JP4224275B2 - 空気調和装置用熱源機の管理装置及び管理方法 - Google Patents

空気調和装置用熱源機の管理装置及び管理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は空気調和装置用熱源機の管理装置及び管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気調和装置用熱源機の遠隔集中管理方法としては、例えば特開平9−26237号公報記載の発明が公知である。この発明は、吸収式冷温水機に端末装置を設置し、吸収式冷温水機各部の物理量や運転状態を表す信号を用いて、端末装置に設けられた演算制御部において異常を判定し、異常と判定された場合に、中央監視装置に対して端末装置に記憶された信号を送信し、中央監視装置に具備された解析用コンピュータにおいて、より詳細な解析を行い、同時に中央監視装置に具備されたモニター部への表示や警告灯を点灯するという方法である。
【0003】
また、特開平7−151416号公報には、吸収式冷温水機において、長期に持続する虞のある冷却水汚れだけを的確に判定することができるようにした発明が開示されている。図6は、この公報に開示されている従来から実施されている空気調和装置用熱源機として吸収式冷凍機を使用した一般的な二重効用型の吸収式冷凍機の構成を示す図である。同図において、凝縮器611及び低温再生器612からなる上胴601、蒸発器621及び吸収器622からなる下胴602、バーナ631を内蔵した高温再生器603、高温熱交換器604、低温熱交換器605等が相互に配管接続されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−26237号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平7−151416号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
吸収式冷凍機においては、屋外のクーリングタワーとの間で冷却水が循環するため、その過程で外気中の塵埃等が冷却水に吸収される。このように塵埃類が吸収された冷却水が吸収器や凝縮器等の熱交換ユニットを通過すると、伝熱面が汚れて熱交換率が低下する。吸収式冷凍機の冷却水系が汚れてくると、その汚れの度合いに比例して冷凍機の効率が低下する。そして、この症状が進行すると、高温再生器の異常や吸収液の結晶化等の重大な故障を引き起こすことがあり、このような故障が発生すると、運転継続ができなくなる。
【0007】
そこで、前記特開平7−151416号公報開示の発明では、吸収器及び凝縮器を通過する冷却水配管の伝熱面の汚れによって影響を受ける複数個所の温度をセンサによって検出し、センサ群の出力に基づいて伝熱性能の低下を表す評価データを作成し、この評価データの時間平均を算出し、この算出された平均値を基準値と比較することにより冷却水汚れを判定するようにしていた。
【0008】
しかし、この発明で判定できるのは冷却水汚れであって、そのほかの要素が原因として発生する熱源機としての吸収式冷凍機の性能低下や異常発生については評価することはできなかった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、空気調和装置用熱源機の性能低下や異常が発生する前に点検する時期を正確に予測できる管理装置及び管理方法を提供することにある。
【0010】
また、前記正確に予測してメンテナンスを行わせることにより、使用者の損失を抑え、さらには該熱源機の運転にかかる費用を低減することができる管理装置及び管理方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の解決手段は、空気調和装置用熱源機を管理する管理装置において、前記熱源機の起動時及び停止時のいずれかの温度履歴に基づいて前記熱源機の各部の稼働後の概安定した状態の温度を推定する手段と前記の概安定した状態の温度を推定する手段により求められた予め定められた期間の運転、希釈、停止に伴う運転サイクルのサイクル動作状態の温度を平均化処理する手段と、前記平均化処理された温度データを時系列的に記憶装置に格納する手段と、前記時系列的に格納された温度データと前記推定する手段によって推定された前記各部の温度データとを比較する手段と、前記比較する手段の比較結果に基づいて使用開始からの前記熱源機の性能低下および/または異常の進行度合の経時変化を検出する手段と、使用開始からの劣化の度合いを前記経時変化に基づいて推定する手段と、予め定められた劣化閾値と前記推定された劣化の度合いとから保守時期を決定する手段と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
第2の解決手段は、空気調和装置用熱源機と中央監視装置とが情報通信ネットワークを介して接続され、前記中央監視装置により前記空気調和装置用熱源機を遠隔集中管理する空気調和装置用熱源機の管理装置において、前記中央監視装置は前記空気調和装置用熱源機を管理する制御装置を含み、前記制御装置は、前記情報通信ネットワークを介して送信されてくる前記熱源機の起動時及び停止時のいずれかの温度履歴に基づいて前記熱源機の各部の稼働後の概安定した状態の温度を推定する手段と、前記の概安定した状態の温度を推定する手段により求められた予め定められた期間の運転、希釈、停止に伴う運転サイクルのサイクル動作状態の温度を平均化処理する手段と、前記平均化処理された温度データを時系列的に記憶装置に格納する手段と、前記時系列的に格納された温度データと前記推定する手段によって推定された前記各部の温度データとを比較する手段と、前記比較する手段の比較結果に基づいて使用開始からの前記熱源機の性能低下および/または異常の進行度合の経時変化を検出する手段と、使用開始からの劣化の度合いを前記経時変化に基づいて推定する手段と、予め定められた劣化閾値と前記推定された劣化の度合いとから保守時期を決定する手段と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
第3の解決手段は、第1または第2の解決手段において、熱源機の運転時における温度履歴を予め記憶装置に記憶されている異常発生時における温度履歴のパターンと比較し、前記熱源機の異常状態を診断する手段をさらに備えていることを特徴とする。
【0014】
第4の解決手段は、第1または第2の解決手段において、使用開始からの劣化の度合いを前記経時変化に基づいて推定する手段によって推定された劣化の度合いに応じて、熱源機の起動および停止に関する制御論理を変更する手段をさらに備えていることを特徴とする。
【0015】
第5の解決手段は、第1または第2の解決手段において、使用開始からの劣化の度合いを前記経時変化に基づいて推定する手段によって推定された劣化の度合いに応じて、熱源機の起動および停止に関する制御論理を変更する手段をさらに備え、前記制御論理を変更する手段は、前記熱源機の異常が診断された場合に、当該熱源機を停止させる制御論理に変更することを特徴とする。
【0016】
第6の解決手段は、第1または第2の解決手段において、使用開始からの劣化の度合いを前記経時変化に基づいて推定する手段によって推定された劣化の度合いに応じて、熱源機の起動および停止に関する制御論理を変更する手段をさらに備え、前記制御論理を変更する手段は、前記熱源機の異常が診断された場合に、該異常により他部位に異常を生じることを避ける制御論理に変更することを特徴とする。
【0017】
第7の解決手段は、第1または第2の解決手段において、前記熱源機が複数設けられていることを特徴とする。
【0018】
第8の解決手段は、空気調和装置用熱源機を管理する管理方法において、1以上の前記熱源機の起動時及び停止時のいずれかの温度履歴に基づいて前記熱源機の各部の稼働後の概安定した状態の温度を推定し、推定された概安定した状態の温度に基いて予め定められた期間の運転、希釈、停止に伴う運転サイクルのサイクル動作状態の温度を平均化処理し、前記平均化処理された温度データを時系列的に記憶装置に格納し、前記時系列的に格納された温度データと前記推定された前記各部の稼動後の概安定した状態の温度データとを比較し、前記比較された両温度データの比較結果に基づいて使用開始からの前記熱源機の性能低下および/または異常の進行度合の経時変化を検出し、検出された経時変化に基いて使用開始からの劣化の度合いを推定し、予め定められた劣化閾値と前記推定された劣化の度合いとから保守時期を決定することを特徴とする。
【0019】
第9の解決手段は、空気調和装置用熱源機と中央監視装置とが情報通信ネットワークを介して接続され、前記中央監視装置により前記空気調和装置用熱源機を遠隔集中管理する空気調和装置用熱源機の管理方法において、前記情報通信ネットワークを介して送信されてくる前記熱源機の起動時及び停止時のいずれかの温度履歴に基づいて前記熱源機の各部の稼働後の概安定した状態の温度を推定し、推定された温度データから該熱源機の運転、希釈、停止に伴う運転サイクルのサイクル動作状態を解析し、予め定められた期間の前記サイクル動作状態を平均化処理し、前記平均化処理されたデータを時系列的に記憶装置に格納し、前記時系列的に格納されたデータと前記解析により得られた現サイクル動作状態解析データとを比較し、前記両データの比較結果に基づいて使用開始からの前記熱源機の性能低下および/または異常の進行度合の経時変化を検出し、前記経時変化に基づいて使用開始からの劣化の度合いを推定し、予め定められた劣化閾値と前記推定された劣化の度合いとから保守時期を決定することを特徴とする。
【0020】
第10の解決手段は、第8または第9の解決手段において、前記熱源機が複数設けられていることを特徴とする。
【0026】
なお、以下の実施形態において、前記サイクル動作状態を解析する手段は図2の手順204を実行する手段に、前記サイクル動作状態を平均化処理する手段は図2の手順206を実行する手段に、前記記憶装置は機器状態データベース24に、前記記憶装置に格納する手段は図2の手順207を実行する手段に、前記経時変化を検出する手段は図2の手順208を実行する手段に、前記推定する手段及び決定する手段は手順209及び210を実行する手段にそれぞれ対応し、これらの手順を実行する手段は機器状態診断部13に対応する。
【0027】
また、前記熱源機の異常状態を診断する手段は図4の手順309ないし311を実行する手段に対応し、これらの手順を実行する手段は機器状態診断部13に対応する。また、前記熱源機の起動および停止に関する制御論理を変更する手段は制御論理作成部14に対応し、前記実熱負荷を演算する手段、前記判断する手段、前記将来の熱負荷を推定する手段はそれぞれ熱負荷計算部61に対応し、前記劣化の度合いの小さな熱源機から先に稼働させる手段は制御論理作成部13に対応する。
【0028】
さらに、方法で実施される工程は、前記各手段によって実行される工程に対応する。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0030】
図1ないし図5は第1の実施形態を説明するためのものである。なお、本実施形態では、空気調和装置用熱源機として吸収式冷温水機を用いる場合について説明を行うが、熱源機の種類は吸収式冷温水機に限らない。
【0031】
まず、本発明の適用対象の1つである二重効用吸収式冷凍機の構成、動作サイクルを説明する。なお、図6の各部に対応する構成要素には、同一の参照符号を付す。
【0032】
この二重効用吸収式冷凍機は、冷媒として水、吸収剤としてリチュウムブロマイド(LiBr)を用いるものであって、バーナ631等の加熱源を有し、冷媒と吸収剤を混合した水溶液を加熱源で加熱して冷媒蒸気を発生する高温再生器603、高温再生器603で発生した冷媒蒸気を加熱源として水溶液を加熱して冷媒蒸気を発生する低温再生器612、低温再生器612で発生した冷媒蒸気および高温再生器603で発生し、低温再生器612の水溶液を加熱して液化した冷媒を、管を流れる冷却水で冷却して凝縮させる凝縮器611、凝縮器611で凝縮した冷媒液を散布ヘッダから散布して蒸発させ、管を流れるブライン(冷水)から蒸発潜熱を奪ってブラインを冷却する蒸発器621、高温再生器603および低温再生器612から導入した濃度が濃くなった水溶液(濃溶液)を散布ヘッダから散布するとともに、管を流れる冷却水で冷却して蒸発器621で蒸発した冷媒蒸気を溶液に吸収させて希薄な溶液(希溶液)を生成する吸収器622、吸収器622で生成された希溶液を高温再生器603(および低温再生器612)に送り込む溶液ポンプ、冷媒散布ポンプ、低温熱交換器605、高温熱交換器604、吸収器622が納められた胴内に存在する(胴内は大気圧より低圧であるため空気が漏れ込む)空気(不凝縮性ガス)を溜めて胴外に排出する抽気装置606を備えている。
【0033】
運転を開始すると、溶液ポンプによって吸収器622内の希溶液が低温熱交換器605、高温熱交換器604を経て高温再生器603(および低温再生器612)に供給される。希溶液は高温再生器603内でバーナによって加熱されて冷媒蒸気を発生する。一方高温再生器603内の溶液は濃くなる。冷媒蒸気は低温再生器612の加熱管内に導かれ、低温再生器612内の溶液を加熱して冷媒蒸気を発生させ、自身は液化して凝縮器611に導かれる。低温再生器612で発生した冷媒蒸気は凝縮器611に導かれ、管を流れる冷却水によって冷却されて液化し、蒸発器621に導かれる。蒸発器621に導入された冷媒は冷媒ポンプによって散布ヘッダから散布されて蒸発し、蒸発する際の気化潜熱を管を流れるブラインから奪ってブラインを冷房に適した温度に冷却する。蒸発器621で蒸発した冷媒蒸気はエリミネータを通過して吸収器621に流れ込み、低温再生器612(および高温再生器603)から熱交換器を経て吸収器622に導かれて散布ヘッダから散布される濃溶液と接触して濃溶液に吸収され、冷媒がより多く混入している希溶液が生成される。冷却水は、吸収器622、凝縮器611の順に流れ、吸収器622は蒸発器621より低い圧力に維持される。
【0034】
バーナ631による加熱を止めて運転を停止する場合、溶液ポンプおよび冷媒ポンプの運転がしばらく継続し、高温再生器603、低温再生器612および吸収器622間で溶液を循環させ、これら高温再生器603、低温再生器612および吸収器622間の溶液の濃度差を小さくするとともに、蒸発器621の冷媒蒸気を吸収器622の溶液に吸収させて溶液の濃度をできるだけ薄くして、高温再生器603、低温再生器612の溶液が結晶するのを防止する希釈運転を行なった後に運転停止となる。このようにして運転開始、希釈運転および運転停止を1つのサイクルとして二重効用吸収式冷凍機が運転される。
【0035】
図1は、空気調和装置用熱源機の遠隔集中管理に関する系統図である。空気調和装置用熱源機の管理システムは、サービス会社1と顧客100とからなり、両者を情報通信ネットワーク90によって接続し、サービス会社1側で顧客側100側の熱源機101の管理が行われる。サービス会社1は、中央監視装置10、保守員30、営業所40、保守支援部門50、設備改修提案部門60、経理部門80及び資材部門90から基本的に構成されている。
【0036】
中央監視装置10は、データ受信部11、データ変換部12、機器状態診断部13、制御論理作成部14及びデータ・信号送信部15の各処理部と、顧客運転データベース21、顧客設備データベース22、故障事例データベース23及び機器状態データベース24の各データベースと、出力装置27と、入力装置26とからなる。
【0037】
保守員30は、携帯端末31を携帯して必要な情報の授受を行う。営業所40は、出力装置27、工程管理システム42及び保守プラン見積作成システム41を備える。保守支援部門には、故障事例データベース23と機器状態詳細診断ツール51を備えている。また、設備改修提案部門60は、熱負荷計算部61、補機設定部62、劣化・寿命診断部63及び熱源機設定部64と、これらの出力が入力される設備改修提案部64が設けられている。さらに、経理部門70には伝票作成システム70が、資材部門80には在庫管理システム81がそれぞれ設けられている。
【0038】
一方、顧客100には、複数の熱源機101、各熱源機101に備えられた監視端末104、台数制御盤103、中継器105及び出力装置107が設けられている。また、前記熱源機101のそれぞれには操作盤102と、センサ106とが設けられ、センサ出力は監視端末104に入力され、監視端末104から操作出力が操作盤102に入力される。中継器105は情報通信ネットワーク90に接続され、出力装置107、監視端末104及び台数制御盤103と中央監視装置10間の情報を中継する。
【0039】
一般に居住用あるいは産業用建築物の空気調和装置用熱源機101は、各建築物に1台ないし複数台設置されている。サービス会社1は、これらの熱源機101に前記監視端末104を設置し、情報通信ネットワーク90を介して中央監視装置10と接続し、遠隔集中管理を行い、管理システムを構成する。
【0040】
監視端末104は、熱源機101の運転状態を把握するために各部状態量を測定するセンサ106及び熱源機101の運転状態に関するその他の信号を入力する信号入力部、入力信号や信号入力時刻の情報を記憶する情報記憶部、入力信号に基づいて異常を判定する演算制御部、記憶した情報を中央監視装置10に送信する送信部、および中央監視装置10から送信された熱源機101に関する操作信号を受信し、熱源機101に付属の操作盤102に前記操作信号を送信する送受信部を備えている。熱源機101の状態を把握するための信号は、例えば吸収式冷温水機の場合、高温再生器溶液温度、低温再生器冷媒凝縮温度、冷温水入口温度、冷温水出口温度、冷却水入口温度、冷却水入口温度、冷却水出口温度、高温再生器に設置される燃焼器の排気ガス温度、高温再生器圧力、凝縮器圧力、蒸発器圧力といった冷温水機各部の物理量や、溶液循環用ポンプ、冷媒循環用ポンプ、高温再生器バーナの作動状態を示す信号、さらには吸収式冷温水機本体に付属の操作盤102の発する制御信号がある。
【0041】
空気調和装置に複数台の熱源機(冷温水機)101が設置されている場合、これら複数台の熱源機101について起動および停止に関する制御を行う台数制御盤103が設置されるのが一般的である。この台数制御盤103についても中央監視装置10との間で、情報の送受信が行われる。図では、複数台の熱源機101が設置されている建築物について示しており、建築物内に設置された中継器105を介して各監視端末104および台数制御盤103と中央監視装置10とが接続されている。なお、この実施形態では、前記構成となっているが、各熱源機101および台数制御盤103と中央監視装置10とが情報の送受信を行える形態であれば、図示した例に限らない。
【0042】
監視端末104から所定の形式で送信された情報は、中央監視装置10のデータ受信部11で受信され、顧客運転データベース21に蓄積される。なお、監視端末104から中央監視装置10に送信される情報は、情報通信ネットワーク90への負担を軽減するために圧縮されたり、あるいは顧客100およびサービス会社1以外の第三者に情報が漏洩するのを防ぐために暗号化されることがあるため、中央監視装置10には、機器状態診断あるいはその他の運転データの解析に利用できるような書式に変換するデータ変換部12を設けておくことが好ましい。受信された情報は、顧客運転データベース21に蓄積されるとともに、機器状態診断部13において診断が行われる。
【0043】
機器状態診断部13における解析処理としては、熱源機の稼動状態によるが、稼動時間が長く、安定した状態にあることが多い熱源機については、各部温度や圧力を境界条件として、熱源機サイクル各部の熱および物質バランスを解くことで診断が可能である。この場合、予め想定される不具合、例えばチューブの汚れや冷媒中の溶液濃度をパラメータとすることで、測定された各部温度と解析の結果の誤差が最も小さくなるように、計算を行うことで診断を行う。
【0044】
なお、熱源機にかかる負荷が小さく、起動・停止を頻繁に繰返す機械の場合には、安定時のデータがある場合と同様に、熱や物質バランスをもとに非定常状態の温度や圧力いった測定データを境界条件に計算を行う方法もあるが、非定常状態における温度や圧力の履歴から安定状態を推定して診断する方法が考えられる。この診断方法について以下に説明する。
【0045】
機器状態診断部13においては、図2あるいは図4のフローチャートに示したような手順で処理される。図2は、熱源機101の起動時における温度履歴から温度変化率と時間平均温度の関係を求め、両者の関係を数式化することによって熱源機101各部の温度が概ね安定した状態を推定し、推定した安定状態と過去に推定した安定状態との差から、性能低下の進行を診断する診断手順を示すフローチャートである。
【0046】
先ず手順201において中央監視装置10が受信したT(n−1)、T(n)、T(n+1)…のように時系列に並べられた熱源機101の温度データT(n)及びそのデータを取得した時刻を読込む。次に手順202において、1回前の温度データT(n−1)と対象としている温度データT(n)との差から、熱源機101の運転状態について、運転、希釈、停止の3状態に分類する。ここで、希釈時あるいは停止時のデータであると判断された場合には、手順201に戻り次のデータT(n+1)を読込む。
【0047】
手順202において運転時のデータと判断された場合、手順203に進む。手順203においては、1つ前の温度データT(n−1)と対象としている温度データT(n)について、その取得間隔τ(n)を用いて下記式(1)により定義される温度変化率ΔT(n)及び下記式(2)により定義される時間平均温度Tm(n)を求める。
【0048】
ΔT(n)={T(n)−T(n−1)}/τ(n) ・・・(1)
Tm(n)={T(n)+T(n−1)}/2 ・・・(2)
次に、手順204において、温度変化率ΔTと時間平均温度Tm(n)の関係から、下記式(3)に示す温度変化率ΔT=0となる安定状態における温度T∞(n)を手順203で算出したΔT(n)とTm(n)から求める。
【0049】
T∞(n)=1/〔1/Tm(n)−{Ln(1+ΔT(n)}/A〕・・・(3)
なお、式(3)におけるAは係数であり、熱源機101個々に異なる値を取りうるため、熱源機101出荷時の検査データもしくは設置当初の運転データより、予め中央監視装置内にデータベース化されるものである。次に、手順205において、受信した全データについて計算が終了したかを判断し、残りのデータがあれば手順201に戻り、全データの計算が終了した場合には手順206に進む。
【0050】
手順206では、受信データから求まる安定時温度T∞(n)について平均値を求め、データを受信した段階での安定状態とする。安定時温度T∞(n)の平均値は、以後の診断に用いるために手順207に示すように機器状態データベース24に保存する。この処理で平均値化が行われる。
【0051】
次いで手順208に示すようにデータベース化された過去の安定状態を読込み、手順206で求めた安定状態との比較から、予めデータベース化しておいた性能低下と安定状態の変化より、性能低下及び性能低下の進行度を算出する。なお、上記手段により求まる安定状態をもとに、先に示した安定した状態を解析する手段を用いて熱源機の診断を行うことでも可能である。
【0052】
次に手順209において、手順208で推定した性能低下の進行度と過去の運転時間から、将来の熱源機101運転による燃料費用を見積り、さらに保守を行った場合について同様に燃料費用を見積り、保守費用と燃料費用を足した熱源機101運転費用が最小となる保守時期を求め、現状の性能低下度合、性能低下の進行度、保守時期、保守による燃料費用の低減効果といった図3に示す形式で診断結果を出力する。この診断方法においては、熱源機101の安定状態を如何に正確に推定するかが、診断の正確さにとって重要な要素となる。そのため、予め1週間或いは1ヶ月といった期間を設定しておき、その期間において推定された安定状態について平均化処理をすることで、より正確な性能低下の進行を把握することができる。
【0053】
図4は、吸収式熱源機の運転時における温度履歴と、異常発生時の温度履歴とを比較し、同様な温度履歴のパターンを識別し、異常と考えられる現象について、発生回数、あるいは発生回数の積算値、あるいは発生回数を起動回数で除した発生頻度により評価することによって熱源機101を構成する機器の異常の度合を評価する診断手順を示すフローチャートである。
【0054】
先ず、先の診断方法と同様に、手順301において中央監視装置10が受信したT(n−1)、T(n)、T(n+1)…のように時系列に並べられた熱源機101の温度データT(n)及びそのデータを取得した時刻を読込む。次に手順302において、1回前の温度データT(n−1)と対象としている温度データT(n)との差から、熱源機101の運転状態について、運転、希釈、停止の3状態に分類する。ここで、停止時のデータであると判断された場合には、手順301に戻り次のデータT(n+1)を読込む。
【0055】
手順302において運転あるいは希釈時のデータと判断された場合には手順303に進み、1つ前のデータが希釈あるいは停止と判断され、今回が運転と判断された場合には起動回数のカウンタを進める。さらに、手順304に進み、予め記憶されている異常時の温度変化パターンと比較し、同じパターンであれば手順305において異常発生のカウンタを進め異常発生回数をカウントし、手順306に進む。手順304において、異常発生時の温度変化パターンと異なる(正常と考えられる状態)と判断された場合には、手順306に進む。手順306では、受信した全データについて判定が終了したかを判断し、残りのデータがあれば手順301に戻るが、全データの判定が終了した場合には手順307に進む。
【0056】
手順307では、手順303においてカウントした起動回数と手順305においてカウントした異常発生回数とから、起動回数当りの異常発生回数すなわち異常発生頻度を算出する。そして手順308に示すように、異常発生回数、起動回数、異常発生頻度を機器状態データベース24へ保存し、以降の診断において活用できるようにする。次に手順309において、過去の異常発生回数または異常発生頻度との比較あるいは異常発生回数の積算値から劣化進行度を求め、手順310において整備基準値との比較を行い、手順311で劣化の進行度合や異常発生回数といった診断結果を出力する。実際の診断結果は、図5に示すような形式で表示される。図5に表した診断結果は、異常発生時と同じ温度変化パターンの積算回数を表示したものだが、積算回数だけでなく異常と考えられる現象の起動回数に対する発生頻度により異常度合を表示する方法も考えられる。
【0057】
図2あるいは図4に示した診断手順による診断結果は、図3あるいは図5に示す形式で中央監視装置10のデータ・信号送信部15から送信され、中央監視装置10の出力装置27あるいは保守員30の拠点となる営業所40の出力装置27、メンテナンスプラン作成部41、工程管理システム42に送信され、同時に顧客100の出力装置107に送信され、表示あるいは印字出力される。この診断結果の送信により、営業所40における保守計画の立案、見積作成、保守員30の工程管理および顧客100に対する事前提案が可能となる。さらに、顧客100においても、所有する熱源機101の状態を把握することが可能となる。
【0058】
これらの診断方法によれば、起動直後から安定状態に至るまでの熱源機101の各部温度、あるいは他の物理量の変化が比較的大きい状態においても、機器の状態を診断することが可能となる。空気調和装置の熱源機として用いられる吸収式冷温機の多くは高温再生器の溶液を加熱する燃焼器の燃焼と停止により能力制御が行われ、安定状態で運転されることが稀な機械も多いが、こうした冷温水機についても診断が可能であるという利点がある。
【0059】
次に、制御論理作成部14では、前述の診断手順により把握した熱源機101の性能低下および異常の進行度合をもとに、熱源機101の運転費用を抑える、あるいは故障停止に至る可能性を低減する運転制御方法を作成する。例えば、図1に示すように同一系統の空気調和装置の熱源機101として複数の吸収式冷温水機が使用されている場合、空気調和装置の負荷に応じて運転台数を変更するが、性能低下の小さな冷温水機から優先的に運転することで、冷温水機の運転にかかる費用を低減することが可能となる。また、異常の兆候が現れている熱源機101の運転優先順位を下げる制御論理とすることで、該当機が運転される可能性を抑えることができる。この制御方法の変更により、該当機の休止時間を確保することが可能となり、故障停止に至る前に修理可能となる。
【0060】
さらに、吸収式冷温水機の異常を判定した場合、該冷温水機の故障停止あるいは致命的な損傷受けることを回避する処置として、中央監視装置10の制御論理作成部14で該熱源機(冷温水機)101の運転状態を変更する論理を作成し、その操作信号を送信部15で送信し、該冷温水機の運転状態を変更する方法がある。例えば、吸収式冷温水機において、冷媒に吸収液が混入した場合、冷媒の蒸発温度が上昇するため、十分な能力が出なくなる。この際には、蒸発器の冷媒を再生器に送液し、冷媒と吸収液の分離を再度行う必要があるが、蒸発器の冷媒を再生器に送る配管に電磁弁を設置しておき、適宜この電磁弁を開く信号を送信することによって運転状態を変更できる。また、吸収式冷温水機では、吸収器において発生する吸収熱や冷媒の凝縮熱を排出するために、冷却水を機内に通水しているが、この冷却水管内に汚れが付着した場合には、機内が高圧になるため冷温水機が停止する可能性がある。さらに、他の理由により機内が高圧状態になる場合についても、監視端末104からの情報により停止する可能性が容易に推測できる場合、高温再生器に備えられた燃焼装置が燃焼量を調整できる機械においては、燃焼量を抑えることにより、機内圧力の上昇による停止を回避できる。これらは故障停止を回避するあるいは異常状態を解消するための運転状態へ変更する方法であるが、故障の程度により冷温水機を速やかに停止し保守を行う必要がある場合、中央監視装置10から停止信号を送信することにより、該冷温水機が致命的な損傷を受けることを避けることができる。
【0061】
こうした故障診断および故障診断に基づく冷温水機の運転制御論理の決定を行う際、冷温水機に付帯する設備に起因する相違あるいは冷温水機の製造段階で生じる冷温水機間の個体差により、冷温水機が異常無く運転されている場合の運転状態に差異を生じることは良く知られている。これらは、故障診断を行うにあたり、問題になるのは言うまでもない。この問題を解消するため、さらにはより確度の高い故障診断及び冷温水機の運転制御を提供するために、各冷温水機に付帯する設備に関する情報や冷温水機の工場出荷段階での運転記録をもとに作成される各冷温水機の性能曲線といった情報により構成される顧客設備データベース22を作成しておき、故障診断あるいは制御論理の決定において参照するという方法が考えられる。さらに、故障診断を高精度なものにするには、診断結果と実現象の対比による検証を行い、診断方法の見直しをするための故障事例データベース23の作成も有効な手段と言える。
【0062】
各冷温水機の診断結果及び作成された制御論理および運転信号は、送信部15から情報通信ネットワーク90や中継器105を介して各監視端末104および台数制御盤103に送信され、必要に応じて制御論理の変更や、運転状態の変更が行われる。これと同時に、顧客100の有する出力装置107に送信され、運転データや診断結果が表示される。
【0063】
機器状態診断部13において熱源機(冷温水機)101に保守員30による整備が必要となる異常を検知した場合、該熱源機101に最も近距離にいる、あるいは最も短時間で駆けつけることのできる保守員30の携帯端末31に対して故障内容の通報、故障復旧のための作業内容および必要となる器材に関する情報を中央監視装置10の送信部15から通報するようにすれば、迅速な対応が可能となる。この時、保守員30の活動拠点となるサービス会社1の営業所40に同じ情報を送信するようにすれば、営業所40では必要な器材32の準備といった保守員30の支援が可能となる。また、保守員30に携帯端末31を携行させ、作業報告書を携帯端末31から営業所40、部品や器材の在庫を管理する資材部門80さらには経理部門70に送信し、人員管理システム42、在庫管理システム81、伝票作成システム71で利用することができれば、さらに低コストで迅速な保守サービスの提供が可能となる。例えば、送信された作業報告書をもとに、営業所40における部品や器材の在庫を把握し、不足が予測される部品を補充、あるいは部品メーカーに発注するといった在庫管理が可能となり、部品や器材の不足による保守作業の遅れを回避できる。これと同時に、営業所40や経理部門70に作業報告書を送信することによって、作業により発生する保守費用の請求に関する伝票作成の自動化や、営業所40において保守人員の工程管理を行うことが可能となり、迅速な保守サービスの提供が可能となる。また、作業報告書は、異常を判定する診断方法の確認や更新に役立てることが可能であり、これにより異常診断方法の高精度化を図ることができる。さらに、保守員が、冷温水機の整備を行うに際して、異常発生箇所を突き止めることが困難な状況の場合、該冷温水機に関する詳細な報告を保守支援部門50に送信することによって、これまでの故障事例との対比により、中央監視装置10から送信された診断結果よりも詳細な診断結果や作業指示を受ける保守支援の形態も可能である。このような保守支援を行う場合、故障事例データベース23の作成および更新が必要となるが、これには携帯端末31から送信される作業報告書を利用する。
【0064】
さらに、冷温水機の経年劣化に対する保守の必要が生じた場合、保守作業を冷温水機の冷房および暖房運転の切替を行うといった定期的な作業時に併せて保守サービスを行えば、さらに低コストで保守を行うことができる。こうしたサービスについても、中央監視装置10において診断された結果を、中央監視装置10から営業所40に送信し、営業所40において保守人員30の工程管理に活用し、保守員30の作業分担を適正化することで可能となる。また、経年劣化の進行を把握することで、顧客100に対して、整備時期の事前連絡および整備にかかる費用の見積りを提示することができ、顧客100にとって設備改修に関する費用を予め知ることが可能となり、予算編成を行いやすくなるという利点も生じる。
【0065】
さらに、経年劣化が進んでいる機械については寿命診断63を行い、あわせて顧客運転データベース21を活用することにより、各熱源機101および熱源機101の接続された空気調和機の負荷や年間の運転状態を熱負荷計算部61において求め、これにより顧客の設備情報22から空気調和用熱源機や補機について各設定部63および64においてを行い、設備更新について運転コストや環境負荷評価を行い、既設の吸収式冷温水機の保守や整備費用および運転費用と比較し、設備改修の提案を行うことが可能となる。
【0066】
なお、本実施形態においては、各熱源機101に監視端末104を設置して遠隔集中管理を行う形態について説明したが、熱源機101に付属の操作盤102が前述した監視端末104の機能を有していれば、同様のサービスを提供できる。
【0067】
次に本発明の第2の実施形態について、図1を用いて説明する。図1に示す系統図は、複数の熱源機101を同一の空気調和装置の熱源機として用いている場合を表している。このとき、各熱源機101の冷水あるいは温水の熱源機入口および出口温度を計測することにより中央監視装置10において各熱源機101の負荷状態を把握できる。さらに、冷水あるいは温水の熱源機入口温度の変化から空気調和機への熱負荷の推移が予測できる。これら各熱源機101から得られる熱負荷に関する情報と顧客設備データベース22から得られる各熱源機の性能曲線や冷水流量、および機器状態データベース24に蓄積された各熱源機101の性能低下や異常進行度から、予測される空気調和装置への熱負荷に対して、消費電力またはガス消費量の最も少ない運転機の選定や運転台数の決定、各熱源機101の運転優先順位、或いは各熱源機101の負荷率の設定といった制御論理を制御論理作成部14において決定する。このようにして決定された制御論理は、送信部15より情報通信ネットワーク90を介して監視端末104や台数制御盤103に送信され、運転パターンの変更を行う。このように、空気調和装置にかかる熱負荷に応じて、消費電力またはガス消費量の最も少ない運転パターンを選定することで、熱源機の運転費用を低減できる。この場合、各熱源機101から得られる熱負荷に関する情報や熱源機101の動作状態について顧客100の空気調和装置の熱負荷パターンとして顧客運転データベース21に記憶しておき、さらに定期的に上記パターンを更新していくことで、より正確な熱負荷の推定が可能となり、より適正な熱源機101の制御を可能とする。また、このように空気調和装置への熱負荷のパターンを把握しておけば、熱源機101に異常を生じたり、劣化の進行により守作業の必要が生じた場合、該空気調和装置にかかる熱負荷の少ない時期に保守時期を決定することが可能となる。また、異常が認められる熱源機101の負荷率を下げ、該熱源機101の保守作業を行うことが可能となる時期まで、故障停止を避ける運転制御が可能となる。
【0068】
このように中央監視装置10より、空気調和装置用熱源機101の運転台数を負荷に応じて適正に制御する遠隔集中管理方法を行う場合、サービス会社1は顧客100に対して熱源機101の運転時間あるいは空気調和装置の負荷に応じて電気やガスなどの運転にかかる費用や保守費用を含めた費用を課料することができ、熱源機の運転に関する総合的なサービスを提供することが可能となる。
【0069】
上記の実施形態においては、吸収式冷温水機を熱源機として用いた場合について説明したが、圧縮式冷凍機を熱源機に用いた場合についても可能である。
【0070】
圧縮式冷凍機は、冷媒の飽和温度が高圧なると上昇することを利用とした冷凍機であり、圧縮機と膨張弁、さらに両者によって分けられるサイクルの高圧側・低圧側に設置された熱交換器により構成される圧縮機を出た冷媒蒸気は、高圧側の熱交換器において冷媒の潜熱を放出し液冷媒となる。液冷媒は、膨張弁を通り減圧され、低圧側の熱交換器へ進み外部から潜熱を吸収し、冷媒蒸気となって圧縮機へ送られる。冷凍機を空調用の熱源機として用いる場合、低圧側の熱交換器において室内の空気や水あるいはブラインを通し、冷媒に熱を吸収させる。さらに、高圧側の熱交換器は、外気あるは冷却塔に通水された冷却水との熱交換を行う。
【0071】
このように外部へ熱を放出させるため、冷却水による通水を行っている場合、空気との熱交換を行っている場合ともに、汚れによる熱交換性能の生じることが性能低下を引き起こす。汚れが付着した場合、汚れを除去する必要が生じるが、汚れの付着を診断する必要があり、それには診断対象となる熱交換器の冷媒圧力または温度および、冷媒と熱交換を行う水あるいは空気の温度を計測し、両者の温度差や熱交換器の能力により診断が可能となる。
【0072】
こうした汚れは、一般に経時的に付着するものであり、本発明の第一の形態で述べたように、使用時からの変化を把握することで、機器の個体差のある場合においても正確な診断が可能となる。
【0073】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、空気調和装置用熱源機の性能低下や異常が発生する前に点検する時期を低負荷で不安定な運転状態であっても正確に予測できる。また、空気調和装置用熱源機の性能低下や異常が発生する前に点検する時期を低負荷で不安定な運転状態であっても正確に予測できることから、正確な予測によるメンテナンスが可能となり、使用者の損失を抑え、さらには該熱源機の運転にかかる費用を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における空気調和装置用熱源機の遠隔集中管理に関する系統図である。
【図2】本発明における熱源機の性能低下を診断するフローチャートである。
【図3】本発明における熱源機の性能低下に関する診断結果を示す図である。
【図4】本発明における熱源機の異常を診断するフローチャートである。
【図5】本発明における熱源機の異常に関する診断結果を示す図である。
【図6】従来から実施されている空気調和用熱源機の例を示す図である。
【符号の説明】
1 サービス会社
10 中央監視装置
11 データ受信部
12 データ変換部
13 機器状態診断部
14 制御論理作成部
15 送信部
21 顧客運転データベース
22 顧客設備データベース
23 故障事例データベース
24 機器状態データベース
26 入力装置
27 出力装置
61 熱負荷計三部
62 補機設定部
63 劣化・寿命診断部
64 熱源機設定部
65 設備改善提案部
90 情報通信ネットワーク
100 顧客
101 熱源機(冷温水機)
102 熱源機操作盤
103 台数制御盤
104 監視端末
105 中継器
106 センサ
107 顧客用出力装置

Claims (10)

  1. 空気調和装置用熱源機を管理する管理装置において、
    前記熱源機の起動時及び停止時のいずれかの温度履歴に基づいて前記熱源機の各部の稼働後の概安定した状態の温度を推定する手段と
    前記の概安定した状態の温度を推定する手段により求められた予め定められた期間の運転、希釈、停止に伴う運転サイクルのサイクル動作状態の温度を平均化処理する手段と、
    前記平均化処理された温度データを時系列的に記憶装置に格納する手段と、
    前記時系列的に格納された温度データと前記推定する手段によって推定された前記各部の温度データとを比較する手段と、
    前記比較する手段の比較結果に基づいて使用開始からの前記熱源機の性能低下および/または異常の進行度合の経時変化を検出する手段と、
    使用開始からの劣化の度合いを前記経時変化に基づいて推定する手段と、
    予め定められた劣化閾値と前記推定された劣化の度合いとから保守時期を決定する手段と、
    を備えていることを特徴とする空気調和装置用熱源機の管理装置。
  2. 空気調和装置用熱源機と中央監視装置とが情報通信ネットワークを介して接続され、前記中央監視装置により前記空気調和装置用熱源機を遠隔集中管理する空気調和装置用熱源機の管理装置において、
    前記中央監視装置は前記空気調和装置用熱源機を管理する制御装置を含み、
    前記制御装置は、
    前記情報通信ネットワークを介して送信されてくる前記熱源機の起動時及び停止時のいずれかの温度履歴に基づいて前記熱源機の各部の稼働後の概安定した状態の温度を推定する手段と、
    前記の概安定した状態の温度を推定する手段により求められた予め定められた期間の運転、希釈、停止に伴う運転サイクルのサイクル動作状態の温度を平均化処理する手段と、
    前記平均化処理された温度データを時系列的に記憶装置に格納する手段と、
    前記時系列的に格納された温度データと前記推定する手段によって推定された前記各部の温度データとを比較する手段と、
    前記比較する手段の比較結果に基づいて使用開始からの前記熱源機の性能低下および/または異常の進行度合の経時変化を検出する手段と、
    使用開始からの劣化の度合いを前記経時変化に基づいて推定する手段と、
    予め定められた劣化閾値と前記推定された劣化の度合いとから保守時期を決定する手段と、
    を備えていることを特徴とする空気調和装置用熱源機の管理装置。
  3. 熱源機の運転時における温度履歴を予め記憶装置に記憶されている異常発生時における温度履歴のパターンと比較し、前記熱源機の異常状態を診断する手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和装置用熱源機の管理装置。
  4. 使用開始からの劣化の度合いを前記経時変化に基づいて推定する手段によって推定された劣化の度合いに応じて、熱源機の起動および停止に関する制御論理を変更する手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和装置用熱源機の管理装置。
  5. 使用開始からの劣化の度合いを前記経時変化に基づいて推定する手段によって推定された劣化の度合いに応じて、熱源機の起動および停止に関する制御論理を変更する手段をさらに備え
    前記制御論理を変更する手段は、前記熱源機の異常が診断された場合に、当該熱源機を停止させる制御論理に変更することを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和装置用熱源機の管理装置。
  6. 使用開始からの劣化の度合いを前記経時変化に基づいて推定する手段によって推定された劣化の度合いに応じて、熱源機の起動および停止に関する制御論理を変更する手段をさらに備え
    前記制御論理を変更する手段は、前記熱源機の異常が診断された場合に、該異常により他部位に異常を生じることを避ける制御論理に変更することを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和装置用熱源機の管理装置。
  7. 前記熱源機が複数設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和装置用熱源機の管理装置。
  8. 空気調和装置用熱源機を管理する管理方法において、
    1以上の前記熱源機の起動時及び停止時のいずれかの温度履歴に基づいて前記熱源機の各部の稼働後の概安定した状態の温度を推定し、
    推定された概安定した状態の温度に基いて予め定められた期間の運転、希釈、停止に伴う運転サイクルのサイクル動作状態の温度を平均化処理し、
    前記平均化処理された温度データを時系列的に記憶装置に格納し、
    前記時系列的に格納された温度データと前記推定された前記各部の稼動後の概安定した状態の温度データとを比較し、
    前記比較された両温度データの比較結果に基づいて使用開始からの前記熱源機の性能低下および/または異常の進行度合の経時変化を検出し、
    検出された経時変化に基いて使用開始からの劣化の度合いを推定し、
    予め定められた劣化閾値と前記推定された劣化の度合いとから保守時期を決定すること
    を特徴とする空気調和装置用熱源機の管理方法。
  9. 空気調和装置用熱源機と中央監視装置とが情報通信ネットワークを介して接続され、前記中央監視装置により前記空気調和装置用熱源機を遠隔集中管理する空気調和装置用熱源機の管理方法において、
    前記情報通信ネットワークを介して送信されてくる前記熱源機の起動時及び停止時のいずれかの温度履歴に基づいて前記熱源機の各部の稼働後の概安定した状態の温度を推定し、
    推定された温度データから該熱源機の運転、希釈、停止に伴う運転サイクルのサイクル動作状態を解析し、
    予め定められた期間の前記サイクル動作状態を平均化処理し、
    前記平均化処理されたデータを時系列的に記憶装置に格納し、
    前記時系列的に格納されたデータと前記解析により得られた現サイクル動作状態解析データとを比較し、
    前記両データの比較結果に基づいて使用開始からの前記熱源機の性能低下および/または異常の進行度合の経時変化を検出し、
    前記経時変化に基づいて使用開始からの劣化の度合いを推定し、
    予め定められた劣化閾値と前記推定された劣化の度合いとから保守時期を決定することを特徴とする空気調和装置用熱源機の管理方法
  10. 前記熱源機が複数設けられていることを特徴とする請求項8または9記載の空気調和装置用熱源機の管理方法
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