JP2018110296A - ノイズ検出装置、およびノイズ検出方法 - Google Patents

ノイズ検出装置、およびノイズ検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ノイズを正確に検出するノイズ検出装置およびノイズ検出方法を提供すること。【解決手段】実施形態に係るノイズ検出装置は、算出部と、対称化部と、検出部とを備える。算出部は、受信信号の周波数スペクトルに基づいて周波数スペクトルの上側波帯と周波数スペクトルの下側波帯との非対称成分を算出する。対称化部は、非対称成分に基づいて周波数スペクトルを補正して対称化する。検出部は、対称化部によって対称化された対称化周波数スペクトルに基づいてノイズを検出する。【選択図】図1

Description

開示の実施形態は、ノイズ検出装置、およびノイズ検出方法に関する。
放送波を受信した受信信号は、ノイズを含むことがある。ノイズは、例えば、車両のバッテリーの電力変換を行うスイッチング処理時に発生し、放送波を受信する際に受信信号に重畳される。従来、ノイズを含む受信信号からノイズを除去するために、ノイズを検出するノイズ検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ノイズを含む受信信号の周波数スペクトルでは、放送波は、搬送波の周波数を中心とした上側波帯および下側波帯で線対称(以下、「対称」とする。)となり、ノイズは、特定の周波数にのみ現れるため、上側波帯および下側波帯で非対称となることが知られている。そのため、周波数スペクトルで非対称成分を算出し、非対称成分をノイズとして検出することが考えられる。
特開2013−9066号公報
しかしながら、ラジオなどの放送波では、SFN(Single Frequency Network)などによって複数の放送波が干渉し、放送波が周波数スペクトルにおいて上側波帯および下側波帯で非対称となることがある。
このような場合に、上側波帯と下側波帯との非対称成分をノイズとして検出すると、放送波がノイズとして誤検出されるおそれがある。
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、ノイズを正確に検出することを目的とする。
実施形態の一態様に係るノイズ検出装置は、算出部と、対称化部と、検出部とを備える。算出部は、受信信号の周波数スペクトルに基づいて周波数スペクトルの上側波帯と周波数スペクトルの下側波帯との非対称成分を算出する。対称化部は、非対称成分に基づいて周波数スペクトルを補正して対称化する。検出部は、対称化部によって対称化された対称化周波数スペクトルに基づいてノイズを検出する。
実施形態の一態様によれば、ノイズを正確に検出することができる。
図1は、実施形態に係るノイズ検出の概要を示す図である。 図2は、第1実施形態に係る受信機の構成を示す概略ブロック図である。 図3は、第1実施形態に係るノイズ検出処理を説明するフローチャートである。 図4は、第1周波数スペクトルの一例を示す図である。 図5は、図4の第1周波数スペクトルが時間方向に平滑化された第2周波数スペクトルを示す図である。 図6は、図5の第2周波数スペクトルにおける第1差分を示す図である。 図7は、図6の第1差分を周波数方向に平滑化した平滑化後第1差分を示す図である。 図8は、図7の平滑化後第1差分に基づいて算出された非対称成分を示す図である。 図9は、図4の第1周波数スペクトルが対称化された第3周波数スペクトルを示す図である。 図10は、図9の第3周波数スペクトルを時間方向に平滑化した第4周波数スペクトルを示す図である。 図11は、図10の第4周波数スペクトルにおける第2差分である。 図12は、第2実施形態に係る受信機の構成を示す概略ブロック図である。 図13は、第2実施形態に係るノイズ検出処理を説明するフローチャートである。 図14は、第2周波数スペクトルの一例を示す図である。 図15は、図14の周波数スペクトルに対するピーク周波数の検出結果を示す図である。 図16は、図15のピーク周波数の検出結果に対する対称ピーク周波数の検出結果を示す図である。 図17は、図14の周波数スペクトルに対して、ピークカットが行われた第2周波数スペクトルを示す図である。
以下、添付図面を参照して、本願の開示するノイズ検出装置、およびノイズ検出方法を説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
また、以下の実施形態では、受信機が車両に搭載され、受信機であるラジオにノイズ検出装置が搭載される場合について説明する。受信機は、AM(Amplitude Modulation)変調されたラジオ放送波(以下、受信信号という。)を受信するものとする。
なお、受信機は、ラジオに限定されるものではなく、AM変調された信号を受信可能な通信機器であればよい。また、受信機は、車両に限定されず、例えば、列車や、飛行機などの移動体、ラジオ受信機やパソコンなどの電化製品などに搭載されてもよい。
受信信号には、搬送波と、音声信号である信号波とが含まれる。また、受信信号には、例えば、車両のバッテリーの電力変換を行うスイッチング処理時に発生するノイズが含まれることがある。
ノイズが含まれた受信信号がFFT(Fast Fourier Transform)処理されて得られた周波数スペクトルでは、信号波は、搬送波の周波数を中心として上側波帯および下側波帯で対称に現れることが知られている。また、ノイズは、特性の周波数にのみ現れ、上側波帯および下側波帯で非対称に現れることが知られている。例えば、ノイズは、上側波帯の特定の周波数にのみ現れる。
なお、「上側波帯および下側波帯で対称」とは、搬送波の周波数を中心に上側波帯および下側波帯の周波数が対称となり、かつ上側波帯のレベルと下側波帯のレベルとの差分の絶対値が、所定値よりも小さい状態を含む。所定値は、予め設定された値であり、ノイズであるか否かの判定可能な値である。すなわち、所定値は、上側波帯のレベルと下側波帯のレベルとの差分の絶対値が所定値よりも小さい場合にはノイズではないと判定される値である。
ノイズは、上側波帯および下側波帯で非対称に現れるため、上側波帯と下側波帯とを比較し、上側波帯と下側波帯との非対称成分を検出することで、ノイズを検出することができる。
しかし、受信機が、SFNや、マルチパスや、隣接妨害等による放送波が干渉した状態で受信信号を受信した場合、信号波が上側波帯および下側波帯で非対称に現れることがある。そのため、上側波帯と下側波帯とを比較してノイズを検出する場合に、本来、ノイズとは判定されない周波数の信号がノイズであると誤検出され、ノイズを正確に検出することができないおそれがある。
そこで、以下の方法により、ノイズ検出装置は、SFN等により放送波が干渉した状態でもノイズを正確に検出できることとした。
ノイズ検出装置は、受信信号にFFT処理を行い、周波数スペクトルを算出する(S1)。ノイズ検出装置は、周波数スペクトルに基づいて上側波帯と下側波帯との非対称成分を算出する(S2)。
ノイズ検出装置は、非対称成分を用いて、上側波帯および下側波帯が搬送波を中心として対称となるように周波数スペクトルを補正し、周波数スペクトルを対称化する(S3)。これにより、放送波が干渉した影響を低下させた周波数スペクトルを得ることができる。
そして、ノイズ検出装置は、対称化した周波数スペクトル(対称化周波数スペクトル)を用いてノイズを検出する(S4)。ノイズ検出装置は、対称化した周波数スペクトルの上側波帯と、対称化した周波数スペクトルの下側波帯とを比較し、上側波帯のレベルと下側波帯のレベルとの差分の絶対値が所定値以上となる周波数の信号をノイズであると判定し、ノイズを検出する。
このように、ノイズ検出装置は、上側波帯と下側波帯との非対称成分に基づいて補正されて対称化された周波数スペクトルを用いてノイズを検出することで、放送波が干渉した状態でもノイズを正確に検出することができる。
次に、第1実施形態に係る受信機1について図2を参照し説明する。図2は、第1実施形態に係る受信機1の構成を示す概略ブロック図である。
受信機1は、RF/IF部2と、A/D変換部3と、FFT部4と、ノイズ除去装置5と、出力部6とを備える。また、受信機1には、アンテナ20が接続される。なお、ノイズ除去装置5は、ノイズを検出するノイズ検出装置でもある。
アンテナ20は、様々なラジオ放送局から送信される複数の信号を受信する。アンテナ20によって受信される受信信号には、所定周波数(例えば、RF(Radio Frequency)帯)の搬送波、音声信号である信号波およびノイズ等が含まれる。
RF/IF部2は、アンテナ20において受信した受信信号から受信すべき放送波の信号を抽出して増幅し、高周波信号(RF信号)増幅回路や、中間周波信号(IF信号)増幅回路等により構成され、その処理信号であるIF信号はA/D変換部3に出力される。
A/D変換部3は、RF/IF部2から入力されたIF信号をデジタル信号に変換する。
FFT部4は、デジタル信号に変換されたIF信号にFFT処理を行い、IF信号の周波数スペクトル(以下、「第1周波数スペクトル」という。)を算出する。
ノイズ除去装置5は、第1平滑化部50と、第1差分算出部51と、第2平滑化部52と、非対称成分算出部53と、対称化部54と、第3平滑化部55と、第2差分算出部56と、ノイズ検出部57と、ノイズ除去部58とを備える。
第1平滑化部50は、第1周波数スペクトルに対し、時間方向に平滑化を行い、時間方向における平滑化後の周波数スペクトルを算出する。
周波数を「f」、時刻を「t」、時間方向における平滑化後の周波数スペクトルを「fft_dB_ave(f,t)」、時刻tにおけるレベルを「fft_dB(f,t)」、平滑化時定数を「α1」とすると、時間方向における平滑化後の周波数スペクトルfft_dB_ave(f,t)は、式(1)および(2)に基づいて算出される。なお、式(1)および(2)は、各サンプリング周期毎に繰り返し計算され、そのつど、平滑化後の周波数スペクトルが更新されていく。
Figure 2018110296

Figure 2018110296
なお、「buf_fft_dB(f,t)」は、計算結果を保持するためのバッファである。式(1)において、「f」は、1≦f≦nfftの関係を満たす。「nfft」は、FFT次数である。
第1平滑化部50は、式(1)および(2)を用いて、FFT部4から出力された第1周波数スペクトルに基づいて時間方向における平滑化後の周波数スペクトル(以下、「第2周波数スペクトル」という。)を算出する。
第1差分算出部51は、第2周波数スペクトルの上側波帯と、第2周波数スペクトルの下側波帯との差分を算出する。
差分を「diff_fft_dB(f,t)」とすると、差分diff_fft_dB(f,t)は、式(3)に基づいて算出される。
Figure 2018110296
なお、「f」は、1≦f≦nfft/2の関係を満たす。
第1差分算出部51は、式(3)を用いて、第2周波数スペクトルに基づいて差分(以下、「第1差分」という。)を算出する。
第2平滑部は、第1差分に対し、周波数方向に平滑化を行い、周波数方向における平滑化後の第1差分を算出する。
周波数方向における平滑化後の差分を「diff_fft_dB_ave(f,t)」とし、平滑化個数を「2m+1」とすると、周波数方向における平滑化後の差分diff_fft_dB_ave(f,t)は、式(4)に基づいて算出される。
Figure 2018110296
第2平滑化部52は、式(4)を用いて、第1差分に基づいて周波数方向における平滑化後の第1差分(以下、「平滑化後第1差分」という。)を算出する。
なお、第1差分は第2周波数スペクトルに基づいて算出されるものである。そのため、第2平滑化部52は、周波数スペクトルを周波数方向に平滑化するともいえる。
非対称成分算出部53は、平滑化後第1差分に基づいて非対称成分を算出する。なお、非対称成分は、上側波帯および下側波帯でそれぞれ算出される。
上側波帯の非対称成分を「asym_dB(f,t)」とすると、上側波帯の非対称成分asym_dB(f,t)は、式(5)に基づいて算出される。下側波帯の非対称成分を「asym_dB(nfft−f,t)」とすると、下側波帯の非対称成分asym_dB(nfft−f,t)は、式(6)に基づいて算出される。
Figure 2018110296

Figure 2018110296
非対称成分算出部53は、式(5)および(6)を用いて、平滑化後第1差分に基づいて非対称成分を算出する。
対称化部54は、非対称成分に基づいて第1周波数スペクトルを補正することで対称化し、対称化した周波数スペクトル(以下、「第3周波数スペクトル」という。)を算出する。
第3周波数スペクトルを「comp_asym_dB(f,t)」とすると、第3周波数スペクトルcomp_asym_dB(f,t)は、式(7)に基づいて算出される。
Figure 2018110296
なお、「asym_dB(fj,ti)」には、式(6)の「asym_dB(nfft−f,t)」が含まれており、非対称成分に基づき、第1周波数スペクトルは、上側波帯および下側波帯において対称化が行われる。
非対称成分により第1周波数スペクトルが対称化されることで、第3周波数スペクトルでは、上側波帯と下側波帯とが搬送波の周波数を中心に、第1周波数スペクトルよりも対称となる。
第3平滑化部55は、第3周波数スペクトルに対し、時間方向に平滑化を行い、時間方向における平滑化後の第3周波数スペクトル(以下、「第4周波数スペクトル」という。)を算出する。第3平滑化部55は、上記式(1)および(2)を用いて、第3周波数スペクトルに基づいて第4周波数スペクトルを算出する。
第2差分算出部56は、第4周波数スペクトルの上側波帯と、第4周波数スペクトルの下側波帯との差分(以下、「第2差分」という。)を算出する。第2差分算出部56は、上記式(3)を用いて、第4周波数スペクトルに基づいて第2差分を算出する。
ノイズ検出部57は、第2差分に基づいてノイズを検出する。具体的には、ノイズ検出部57は、第2差分の絶対値、すなわち第4周波数スペクトルの上側波帯のレベルと第4周波数スペクトルの下側波帯のレベルとの差の絶対値が所定値よりも大きい周波数をノイズ周波数として検出する。
ノイズ除去部58は、第2差分に基づいてノイズを除去する。例えば、ノイズ除去部58は、第2差分に基づいてノイズを低下させるように係数を算出し、係数を用いて第1差分の大きさに基づいてノイズを除去する。第2差分が大きくなるほど、ノイズ周波数におけるレベルの低下量は大きくなる。
出力部6は、ノイズ除去装置5から出力された信号を、アナログ信号に変換し、スピーカ等の外部装置へ出力する。
次に、ノイズ検出処理について、図3を参照し説明する。図3は、ノイズ検出処理を説明するフローチャートである。
第1平滑化部50は、第1周波数スペクトルを時間方向に平滑化し、第2周波数スペクトルを算出する(S10)。
第1平滑化部50によって、第1周波数スペクトルが時間方向に平滑化されることで、例えば、図4に示す第1周波数スペクトルから、図5に示す第2周波数スペクトルが算出される。図4は、第1周波数スペクトルの一例を示す図である。図5は、図4の第1周波数スペクトルが時間方向に平滑化された第2周波数スペクトルを示す図である。
図4に示す第1周波数スペクトルでは、SFN等による複数の放送波が干渉することで、上側波帯と下側波帯とは、搬送波の周波数fcを中心に対称とはならない。なお、図4に示す第1周波数スペクトルでは、受信信号にノイズが含まれていないものとする。第2周波数スペクトルは、第1周波数スペクトルに対して、レベルの変動が抑制されたなだらかな周波数スペクトルとなる。
第1差分算出部51は、第2周波数スペクトルに基づいて上側波帯と下側波帯との差分である第1差分を算出する(S11)。
第1差分算出部51によって算出される第1差分の一例を図6に示す。図6は、図5の第2周波数スペクトルにおける第1差分を示す図である。SFN等により複数の放送波が干渉することで、第1差分が大きくなる。
第2平滑化部52は、第1差分を周波数方向に平滑化し、平滑化後第1差分を算出する(S12)。
第2平滑化部52によって周波数方向に平滑化された平滑化後第1差分の一例を図7に示す。図7は、図6の第1差分を周波数方向に平滑化した平滑化後第1差分を示す図である。平滑化後第1差分は、第1差分に対して、レベルの変動が抑制されたなだらかな差分となる。
非対称成分算出部53は、平滑化後第1差分に基づいて非対称成分を算出する(S13)。
非対称成分算出部53によって算出された非対称成分の一例を図8に示す。図8は、図7の平滑化後第1差分に基づいて算出された非対称成分を示す図である。図8では、上側波帯の非対称成分および下側波帯の非対称成分が搬送波の周波数fcを中心に示されている。
対称化部54は、非対称成分を用いて第1周波数スペクトルを対称化し第3周波数スペクトルを算出する(S14)。
対称化部54によって第1周波数スペクトルが対称化された第3周波数スペクトルの一例を図9に示す。図9は、図4の第1周波数スペクトルが対称化された第3周波数スペクトルを示す図である。対称化部54によって対称化されることで、完全には対称とはならないものの、第3周波数スペクトルでは、上側波帯と下側波帯とが、図4に示す第1周波数スペクトルよりも搬送波の周波数fcを中心に対称となる。
第3平滑化部55は、第3周波数スペクトルを時間方向に平滑化し、第4周波数スペクトルを算出する(S15)。
第3平滑化部55によって算出された第4周波数スペクトルの一例を図10に示す。図10は、図9の第3周波数スペクトルを時間方向に平滑化した第4周波数スペクトルを示す図である。第4周波数スペクトルでは、上側波帯と下側波帯とが、図5に示す第2周波数スペクトルよりも搬送波の周波数fcを中心に対称となる。
第2差分算出部56は、第4周波数スペクトルに基づいて、上側波帯と下側波帯との差分である第2差分を算出する(S16)。
第2差分算出部56によって算出される第2差分の一例を図11に示す。図11は、図10の第4周波数スペクトルにおける第2差分を示す図である。第2差分では、図6に示す第1差分に対して、差分が小さくなっている。
ノイズ検出部57は、第2差分に基づいてノイズを検出する(S17)。
図11に示す第2差分では、各周波数において第2差分の絶対値が所定値よりも小さいため、ノイズは検出されない。
なお、S10〜S12の処理は、上記順番に限られることはない。例えば、第2平滑化部52は、時間方向に平滑化された第2周波数スペクトルを周波数方向に平滑化してもよく、第1差分算出部51は、周波数方向に平滑化された第2周波数スペクトルに基づいて、上側波帯と下側波帯との差分(第1差分)を算出してもよい。
ここで、本実施形態のノイズ検出処理が用いられず、非対称成分により第1周波数スペクトルを対称化しない比較例について説明する。比較例では、例えば、図6に示す第1差分に基づいてノイズ検出が行われる。
図6に示す第1差分では、領域「A1」〜「A3」に含まれる周波数のレベルにおける差分の絶対値が所定値以上となる。このような差分は、SFN等により放送波が干渉により生じる差分であり、ノイズにより発生するものではない。しかし、差分の絶対値が所定値以上となるため、比較例では、領域「A1」〜「A3」に含まれる周波数がノイズ周波数として誤検出されるおそれがある。そして、誤検出された場合、これらの周波数のレベルが低下されるので、放送波の音声信号のレベルが低下するおそれがある。
一方、本実施形態では、非対称成分により第1周波数スペクトルを対称化した第3周波数スペクトルを用いて算出された第2差分に基づき、ノイズ周波数が検出される。そのため、SFN等により放送波が干渉している場合であっても、比較例と比較してノイズ周波数が誤検出されることを抑制することができる。このように、ノイズを正確に検出することができる。また、音声信号のレベルが低下することを抑止することができる。
また、時間方向に平滑化した第2周波数スペクトルに基づいて非対称成分が算出される。そのため、SFN等により放送波が干渉による非対称成分を正確に算出することができ、正確に対称化した第3周波数スペクトルを算出することができる。従って、ノイズをより正確に検出することができる。また、音声信号のレベルが低下することを抑止することができる。
また、周波数方向に平滑化した第2周波数スペクトルに基づいて非対称成分が算出される。そのため、SFN等により放送波が干渉による非対称成分を正確に算出することができ、正確に対称化した第3周波数スペクトルを算出することができる。従って、ノイズをより正確に検出することができる。また、音声信号のレベルが低下することを抑止することができる。
次に、第2実施形態に係る受信機1について図12を参照し説明する。図12は、第2実施形態に係る受信機1の構成を示す概略ブロック図である。ここでは、第1実施形態と異なる箇所を中心に説明し、第1実施形態と同じ構成については、第1実施形態と同じ符号を付し、詳しい説明は省略する。
ノイズ除去装置5は、第1平滑化部50と、ピーク検出部59と、ピークカット部60と、第1差分算出部51と、第2平滑化部52と、非対称成分算出部53と、対称化部54と、第3平滑化部55と、第2差分算出部56と、ノイズ検出部57と、ノイズ除去部58とを備える。
ピーク検出部59は、第2周波数スペクトルにおいてレベルがピークとなるピーク周波数を検出する。
具体的には、ピーク検出部59は、或る周波数のレベルと、或る周波数の前後の周波数のレベルとを比較する。そして、或る周波数のレベルが、前後の周波数のレベルよりも大きい場合に、或る周波数のレベルがピークであると判定する。そして、ピーク検出部59は、ピークとなる周波数のうち、予め設定された所定レベル以上のレベルを有する周波数を、ピーク周波数として検出する。なお、搬送波の周波数は、ピーク周波数として検出されない。
また、ピーク検出部59は、搬送波の周波数を中心に上側波帯および下側波帯で対称となる位置に現れるピーク周波数を対称ピーク周波数として検出する。なお、対称ピーク周波数は、搬送波の周波数を中心に上側波帯および下側波帯で完全に対称となる位置に現れるピーク周波数である。
ピークカット部60は、第2周波数スペクトルに対して、ピーク検出部59によって検出したピーク周波数のレベルを低下させるピークカットを行う。例えば、ピークカット部60は、ピーク周波数のレベルを、ピーク周波数の前後の周波数のレベルの平均値、または予め設定されたレベルにする。
なお、ピークカット部60は、全てのピーク周波数、すなわち対称ピーク周波数、対称ピーク周波数ではない非対称ピーク周波数でピークカットを行う。
第1差分算出部51は、ピークカット部60によってピークカットが行われた第2周波数スペクトルに基づいて第1差分を算出する。この第1差分に基づいて非対称成分算出部53によって算出される非対称成分は、第1実施形態の非対称成分と比較すると、ピークとなるレベルの影響が小さい。
第2差分算出部56は、第3周波数スペクトルが時間方向に平滑化された第4周波数スペクトルを用いて第2差分を算出する。この第2差分は、第1実施形態の第2差分と比較してピーク周波数における差分が大きくなる。
ノイズ検出部57は、第2差分に基づいてノイズを検出する。具体的には、ノイズ検出部57は、第2差分の絶対値が所定値よりも大きい周波数のうち、対称ピーク周波数を除いた周波数を、ノイズ周波数として検出する。ノイズは搬送波の周波数を中心として上側波帯および下側波帯で非対称となる位置に現れる。そのため、ノイズ検出部57は、対称ピーク周波数をノイズ周波数ではないと判定し、対称ピーク周波数を除いたピーク周波数を、ノイズ周波数として検出する。また、ノイズ検出部57は、第2差分の絶対値が所定値よりも大きい周波数のうち、対称ピーク周波数を、ノイズ周波数として検出しない。
なお、ノイズ検出部57は、第2差分の絶対値が所定値よりも大きい全ての周波数をノイズ周波数として検出してもよい。この場合、ノイズ除去部58によってノイズを除去する場合に、対称ピーク周波数の信号がノイズとして処理されない。この場合、ノイズ除去部58がノイズ検出部57としての機能を有することとなる。
次に、第2実施形態に係るノイズ検出処理について図13を参照し説明する。図13は、第2実施形態に係るノイズ検出処理を説明するフローチャートである。
第1平滑化部50は、第1周波数スペクトルを時間方向に平滑化し、第2周波数スペクトルを算出する(S20)。
ピーク検出部59は、第2周波数スペクトルに基づいてピーク周波数を検出し(S21)、対称ピーク周波数を検出する(S22)。
例えば、図14に示す第2周波数スペクトルでは、周波数「B1」、「B2」および「B3」で、レベルがピークとなり、かつレベルが所定レベル以上となっている。この場合、ピーク検出部59は、図15に示すように、周波数「B1」、「B2」および「B3」をピーク周波数として検出する。図14は、第2周波数スペクトルの一例を示す図である。図15は、図14の周波数スペクトルに対するピーク周波数の検出結果を示す図である。図15では、ピーク周波数である場合、「1」となる。なお、図15では、説明のため、ピーク周波数ではない周波数の一部を省略している。
図15に示すピーク周波数の検出結果では、ピーク周波数「B2」と「B3」とが搬送波の周波数fcを中心に対称の位置にあり、図16に示すように対称ピーク周波数となる。図16は、図15のピーク周波数の検出結果に対する対称ピーク周波数の検出結果を示す図である。なお、図15では、説明のため、対称ピーク周波数ではない周波数の一部を省略している。
ピークカット部60は、ピーク周波数のレベルを低下させるピークカットを行う(S23)。
ピークカット部60によってピークカットが行われた第2周波数スペクトルの一例を図17に示す。図17は、図14の周波数スペクトルに対して、ピークカットが行われた第2周波数スペクトルを示す図である。図17の第2周波数スペクトルでは、ピーク周波数「B1」、「B2」および「B3」におけるレベルが、図14に示す周波数スペクトルに対して小さくなっている。
第1差分算出部51は、ピークカットが行われた第2周波数スペクトルに基づいて第1差分を算出する(S24)。
第2平滑化部52は、第1差分を周波数方向に平滑化し、平滑化後第1差分を算出する(S25)。
非対称成分算出部53は、平滑化後第1差分に基づいて非対称成分を算出する(S26)。
対称化部54は非対称成分を用いて第1周波数スペクトルを対称化し第3周波数スペクトルを算出する(S27)。
第3平滑化部55は、第3周波数スペクトルを時間方向に平滑化し、第4周波数スペクトルを算出する(S28)。
第2差分算出部56は、第4周波数スペクトルに基づいて上側波帯と下側波帯との差分である第2差分を算出する(S29)。
ノイズ検出部57は、第2差分に基づいてノイズを検出する(S30)。
なお、ピーク検出部59は、第1周波数スペクトルに基づいてピーク周波数を検出してもよい。
第2実施形態では、ピーク検出部59によってピーク周波数が検出され、ピークカット部60によって第2周波数スペクトルからピーク周波数のレベルを低下させるピークカットが行われる。そして、ピークカットが行われた第2周波数スペクトルを用いて算出された第1差分に基づいて、非対称成分算出部53によって非対称成分が算出される。
これにより、ピーク周波数のレベルの影響が小さい非対称成分を算出することができ、非対称成分を用いて第1周波数スペクトルが対称化された第3周波数スペクトルでは、ピーク周波数のレベルが、第1実施形態のレベルよりも大きくなる。
従って、受信信号にノイズが含まれる場合には、ノイズ周波数において第2差分が大きくなるので、ノイズを正確に検出することができる。また、ノイズを除去する際に第2差分に応じてノイズ低下量を算出する場合には、ノイズ低下量が小さくなることを抑制することができる。そのため、ノイズを適切に除去することができる。
また、対称ピーク周波数が、ノイズ周波数として検出されないので、ノイズの可能性が低い対称ピーク周波数の信号がノイズとして処理されない。そのため、音声信号のレベルが低下することを抑制することができる。
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
第2実施形態では、ピークカット部60は、ピーク周波数の全てにおいてピークカットを行っているが、これに限定されない。ピークカット部60は、上側波帯および下側波帯で非対称となる位置に現れるピーク周波数、すなわち対称ピーク周波数を除いたピーク周波数のレベルのみを低下させてもよい。
これにより、ノイズの可能性が高いピーク周波数のみが反映された非対称成分が算出される。そのため、第2差分は、ノイズの可能性が高い周波数のみで差分が大きくなり、ノイズ検出部57によってノイズをより正確に検出することができる。
また、上記実施形態において、各部や装置における処理は、統合され、または分離されて行われてもよい。例えば、第1差分算出部51と第2差分算出部56とを統合して、1つの算出部としてもよい。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
1 :受信機
5 :ノイズ除去装置
50 :第1平滑化部(時間方向平滑化部)
51 :第1差分算出部
52 :第2平滑化部(周波数方向平滑化部)
53 :非対称成分算出部(算出部)
54 :対称化部
55 :第3平滑化部
56 :第2差分算出部
57 :ノイズ検出部(検出部)
58 :ノイズ除去部
59 :ピーク検出部(ピーク周波数検出部)
60 :ピークカット部

Claims (7)

  1. 受信信号の周波数スペクトルに基づいて前記周波数スペクトルの上側波帯と前記周波数スペクトルの下側波帯との非対称成分を算出する算出部と、
    前記非対称成分に基づいて前記周波数スペクトルを補正して対称化する対称化部と、
    前記対称化部によって対称化された対称化周波数スペクトルに基づいてノイズを検出する検出部と
    を備えることを特徴とするノイズ検出装置。
  2. 前記周波数スペクトルを時間方向に平滑化する時間方向平滑化部
    を備え、
    前記算出部は、
    前記時間方向に平滑化された前記周波数スペクトルに基づいて前記非対称成分を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載のノイズ検出装置。
  3. 前記周波数スペクトルを周波数方向に平滑化する周波数方向平滑化部
    を備え、
    前記算出部は、
    前記周波数方向に平滑化された前記周波数スペクトルに基づいて前記非対称成分を算出する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のノイズ検出装置。
  4. 前記周波数スペクトルでレベルがピークとなるピーク周波数を検出するピーク周波数検出部と、
    前記ピーク周波数のレベルを低下させるピークカットを行うピークカット部と
    を備え、
    前記算出部は、
    前記ピークカットされた前記周波数スペクトルに基づいて前記非対称成分を算出する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のノイズ検出装置。
  5. 前記ピークカット部は、
    前記上側波帯と前記下側波帯とで非対称位置に前記ピークが現れる前記ピーク周波数に対してのみ前記ピークカットを行う
    ことを特徴とする請求項4に記載のノイズ検出装置。
  6. 前記検出部は、
    前記上側波帯と前記下側波帯とで対称位置に前記ピークが現れる前記ピーク周波数の信号を前記ノイズとして検出しない
    ことを特徴とする請求項4または5に記載のノイズ検出装置。
  7. 受信信号の周波数スペクトルに基づいて前記周波数スペクトルの上側波帯と前記周波数スペクトルの下側波帯との非対称成分を算出する算出工程と、
    前記非対称成分に基づいて前記周波数スペクトルを補正して対称化する対称化工程と、
    対称化された対称化周波数スペクトルに基づいてノイズを検出する検出工程と
    を含むことを特徴とするノイズ検出方法。
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