。さらに、各把持爪112が、ホイール121のハブ孔121Aに圧着させられるように押圧されることでタイヤ付ホイール12がチャックされる(図4参照)。また、テーパー軸302が下方に移動すると、テーパー軸302から各把持爪112へ加えられる圧力がなくなり、各把持爪112の把持力が弱められ、タイヤ付ホイール12のチャック状態が解除される。すなわち、各把持爪112によるタイヤ付ホイール12のチャックおよびその解除は、テーパー軸302(ピストン体30)の上下移動によって行われる。
前述のように、回転主軸4内には、ベース24、ケース25およびブロック26によって所定の空間が規定されている。そして、ピストン体30の嵌合部301がケース25の内面に気密に密接している。これにより、上記の空間は、嵌合部301の上方の上部空間41と、嵌合部301の下方の下部空間42とに区画される。また、回転継手23(図1参照)、スピンドル軸22、ベース24およびガイド29内には、上方に延びるエア通路51および52が形成されている。
エア通路51にエア(空気)が供給されると、エアは下部空間42内に充満し、エア通路52にエア(空気)が供給されると、エア通路53を介して、上部空間41内にエアが充満する。これにより、ピストン体30が上下方向に移動され得る。すなわち、エア通路51にエアが供給されることで、下部空間42内の圧力が増加してピストン体30が上方に移動させられ、エア通路52にエアが供給されることで、上部空間41内の圧力が増加してピストン体30が下方に移動させられる。
テーパー軸302が上方に移動すると、各把持爪112が、テーパー面302Aによって押し広げられ、放射方向外方に変位する。そして、各把持爪112の接触部112Bの段差がタイヤ付ホイール12(ホイール121)のハブ孔121Aに係合する。さらに、テーパー軸302(テーパー面302A)が各把持爪112を押圧することで、各把持爪112がハブ孔121Aに圧着し、タイヤ付ホイール12がチャックされる。
以下、回転主軸4の変形例を説明する。なお、上記の説明と同一の構成は、上記符号と同一符号を付することにより説明を省略する。
この構成とすると、ピストン体30には、ばね71の弾性力により上方へ向かう力が付与される。すなわち、下方の所定位置に配置されたピストン体30は(図6参照)、エア通路51および57を介して下部空間42にエアが供給されると、下部空間42内のエアの圧力と、ばね71の弾性力とにより上方に移動する。そして、各把持爪112が、テーパー軸302のテーパー面302Aにより押し広げられ、受け部111に載せられているタイヤ付ホイール12の内径(ハブ孔121A)に圧着することで、タイヤ付ホイール12がチャックされる。
この発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
11 セット部
12 タイヤ付ホイール
30 ピストン体
41 上部空間
42 下部空間
51 エア通路
52 エア通路
53 エア通路
54 エア通路
55 エア通路
56 エア通路
71 ばね
112 把持爪
121A ハブ孔
302A テーパー面
Claims (3)
- 上端に動釣合い試験をする回転体をセットするためのセット部を備え、動釣合い試験時に回転する垂直方向に延びる回転主軸と、
上記回転主軸内に形成されたシリンダ空間と、
上記シリンダ空間に収容され、上記シリンダ空間を上下方向に移動可能な、テーパー面を有するピストン体と、
上記セット部に備えられ、上記ピストン体が上記シリンダ空間を上方所定位置に移動したときに、上記ピストン体のテーパー面に押圧されて回転体の内径を把持し、上記ピストン体が上記シリンダ空間を下方に移動したときは、上記把持を解除する把持爪と、
上記シリンダ空間の上記ピストン体の下方に空気を供給して、供給された空気の圧力により上記ピストン体を上方へ移動させるチャック用空気供給手段と、
上記シリンダ空間の上記ピストン体の上方に空気を供給して、供給された空気の圧力により上記ピストン体を下方へ移動させるアンチャック用空気供給手段と、
上記アンチャック用空気供給手段により供給される空気の一部を上記把持爪へ導き、上記把持爪を把持を解除する方向に付勢する付勢用空気供給手段と、を含むことを特徴とする動釣合い試験機用の回転体支持装置。 - 上記シリンダ空間の上記ピストン体の下方には、上記ピストン体の上方への移動を補助するためのばねが収容されていることを特徴とする請求項1に記載の動釣合い試験機用の回転体支持装置。
- 上記アンチャック用空気供給手段は、上記ピストン体を下方へ移動させるときには相対的に高い圧力で空気を供給し、上記ピストン体を上方に移動させるときには、相対的に低い圧力で空気を供給することを特徴とする請求項1または2に記載の動釣合い試験機用の回転体支持装置。
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