JP4229259B2 - 積層型ジアセチレン重合体及びその単量体、並びにこれらの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジアセチレン誘導体が重合して得られる結晶性の高分子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
固相重合の一形態であるトポケミカル(topochemical)重合では、モノマーの重心の位置や結晶の対称性を維持した状態のまま、原子や置換基の最小限の動きを伴って反応が進行する。そのため、このトポケミカル重合によって得られる生成物の構造は、モノマーの反応性等の化学的性質だけではなく、モノマーが形成する結晶の配列様式に支配される。このように、トポケミカル重合では、結晶格子支配下にて重合反応が進行するため、立体特異性や立体選択性に優れたポリマーを設計することができる。
【0003】
このようなトポケミカル重合として、ムコン酸誘導体やソルビン酸誘導体等の1,3−ジエンモノマーの重合、ジアセチレンの固相重合反応、LB(Langmuir-Blodgett)膜等の累積膜中での重合等が知られている。これらのトポケミカル重合によって、結晶性のポリマーを得ることができる。
【0004】
このうち、上記ジアセチレンのトポケミカル重合によって得られるポリジアセチレンは、共役系のポリマーであり、可視領域に強い吸収を有する有色のポリマーであることが知られている。そのため、このポリジアセチレンを用いることによって、特定の吸収波長を有する新規な機能性高分子を得ることができると期待される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ジアセチレンのトポケミカル重合の反応性を予測することが困難であり、それゆえ、このトポケミカル重合によって得られるポリジアセチレンの結晶構造を予測することが困難であるという問題を有している。つまり、上記ポリジアセチレンでは、結晶中のポリマー鎖の配列状態を制御することが困難となっている。従って、トポケミカル重合によって得られるポリジアセチレンの結晶構造が、重合条件等の種々の条件に応じて異なる場合、目的とする吸収特性を備えたポリジアセチレンを得ることが困難となる。
【0006】
一方、上記ポリジアセチレンを機能性高分子として利用する場合、所定の反応条件下にて、一定の結晶構造を有するポリジアセチレンを得、安定な機能を発揮することができる機能性高分子を提供することが望まれる。つまり、トポケミカル重合によって得られる結晶中におけるポリマー鎖の配列状態を制御し、特定の吸収特性を有するポリジアセチレンを得ることが望まれる。このように、反応条件を設定することによって、目的とする吸収特性を有するポリジアセチレンを再現性よく得ることができなければ、ポリジアセチレンを機能性高分子として利用することは困難となる。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、結晶中でのポリマー鎖の配列状態を制御した高分子を得るために、層状構造を有する結晶性のポリジアセチレンを含む新規な高分子を得るとともに、その単量体、並びにこれらの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意検討を行った結果、単量体として、以下にて説明するカルボン酸アンモニウム塩の結晶を得るとともに、該カルボン酸アンモニウム塩の結晶を重合してなる積層型ジアセチレン重合体を得、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明の積層型ジアセチレン重合体の単量体であるカルボン酸アンモニウム塩の結晶は、カルボン酸と、アミンとをイオン結合により組み合わせてなるカルボン酸アンモニウム塩の結晶であって、カルボン酸層とアンモニウム層とが交互に層状に積層した結晶となり、上記カルボン酸及び上記アミンのうちの一方の化合物がジアセチレン誘導体であり、上記カルボン酸のジアセチレン誘導体は、以下にカルボン酸のジアセチレン誘導体として、例示する各化合物の何れかであり、上記アミンのジアセチレン誘導体は、以下にアミンのジアセチレン誘導体として例示する各化合物の何れかであることを特徴としている。
【0010】
上記ジアセチレン誘導体とは、炭素−炭素三重結合を2つ有しているカルボン酸又はアミンであれば特に限定されるものではなく、炭素−炭素三重結合が形成されている位置についても限定されるものではない。また、ジアセチレン誘導体に含まれるカルボキシル基又はアミノ基は、1つ以上含まれていればよく、カルボキシル基やアミノ基以外の置換基を含んでいてもよい。さらに、上記ジアセチレン誘導体としてのカルボン酸又はアミンの他、ジアセチレン誘導体以外のカルボン酸又はアミンを含んでいてもよい。
【0011】
具体的には、少なくとも1種類のカルボン酸がジアセチレン誘導体である場合、該カルボン酸は、一般式(1)
X1−(CH2)m−C≡C−C≡C−(CH2)n−COOH (1)
(式中、X1はCOOH又はHであり、m,nはそれぞれ、0以上18以下の整数を示す)にて表され、少なくとも1種類のアミンがジアセチレン誘導体である場合、該アミンは、一般式(2)
Y1−(CH2)p−C≡C−C≡C−(CH2)q−NH2 (2)
(式中、Y1はNH2又はHであり、p,qはそれぞれ、0以上18以下の整数を示す)にて表されることが好ましい。
【0012】
例えば、上記ジアセチレン誘導体であるカルボン酸として、2,4−ヘキサジインカルボン酸、2,4−ヘプタジインカルボン酸、2,4−オクタジインカルボン酸、2,4−デカジインカルボン酸、2,4−ドデカジインカルボン酸、2,4−テトラデカジインカルボン酸、2,4−ペンタデカジインカルボン酸、2,4−ヘキサデカジインカルボン酸、2,4−オクタデカジインカルボン酸、2,4−ノナデカジインカルボン酸、10,12−テトラデカジインカルボン酸、10,12−ペンタデカジインカルボン酸、10,12−ヘキサデカジインカルボン酸、10,12−ヘプタデカジインカルボン酸、10,12−オクタデカジインカルボン酸、10,12−トリコサジインカルボン酸、10,12−ペンタコサジインカルボン酸、10,12−ヘキサコサジインカルボン酸、10,12−ヘプタコサジインカルボン酸、10,12−オクタコサジインカルボン酸、10,12−ノナコサジインカルボン酸等を挙げることができる。さらに、2,4−ヘキサジインジカルボン酸、3,5−オクタジインジカルボン酸、4,6−デカジインジカルボン酸、8,10−オクタデカジインジカルボン酸等のジカルボン酸も挙げることができる。
【0013】
また、上記ジアセチレン誘導体であるアミンとして、2,4−ヘキサジイニルアミン、2,4−ヘプタジイニルアミン、2,4−オクタジイニルアミン、2,4−デカジイニルアミン、2,4−ドデカジイニルアミン、2,4−テトラデカジイニルアミン、2,4−ペンタデカジイニルアミン、2,4−ヘキサデカジイニルアミン、2,4−オクタデカジイニルアミン、2,4−ノナデカジイニルアミン、10,12−テトラデカジイニルアミン、10,12−ペンタデカジイニルアミン、10,12−ヘキサデカジイニルアミン、10,12−ヘプタデカジイニルアミン、10,12−オクタデカジイニルアミン、10,12−トリコサジイニルアミン、10,12−ペンタコサジイニルアミン、10,12−ヘキサコサジイニルアミン、10,12−ヘプタコサジイニルアミン、10,12−オクタコサジイニルアミン、10,12−ノナコサジイニルアミン等を挙げることができる。さらに、2,4−ヘキサジイニルジアミン、3,5−オクタジイニルジアミン、4,6−デカジイニルジアミン、8,10−オクタデカジイニルジアミン等のジアミンも挙げることができる。
【0014】
また、少なくとも1種類のカルボン酸がジアセチレン誘導体である場合、上記アミンは、下式
R1−NH2
(式中、R1は官能基を有していてもよい炭化水素基)にて表され、少なくとも1種類のアミンがジアセチレン誘導体である場合、上記カルボン酸は、下式
R2−COOH
(式中、R2は官能基を有していてもよい炭化水素基)にて表されることが好ましい。
【0015】
上記官能基とは、炭化水素基以外の置換基を指すものとする。また、上記R1及びR2は、ヘテロ原子や官能基、不飽和基を有していてもよい炭化水素基であって、特に限定されるものではない。特に、層状構造に優れたカルボン酸アンモニウム塩を取得する場合には、上記R1及びR2は、メチル基、ハロゲン、メトキシ基等を有するベンジル基、炭素数が8以上の鎖式アルキル基、ナフチル基、ナフチルメチル基であることが好ましい。
【0016】
例えば、R1−NH2にて表されるアミンとして、ベンジルアミン、メチルベンジルアミン、クロロベンジルアミン、ブロモベンジルアミン、メトキシベンジルアミン、オクチルアミン,デシルアミン,ドデシルアミン、テトラデシルアミン,ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ナフチルアミン,ナフチルメチルアミン等を挙げることができる。また、R2−COOHにて表されるカルボン酸として、例えば、安息香酸、メチル安息香酸、クロロ安息香酸、ブロモ安息香酸、メトキシ安息香酸、フェニル酢酸、メチルフェニル酢酸、クロロフェニル酢酸、ブロモフェニル酢酸、メトキシフェニル酢酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ナフタレンカルボン酸、ナフチル酢酸等を挙げることができる。
【0017】
上記のカルボン酸アンモニウム塩の結晶を用いれば、積層型ジアセチレン重合体を得ることができる。すなわち、上記カルボン酸のカルボキシル基と上記アミンのアミノ基とのイオン結合によって、カルボン酸及びアミンの配列規制がなされたカルボン酸アンモニウム塩の結晶が形成される。このとき形成されたカルボン酸アンモニウム塩の結晶は、カルボン酸層とアンモニウム層とが交互に層状に積層した結晶となっている。
【0018】
従って、このカルボン酸アンモニウム塩の結晶を重合することによって、重合によって得られるポリマー鎖の配向方向を制御することができ、カルボン酸層及びアンモニウム層からなる層状構造を有する積層型ジアセチレン重合体を得ることができる。また、積層型ジアセチレン重合体の層状構造は、用いたカルボン酸アンモニウム塩の種類に応じて変化する。そのため、用いるカルボン酸及びアミンの種類を適宜選択することによって、種々の層状構造を有する積層型ジアセチレン重合体を得ることができる。
【0019】
上記ジアセチレン誘導体が重合して得られるジアセチレン重合体は、共役系の高分子であって、可視領域に強い吸収を有する有色の高分子である。ここで、有色とは、白色以外の色を指すものとする。そのため、上記積層型ジアセチレン重合体が有する吸収特性を利用することによって、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)、有機フォトルミネッセンス(有機PL)、非線形光学材料等に応用することができると考えられる。さらに、上記積層型ジアセチレン重合体は、その層状構造に応じて吸収特性が変化すると考えられる。それゆえ、カルボン酸アンモニウム塩を形成するカルボン酸及びアミンを適宜組み合わせることによって、種々の吸収特性を有する積層型ジアセチレンを提供することができる。
【0020】
また、積層型ジアセチレン重合体は、共役系の高分子を含んでいるため電気特性に優れ、有機半導体に応用することができると考えられる。さらに、上記積層型ジアセチレン重合体の各層の厚さは、ナノメートルサイズであるので、ナノデバイスに利用することができる。
【0021】
また、上記カルボン酸及びアミンのうちの少なくとも1種類の化合物がジアセチレン誘導体であり、さらに、少なくとも1種類の他の化合物がジエン誘導体であってもよい。
【0022】
上記ジエン誘導体とは、炭素−炭素二重結合を2つ有しているカルボン酸又はアミンであれば特に限定されるものではない。なお、上記ジエン誘導体には、単量体としてのジエン誘導体、該ジエン誘導体が重合してなるジエン重合体も含むものとする。また、ジエン誘導体に含まれるカルボキシル基又はアミノ基は、1つ以上含まれていればよく、カルボキシル基やアミノ基以外の置換基を含んでいてもよい。さらに、上記カルボン酸及びアミンとしては、それぞれ、ジアセチレン誘導体やジエン誘導体以外のカルボン酸又はアミンを含んでいてもよい。
【0023】
すなわち、例えば、少なくとも1種類のカルボン酸がジエン誘導体であって、少なくとも1種類のアミンがジアセチレン誘導体であるカルボン酸アンモニウム塩の結晶であってもよい。カルボン酸のジエン誘導体としては、ムコン酸やソルビン酸、ブタジエンカルボン酸、アルキル置換ブタジエンカルボン酸、あるいは、あらかじめ合成されたこれらカルボン酸の重合体(ポリムコン酸やポリソルビン酸)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
また、逆に、少なくとも1種類のアミンがジエン誘導体であり、少なくとも1種類のカルボン酸がジアセチレン誘導体であってもよい。アミンのジエン誘導体としては、2,4−ペンタジエニルアミン、2,4−ヘキサジエニルアミン、2,4−オクタジエニルアミン、2,4−デカジエニルアミン、2,4−ドデカジエニルアミン、2,4−テトラデシルジエニルアミン、2,4−ヘキサジエニル−1,6−ジアミン、6,8−ドデカジエニル−1,12−ジアミン、あるいはこれらアミンの重合体等を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0025】
具体的には、少なくとも1種類のカルボン酸がジエン誘導体である場合、該カルボン酸は、一般式(3)
X2−(CH2)m'−C=C−C=C−(CH2)n'−COOH (3)
(式中、X2はCOOH又はHであり、m’,n’はそれぞれ、0以上18以下の整数を示す)にて表され、
上記アミンがジエン誘導体である場合、該アミンは、一般式(4)
Y2−(CH2)p'−C=C−C=C−(CH2)q'−NH2 (4)
(式中、Y2はNH2又はHであり、p’,q’はそれぞれ、0以上18以下の整数を示す)にて表されることが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、カルボン酸アンモニウム塩の結晶は、ジアセチレン誘導体とジエン誘導体とを含んでなっている。それゆえ、上記カルボン酸アンモニウム塩の結晶を重合して得られる積層型ジアセチレン重合体は、ジアセチレン重合体とジエン重合体とを含んでなっている。
【0027】
ジアセチレン誘導体が重合して得られるジアセチレン重合体は、上記したように、共役系の有色の高分子である。これに対し、ジエン誘導体が重合して得られるジエン重合体は、非共役系の高分子であって、可視領域に吸収を有していない無色の高分子である。なお、上記無色とは、無色透明又は白色であることを指すものとする。
【0028】
従って、上記カルボン酸アンモニウム塩の結晶を重合して得られる積層型ジアセチレン重合体は、共役系のジアセチレン重合体と、非共役系のジエン重合体とが層状に交互に積み重ねられているので、層間距離や各層の境界面の構造に応じた吸収特性の変化が期待される。また、共役系及び非共役系の高分子を有しているので、電気特性も、吸収特性と同様に変化すると考えられる。それゆえ、上記積層型ジアセチレン重合体は、有機EL、有機PL、非線形光学材料、有機半導体、ナノデバイス等にて用いられる新規な機能性高分子としての利用が期待される。
【0029】
また、上記カルボン酸アンモニウム塩の結晶は、少なくとも1種類のカルボン酸がジアセチレン誘導体であり、少なくとも1種類の他のカルボン酸がジエン誘導体であってもよい。あるいは、少なくとも1種類のアミンがジアセチレン誘導体であり、少なくとも1種類の他のアミンがジエン誘導体であってもよい。
【0030】
例えば、少なくとも1種類のカルボン酸がジアセチレン誘導体であり、さらに、他のカルボン酸がジエン誘導体である場合、上記一般式(1)にて表されるジアセチレン誘導体と、一般式(3)にて表されるジエン誘導体とを含んでいればよい。また、上記アミンが、少なくとも1種類のアミンがジアセチレン誘導体であり、さらに、他のアミンがジエン誘導体である場合、上記一般式(2)にて表されるジアセチレン誘導体と、一般式(4)にて表されるジエン誘導体とを含んでいればよい。
【0031】
この場合、上記カルボン酸アンモニウム塩の結晶は、同一層内に、ジアセチレン誘導体とジエン誘導体とが存在することになるので、同一層内にて共重合反応が進行することになる。共重合反応が進行すると、得られるジアセチレンとジエンとの共重合体の共役長は、ジアセチレン重合体の共役長とは異なったものとなる。そのため、上記カルボン酸アンモニウム塩を重合させて得られる積層型ジアセチレン重合体は、同一層内にジアセチレン重合体のみを含んでなっている場合とは異なった吸収特性を示すことができる。
【0032】
さらに、上記カルボン酸アンモニウム塩を重合させて得られる積層型ジアセチレン重合体の吸収特性は、用いたジアセチレン誘導体及びジエン誘導体の混合比や配列状態に応じて変化する。それゆえ、用いるジアセチレン誘導体やジエン誘導体を適宜選択し、その混合比や配列状態を変化させることによって、種々の吸収特性を有する積層型ジアセチレンを提供することができる。
【0033】
また、本発明のカルボン酸アンモニウム塩の結晶の製造方法は、カルボン酸と、アミンとをイオン結合させるカルボン酸アンモニウム塩の結晶の製造方法であって、上記カルボン酸から層状に形成されたカルボン酸層状結晶を得、上記アミンから層状に形成されたアンモニウム層状結晶を得、上記カルボン酸結晶と上記アンモニウム結晶とからインターカレーションによりカルボン酸層状結晶とアンモニウム層状結晶とを交互に層状に積層して、カルボン酸アンモニウム塩の結晶を得、上記カルボン酸及び上記アミンのうちの一方の化合物が上記ジアセチレン誘導体であることを特徴としている。
【0034】
また、上記カルボン酸及びアミンのうちの少なくとも1種類の化合物がジアセチレン誘導体であり、さらに、少なくとも1種類の他の化合物がジエン誘導体であってもよい。上記ジアセチレン誘導体である化合物、及びジエン誘導体である他の化合物は、いずれか一方がカルボン酸であって、他方がアミンであってもよい。さらに、どちらもカルボン酸であってもよく、また、どちらもアミンであってもよい。
【0035】
具体的な製造方法は、従来公知のように行えばよく、上記カルボン酸とアミンとを適当な溶媒中に混合し、濃縮、冷却等を行うことによって、カルボン酸アンモニウム塩の結晶を析出させて取得すればよい。また、溶媒を用いずに、上記カルボン酸とアミンとを混合しても、カルボン酸アンモニウム塩の結晶を得ることができる。
【0036】
また、インターカレーションを利用して、カルボン酸アンモニウム塩の結晶を取得してもよい。インターカレーションとは、インターカレーションとは、あらかじめ層状に形成されたカルボン酸結晶又はアミン結晶(以下、層状結晶と記載する)の層間に、それぞれアミン又はカルボン酸が取り込まれることをいう。上記インターカレーションは、液体媒質中に上記層状結晶を分散させ、カルボン酸又はアミンを添加した後、液体媒質を除去することによって行うことができる。また、液体媒質を使用せずに、上記層状結晶と、カルボン酸又はアミンとを乳鉢等にてすりつぶして混合してもよい。
【0037】
インターカレーションによって、カルボン酸アンモニウム塩の結晶を取得する場合には、カルボン酸の層状結晶を用い、該層状結晶にアミンを取り込ませることが好ましい。層状結晶のカルボン酸としては、ムコン酸やソルビン酸等のジエン誘導体が重合してなるポリムコン酸やポリソルビン酸等が好ましく、従って、上記アミンはジアセチレン誘導体であることが好ましい。
【0038】
また、本発明の積層型ジアセチレン重合体の製造方法は、上記したカルボン酸アンモニウム塩の結晶に対して、光照射又は加熱処理を施すことを特徴としている。
【0039】
上記の方法によれば、カルボン酸アンモニウム塩を結晶状態にて重合させる固相重合(トポケミカル重合)によって、積層型ジアセチレン重合体を得ることができる。そのため、カルボン酸及びアミンの配列規制がなされたカルボン酸アンモニウム塩の結晶にて重合が生じるので、カルボン酸層及びアンモニウム層からなる層状構造を有する積層型ジアセチレン重合体を簡単に製造することができる。
【0040】
特に、ジアセチレン誘導体及びジエン誘導体のトポケミカル重合は、その重合原理が類似している。そのため、ジアセチレン誘導体とジエン誘導体とを含んでなるカルボン酸アンモニウム塩に対して、光照射又は加熱処理を施すことによって、両者の重合反応を同時に進行させ、積層型ジアセチレン重合体を容易に取得することができる。
【0041】
上記光照射に用いる光としては、可視光線、紫外線、X線、γ線などを挙げることができる。このうち、紫外線、X線、γ線が好ましい。透過性の高いX線やγ線を用いた場合、結晶全体にて均一に反応が起こり、歪みや欠陥が特に少ない積層型ジアセチレン重合体の結晶を得ることができる。
【0042】
また、上記加熱処理を施す場合には、例えば、ドライヤー、ホットプレート、アルミバス等を用いて、結晶全体を加熱すればよい。また、ガラスアンプルあるいは耐熱性の密封容器に上記結晶を入れ、湯浴、オイルバス、サンドバス等を用いて、結晶全体を加熱してもよい。
【0043】
上記の方法によれば、光照射や加熱処理を施すことによって結晶状態のまま重合反応を行うことができる。それゆえ、反応溶媒や触媒等の単量体以外の添加物を一切必要としない、生成したポリマーの分離精製を行わなくてもよい、等の利点がある。
【0044】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1ないし図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0045】
本発明の積層型ジアセチレン重合体は、カルボン酸アンモニウム塩の結晶を重合して得られる。上記カルボン酸アンモニウム塩の結晶は、上記したように、少なくとも1種類のカルボン酸と、少なくとも1種類のアミンとを組み合わせてなり、上記カルボン酸及びアミンのうちの少なくとも1種類の化合物がジアセチレン誘導体であるカルボン酸アンモニウムの塩の結晶である。
【0046】
また、上記カルボン酸アンモニウム塩の結晶は、上記カルボン酸及びアミンのうちの少なくとも1種類の化合物がジアセチレン誘導体であり、さらに、少なくとも1種類の他の化合物がジエン誘導体であってもよい。上記ジアセチレン誘導体である化合物、及びジエン誘導体である他の化合物は、いずれか一方がカルボン酸であって、他方がアミンであってもよい。さらに、どちらもカルボン酸であってもよく、また、アミンであってもよい。
【0047】
上記ジアセチレン誘導体のカルボン酸又はアミンは、特に限定されるものではないが、例えば、それぞれ前記一般式(1)又は(2)にて表される。また、ジエン誘導体のカルボン酸又はアミンは、特に限定されるものではないが、例えば、それぞれ前記一般式(3)又は(4)にて表される。
【0048】
上記カルボン酸アンモニウム塩の結晶では、カルボン酸のカルボキシル基とアミンのアミノ基とが結合して配列している。そのため、カルボン酸及びアミンの配列規制がなされ、カルボン酸層とアンモニウム層とが交互に層状に積層した結晶構造となっている。そして、この結晶構造を維持したまま、固相重合が進行することによって、本発明の積層型ジアセチレン重合体が得られる。
【0049】
例えば、上記カルボン酸アンモニウム塩の結晶が、カルボン酸として、前記一般式(1)にて、X1がCOOHであるジアセチレン誘導体(図2(a))と、アミンとして、前記一般式(4)にて、Y2がNH2であるジエン誘導体(図2(b))とを組み合わせてなる場合について、図1及び図2に基づいて説明する。なお、図2(a)(b)中、i,jは、それぞれ任意の整数を表す。
【0050】
図1の矢印の前に示すように、結晶性のカルボン酸アンモニウム塩10aは、ジアセチレンカルボン酸層1a及びジエンアンモニウム層2aが交互に積層した結晶構造を有している。そして、このカルボン酸アンモニウム塩10aが固相重合することにより、図1の矢印の後に示すように、積層型ジアセチレン重合体10bが得られる。
【0051】
この積層型ジアセチレン重合体10bは、上記ジアセチレンカルボン酸層1aが重合してなるジアセチレンポリマー層1bと、上記ジエンアンモニウム層2aが重合してなるジエンポリマー層2bとを有している。結晶性のカルボン酸アンモニウム塩10aは、その結晶構造を保った状態にて重合され、積層型ジアセチレン重合体10bとなるので、ジアセチレンポリマー層1b及びジエンポリマー層2bは、ジアセチレンカルボン酸層1a及びジエンアンモニウム層2aと同様に、交互に積層している。
【0052】
上記ジアセチレンカルボン酸層1a及びジエンアンモニウム層2aでは、それぞれ、図2(a)(b)に示すように重合が進行し、ジアセチレンポリマー層1b及びジエンポリマー層2bとなる。すなわち、ジアセチレンカルボン酸層1aでは、図2(a)に示すように、ジアセチレン誘導体のカルボン酸が重合してジアセチレンポリマー層1bが得られる。ジアセチレンポリマーは、繰り返し構造に、炭素−炭素二重結合と炭素−炭素三重結合とを有する共役系ポリマーである。一方、上記ジエンアンモニウム層2aでは、図2(b)に示すように、ジエン誘導体のアミンが重合してジエンポリマー層2bが得られる。ジエンポリマーは、繰り返し構造に炭素−炭素二重結合を有する非共役系ポリマーである。
【0053】
前記したように、共役系ポリマーは可視領域に吸収を有している。従って、図1に示す積層型ジアセチレン重合体10bは、可視領域に吸収を有していると考えられる。また、積層型ジアセチレン重合体10bは、共役系ポリマーからなるジアセチレンポリマー層1bと、非共役系ポリマーからなるジエンポリマー層2bとが層状に交互に積み重ねられた構造である。そのため、各層の厚さ、ジアセチレンポリマー層1bとジエンポリマー層2bとの境界面の構造に応じて、積層型ジアセチレン重合体10bの吸収特性が変化すると考えられる。従って、上記積層型ジアセチレン重合体10bは、用いるジアセチレンカルボン酸、ジエンアミンによって種々の吸収特性を有することになるので、有機EL、有機PL、非線形光学材料、有機半導体、ナノデバイス等の有機材料に応用して利用することができると考えられる。
【0054】
次に、本発明の積層型ジアセチレン重合体の製造方法について説明する。
【0055】
本発明の積層型ジアセチレン重合体は、上記カルボン酸アンモニウム塩の結晶を固相重合させることによって得られる。カルボン酸アンモニウム塩の結晶の固相重合は、該結晶に対して光照射又は加熱処理を施すことにより、簡単に行うことができる。
【0056】
上記光照射に用いる光は、可視光線、紫外線、X線、γ線等を用いればよい。このうち、透過性の高いX線やγ線を用いることにより、固相重合を好適に行うことができる。上記光照射を行う条件は、使用する波長によって適宜設定すればよいが、室温にて、1分間〜100時間、光照射を行うことが好ましく、さらに好ましくは、0.5時間〜20時間がよい。
【0057】
一方、加熱処理により固相重合を行う場合には、40℃〜200℃にて行うことが好ましく、さらに好ましくは、80℃〜120℃がよい。また、加熱時間は、加熱温度によって適宜選択すればよいが、10分間〜200時間が好ましく、0.5時間〜10時間が好ましい。
【0058】
上記のように、本発明の積層型ジアセチレン重合体は、カルボン酸アンモニウム塩の結晶を得ることができれば、容易に取得することができる。次に、以下にて、カルボン酸アンモニウム塩の結晶の製造方法について説明する。
【0059】
カルボン酸アンモニウム塩の結晶は、前記したように、カルボン酸とアミンとを適当な溶媒中に混合し、濃縮、冷却等を行うことによって取得することができる。
【0060】
また、インターカレーションを利用して、カルボン酸アンモニウム塩の結晶を取得してもよい。インターカレーションとは、あらかじめ層状に形成されたカルボン酸結晶又はアミン結晶(以下、層状結晶と記載する)の層間に、それぞれアミン又はカルボン酸が取り込まれることをいう。
【0061】
このようなインターカレーションは、層状結晶を適当な液体媒質に分散させ、該層状結晶に取り込ませるアミン又はカルボン酸を添加した後、液体媒質を除去することによって行うことができる。あるいは、液体媒質を使用せずに、上記層状結晶と、該層状結晶に取り込ませるアミン又はカルボン酸とを、乳鉢等にてすりつぶして混合することによって行うこともできる。
【0062】
本発明者らは、これまでに、ジエン誘導体のカルボン酸へのアミンのインターカレーションが定量的に進行することを見出しており(文献:A.Matsumoto,T.Odani,Macromol.Rapid Commun.,22,p.1195-1215(2001))、インターカレーションは、カルボン酸アンモニウム塩の結晶を得るために有用な手法の一つである。
【0063】
ここで、上記インターカレーションによって、本発明の積層型ジアセチレン重合体を得る方法について、図3(a)(b)に基づいて具体的に説明する。以下では、上記層状結晶として、ムコン酸やソルビン酸等のジエン誘導体のカルボン酸が重合してなるジエンポリマーを用い、該層状のジエンポリマー内に、ジアセチレン誘導体のアミンが取り込まれるインターカレーションを例に挙げて説明する。
【0064】
図3(a)に示すように、カルボン酸のジエン誘導体が重合してなる層状のジエンポリマー結晶3は、ジエンポリマー層3bが積層した構造を有している。各ジエンポリマー層3b内のジエンポリマーは、図3(b)に示すように、炭素−炭素二重結合とカルボキシル基とを有している。なお、式中のZ1,後述するZ2は任意の置換基を表し、kは任意の整数を表す。
【0065】
そして、このジエンポリマー結晶3と、ジアセチレン誘導体のアミン(以下、DA−NH2と記載する)とを混合すると、図3(b)に示すように、上記ジエンポリマーのカルボキシル基と、DA−NH2のアミノ基とが結合する。このとき、Z1がDA−NH2のアミノ基と反応する場合、Z2は、Z1にDA−NH2が結合したものとなり、反応しない場合、Z2はZ1と同一の置換基となる。これにより、図3(a)に示すように、ジエンポリマー層3bの間に、DA−NH2を含んでなるジアセチレンアミン層4aが形成された結晶性のカルボン酸アンモニウム塩20aが形成される。つまり、このカルボン酸アンモニウム塩20aは、ジエンポリマー層3bとジアセチレンアミン層4aとが交互に形成された積層構造となっている。
【0066】
次いで、上記カルボン酸アンモニウム塩20aに対して、光照射又は加熱処理を施すことにより、上記ジアセチレンアミン層4aの重合反応が生じ、ジアセチレンアミン層4aがジアセチレンポリマー層4bとなる。これにより、積層型ジアセチレン重合体20bが得られる。積層型ジアセチレン重合体20bは、上記カルボン酸アンモニウム塩20aが結晶状態を保ったまま重合しているので、ジエンポリマー層3bとジアセチレンポリマー層4bとが交互に積層した結晶構造となる。
【0067】
このように、インターカレーションを利用しても、カルボン酸アンモニウム塩の結晶を得ることができ、さらに該結晶の固相重合を行うことによって、積層型ジアセチレン重合体を得ることができる。
【0068】
上記カルボン酸アンモニウム塩の結晶を得るために、用いるカルボン酸量及びアミン量は、理論量比が等しくなるように設定すればよい。すなわち、カルボン酸が有するカルボキシル基と、アミンが有するアミノ基との数が等しくなるように設定すればよい。また、用いるカルボン酸量及びアミン量の理論両論比が等しくない場合においても、カルボン酸アンモニウム塩の結晶を作製した後に、過剰のカルボン酸あるいはアミンを洗浄して除去する、あるいはそのままカルボン酸アンモニウム塩とカルボン酸、あるいはカルボン酸アンモニウム塩とアミンの混合物として用いてもよい。
【0069】
【実施例】
本発明の実施例について、図4〜図11に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0070】
〔融点測定・熱分解温度測定・スペクトル測定〕
融点及び熱分解温度測定は、窒素気流下、昇温速度10℃/min.にて、熱重量・示差熱分析同時測定装置(TG/DTA6000、セイコーインスツルメント製)を用いた熱重量分析及び示差熱分析によって行い、これらの結果に基づいて、融点及び熱分解温度を決定した。
【0071】
紫外可視吸収スペクトル測定、及び拡散反射紫外可視吸収スペクトル測定は、紫外可視分光光度計(V−550、日本分光製)を用いて行った。赤外吸収スペクトル測定は、Herschel FT-IR-430(JACSO社製)を用い、KBr錠剤法にて行った。粉末X線回折スペクトル測定は、RINT-2100(RIGAKU社製)を用い、単色化されたCuKa照射(λ=1.54118Å)によって行った。
【0072】
〔光照射及び加熱処理〕
重合反応を光照射により行うために、光として紫外光を用いる場合は、高圧水銀灯(100W、パイレックスフィルター付、東芝製)を用いた。γ線を照射する場合は、線量200kGyにて照射を行った。X線を照射する場合は、RINT-2100(RIGAKU社製)を用いて行った。
【0073】
また、重合反応のために加熱処理を施す場合は、サーモアルミバス(岩城硝子社製)を用いて、100℃にて行った。
【0074】
〔ジアセチレン誘導体のカルボン酸の合成〕
表1に示す10,12−ペンタコサジインカルボン酸(フルカ社製)及び、10,12−トリコサジインカルボン酸(フルカ社製)は、クロロホルムより再結晶精製して用いた。2,4−ペンタデカジインカルボン酸(東京化成社製)は、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製して用いた。
【0075】
また、2,4−ペンタデカジインカルボン酸はCadiot-Chodkiewiczカップリング反応(L.Brandsma,Preparative Acetylenic Chemistry,2nd Elsevier(1988),p.212)によって合成した。手順は以下のとおりである。
【0076】
乾燥窒素雰囲気下で、1−ドデシン(東京化成社製)2.5g(0.015mol)と乾燥THF(25mL)とを100mLの滴下漏斗と冷却管とを備えた3つ口フラスコ中で混合し、ドライアイス−メタノール浴で−78℃に冷却した。ここに、シリンジを用いて、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(関東化学社製、1.57mol/L)を11mL(0.017mol)添加した後、−78℃に保ったまま、窒素雰囲気下にて2時間撹拌した。次いで、氷浴にて0℃に保ちながら、ヨウ素(4.5g、0.07mol)のTHF溶液(25mL)を滴下し、滴下終了後、室温にて1時間撹拌した。さらに、水50mLを加え、50mLのヘキサンで2回抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過を行い、ヘキサンを除去して黄色液状の1−ヨード−1−ドデシンを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒としてヘキサンを使用)により単離精製して、以下の反応に用いた。
【0077】
エチルアミンの水溶液(70%、和光純薬社製)10mL、メタノール15mL、水5mL、塩化ヒドロキシルアミン2g、塩化銅(東京化成社製)0.2gを100mLの3つ口フラスコに入れ、乾燥窒素雰囲気下、室温にて撹拌した。ここに、プロピン酸(関東化学社製)1.05g(0.015mol)のメタノール溶液(20mL)を、室温にて10分間かけて滴下した。油浴で30℃に保ちながら、上記にて得た1−ヨード−1−ドデシンを1時間かけて滴下した後、40℃まで加温し、さらに2時間撹拌した。次いで、1mol/Lの塩酸を40mL加えた後、ジエチルエーテル(50mL)で2回抽出した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過し、ジエチルエーテルを除去して液状の2,4−ペンタデカジインカルボン酸を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒としてクロロホルム/エタノールを使用)により単離精製した。収率は2.24g(60%)であった。
【0078】
得られた2,4−ペンタデカジインカルボン酸について、1H−NMR測定(400MHz、溶媒としてCDCl3を使用)及び13C−NMR測定(100MHz、溶媒としてCDCl3を使用)を行った。得られたスペクトルのピークの化学シフトδ(ppm)を以下に示す。
【0079】
1H−NMR測定の結果、各ピークは、δ=2.33 (t,J=7.2Hz,CH 2C≡C,2H)、1.51(m,CH3CH 2, 2H)、1.27(br,CH 2,14H)、0.88(t,J=7.2Hz,CH 3,3H)であった。なお、括弧内のt,m,brは、それぞれスペクトルのピークが三重線,多重線,ブロードであることを示し、Jはスピン結合定数を表す。また、括弧内には、各スペクトルのピークに帰属されるHに下線を付し、そのH数も併せて記載している。
【0080】
また、13C−NMR測定の結果、δ=157.18(C=O)、88.42,73.10,65.09,63.39(C≡CC≡C)、31.62,29.28,29.18,29.05,28.76,28.58,27.46,22.46,19.20,13.82(CH3(CH2)9)であった。
【0081】
〔ジエン誘導体のアミンの合成〕
ジエン誘導体である2,4−テトラデシルジエニルアミンは以下の手順にて合成した。
【0082】
滴下漏斗と冷却管とを備えた3つ口フラスコに、鉱物油に分散させた水素化ナトリウム(60%)0.802gと乾燥THF100mLとを入れた。分散液をマグネチックスターラーで撹拌しながら、ホスホノ酢酸トリエチル(4.64g)を50分かけてゆっくり滴下した。ホスホノ酢酸トリエチルを滴下した後、さらに1時間撹拌を続け、ここにトランス−2−ドデセナール(4.05g)を加えた。そして、一旦、60℃〜65℃に加温した後、15℃〜20℃に冷却し、デカンテーションにより沈殿を単離した。ゴム状の沈殿物にTHFを加えて可溶部分を抽出した。THF溶液を減圧下で濃縮することにより、黄色の液体として、2,4−ヘキサデセンカルボン酸エチルを得た。収率は3.68g(65.6%)であった。
【0083】
上記の手順にて得られた2,4−ヘキサデセンカルボン酸エチル(4.82g)を、水酸化カリウム1.35g及び水約10mLを含むメタノール50mLに溶解し、1時間還流した。その後、得られた溶液を冷却し、水で数倍に希釈し、該希釈溶液が酸性になるまで濃塩酸を加えた。次いで、酢酸エチルにて抽出し、溶媒を除去することにより、2,4−ヘキサデセンカルボン酸を3.52g(収率82.2%)得た。
【0084】
得られた2,4−ヘキサデセンカルボン酸について、1H−NMR測定(400MHz、溶媒としてCDCl3を使用)を行った。その結果、スペクトルのピークの化学シフトδは、δ=7.35(m,CH=CHCO2H,1H),6.19(m,CH=CHCO2H,CH=CH−CH=CHCO2H,2H),5.78(d, CH2CH=CH,1H),2.17(m,CH 2CH=CH,2H),1.26−1.34(m,CH 2,14H),0.88(t,J=6.9Hz,CH 3,3H)であった。なお、括弧内の記載は、前記したとおりであり、dは二重線であることを示す。
【0085】
次に、100mLのフラスコに2,4−ヘキサデセンカルボン酸(3.52g)を移し、ここに塩化チオニル(1.5mL)を加えた。油浴上で1時間還流した後、熱いままで、氷浴で冷やした28%アンモニア水(20mL)に撹拌しながらゆっくり滴下した。一晩撹拌を続け、生成した2,4−ヘキサデセンカルボン酸アミドをクロロホルムで抽出した。クロロホルムを減圧下で除去し、2,4−ヘキサデセンカルボン酸アミドを2.85g(89.3%)で得た。得られた2,4−ヘキサデセンカルボン酸アミドについて、1H−NMR測定(400MHz、溶媒としてCDCl3を使用)及び13C−NMR測定(100MHz、溶媒としてCDCl3を使用)を行った。得られたスペクトルのピークの化学シフトδ(ppm)を以下に示す。
【0086】
1H−NMR測定の結果、各ピークは、δ=7.20(m,CH=CHCO−,1H)、6.13(m,CH=CHCO,CH=CH−CH=CHCO−,2H)、5.79(d,CH=CH−CH=CHCO,1H),5.33(br s, NH 2,2H),2.15(m,CH 2CH=CH,2H),1.26-1.41(m,CH 2,14H)、0.87(t,J=6.3Hz,CH 3,3H)であった。なお、括弧内の記載は、前述したとおりであり、sは一重線を示す。
【0087】
13C−NMR測定、各ピークは、δ=168.32(C=O)、144.33,142.89,128.00,120.34(C=C)、32.96,31.85,29.49,29.41,29.28,29.16,28.07,22.65(CH2)、14.09(CH3)であった。
【0088】
滴下漏斗と冷却管を備えた3つ口フラスコに、水素化リチウムアルミニウム(0.43g)と無水ジエチルエーテル(10mL)を入れ,ここに上で得た2,4−ヘキサデセンカルボン酸アミド(0.87g)の無水エーテル溶液(10mL)を1時間かけてゆっくり加えた。反応混合物を油浴上で10時間還流した。油浴を氷浴にかえ、過剰の水素化リチウムアルミニウムを、激しく撹拌しながら、冷水(10mL)を注意深く加えて分解した後、さらに30分間撹拌を続けた。溶液を濾過し、残った固体から可溶部を100mLの無水のジエチルエーテルで数回抽出し、ジエチルエーテルを減圧下で除去することにより、2,4−テトラデシルジエニルアミンを0.39g(49.2%)収率で得た。
【0089】
得られた2,4−テトラデシルジエニルアミンについて、1H−NMR測定(400MHz、溶媒としてCDCl3を使用)及び13C−NMR測定(100MHz、溶媒としてCDCl3を使用)を行った。得られたスペクトルのピークの化学シフトδ(ppm)を以下に示す。
【0090】
1H−NMR測定の結果、各ピークは、δ=6.07(m,CH=CH−CH=CH,2H)、 5.66(m,CH=CHCH2NH2,1H)、5.46(m,CH=CH−CH=CHCH2NH2,1H)、3.32(m,CH 2NH2,2H)、1.98(m,CH 2CH=CH−CH=CHCH2NH2,2H)、1.21-1.48(m,CH 2,14H)、0.88(t,J=6.8Hz,CH 3,3H)であった。
【0091】
13C−NMR測定の結果、各ピークは、δ=134.42,132.07,130.14,129.55(C=C)、43.87,32.57,31.86,29.53,29.28,25.28,22.63(CH2)、14.07(CH3)であった。
【0092】
〔ジアセチレン誘導体のアミンの合成〕
前記10,12−ペンタコサジインカルボン酸、及び前記10,12−トリコサジインカルボン酸を出発原料として、それぞれ10,12−ペンタコサジイニルアミン、及び10,12−トリコサジイニルアミンを、上記2,4−テトラデシルジエニルアミンと同様の手順にて合成した。
【0093】
10,12−ペンタコサジイニルアミンの合成途中にて得られた10,12−ペンタコサジインカルボン酸アミドの融点を測定したところ、99℃〜102℃であった。また、1H−NMR測定(400MHz、溶媒としてCDCl3を使用)の結果、スペクトルのピークの化学シフトδ(ppm)は、δ=5.37(br s,NH 2,2H)、2.20-2.26(m,CH 2,CH 2C≡,6H)、1.58(s,CH2,2H)、1.48(m,CH2,4H)、1.25-1.37(m,CH 2,26H)、0.88(t,J=7.3Hz,CH 3,3H)であった。なお、括弧内の記載は、前述したとおりである。
【0094】
さらに、得られた10,12−ペンタコサジイニルアミンについて、融点を測定したところ、71℃〜73℃であった。また、1H−NMR測定(400MHz、溶媒としてCDCl3を使用)及び13C−NMR測定(100MHz、溶媒としてCDCl3を使用)を行った。得られたスペクトルのピークの化学シフトδ(ppm)を以下に示す。
【0095】
1H−NMR測定の結果、各ピークは、δ=2.67(t,J=7Hz,CH 2,2H)、2.24(t,J=7Hz,CH 2,4H)、1.51(m,CH 2,2H)、1.25-1.36(m,CH 2,28H)、0.88(t,J=7.3Hz,CH 3,3H)であった。また、13C−NMR測定の結果、各ピークは、δ=77.51,65.18(C≡C)、41.95,33.31,31.88,29.59,29.39,29.06,28.80,28.31,26.81,22.65,19.16(CH2)、14.09(CH3)であった。
【0096】
〔実施例1〕
上記した手順によって得られたジアセチレン誘導体のカルボン酸と、種々のアミンとを組み合わせてなるカルボン酸アンモニウム塩の結晶、及び、該結晶を重合してなる積層型ジアセチレン重合体を取得した。
【0097】
具体的には、表1に示すジアセチレンカルボン酸とアミン(和光純薬社製又はアルドリッチ社製)とを等モル用い、表1に示す溶媒中にて両者を混合して、濃縮した。次いで、この濃縮液を冷却し、再結晶して、それぞれ白色粉末状のカルボン酸アンモニウム塩の結晶を得た。
【0098】
続いて、得られた白色粉末状の結晶に対し、該結晶から10cm離れた位置にて、高圧水銀灯を配置し、空気雰囲気にて1時間、紫外光照射を行い、積層型ジアセチレン重合体を得た。また、上記白色粉末状の結晶に対し、室温にてγ線照射を5時間行い、積層型ジアセチレン重合体を得た。
【0099】
上記白色粉末状のカルボン酸アンモニウム塩の結晶(表中、単量体と記載)の融点、積層型ジアセチレン重合体の色、紫外光照射、γ線照射それぞれによって得られた積層型ジアセチレン重合体の収率を表1に示す。
【0100】
【表1】
【0101】
表1に示すように、各カルボン酸アンモニウム塩の結晶に対して、紫外光照射又はγ線照射を行って得られた積層型ジアセチレン重合体は、全て有色であった。
【0102】
また、10,12−ペンタコサジインカルボン酸(C12H25C≡C−C≡C−C8H16−COOH)と、1−ナフチルメチルアミンとを組み合わせてなる10,12−ペンタコサジインカルボン酸1−ナフチルメチルアンモニウム塩に対して、紫外光照射を行って得られた積層型ジアセチレン重合体のTG/DTAスペクトルを図4に示す。また、上記カルボン酸アンモニウム塩に対して、紫外光照射を行ったときの紫外可視吸収スペクトルの経時変化を図5に示す。
【0103】
図4から、この積層型ジアセチレン重合体の融点は、150℃以上、分解温度は250℃以上と見積もられた。また、図5から、紫外光の照射時間とともに、600nm及び655nmの吸収ピークが増大しているのがわかる。この2つの吸収ピークは、10,12−ペンタコサジインカルボン酸が重合したときの主鎖上の炭素−炭素三重結合、及び炭素−炭素二重結合に由来し、紫外光の照射により、カルボン酸アンモニウム塩の結晶が重合していることがわかる。
【0104】
さらに、2,4−ペンタデカジインカルボン酸と、ベンジルアミンとを組み合わせてなる2,4−ペンタデカジインカルボン酸ベンジルアンモニウム塩に対して、紫外光照射を行ったときの拡散反射紫外可視スペクトルの経時変化を図6に示す。図6に示すように、紫外光照射時間の増加とともに、530nm付近に幅広い吸収が認められるようになり、2,4−ペンタデカジインカルボン酸が重合していることがわかる。
【0105】
〔実施例2〕
カルボン酸のジエン誘導体と、アミンのジアセチレン誘導体とを組み合わせてなるカルボン酸アンモニウム塩の結晶、及び、該結晶を重合してなる積層型ジアセチレン重合体を取得した。具体的には、a)(Z,Z)−ムコン酸10,12−ペンタコサジイニルアンモニウム塩、b)ソルビン酸10,12−トリコサジインアンモニウム塩、c)2,4−テトラデカンジエン酸10,12−トリコサジインアンモニウム塩のそれぞれの合成及びその重合を行った。
【0106】
a)(Z,Z)−ムコン酸10,12−ペンタコサジイニルアンモニウム塩の合成及びその重合
(Z,Z)−ムコン酸(三菱化学社製)0.016gと、上記した手順によって得られた10,12−ペンタコサジイニルアミン0.081gとをメタノール50mL中にて混合し、全量が20mLになるまで減圧濃縮した後、−30℃に冷却して、カルボン酸アンモニウム塩の結晶を析出させ、濾過により該結晶0.020gを取得した。該結晶に対して、高圧水銀灯を用いて紫外光照射を4時間行い、積層型ジアセチレン重合体を得た。
【0107】
得られた重合体は、赤紫色を示した。また、上記紫外光照射後に、赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、1593cm-1の共役ジエンに基づく吸収ピークが消失したことから、(Z,Z)−ムコン酸が重合していることを確認した。さらに、上記紫外光照射後に、拡散反射紫外可視スペクトル測定を行ったところ、530nm付近に幅広い吸収が認められ、10,12−ペンタコサジイニルアミンが重合していることを確認した。
【0108】
b)ソルビン酸10,12−トリコサジインアンモニウム塩の合成及びその重合
ソルビン酸(東京化成工業社製)と、10,12−トリコサジインアミンとを等モル用い、クロロホルム中にて混合した。続いて、この混合液を減圧下にて濃縮し、−30℃に冷却して結晶を析出させ、濾過により、該結晶を取得した。取得した結晶は粉末状であった。次いで、この粉末状結晶をKBr錠剤に成型し、高圧水銀灯を用いて、4時間紫外光照射し、積層型ジアセチレン重合体を得た。
【0109】
得られた重合体は、赤紫色を示した。また、上記紫外光照射後の赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、1620cm-1の共役ジエンに基づく吸収ピークが消失したことから、ソルビン酸が重合していることを確認した。さらに、上記紫外光照射後に拡散反射紫外可視スペクトル測定を行ったところ、530nm付近に幅広い吸収が認められ、10,12−トリコサジインアミンが重合していることを確認した。
【0110】
c)2,4−テトラデカンジエン酸10,12−トリコサジインアンモニウム塩の合成及びその重合
2,4−テトラデカンジエン酸と、10,12−トリコサジインアミンとを用いた以外は、上記b)と同様に合成及び重合を行い、積層型ジアセチレン重合体を得た。
【0111】
得られた重合体は、紫外光照射30分後には、赤紫色を示していた。また、紫外光照射4時間後に拡散反射紫外可視スペクトル測定を行ったところ、530nm付近に幅広い吸収が認められ、10,12−トリコサジインアミンが重合していることを確認した。
【0112】
さらに、紫外光照射前、照射2時間後、照射4時間後の赤外吸収スペクトル測定を行った。その結果を図7に示す。図7に示すように、1648cm-1の共役ジエンに基づく吸収ピークが消失したことから、2,4−テトラデカンジエン酸が重合していることを確認した。
【0113】
〔参考例〕
ジエン誘導体のカルボン酸が重合してなるポリカルボン酸と、上記した手法によって得たジエン誘導体の2,4−テトラデシルジエニルアミンとを組み合わせてなるカルボン酸アンモニウム塩の結晶を取得した。
【0114】
具体的には、まず、文献(A.Matsumoto,S.Nagahama,T.Odani,J.Am.Chem.Soc.,122,p.9109(2000);A.Matsumoto,Prog.React.Kinet.Mecha.,26,p.59(2001)等)に従って、ムコン酸アルキルアンモニウム塩の結晶に高圧水銀灯にて100時間紫外光を照射して固相重合した後、加水分解又は熱分解を行い、ポリムコン酸を得た。次いで、得られたポリムコン酸結晶50mgをメタノール20mLに分散させ、該ポリムコン酸結晶に対して、1等量の2,4−テトラデシルジエニルアミンを添加した。その後、室温にて、8時間撹拌し、濾過、減圧乾燥を行って結晶を取得した。
【0115】
得られた結晶について、赤外吸収スペクトル測定及び粉末X線回折スペクトル測定を行った結果、インターカレーションにより、上記ポリムコン酸結晶内に、2,4−テトラデシルジエニルアミンが取り込まれたことを確認した。
【0116】
〔実施例3〕
ジエン誘導体のカルボン酸が重合してなるポリカルボン酸と、上記した手法によって得たジアセチレン誘導体の10,12−ペンタコサジイニルアミンとを組み合わせてなるカルボン酸アンモニウム塩の結晶を、インターカレーションにより取得し、さらに、該結晶を重合してなる積層型ジアセチレン重合体を取得した。
【0117】
具体的には、文献(A.Matsumoto,S.Nagahama,T.Odani,J.Am.Chem.Soc.,122,p.9109(2000);A.Matsumoto,Prog.React.Kinet.Mecha.,26,p.59(2001)等)に従って、ムコン酸アルキルアンモニウム塩の結晶に高圧水銀灯にて100時間紫外光を照射して固相重合した後、加水分解又は熱分解を行い、ポリムコン酸を得た。
【0118】
得られたポリムコン酸結晶について、赤外吸収スペクトル測定を行った。その結果を図8に示す。図8の(a)のスペクトルにて示すように、共役ジエンに由来する1610cm-1及び1649cm-1の吸収ピークの強度が低下し、トランス型の炭素−炭素二重結合に由来する970cm-1の吸収ピークが強く現れていることがわかる。このことから、上記ムコン酸アルキルアンモニウム塩が重合してポリムコン酸が得られていることがわかる。
【0119】
次いで、得られたポリムコン酸結晶50mgをメタノール20mLに分散させ、該ポリムコン酸結晶に対して、1等量の10,12−ペンタコサジイニルアミンを添加した。その後、室温にて、2時間撹拌し、濾過、減圧乾燥を行って、インターカレーションによりカルボン酸アンモニウム塩の結晶を取得した。
【0120】
得られたカルボン酸アンモニウム塩の結晶について、赤外吸収スペクトル測定を行った。その結果を図8に示す。図8の(b)のスペクトルにて示すように、上記カルボン酸アンモニウム塩の赤外吸収スペクトルは、図8の(a)のポリムコン酸結晶の赤外吸収スペクトルとは異なっている。このことから、上記ポリムコン酸結晶内に、10,12−ペンタコサジイニルアミンが取り込まれたことが示唆される。
【0121】
さらに、このカルボン酸アンモニウム塩の結晶に対して、加熱処理、紫外光照射、X線照射、γ線照射を行い、積層型ジアセチレン重合体を得た。収率は、76.8%であった。また、得られた積層型ジアセチレン重合体は、全て紫色であり、図9(a)(b)に示すように、上記結晶に対して、X線又はγ線を照射すると、照射前後にて、色の変化が見られた。
【0122】
また、上記カルボン酸アンモニウム塩の結晶に対するγ線照射の前後にて、X線粉末回折スペクトル測定を行った。その結果を図10に示す。図10に示すように、γ線照射前に見られたピーク(図中、実線)が、γ線照射後には、そのピーク(図中、破線)が低角側へシフトした。これらのピークから、γ線照射前は層間距離dが56.5Åと見積もられ、γ線照射後は層間距離dが55.8Åと見積もられた。これらの結果は、10,12−ペンタコサジイニルアミンが重合したことを示している。
【0123】
さらに、上記カルボン酸アンモニウム塩、該カルボン酸アンモニウム塩に対してγ線照射及び紫外光照射を行って得られた積層型ジアセチレン重合体について、それぞれ拡散反射紫外可視スペクトル測定を行った。その結果を図11に示す。図11に示すように、γ線照射によって得られた積層型ジアセチレン重合体のスペクトル(図中、(a))、及び、紫外光照射によって得られた積層型ジアセチレン重合体のスペクトル(図中、(b))には、カルボン酸アンモニウム塩のスペクトル(図中、(c))には見られない400nm〜600nm付近の幅広い吸収が認められた。このことからも、10,12−ペンタコサジイニルアミンが重合し、積層型ジアセチレン重合体が得られたことがわかる。
【0124】
【発明の効果】
本発明の積層型ジアセチレン重合体は、以上のように、カルボン酸及びアミンのうちの少なくとも1種類の化合物がジアセチレン誘導体であるカルボン酸アンモニウム塩の結晶を重合させてなるものである。
【0125】
それゆえ、カルボン酸層及びアンモニウム層からなる層状構造を有する積層型ジアセチレン重合体を得ることができるという効果を奏する。また、積層型ジアセチレン重合体の層状構造は、用いたカルボン酸アンモニウム塩の種類に応じて変化するので、用いるカルボン酸及びアミンの種類を適宜選択することによって、種々の層状構造を有する積層型ジアセチレン重合体を提供することができるという効果を奏する。これにより、有機EL、有機PL、非線形光学材料、有機半導体、ナノデバイス等にて用いられる新規な機能性高分子としての利用が期待されるという効果を奏する。
【0126】
また、上記カルボン酸及びアミンのうちの少なくとも1種類の化合物がジアセチレン誘導体であり、さらに、少なくとも1種類の他の化合物がジエン誘導体であってもよい。上記ジアセチレン誘導体である化合物及びジエン誘導体である他の化合物は、いずれか一方がカルボン酸であって、他方がアミンであってもよい。あるいは、双方の化合物がどちらもカルボン酸であってもよい。同様に、双方の化合物がいずれもアミンであってもよい。
【0127】
それゆえ、上記カルボン酸アンモニウム塩の結晶を重合させてなる積層型ジアセチレン重合体は、共役系のジアセチレン重合体と、非共役系のジエン重合体とを含んでなり、層間距離や各層の境界面の構造に応じた吸収特性の変化が期待される。従って、用いるジアセチレン誘導体やジエン誘導体を適宜選択し、その混合比や配列状態を変化させることによって、種々の吸収特性を有する積層型ジアセチレンを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるカルボン酸アンモニウム塩の結晶、及び積層型ジアセチレン重合体を示す概念図である。
【図2】(a)は、ジアセチレン誘導体のカルボン酸の重合反応を示す化学式であり、(b)は、ジエン誘導体のアミンの重合反応を示す化学式である。
【図3】(a)は、本発明におけるカルボン酸アンモニウム塩の結晶、及び積層型ジアセチレン重合体をインターカレーションによって得ることを示す概念図であり、(b)は、ジエンポリマーとジアセチレン誘導体のアミンとの反応を示す化学式である。
【図4】10,12−ペンタコサジインカルボン酸1−ナフチルメチルアンモニウム塩から得られる積層型ジアセチレン重合体の熱重量/示差熱分析(TG/DTA)スペクトルである。
【図5】上記10,12−ペンタコサジインカルボン酸1−ナフチルメチルアンモニウム塩に対して、紫外線照射を行ったときの紫外可視吸収スペクトルの経時変化を示す図である。
【図6】2,4−ペンタデカジインカルボン酸ベンジルアンモニウム塩に対して、紫外線照射を行ったときの拡散反射紫外可視スペクトルの経時変化を示す図である。
【図7】2,4−テトラデカンジエン酸10,12−トリコサジインアンモニウム塩に対して、紫外線照射を行ったときの赤外吸収スペクトルの経時変化を示す図である。
【図8】(a)は、ポリムコン酸の赤外吸収スペクトルであり、(b)は、インターカレーションにより、ポリムコン酸に10,12−ペンタコサジイニルアミンを導入してなるカルボン酸アンモニウム塩の結晶の赤外吸収スペクトルである。
【図9】(a)は、上記カルボン酸アンモニウム塩の結晶に対するγ線照射にて、照射前後の結晶の色の変化を示す写真であり、(b)は、上記カルボン酸アンモニウム塩に対するX線照射にて、照射前後の結晶の色の変化を示す写真である。
【図10】上記カルボン酸アンモニウム塩の結晶のγ線照射前後のX線粉末回折スペクトルであり、実線は照射前を示し、破線は照射後を示す。
【図11】(a)は、上記カルボン酸アンモニウム塩の結晶に対してγ線を照射して得られた積層型ジアセチレン重合体の拡散反射紫外可視スペクトルあり、(b)は、上記カルボン酸アンモニウム塩の結晶に対して紫外光を照射して得られた積層型ジアセチレン重合体の拡散反射紫外可視スペクトルであり、(c)は、上記カルボン酸アンモニウム塩の結晶の拡散反射紫外可視スペクトルである。
【符号の説明】
1a ジアセチレンカルボン酸層
1b ジアセチレンポリマー層
2a ジエンアンモニウム層
2b ジエンポリマー層
3 ジエンポリマー結晶
3b ジエンポリマー層
4a ジアセチレンアミン層
4b ジアセチレンポリマー層
10a カルボン酸アンモニウム塩
10b 積層型ジアセチレン重合体
20a カルボン酸アンモニウム塩
20b 積層型ジアセチレン重合体
Claims (9)
- カルボン酸と、アミンとをイオン結合により組み合わせてなるカルボン酸アンモニウム塩の結晶であって、
上記結晶は、カルボン酸層とアンモニウム層とが交互に層状に積層した結晶となり、
上記カルボン酸及び上記アミンのうちの一方の化合物がジアセチレン誘導体であり、
上記カルボン酸のジアセチレン誘導体は、2,4−ヘキサジインカルボン酸、2,4−ヘプタジインカルボン酸、2,4−オクタジインカルボン酸、2,4−デカジインカルボン酸、2,4−ドデカジインカルボン酸、2,4−テトラデカジインカルボン酸、2,4−ペンタデカジインカルボン酸、2,4−ヘキサデカジインカルボン酸、2,4−オクタデカジインカルボン酸、2,4−ノナデカジインカルボン酸、10,12−テトラデカジインカルボン酸、10,12−ペンタデカジインカルボン酸、10,12−ヘキサデカジインカルボン酸、10,12−ヘプタデカジインカルボン酸、10,12−オクタデカジインカルボン酸、10,12−トリコサジインカルボン酸、10,12−ペンタコサジインカルボン酸、10,12−ヘキサコサジインカルボン酸、10,12−ヘプタコサジインカルボン酸、10,12−オクタコサジインカルボン酸、10,12−ノナコサジインカルボン酸、2,4−ヘキサジインジカルボン酸、3,5−オクタジインジカルボン酸、4,6−デカジインジカルボン酸、および8,10−オクタデカジインジカルボン酸の何れかであり、
上記アミンのジアセチレン誘導体は、2,4−ヘキサジイニルアミン、2,4−ヘプタジイニルアミン、2,4−オクタジイニルアミン、2,4−デカジイニルアミン、2,4−ドデカジイニルアミン、2,4−テトラデカジイニルアミン、2,4−ペンタデカジイニルアミン、2,4−ヘキサデカジイニルアミン、2,4−オクタデカジイニルアミン、2,4−ノナデカジイニルアミン、10,12−テトラデカジイニルアミン、10,12−ペンタデカジイニルアミン、10,12−ヘキサデカジイニルアミン、10,12−ヘプタデカジイニルアミン、10,12−オクタデカジイニルアミン、10,12−トリコサジイニルアミン、10,12−ペンタコサジイニルアミン、10,12−ヘキサコサジイニルアミン、10,12−ヘプタコサジイニルアミン、10,12−オクタコサジイニルアミン、10,12−ノナコサジイニルアミン、2,4−ヘキサジイニルジアミン、3,5−オクタジイニルジアミン、4,6−デカジイニルジアミン、および8,10−オクタデカジイニルジアミンの何れかであることを特徴とするカルボン酸アンモニウム塩の結晶。 - 上記カルボン酸がジアセチレン誘導体である場合、上記アミンは、ベンジルアミン、メチルベンジルアミン、クロロベンジルアミン、ブロモベンジルアミン、メトキシベンジルアミン、オクチルアミン,デシルアミン,ドデシルアミン、テトラデシルアミン,ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ナフチルアミン、およびナフチルメチルアミンの何れかであり、
上記アミンがジアセチレン誘導体である場合、上記カルボン酸は、安息香酸、メチル安息香酸、クロロ安息香酸、ブロモ安息香酸、メトキシ安息香酸、フェニル酢酸、メチルフェニル酢酸、クロロフェニル酢酸、ブロモフェニル酢酸、メトキシフェニル酢酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ナフタレンカルボン酸、およびナフチル酢酸の何れかであることを特徴とする請求項1記載のカルボン酸アンモニウム塩の結晶。 - 上記カルボン酸及びアミンのうちの一方がジアセチレン誘導体であり、さらに、上記カルボン酸及びアミンのうちの他方がジエン誘導体であることを特徴とする請求項1又は2記載のカルボン酸アンモニウム塩の結晶。
- 上記カルボン酸がジエン誘導体である場合、該カルボン酸は、一般式(3)
X 2 −(CH 2 ) m' −C=C−C=C−(CH 2 ) n' −COOH (3)
(式中、X 2 はCOOH又はHであり、m’,n’はそれぞれ、0以上18以下の整数を示す)にて表され、
上記アミンがジエン誘導体である場合、該アミンは、一般式(4)
Y 2 −(CH 2 ) p' −C=C−C=C−(CH 2 ) q' −NH 2 (4)
(式中、Y 2 はNH 2 又はHであり、p’,q’はそれぞれ、0以上18以下の整数を示す)にて表されることを特徴とする請求項3記載のカルボン酸アンモニウム塩の結晶。 - 上記カルボン酸のジエン誘導体は、ムコン酸、ソルビン酸、ブタジエンカルボン酸、アルキル置換ブタジエンカルボン酸、あるいは、上記カルボン酸の重合体であり、
上記アミンのジエン誘導体は、2,4−ペンタジエニルアミン、2,4−ヘキサジエニルアミン、2,4−オクタジエニルアミン、2,4−デカジエニルアミン、2,4−ドデカジエニルアミン、2,4−テトラデシルジエニルアミン、2,4−ヘキサジエニル−1,6−ジアミン、6,8−ドデカジエニル−1,12−ジアミン、あるいは上記アミンの重合体である請求項3記載のカルボン酸アンモニウム塩の結晶。 - 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のカルボン酸アンモニウム塩の結晶が重合して、カルボン酸層およびアンモニウム層からなる積層構造を有することを特徴とする積層型ジアセチレン重合体。
- カルボン酸と、アミンとをイオン結合させるカルボン酸アンモニウム塩の結晶の製造方法であって、
上記カルボン酸から層状に形成されたカルボン酸層状結晶を得、
上記アミンから層状に形成されたアンモニウム層状結晶を得、
上記カルボン酸結晶と上記アンモニウム結晶とからインターカレーションによりカルボン酸層状結晶とアンモニウム層状結晶とを交互に層状に積層して、カルボン酸アンモニウム塩の結晶を得、
上記カルボン酸及び上記アミンのうちの一方の化合物がジアセチレン誘導体であることを特徴とするカルボン酸アンモニウム塩の結晶の製造方法。 - 上記カルボン酸及び上記アミンのうちの一方の化合物がジアセチレン誘導体であり、さらに、上記カルボン酸及び上記アミンのうちの他方の化合物がジエン誘導体であることを特徴とする請求項7記載のカルボン酸アンモニウム塩の結晶の製造方法。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のカルボン酸アンモニウム塩の結晶に対して、光照射又は加熱処理を施し、カルボン酸層およびアンモニウム層からなる積層構造を形成することを特徴とする積層型ジアセチレン重合体の製造方法。
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