JP4230840B2 - 基板処理方法および基板処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、処理液を用いて基板を処理するための基板処理方法および基板処理装置に関する。処理の対象となる基板には、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などが含まれる。
【0002】
【背景技術】
半導体装置や液晶表示装置の製造工程では、半導体ウエハや液晶表示パネル用ガラス基板などの基板の表面に形成されたレジスト膜を剥離するための処理(レジスト剥離処理)が行われる。このレジスト剥離処理の方式としては、複数枚の基板を一括して処理するバッチ式が従来の主流であったが、最近では、処理対象の基板の大型化に伴って、基板の表面にレジスト剥離液を供給して、基板を1枚ずつ処理する枚葉式が注目されてきている。
【0003】
枚葉式のレジスト剥離処理の方法として、本願発明者は、スピンチャックによってほぼ水平な姿勢で保持した基板の上面(表面)に、硫酸(H2SO4)および過酸化水素水(H2O2)の混合液からなるレジスト剥離液を供給して、レジスト剥離液の液盛りによる液膜を形成することを考えた。レジスト剥離液には、強い酸化力を有するH2SO5が含まれているから、基板の表面上の全域にレジスト剥離液の液膜を形成し、その状態を所定時間維持することができれば、H2SO5の酸化力によって、基板の表面に形成されているレジスト膜を酸化して剥離することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−60576号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
スピンチャックには、基板の裏面(下面)を真空吸着して基板を保持する構成のものと、複数本のチャックピンで基板の端面を挟持して基板を保持する構成のものとがある。基板の裏面を真空吸着する構成のものは、基板の裏面に吸着跡を残すおそれがあるので、レジスト剥離処理に限らず、他の基板処理においても、基板の端面を挟持する構成のスピンチャックを用いることが好ましい。
【0006】
ところが、上記のレジスト剥離処理に基板の端面を挟持する構成のスピンチャックを用いると、基板の表面上に液膜の状態で溜められたレジスト剥離液がチャックピンを伝って流下し、基板の表面上にレジスト剥離液の液膜が形成されている状態を維持できないことがわかった。
そこで、この発明の目的は、基板の表面上に液膜の状態で溜められた処理液が基板の端面を挟持する挟持部材を伝って流下することを防止でき、これにより、基板の表面上に処理液の液膜が形成された状態を維持することができる基板処理方法および基板処理装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、処理対象の基板(W)の周縁部を複数個の支持部材(132)で下方から支持する基板支持工程(S1;T1)と、上記支持部材に支持された基板の端面を複数個の挟持部材(133)で挟持する基板挟持工程(S1;T1)と、上記挟持部材によって端面が挟持された基板の表面に処理液を供給して、その基板の表面上に処理液の液盛りによる液膜を形成する液膜形成工程(S4〜S6;T4,T5)と、この液膜形成工程の後、上記挟持部材による基板の端面の挟持状態を所定時間だけ解除する挟持解除工程(S7,S8;T6〜T9)と、上記液膜形成工程に先立って、上記基板保持手段に保持された基板の表面に上記液膜形成工程で用いられる処理液と同種の処理液を供給して、その処理液で当該基板の表面を湿潤させる処理液湿潤工程(S2,S3;T2,T3)とを含むことを特徴とする基板処理方法である。
【0008】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
上記の方法によれば、基板の表面上に処理液の液膜が形成された後、挟持部材による基板端面の挟持状態が所定時間だけ解除される。基板端面の挟持状態が解除されているとき、挟持部材が基板の端面から離間しているので、基板の表面上で液膜を形成している処理液が挟持部材を伝って流下することがない。したがって、少なくとも基板端面の挟持状態が解除されている期間(上記所定時間)は、基板の表面上に形成された処理液の液膜が潰れることがなく、基板の表面上に処理液の液膜が形成された状態を維持することができる。よって、基板端面の挟持状態が解除されている時間を適切に設定すれば、基板の表面上に処理液の液膜が形成された状態を基板処理に十分な時間にわたって維持することができ、基板に対して良好な処理を施すことができる。
【0009】
また、基板の表面上で液膜を形成している処理液が挟持部材を伝って流下することによる処理液の浪費を防止でき、処理液の消費量を抑えることができる。
さらに、基板の表面に処理液の液膜を形成する液膜形成工程に先立って、その基板の表面が液膜を形成する処理液と同種の処理液で湿潤した状態にされる。これにより、基板の表面にレジストパターンなどが形成されていても、液膜形成工程では、基板の表面に供給された処理液がパターンの影響を受けずに基板の表面上に拡がるので、基板の表面上の全域に処理液の液膜をむらなく形成することができる。
請求項2記載の発明は、上記基板挟持工程の後に、上記挟持部材によって端面が挟持された基板をその基板の表面に交差する回転軸線まわりに所定の低回転速度で回転させる低速回転工程(S4)をさらに含み、上記液膜形成工程は、上記低速回転工程に並行して行われ、上記低回転速度で回転している基板の表面に処理液を供給して、その基板の表面上に処理液の液盛りによる液膜を形成する工程であることを特徴とする請求項1記載の基板処理方法である。
【0010】
この方法によれば、低回転速度で回転している基板の表面に供給される処理液は、基板の低速回転による弱い遠心力を受けて基板の表面上に拡がり、その表面張力で基板の表面上に液膜となって溜められていく。これにより、基板の表面全域に、ほぼ均一な膜厚を有する処理液の液膜を形成することができる。
請求項3記載の発明は、上記液膜形成工程の後に、上記低回転速度で回転している基板を停止させる回転停止工程(S6)をさらに含み、上記挟持解除工程は、上記回転停止工程の後に行われ、回転停止している基板の端面の挟持状態を上記所定時間だけ解除する工程であることを特徴とする請求項2記載の基板処理方法である。
【0011】
また、請求項4記載の発明は、上記液膜形成工程の後に、上記低回転速度で回転している基板の回転速度を上記低回転速度よりも低い極低回転速度に低下させる回転速度低下工程(S14)をさらに含み、上記挟持解除工程は、上記回転速度低下工程の後に行われ、上記極低回転速度で回転している基板の端面の挟持状態を上記所定時間だけ解除する工程であることを特徴とする請求項2記載の基板処理方法である。
【0012】
基板端面の挟持状態は、請求項3に記載のように、基板が回転停止した状態で行われてもよいし、請求項4に記載のように、基板が極低回転速度で回転している状態で行われてもよい。
請求項5記載の発明は、上記液膜形成工程の後に、液膜が形成されている基板の表面に対して所定の小流量で処理液を供給し続ける小流量処理液供給工程(S15,S7,S8)をさらに含み、上記挟持解除工程は、上記小流量処理液供給工程に並行して行われ、上記小流量で処理液の供給を受けている基板の端面の挟持状態を上記所定時間だけ解除する工程であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理方法である。
【0013】
基板端面の挟持状態が解除されているときに、基板の表面に処理液を供給すると、その供給流量に応じた流量で基板の表面から処理液が溢れて流下する。基板の表面から溢れる処理液は、基板の端面を伝って流れるので、これにより、基板の端面に対しても処理液による処理を施すことができる。しかも、基板の端面から挟持部材が離間しているので、基板の端面全域に処理液による処理をむらなく施すことができる。
【0015】
請求項6記載の発明は、上記処理液湿潤工程は、処理対象の基板をその基板の表面に交差する回転軸線まわりに上記低回転速度よりも高い高回転速度で回転させる高速回転工程(S2;T2)と、この高速回転工程中に、上記高回転速度で回転している基板の回転中心付近に上記液膜形成工程で用いられる処理液と同種の処理液を供給する処理液供給工程(S3;T3)とを含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の基板処理方法である。
【0016】
基板を高速回転させつつ、その高速回転している基板の回転中心付近に処理液を供給することにより、基板の表面の全域を処理液によって湿潤させることができる。
請求項7記載の発明は、上記処理液は、硫酸と過酸化水素水との混合液であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の基板処理方法である。
この請求項7のように、処理液として硫酸と過酸化水素水との混合液(レジスト剥離液)が用いられる場合、基板の表面上に硫酸と過酸化水素水との混合液の液膜が形成された状態を維持することができ、これにより、基板に対して硫酸と過酸化水素水との混合液による処理(レジスト剥離処理)を良好に施すことができる。
【0017】
請求項8記載の発明は、上記処理液は、硫酸であって、上記挟持解除工程に並行して行われ、上記挟持解除工程に並行して行われ、上記挟持部材による挟持状態が解除されている基板の表面に過酸化水素水を供給する過酸化水素水供給工程をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の基板処理方法である。
この請求項8のように、処理液として硫酸が用いられる場合、液膜形成工程において基板の表面上には硫酸の液膜が形成され、基板の表面上に硫酸の液膜が形成された状態が維持されることになる。挟持解除工程に並行して過酸化水素水供給工程が行われると、基板の表面上の硫酸の液膜に対して過酸化水素水が供給されて、硫酸の液膜は硫酸と過酸化水素水との混合液(レジスト剥離液)の液膜となり、その後は、基板の表面上にレジスト剥離液の液膜が形成された状態が維持されることになる。よって、基板に対して硫酸と過酸化水素水との混合液による処理(レジスト剥離処理)を良好に施すことができる。
【0018】
請求項9記載の発明は、基板(W)の周縁部を下方から支持するための複数個の支持部材(132)および基板の端面を挟持するための複数個の挟持部材(133)を備え、上記支持部材に支持された基板の端面を上記挟持部材で挟持して当該基板を保持する基板保持手段(1)と、この基板保持手段に保持されている基板の表面に処理液を供給するための処理液供給手段(2;91)と、この処理液供給手段を制御して、上記挟持部材によって挟持されて上記基板保持手段に保持されている基板の表面に処理液の液盛りによる液膜を形成する液膜形成制御手段(8;97)と、この液膜形成制御手段による制御が行われた後に、上記挟持部材を制御して、上記挟持部材による基板の端面の挟持状態を解除する挟持解除制御手段(8;97)と、上記液膜形成制御手段による制御に先立って、上記処理液供給手段を制御して、上記基板保持手段に保持されている基板の表面に上記液膜を形成する処理液と同種の処理液を供給して、その処理液で当該基板の表面を湿潤させる処理液湿潤制御手段(8;97)とを含むことを特徴とする基板処理装置である。
【0019】
この発明によれば、請求項1に関連して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態(第1の実施形態)に係る基板処理装置の構成を図解的に示す図である。この基板処理装置は、基板の一例であるシリコン半導体ウエハW(以下、単に「ウエハW」という。)の表面(上面)から不要になったレジスト膜を剥離するレジスト剥離処理を行う枚葉式の装置であり、ウエハWをほぼ水平に保持して回転するスピンチャック1と、このスピンチャック1に保持されたウエハWの表面に硫酸(H2SO4)および過酸化水素水(H2O2)の混合液であるレジスト剥離液を供給するためのレジスト剥離液ノズル2と、スピンチャック1に保持されたウエハWの表面にDIW(脱イオン化された純水)を供給するための表面DIWノズル3と、スピンチャック1に保持されたウエハWの裏面(下面)にDIWを供給するための下面DIWノズル4とを備えている。
【0021】
スピンチャック1は、ほぼ鉛直な方向に延びたスピン軸11と、スピン軸11の上端に取り付けられたスピンベース12と、このスピンベース12の周縁部に配設された複数個の支持/挟持部材13とを有している。
複数個の支持/挟持部材13は、ウエハWの外形に対応した円周上にほぼ等角度間隔で配置されていて、それぞれ、スピンベース12の上面に回転自在に取り付けられた平板部131と、平板部131の上面において平板部131の回転軸線上に配置された周縁支持部132と、平板部131の上面において周縁支持部132からずれた位置に立設された端面挟持部133とを備えている。複数個の支持/挟持部材13は、各周縁支持部132をウエハWの裏面(下面)の周縁部に当接させて、そのウエハWをほぼ水平な状態で支持することができる。また、周縁支持部132に支持されたウエハWの端面に各端面挟持部133を接触させて、これらの端面挟持部133の協働によってウエハWをほぼ水平な状態で挟持することができる。そして、複数個の支持/挟持部材13のうちの1つである支持/挟持部材13Aには、解除レバー5が一体的に設けられていて、この解除レバー5を操作することにより、端面挟持部133によるウエハWの挟持状態を解除することができるようになっている。
【0022】
スピン軸11には、モータなどを含む回転駆動機構14が結合されていて、複数個の支持/挟持部材13でウエハWを挟持した状態で、回転駆動機構14からスピン軸11に駆動力を入力することにより、ウエハWをほぼ水平な姿勢でスピン軸11の中心軸線まわりに回転させることができる。また、スピン軸11は、中空軸であって、その内部に下面DIWノズル4が中心軸ノズルの形態をなして挿通されている。
【0023】
レジスト剥離液ノズル2には、レジスト剥離液を供給するレジスト剥離液供給管21が接続されている。レジスト剥離液供給管21の途中部には、レジスト剥離液ノズル2からのレジスト剥離液の吐出を制御するためのレジスト剥離液供給バルブ22が介装されている。レジスト剥離液供給バルブ22が開かれて、レジスト剥離液ノズル2から吐出されるレジスト剥離液は、たとえば、連続流の状態(レジスト剥離液の液流が柱状をなしている状態)でウエハWの表面の中央部(回転中心付近)に供給される。
【0024】
なお、レジスト剥離液供給管21には、ミキシングバルブ(図示せず)で硫酸供給源からの硫酸と過酸化水素水供給源からの過酸化水素水とを混合して作成されたレジスト剥離液が供給されてもよいし、レジスト剥離液タンク(図示せず)に貯留されたレジスト剥離液がウエハWの表面のレジスト膜を剥離可能な高温度に温度調節されて供給されてもよい。
上面DIWノズル3には、DIW供給源からのDIWを供給する上面DIW供給管31が接続されている。上面DIW供給管31の途中部には、上面DIWノズル3からのDIWの吐出を制御するための上面DIW供給バルブ32が介装されている。上面DIW供給バルブ32が開かれて、上面DIWノズル3から吐出されるDIWは、たとえば、連続流の状態(DIWの液流が柱状をなしている状態)でウエハWの表面の中央部(回転中心付近)に供給される。
【0025】
また、下面DIWノズル4には、DIW供給源からのDIWを供給する下面DIW供給管41が接続されている。下面DIW供給管41の途中部には、下面DIWノズル4からのDIWの吐出を制御するための下面DIW供給バルブ42が介装されている。下面DIW供給バルブ42が開かれて、下面DIWノズル4から吐出されるDIWは、スピンチャック1に保持されたウエハWの下面の回転中心付近に供給される。
【0026】
ウエハWの挟持状態を解除するとき、スピンチャック1は、所定の回転角度位置で停止される。このときの回転角度位置のスピンチャック1の側方において、解除レバー5に対向する位置には、解除レバー5を操作するための解除爪6が配置されている。解除爪6は、ほぼ水平方向に延びた揺動アーム61の先端に固定されており、この揺動アーム61は、揺動駆動機構62によって、ほぼ水平な面内で揺動されるようになっている。
【0027】
図2は、スピンベース12の内部構成を説明するための平面図である。スピンベース12は、その内部に収容空間を有する中空構造を有している。この収容空間には、複数個(この実施形態では3個)の支持/挟持部材13を連動して作動させるための連動リンク機構70が収容されている。連動リンク機構70は、各支持/挟持部材13ごとのリンク機構71と、これらの複数のリンク機構71を連動させるためのリング72とを備えている。
【0028】
各リンク機構71は、支持/挟持部材13の下端にその中間部が固定されたブーメラン形の第1リンク711と、この第1リンク711に一端部が回動自在に結合された第2リンク712と、第2リンク712の他端部に一端部が回動自在に結合された第3リンク713と、この第3リンク713の他端部とともに共通の回転軸(図示せず)にその一端部が固定され、その他端部がリング72に回動自在に結合された第4リンク714とを備えている。第3リンク713の上記他端部および第4リンク714の上記一端部が共通に固定された回転軸は、スピンベース12に対して回動自在に立設されている。一方、各支持/挟持部材13は、スピンベース12の周縁部付近において、鉛直軸線まわりの回動が可能であるように取り付けられている。
【0029】
リング72とスピンベース12の所定部との間には、引っ張りコイルばね715が張り渡されており、これにより、支持/挟持部材13は、ウエハWを挟持するための挟持方向に向かって弾性的に付勢されている。
これにより、解除レバー5に外力が加えられていない状態において、複数個の支持/挟持部材13は、それぞれの端面挟持部133がウエハWの端面に当接して、そのウエハWを挟持することができる。そして、解除レバー5をスピンチャック1の外方から押して、支持/挟持部材13Aを引っ張りコイルばね715のばね力に抗して回転させると、支持/挟持部材13Aの回転に伴ってリング72が回転し、さらに、そのリング72の回転に伴って複数個の支持/挟持部材13が連動して回動することにより、それぞれの端面挟持部133がウエハWの端面から離間して、複数個の支持/挟持部材13によるウエハWの挟持状態が解除される。
【0030】
図3は、この基板処理装置の電気的構成を示すブロック図である。この基板処理装置はさらに、マイクロコンピュータを含む構成の制御装置8を備えている。制御装置8には、回転駆動機構14、揺動駆動機構62、レジスト剥離液供給バルブ22、上面DIW供給バルブ32および下面DIW供給バルブ42などが制御対象として接続されている。制御装置8は、レジスト剥離処理のために、予め定められたプログラムに従って、回転駆動機構14および揺動駆動機構62の動作を制御し、また、レジスト剥離液供給バルブ22、上面DIW供給バルブ32および下面DIW供給バルブ42の開閉を制御する。
【0031】
図4は、レジスト剥離処理について説明するための図である。未処理のウエハWは、搬送ロボット(図示せず)によって搬入されてきて、スピンチャック1に受け渡される。揺動駆動機構62が制御されて、解除爪6によって解除レバー5が操作されることにより、ウエハWの搬入時には、各支持/挟持部材13が解除状態に変位されており、搬送ロボットによって搬入されてくるウエハWは、支持/挟持部材13の周縁支持部132上に受け渡される。この後、揺動駆動機構62が制御されて、解除爪6が解除レバー5から退避される。すると、引っ張りコイルばね715のばね力により、各支持/挟持部材13が挟持状態へと導かれ、複数個の支持/挟持部材13(端面挟持部133)にウエハWが挟持される(ステップS1)。
【0032】
その後、回転駆動機構14が制御されて、スピンチャック1に保持されたウエハWが所定の高回転速度(たとえば、3000rpm)で高速回転される(ステップS2)。また、レジスト剥離液供給バルブ22が開かれて、レジスト剥離液ノズル2から高速回転中のウエハWの表面の中央部にレジスト剥離液が供給される(ステップS3)。ウエハWの表面に供給されたレジスト剥離液は、ウエハWの高速回転による大きな遠心力を受け、その供給位置からウエハWの周縁へ向けて、ウエハWの表面上を比較的強い液流となって流れる。したがって、ウエハWの表面にレジスト膜のパターンなどが形成されていても、そのパターンの影響を受けずに、ウエハWの表面にレジスト剥離液が拡がり、ウエハWの表面がレジスト剥離液によって湿潤されていく。
【0033】
このウエハWの表面をレジスト剥離液で湿潤させるための工程(湿潤工程)が所定の湿潤時間(たとえば、1〜5秒間)にわたって行われ、ウエハWの表面の全域がレジスト剥離液によって湿潤した状態になると、次に、回転駆動機構14が制御されて、スピンチャック1によるウエハWの回転速度が所定の低回転速度(たとえば、10〜20rpm)まで減速される(ステップS4)。
ウエハWの回転速度が上記低回転速度に減速された後も、レジスト剥離液ノズル2からウエハWの表面へのレジスト剥離液の供給が続けられている。低回転速度で回転しているウエハWの表面に供給されるレジスト剥離液は、ウエハWの低速回転による弱い遠心力を受けてウエハWの表面上に拡がり、その表面張力でウエハWの表面上に液膜となって溜められていく。すなわち、ウエハWの表面上にレジスト剥離液が液盛りされて、ウエハWの表面上にレジスト剥離液の液膜が形成されていく。この液膜形成工程に先立って、ウエハWの表面全域がレジスト剥離液で湿潤されているので、低回転速度で回転しているウエハWの表面に供給されるレジスト剥離液は、ウエハWの表面にパターンが形成されていても、そのパターンの影響を受けずに、ウエハWの表面上をその供給位置を中心とする同心円状に拡がる。これによって、ウエハWの表面上には、その全域にほぼ均一な膜厚を有するレジスト剥離液の液膜がむらなく形成される。
【0034】
ウエハWの回転速度を上記低回転速度に減速してから所定の液膜形成時間(たとえば、10〜20秒間)が経過すると、ウエハWの表面上にレジスト剥離液の液膜を形成するための工程(液膜形成工程)は終了であり、レジスト剥離液供給バルブ22が閉じられて、レジスト剥離液ノズル2からウエハWの表面へのレジスト剥離液の供給が停止される(ステップS5)。また、回転駆動機構14が制御されて、ウエハWの回転が停止される(ステップS6)。
【0035】
その後、揺動駆動機構62が制御されて、解除爪6によって解除レバー5が操作されることにより、各支持/挟持部材13の端面挟持部133がウエハWの端面から離間されて、支持/挟持部材13によるウエハWの挟持状態が解除される(ステップS7)。挟持状態が解除されることにより、ウエハWは、各支持/挟持部材13の周縁支持部132に下方から支持された状態になる。ウエハWの挟持解除状態は、所定の挟持解除時間(たとえば、30〜120秒間)にわたって維持され、この挟持解除時間が経過すると、解除爪6が解除レバー5から退避されて、各支持/挟持部材13の端面挟持部133がウエハWの端面に接触し、支持/挟持部材13によってウエハWが再び挟持される(ステップS8)。
【0036】
各支持/挟持部材13の端面挟持部133がウエハWの端面から離間していれば、ウエハWの表面上のレジスト剥離液が端面挟持部133を伝って流下することがない。したがって、ウエハWの挟持状態が解除されている期間(上記挟持解除時間)は、ウエハWの表面上で液膜を形成しているレジスト剥離液が端面挟持部133を伝って流下することがなく、ウエハWの表面上に形成されたレジスト剥離液の液膜が潰れることがない。すなわち、少なくとも上記挟持解除時間は、ウエハWの表面上にレジスト剥離液の液膜が形成された状態が維持される。レジスト剥離液には、強い酸化力を有するH2SO5が含まれているから、上記挟持解除時間を適切に設定すれば、そのH2SO5の酸化力によって、ウエハWの表面に形成されているレジスト膜を残すことなく良好に剥離除去することができる。
【0037】
支持/挟持部材13によってウエハWが再び挟持された後、回転駆動機構14が制御されて、ウエハWが所定の中回転速度(たとえば、300〜1500rpm)で回転される(ステップS9)。そして、上面DIW供給バルブ32および下面DIW供給バルブ42が開かれて、上記中回転速度で回転しているウエハWの表面および裏面の中央部に、それぞれ上面DIWノズル3および下面DIWノズル4からDIWが供給される(ステップS10)。ウエハWの表面および裏面に供給されたDIWは、ウエハWの回転による遠心力を受けて、その供給位置からウエハWの周縁に向けて流れる。これによって、ウエハWの表面および裏面の全域にDIWが行き渡り、ウエハWに付着しているレジスト剥離液がDIWによって洗い流される。
【0038】
このDIWによるウエハWのリンス処理が所定のリンス時間(たとえば、60秒間)にわたって行われると、上面DIW供給バルブ32および下面DIW供給バルブ42が閉じられて、上面DIWノズル3および下面DIWノズル4からそれぞれウエハWの表面および裏面へのDIWの供給が停止される(ステップS11)。
この後は、スピンチャック1によるウエハWの回転速度が3000rpmまで上げられて、リンス処理後のウエハWに付着しているDIWを遠心力で振り切って乾燥させるスピンドライ処理が行われる(ステップS12)。スピンドライ処理が終了すると、スピンチャック1によるウエハWの回転が止められる(ステップS13)。そして、揺動駆動機構62が制御されて、解除爪6によって解除レバー5が操作されることにより、支持/挟持部材13によるウエハWの挟持状態が解除されると、搬送ロボット(図示せず)によって、スピンチャック1から処理後のウエハWが搬出されていく。
【0039】
上述したように、ウエハWの表面上にレジスト剥離液の液膜が形成された後、支持/挟持部材13によるウエハWの挟持状態を上記挟持解除時間だけ解除することにより、ウエハWの表面上に形成されたレジスト剥離液の液膜が潰れることを防止でき、レジスト剥離液による十分なレジスト剥離処理をウエハWの表面に施すことができる。よって、ウエハWの表面に形成されているレジスト膜を残すことなく良好に剥離除去することができる。
【0040】
しかも、ウエハWの表面上で液膜を形成しているレジスト剥離液が支持/挟持部材13を伝って流下することによるレジスト剥離液の浪費を防止でき、レジスト剥離液の消費量を抑えることができる。
図5は、この発明の他の実施形態(第2の実施形態)に係る基板処理装置の構成を図解的に示す図である。この図5において、上述の図1に示された各部に相当する部分には、図1の場合と同一の参照符号が付されている。また、その同一の参照符号を付した部分についての説明は省略する。
【0041】
この実施形態に係る基板処理装置は、スピンチャック1の上方に、そのスピンチャック1に保持されたウエハWの表面に硫酸を供給するための硫酸ノズル91と、スピンチャック1に保持されたウエハWの表面に過酸化水素水を供給するための過酸化水素水ノズル92と、スピンチャック1に保持されたウエハWの表面にDIW(脱イオン化された純水)を供給するための表面DIWノズル3とを備えている。
【0042】
硫酸ノズル91には、硫酸供給源からの硫酸を供給する硫酸供給管93が接続されている。硫酸供給管93の途中部には、硫酸ノズル91からの硫酸の吐出を制御するための硫酸供給バルブ94が介装されている。硫酸供給バルブ94が開かれて、硫酸ノズル91から吐出される硫酸は、たとえば、連続流の状態(硫酸の液流が柱状をなしている状態)でウエハWの表面の中央部(回転中心付近)に供給される。
【0043】
過酸化水素水ノズル92には、過酸化水素水供給源からの過酸化水素水を供給する過酸化水素水供給管95が接続されている。過酸化水素水供給管95の途中部には、過酸化水素水ノズル92からの過酸化水素水の吐出を制御するための過酸化水素水供給バルブ96が介装されている。また、この実施形態において、過酸化水素水ノズル92は、過酸化水素水を霧化してウエハWに供給する噴霧ノズルであって、過酸化水素水ノズル92には、窒素ガス供給源からの窒素ガス(N2)を供給する窒素ガス供給管(図示せず)が接続されている。過酸化水素水ノズル92に過酸化水素水と窒素ガスとが同時に供給されると、過酸化水素水ノズル92内で過酸化水素水が霧化され、この霧化した過酸化水素水が過酸化水素水ノズル92の先端からウエハWの表面に供給される。
【0044】
また、過酸化水素水ノズル92は、スピンチャック1の上方でほぼ水平に延びたアーム(図示せず)に取り付けられている。このアームの揺動によって、スピンチャック1に保持されたウエハWの表面上で、過酸化水素水ノズル92からの過酸化水素水の供給位置をスキャン(移動)させることができ、これにより、ウエハWが静止した状態でも、ウエハWの表面の全域に過酸化水素水を供給することできるようになっている。
【0045】
図6は、この実施形態に係る基板処理装置の電気的構成を示すブロック図である。この基板処理装置はさらに、マイクロコンピュータを含む構成の制御装置97を備えている。
制御装置97には、回転駆動機構14、揺動駆動機構62、硫酸供給バルブ94、過酸化水素水供給バルブ96、上面DIW供給バルブ32および下面DIW供給バルブ42などが制御対象として接続されている。制御装置97は、レジスト剥離処理のために、予め定められたプログラムに従って、回転駆動機構14および揺動駆動機構62の動作を制御し、また、硫酸供給バルブ94、過酸化水素水供給バルブ96、上面DIW供給バルブ32および下面DIW供給バルブ42の開閉を制御する。
【0046】
図7は、レジスト剥離処理について説明するための図である。未処理のウエハWの搬入持には、各支持/挟持部材13が解除状態に変位されており、搬送ロボット(図示せず)によって搬入されてくるウエハWは、スピンチャック1に受け渡されて、支持/挟持部材13の周縁支持部132上に支持される。ウエハWが周縁支持部132上に支持されると、揺動駆動機構62が制御されて、解除爪6が解除レバー5から退避される。すると、各支持/挟持部材13が挟持状態へと導かれ、複数個の支持/挟持部材13(端面挟持部133)にウエハWが挟持される(ステップT1)。
【0047】
その後、回転駆動機構14が制御されて、スピンチャック1に保持されたウエハWが所定の高回転速度(たとえば、3000rpm)で高速回転される(ステップT2)。また、硫酸供給バルブ94が開かれて、硫酸ノズル91から高速回転中のウエハWの表面の中央部に硫酸が供給される(ステップT3)。ウエハWの表面に供給された硫酸は、ウエハWの高速回転による大きな遠心力を受け、その供給位置からウエハWの周縁へ向けて、ウエハWの表面上を比較的強い液流となって流れる。したがって、ウエハWの表面にレジスト膜のパターンなどが形成されていても、そのパターンの影響を受けずに、ウエハWの表面に硫酸が拡がり、ウエハWの表面が硫酸によって湿潤されていく。
【0048】
このウエハWの表面を硫酸で湿潤させるための工程(湿潤工程)が所定の湿潤時間(たとえば、1〜5秒間)にわたって行われ、ウエハWの表面の全域が硫酸によって湿潤した状態になると、回転駆動機構14が制御されて、スピンチャック1によるウエハWの回転が停止される(ステップT4)。ウエハWの回転が停止された後も、硫酸ノズル91からウエハWの表面への硫酸の供給が続けられており、ウエハWの表面に供給される硫酸は、ウエハWの表面上に拡がり、その表面張力でウエハWの表面上に液膜となって溜められていく。すなわち、ウエハWの表面上に硫酸が液盛りされて、ウエハWの表面上に硫酸の液膜が形成されていく。この液膜形成工程に先立って、ウエハWの表面全域が硫酸で湿潤されているので、静止状態のウエハWの表面に供給される硫酸は、そのウエハWの表面にパターンが形成されていても、パターンの影響を受けずに、ウエハWの表面上をその供給位置を中心とする同心円状に拡がる。これによって、ウエハWの表面上には、その全域にほぼ均一な膜厚を有する硫酸の液膜がむらなく形成される。
【0049】
ウエハWの静止状態での硫酸の供給が所定の液膜形成時間(たとえば、10〜20秒間)にわたって行われると、硫酸供給バルブ94が閉じられて、硫酸ノズル92からウエハWへの硫酸の供給が停止される(ステップT5)。この後、ウエハWが静止し、そのウエハWの表面上に硫酸の液膜が形成されている状態で、揺動駆動機構62が制御されて、解除爪6によって解除レバー5が操作されることにより、各支持/挟持部材13の端面挟持部133がウエハWの端面から離間されて、支持/挟持部材13によるウエハWの挟持が解除される(ステップT6)。挟持が解除されることにより、ウエハWは、各支持/挟持部材13の周縁支持部132に下方から支持された状態になる。
【0050】
ウエハWの挟持が解除された状態で、過酸化水素水供給バルブ96が開かれて、過酸化水素水ノズル92からウエハWの表面に霧状の過酸化水素水が供給される(ステップT7)。このとき、過酸化水素水ノズル92が取り付けられたアームが揺動されることにより、ウエハWの表面上で過酸化水素水の供給位置がスキャン(移動)され、ウエハWの表面上の硫酸の液膜に対して過酸化水素水がむらなく供給される。過酸化水素水の供給開始から所定の過酸化水素水供給時間(たとえば、15秒間)が経過すると、過酸化水素水供給バルブ96が閉じられて、過酸化水素水ノズル92からウエハWの表面への過酸化水素水の供給が停止される(ステップT8)。また、ウエハWの挟持が解除されてから所定の挟持解除時間(たとえば、30〜120秒間)が経過すると、解除爪6が解除レバー5から退避されて、各支持/挟持部材13の端面挟持部133がウエハWの端面に接触し、支持/挟持部材13によってウエハWが再び挟持される(ステップT9)。
【0051】
過酸化水素水ノズル92からウエハWの表面に向けて供給される過酸化水素水は霧状であるから、この霧状の過酸化水素水は、ウエハWの表面上に形成されている硫酸の液膜を破壊することなく、硫酸の液膜の表面の全域からその液膜内に浸透する。これにより、ウエハWの表面上では、その全域で、硫酸と過酸化水素水との化学反応(H2SO4+H2O2→H2SO5+H2O)が生じて、強い酸化力を有するH2SO5を含むレジスト剥離液が生成される。また、このとき化学反応による発熱(反応生成熱)を生じるから、たとえば、硫酸ノズル91からウエハWの表面に供給される硫酸の温度を室温程度に温度調節し、過酸化水素水ノズル92からの過酸化水素水の温度を約40℃に温度調節しても、ウエハWの表面上に生成されるレジスト剥離液の温度は、ウエハWの表面に形成されているレジスト膜を良好に剥離可能な約100℃以上の高温に達する。よって、この実施形態のように、ウエハW上で硫酸と過酸化水素水とを混合してレジスト剥離液を生成することはエネルギー効率の点から望ましい。
【0052】
しかも、ウエハWの挟持状態が解除されている期間は、各支持/挟持部材13の端面挟持部133がウエハWの端面から離間しているので、ウエハWの表面上で生成されたレジスト剥離液が端面挟持部133を伝って流下することがなく、ウエハWの表面上に形成されたレジスト剥離液の液膜が潰れることがない。よって、上記挟持解除時間を適切に設定すれば、レジスト剥離液に含まれるH2SO5の酸化力によって、ウエハWの表面に形成されているレジスト膜を残すことなく良好に剥離除去することができる。
【0053】
支持/挟持部材13によってウエハWが再び挟持された後、回転駆動機構14が制御されて、ウエハWが所定の中回転速度(たとえば、300〜1500rpm)で回転される(ステップT10)。そして、上面DIW供給バルブ32および下面DIW供給バルブ42が開かれて、上記中回転速度で回転しているウエハWの表面および裏面の中央部に、それぞれ上面DIWノズル3および下面DIWノズル4からDIWが供給される(ステップT11)。ウエハWの表面および裏面に供給されたDIWは、ウエハWの回転による遠心力を受けて、その供給位置からウエハWの周縁に向けて流れる。これによって、ウエハWの表面および裏面の全域にDIWが行き渡り、ウエハWに付着しているレジスト剥離液がDIWによって洗い流される。
【0054】
このDIWによるウエハWのリンス処理が所定のリンス時間(たとえば、60秒間)にわたって行われると、上面DIW供給バルブ32および下面DIW供給バルブ42が閉じられて、上面DIWノズル3および下面DIWノズル4からそれぞれウエハWの表面および裏面へのDIWの供給が停止される(ステップT12)。そして、スピンチャック1によるウエハWの回転速度が3000rpmまで上げられて、リンス処理後のウエハWに付着しているDIWを遠心力で振り切って乾燥させるスピンドライ処理が行われる(ステップT13)。スピンドライ処理が終了すると、スピンチャック1によるウエハWの回転が止められる(ステップS14)。そして、揺動駆動機構62が制御されて、解除爪6によって解除レバー5が操作されることにより、支持/挟持部材13によるウエハWの挟持状態が解除されると、搬送ロボット(図示せず)によって、スピンチャック1から処理後のウエハWが搬出されていく。
【0055】
この実施形態によれば、ウエハWの表面に過酸化水素水を供給している間に、ウエハWの表面上に形成された硫酸の液膜が潰れることがなく、ウエハWの表面に対して硫酸と過酸化水素水とを混合して生成されるレジスト剥離液によるレジスト剥離処理を良好に行うことができる。また、液膜を形成している硫酸およびレジスト剥離液が支持/挟持部材13を伝って流下することによる硫酸およびレジスト剥離液の浪費を防止することができる。
【0056】
以上、この発明の2つの実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、上記の実施形態では、スピンチャック1が静止した状態でのみ、複数個の支持/挟持部材13によるウエハWの挟持状態を解除することができる構成を取り上げたが、スピンベース12の内部に、リング72を所定角度範囲内で回動させるためのシリンダなどを設けて、スピンチャック1の回転中においても、そのシリンダを制御することにより、複数個の支持/挟持部材13によるウエハWの挟持状態を解除することができるようにしてもよい。
【0057】
そして、そのような構成を採用した場合には、図8に示すように、所定の低回転速度で回転しているウエハWの表面にレジスト剥離液を供給して、レジスト剥離液の液膜を形成した後、ウエハWの回転速度を上記低回転速度よりもさらに低い極低回転速度に低下させて(ステップS14)、ウエハWが上記極低回転速度で回転している状態で、複数個の支持/挟持部材13によるウエハWの挟持状態を解除するようにしてもよい(ステップS7)。
【0058】
上記極低回転速度は、挟持状態が解除されることによって各支持/挟持部材13の周縁支持部132に下方から支持されたウエハWが落下しない程度の回転速度であり、たとえば、5rpm以下に設定されるとよい。
また、スピンチャック1の回転中にウエハWの挟持状態を解除できる構成を採用した場合には、第2の実施形態の変形例として、ウエハWの挟持状態を解除した状態で、スピンチャック1によってウエハWを上記極低回転速度で回転させつつ、その回転しているウエハWの表面に過酸化水素水ノズル92から過酸化水素水を供給するようにしてもよい。こうすることにより、ウエハWの表面の硫酸の液膜に対して過酸化水素水をより均一に供給することができ、ウエハWの表面上でむらなく生成されるレジスト剥離液によって、ウエハWの表面に形成されているレジスト膜をより良好に剥離除去することができる。さらにまた、過酸化水素水ノズル92からの過酸化水素水が、ウエハWの表面上においてウエハWの回転半径以上の長さを有するスリット状またはウエハWの回転半径以上の直径を有する円形状に供給され、かつ、その過酸化水素水の供給範囲が、ウエハWの回転中心から周縁まで及ぶように設定されていれば、過酸化水素水の供給位置(範囲)をスキャンさせる必要はなく、そのスキャンのための機構を省略することができる。
【0059】
さらに、第1の実施形態では、ウエハWの表面へのレジスト剥離液の供給を停止した後にウエハWの挟持状態を解除するとしたが、ウエハWの挟持状態が解除されている期間についても、ウエハWの表面へのレジスト剥離液の供給が行われてもよい。また、第2の実施形態では、ウエハWの表面への硫酸の供給を停止した後にウエハWの挟持状態を解除するとしたが、ウエハWの挟持状態が解除されている期間において、ウエハWの表面への過酸化水素水の供給と並行して、ウエハWの表面への硫酸の供給が行われてもよい。ウエハWの挟持状態が解除されている期間に、ウエハWの表面にレジスト剥離液または硫酸および過酸化水素水を供給すると、その供給流量に応じた流量でウエハWの表面からレジスト剥離液が溢れて流下する。ウエハWの表面から溢れるレジスト剥離液は、ウエハWの端面を伝って流れるので、これにより、ウエハWの端面に形成されているレジスト膜も剥離して除去することができる。しかも、ウエハWの端面から支持/挟持部材13(端面挟持部133)が離間しているので、ウエハWの端面全域からレジスト膜を残すことなく除去することができる。
【0060】
なお、レジスト剥離液の消費量を抑えるために、ウエハWの挟持状態が解除されている期間におけるレジスト剥離液または硫酸および過酸化水素水の供給流量は小流量(たとえば、10〜30ml/sec)であることが好ましい。たとえば、ウエハWの挟持状態が解除されている期間にレジスト剥離液を小流量で供給する場合、図8に示すように、ウエハWの表面にレジスト剥離液の液膜が形成された後に、ウエハWの表面へのレジスト剥離液の供給量(流量)を減少させて(ステップS15)、ウエハWの表面にレジスト剥離液が小流量で供給されている状態で、ウエハWの挟持状態が解除されるようにすればよい(ステップS7)。
【0061】
また、上記の各実施形態では、ウエハWの表面から不要になったレジスト膜を剥離するレジスト剥離処理を例にとったが、処理対象となる基板は、ウエハWに限らず、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディプレイパネル用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板および磁気/光ディスク用基板などの他の種類の基板であってもよい。
さらに、基板に対する処理は、基板の表面上に処理液の液膜を形成して行う処理であればよく、レジスト剥離処理に限らず、たとえば、基板の表面上にBHF(Buffered hydrofluoric acid)を含むポリマー除去液の液膜を液盛りによって形成し、その液膜状態のポリマー除去液によって基板の表面に付着しているポリマー残渣を浮き上がらせて除去する処理(ポリマー除去処理)であってもよい。
【0062】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の構成を図解的に示す図である。
【図2】スピンベースの内部構成を説明するための平面図である。
【図3】第1の実施形態に係る基板処理装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態に係る基板処理装置で行われるレジスト剥離処理について説明するための図である。
【図5】この発明の他の実施形態(第2の実施形態)に係る基板処理装置の構成を図解的に示す図である。
【図6】第2の実施形態に係る基板処理装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】第2の実施形態に係る基板処理装置で行われるレジスト剥離処理について説明するための図である。
【図8】この発明の変形例について説明するための図である。
【符号の説明】
1 スピンチャック
2 レジスト剥離液ノズル
8 制御装置
13 支持/挟持部材
14 回転駆動機構
91 硫酸ノズル
97 制御装置
132 周縁支持部
133 端面挟持部
W シリコン半導体ウエハ
Claims (9)
- 処理対象の基板の周縁部を複数個の支持部材で下方から支持する基板支持工程と、
上記支持部材に支持された基板の端面を複数個の挟持部材で挟持する基板挟持工程と、
上記挟持部材によって端面が挟持された基板の表面に処理液を供給して、その基板の表面上に処理液の液盛りによる液膜を形成する液膜形成工程と、
この液膜形成工程の後、上記挟持部材による基板の端面の挟持状態を所定時間だけ解除する挟持解除工程と、
上記液膜形成工程に先立って、上記基板保持手段に保持された基板の表面に上記液膜形成工程で用いられる処理液と同種の処理液を供給して、その処理液で当該基板の表面を湿潤させる処理液湿潤工程と
を含むことを特徴とする基板処理方法。 - 上記基板挟持工程の後に、上記挟持部材によって端面が挟持された基板をその基板の表面に交差する回転軸線まわりに所定の低回転速度で回転させる低速回転工程をさらに含み、
上記液膜形成工程は、上記低速回転工程に並行して行われ、上記低回転速度で回転している基板の表面に処理液を供給して、その基板の表面上に処理液の液盛りによる液膜を形成する工程であることを特徴とする請求項1記載の基板処理方法。 - 上記液膜形成工程の後に、上記低回転速度で回転している基板を停止させる回転停止工程をさらに含み、
上記挟持解除工程は、上記回転停止工程の後に行われ、回転停止している基板の端面の挟持状態を上記所定時間だけ解除する工程であることを特徴とする請求項2記載の基板処理方法。 - 上記液膜形成工程の後に、上記低回転速度で回転している基板の回転速度を上記低回転速度よりも低い極低回転速度に低下させる回転速度低下工程をさらに含み、
上記挟持解除工程は、上記回転速度低下工程の後に行われ、上記極低回転速度で回転している基板の端面の挟持状態を上記所定時間だけ解除する工程であることを特徴とする請求項2記載の基板処理方法。 - 上記液膜形成工程の後に、液膜が形成されている基板の表面に対して所定の小流量で処理液を供給し続ける小流量処理液供給工程をさらに含み、
上記挟持解除工程は、上記小流量処理液供給工程に並行して行われ、上記小流量で処理液の供給を受けている基板の端面の挟持状態を上記所定時間だけ解除する工程であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理方法。 - 上記処理液湿潤工程は、
処理対象の基板をその基板の表面に交差する回転軸線まわりに上記低回転速度よりも高い高回転速度で回転させる高速回転工程と、
この高速回転工程中に、上記高回転速度で回転している基板の回転中心付近に上記液膜形成工程で用いられる処理液と同種の処理液を供給する処理液供給工程と
を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の基板処理方法。 - 上記処理液は、硫酸と過酸化水素水との混合液であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の基板処理方法。
- 上記処理液は、硫酸であって、
上記挟持解除工程に並行して行われ、上記挟持部材による挟持状態が解除されている基板の表面に過酸化水素水を供給する過酸化水素水供給工程をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の基板処理方法。 - 基板の周縁部を下方から支持するための複数個の支持部材および基板の端面を挟持するための複数個の挟持部材を備え、上記支持部材に支持された基板の端面を上記挟持部材で挟持して当該基板を保持する基板保持手段と、
この基板保持手段に保持されている基板の表面に処理液を供給するための処理液供給手段と、
この処理液供給手段を制御して、上記挟持部材によって挟持されて上記基板保持手段に保持されている基板の表面に処理液の液盛りによる液膜を形成する液膜形成制御手段と、
この液膜形成制御手段による制御が行われた後に、上記挟持部材を制御して、上記挟持部材による基板の端面の挟持状態を解除する挟持解除制御手段と、
上記液膜形成制御手段による制御に先立って、上記処理液供給手段を制御して、上記基板保持手段に保持されている基板の表面に上記液膜を形成する処理液と同種の処理液を供給して、その処理液で当該基板の表面を湿潤させる処理液湿潤制御手段と
を含むことを特徴とする基板処理装置。
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