JP4228001B2 - 内燃機関のスロットル制御装置 - Google Patents

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本発明は、内燃機関の吸入空気量を制御するためのスロットル制御装置に関するものである。
ECU(Electronic Control Unit )からの信号に従って回動する制御モータにより、減速歯車機構を介してスロットルバルブを開閉させてエンジン回転数を制御するスロットル制御装置として、特開平3−271528号公報記載のものが知られている。この従来技術では、エンジン停止状態でスロットルバルブを所定位置に固定するためのオープナレバー(リリーフレバー)がスロットルシャフトに回転自在に支持され、オープナレバーとスロットルボディ本体との間にバックスプリングが装着され、オープナレバーとスロットルレバーとの間にリリーフスプリングが装着されている。リリーフスプリングはスロットルバルブを全開方向に付勢し、バックスプリングはスロットルバルブを全閉方向に付勢している。スロットルバルブには、全開位置F、全閉位置(最小開度位置)S、それらの間のオープナ開度位置Nがある。
エンジン停止時にスロットルバルブが常に全閉位置にされると、例えば寒冷地等の低温下においてスロットルシャフトやスロットルバルブが凍結し、エンジンが始動不良となる可能性がある。このような問題に対処するため、エンジン停止時にスロットルバルブを全閉位置から所定量開いた位置に維持するオープナ開度位置Nが存在する。この従来技術において、オープナレバーの当接片がオープナストッパーに当接したとき、スロットルバルブがオープナ開度位置Nに維持され、スロットルレバーの当接片が全閉ストッパーに当接したとき、全閉位置Sとなる。全開位置Fは、制御モータの全開方向の回転力がスロットルレバーを介してバックスプリングに作用し、バックスプリングの付勢力と制御モータの回転力とがバランスした位置となっている。
この従来技術では、スロットルバルブの位置決めのために2個のストッパーを必要とするので、部品数が多く、部品及び組み立てのための手数及びコストを要するという欠点がある。また、スロットルシャフトの一方にオープナ等が収容する室と、制御モータに連結された減速歯車機構を収容するギヤ室とが別々に形成されているので、効率が悪く、一つの室にオープナ等と減速歯車機構等を収容したいという要請がある。
特開平02-130234号公報 特開平03-271528号公報 特願2000-617315号
本発明は、内燃機関のスロットル制御装置において、オープナと減速歯車機構とを同室に収容し、オープナの端面をスラストストッパーの当接面として、スロットルシャフトの位置決め機構の簡素化を図ること、及びオープナの端面のスラストストッパーの当接面を半径の小さい部位に形成して摺動抵抗を低減させることを課題とする。
本発明は、吸気通路のスロットルバルブの開度が制御モータによって制御され、制御モータの回転が減速ギヤ機構を介してスロットルバルブに伝達され、スロットルシャフトにオープナが回転及び摺動可能に嵌合され、オープナの内側にバックスプリングが配置されるとともにオープナの外側にリリーフスプリングが配置され、バックスプリングがスロットルバルブを閉方向に付勢するとともにリリーフスプリングがスロットルバルブを開方向に付勢する内燃機関のスロットル制御装置において、スロットルギヤがスロットルシャフトに嵌合して固定され、内燃機関の運転時にはスロットルギヤの回転角度に応じてオープナが外方に移動され、オープナの外側面がスロットルギヤの内側面に当接することによりオープナの外方移動が停止されること、及びオープナの外方移動は、オープナのボスの外側端面とスロットルギヤの小径平坦面とが当接することにより停止することを特徴とする
請求項1及び2のものは、スロットルギヤがスロットルシャフトに嵌合して固定され、オープナが外方に移動された場合、オープナの外側面がスロットルギヤの内側面と当接することによりオープナの外方移動が停止される。従って、オープナと減速歯車機構とは同室に収容され、オープナの端面をスラストストッパーの当接面として、スロットルシャフトの位置決め機構の簡素化が図られ、部品数と組付工数を少なくしてコストを低減することができる。また、オープナの外方移動は、オープナのボスの外側端面とスロットルギヤの小径平坦面とが当接することにより停止する。このように、オープナの端面のスラストストッパーの当接面を半径の最も小さい部位に形成され、摺動抵抗が低減している。
図1,図は本発明の内燃機関のスロットル制御装置の実施の形態を示す。図1,図において、スロットルボデー本体10の中央に吸気通路11が形成され、吸気通路11を挟んで対向する径方向の両側に、2個の挿通孔、第1円筒部12(図1では吸気通路11の右側)及び第2円筒部13(図1では吸気通路11の左側)が形成されている。第1円筒部12の半径方向内側には軸受(ボール軸受)15、抜け止めリング16が装着され、第2円筒部13の半径方向内側には軸受(ニードル軸受)17が装着され、第2円筒部13はプラグ14で密封されている。挿通孔に挿通されたスロットルシャフト18が、軸受15、17により回転自在に軸支され、スロットルシャフト18に係合されたスロットルバルブ19はボルトにより固定されている。スロットルシャフト18の先端(図1では右端)側には、大径部に隣接して中径部及び小径部18Aが形成され、スロットルシャフト18の大径部の先端には略円板状のオープナ22が回転及び摺動可能の状態に嵌合されている。スロットルシャフト18の中径部にはスロットルギヤ23が相互回転不能状態に嵌合され、スロットルギヤ23はナットの螺合により固定されている。
オープナ22の内側(図1では左側)の外周部近傍には環状の内側ばね溝24が形成され、内側ばね溝24の底部外周壁(大径筒状部59)にバックスプリング33用の外側係合孔29が形成されている。オープナ22の外側(図1では右側)の半径方向中間部(内側ばね溝24の半径方向内側)には環状の外側ばね溝25が形成され、外側ばね溝25の底部内周壁(小径筒状部60)にリリーフスプリング34用の内側係合孔30が形成されている。スロットルボディ本体10には、第1円筒部12の半径方向外側で内側ばね溝24と対向する位置に、環状のばね挿入溝26が形成され、ばね挿入溝26の底部外周壁にバックスプリング33用の内側係合孔28が形成されている。スロットルギヤ23の内側には、オープナ22の外側ばね溝25と概ね対向する位置に環状の大径平坦面52が形成され、大径平坦面52の半径方向内側に内周壁が隣接しており、大径平坦面52の内周壁にリリーフスプリング34用の外側係合孔31が形成されている。
バックスプリング33及びリリーフスプリング34は、ねじりコイルばねの機能を有し、その端部は半径方向外側又は内側に所定長さだけ延びている。リリーフスプリング34及びバックスプリング33の付勢力を制御モータ36の駆動トルクよりも小さくする。スロットルボディ本体10のばね挿入溝26とオープナ22の内側ばね溝24にバックスプリング33が挿入され、半径方向外側に屈曲されたバックスプリング33の内側端部は内側係合孔28に係合され、半径方向外側に屈曲されたバックスプリング33の外側端部は外側係合孔29に係合されている。同様に、オープナ22の外側ばね溝25とスロットルギヤ23の大径平坦面52との間にリリーフスプリング34が配置され、半径方向外側に屈曲されたリリーフスプリング34の内側端部は内側係合孔30に係合され、半径方向内側に屈曲されたリリーフスプリング34の外側端部は外側係合孔31に係合されている。
バックスプリング33はスロットルバルブ19を閉方向(図1,2の右側からみて右ねじ方向)へ付勢し、リリーフスプリング34はスロットルバルブ19を開方向へ付勢する。スロットルギヤ23の回転によりバックスプリング33及びリリーフスプリング34は巻き込まれたり巻き戻されたりして、バックスプリング33及びリリーフスプリング34の全長が変化し、オープナ22は内外方向(図1,図2の左右方向)に移動する場合がある。ここでは、スロットルバルブ19閉方向にスロットルギヤ23を回転させると、リリーフスプリング34が伸びバックスプリング33が縮んでオープナ22は内方(図1,2の左方)に移動し、スロットルバルブ19開方向にスロットルギヤ23を回転させると、リリーフスプリング34が縮みバックスプリング33が伸びてオープナ22は外方(図1,2の右方)に移動することとする。なお、バックスプリング33及びリリーフスプリング34の捩じり方向が逆になれば、全長の移動方向が逆になる。
スロットルボディ本体10の第1円筒部12の先端面とオープナ22の内側平坦面53とが対向しており、第1円筒部12の先端面とオープナ22の内側平坦面53との間の距離をAとする。同様に、スロットルボディ本体10の外側段状面56とオープナ22の内側の大径筒状部59の内端面とが対向しており、外側段状面56とオープナ22の内側の大径筒状部59の内端面との間の距離をBとする。そして、前記の隙間の距離はA<Bであり、第1円筒部12の先端面とオープナ22の内側平坦面53との当接面は、スロットルボディ本体10の外側段状面56及びオープナ22の内側の大径筒状部59の内端面よりも、半径方向内側に位置している。オープナ22が内方に移動すると、第1円筒部12の先端面とオープナ22の内側平坦面53とが当接し、オープナ22の内方への移動が停止する。
オープナ22のボス61の外側端面とスロットルギヤ23の小径平坦面51とが対向しており、オープナ22のボス61の外側端面とスロットルギヤ23の小径平坦面51との間の距離をCとする。同様に、オープナ22の外側面にある環状の中径突出部62とスロットルギヤ23の大径平坦面52とが対向しており、オープナ22の中径突出部62とスロットルギヤ23の大径平坦面52との間の距離をDとする。そして、前記の隙間の距離はC<Dであり、オープナ22のボス61の外側端面とスロットルギヤ23の小径平坦面51との当接面は、オープナ22の中径突出部62及びスロットルギヤ23の大径平坦面52よりも、半径方向内側に位置している。オープナ22が外方に移動すると、オープナ22のボス61の外側端面とスロットルギヤ23の小径平坦面51とが当接し、オープナ22の外方への移動が停止する。
スロットルボデー本体10には、スロットルシャフト18の軸心に平行に制御モータ36が装着され、制御モータ36の出力回転軸の先端部には駆動ギヤ37が固定されている。駆動ギヤ37とスロットルギヤ23との間の位置にカウンタギヤ38が配設され、カウンタギヤ38の中心孔に回転自在に挿入された支持軸39は、その内方端(図1では左方端)がスロットルボデー本体10の支持孔に圧入固定され、外方端(図1では右方端)は後述のギヤカバー40の支持孔に装着されている。駆動ギヤ37はカウンタギヤ38の大径歯車に噛み合い、カウンタギヤ38の小径歯車はスロットルギヤ23に噛み合っている。前記各ギヤ23,38,37、オープナ22、各スプリング33,34等をギヤカバー40が覆い、ギヤカバー40の開口端41はスロットルボディ本体10の開口端42に当接され固定されている。ギヤカバー40の開口端41には水溜まり溝43が形成されている。
スロットルシャフト18の小径部18Aはギヤカバー40の挿通孔から外方へ突出し、ギヤカバー40と小径部18Aとの間はダストシールにより密封されている。スロットルシャフト18の小径部18Aにはセンサレバー44が嵌合されて固定され、導電性弾性体のブラシ45がセンサレバー44に固定されている。ブラシ45はセンサレバー44の外側(図1では右側)に外に向かって配置されている。ブラシ45の対向位置にセンサ基板46が組み付けられ、センサ基板46に4個の抵抗体(図示せず)が埋め込まれている。抵抗体の形状はブラシ45の回動軌跡に対応した円弧状をしており、4個のブラシ45の先端が各抵抗体を常に押圧し接触している。
センサ基板46の外周部内側はギヤカバー40の段部に当接され、センサ基板46の外周部外側は、弾性を有するパッキン47、センサカバー48が順次に当接され、センサカバー48はギヤカバー40の開口端の内側への変形により固定されている。ブラシ45及びセンサ基板46等から成るセンサ部は、ギヤカバー40とセンサカバー48との間に形成されるセンサ室49内に収容され、ギヤカバー40のセンサ室壁50によりセンサ室49とギアトレーン室21とが隔離されている。
本発明の実施の形態の作用について説明する。制御モータ36への電気信号が停止されると(運転停止時)、バックスプリング33がスロットルバルブ19を閉方向に付勢し、同時にリリーフスプリング34がスロットルバルブ19を開方向に付勢する。その結果、スロットルバルブ19は全閉位置から所定量開いたオープナ開度位置Nに維持される。エンジンはオープナ開度位置Nで始動待ちの状態となる。オープナ開度位置Nに維持することにより、寒冷地等でスロットルバルブ,スロットルシャフトの凍結を未然に防止し、エンジンの始動不良を防止することができる。
オープナ開度位置Nでエンジンが始動され、アイドリング状態のとき、ECUから制御モータ36へスロットルバルブ19全閉位置(最小開度位置,アイドリング位置)Sの信号が伝送され、制御モータ36は全閉位置へ回転する。リリーフスプリング34の付勢力に抗してスロットルギヤ23が全閉位置へ回転し、オープナ22が外方に移動し、オープナ22のボス61の外側端面とスロットルギヤ23の小径平坦面51とが当接し、オープナ22の外方への移動が停止する。そして、オープナ22のボス61の外側端面とスロットルギヤ23の小径平坦面51との当接面は、オープナ22の中径突出部61及びスロットルギヤ23の大径平坦面52よりも、半径方向内側に位置しているので、摺動抵抗が低減している。
アクセルペダルが踏み込まれると、ECUから制御モータ36へスロットルバルブ19開の信号が伝送され、制御モータ36は信号に応じて開方向(スロットル域)へ移動する。バックスプリング33の付勢力に抗してスロットルギヤ23が開方向へ回転し、オープナ22は内方に移動する。アクセルペダルが更に踏み込まれ、制御モータ36が全開位置へ移動すると、スロットルギヤ23が全開位置へ回転し、オープナ22がさらに内方に移動し、第1円筒部12の先端面とオープナ22の内側平坦面53とが当接し、オープナ22の内方への移動が停止する。第1円筒部12の先端面とオープナ22の内側平坦面53との当接面は、スロットルボディ本体10の外側段状面56及びオープナ22の内側の大径筒状部59の内端面よりも、半径方向内側に位置しているので、摺動抵抗が低減している。
本発明の内燃機関のスロットル制御装置の実施の形態を示す断面図である。 図1の要部拡大図である。
符号の説明
10:スロットルボデー本体
11:吸気通路
12:第1円筒部
18:スロットルシャフト
19:スロットルバルブ
22:オープナ
23:スロットルギヤ
33:バックスプリング
34:リリーフスプリング
36:制御モータ
51:小径平坦面
53:内側平坦面
61:ボス


Claims (2)

  1. 吸気通路のスロットルバルブの開度が制御モータによって制御され、制御モータの回転が減速ギヤ機構を介してスロットルバルブに伝達され、スロットルシャフトにオープナが回転及び摺動可能に嵌合され、オープナの内側にバックスプリングが配置されるとともにオープナの外側にリリーフスプリングが配置され、バックスプリングがスロットルバルブを閉方向に付勢するとともにリリーフスプリングがスロットルバルブを開方向に付勢する内燃機関のスロットル制御装置において、スロットルギヤがスロットルシャフトに嵌合して固定され、オープナの外方移動によりリリーフスプリングが密着固定する前にオープナの外側面がスロットルギヤの内側面に当接することによりオープナの外方移動が停止され、オープナの外方移動は、オープナのボスの外側端面とスロットルギヤの小径平坦面とが当接することにより停止することを特徴とする内燃機関のスロットル制御装置。
  2. バックスプリングのコイル径はリリーフスプリングのコイル径より大きく、オープナ内側の外方部近傍にバックスプリング溝が設けられ、オープナ外側の半径方向中間部にリリーフスプリング溝が設けられ、オープナの中径突出部とスロットルギヤの大径平坦面とが当接しないことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のスロットル制御装置。
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