JP4225030B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

Info

Publication number
JP4225030B2
JP4225030B2 JP2002315836A JP2002315836A JP4225030B2 JP 4225030 B2 JP4225030 B2 JP 4225030B2 JP 2002315836 A JP2002315836 A JP 2002315836A JP 2002315836 A JP2002315836 A JP 2002315836A JP 4225030 B2 JP4225030 B2 JP 4225030B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
layer
organic
silicon oxide
carbon content
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002315836A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004152590A (ja
Inventor
岳俊 山田
弘志 北
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2002315836A priority Critical patent/JP4225030B2/ja
Publication of JP2004152590A publication Critical patent/JP2004152590A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4225030B2 publication Critical patent/JP4225030B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は保護層として、膜の剥離やひび割れ等がなく水分の封止性に優れた複合膜を用いた長寿命な有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置などの表示装置用の基板の材料として、或いはCCDやCMOSセンサーのような電子デバイス用の基板の材料として、熱安定性や透明性の高さからガラスが用いられてきた。
【0003】
しかし、ガラス基板を用いて前記液晶表示装置や、有機エレクトロルミネッセンス表示装置を構成する場合、重い、割れやすい等の欠点があるため、近年の携帯電話等、携帯情報端末機器の普及に伴い、これら端末機器に設けられる表示装置や電子光学デバイスにおいて、プラスチック基板をもちいることが検討されている。
【0004】
可撓性のあるプラスチック基板を用いて構成すると可撓性のある表示装置を得ることができる。可撓性をもつ表示装置の場合、従来知られているような、例えばSiO2、CeOといった保護膜では、曲げに対して微細なひび割れが入り、封止性が損なわれる。このため保護層として水や酸素の透過性が低く柔軟な材料が望まれている。
【0005】
この問題を解決すべく特許文献1においては、アクリレートを含むモノマーを蒸着し、重合し、無機酸化物を堆積し、更にアクリレートを含むモノマーを蒸着して重合することにより、水分の透過性の低い無機酸化物をアクリル系ポリマーと共に用い複合的な膜を形成し、水分の封止性の高い膜を得ようとしているが、検討の結果では、取扱中にポリマー膜と無機物膜が剥がれやすく、剥がれた部分から水分の透過を許してしまうという問題があることが判り、膜の剥離等がなく、水分の透過性の低い、表示装置用或いは電子デバイス用、特に水分の存在で欠陥が生じやすい有機エレクトロルミネッセンス素子における保護膜或いは基板等に用いることのできる膜材料を得ようという試みは完全に成功しているとは言い難い。
【0006】
【特許文献1】
国際公開第00/36665号パンフレット
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、可撓性が高く、膜の剥離、ひび割れ等がない水分の封止性が高い表示装置用或いは電子デバイス用の保護膜として有用な複合膜を得ることにあり、また、それを用いた長寿命な有機エレクトロルミネッセンス素子(以下有機EL素子ということがある)を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は以下(1)〜(5)の手段によって達成される。
(1)基材上に少なくとも第1電極、発光層、第2電極および保護層を積層してなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、保護層が大気圧プラズマCVD法により形成され、炭素含有率が原子数濃度で1〜40%の酸化珪素層と、炭素含有率が原子数濃度で1%未満の酸化珪素層とを交互に積層した2層以上の膜からなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
(2)前記保護層が、炭素含有率が原子数濃度で1〜40%の酸化珪素層と、炭素含有率が原子数濃度で1%未満の酸化珪素層とを交互に積層した4層以上の膜からなることを特徴とする前記(1)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(3)前記炭素含有率が原子数濃度で1〜40%の酸化珪素層と、前記炭素含有率が原子数濃度で1%未満の酸化珪素層とは、大気圧又は大気圧近傍の圧力下において、異なる周波数または電力を対向する電極間に供給し放電させることでプラズマ状態とした反応性ガスに基材表面を曝すことにより形成されたことを特徴とする前記(2)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(4)100Hzを越えた周波数で且つ、0.1W/cm 以上の電力を供給し放電させることを特徴とする前記(3)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(5)前記保護層の最表面に、炭素含有率が原子数濃度で1%未満の酸化珪素層を有することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
なお、以下の1〜6については参考とされる手段である。
【0009】
1.基材上に少なくとも第1電極、発光層、第2電極および保護層を積層してなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、保護層が大気圧プラズマCVD法により形成された、炭素含有率の異なる、金属酸化物、金属酸窒化物もしくは金属窒化物を含有する2層以上の膜からなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0010】
2.金属酸化物、金属酸窒化物もしくは金属窒化物を含有する膜の少なくとも一層の炭素含有率が原子数濃度で1〜40%であることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0011】
3.炭素含有率が原子数濃度で1%未満の金属酸化物、金属酸窒化物もしくは金属窒化物を含有する膜(A)とこれよりも炭素含有率の高い金属酸化物、金属酸窒化物もしくは金属窒化物を含有する膜(B)を順次積層し4層以上としたことを特徴とする前記1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0012】
4.炭素含有率が原子数濃度で1%未満の金属酸化物、金属酸窒化物もしくは金属窒化物を含有する膜(A)とこれよりも炭素含有率の高い金属酸化物、金属酸窒化物もしくは金属窒化物を含有する膜(B)は、大気圧又は大気圧近傍の圧力下において、異なる周波数または電力を対向する電極間に供給し放電させることでプラズマ状態とした反応性ガスに基材表面を曝すことにより形成されたことを特徴とする前記3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0013】
5.100Hzを越えた周波数で且つ、0.1W/cm2以上の電力を供給し放電させることを特徴とする前記4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0014】
6.最表面に、炭素含有率が原子数濃度で1%未満の金属酸化物、金属酸窒化物もしくは金属窒化物を含有する膜を有することを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0015】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明は、例えば、基板上に少なくとも第1の電極(例えば陽極)、発光層、第2の電極(例えば陰極)及び保護膜を積層して形成された有機EL素子において、保護層が、大気圧下でのプラズマCVD法により形成された、炭素含有率の異なる、酸化珪素を含有する膜の少なくとも2層以上から構成された有機EL素子である。好ましくは、該酸化珪素を含有する膜の少なくとも1つは炭素含有率が原子数濃度で1〜40%の膜である。
炭素含有率が1〜40%の範囲にある金属酸化物、金属酸窒化物もしくは金属窒化物を含有する膜は、同じ大気圧下でのプラズマCVD法により形成された、これよりも炭素含有率が低い膜よりも柔軟性が高い性質を有するので、炭素含有率の低い別の金属酸化物膜と積層した場合、炭素含有率の高い層は応力緩和層としてはたらき、膜全体としての折り曲げ耐性が高まり、膜同士の接着性も向上する。
【0016】
ここにおいて、金属酸化物、金属酸窒化物もしくは金属窒化物を含有する膜の炭素含有率は原子数濃度で表され、後述する方法によって算出されるもので、以下に定義される。
【0017】
炭素原子の個数/全原子の個数×100=原子数濃度%(atomic concentration)
金属酸化物、金属酸窒化物もしくは金属窒化物を含有する膜は、例えば、ゾルゲル法といわれる溶液を塗設する方法、又、真空蒸着、スパッタリング、CVD法(化学蒸着)等いかなる方法でも形成できるが、本発明においては、後に詳述するが、大気圧或いは大気圧近傍でのプラズマCVDによる方法、即ち有機金属化合物を反応性ガスとして用い、対向する電極間でプラズマ状態とした反応性ガスに基材フィルムを曝すことで基材上に形成する大気圧プラズマCVD法が、緻密な膜を形成できることと、反応性ガスの選択、更にプラズマ発生条件によって膜の物性等を制御できるため好ましい。ちなみに大気圧或いは大気圧近傍とは、大気圧に近い圧力をさし、20kPa〜110kPaの圧力下、好ましくは93kPa〜104kPaの圧力下である。
【0018】
真空プラズマ法、スパッタ法と比較して、大気圧プラズマCVD法では電極間に存在する反応性ガス由来のイオン等などの粒子が高い密度で存在することになるので、有機金属化合物由来の炭素が残りやすい。膜中の炭素は、膜に柔軟性を与え、耐傷性が向上することからわずかに含有することが必要であり、具体的には0.001〜40(atom)%含有することが必要である。40(atom)%を越えて含有すると、膜の屈折率などの物性が経時的に変化することがあり好ましくない。
【0019】
膜中の炭素含有率を原子数濃度で1〜40%とするには後述する様に放電を100kHzを越える高周波電圧で、且つ、0.1W/cm2以上の電力を供給してプラズマ放電を起こさせることが好ましい。又、高周波電圧としては連続したサイン波形を有していることが好ましい。
【0020】
この炭素含有率は、主に電源の周波数と供給電力に依存し、電極に印加する電圧の高周波の周波数が高いほど、及び供給電力が大きくなるほど少なくなる。又、混合ガス中に水素ガスを注入すると炭素原子が消費されやすくなり、膜中の含有量を減らすことができ、これによっても制御出来る。
【0021】
炭素含有率が原子数濃度で1〜40%の酸化珪素を含有する膜は上記のように柔軟性の高い膜を形成し、ひび割れ等が少ない膜を形成するが、1%未満の炭素含有率の低い酸化珪素を含有する膜に比べ、透湿性がやや劣るため、封止膜として単独で用いるには厚みが必要となる。
【0022】
一方、炭素含有率が原子数濃度で1%未満の炭素含有率の低い酸化珪素を含有する膜は透湿性が低く封止材料として好ましいが、これのみで膜材料を形成しようとすると、膜がひび割れを起こしやすく、膜の剥落等、膜欠陥が多く、ひび割れ部から水分が浸透したりする欠点があった。
【0023】
本発明は、この様に、大気圧或いは大気圧近傍でのプラズマCVDにより形成される、柔軟性の高い、炭素含有率が原子数濃度で1〜40%の酸化珪素(シリカ)を含有する膜を、透湿性は低いが硬い、ひび割れ等を起こしやすい酸化珪素(シリカ)を含有する膜と組み合わせ、複合膜とすることで、柔軟性が高く、且つ、ひび割れや剥離を起こさず、水分の封止性に優れた膜を得るものである。
【0024】
本発明において、保護層として用いる複合膜としては、従って、大気圧下でのプラズマ処理法により形成された酸化珪素(シリカ)を含有する膜を少なくとも2層以上積層したものであって、且つ、これらの膜のうち少なくとも1つは、炭素含有率が原子数濃度で1〜40%の酸化珪素(シリカ)を含有する膜であり、これを、炭素含有率1%未満の、水分の透湿性が低い、硬く脆い、やはり酸化珪素を含有する膜と組み合わせて用いることが好ましい。炭素含有率の高い、柔らかい膜は、基材上に塗布した後(この上に炭素含有率の低い硬い膜を積層する)、前記炭素含有率の高い柔らかい膜が、応力緩和層としてはたらくので基材とこの上に積層される炭素含有率の低い硬い膜との接着性を高め、これにより変形や、折り曲げ等に対して、ひび割れや剥離が少なく、透湿性が低い複合膜が得られる。また、最外層に炭素含有率の低いそれ故硬度が高い層を有することが好ましく、それにより摩擦や、ブラッシングに対する耐性に優れ、傷を受けにくいという優れた特性を併せもつ複合膜が得られる。
【0025】
また、前記無機酸化物をアクリル系ポリマーと共に用いた複合的な膜と異なり実質的に屈折率が同じ膜材料で複合膜を形成できるために、層間での反射や散乱が少なく、光取り出し面側に保護層を形成する場合に有利である。
【0026】
本発明においては、従って、通常交互に、基材上に、炭素含有率が原子数濃度で1〜40%の酸化珪素を含有する膜、及び、炭素含有率が原子数濃度で1%未満の酸化珪素を含有する膜をこの順で大気圧下でのプラズマCVD法により形成する。それぞれ1層ずつの膜を有する複合膜であればよいが、更に性能を向上させるためには、少なくともそれぞれ2層(トータル4層)以上を交互に積層した複合膜が、柔軟性、水分或いは酸素の封止性に優れ、摩擦や、ブラッシングに対する耐性に優れた傷を受けにくい膜材料として好適である。
【0027】
本発明の複合膜は、水蒸気の封止性を高めるためには各単位膜の厚みは、70nm以上、10000nm以下、好ましくは100nm以上、1000nm以下の膜厚を有するのが好ましい。炭素含有率が原子数濃度で1〜40%の酸化珪素を含有する膜は、酸化珪素を含有する膜がひび割れを起こしたり剥離するのを応力緩和によって防止する役割をもつので、上記の膜厚を有するのが好ましいが、炭素含有率が原子数濃度で1%未満の酸化珪素を含有する膜は、1000nm以下であることが好ましく、これより厚くなると、炭素含有率1〜40質量%の酸化珪素を含有する膜による応力緩和が効かず、ひび割れしたり、剥落しやすくなる。また、本発明に係わる保護膜を構成する積層膜は、トータルの膜厚20μm以下で有効に水分のブロック層として作用する。
【0028】
以下更に、反応性ガスとして有機金属化合物を用いた大気圧或いは大気圧近傍でのプラズマCVD法を用いた酸化珪素等の、金属酸化物、金属酸窒化物もしくは金属窒化物を含有する膜の形成について詳述する。
【0029】
本発明において前記金属酸化物、金属酸窒化物もしくは金属窒化物を含有する膜において、含有するとは、これを主成分、全構成成分中50質量%以上を金属酸化物、金属酸窒化物もしくは金属窒化物が占めるということである。
【0030】
金属酸化物、金属酸窒化物もしくは金属窒化物としては酸化珪素、酸化チタン、酸化インジウム、酸化錫、ITO(酸化インジウム錫)、アルミナ等の金属酸化物、窒化珪素等の金属窒化物、酸窒化珪素、酸窒化チタン等の金属酸窒化物等があげられる。
【0031】
珪素酸化物は透明性が高く、窒化物は封止性が高く、酸窒化珪素は両方の性質を合わせもつ。ただし、製膜性や大気圧プラズマCVDのやりやすさから珪素酸化物の膜を複数有する層構成にするのが好ましい。
【0032】
本発明において、金属酸化物、金属酸窒化物もしくは金属窒化物を含有する膜の主成分としては水分の透過性と光透過性および大気圧プラズマCVD適性から酸化珪素が用いられる
【0033】
又、これらの金属酸化物、金属酸窒化物もしくは金属窒化物を含有する膜を形成するための大気圧プラズマCVD法においてもちいられる反応性ガスとしては、例えば有機金属化合物、金属水素化合物を用いることができ、該化合物は常温常圧で、気体、液体、固体いずれの状態であっても構わないが、気体の場合にはそのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用する。又、溶媒によって希釈して使用してもよく、溶媒は、メタノール,エタノール,n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用出来る。尚、これらの希釈溶媒は、プラズマ放電処理中において、分子状、原子状に分解されるため、影響は殆ど無視することができる。
【0034】
有機金属化合物として好ましい酸化珪素膜を形成するためには腐食性、有害ガスの発生がなく、工程上の汚れなども少ないことから、例えば、下記一般式(1)〜(5)で表される化合物が好ましい。
【0035】
【化1】
Figure 0004225030
【0036】
式中、R21からR26は、水素原子または1価の基を表す。n1は自然数を表す。
【0037】
一般式(1)で表される化合物の例としては、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン等が挙げられる。
【0038】
【化2】
Figure 0004225030
【0039】
式中、R31およびR32は、水素原子または1価の基を表す。n2は自然数を表す。
【0040】
一般式(2)で表される化合物の例としては、ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
【0041】
一般式(3)
(R41nSi(R424-n
式中、R41およびR42は、水素原子または1価の基を表す。nは、0から3までの整数を表す。
【0042】
一般式(3)で表される、有機珪素化合物の例としては、テトラエトキシシラン(TEOS)、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、n−へキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0043】
【化3】
Figure 0004225030
【0044】
式中、Aは、単結合あるいは2価の基を表す。R51〜R55は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、芳香族複素環基、アミノ基またはシリル基を表す。R51およびR52、R54およびR55は縮合して環を形成していてもよい。
【0045】
一般式(4)において、Aとして好ましくは単結合あるいは、炭素数1〜3の2価の基である。R54およびR55は縮合して環を形成していてもよく、形成される環としては例えばピロール環、ピペリジン環、ピペラジン環、イミダゾール環等を挙げることができる。R51〜R53は好ましくは水素原子、メチル基またはアミノ基である。
【0046】
一般式(4)で表される化合物の例としては、アミノメチルトリメチルシラン、ジメチルジメチルアミノシラン、ジメチルアミノトリメチルシラン、アリルアミノトリメチルシラン、ジエチルアミノジメチルシラン、1−トリメチルシリルピロール、1−トリメチルシリルピロリジン、イソプロピルアミノメチルトリメチルシラン、ジエチルアミノトリメチルシラン、アニリノトリメチルシラン、2−ピペリジノエチルトリメチルシラン、3−ブチルアミノプロピルトリメチルシラン、3−ピペリジノプロピルトリメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、1−トリメチルシリルイミダゾール、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ブチルアミノ)ジメチルシラン、2−アミノエチルアミノメチルジメチルフェニルシラン、3−(4−メチルピペラジノプロピル)トリメチルシラン、ジメチルフェニルピペラジノメチルシラン、ブチルジメチル−3−ピペラジノプロピルシラン、ジアニリノジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等があげられる。
【0047】
一般式(4)において、特に好ましい化合物は一般式(5)で表されるものである。
【0048】
【化4】
Figure 0004225030
【0049】
式中、R61からR66はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基または芳香族複素環基を表す。
【0050】
一般式(5)においてR61からR66は気化の容易性の観点から好ましくは炭素数1〜10の炭化水素基であり、より好ましくはR61からR63のうちすくなくとも2つおよびR64からR66のうち少なくとも2つがメチル基のものである。
【0051】
一般式(5)で表される化合物の例としては、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(クロロメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン等が挙げられる。
【0052】
又、酸化錫を形成するためには例えば、テトラブチル錫、トリアルキル錫アシレート、ジアルキル錫ジアシレート、テトラアルコキシ錫、錫−β−ジケトンキレート等があげられ、代表例としてジブチル錫ジアセテートがあげられる。
【0053】
又、更に酸素ガスや窒素ガスを所定割合で上記有機金属化合物と組み合わせて、酸素原子と窒素原子の少なくともいずれかと珪素或いは、錫等の金属原子を含有する膜を得ることが出来る。また金属酸化物は混合して使用してもよい。例えば,テトラエトキシシラン(TEOS)とジブチル錫ジアセテートの混合物を反応性ガス源として用いることもできる。
【0054】
更に、膜中の炭素含有率を調整するために前記の如く混合ガス中に水素ガス等を混合してもよく、これらの反応性ガスに対して、窒素ガスおよび/または周期表の第18属原子、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等、特に、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられるが、不活性ガスを混合し、混合ガスとしてプラズマ放電発生装置(プラズマ発生装置)に供給することで膜形成を行う。不活性ガスと反応性ガスの割合は、得ようとする膜の性質によって異なるが、混合ガス全体に対し、不活性ガスの割合を90.0〜99.9%として反応性ガスを供給する。
【0055】
珪素(Si)源としては、上記のような有機珪素化合物だけでなく、無機珪素化合物を用いてもよい。
【0056】
又、酸素源として酸素ガス以外にオゾン、二酸化炭素、水(水蒸気)等を用いてもよいし、窒素源としてシラザンや窒素ガス以外に、アンモニア、窒素酸化物等を用いてもよい。
【0058】
本発明に係わる大気圧プラズマCVD法による膜の形成を行うプラズマ製膜装置としては、種々の装置が使用できるが、例えば、特願2001−184803に記載された平板電極間において製膜処理する装置、また、特願2002−2272に記載されたロール状電極と対向する複数の電極間に基材を搬送しつつ連続して製膜処理行う装置等が使用可能である。しかしながら、可撓性のない基材や厚み、凹凸のある基材、例えば基板上に電極および有機EL層を形成した有機EL素子等に製膜処理を均一に行うことの出来る、本発明に好適に用いられるプラズマ製膜装置の一例を図1に示す。
【0059】
図1のプラズマ製膜装置60において、35aは誘電体、35bは導電性母材、65は電源である。導電性母材35bに誘電体35aを被覆した2つの電極(一方の電極はアースに接地される)のスリット状の放電空間に、上部から不活性ガス及び反応性ガスからなる混合ガスを導入し、電源65により高周波電圧を印加することにより放電空間で放電させ、反応性ガスをプラズマ状態とし、該プラズマ状態の反応性ガスからなるプラズマ流を基材61上に噴射することにより表面に反応性ガス由来の膜を形成する。
【0060】
前記電極間には、高いプラズマ密度を得るため、高周波電圧で、ある程度大きな電力を供給することが好ましい。具体的には、100kHz以上150MHz以下の高周波の電圧を印加することが好ましく、200kHz以上であればより一層好ましい。又、電極間に供給する電力の下限値は、0.1W/cm2以上50W/cm2以下であることが好ましく、1W/cm2以上であればより一層好ましい。尚、電極における電圧の印加面積(cm2)は放電が起こる範囲の面積のことである。
【0061】
又、電極間に印加する高周波電圧は、断続的なパルス波であっても、連続したサイン波であってもよいが、製膜速度が大きくなることから、サイン波であることが好ましい。
【0062】
前述のように、形成される金属酸化物、金属酸窒化物もしくは金属窒化物の膜の炭素含有率は、電極に印加する電圧の高周波の周波数が高いほど、及び供給電力が大きくなるほど少なくなる。又、混合ガス中に水素ガスを注入し、膜中の含有量を減らすことも出来る。
【0063】
このような電極としては、前記のように金属母材上に誘電体を被覆したものであることが好ましい。いずれか一方の電極に誘電体を被覆すること、好ましくは、両方に誘電体を被覆することである。誘電体としては、非誘電率が6〜45の無機物であることが好ましい。
【0064】
電極の一方に誘電体を設置した場合の誘電体と電極の最短距離、上記電極の双方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電を行う観点から,0.5mm〜20mmが好ましく、特に好ましくは1mm±0.5mmである。この電極間の距離は、電極周囲の誘電体の厚さ、印加電圧の大きさを考慮して決定される。
【0065】
又、更に誘電体表面を研磨仕上げし、電極の表面粗さRmax(JIS B 0601)を10μm以下にすることで誘電体の厚み及び電極間のギャップを一定に保つことができ放電状態を安定化出来る。更に、誘電体の熱収縮差や残留応力による歪みやひび割れをなくし、且つ、ノンポーラスな高精度の無機誘電体を被覆することで大きく耐久性を向上させることができる。
【0066】
又、金属母材に対する誘電体被覆による電極製作において、前記のように、誘電体を研磨仕上げすることや、電極の金属母材と誘電体間の熱膨張の差をなるべく小さくすることが必要であるので、母材表面に、応力を吸収出来る層として泡混入量をコントロールして無機質の材料をライニングすることが好ましい。特に材質としては琺瑯等で知られる溶融法により得られるガラスであることがよく、更に導電性金属母材に接する最下層の泡混入量を20〜30体積%とし、次層以降を5体積%以下とすることで、緻密且つひび割れ等の発生しない良好な電極ができる。
【0067】
又、電極の母材に誘電体を被覆する別の方法として、セラミックスの溶射を空隙率10vol%以下まで緻密に行い、更にゾルゲル反応により硬化する無機質の材料にて封孔処理を行うことがあげられる。ここでゾルゲル反応の促進には、熱硬化やUV硬化がよく、更に封孔液を希釈し、コーティングと硬化を逐次で数回繰り返すと、より一層無機質化が向上し、劣化のない緻密な電極ができる。
【0068】
電極は、金属等の導電性母材35bに対しセラミックスを溶射後、無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理誘電体35aを被覆した組み合わせで構成されているものである。溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工しやすいので、更に好ましく用いられる。
【0069】
或いは、金属等の導電性母材35bへライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体35aを被覆した組み合わせから構成してもよい。ライニング材としては、珪酸塩系ガラス、硼酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩系ガラス、バナジン酸塩ガラスが好ましく用いられるが、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工しやすいので、更に好ましく用いられる。
【0070】
金属等の導電性母材35bとしては、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属等が挙げられるが、加工の観点からステンレスが好ましい。
【0071】
又、尚、本実施の形態においては、電極は冷却水による冷却手段を有していてもよい(不図示)。
【0072】
又、放電時の高温による悪影響を抑制するため、表面処理(膜形成)しようとする基材の温度を常温(15℃〜25℃)〜200℃未満、更に好ましくは常温〜100℃内で抑えられるように必要に応じて電極冷却ユニット(不図示)で冷却する。
【0073】
図1の電源65などの本発明の膜の形成に用いるプラズマ製膜装置の電源としては、特に限定はないが、ハイデン研究所製インパルス高周波電源(連続モードで使用100kHz)、パール工業製高周波電源(200kHz)、パール工業製高周波電源(800kHz)、日本電子製高周波電源(13.56MHz)、パール工業製高周波電源(150MHz)等が使用出来る。
【0074】
この様なプラズマ製膜装置を用い、本発明に係わる酸化珪素を含有する封止膜を形成できる。
【0075】
本発明に係わる酸化珪素を含有する膜の膜厚は、プラズマ処理の時間を増やしたり、処理回数を重ねること、或いは、混合ガス中の有機金属化合物の分圧を高めることによって調整することができる。
【0076】
本発明の一態様は、これらにより形成される複合膜を、保護層として有する有機EL素子である。
【0077】
例えば、ガラス基板上に、陽極、ホール輸送層、発光層、電子輸送層そして、更に陰極等の有機EL素子を構成する層を積層し、更に陰極上に直接、本発明に係わる複合膜を保護層として直接積層して有機EL素子を封止する。
【0078】
また、例えば、封止材を用いて保護層とガラス基板との間に有機EL素子を封止してもよい。
【0079】
本発明において、有機EL素子に用いる基板としては、透湿性の低いガラス基板が好ましいが、その他、セラミック、金属や金属化合物等でもよい。しかしながら、可撓性がありフレキシブルで軽量であることから、本発明の好ましい一態様としてプラスチック基板が好ましい。本発明に係わる複合膜はフレキシブルな基板を用いた場合にとくにその効果を発揮することができる。
【0080】
例えば、プラスチックの基板を用いる場合、前述のように透湿性がガラスに比べやや劣ることから、水分のブロック層として、酸化珪素、酸化スズ等の透湿性の低い金属酸化物、金属酸窒化物もしくは金属窒化物を含有する膜を、基板上に形成することが好ましく、本発明者による特願2002−261105に記載された、大気圧下でのプラズマCVD法により形成した、炭素含有率が原子数濃度で1〜40%の金属酸化物、金属酸窒化物もしくは金属窒化物を含有する膜、及び、炭素含有率が原子数濃度で1%以下の金属酸化物、金属酸窒化物もしくは金属窒化物を含有する膜をからなる複合膜を形成させた基板が好ましい。
【0081】
本発明において用いるプラスチックの基板としては、厚み10〜1000μmのプラスチックのシート乃至フィルムが用いられるが、種類については特に限定はなく、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン類、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル或いはポリアリレート類等をあげることが出来る。特にアートン(商品名JSR(株)製)或いはアペル(商品名三井化学(株)製)といったシクロオレフィン系樹脂が好ましい。
【0082】
水の透過性の低いガラス基板或いはプラスチックの複合基板上に有機EL素子を形成し、該素子上に、前記複合膜からなる保護層を積層することにより有機EL素子を該基板と保護層との間に封入し、水分を封止するのが好ましい。
【0083】
本発明において有機EL素子は、前記基板上において、陽極と陰極の一対の電極の間に発光層が挾持された構造をとる。本明細書でいう発光層は、広義の意味では、陰極と陽極からなる電極に電流を流した際に発光する層のことを指す。具体的には、陰極と陽極からなる電極に電流を流した際に発光する有機化合物を含有する層のことを指す。本発明に係わる有機EL素子は、必要に応じ発光層の他に、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層および電子輸送層を有していてもよい。
【0084】
具体的には、
(i)陽極/発光層/陰極
(ii)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
(iii)陽極/発光層/電子注入層/陰極
(iv)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
(v)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極などの構造がある。
【0085】
さらに、電子注入層と陰極との間に、陰極バッファー層(例えば、フッ化リチウム、等)を挿入しても良い。また、陽極と正孔注入層との間に、陽極バッファー層(例えば、銅フタロシアニン、等)を挿入しても良い。
【0086】
また、上記電子輸送層は、ホールブロック層ともよばれ、とくに発光層にドーパントとしてオルトメタル錯体を用いるいわゆる「燐光発光素子」においては(v)の様にホールブロック層を有することが好ましく、その例としてWO00/70655、特開2001−313178があげられる。
【0087】
上記発光層は、発光層自体に、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層および電子輸送層等を設けてもよい。即ち、発光層に(1)電界印加時に、陽極又は正孔注入層により正孔を注入することができ、かつ陰極又は電子注入層より電子を注入することができる注入機能、(2)注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる輸送機能、(3)電子と正孔の再結合の場を発光層内部に提供し、これを発光につなげる発光機能、のうちの少なくとも1つ以上の機能を有してもよく、この場合は、発光層とは別に正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層および電子輸送層の少なくとも1つ以上は設ける必要がなくなることになる。また、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層および電子輸送層等に発光する化合物を含有させることで、発光層としての機能を付与させてもよい。尚、発光層は、正孔の注入されやすさと電子の注入されやすさに違いがあってもよく、また、正孔と電子の移動度で表される輸送機能に大小があってもよいが、少なくともどちらか一方の電荷を移動させる機能を有するものが好ましい。
【0088】
この発光層に用いられる発光材料の種類については特に制限はなく、従来有機EL素子における発光材料として公知のものを用いることができる。このような発光材料は主に有機化合物であり、所望の色調により、例えば、Macromol.Symp.125巻17頁から26頁に記載の化合物が挙げられる。
【0089】
発光材料は発光性能の他に、正孔注入機能や電子注入機能を併せ持っていても良く、正孔注入材料や電子注入材料の殆どが発光材料としても使用できる。
【0090】
発光材料はp−ポリフェニレンビニレンやポリフルオレンのような高分子材料でも良く、さらに前記発光材料を高分子鎖に導入した、または前記発光材料を高分子の主鎖とした高分子材料を使用しても良い。
【0091】
また、発光層にはドーパント(ゲスト物質)を併用してもよく、有機EL素子のドーパントとして使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
【0092】
ドーパントの具体例としては、例えばキナクリドン、DCM、クマリン誘導体、ローダミン、ルブレン、デカシクレン、ピラゾリン誘導体、スクアリリウム誘導体、ユーロピウム錯体等がその代表例として挙げられる。また、イリジウム錯体(例えば特開2001−247859号明細書に挙げられるもの、あるいはWO0070655号明細書16〜18ページに挙げられるような式で表される例えばトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム等)やオスミウム錯体、あるいは2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金錯体のような白金錯体もドーパントとして挙げられる。
【0093】
上記材料を用いて発光層を形成するには、例えば蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の方法により薄膜化することにより形成する方法があるが、特に分子堆積膜であることが好ましい。ここで、分子堆積膜とは、上記化合物の気相状態から沈着され形成された薄膜や、該化合物の溶融状態又は液相状態から固体化され形成された膜のことである。通常、この分子堆積膜はLB法により形成された薄膜(分子累積膜)と凝集構造、高次構造の相違や、それに起因する機能的な相違により区別することができる。
【0094】
また、この発光層は、特開昭57−51781号に記載されているように、樹脂などの結着材と共に上記発光材料を溶剤に溶かして溶液としたのち、これをスピンコート法などにより薄膜化して形成することができる。このようにして形成された発光層の膜厚については特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができるが、通常は5nm〜5μmの範囲である。
【0095】
正孔注入層の材料である正孔注入材料は、正孔の注入、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。この正孔注入材料としては、例えばトリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマーなどが挙げられる。正孔注入材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
【0096】
上記芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)ビフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには、米国特許第5,061,569号に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)などが挙げられる。
【0097】
また、p型−Si、p型−SiCなどの無機化合物も正孔注入材料として使用することができる。この正孔注入層は、上記正孔注入材料を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔注入層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度である。この正孔注入層は、上記材料の一種又は二種以上からなる一層構造であってもよく、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
【0098】
電子注入層は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。この電子注入層に用いられる材料(以下、電子注入材料という)の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレン、ペリレンなどのテトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体などが挙げられる。また、特開昭59−194393号公報に記載されている一連の電子伝達性化合物は、該公報では発光層を形成する材料として開示されているが、本発明者らが検討の結果、電子注入材料として用いうることが分かった。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子注入材料として用いることができる。また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えばトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)など、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も電子注入材料として用いることができる。その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基などで置換されているものも電子注入材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も電子注入材料として用いることができるし、正孔注入層と同様にn型−Si、n型−SiCなどの無機半導体も電子注入材料として用いることができる。
【0099】
この電子注入層は、上記化合物を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。電子注入層としての膜厚は特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲で選ばれる。この電子注入層は、これらの電子注入材料一種又は二種以上からなる一層構造であってもよいし、あるいは同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
【0100】
さらに、陽極と発光層または正孔注入層の間、および、陰極4と発光層または電子注入層との間にはバッファー層(電極界面層)を存在させてもよい。
【0101】
バッファー層とは、駆動電圧低下や発光効率向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(第123頁〜第166頁)に詳細に記載されており、陽極バッファー層と陰極バッファー層とがある。
【0102】
陽極バッファー層は、特開平9−45479号、同9−260062号、同8−288069号等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
【0103】
陰極バッファー層は、特開平6−325871号、同9−17574号、同10−74586号等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
【0104】
上記バッファー層はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるが、その膜厚は0.1〜100nmの範囲が好ましい。
【0105】
さらに上記基本構成層の他に必要に応じてその他の機能を有する層を積層してもよく、例えば特開平11−204258号、同11−204359号、および「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の第237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層などのような機能層を有していても良い。
【0106】
バッファー層は、陰極バッファー層または陽極バッファー層の少なくとも何れか1つの層内に本発明の化合物の少なくとも1種が存在して、発光層として機能してもよい。
【0107】
有機EL素子における陽極は、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAuなどの金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnOなどの導電性透明材料が挙げられる。
【0108】
上記陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10nm〜200nmの範囲で選ばれる。
【0109】
有機EL層の陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属などが挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化などに対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えばマグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物などが好適である。上記陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜1μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が、透明又は半透明であれば発光効率が向上し好都合である。
【0110】
以下に、本発明の前記複合膜を保護層として用いた、ガラスの基板上に形成された陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極等からなる有機EL素子の好適な例を説明する。
【0111】
図2は本発明に係わる有機EL素子の一例を示す断面図である。この有機EL素子は透明なガラス製の基板1上に有機EL層を構成する各層が形成されているものである。
【0112】
先ず、ガラス製の基板1上に、複数の陽極(アノード)2が互いに平行して設けられている。所望の陽極用電極物質からなる薄膜を、マスクで覆った後、蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させ、1μm以下、好ましくは10nm〜200nmの範囲の膜厚になるように陽極(アノード)2を作製する。有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物、具体例としてはAuなどの金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、インジウムジンクオキシド(IZO)、SnO2、ZnOなどの導電性透明材料が用いられる。
【0113】
次に、この上に有機EL層3を形成する。即ち、ここで詳細に図示していないが、正孔注入層、発光層、電子注入層等の前記各材料からなる薄膜を形成させる。
【0114】
次いで、上記有機EL層3上には、前述のような物質から選ばれる陰極(カソード)4が、蒸着やスパッタリングなどの方法により薄膜を形成させることにより作製される。なお、発光を透過させるためには、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が透明又は半透明であれば発光効率が向上し好都合であり、例えば陽極を透明導電性膜材料であるインジウムチンオキシド(ITO)、陰極をアルミニウムで形成する。
【0115】
有機EL層3を構成する各層の作製方法としては、スピンコート法、キャスト法、蒸着法などがあるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくいなどの点から、真空蒸着法が好ましい。真空蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は、使用する化合物の種類、分子堆積膜の目的とする結晶構造、会合構造などにより異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10-6〜10-3Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚5nm〜5μmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
【0116】
これらの層の形成後、その上に陰極用物質、例えばアルミニウムからなる薄膜を、1μm以下好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させて陰極4とする。
【0117】
この陽極2から有機EL層3及び陰極4の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、発光層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた有機EL素子に、直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧5〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。さらに、交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
【0118】
次いで、陰極4のうえに、前記図1で示されるプラズマ製膜装置をもちいて、大気圧下でのプラズマCVD法により、本発明に係わる酸化珪素(シリカ)の複合膜が重ねられ有機ELの各層が水分から封止される。即ち、例えば炭素含有率が原子数濃度で1〜40%の酸化珪素膜5及び炭素含有率1%未満の酸化珪素膜6をそれぞれ交互に2層ずつ積層した複合膜を保護膜として形成する。
【0119】
図2の例の場合には、ガラスの基板1と保護膜としての本発明に係わる酸化珪素を含有する膜の間に有機EL素子の各層を封止する構成をとっているが、図3は、別の基板上に形成した本発明の複合膜を保護層として用いた本発明に係わる有機EL素子の別の一例を示す断面図である。別の基板、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム等のプラスチックシート10上に、前記炭素含有率が原子数濃度で1〜40%の酸化珪素膜5及び炭素含有率1%未満の酸化珪素膜6を積層した複合膜を形成し、このシートを保護膜として前記有機EL層上に形成された陰極4の上に複合膜の側を前記陰極4とあわせて重ね、ガラスの基板1との間でシール材11を用いて封止した構造としたものある。
【0120】
この場合、封止は、複合膜の設けられたプラスチックシート10のガラスの基板と向き合う面或いはガラスの基板の周辺部に塗布法や転写法等によって設けられたほぼ枠状のシール材11を介して互いに貼り合わせることで行われる。シール材11としては、熱硬化型エポキシ系樹脂、紫外線硬化型エポキシ系樹脂、または反応開始剤をマイクロカプセル化して加圧することにより反応が開始する常温硬化型エポキシ系樹脂等がある。この場合、シール材11の所定の箇所には空気逃げ用開口部等を設け(図省略)封止を完全にすることもできる。空気逃げ用開口部は、真空装置内において減圧雰囲気(真空度1.33×10-2MPa以下が好ましい)或いは窒素ガスまたは不活性ガス雰囲気中において、上記硬化型エポキシ系樹脂のいずれか、或いは紫外線硬化型樹脂等で封止される。
【0121】
この場合のエポキシ系樹脂は、ビスフェノールA形、ビスフェノールF形、ビスフェノールAD形、ビスフェノールS形、キシレノール形、フェノールノボラック形、クレゾールノボラック形、多官能形、テトラフェニロールメタン形、ポリエチレングリコール形、ポリプロピレングリコール形、ヘキサンジオール形、トリメチロールプロパン形、プロピレンオキサイドビスフェノールA形、水添ビスフェノールA形、またはこれらの混合物を主剤としたものである。シール材11を転写法により形成する場合には、フィルム化されたものが好ましい。
【0122】
保護層にもちいるプラスチックシート等の基板については、ガラス、樹脂、セラミック、金属、金属化合物等の基材の他、前記有機EL素子の基板としてあげられたプラスチックシート乃至フィルムが好適に使用できる。
【0123】
上記において、有機EL素子を形成する基板としてガラス基板を用いることは必ずしも必須ではなく、透湿性の低いシートであればガラス基板以外にも前述のように樹脂、セラミック、金属、金属化合物等の基材から選択してもよい。また、これらの基材からなる複合材料基板であってもよい。JIS Z−0208に準拠した試験で、その厚さが10μm以上で水蒸気透過率が1g/m2・1atm・24hr(25℃)以下である基板であれば望ましい。
【0124】
例えば、本発明に係わる酸化珪素を含有する膜からなる前記の複合膜をプラスチックシート上に設けた複合材料からなる基板はこの様な目的に好適である。
【0125】
図4は、水分のブロック層として、本発明に係わる酸化珪素を含有する膜からなる複合膜を、ポリエチレンテレフタレートのようなプラスチックのシート(厚み100μm)上に設けた複合シートを基板として用いた有機EL素子の一例を示す断面図である。
【0126】
図4の有機EL素子は、ポリエチレンテレフタレートのシートを基板1として、これに、水分のブロック層として酸化珪素を含有する、炭素含有率が原子数濃度で1〜40%の酸化珪素膜5及び炭素含有率1%未満の酸化珪素膜6を交互に形成した複合膜を形成し、該複合膜が形成された基板1上に陽極2、有機EL層3、陰極4、更に、前記保護層、即ち炭素含有率が原子数濃度1〜40%の酸化珪素膜5及び炭素含有率1%未満の酸化珪素膜6を交互に形成し積層した構造を有する。
【0127】
以上のように構成された有機EL素子では、ガラス等の基板1上に形成された有機EL素子の、例えば陰極4の上に、柔軟性の異なる複数の酸化珪素を含有する膜を保護層として直接、形成する、或いは透湿性の低い別の基板を前記のように、枠状のシール材11を介して互いに貼り合わせることで、基板1上に設けられた有機EL素子、カソード電極4等を封止することができ、内部が低湿度の状態で素子を封止出来ると同時に、基板を通しての水分の浸透が抑えられ、有機EL表示装置の耐湿性がより一層向上し、時間がたつにつれ発生する発光しない部分であるダークスポットの成長をより一層抑制することができる。
【0128】
また、本発明の有機EL素子においては、水分を吸収する、或いは水分と反応する材料(例えば酸化バリウム等)を上記基板に組合せ、層形成して封入することもできる。
【0129】
尚、本発明の基材及び上記有機EL素子による前記構成は本発明の1つの態様であり、有機EL素子構成及び本発明の基材を含めた構成はこれらに限られるものではない。
【0130】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが本発明はこれにより限定されるものではない。
【0131】
実施例1
以下のようにして有機EL素子OLED−1〜6を作製した。
【0132】
(有機EL素子OLED−1)
ITO(インジウムチンオキサイド)を150nm製膜したガラス基板(NHテクノグラス社製NA−45)にパターニングを行って陽極を形成した後、この基板をi−プロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。さらに真空蒸着法により、有機EL層および陰極として、以下に示す各層を順次積層した。
α−NPD層(正孔輸送層、膜厚25nm)
CBPとIr(ppy)3の蒸着速度の比が100:6の共蒸着層(発光層、膜厚35nm)
BC層(正孔阻止・電子輸送層、膜厚10nm)
Alq3層(電子輸送層、膜厚40nm)
フッ化リチウム層(陰極バッファー層、膜厚0.5nm)
アルミニウム層(陰極、膜厚100nm)
【0133】
【化5】
Figure 0004225030
【0134】
次いで、モノマー導入ノズルを有する真空蒸着装置内に上記の陰極まで積層した有機EL素子を固定して、4×10-4Paまで装置内を減圧にした後、WO00/36665に記載された方法に従って真空蒸着装置内に導入ノズルからポリメチルメタクリレートオリゴマーを導入し、有機EL素子上に蒸着した。得られた有機EL素子を真空蒸着装置から取り出し、乾燥窒素気流下、紫外線を照射し、重合させPMMAの重合膜を形成した。得られた膜の膜厚は200nmであった。
【0135】
このPMMA重合膜上に、有機EL素子OLED−1の場合と同様に、酸化珪素をスパッタリングターゲットとするRFスパッタリング法(周波数13.56MHz)を用いて酸化珪素膜を膜厚200nmまで蒸着した。
【0136】
更に、PMMA重合膜、酸化珪素膜を同じ手段により、この順に形成し、有機EL素子上にPMMA重合膜と酸化珪素の交互積層膜を形成した。得られた有機EL素子をOLED−1とした。
【0137】
(有機EL素子OLED−2)
次いで、真空蒸着装置内に上記の陰極まで積層した別の有機EL素子を固定し、4×10-4Paまで装置内を減圧にした後、酸化珪素をスパッタリングターゲットとするRFスパッタリング法(周波数13.56MHz)を用いて酸化珪素膜を膜厚800nmまで蒸着した。前記有機EL素子上に保護膜が形成された有機EL素子OLED−2が得られた。
【0138】
(有機EL素子OLED−3)
別に、上記の陰極まで積層した有機EL素子上に、前記図1に示したプラズマ製膜装置を用いて、プラズマ発生には、日本電子(株)製高周波電源JRF−10000を電源に用い、反応性ガスとして以下の組成のガスを用い、
不活性ガス:アルゴン 98.25体積%
反応性ガス1:水素ガス 1.5体積%
反応性ガス2:テトラメトキシシラン蒸気(アルゴンガスにてバブリング)
0.25体積%
13.56kHz、1W/cm2の条件で、厚み800nmになるまで酸化珪素膜を形成した。これを有機EL素子OLED−3とした。
【0139】
(有機EL素子OLED−4)
更に、上記の陰極まで積層した別の有機EL素子上に、プラズマ発生の条件を、13.56kHz、10W/cm2の条件に変更して、同様に厚み800nmの酸化珪素膜を形成した。これを有機EL素子OLED−4とした。
【0140】
(有機EL素子OLED−5)
また、有機EL素子OLED−2と同様にして、アルミニウム陰極までを蒸着した積層体上に、前記図1に示したプラズマ製膜装置を用いて、プラズマ発生には、日本電子(株)製高周波電源JRF−10000を電源に用い、反応性ガスとして以下の組成のガスを用い、
不活性ガス:アルゴン 98.25体積%
反応性ガス1:水素ガス 1.5体積%
反応性ガス2:テトラメトキシシラン蒸気(アルゴンガスにてバブリング)
0.25体積%
13.56kHz、1W/cm2の条件で、厚み200nmになるまで酸化珪素膜を形成した。
【0141】
次いで、この上に、プラズマ発生条件を13.56kHz、10W/cm2の条件に変更し、同様にして厚み200nmの酸化珪素膜を積層した。
【0142】
更に、この順序で条件を変えた酸化珪素膜を積層し合計4層からなる保護膜を有する有機EL素子OLED−5を得た。
【0143】
(有機EL素子OLED−6)
有機EL素子OLED−5の保護層上に、更に、プラズマ発生条件13.56kHz、1W/cm2で、そして、プラズマ発生条件13.56kHz、10W/cm2で、それぞれ200nmの酸化珪素膜を形成して、計6層の酸化珪素積層膜からなる保護層を有する有機EL素子OLED−6を作製した。
【0144】
上記の各基板の酸化珪素膜の炭素含有率は、それぞれ膜を形成した段階でそれぞれ、動的2次イオン質量分析法(以下、ダイナミックSIMSということもある)を用いて測定した。動的2次イオン質量分析法測定(ダイナミックSIMS)の詳細は表面科学会編実用表面分析二次イオン質量分析(2001年、丸善)を参照すればよく、ダイナミックSIMSにより具体的には以下の条件にて測定を行った。
装置:Physical Electronics社製ADEPT1010
一次イオン:Cs
一次イオンエネルギー:5.0keV
一次イオン電流:200nA
一次イオン照射面積:600μm角
二次イオン取り込み割合:25%
二次イオン極性:Negative
検出二次イオン種:C-
上記条件にて酸化珪素膜中の炭素濃度を測定する。実際にはまず、基準となる酸化珪素膜中の炭素濃度(含有率)をラザフォード後方散乱分光法により求め、この基準品のダイナミックSIMS測定を行い、検出される炭素イオンの強度を基に相対感度係数を決定し、ついで実際に用いる酸化珪素膜についてダイナミックSIMS測定を行い、その測定から得られた信号強度と先に求めた相対感度係数を用いて、試料中の炭素濃度(含有率)を算出する。尚、本発明における炭素濃度は酸化珪素膜の厚さ方向にわたって、炭素濃度をもとめる、いわゆるデプスプロファイルを行い、酸化珪素膜の15〜85%深さの炭素濃度の平均を炭素濃度と規定した。
【0145】
この様にして炭素含有率を原子数濃度%で求める。
即ち、炭素原子の個数/全原子の個数×100=原子数濃度%(atomic concentration)
前記、有機EL素子OLED−3、4、5および6の大気圧プラズマCVDによる酸化珪素膜の製膜において、13.56kHz、1W/cm2の条件で形成した酸化珪素膜は、炭素含有率が原子数濃度で3%であり、13.56kHz、10W/cm2の条件で形成した酸化珪素膜の炭素含有率は同じく原子数濃度で0.01%であった。ちなみに、有機EL素子OLED−1および2のスパッタ法により形成した酸化珪素膜の炭素含有率は検出限界未満であった。
【0146】
各有機EL素子とも緑色発光が見られたが、寿命の評価を以下のように行った。
【0147】
即ち、有機EL素子OLED−1〜6を定電流2.5mAで駆動し、有機EL素子の初期の輝度をそれぞれ測定したのち(各素子とも殆ど同等であった)、発光輝度が1/2に低下するのに要する時間をそれぞれ各素子について測定した。有機EL素子OLED−1の発光が1/2となる時間を100として有機EL素子OLED−2〜6の輝度がそれぞれ1/2になるのに要する時間を相対値で示した。輝度の測定にはミノルタ製CS−1000を使用した。結果を表1に示す。
【0148】
【表1】
Figure 0004225030
【0149】
表1から、本発明の複合膜を保護層として有するOLED−5,6は、比較のPMMA及びシリカの複合膜を用いたOLED−1に比べ、寿命も大きく改善されている。ひび割れ(クラック)等が少ないため外気中の水分の侵入を防止する効果が極めて高いと考えられる。また、比較である酸化珪素の単層膜からなるOLED−2,3及び4は本発明の複合膜を有するOLED−5,6に比べ、また、OLED−1に比べても(ひび割れ(クラック)が多い為と考えられるが)寿命が短い。
【0150】
【発明の効果】
水分の封止性が高く膜の剥離、ひび割れ等がなく、表示装置用或いは電子デバイス用の保護膜として有用性の高い複合膜およびそれを用いた長寿命な素子を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマ放電処理室の一例を示す図である。
【図2】本発明に係わる有機EL素子の一例を示す断面図である。
【図3】本発明に係わる有機EL素子の別の一例を示す断面図である。
【図4】複合シートを基板として用いた有機EL素子の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 陽極
3 有機EL層
4 陰極
5,6 酸化珪素膜
10 プラスチックシート
11 シール材
35a 誘電体
35b 導電性母材
60 プラズマ製膜装置
61 基材
65 電源

Claims (5)

  1. 基材上に少なくとも第1電極、発光層、第2電極および保護層を積層してなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、保護層が大気圧プラズマCVD法により形成され、炭素含有率が原子数濃度で1〜40%の酸化珪素層と、炭素含有率が原子数濃度で1%未満の酸化珪素層とを交互に積層した2層以上の膜からなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記保護層が、炭素含有率が原子数濃度で1〜40%の酸化珪素層と、炭素含有率が原子数濃度で1%未満の酸化珪素層とを交互に積層した4層以上の膜からなることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記炭素含有率が原子数濃度で1〜40%の酸化珪素層と、前記炭素含有率が原子数濃度で1%未満の酸化珪素層とは、大気圧又は大気圧近傍の圧力下において、異なる周波数または電力を対向する電極間に供給し放電させることでプラズマ状態とした反応性ガスに基材表面を曝すことにより形成されたことを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 100Hzを越えた周波数で且つ、0.1W/cm 以上の電力を供給し放電させることを特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記保護層の最表面に、炭素含有率が原子数濃度で1%未満の酸化珪素層を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
JP2002315836A 2002-10-30 2002-10-30 有機エレクトロルミネッセンス素子 Expired - Fee Related JP4225030B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002315836A JP4225030B2 (ja) 2002-10-30 2002-10-30 有機エレクトロルミネッセンス素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002315836A JP4225030B2 (ja) 2002-10-30 2002-10-30 有機エレクトロルミネッセンス素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004152590A JP2004152590A (ja) 2004-05-27
JP4225030B2 true JP4225030B2 (ja) 2009-02-18

Family

ID=32459718

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002315836A Expired - Fee Related JP4225030B2 (ja) 2002-10-30 2002-10-30 有機エレクトロルミネッセンス素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4225030B2 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4329740B2 (ja) 2004-10-22 2009-09-09 セイコーエプソン株式会社 有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法、及び有機エレクトロルミネッセンス装置
JP4631683B2 (ja) * 2005-01-17 2011-02-16 セイコーエプソン株式会社 発光装置、及び電子機器
TW200726311A (en) * 2005-12-30 2007-07-01 Au Optronics Corp Display panel structure with shielding structure
US20080102223A1 (en) * 2006-11-01 2008-05-01 Sigurd Wagner Hybrid layers for use in coatings on electronic devices or other articles
DE102008033017A1 (de) * 2008-07-14 2010-01-21 Osram Opto Semiconductors Gmbh Verkapseltes optoelektronisches Bauelement und Verfahren zu dessen Herstellung
JP5577124B2 (ja) * 2010-03-18 2014-08-20 株式会社ジャパンディスプレイ 有機半導体装置及びその製造方法
US10802401B2 (en) 2015-09-30 2020-10-13 Toray Industries, Inc. Negative-type photosensitive resin composition, cured film, element and display apparatus that include cured film, production method for the same
WO2017217292A1 (ja) * 2016-06-16 2017-12-21 東レ株式会社 感光性樹脂組成物、感光性シート、硬化膜、素子、有機el表示装置、半導体電子部品、半導体装置および有機el表示装置の製造方法
CN106129258A (zh) * 2016-08-30 2016-11-16 中国乐凯集团有限公司 柔性太阳能电池封装用多层复合薄膜及其应用
JP2018198180A (ja) * 2017-05-24 2018-12-13 コニカミノルタ株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61224290A (ja) * 1985-03-28 1986-10-04 シャープ株式会社 薄膜el素子
JP2650046B2 (ja) * 1988-08-10 1997-09-03 住友電気工業株式会社 薄膜形成装置
JPH06290868A (ja) * 1993-04-02 1994-10-18 Mitsui Toatsu Chem Inc 電場発光素子パッケージ
JP4507305B2 (ja) * 1999-08-24 2010-07-21 Tdk株式会社 有機el素子およびその製造方法
JP4556282B2 (ja) * 2000-03-31 2010-10-06 株式会社デンソー 有機el素子およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004152590A (ja) 2004-05-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100902706B1 (ko) 기판 및 그 기판을 갖는 유기 전계 발광 소자
JP4508219B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス表示装置及び有機エレクトロルミネッセンス表示素子の封止方法
JP4858167B2 (ja) 透明導電性フィルム、透明導電性フィルムの製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子
US6660409B1 (en) Electronic device and process for producing the same
JP4716773B2 (ja) ガスバリアフィルムとそれを用いた有機デバイス
KR101828662B1 (ko) 유기 일렉트로루미네센스 소자 및 조명 장치
JP2000323273A (ja) エレクトロルミネッセンス素子
JP2008153004A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2011124228A (ja) 有機発光装置の製造方法及び有機発光装置
JP2005056587A (ja) El装置及びその製造方法
US20160056412A1 (en) Organic electroluminescent element
JP4225030B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JPH11144864A (ja) 有機電界発光素子及びその製造方法
JP4172230B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス表示装置等に用いる基板および有機エレクトロルミネッセンス表示装置
JP4023160B2 (ja) 基板及び該基板を有する有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2010013735A (ja) 樹脂フィルムの製造方法及び該樹脂フィルムを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子
JP4273798B2 (ja) 基板及びその基板を有する有機エレクトロルミネッセンス素子
WO2012063445A1 (ja) 有機el表示装置およびその製造方法
JP4154898B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス表示装置及び有機エレクトロルミネッセンス表示素子の封止方法
JP2004087321A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
JP2015080855A (ja) 封止フィルム、その製造方法及び封止フィルムで封止された機能素子
JPH08213171A (ja) 多色発光装置の製造方法
WO2016084791A1 (ja) 封止フィルム、機能素子及び封止フィルムの製造方法
JP2003264058A (ja) 基板及び該基板を用いた有機エレクトロルミネッセンス表示装置
JP6812429B2 (ja) 光取り出しフィルム、及び、有機エレクトロルミネッセンス発光装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051014

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080611

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080722

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080918

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081104

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081117

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111205

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4225030

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121205

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131205

Year of fee payment: 5

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees