JP4230930B2 - 車両用ステップ - Google Patents

Description

本発明は、車体に取付けられる車両用ステップに関するものである。

従来の車両用ステップは、例えば図７のように、別々に構成されたステー部材３１とステップ台３２とを結合した構造となっている。ステー部材３１は鋼管等によって形成されており、その端部が車体に取付けられる。ステップ台３２は、樹脂，鋼板，アルミニウム合金等によって形成されていて、ステー部材３１の上部に取付けられる。ステップ台３２は、ボルト３３によってステー部材３１に取付けられたり、あるいは樹脂製のステップ台に形成した爪形状の部分をステー部材に嵌合させることによって取付けられる。

また、従来技術としては、特許文献１に記載されている自動車用ステップを挙げることができる。そのステップは、ステップ台（同公報では、「ステップ本体」）をアルミニウム合金等の鋼板によって形成し、そのステップ台をボルトによってステー部材に締結した構成となっている。ステップ台の表面には、ゴム製や樹脂製等の防滑部材が取付けられる。また、特許文献２には、樹脂製のステップ台に形成したリブを鋼管のステー部材に嵌合させた構成のステップが記載されている。

実開平７−１３５９７号公報 実開昭６３−１２３３４３号公報

しかしながら、特許文献１に記載されているステップは、ステップ台とステー部材とを結合させるための締結作業が必要となる。また、ステップ台が１枚の板材によって形成されていて防滑性に劣るために、ゴム製や樹脂製等の防滑部材を取付ける必要があり、意匠性が損なわれるおそれもある。また、特許文献２に記載されているステップは、樹脂製のステップ台のリブを弾性変形させてステー部材に嵌合させるために、そのリブなどの樹脂部分に白化や割れが生じるおそれがあり、しかもステップ台とステー部材とを強固に嵌合させることが難しい。また、特許文献１，２のいずれに記載のステップもステップ台とステー部材とが別々に構成されているため、ステップの強度を上げるにはステー部材の肉厚化が必要となり、またステップ台とステー部材との結合部分に隙間が生じて外観を損ねるおそれもあった。

本発明の目的は、意匠性を保ちつつ、ステップ台とステー部材とを確実かつ強固に一体化させることができる車両用ステップを提供することにある。

本発明の請求項１に記載の車両用ステップは、金属製のステー部材と樹脂製のステップ台とを備えてなる車両用ステップにおいて、ステー部材の少なくとも一部をモールドするように樹脂材料によって前記ステップ台をモールド成形して、前記ステップ台と前記ステー部材とを一体的に構成し、前記ステー部材は、直線状部分と屈曲部分とを含み、前記ステップ台は、前記ステー部材の屈曲部分はモールドせずに、直線状部分の少なくとも一部をモールドするように成形されることを特徴とする。

本発明の請求項２に記載の車両用ステップは、請求項１において、前記ステップ台の表面に滑り止め用の凹凸部を形成したことを特徴とする。

本発明の請求項３に記載の車両用ステップは、請求項１または２において、前記ステップ台の裏面に補強用のリブを形成したことを特徴とする。

本発明の請求項１に記載の車両用ステップは、ステー部材の少なくとも一部をモールドするように、樹脂材料によってステップ台をモールド成形して、ステップ台とステー部材とを一体的に構成するため、ステー部材とステップ台との結合部分に隙間を形成することなく、それらを確実かつ強固に一体化することができる。また、ステップの構成を簡素化することができ、ステー部材とステップ台とを別々に構成してから、それらを締結部材などによって結合する面倒もない。

本発明の請求項２に記載の車両用ステップは、ステップ台の表面に滑り止め用の凹凸部を形成することにより、特別な防滑部材を用いることなく滑り止め機能を発揮することができ、意匠性も向上する。

本発明の請求項３に記載の車両用ステップは、ステップ台の裏面に補強用のリブを形成することにより、特別な補強部材を要することなく、簡素な構成によって充分な強度を確保して変形を抑止することができると共に、ステップ台の軽量化を図ることができる。

本発明の請求項１に記載の車両用ステップは、ステー部材の直線状部分の少なくとも一部をモールドするようにステップ台を成形するため、外径を比較的厳密に管理できるステー部材の直線状部分をモールドして、そのモールド部の肉厚を均一化することができる。これにより、樹脂材料の射出成形品としてのステップ台の肉厚の不均一に起因する問題（ひび割れの発生等）の発生を回避することができ、より確実かつ強固に一体化することができる。

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本例の車両用ステップ１は、図１のように、断面円形の鋼管製のステー部材１０と樹脂製のステップ台２０とによって構成されている。ステー部材１０は、図２および図３のように略Ｕ字状に形成されており、ステップ台２０は、このステー部材１０を部分的にモールドするように、樹脂材料によってモールド成形されている。したがってステップ台２０は、その成形と同時にステー部材１０と一体化して、ステップ１を構成する。

ステー部材１０には、図２中の左右および下側の直線状部分１１，１２，１３と、左右の屈曲部分１４，１５が形成されている。ステップ台２０は、図３のように、ステー部材１０の直線状部分１１，１２のそれぞれを２箇所ずつモールドするモールド部２１Ａ，２１Ｂ，２２Ａ，２２Ｂと、直線状部分１３の５箇所をモールドするモールド部２３Ａ，２３Ｂ，２３Ｃ，２３Ｄ，２３Ｅが形成されている。このようにステップ台２０は、ステー部材１０の直線状部分１１，１２，１３を部分的にモールドするように成形されている。棒状の鋼管を曲げてステー部材１０を略Ｕ字状に形成する場合、屈曲部分１４，１５の外径にバラツキが生じやすい。本例においては、このようなステー部材１０の屈曲部分１４，１５を避けて、外径を比較的厳密に管理できる直線状部分１１，１２，１３を部分的にモールドするようにステップ台２０を成形するため、そのステップ台２０におけるモールド部の肉厚を均一化することができる。これにより、樹脂材料の射出成形品としてのステップ台２０の肉厚の不均一に起因する問題（ひび割れの発生等）の発生を回避することができる。また、本例においては、モールド部２１Ａ，２１Ｂ，２２Ａ，２２Ｂ，および２３Ａ，２３Ｂ，２３Ｃ，２３Ｄ，２３Ｅを分割して設けたが、これらを各直線状部分１１，１２，１３毎に一体的に設けてもよい。

ステー部材１０の端部には、不図示の車体に取り付くための溝１６や孔１７などが形成されている。また、ステー部材１０に形成された位置決め用の孔１８は、ステップ台２０の成形時に、その成形用の金型内にステー部材１０を位置決めするために用いられる。

ステップ台２０の表面には複数の凸部２４が一体成形されており、これにより、滑り止め用の凹凸部が形成されている。図２の平面図において、略Ｕ字状のステー部材１０の内側に位置するステップ台２０の中央表面２５Ａは、その外側に位置する外側表面２５Ｂよりも高さＨ０（図４参照）だけ低く形成されている。その中央表面２５Ａ上の凸部２４は、外側表面２５Ｂよりも高さＨ１（図４参照）だけ低く形成されている。それぞれの表面２５Ａ，２５Ｂにおける凸部２４の突出高さは、全て同じ高さに設定されている。また中央表面２５Ａには、下方に貫通する水抜き孔２６が形成されている。外側表面２５Ｂは、図２のように、ステー部材１０上から所定の幅Ｗだけ左右に延出するように広く形成されている。さらに、表面２５Ａ，２５Ｂには、上方に突出する壁部２７が形成されている。

ステップ台２０の裏面には、補強用のリブ２８が複数形成されている。また、中央表面２５Ａの裏面にはリブ２８が格子状に形成され、それらのリブ２８の交差部分には孔部２８Ａが形成されている。また、図３および図４に示すように、リブ２８が各モールド部に接続されていることから、ステップ台２０の剛性向上につながる。

このような構成のステップ１は、ステー部材１０を部分的にモールドするように、樹脂材料によってステップ台２０をモールド成形するため、ステー部材１０とステップ台２０との結合部分に隙間を形成することなく、それらを確実かつ強固に一体化することができる。また、ステップ台２０の中央表面２５Ａが１段低く形成されているため、滑り止め用の凹凸部と協働して、利用者の足をより確実にステップ台２０上に滑り止めすることができる。また、ステップ台２０の中央表面２５Ａを１段低く形成することによって水の流れをつくり、ステップ台２０表面の水を水抜き孔２６に導いてスムーズに排出することができる。したがって、水を溜まりにくくすることができる。さらに、ステップ１の見栄えを良くして意匠性を向上させることにもなる。また、ステップ台２０がステー部材１０の上部から幅Ｗ分だけ左右に膨出しているため、利用者の足踏みスペースをより広く確保することができる。

また、ステー部材１０の端部は、車体に固定的に取付ける他、ステップを利用位置と退避位置との間において移動させるためのオートステップ機構に取付けてもよい。その場合には、ステップ台２０に形成した壁部２７によって、車体下部に取付けられるオートステップ機構が露見することを防止することができる。また、ステップ台２０がステー部材１０の上部から幅Ｗ分だけ左右に膨出することにより、オートステップ機構によってステー部材１０の両端部における間隔が小さく制限される場合であっても充分な足踏みスペースを確保することができる。

本発明の一実施形態における車両用ステップの斜視図である。 図１の車両用ステップの平面図である。 図１の車両用ステップの底面図である。 図２および図３のＩＶ−ＩＶ線に沿う断面図である。 図２および図３のＶ−Ｖ線に沿う断面図である。 図２のＶＩ矢視図である。 従来の車両用ステップの分解斜視図である。

符号の説明

１ ステップ
１０ ステー部材
１１，１２，１３ 直線状部分
１４，１５ 屈曲部分
２０ ステップ台
２１Ａ，２１Ｂ モールド部
２２Ａ，２２Ｂ モールド部
２３Ａ，２３Ｂ，２３Ｃ，２３Ｄ，２３Ｅ モールド部
２４ 凸部
２５Ａ 中央表面
２５Ｂ 外側表面
２８ 補強用のリブ

Claims (3)

1. 金属製のステー部材と樹脂製のステップ台とを備えてなる車両用ステップにおいて、
   ステー部材の少なくとも一部をモールドするように樹脂材料によって前記ステップ台をモールド成形して、前記ステップ台と前記ステー部材とを一体的に構成し、
   前記ステー部材は、直線状部分と屈曲部分とを含み、
   前記ステップ台は、前記ステー部材の屈曲部分はモールドせずに、直線状部分の少なくとも一部をモールドするように成形される
   ことを特徴とする車両用ステップ。
2. 前記ステップ台の表面に滑り止め用の凹凸部を形成したことを特徴とする請求項１に記載の車両用ステップ。
3. 前記ステップ台の裏面に補強用のリブを形成したことを特徴とする請求項１または２に記載の車両用ステップ。

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