JP4230470B2 - 軽減装置および方法、ならびに受信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、振幅一定の変調方式で変調されて送信される無線電波を受信する際に、伝搬中に受けるマルチパスノイズを軽減するための軽減装置および方法、ならびに受信装置に関する。
従来から、振幅一定の変調方式で変調されて送信される無線電波を受信する際に、伝搬中に受けるマルチパスノイズを軽減するためには、図18に示すようなマルチパスノイズ軽減装置1を用いることが知られている。マルチパスノイズ軽減装置1は、適応フィルタ(以下、Adaptive Digital Filter から、「ADF」と略称する。)2を含む。マルチパスノイズ軽減装置1としてADF2を備える受信装置3は、周波数変調(FM)や位相変調(PM)の方式で変調され、本来は振幅一定の無線電波の受信などのために用いられる。周波数変調波や位相変調波の無線電波は、通常、一定振幅で受信されるけれども、反射などが生じて複数の経路に別れた状態で受信されると、マルチパスの影響で振幅に変化が生じる。受信装置3では、受信信号をAD変換器4でアナログ信号からデジタル信号に変換して、ADF2でのデジタル信号処理でマルチパスノイズを軽減している。ADF2でマルチパスノイズが軽減された受信信号は、検波器5で検波され、変調信号が復調される。
周波数変調された無線電波は、たとえば超短波(VHF)の周波数帯で送信されるFM放送電波であり、アンテナ(以下、「ANT」と略称する。)6で受信され、電界強度に応じた高周波(RF)信号が出力される。高周波信号は、高周波増幅などのためのRF部や周波数変換のためのMIX部を備えるアナログ受信処理部7でアナログ信号の状態での処理を受け、たとえば10.7MHz程度の中間周波(IF)信号として出力される。IF信号は、AD変換器4でデジタル信号に変換されて、ADF2に与えられる。
ADF2は、可変フィルタ部8、係数メモリ9、フィルタ係数算出手段10およびエンベロープ算出手段11を含む。ADF2においては、デジタル信号に変換されたIF信号の振幅変動分をエンベロープ算出手段11によって検出し、フィルタ係数算出手段10で振幅変動を補正するようにフィルタ係数を算出して、係数メモリ9に記憶する。可変フィルタ部8は、係数メモリ9に記憶されているフィルタ係数を用いて、IF信号へのマルチパスの影響を取り除く。
図19は、ADF2でFM信号からマルチパスの影響で生じるマルチパス歪みを除去する演算処理のための構成を示す。ADF2に入力されるデジタル化されたIF信号x(n)は、サンプリング周波数をfsとし、IF信号のキャリア周波数をfcとすると、cos(2πfc/fs)の信号とI信号分解手段12で掛け合わされて生成されるI信号xi(n)と、sin(2πfc/fs)の信号とQ信号分解手段13で掛け合わされて生成されるQ信号xq(n)とに分解される。I信号xi(n)およびQ信号xq(n)は、可変フィルタ部8と、係数メモリ9およびフィルタ係数算出手段10としてのフィルタ係数更新部に入力される。フィルタ係数更新部からは、可変フィルタ部8に、フィルタ係数a(n),b(n)が出力される。可変フィルタ部8では、入力されたI,Q信号xi(n),xq(n)に、係数a(n),b(n)をそれぞれ掛ける演算処理の結果を、出力yi(n),yq(n)として導出する。出力yi(n),yq(n)は、FM検波器5と、フィルタ係数更新部と、エンベロープ算出手段11である包絡線誤差算出部とにそれぞれ入力される。包絡線誤差算出部では、誤差e(n)を算出し、フィルタ係数更新部に与える。
図19に示すようなADF2は、本来一定であるべきFM変調された受信信号の包絡線信号が、マルチパス歪によって変動する性質を利用して、包絡線が一定となるように適応させる処理を行い、自動で歪みを除去する。可変フィルタ部8の出力信号yi(n)およびyq(n)は、次の(1),(2)式で計算され、出力される。ここで、Nはフィルタのタップ(filter Tap)数であり、−N≦k≦Nである。
Figure 0004230470
Figure 0004230470
(1),(2)式から、フィルタ係数a(n),b(n)を随時更新することで、マルチパス歪みを除去することができるフィルタ特性が得られる。フィルタ係数更新部は、次の(3),(4)式に従って、係数a(n),b(n)を更新する。
ak(n+1)=ak(n)−μe(n){xi(n−k−N)yi(n)
+xq(n−k−N)yq(n)} …(3)
bk(n+1)=bk(n)−μe(n){xi(n−k−N)yq(n)
−xq(n−k−N)yi(n)} …(4)
(3),(4)式内のμは、ステップSizeと呼ばれ、適応処理の収束度合いを決定する定数である。また、e(n)は、包絡線誤差算出部で算出される誤差であり、振幅変動分に対応する。ADF2は、この包絡線誤差を最小にするように動作し、結果としてIF信号の包絡線が一定となる。包絡線誤差算出部では、次の(5)式で包絡線誤差e(n)を算出する。このような適応フィルタの動作は、LMSアルゴリズムと呼ばれている。
e(n)=env−A
env=√{yi(n)2+yq(n)2} …(5)
または
env=yi(n)2+yq(n)2
図20は、(5)式に用いる包絡線誤差e(n)と包絡線信号envとの関係を示す。包絡線envは、包絡線基準値Aを中心として変動する。ADF2のフィルタ係数を制御してFM信号からマルチパスノイズを除くようにすると、たとえば中間周波数増幅器で生じるようなマルチパス歪み以外の線形歪みも自動除去する方向に動作する。
このようなADFを用いるマルチパス除去フィルタでは、マルチパスの原因となる反射波の特性を検出し、検出された特性に応じて初期設定を行う技術が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。
特許第3354286号公報
図18に示すようなマルチパスノイズ軽減装置1では、上記動作でマルチパスに起因して発生するノイズ等を除去することができるけれども、下記のような電波状況下ではADF2が動作することにより副作用が生じる。副作用とは、マルチパス発生状況以外でADF2が動作する結果、元の信号に影響や変化が生じ、音声が歪む、あるいは違和感が発生することである。
(a)過変調時
過変調時には受信波に、変調成分による振幅変動が発生する。ADF2では、その振幅変動を検出し、振幅変動を解消するように補正する動作を行うけれども、これによって検波されて得られる音声などに、後述するように歪みが発生する。さらに、過変調状態としては、次の2通りの原因で発生すると考えられる。
(a1)受信装置自体が持つ最大帯域幅を超えるように周波数偏移量が大きくなる過変調受信波の入力時。
(a2)受信希望の受信波以外に妨害波が発生している電波状況下で、受信装置の持つ混信対策機能により、妨害波を取除くように受信装置の帯域幅を制御しているために、本来なら過変調ではない周波数偏移量でも帯域幅よりも大きくなってしまう混信対策時。
(b)弱電界時
受信波の電界強度が弱い弱電界時には、ホワイトノイズの影響により、受信波に振幅変動が発生する。ADF2では、その振幅変動を検出し動作することで、音声に歪みが発生する。
(c)アンテナ切換えダイバシティ受信時
マルチパスなどの受信特性を改善するために、一般的にはダイバシティ受信方式が有効である。ただし、ダイバシティ受信時に、アンテナ切換え方式が実行されると、切換えに伴って受信信号の振幅変動が発生し、音声歪みを発生するような副作用が生じる。アンテナ切換えで振幅変動が発生する状況は以下のような2通りが考えられる。
(c1)切換えるアンテナ間で電界強度差が発生している場合。
(c2)切換えるアンテナの少なくとも1つのアンテナにマルチパスが発生している場合。
本発明の目的は、適応フィルタによるマルチパスノイズ軽減での従来手法による技術的、性能的欠点を補い、無線電波の信号を快適に受信することが可能な軽減装置および受信装置を提供することである。
本発明は、受信信号のマルチパスの影響を軽減する適応フィルタと、
係数の変更によって前記受信信号が劣化してしまう条件が成立しているか否かを判断する判断手段とを備え、
前記適応フィルタは、
マルチパスの影響を軽減するための係数を算出する算出手段と、
算出された係数に基づいて係数を更新する更新手段と、
前記判断手段による判断結果に基づいて前記係数の更新動作を抑制する更新許可手段とを具備することを特徴とする軽減装置である。
さらに本発明の前記判断手段は、前記受信信号に過変調が生じているか否かを判断することを特徴とする。
また本発明の前記判断手段は、前記受信信号の周波数偏移量から変調度を検出する変調度検出手段と、前記変調度と予め定められている周波数帯域との比較を行う比較手段とを有することを特徴とする。
また本発明の前記判断手段は、妨害波に対する混信対策に基づいて過変調が生じているか否かを判断することを特徴とする。
また本発明は、妨害波の有無を検出する妨害波検出手段と、
前記妨害波検出手段によって検出された妨害波に基づいて受信信号の通過帯域を制限する帯域通過フィルタとを具備し、
前記判断手段は、前記受信信号の周波数偏移量から変調度を検出する変調度検出手段と、前記変調度と前記帯域通過フィルタによって制限された通過帯域との比較を行う比較手段とを有することを特徴とする。
また本発明前記判断手段は、時定数に応じて変化させた信号に基づいて受信信号に過変調が生じているか否かを判断することを特徴とする。
また本発明の前記判断手段は、前記受信信号の電界強度が弱電界以下の電界強度であるか否かを判断することを特徴とする。
また本発明前記判断手段は、前記受信信号からの電界強度情報を取得する電界情報取得手段と、前記電界強度情報が弱電界であるか否かの比較を行う比較手段とを有することを特徴とする。
さらに本発明の前記判断手段は、ダイバシティ受信動作に伴うアンテナ切換えの有無を判断することを特徴とする。
さらに本発明の前記判断手段は、前記受信信号に外来ノイズが生じているか否かを判断することを特徴とする。
また本発明受信信号のマルチパスの影響を軽減する適応フィルタと、
前記受信信号に過変調が生じているか否かを判断する過変調判断手段と、
前記受信信号の電界強度が弱電界以下の電界強度であるか否かを判断する弱電界判断手段とを備え、
前記適応フィルタは、
マルチパスの影響を軽減するための係数を算出する算出手段と、
算出された係数に基づいて係数を更新する更新手段と、
前記過変調判断手段および前記弱電界判断手段のいずれか一方による判断結果に基づいて前記係数の更新動作を抑制する更新許可手段とを具備することを特徴とする軽減装置である。
さらに本発明の前記過変調判断手段は、前記受信信号の周波数偏移量から変調度を検出する変調度検出手段と、前記変調度と帯域通過フィルタによって制限された通過帯域との比較を行う第1比較手段とを有し、
前記弱電界判断手段は、前記受信信号から電界強度情報を取得する電界情報取得手段と、前記電界強度情報が弱電界であるか否かの比較を行う第2比較手段とを有することを特徴とする。
さらに本発明は、信号を受信するアンテナと、
受信信号をデジタル信号に変換する変換手段と、
受信信号のマルチパスの影響を軽減する適応フィルタと、
係数の変更によって前記受信信号が劣化してしまう条件が成立しているか否かを判断する判断手段とを備え、
前記適応フィルタは、
マルチパスの影響を軽減するための係数を算出する算出手段と、
算出された係数に基づいて係数を更新する更新手段と、
前記判断手段による判断結果に基づいて前記係数の更新動作を抑制する更新許可手段とを具備することを特徴とする受信装置である。
さらに本発明は、信号を受信するアンテナと、
受信信号をデジタル信号に変換する変換手段と、
受信信号のマルチパスの影響を軽減する適応フィルタと、
前記受信信号に過変調が生じているか否かを判断する過変調判断手段と、
前記受信信号の電界強度が弱電界以下の電界強度であるか否かを判断する弱電界判断手段とを備え、
前記適応フィルタは、
マルチパスの影響を軽減するための係数を算出する算出手段と、
算出された係数に基づいて係数を更新する更新手段と、
前記過変調判断手段および前記弱電界判断手段のいずれか一方による判断結果に基づいて前記係数の更新動作を抑制する更新許可手段とを具備することを特徴とする受信装置である。
さらに本発明の前記過変調判断手段は、前記受信信号の周波数偏移量から変調度を検出する変調度検出手段と、前記変調度と帯域通過フィルタによって制限された通過帯域との比較を行う第1比較手段とを有し、
前記弱電界判断手段は、前記受信信号から電界強度情報を取得する電界情報取得手段と、前記電界強度情報が弱電界であるか否かの比較を行う第2比較手段とを有することを特徴とする。
さらに本発明は、信号のマルチパスの影響を軽減するための係数を算出する係数算出ステップと、
前記係数の更新によって前記信号が劣化してしまう条件が成立しているか否かを判断する判断ステップと、
該判断結果に基づいて前記係数の更新動作を抑制する更新許可ステップと、
算出された係数に基づいて係数を更新する更新ステップとから成ることを特徴とする軽減方法である。
さらに本発明は、信号のマルチパスの影響を軽減するための係数を算出する係数算出ステップと、
前記信号に過変調が生じているか否かを判断する過変調判断ステップと、
前記信号の電界強度が弱電界以下の電界強度であるか否かを判断する弱電界判断ステップと、
前記過変調判断ステップおよび前記弱電界判断ステップのいずれか一方による判断結果に基づいて前記係数の更新動作を抑制する更新許可ステップと、
算出された係数に基づいて係数を更新する更新ステップとから成ることを特徴とする軽減方法である。
さらに本発明の前記過変調判断ステップは、前記信号の周波数偏移量から変調度を検出する変調度検出ステップと、前記変調度と帯域通過フィルタによって制限された通過帯域との比較を行う第1比較ステップとから成り、
前記弱電界判断ステップは、前記信号から電界強度情報を取得する電界情報取得ステップと、前記電界強度情報が弱電界であるか否かの比較を行う第2比較ステップとから成ることを特徴とする。
本発明によれば、軽減装置は適応フィルタを備え、判断手段を含む。適応フィルタは、振幅に変化が生じない変調方式の無線電波を受信する際に、無線電波の伝搬過程で生じるマルチパスの影響を軽減するために、受信信号の振幅変動分を検出しながら可変フィルタのフィルタ係数を振幅変動を抑えるように更新する動作を行う。判断手段は、適応フィルタの係数の変更によって受信信号が劣化してしまう条件が成立しているか否かを判断する。更新許可手段は、判断手段による判断結果に基づいて係数の更新動作を抑制するので、適応フィルタによるマルチパスノイズ軽減での従来手法による技術的、性能的欠点を補い、無線電波の信号を快適に受信することが可能となる。
さらに本発明によれば、判断手段は、受信信号に過変調が生じているか否かを判断するので、その判断結果に基づいて、更新許可手段によって係数の更新動作を抑制し、これによって、適応フィルタによるマルチパスノイズ軽減での従来手法による技術的、性能的欠点を補い、無線電波の信号を快適に受信することが可能となる。
また本発明によれば、判断手段による過変調が生じているか否かの判断は、変調度と予め定められている周波数帯域との比較に基づいて行うので、実際に影響が生じる過変調であるか否かを判断することができる。
また本発明によれば、妨害波に対する混信対策に基づいて過変調が生じているか否かを判断するので、妨害波によって生じる過変調の影響を確実に除くことができる。
また本発明によれば、判断手段による過変調が生じているか否かの判断は、変調度と帯域通過フィルタによって制限された通過帯域との比較に基づいて行うので、実際に影響が生じる過変調であるか否かを判断することができる。
また本発明によれば、判断手段での過変調の判断は、時定数に応じて変化させた信号に基づいて行うので、判断が過敏にならず、誤検出を防止することができる。過変調が実際に発生していれば、変調度検出信号はマルチパスノイズに比較して長期間継続するので、該変調度検出信号を時定数に応じて変化させても過変調を充分に検出可能であり、適応フィルタの動作を抑する効果を充分に得ることができる。
また本発明によれば、過変調時とともに、弱電界時にも適応フィルタの動作を抑制するので、適応フィルタの動作によって受信信号がかえって劣化するような状況を避けることができる。
さらに本発明によれば、電界情報取得手段によって取得された受信信号からの電界強度情報が、弱電界であるか否かを比較手段によって判断し、弱電界であると判断すると、適応フィルタの動作が抑制されるので、適応フィルタによるマルチパスノイズ軽減での従来手法による技術的、性能的欠点を補い、無線電波の信号を快適に受信することが可能となる。
さらに本発明によれば、判断手段は、ダイバシティ受信動作が行われるときに、ダイバシティ受信動作に伴う切換えの有無で、適応フィルタの係数の変更によって受信信号が劣化してしまう条件が成立しているか否かを判断し、切換え有りと判断すると、適応フィルタの動作を抑制するので、適応フィルタによるマルチパスノイズ軽減での従来手法による技術的、性能的欠点を補い、無線電波の信号を快適に受信することが可能となる。
また本発明によれば、判断手段は、外来ノイズ発生の有無で、適応フィルタの係数の変更が受信信号を劣化させる予め定める条件が成立しているか否かを判断し、外来ノイズ発生有りと判断すると、適応フィルタの動作を抑制するので、適応フィルタによるマルチパスノイズ軽減での従来手法による技術的、性能的欠点を補い、無線電波の信号を快適に受信することが可能となる。
さらに本発明によれば、軽減装置は適応フィルタを備え、過変調判断手段と弱電界判断手段とを含む。適応フィルタは、振幅に変化が生じない変調方式の無線電波を受信する際に、無線電波の伝搬過程で生じるマルチパスの影響を軽減するために、受信信号の振幅変動分を検出しながら可変フィルタのフィルタ係数を振幅変動を抑えるように更新する動作を行う。過変調判断手段によって受信信号に過変調が生じているか否かが判断され、弱電界判断手段によって受信信号の電界強度が弱電界以下の電界強度であるか否かが判断される。
さらに本発明によれば、過変調判断手段では、変調度検出手段によって検出された変調度と帯域通過フィルタによって制限された通過帯域との比較を第1比較手段によって行う。弱電界判断手段では、電界情報取得手段によって取得された受信信号からの電界強度情報が、弱電界であるか否かを第2比較手段によって判断する。更新許可手段は、過変調判断手段および弱電界判断手段のいずれか一方による判断結果に基づいて係数の更新動作を抑制するので、より高精度な制御が可能となり、適応フィルタによるマルチパスノイズ軽減での従来手法による技術的、性能的欠点を補い、無線電波の信号を快適に受信することが可能となる。
さらに本発明によれば、受信装置は、アンテナで受信した信号を変換手段によってデジタル信号に変換して、適応フィルタを用いるデジタル信号処理を行う。判断手段は、適応フィルタの係数の変更によって受信信号が劣化してしまう条件が成立しているか否かを判断する。更新許可手段は、判断手段による判断結果に基づいて係数の更新動作を抑制するので、適応フィルタによるマルチパスノイズ軽減での従来手法による技術的、性能的欠点を補い、無線電波の信号を快適に受信することが可能になる。
さらに本発明によれば、受信装置は、アンテナで受信した信号を変換手段によってデジタル信号に変換して、適応フィルタを用いるデジタル信号処理を行う。過変調判断手段によって受信信号に過変調が生じているか否かが判断され、弱電界判断手段によって受信信号の電界強度が弱電界以下の電界強度であるか否かが判断される。
さらに本発明によれば、過変調判断手段では、変調度検出手段によって検出された変調度と帯域通過フィルタによって制限された通過帯域との比較を第1比較手段によって行う。弱電界判断手段では、電界情報取得手段によって取得された受信信号からの電界強度情報が、弱電界であるか否かを第2比較手段によって判断する。更新許可手段は、過変調判断手段および弱電界判断手段のいずれか一方による判断結果に基づいて係数の更新動作を抑制するので、より高精度な制御が可能となり、適応フィルタによるマルチパスノイズ軽減での従来手法による技術的、性能的欠点を補い、無線電波の信号を快適に受信することが可能となる。
さらに本発明によれば、判断ステップにおいて、係数の変更によって信号が劣化してしまう条件が成立しているか否かを判断する。条件が成立していると判断すると、更新許可ステップにおいて、更新動作を抑制する。したがって、マルチパスノイズ軽減での従来手法による技術的、性能的欠点を補い、無線電波の信号を快適に受信することが可能となる。
さらに本発明によれば、過変調判断ステップにおいて、信号に過変調が生じているか否かを判断し、弱電界判断ステップにおいて、信号の電界強度が弱電界以下の電界強度であるか否かを判断する。過変調判断ステップでは、変調度検出ステップにおいて検出された変調度と帯域通過フィルタによって制限された通過帯域との比較を第1比較ステップによって行う。弱電界判断ステップでは、電界情報取得ステップによって取得された信号からの電界強度情報が、弱電界であるか否かを第2比較ステップによって判断する。更新許可ステップにおいて、過変調判断ステップおよび弱電界判断ステップのいずれか一方による判断結果に基づいて係数の更新動作を抑制する。したがって、より高精度な制御が可能となり、マルチパスノイズ軽減での従来手法による技術的、性能的欠点を補い、無線電波の信号を快適に受信することが可能となる。
以下、図面に基づいて、本発明を実施するための形態を説明する。複数の形態では、先行して説明している形態に対応する部分に同一の参照符を付し、重複する説明を省略する。また、機能に重複が生じていない形態は、組合わせて実施することもできる。
図1は、本発明の実施の一形態としてのマルチパスノイズ軽減装置20の概略的な構成を示す。マルチパスノイズ軽減装置20は、ADF21および過変調判断手段22を含む。ADF21は、基本的に、図18に示すようなADF1と同様な適応フィルタとしての動作を行う。マルチパスノイズ軽減装置20としてADF21を備える受信装置23は、周波数変調(FM)や位相変調(PM)の方式で変調され、本来は振幅一定の無線電波の受信などのために用いられる。受信装置23では、受信信号をAD変換器24でアナログ信号からデジタル信号に変換して、ADF21でのデジタル信号処理でマルチパスノイズを軽減している。ADF21でマルチパスノイズが軽減された受信信号は、検波器25で検波され、変調信号が復調される。以上のようなマルチパス軽減装置20は、AD変換部24を除いて、デジタル信号プロセッサ(DSP)による演算動作で実現することができる。DSPとAD変換器24とを、半導体集積回路(IC)として、一体化することもできる。
受信装置23が受信する無線電波は、たとえば超短波(VHF)の周波数帯で送信されるFM放送電波であり、ANT26で受信され、電界強度に応じた高周波(RF)信号が出力される。高周波信号は、高周波増幅などのためのRF部や周波数変換のためのMIX部を備えるアナログ受信処理部27でアナログ信号の状態での処理を受け、たとえば10.7MHz程度の中間周波(IF)信号として出力される。IF信号は、AD変換器24でデジタル信号に変換される。
ADF21は、可変フィルタ部28、係数メモリ29、フィルタ係数算出手段30およびエンベロープ算出手段31とともに、係数更新許可手段32を含む。ADF21においては、デジタル信号に変換されたIF信号の振幅変動分をエンベロープ算出手段31によって検出し、フィルタ係数算出手段30で振幅変動を補正するようにフィルタ係数を算出して、係数メモリ29に記憶する。可変フィルタ部28は、係数メモリ29に記憶されているフィルタ係数を用いて、IF信号へのマルチパスの影響を取り除く。ADF21では、係数更新許可手段32を設け、ADF21の動作で副作用が生じるような条件では、係数更新の動作を禁止するようにしている。
ADF21の係数更新許可手段32には、過変調判断手段22による係数更新許可か否かの判断結果が入力される。過変調判断手段22での判断に要する時間を調整するために、AD変換器24からADF21に入力するIF信号は、遅延手段33でDELAYが与えられる。過変調判断手段22は、検波器34、変調度検出器35および比較器36を含む。検波器34は、AD変換器24で変換されたデジタル信号のIF信号を周波数検波し、変調度検出器35は周波数偏移量から変調度を検出する。比較器36は、検出された変調度を予め設定されている基準と比較し、変調度が基準を超えると過変調と判断して、係数更新を禁止する。係数更新の禁止は、たとえばフラグを設定して行うことができる。係数更新が禁止されると、たとえば、フィルタ係数算出手段30は設定されたフラグを見て、新たな係数の算出は行わない。なお、すでに係数の算出を開始していれば、その算出結果は、係数メモリ9に記憶され、係数更新禁止以後の可変フィルタ部28でのフィルタ演算に使用される。この結果、可変フィルタ部28は、係数更新禁止直後の係数に固定されることになる。なお、係数更新禁止ではなく、ADF21をバイパスして、遅延手段33の出力を検波器25に直接入力するようにしてもよい。すなわち、適応フィルタの動作による影響を少なくとも通常よりは抑止するようにすればよい。
FM変調された無線信号の変調度は、受信信号の周波数偏移量を、標準的な周波数偏移量と比較して表すことができる。FM放送などでは、たとえば75kHzの周波数偏移が変調度100%に対応している。ただし、受信装置23では、受信信号へ影響を避けるために、受信周波数帯域幅は、たとえば150kHzに設定している。したがって、100%を超える過変調が生じても、直ちに影響が生じる訳ではない。ただし、変調度が200%に近くなると、受信周波数帯域を決定しているフィルタの特性が平坦ではなくなり、過変調の影響が大きくなる。
図2は、ADF21によるマルチパスノイズ低減の効果の例と、過変調時の歪悪化の副作用の例とを示す。図2で、(a)として示す上段側はADF21を動作させない場合を示し、(b)として示す下段側はADF21を動作させる場合を示す。過変調時には、ADF21を動作させることによって、歪悪化の結果となってしまう。図1のマルチパス軽減装置20では、過変調検出時にはADF動作をOFFすることによって、マルチパスノイズ軽減と、それに伴う過変調時の歪み特性の悪化とを防止し、両立を可能にすることができる。
図3は、本発明の実施の他の形態としてのマルチパスノイズ軽減装置40の概略的な構成を示す。マルチパスノイズ軽減装置40は、図1のマルチパスノイズ軽減装置20の過変調判断手段22に代えて、妨害検出手段41および過変調判断手段42を含む。マルチパスノイズ軽減装置40を含む受信装置43は、IF信号の帯域幅を、可変BPF(帯域通過フィルタ)44で制限し、隣接妨害波に対する混信対策を行うことができる。隣接妨害波の有無は、妨害検出手段41によって検出される。妨害検出手段41は、受信装置43の最大帯域幅よりも外側の周波数を部分的に通過させるノッチフィルタなどで実現される。可変BPF44は、隣接妨害波が検出されると、通過帯域幅を制限し、混信を防止することができる。このような可変BPF44と妨害検出手段41とは、混信対策ブロックを構成する。受信装置43が自動車などの移動体に搭載されるような場合、時々刻々受信環境が変化する電波状況にあり、隣接局による混信を対策する上で有効なブロックとなる。
過変調判断手段42は、検波器34、変調度検出器35および比較器46を含む。比較器46は、妨害検出手段41が検出する隣接妨害波に基づいて帯域が制限される可変BPF44のカットオフ周波数情報Fcを基準として、可変BPF44を通過したIF信号を検波器34で検波し、変調度検出器35で検出する変調度が過変調であるか否かを判断し、過変調であると判断すると、ADF21の動作を禁止する。つまり、隣接妨害の状態によりカットオフ周波数情報Fcが変わるので、このFcを検出するようにしている。
すなわち、図1の過変調判断手段21は、希望信号の変調度と、予め既知である受信装置23の帯域幅との比較から過変調状態を認識し、ADF21の動作を禁止する係数制御などを行うものであるが、受信装置43のように妨害対策が行われるものであれば、受信装置43の帯域幅は変化することになる。たとえば、受信装置43の最大帯域幅は150kHzであるとする。98.1MHzのFM放送受信時、変調度が75kHz/deviation である場合を想定する。この場合、98.3MHzに妨害局が存在した場合、妨害検出手段41が妨害を検出し、可変BPF44は、帯域幅を、たとえば150kHz→50kHzに絞る動作を行う。この場合、本来は過変調ではなくても、可変BPF44の影響により、希望信号に歪みを発生させることになり、ADF21を動作させている場合は、さらに歪みが増大することになる。このときに、可変BPF44のFc情報と変調度とを比較することによってADF制御を行えば、信号歪みの悪化を防止することが可能となり、妨害対策機能とマルチパス軽減機能との両立を可能とすることができる。広帯域の隣接妨害波の存在が妨害検出手段41で検出されると、可変BPF44の周波数帯域BWを絞るためのBW制御が行われる。
図4は、本発明の実施のさらに他の形態としてのマルチパスノイズ軽減装置50の概略的な構成を示す。マルチパスノイズ軽減装置50では、図1のマルチパスノイズ軽減装置20の過変調判断手段21に代えて、弱電界判断手段52が用いられる。受信装置53は、アナログ受信処理部27などで、自動利得制御(AGC)などのために電界強度情報を生成している。弱電界判断手段52は、電界情報取得手段54で電界強度情報を取得し、比較器56で弱電界か否かを比較する。弱電界は、IF信号にホワイトノイズよるエンベロープが発生する電界強度以下の状態とする。弱電界判断手段52は、弱電界以下の電界強度では、ADF21の動作を禁止する制御を行う。これによって、電界強度が弱い時にADF動作をOFFにすることができ、マルチパスノイズ軽減と弱電界時の歪み特性の劣化防止との両立を可能とすることができる。
図5は、本発明の実施のさらに他の形態としてのマルチパスノイズ軽減装置60の概略的な構成を示す。マルチパスノイズ軽減装置60では、マルチパスノイズ軽減を、主アンテナ(MAIN_ANT)と副アンテナ(SUB_ANT)との切換によるダイバシティ受信を併用して行う。ダイバシティ受信装置61は、ダイバシティ制御ブロック62を、ダイバシティ切換え判断手段としても機能させ、切換え時に、ADF21の動作を禁止させる。ダイバシティ受信装置61は、ダイバシティ制御ブロック62とともに、マルチパス検出ブロック64、電界強度検出ブロック65およびANT切換えSW66を含む。マルチパス検出ブロック64はマルチパスの発生の有無を検出し、電界強度検出ブロック65は、受信する無線電波の電界強度を検出する。ANT切換えSW66は、主アンテナと副アンテナとを切換えるスイッチであり、ダイバシティ制御ブロック62によって切換えは制御される。
ダイバシティ受信動作で、アンテナを切換えるタイミングでは、ADF21に入力されるIF信号に急激な変化が発生している。ADF21がそれに反応して係数更新を行うと、信号歪みや異音が発生してしまう。このため、アンテナの切換えなどのダイバシティ受信での切換え動作を行うタイミングでADF21の動作を禁止する。これによって、マルチパスノイズ軽減と弱電界時の歪み特性の劣化防止との両立を可能とすることができる。
図6は、本発明の実施のさらに他の形態としてのマルチパスノイズ軽減装置70の概略的な構成を示す。マルチパスノイズ軽減装置70では、図3のマルチパスノイズ軽減装置40での過変調判断手段42と、図4の弱電界判断手段52とを組合わせた条件判断手段72を含む。条件判断手段72は、過変調と弱電界との判断結果の論理和(OR)をOR回路73で判断し、判断結果でADF21の動作を禁止する。過変調か弱電界かの一方が成立していればADF21の動作が禁止されるので、より高精度な制御が実現可能となる。
図7は、ADF21の動作として、係数更新手法に、可変BPF44のフィルタ関数の逆関数を用いる構成を示す。過変調歪みは、隣接妨害波除去用可変IFフィルタである可変BPF44によって発生する。この可変BPF44の帯域幅が絞られると、IF信号に振幅変化が生じる。エンベロープ算出手段80は、この振幅変化を算出する。フィルタ係数算出手段81は、補正値Kを、1/F(|Δf|)として算出する。Δfは、変調度検出手段82によっては、検出される。Fは、可変BPF44のフィルタ関数Gの逆関数である。
図8は、IF信号と可変BPF44のフィルタ関数G(f)との関係を示す。エンベロープ算出手段80の出力信号を0に近付けて、ADF21から見ると、混変調時に図20のenv値を一定にすることで、ADF21の効果を弱めることができる。
図9は、補正値Kによって、ADF21から見た目上のエンベロープ値が一定になっている状態を示す。
図10および図11は、変調度検出器35から出力される変調度検出信号に時定数を掛けて誤検出を防止する状態を示す。図10は、過変調時の過変調検出信号に時定数を掛けて、ADF21の動作を禁止する係数更新制御信号がONとなる閾値Vthまで上昇するのに時間がかかっても、係数更新制御信号はONになることを示す。図11は、マルチパスノイズ発生時の変調度検出信号では、短時間であるので、時定数を掛けると閾値Vthまで上昇せず、係数更新制御信号はOFFを続け、ADF21の動作は禁止されず、マルチパスノイズ軽減が継続して行われる。
変調度検出器35は、過変調検出をFM検波信号レベルの最大値(MAXHOLD)を用いて行う。図11に示すように、マルチパスノイズ発生時にも、過変調時同様に、FM検波信号レベルが増大するため、変調度検出信号を用いて過変調の検出を行うと、マルチパスノイズ発生時にもADF動作を禁止してしまう可能性がある。そこで、こういった事態を回避するため、変調度検出信号に時定数を設けることで、過変調時とマルチパスノイズ発生時との切り分けを行う。過変調時は、変調度検出信号の発生時間が長くなるので、時定数を設けても充分に検出可能である。
本発明の実施のさらに他の形態としては、電界急変時とマルチパスノイズ発生時とを判断し、電界急変時にはADF21の動作を禁止することもできる。電界急変時とマルチパスノイズ発生時との切り分け方法としては、振幅と変調との相関の有無によって判断することで行う。変調との相関の有無を知る手法としては、変調度(周波数偏移)に対するIF信号の振幅の特異点の有無を用いることができる。
図12は、IF信号を検波した信号の周波数偏移Δfの時間変化を示す。振幅を複数のレベルL1,L2,…,L−1,L−2,…,に分けて周波数偏移Δfを分割する。
図13は、変調による周波数偏移Δfの分割したレベルと振幅との関係には、特異点が生じることを示す。特異点は、たとえば振幅を周波数偏移で微分して、ある程度大きな変化が生じたり、符号が反転したりする点として検出される。
図14は、ADF21の動作のON/OFFの判断基準を示す。振幅に変動が有り、かつ特異点があればマルチパスノイズ発生として、ADF21をONとする。振幅に変動が有り、特異点が存在しなければ電界急変時と判断して、ADF21の動作をOFFにして禁止する。振幅変動がなければ、ADF21の動作はOFFとする。
図15は、図14に示すようにADF21の動作をON/OFFするための構成を示す。電界急変判断手段91は、振幅検出手段92、ハイパスフィルタ(HPF)93、変動検出手段94およびFM検波器95を含む。振幅検出手段92は、たとえばSメータ信号に基づいてIF信号の振幅を検出する。ハイパスフィルタ93は高域成分を通過させ、変動検出手段94で変動分を検出する。FM検波器95は、IF信号を検波して周波数偏移Δfを検出する。周波数偏移Δfは、La,Lb,Lcなどの複数のレベルに、Δf分割手段95a,95b,95cによって分割され、レジスタ97a,97b,97cにそれぞれ格納される振幅に基づいて特異点を検出する。変動検出手段94が変動を検出し、かつ特異点検出手段が特異点を検出していることを、AND回路99で判断し、図14に示すようなマルチパス時の動作を行う。特異点検出手段98は、レジスタ97a,97b,97cに格納されるレベル特異点を検出する。
図16は、本発明の実施のさらに他の形態としてのマルチパスノイズ軽減装置100の概略的な構成を示す。マルチパスノイズ軽減装置100では、外来ノイズ判断手段102がIF信号に外来ノイズ混入と判断すると、ADF21の動作を禁止する。受信装置103では、目的の無線電波とともに、外来ノイズが混入する場合がある。外来ノイズ判断手段102は、SideSpectrum部抽出用フィルタ104および比較/制御フラグ生成部105を含む。外来ノイズの周波数成分は全帯域に存在しているために、IF信号に混入した外来ノイズ検出は、図17に示す−Δfmax〜Δfmax以外のSideSpectrum部分を抽出して行う。ただし、発生時間が短い単発系のノイズに対しては制御を行わずに、ある程度長い外来ノイズに対してその発生区間はADF21の動作を禁止するようにすることが好ましい。比較/制御フラグ生成部105は、そのような発生時間による制御を、たとえば、図10および図11のような時定数を掛けることなどで行う。
本発明の実施の一形態としてのマルチパスノイズ軽減装置20の概略的な構成を示すブロック図である。 図1のADF21による過変調時の歪悪化の副作用の例を示す波形図である。 本発明の実施の他の形態としてのマルチパスノイズ軽減装置40の概略的な構成を示すブロック図である。 本発明の実施のさらに他の形態としてのマルチパスノイズ軽減装置50の概略的な構成を示すブロック図である。 本発明の実施のさらに他の形態としてのマルチパスノイズ軽減装置60の概略的な構成を示すブロック図である。 本発明の実施のさらに他の形態としてのマルチパスノイズ軽減装置70の概略的な構成を示すブロック図である。 図3などのADF21の動作として、係数更新手法に、可変BPF44のフィルタ関数の逆関数を用いる構成を示すブロック図である。 図7で、IF信号と可変BPF44のフィルタ関数G(f)との関係を示すグラフである。 図7で、補正値Kによって、ADF21から見た目上のエンベロープ値が一定になっている状態を示す波形図である。 図1などの変調度検出器35から、混変調時に出力される変調度検出信号に時定数を掛けている状態を示す波形図である。 図1などの変調度検出器35から、マルチパスノイズ発生時に出力される変調度検出信号に時定数を掛けて、誤検出を防止する状態を示す波形図である。 IF信号の信号レベルの時間変化を示す波形図である。 変調による周波数偏移Δfの分割したレベルと振幅との関係には、特異点が生じることを示すグラフである。 ADF21の動作のON/OFFの判断基準を示す図表である。 図14に示すようにADF21の動作をON/OFFするための構成を示すブロック図である。 本発明の実施のさらに他の形態としてのマルチパスノイズ軽減装置100の概略的な構成を示すブロック図である。 外来ノイズのスペクトラムを示すグラフである。 従来からのマルチパスノイズ軽減装置1の概略的な構成を示すブロック図である。 図18のADF2でFM信号からマルチパスの影響で生じるマルチパス歪みを除去する演算処理のための構成を示すブロック図である 。 包絡線誤差e(n)と包絡線信号envとの関係を示す波形図である。
符号の説明
20,40,50,60,70,100 マルチパスノイズ軽減装置
21 ADF
22,42 過変調判断手段
23,43,53,63,73,103 受信装置
30,81 フィルタ係数算出手段
32 係数更新許可手段
35 変調度検出器
41 妨害検出手段
44 可変BPF
52 弱電界判断手段
54 電界強度情報取得手段
62 ダイバシティ制御ブロック
72 条件判断手段
91 電界急変判断手段
102 外来ノイズ判断手段

Claims (18)

  1. 受信信号のマルチパスの影響を軽減する適応フィルタと、
    係数の変更によって前記受信信号が劣化してしまう条件が成立しているか否かを判断する判断手段とを備え、
    前記適応フィルタは、
    マルチパスの影響を軽減するための係数を算出する算出手段と、
    算出された係数に基づいて係数を更新する更新手段と、
    前記判断手段による判断結果に基づいて前記係数の更新動作を抑制する更新許可手段とを具備することを特徴とする軽減装置。
  2. 前記判断手段は、前記受信信号に過変調が生じているか否かを判断することを特徴とする請求項1記載の軽減装置。
  3. 前記判断手段は、前記受信信号の周波数偏移量から変調度を検出する変調度検出手段と、前記変調度と予め定められている周波数帯域との比較を行う比較手段とを有することを特徴とする請求項2記載の軽減装置。
  4. 前記判断手段は、妨害波に対する混信対策に基づいて過変調が生じているか否かを判断することを特徴とする請求項記載の軽減装置。
  5. 妨害波の有無を検出する妨害波検出手段と、
    前記妨害波検出手段によって検出された妨害波に基づいて受信信号の通過帯域を制限する帯域通過フィルタとを具備し、
    前記判断手段は、前記受信信号の周波数偏移量から変調度を検出する変調度検出手段と、前記変調度と前記帯域通過フィルタによって制限された通過帯域との比較を行う比較手段とを有することを特徴とする請求項記載の軽減装置。
  6. 前記判断手段は、時定数に応じて変化させた信号に基づいて受信信号に過変調が生じているか否かを判断することを特徴とする請求項2または4記載の軽減装置。
  7. 前記判断手段は、前記受信信号の電界強度が弱電界以下の電界強度であるか否かを判断することを特徴とする請求項記載の軽減装置。
  8. 前記判断手段は、前記受信信号からの電界強度情報を取得する電界情報取得手段と、前記電界強度情報が弱電界であるか否かの比較を行う比較手段とを有することを特徴とする請求項7記載の軽減装置。
  9. 前記判断手段は、ダイバシティ受信動作に伴うアンテナ切換えの有無を判断することを特徴とする請求項1記載の軽減装置。
  10. 前記判断手段は、前記受信信号に外来ノイズが生じているか否かを判断することを特徴とする請求項記載の軽減装置。
  11. 受信信号のマルチパスの影響を軽減する適応フィルタと、
    前記受信信号に過変調が生じているか否かを判断する過変調判断手段と、
    前記受信信号の電界強度が弱電界以下の電界強度であるか否かを判断する弱電界判断手段とを備え、
    前記適応フィルタは、
    マルチパスの影響を軽減するための係数を算出する算出手段と、
    算出された係数に基づいて係数を更新する更新手段と、
    前記過変調判断手段および前記弱電界判断手段のいずれか一方による判断結果に基づいて前記係数の更新動作を抑制する更新許可手段とを具備することを特徴とする軽減装置。
  12. 前記過変調判断手段は、前記受信信号の周波数偏移量から変調度を検出する変調度検出手段と、前記変調度と帯域通過フィルタによって制限された通過帯域との比較を行う第1比較手段とを有し、
    前記弱電界判断手段は、前記受信信号から電界強度情報を取得する電界情報取得手段と、前記電界強度情報が弱電界であるか否かの比較を行う第2比較手段とを有することを特徴とする請求項11記載の軽減装置。
  13. 信号を受信するアンテナと、
    受信信号をデジタル信号に変換する変換手段と、
    受信信号のマルチパスの影響を軽減する適応フィルタと、
    係数の変更によって前記受信信号が劣化してしまう条件が成立しているか否かを判断する判断手段とを備え、
    前記適応フィルタは、
    マルチパスの影響を軽減するための係数を算出する算出手段と、
    算出された係数に基づいて係数を更新する更新手段と、
    前記判断手段による判断結果に基づいて前記係数の更新動作を抑制する更新許可手段とを具備することを特徴とする受信装置
  14. 信号を受信するアンテナと、
    受信信号をデジタル信号に変換する変換手段と、
    受信信号のマルチパスの影響を軽減する適応フィルタと、
    前記受信信号に過変調が生じているか否かを判断する過変調判断手段と、
    前記受信信号の電界強度が弱電界以下の電界強度であるか否かを判断する弱電界判断手段とを備え、
    前記適応フィルタは、
    マルチパスの影響を軽減するための係数を算出する算出手段と、
    算出された係数に基づいて係数を更新する更新手段と、
    前記過変調判断手段および前記弱電界判断手段のいずれか一方による判断結果に基づいて前記係数の更新動作を抑制する更新許可手段とを具備することを特徴とする受信装置。
  15. 前記過変調判断手段は、前記受信信号の周波数偏移量から変調度を検出する変調度検出手段と、前記変調度と帯域通過フィルタによって制限された通過帯域との比較を行う第1比較手段とを有し、
    前記弱電界判断手段は、前記受信信号から電界強度情報を取得する電界情報取得手段と、前記電界強度情報が弱電界であるか否かの比較を行う第2比較手段とを有することを特徴とする請求項14記載の受信装置。
  16. 信号のマルチパスの影響を軽減するための係数を算出する係数算出ステップと、
    前記係数の更新によって前記信号が劣化してしまう条件が成立しているか否かを判断する判断ステップと、
    該判断結果に基づいて前記係数の更新動作を抑制する更新許可ステップと、
    算出された係数に基づいて係数を更新する更新ステップとから成ることを特徴とする軽減方法。
  17. 信号のマルチパスの影響を軽減するための係数を算出する係数算出ステップと、
    前記信号に過変調が生じているか否かを判断する過変調判断ステップと、
    前記信号の電界強度が弱電界以下の電界強度であるか否かを判断する弱電界判断ステップと、
    前記過変調判断ステップおよび前記弱電界判断ステップのいずれか一方による判断結果に基づいて前記係数の更新動作を抑制する更新許可ステップと、
    算出された係数に基づいて係数を更新する更新ステップとから成ることを特徴とする軽減方法。
  18. 前記過変調判断ステップは、前記信号の周波数偏移量から変調度を検出する変調度検出ステップと、前記変調度と帯域通過フィルタによって制限された通過帯域との比較を行う第1比較ステップとから成り、
    前記弱電界判断ステップは、前記信号から電界強度情報を取得する電界情報取得ステップと、前記電界強度情報が弱電界であるか否かの比較を行う第2比較ステップとから成ることを特徴とする請求項17記載の軽減方法。
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