JP4224837B2 - 引き戸用の戸袋 - Google Patents

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勇 木戸
真人 中川
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小松ウオール工業株式会社
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、組立作業を簡単にし、所要組立工数を少なくすることができる引き戸用の戸袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
病院や事務所、学校等に設ける室内間仕切りシステムには、出入口用の引き戸を組み込み、引き戸を収納する戸袋を設けることがある。
【0003】
従来の引き戸用の戸袋は、天井側の上枠と、床側の下枠と、下枠上に立設する鋼板製のパネルとを組み合わせて構成されている。上枠には、パネルの倒れを防止するフランジが下向きに付設されており、パネルの上端面には、上枠のフランジに対応してスリットが形成されている。そこで、このものは、上枠のフランジをスリットに進入させながらパネルを下枠上に設置して組み立てることができる。なお、パネルは、下枠に組み込むねじ式のアジャスタを介してレベル調節し、左右の傾きを修正する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来技術によるときは、下枠のアジャスタを介してパネルをレベル調節する必要があるため、組立作業が煩雑であり、所要組立工数が過大になりがちであるという問題があった。
【0005】
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、天井側のフック部材を介してパネルを吊下することによって、組立作業を簡単にし、所要組立工数を低減することができる引き戸用の戸袋を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためのこの発明の構成は、天井側に水平に設置するフック部材と、フック部材を介して吊下し、下端に幅木部材を付設するパネルと、幅木部材を介してパネルを振れ止めする位置決め部材とを備えてなり、フック部材は、外側に向けて斜め上向きのフック部を有し、パネルは、フック部に上方から係合する下向きチャンネル状の係合フックを有し、位置決め部材は、上部開放のチャンネル状に形成してフック部の下方の床面に設置し、幅木部材は、位置決め部材に上方から嵌合する下部開放のチャンネル状に形成することをその要旨とする。
【0007】
なお、パネルは、芯材の両面に表面材、裏面材を付設して形成し、係合フックは、表面材の上端縁に形成することができ、パネルは、引き戸との間の隙間を閉じるカバーを有し、カバーは、裏面材の戸先側の端部に縦方向にねじ止めすることができる。
【0008】
また、位置決め部材の内側のフランジ部の先端には、外側のフランジ部に向けて斜め上向きのガイド部を形成し、幅木部材は、内側のフランジ部を外側のフランジ部より短くしてもよい。
【0009】
なお、パネル、位置決め部材は、引き戸の両側に各1組を設けることができる。
【0010】
【作用】
かかる発明の構成によるときは、パネルは、天井側に設置するフック部材を介して吊下することにより、所定位置に設置することができ、床側の位置決め部材を介して振れ止めすることにより、下部を正しく位置決めすることができるから、煩雑なレベル調節作業が全く不要である。ただし、フック部材は、たとえば上枠を介し、天井側に正しく水平に設置されているものとする。
【0011】
斜めのフック部をフック部材に設け、係合フックをパネルに設ければ、フック部は、係合フックを係合させることにより、パネルを厚さ方向にガイドして所定位置にパネルを拘束し、パネルの上部を所定位置に正しく位置決めすることができる。なお、フック部は、フック部材の全長に亘って連続的に形成してもよく、複数に分割して形成してもよい。
【0012】
パネル、位置決め部材を引き戸の両側に設けるときは、パネルは、引き戸とともに壁の開口部分を閉じ、開放位置にある引き戸を室内側、室外側の両側から隠蔽することができる。
【0013】
パネルに設ける幅木部材は、パネルをフック部材に吊下する際に位置決め部材に対して上方から嵌合し、吊下されたパネルを振れ止めすることができる。すなわち、パネルは、フック部材に吊下すると同時に下部の位置決めを完了することができる。
【0014】
パネルにカバーを付設するときは、カバーは、パネルと引き戸との間の隙間を閉じ、引き戸を戸袋に収納するときの体裁をよくするとともに、引き戸の開閉操作の安全性を向上することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
【0016】
引き戸用の戸袋は、天井C側に設置するフック部材11と、パネル12、12と、床面Fに設置する位置決め部材13、13とを備えてなる(図1、図2)。ただし、壁Wの開口部分には、上枠21、縦枠22、22が組み込まれ、パネル12、12は、ガイドレール32を介して吊下する吊戸形式の引き戸41とともに、壁Wの開口部分を閉じることができる。
【0017】
上枠21は、上部開放のチャンネル状に形成され、上部の開放側には、複数の連結板21aが所定ピッチごとに付設されている。上枠21は、壁Wに埋設するアンカボルトW1 に連結板21aを固定することにより、壁Wの開口部分の上部に水平に設置されている。上枠21の両端は、各縦枠22の上端に対し、ブラケット21b、ボルト21c、21cを介して連結されている。縦枠22、22は、それぞれ上枠21と同様に複数の連結板22aが所定ピッチごとに付設され(図1、図3)、壁Wに埋設するアンカボルトW2 に連結されている。ただし、縦枠22、22は、引き戸41の戸先側の一方が断面凹状に形成され、引き戸41の戸尻側の他方が断面凸状に形成されており、戸尻側の縦枠22には、戸当り用のクッション材22cが付設されている。
【0018】
縦枠22、22間には、レールベース31を介し、引き戸41を吊下するガイドレール32が架設されている(図1、図4)。レールベース31の両端は、縦枠22、22の上部に対し、図示しない止めねじを介して連結されており、ガイドレール32は、レールベース31に対し、複数の止めねじ32aを介して引き戸41の戸先側が低くなるような所定勾配にねじ止めされている。引き戸41は、ブラケット41a、41aを介し、ガイドレール32上を転動する戸車42、42が上部に装着されており(図3、図4)、把手41b、41bが戸先側の両面に付設されている。また、引き戸41の戸先には、戸当り用のクッション材41cが付設されている。そこで、引き戸41は、戸車42、42、ガイドレール32を介し、壁Wの開口部分を閉鎖する閉鎖位置(図1、図3の各実線)と、開口部分を開放する開放位置(同図の各二点鎖線)との間を前後に移動させることができる。
【0019】
フック部材11は、上枠21の下面に全長に亘って付設されている(図1、図2)。フック部材11の左右両側には、外側に向けて斜め上向きのフック部11a、11aが形成されている。一方、位置決め部材13、13は、それぞれ複数の止めねじ13cを介し、フック部材11のフック部11aの下方の床面Fに設置されている。各位置決め部材13は、上部開放のチャンネル状に形成され、引き戸41側の内側のフランジ部の先端には、外側のフランジ部に向けて斜め上向きのガイド部13aが形成されている。また、位置決め部材13は、パネル12の幅と同一長さに形成され、戸先側の木口が閉じられている。
【0020】
パネル12、12は、それぞれ図示しない芯材の両面に表面材12a、裏面材12bを付設して形成されており、複数の止めねじ12d1 を介して下端に幅木部材12dが付設されている。表面材12aの上端縁には、フック部材11のフック部11aに対して上方から係合する下向きチャンネル状の係合フック12cが形成されており、裏面材12bの戸先側の端部には、カバー12eが縦方向にねじ止めされている(図2、図3)。ただし、表面材12aは、戸先側の端縁を裏面側にまで折り曲げて裏面材12bと接合されており、戸尻側の端縁は、裏面材12bとともに、戸尻側の縦枠22の断面形状に適合する段状に形成されている。幅木部材12dは、パネル12の全幅に亘って付設されており、位置決め部材13に嵌合する下部開放のチャンネル状に形成されている。なお、幅木部材12dは、パネル12の裏面側(内側)のフランジ部が表面側(外側)のフランジ部より短くなっており、戸先側の木口が閉じられている。
【0021】
閉鎖位置の引き戸41の上方には、補助パネル15、15が設置されている(図1、図4)。各補助パネル15は、パネル12の係合フック12cと同様の係合フック15aが上部に形成されており、下部がチャンネル状に折り返されている。なお、補助パネル15の最大厚さは、パネル12の厚さよりやや大きくなっている(図3)。
【0022】
パネル12、12、補助パネル15、15は、次のようにして組み立てる。
【0023】
フック部材11は、上枠21に付設することにより天井C側に水平に設置されており(図1、図5)、位置決め部材13、13は、戸尻側の縦枠22に一端を接するようにして、引き戸41の両側の床面F上に設置されている。そこで、各パネル12は、上部を表面側に傾けて(図5の実線)、幅木部材12dを位置決め部材13に対して上方から嵌合させ、垂直に起こしながら係合フック12cをフック部材11のフック部11aに上方から係合させ(図5の二点鎖線)、全体を下方に移動させてフック部11aに対して係合させ、位置決め部材13に対して嵌合させることにより(図2の二点鎖線)、フック部材11を介して上枠21から吊下することができる。
【0024】
なお、このときの幅木部材12dは、パネル12の裏面側のフランジ部が短いことにより、ガイド部13aを介して位置決め部材13に円滑に嵌合し、パネル12の下部を正しく位置決めすることができ、位置決め部材13は、幅木部材12dを介してパネル12を振れ止めすることができる。また、フック部材11は、フック部11aが斜めであるから、係合フック12cを介してパネル12の上部を厚さ方向にガイドし、フック部11aの底部に係合フック12cの先端部が係合することにより、パネル12の上部を正しく位置決めし、パネル12を所定高さに吊下することができる。なお、ガイドレール32は、パネル12の吊下後に止めねじ32aを介してレールベース31にねじ止めすることにより、止めねじ32aを介してパネル12とレールベース31とを一体に連結している。ただし、パネル12、12は、ガイドレール32側の一方を先に設置し、他方を後に設置することが好ましい(図2)。
【0025】
パネル12、12は、開放位置の引き戸41を収納する戸袋Sを壁Wの開口部分に形成することができる。また、このときのカバー12e、12eは、それぞれパネル12と引き戸41との間の隙間を閉じ、戸袋S内を隠蔽する。なお、カバー12e、12eは、引き戸41の厚さや吊下位置、パネル12、12の間隔等に合わせて、パネル12からのそれぞれの突出高さhを適切に設定するものとする。
【0026】
一方、補助パネル15、15は、それぞれパネル12と同様に、係合フック15aを介してフック部材11から吊下する(図3、図4)。ただし、ガイドレール32側の補助パネル15は、裏面側にブラケット15fが付設されており、ガイドレール32の止めねじ32aを介し、レールベース31に連結して振れ止めすることができる。また、ガイドレール32の反対側の補助パネル15は、戸先側の縦枠22に付設するブラケット15c、パネル12の戸先側に付設するブラケット15cの双方に対し、化粧ねじ15e、15eを介して連結して振れ止めする。補助パネル15、15は、閉鎖位置の引き戸41の上部を隠蔽することができる。
【0027】
以上の説明において、パネル12、12は、壁Wの開口部分に合わせて引き戸41の大きさが設定されているとき、戸袋Sを壁W、パネル12により形成し、一方のパネル12を削除してもよい。また、フック部材11は、左右のフック部11a、11aを別体に分離してもよい。さらに、引き戸41は、吊戸形式とするに代えて、床面Fに設置するレール上を走行する引き戸としてもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、天井側のフック部材を介してパネルを吊下することによって、パネルは、床面に設置する位置決め部材を介して振れ止めし、所定位置に一挙に正しく設置することができるから、組立作業を簡単にして所要組立工数を少なくすることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 全体構成正面説明図
【図2】 図1のX−X線矢視相当拡大断面図
【図3】 図1のY−Y線矢視相当拡大断面図
【図4】 図1のZ−Z線矢視相当拡大断面図
【図5】 動作説明図
【符号の説明】
C…天井
F…床面
11…フック部材
11a…フック部
12…パネル
12c…係合フック
12d…幅木部材
12e…カバー
13…位置決め部材
41…引き戸

Claims (5)

  1. 天井側に水平に設置するフック部材と、該フック部材を介して吊下し、下端に幅木部材を付設するパネルと、前記幅木部材を介して前記パネルを振れ止めする位置決め部材とを備えてなり、前記フック部材は、外側に向けて斜め上向きのフック部を有し、前記パネルは、前記フック部に上方から係合する下向きチャンネル状の係合フックを有し、前記位置決め部材は、上部開放のチャンネル状に形成して前記フック部の下方の床面に設置し、前記幅木部材は、前記位置決め部材に上方から嵌合する下部開放のチャンネル状に形成することを特徴とする引き戸用の戸袋。
  2. 前記パネルは、芯材の両面に表面材、裏面材を付設して形成し、前記係合フックは、前記表面材の上端縁に形成することを特徴とする請求項記載の引き戸用の戸袋。
  3. 前記パネルは、引き戸との間の隙間を閉じるカバーを有し、該カバーは、前記裏面材の戸先側の端部に縦方向にねじ止めすることを特徴とする請求項記載の引き戸用の戸袋。
  4. 前記位置決め部材の内側のフランジ部の先端には、外側のフランジ部に向けて斜め上向きのガイド部を形成し、前記幅木部材は、内側のフランジ部を外側のフランジ部より短くすることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか記載の引き戸用の戸袋。
  5. 前記パネル、位置決め部材は、引き戸の両側に各1組を設けることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか記載の引き戸用の戸袋。
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