JPH11223432A - 吸収式冷凍機の故障診断方法、および同故障診断装置 - Google Patents

吸収式冷凍機の故障診断方法、および同故障診断装置

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JPH11223432A
JPH11223432A JP2333698A JP2333698A JPH11223432A JP H11223432 A JPH11223432 A JP H11223432A JP 2333698 A JP2333698 A JP 2333698A JP 2333698 A JP2333698 A JP 2333698A JP H11223432 A JPH11223432 A JP H11223432A
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Yukio Fukushima
幸男 福島
Hidenori Iwao
秀則 岩尾
Yuzuru Higo
譲 肥後
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸収式冷凍機の故障診断技術を改良して、当
該吸収式冷凍機が始動直後の過渡的運転状態であって
も、過渡期を経過した後の安定運転状態であっても診断
することができるように、かつ、格別に高度な知識や経
験が無くても迅速,確実に診断することができるように
する。 【解決手段】 吸収式冷凍機を構成している配管の各部
(例えば吸収器5の溶液ポンプPの吐出側管路)に、内
部流体の流量を検出するセンサ(例えば吸収器出口流量
センサ21)を設けて、その検出値(流量実測値)を、
「正常運転時における流量(設計値、もしくは実験
値)」と比較し、あらかじめ定めておいた許容範囲内で
あるか否かを判定する。許容範囲外であれば異常発生
(例えば溶液ポンプPの異常)と診断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、密閉系の管路内で
アンモニア水溶液を循環させる方式の吸収式冷凍機の故
障発生の有無を診断する方法、および同診断装置に係
り、特に、密閉循環系より成る吸収式冷凍機の気密性を
害すること無く、しかも、始動直後の不安定状態におい
ても異常の有無を判断できるように改良した診断技術に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4は、密閉循環系の中でアンモニア水
溶液を循環せしめる方式の吸収式冷凍機の1例を示す模
式的な断面図に、流動方向を表す矢印を付記した構造,
機能の説明図である。発生器1の中のアンモニア水溶液
は、バーナ2によって加熱され、アンモニア蒸気とアン
モニア水溶液とに分けられる。アンモニア蒸気を分離さ
れたアンモニア水溶液の濃度は低くなる(説明の便宜
上、これを希薄アンモニア水と呼ぶことにする)。アン
モニア蒸気は凝縮器3に導かれ、熱交換器として作用す
る蛇行管路を流通しつつ冷却ファンFによって冷却さ
れ、凝縮してアンモニア液となる。このとき発生する気
化潜熱は上記冷却ファンの風冷によって奪われる。上記
凝縮器3内で液化せしめられたアンモニア液は膨張弁で
減圧されて蒸発器4に送られ、熱交換器として作用する
コイル状管路内で気化し、アンモニア蒸気となる。上記
の気化によって気化潜熱が奪われ、アンモニア蒸気の温
度が低下する。一方、発生器1の中でアンモニア蒸気を
発生させて形成された希薄アンモニア水は、膨張弁を経
て吸収器5の上部に導かれ、スプレー5sからシャワー
状に雨下せしめられる。前記蒸発器4内で気化したアン
モニア蒸気も上記の吸収器5内に導かれる。該吸収器4
内を雨下する希薄アンモニア水は、蒸発器4から導入さ
れたアンモニア蒸気を吸収する。この際、発生する吸収
潜熱は冷却ファン4によって大気中に放散され、吸収器
内の圧力上昇を防ぎ、蒸発器4で発生したアンモニア蒸
気は吸収器5へ連続的に導入される。吸収器5内でアン
モニア蒸気を吸収して濃厚となったアンモニア水溶液
は、吸収器5の底部に溜まり、溶液ポンプPによって前
記発生器1に返送される。返送されたアンモニア水溶液
は先に述べたようにバーナ2で加熱されてアンモニア蒸
気を発生し、以降、これらの作動を繰り返して冷凍サイ
クルが構成される。図4を参照して以上に説明した発生
器1と、凝縮器3と、蒸発器4内のコイル管と、吸収器
5とを連結して成る循環路は密閉系を形成し、厳格に気
密が保たれる。上記密閉系の中でアンモニアと水とは気
相と液相との間で相変化を繰り返し、これに伴って熱の
吸収,放出が行なわれる。アンモニア蒸気の気化によっ
て熱の吸収が行なわれる蒸発器4内に、ブライン(不凍
液)が循環せしめられ、前記コイル管内の低温のアンモ
ニア蒸気との間で熱交換が行なわれる。上記のブライン
はブラインポンプP′に吸入されて矢印aのように圧送
され、冷熱負荷(例えばファンコイルユニット28)に
供給される。上記ファンコイルユニット28から矢印b
のように還流したブラインは蒸発器4の頂部付近に導か
れて雨下せしめられる。該ブラインは、アンモニア蒸気
が流通しているコイル管の外周面に接触しつつ流下して
熱を奪われて低温になる。上述のように、ブラインはブ
ラインポンプP′によって循環せしめられつつ、蒸発器
4で冷却されて低温になり、ファンコイルユニットで熱
を吸収して昇温し、昇温したブラインは蒸発器4に戻っ
て再び冷却され、この作用を連続的に繰り返すことによ
り、ファンコイルユニットを介して冷却目的物(例えば
室内空気)の冷却(冷房)機能を果たす。
【0003】吸収式冷凍機は、空気の混入や冷却水温度
の上昇など種々の理由により、運転の異常を惹き起こす
ことが有る。このような異常を察知し、もしくは予知す
るため、従来技術においては循環系の管路の複数個所に
温度計および圧力計を配置し、温度,圧力状態に基づい
て故障を診断していた。上記の診断を自動演算回路によ
って行なわせる技術、および、診断結果を自動的に表示
したり、記録したりする技術も開発されて公知になって
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】吸収式冷凍機は一般
に、発生器,凝縮器,吸収器などの構成機器を配管で接
続した密閉系の循環系統を構成していて、長期間休止し
ていると上記の各機器および配管内の温度,圧力の分布
はほぼ均一になる。そして、この吸収式冷凍機を運転し
て定常運転状態が続くと、定まったパターンの温度勾配
および圧力分布が形成される。従来技術に係る故障診断
は、複数個所の温度および圧力を計測して、その状態が
正常であるか否かを判定するものである。従って、吸収
式冷凍機の運転を開始した後、安定した定常運転状態に
ならなければ故障診断をすることができない。この場
合、通常の条件においては運転を開始した後、若干の時
間を経過しないと診断することができない。ところが、
吸収式冷凍機の故障発生に関する実績を検討すると、運
転開始後30分間以内の重大故障発生率が高い。この場
合、異常発生を感知して直ちに運転を停止できた例は殆
ど無く、吸収式冷凍機の破損・停止に至るか、もしくは
非常停止装置が作動して運転不能に陥る虞れが有る。こ
のため、運転開始後、安定運転状態になるまでの過渡的
運転状態において異常の傾向を早期に把握して迅速な対
処を可能ならしめることが切望される。密閉された循環
系内の温度,圧力を計測しようとすると、機器もしくは
配管部材の壁に孔を穿ってセンサを挿入しなければなら
ないので、密閉系の気密性を損ねる虞れが有る。本発明
は上述の事情に鑑みて為されたものであって、運転開始
後の過渡的運転状態における異常の発生を即時に判定す
ることができ、および/または、吸収式冷凍機の気密性
を損ねる虞れの無い、吸収式冷凍機の故障診断方法、お
よび同診断装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに創作した本発明の基本的原理について、その実施形
態に対応する図1を参照して略述すると、発生器1,お
よび吸収器5を相互に接続している管路の外側に流量セ
ンサ(符号21,22,23,26)を設け、吸収式冷
凍機の気密性を害する虞れ無く配管内部の流体の流量
(詳しくは、単位時間当たり流量)を測定して、この測
定値が正常値の範囲内であるか否かを比較判定する。こ
の場合、「各個所の流量、もしくは2個所の流量差」
が、予め定めてあった許容範囲外であった場合は異常発
生と判断する。
【0006】以上に説明した原理に基づいて請求項1の
発明は、発生器、凝縮器、蒸発器、および吸収器を備
え、密閉系の管路内でアンモニア水溶液を循環させる吸
収式冷凍機の故障を診断する方法において、上記の各構
成機器を接続する管路の複数個所について、予め、正常
な運転状態における流量、および、上記の流量に関して
許容される偏差の上,下限値を設計的に、もしくは実験
的に定めておき、故障診断の対象である吸収式冷凍機が
運転されている状態で、前記の複数個所における流量を
実測するとともに、各個所ごとに実測値と前記許容偏差
の上,下限値とを比較することを特徴とする。以上に説
明した請求項1の発明によると、吸収式冷凍機が過渡的
運転状態であっても安定した定常運転状態であっても、
「管路内の流体の流量」を検出して、これを正常値と比
較することによって異常の有無を判定することができ、
予め許容値の上,下限が定められているので、格別に高
度な知識や経験が無くても正確に判定することができて
人為的ミスを生じる虞れが無く、配管内の流体の温度や
圧力を測定しなくても異常の有無を判定できるので、密
閉系の循環流路の気密性を害する虞れも無い。上記の比
較判定は瞬時的に即決できるので、異常発生の初期にこ
れを検知することができ、異常が拡大して重大な破損を
生じたり2次的損傷を誘発したりする虞れが無く、また
非常停止装置の作動に至る虞れも無い。さらに、管路の
複数個所について流量を実測することにより、異常が発
生した場合に異常発生個所を容易に特定することができ
る。
【0007】請求項2の発明の構成は前記請求項1の発
明の構成に加えて、前記の管路の壁に孔を穿つことな
く、管壁の外側からドップラー流量計によって内部流体
の流量を測定することを特徴とする。以上に説明した請
求項2の発明によると、管壁に透孔を設けることなく内
部流体の流量を計測するので「温度・圧力の測定を必要
としないから密閉系循環流路の気密性を害する虞れが無
い」という、請求項1の発明の効果をいっそう確実なら
しめることができる。特に、ドップラー流量計は、流量
の変化に即応してリアルタイムに計測値を得ることがで
きるので、流量が未だ安定していない過渡的状態におけ
る流量の実測に好適である。
【0008】請求項3の発明の構成は前記請求項1,2
の発明の構成に加えて、前記の流量に関して許容される
偏差の上,下限値を、吸収式冷凍機を始動した後、運転
状態が安定するまでの過渡的期間における許容偏差の
上,下限値と、上記の過渡期間を経過して運転状態が安
定しているときにおける許容偏差の上,下限値とに区分
して設定しておき、診断対象である冷温水機の過渡的運
転状態においては過渡的運転状態における許容偏差の
上,下限値に基づき、安定運転状態においては安定運転
状態における許容偏差の上,下限値に基づいて診断する
ことを特徴とする。以上に説明した請求項3の発明によ
ると、過渡的運転状態における許容偏差の上,下限値と
安定運転状態における許容偏差の上,下限値とが予め設
定されているので、診断対象機が過渡的運転状態である
ときは、検出した流量値が過渡的運転状態の許容範囲内
であるか否かを判定することにより、また診断対象機が
安定運転状態であるときは、検出した流量値が安定運転
状態の許容範囲内であるか否かを判定することにより、
それぞれ迅速,容易,かつ正確に、格別に高度の知識を
要せずに異常の有無を判定することができる。
【0009】請求項4の発明の構成は前記請求項3の発
明の構成に加えて、前記発生器に与えられる熱量もしく
は熱量に比例する物理量、および/または冷凍サイクル
中の特定箇所の温度を検出し、この検出値に基づいて吸
収式冷凍機が過渡的運転状態であるか安定運転状態であ
るかを判別し、上記の判別結果に従って過渡的運転状態
における許容偏差の上,下限値もしくは安定運転状態に
おける許容偏差の上,下限値との何れか適正なものを用
いて診断することを特徴とする。以上に説明した請求項
4の発明によると、前記請求項3の発明を実施する場合
に、診断対象である吸収式冷凍機が過渡的な運転状態で
あるか安定運転状態であるかを瞬時に判別して、何れの
許容偏差値を用いるべきかについて迷うことなく正しい
選定をすることができる。
【0010】請求項5の発明の構成は前記請求項1,2
の発明の構成に加えて、前記複数の実測個所の一つとし
て溶液ポンプ吐出口近傍を選定し、過渡的運転状態にお
ける流量を実測するとともに、この実測値の正常値に対
する偏差を、許容偏差値と比較して、実測値が許容範囲
外であるときは溶液ポンプまたはその近傍に異常が発生
していると診断することを特徴とする。以上に説明した
請求項5の発明によると、過渡的運転状態における溶液
ポンプの異常を早期に、かつ即座に検知して、異常の拡
大や2次的損傷の発生以前に早急な対処を施すことがで
きる。すなちわ、溶液ポンプ吐出口近傍を流量実測個所
の一つとして選定したのは、本発明者の多年にわたる経
験,特に故障データの解析に基づいて重要監視個所の一
つであると判断した結果であって、この部位の異常を早
期に発見することの実用的効果は大きい。
【0011】請求項6の発明の構成は前記請求項1,2
の発明の構成に加えて、前記複数の実測個所の一つとし
て、発生器往き配管、および再生器戻り配管の少なくと
も何れか一つを選定し、過渡的運転状態における流量を
実測するとともに、この実測値の正常値に対する偏差
を、許容偏差値と比較して、実測値が許容範囲外である
ときは、それぞれの実測個所の配管の付近に異常が発生
しているものと診断することを特徴とする。以上に説明
した請求項6の発明によると、限られた測定個所の数の
範囲内で有効な異常監視を行なうことができる。すなわ
ち、何処に故障が発生するか分からないと言って総べて
の個所に流量センサを配設するという案は非実用的であ
って、故障発生頻度が高く、かつ、故障発生時の被害が
大きい個所を選定して重点的に異常監視を行なわなけれ
ばならない。本請求項6において発生器の往き配管,お
よび発生器の戻り配管を選んだのは、単なる設計的な選
択によるものではなく、故障実績の統計・解析に基づく
ものであって、これにより、制限された個数のセンサを
有効に配置することができる。
【0012】請求項7の発明の構成は、発生器、凝縮
器、蒸発器、および吸収器を備え、密閉系の管路内でア
ンモニア水溶液を循環させる吸収式冷凍機の故障を診断
する方法において、予め、正常な安定運転状態における
発生器戻り流量および発生器往き流量の値、並びに、上
記双方の流量の流量差に関する許容偏差の上,下限値を
設計的に、もしくは実験的に定めておき、故障診断対象
である吸収式冷凍機の安定運転状態における上記双方の
流量を実測するとともに、それらの流量差を算出し、か
つ、発生器加熱用の燃料消費量を実測し、燃料消費量実
測値を定格燃料消費量で徐して得られた加熱比を、上記
流量差算出値に乗じてこれを補正し、上記の補正された
流量差が、予め定められた正常な安定運転状態の流量差
に比して許容範囲外であるときは、発生器に潜在的な故
障が進行しつつあるものと判定することを特徴とする。
以上に説明した請求項7の発明によると、従来技術にお
ける故障診断では計測対象とされていなかった発生器戻
り流量と発生器往き流量とを検出するとともに、その流
量差を算出して、この算出された流量差を「正常な運転
状態における当該個所の流量差」と比較し、かつ、予め
定められている許容範囲内であるか否かを判定すること
によって、従来技術では察知できなかった、発生器の潜
在的な故障を発見することが出来る。さらに、前記2個
所の流量、およびこれらの流量差が、発生器の加熱熱量
に比例して変動することに鑑みて、故障診断方法に加熱
比という概念を導入することにより、流量差算出値を補
正して、冷暖房負荷状態の如何に拘らず信頼性の高い診
断をすることができる。特に、予め定められている許容
偏差と実測値とを比較して、実測された流量差が許容範
囲内であるか否かを判定すれば足りるので、格別に高度
の知識や経験を必要とせず、迅速に診断することがで
き、さらに、上記の判定を自動演算装置で行なうに適し
ている。
【0013】請求項8の発明の構成は前記請求項1〜7
の発明の構成に加えて、前記の正常な運転状態における
流量の値、および許容偏差の上,下限値のそれぞれを、
複数機種の吸収式冷凍機について各機種ごとに設定する
とともに、設定値を自動演算回路の定数記憶部に格納し
ておき、診断しようとしている吸収式冷凍機の機種に対
応する設定値を読み出して診断に供することを特徴とす
る。以上に説明した請求項8の発明によると、1基の診
断用自動演算回路を用いて複数機種の吸収式冷凍機を効
率良く診断することができる。このような特長は、
(イ)例えば工場施設などのように、一つの区域内に複
数機種の吸収式冷凍機が設置されていて、一つの保守・
管理部署がこれら複数機種をメンティナンスしている場
合、および、(ロ)専門のサービス会社が「多数のクラ
イアントがそれぞれ使用している複数機種の吸収式冷凍
機」を、集中的に管理し、および/または巡回サービス
している場合に、診断用機器の設備コストが低廉であ
り、しかも、移動技術者の携行機器が少数で足りて機動
性が高く、吸収式冷凍機の経時的損耗や故障発生に対す
る早期診断,早期対処をいっそう容易ならしめる。
【0014】請求項9の発明の構成は前記請求項1〜7
の発明の構成に加えて、設置個所が同一でない複数基の
吸収式冷凍機について、それぞれの吸収式冷凍機の所定
個所の流量を検出し、上記の検出によって得られた信号
および/または該検出に基づいて演算されたデータを中
央管理室に伝送して自動演算回路に入力して診断するこ
とにより、複数の吸収式冷凍機を集中管理して、故障修
理用機材の手配および修理技術員の派遣を行なうことを
特徴とする。以上に説明した請求項9の発明によると、
分散配置されている複数基の吸収式冷凍機を集中的に監
視して、その故障発生を早期に検知するとともに、修理
に必要な資材を先行手配し、かつ、修理技術要員を適材
適所に効率良く派遣することができる。このような特長
は、多数基の吸収式冷凍機(単一機種であるか複数機種
であるかを問わない)を分散配置したコンビナート施設
や、複数のクライアントのそれぞれが保有している多数
基の吸収式冷凍機(一般に複数機種である)を保守管理
しているサービス会社において特に有効であって、高信
頼性の保守サービスを可能ならしめる。
【0015】請求項10の発明の構成は、発生器、凝縮
器、蒸発器、および吸収器を具備し、これらの構成機器
を接続する密閉系の管路内にアンモニア水溶液を循環さ
せる吸収式冷凍機の故障を診断する装置において、前記
密閉系の管路を形成している配管部材の壁に透孔を穿つ
ことなく上記配管部材の壁の外側に装着された、内部流
体の流量計測手段と、前記発生器の密閉容器の外側に装
着された温度計測手段と、上記双方の計測手段の検出信
号を入力されて、与えられた定数と比較演算する機能を
有する自動演算回路と、を具備していることを特徴とす
る。以上に説明した請求項10の発明によると、(a)
検出された流量値を自動演算回路に入力して比較演算を
行なわせることにより、格別に高度の知識や経験を必要
とせず、迅速かつ容易に吸収式冷凍機の故障を診断する
ことができ、人為的な判断ミスの虞れが無く、(b)密
閉系の流路を構成している管路や機器の壁に孔を穿つ必
要が無いので、吸収式冷凍機の気密性を害する虞れが無
く、(c)吸収式冷凍機が始動直後の過渡的運転状態で
あっても、過渡期間を経過して安定した運転状態であっ
ても異常の有無を診断することができ、(d)異常発生
の個所を確実に特定することができ、吸収式冷凍機の異
常を早期に発見することができるので、故障個所が拡大
したり、2次的損傷を誘発したりする以前に適切な処置
を施して、吸収式冷凍機の保守を全うすることが出来
る。
【0016】請求項11の発明の構成は前記請求項10
の発明の構成に加えて、前記の自動演算回路が、前記の
流量計測手段および温度計測手段の検出信号を入力され
る入力部と、前記温度計測手段の検出信号、および/ま
たは前記発生器の加熱用燃料の流量検出信号に基づい
て、吸収式冷凍機の運転が過渡的状態であるか安定状態
であるかを判別する安定判定部と、前記の検出信号と比
較演算すべき定数を記憶する定数記憶部と、安定判定部
の判別結果に基づいて、定数記憶部が記憶している数値
を、下記の比較演算に必要な形で出力する判断値演算部
と、前記入力部に入力された信号と、前記判断値演算部
から出力された数値とを、所定のプログラムに基づいて
比較演算する比較部と、を具備しているものであること
を特徴とする。以上に説明した請求項11の発明による
と、診断の対象である吸収式冷凍機の運転状態が始動直
後の過渡的運転状態であっても、該過渡的状態を経過し
た後の安定運転状態であっても、自動演算機によって自
動的に運転状態を判別し、かつ、判別された運転状態に
適応した定数(あらかじめ記憶されている)と、適正な
演算プログラムとによって適正な故障診断、ないしは故
障の予知(潜在的な異常の検出)が可能である。
【0017】請求項12の発明の構成は前記請求項11
の発明の構成に加えて、前記の定数記憶部は、複数機種
の吸収式冷凍機の故障診断に必要な定数を記憶し得るよ
うになっており、かつ、該定数記憶部が記憶している複
数機種用の定数の中から、当該機種を診断するに必要な
定数を選定して出力せしめる機種設定部を備えているこ
とを特徴とする。以上に説明した請求項12の発明によ
ると、1セットの自動演算回路によって複数機種の吸収
式冷凍機の故障診断を行なうことができる。上記の特長
により、複数機種の吸収式冷凍機を備えた大きい施設
(例えば工場コンビナート)の中央管理室に設置する自
動演算機が1基で足り、また、複数機種の吸収式冷凍機
を保守管理するサービス会社の巡回技術員が携行する故
障診断装置が1基で足りる。これにより、巡回技術員の
装備コストが低減されるのみでなく、巡回技術員(もし
くは派遣技術員)が軽装備になって機動性が向上し、し
かも複数機種のそれぞれについて適正な故障診断、並び
に適正な対応処置をすることが出来る。
【0018】請求項13の発明の構成は前記請求項1
1,12の発明の構成に加えて、前記の自動演算回路
は、該自動演算回路が「潜在的故障が発生している」と
判定したとき、上記潜在的故障の発生個所,異常の情
況,および日付・時刻を記憶する記憶部もしくは記録用
のプリンタを具備していることを特徴とする。以上に説
明した請求項13の発明によると、潜在的な故障を発見
したとき、該潜在的な故障の情況に関する監視データを
時系列的に記録して修理対策の参考とすることができ
る。すなわち、従来技術においては計測の対象としてい
なかった管路内の溶液流量を検出することによって潜在
的な異常を早期に発見し得ることが本発明における最大
の効果の一つであるが、さらに本請求項13の構成によ
って上記の「早期に発見した潜在的な異常」の追跡記録
が可能になる。この追跡記録によって上記潜在的な異常
の進行情況、および、2次的損傷の発生の有無が明らか
になる。一方、吸収式冷温水機は、故障修理のための休
止について種々の制約を受けることが多いので、潜在的
異常の進行状態を勘案しながら修理計画を立て得ること
の実用的効果は多大である。
【0019】請求項14の発明の構成は前記請求項11
〜13の発明の構成に加えて、前記の自動制御回路は、
該自動演算回路が「異常発生」と判定したとき、異常の
発生個所および異常の情況を、当該吸収式冷凍機設置個
所の外部に通じる通信手段に対して出力する外部出力部
を具備していることを特徴とする。以上に説明した請求
項14の発明によると、当該故障診断装置の診断結果
を、例えばコンビナートの集中管理室やメンティナンス
サービス会社の管理センターなどの保守管理部門に対
して、電話線もしくは無線通信機などの通信手段により
自動的に速報することができる。吸収式冷凍機の異常発
生を即時的に発見し得ることが本発明の重要な効果の一
つであるが、この異常発見に対して迅速に対処しなけれ
ば実用的効果を奏し得ないのであって、異常に対応して
修理,調整などの処置を施してこそ初めて実用的価値を
発揮することが出来る。こうした観点から、本請求項2
3によって異常発生情報を速報し得ることの意義は多大
である。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る吸収式冷凍
機の故障診断方法を実施するために構成した故障診断装
置のセンサを配置した吸収式冷凍機の模式的な系統図で
あって、自動演算回路は省略して描いてある。本図1に
は、後に詳述する6個のセンサが示されていて、これら
6個のセンサ以外の部分は、一般に用いられている公知
のアンモニアを用いた吸収式冷凍機と同様ないし類似の
構造である。図示の1は発生器、3は凝縮機、4は蒸発
器、5は吸収器であって、これらの構成機器は配管部材
によって接続されている。バーナ2には、燃料パイプ1
9から燃料が供給され、この燃料の燃焼によって該発生
器が加熱されるようになっている。上記の加熱熱量を検
出するため、燃料パイプ19には燃料流量センサ20が
設けられている。本発明を実施する際、上記の燃料流量
センサ20に代えて、加熱熱量に比例する物理量(例え
ば燃料調節弁の開度)を検出するように構成しても良
い。前記燃料パイプ19は、アンモニア水溶液が循環す
る密閉系の管路ではなく、特に厳しい気密性は要求され
ないので、適宜に任意形式の流量計を取り付けることが
出来る。
【0021】(a)発生器1の外壁面に、発生器温度セ
ンサ27を取り付ける。この発生器1は密閉循環系を構
成している機器であるから、その壁に透孔を穿つことな
く、壁面の外側に温度センサを装着する。 (b)吸収器5の出口配管(往き管)に吸収器出口流量
センサ21を設ける。この吸収器出口配管は、吸収器5
に設けられている溶液ポンプPの吐出側管路に相当す
る。本(b)項においてセンサを取り付ける配管から、
以下に述べる(e)項のセンサを取り付ける配管までの
4個所の配管は、アンモニア溶液の密閉循環系を構成す
る配管であるから、管壁に透孔を穿つことなく、管の外
壁にドップラー流量計のセンサ部分の4個を配置して装
着し、ドップラー流量計本体(図示省略)によって内部
溶液の流量を計測する。このように構成すると、比較的
高価なドップラー流量計本体の設置個数は1個で足り、
4個所の溶液流量を配管外から検出することができる。 (c)発生器1に流入する配管(戻り管)に、発生器戻
り流量センサ22を装着する。 (d)発生器1から流出する配管(往き管)に、発生器
往き流量センサ23を装着する。 (e)吸収器5に流入する配管(戻り管)は、吸収器内
部空間に設けられているスプレーの配管に相当する。こ
の配管に吸収器スプレー流量センサ26を装着する。 次に示す表1の左端部には、以上に説明した6個のセン
サの図面参照符号と、各センサの測定対象を示してあ
る。
【0022】
【表1】
【0023】上掲の表1の左右方向について中央部付近
に示した「記号」の欄は、後述する計算に用いる診断式
に用いられる記号であって、正常値データ(設計値)
は、それぞれの測定対象について設計的に定めた正常値
を示したいる。この正常値は、完全に整備された吸収式
冷凍機を正常な状態で運転した場合に実測した値(実験
値)を用いても良い。測定値(平均値)の欄は、診断の
ために実測した値(間欠的に複数回実測したときは算術
平均値)を表している。前掲の表1の右端部に示した補
正値は、後述する診断式に用いるため、あらかじめ決定
しておく定数であって、前記の測定値が前記の正常値に
比して許容される上,下限値を示している。本実施形態
においては、プラス側許容偏差とマイナス側許容偏差と
の絶対値を等しからしめてある。上記の補正値(許容偏
差)は、吸収式冷凍機が始動後の過渡的期間(5〜30
分間)における補正値(文字Aの次に2桁の数字を付し
て表す)と、上記の過渡期間を過ぎて運転状態が安定し
たときの補正値(文字Bの次に2桁の数字を付して示
す)とに区分して定めてある。なお、前記2桁の数字
は、センサの符号と一致させてある。例えば吸収器出口
流量センサ21の流量正常値はD21、測定値(実測
値)はQ21、過渡状態における許容偏差値は上,下限
ともにA21である。すなわち、過渡状態における測定
値Q21の許容範囲は、 D21−A21<Q21<D21+A21……(1) である。この診断式を演算する方法および、演算するた
めの装置については後に詳しく説明する。
【0024】この式(1)が成立するということは、実
測値Q21が、正常値D21に比して許容範囲±A21
内に在ることを意味し、この式(1)が成立しないとい
うことは、実測値Q21が、正常値D21に比して許容
範囲±A21外に在ることを意味している。なお、測定
値と実測値とはほぼ同意であるが、「補正値」や「算出
値」との区別を特に明確ならしめたいときは「実測値」
と呼ぶことにする。
【0025】上記の(1)式においては、許容偏差の上
限値(+A21)と下限値(−A21)との絶対値を等
しくしているが、上限値と下限値との絶対値とが異なる
ように許容範囲を定めることもできる。例えば、 D21−A21′<Q21<D21+A21″ のごとくである。
【0026】図2は、本発明に係る吸収式冷凍機の故障
診断装置の1実施形態におけるブロック図である。先に
図1に示した6個のセンサよりなるセンサ群Sの中で、
前掲の式(1)に用いられている吸収器出口流量センサ
21の検出信号値Q21は、自動演算回路Cの入力部6
に入力される。この入力部6は、その他5個のセンサの
出力信号もそれぞれ入力される。一方、前記の式(1)
に用いられている、補正値を表す定数A21は、定数記
憶部10に記憶されている。この定数記憶部10は、上
記の定数A21の他、前掲の表1に示されている定数の
全部を記憶している。先に述べたごとく、前掲の式
(1)は、吸収式冷凍機が過渡的運転状態であるときに
適用されるので、次のようにして運転状態の判別が行な
われる。発生器温度センサ27の検出信号Q27は、入
力部6および平均流量演算部8を経て安定判断部9に入
力される。該安定判断部9は、この温度信号Q27が1
30℃未満を表しているときは過渡的運転状態であると
判断し、130℃以上を表しているときは安定運転状態
であると判断し、その判断結果を定数記憶部10および
判断値演算部11に与える。定数記憶部は、過渡的運転
状態である旨の信号を与えられると、定数A21を判断
値演算部11に向けて出力する。該判断値演算部は、前
掲の(1)式において実測値Q21と比較すべきD21
−A21と、D21+A21とを算出して比較部12に
向けて出力する。比較部12は、入力された信号に基づ
いて、前掲の式(1)の比較演算を行ない、この式が成
立すれば異常無しと診断し、成立しなければ吸収器5の
溶液ポンプPに異常が有ると診断して、診断結果を表示
部14に表示するとともに、外部出力部16を介して中
央管理室(図外)に通信する。通信の手段は、公約,私
的を問わず、また、有線でも無線でも良く、将来的には
光通信を実用化することも考えられる。中央管理室(図
外)への通信は、検出データをそのまま送信しても良
く、判定演算の結果を送信しても良い。これにより、中
央管理室の専門技術者が情況をリアルタイムで把握して
対応することができる。
【0027】図2を参照しつつ以上に説明したところ
は、吸収器出口流量センサ21によって検出された実測
値Q21と、あらかじめ記憶していた定数とを用いて、
(1)式により溶液ポンプPの異常の診断を行なったも
のであるが、これと同様にして、以下に述べるように、
吸収式冷凍機が過渡的運転状態にあるときの実測値を用
い、以下に順次に説明する式(2)〜式(4)を用いて
各個所の異常の有無を診断する。このように、センサ設
置個所ごとに診断を行なうことにより、異常発生時にそ
の個所を特定することができる。図1に示した発生器戻
り流量センサ22の実測値は、演算においては表1に示
したようにQ22として表し、その正常値はD22、許
容偏差の上,下限値は±A22である。これらに基づい
て、上記の実測値Q22が許容範囲内に在るか否かを、
次に示す式(2)によって判定する。 D22−A22<Q22<D22+A22………(2) 上記の実測値Q22が許容範囲外に在るときは式(2)
が成立しない。このときは、発生器1内に異常が発生し
ていると診断する。
【0028】以下、同様にして、過渡的運転状態におけ
る発生器往き流量センサ23の実測値Q23について、 D23−A23<Q23<D23+A23………(3) 上掲の(3)式が成立しないときは、発生器往き配管ま
わりに異常が発生しているものと診断する。同様に、過
渡的運転状態における吸収器スプレー流量センサ26の
実測値Q26について、 D26−A26<Q26<D26+A26………(4) 上掲の(6)式が成立しないときは、吸収器5に設けら
れているスプレーに異常が発生したものと診断する。
【0029】以上に、式(1)〜式(4)によって行な
った診断は、いずれも過渡的状態における実測値と、過
渡的状態における許容偏差を表す補正値A21,A2
2,A23,A26とを用いて異常発生の有無を診断し
たものである。上記と異なる実施形態として、安定運転
状態における実測値と、安定運転状態における許容偏差
とを用いて、潜在的故障の発生を検知することができ
る。以下に、安定運転状態における診断について、式
(5)〜式(8)を挙げて説明する。前掲の表1に示し
た補正値A21〜A26は、先に述べたごとく過渡的運
転状態における許容偏差を表す補正値である。これと同
様に、安定運転状態における許容偏差を表す定数B21
〜B26を定めておく。以下に説明する安定状態におけ
る診断式(5)〜式(8)は、それぞれ前述の過渡的状
態における診断式(1)〜(4)と同様に、実測値が許
容範囲内であるか否かを判定するという基本的な技術思
想を同じくするものである。しかし、安定状態における
循環管路の各部分の流量は、加熱化に比例するという経
験則が有るので、式(5)〜式(8)においては上記の
加熱比によって実測値を補正した上で正常値に比較する
という形をとる。上記の加熱比は、発生器1に与えられ
る単位時間当たり熱量に関する、(現在値/定格値)の
比率である。この比率は近似的に、加熱用燃料の単位時
間当たり流量に関する(現在値/定格値)の比率によっ
て表される。この加熱比という概念は、吸収式冷凍機の
負荷率を表すために用いられる公知の技術的知見である
が、潜在的故障を発見するために溶液の流量値を加熱比
で補正するという手法は、本発明者が創作した未公知の
技術である。
【0030】安定状態における、吸収器出口流量センサ
21の実測値Q21について、その許容偏差の上,下限
値は表1に表されているようにB21である。従って、
前記の加熱比が1である場合には、前掲の式(1)にお
ける定数A21を、安定運転時の定数B21で置換する
ことによって、安定運転状態における診断式が得られ
る。前記の加熱比を記号Rで表すことにすると、前掲の
表1に示した記号を用いて、R=M/M01 である。
上記の加熱比Rを用いて、安定運転状態における吸収器
出口流量センサ21による測定値(実測値)Q21が許
容範囲内であるか否かは、 (D21−B21)R<Q21<(D21+B21)R
………(5) 上掲の式(5)によって判断され、許容範囲外であると
きは吸収器5の溶液ポンプPに潜在的な異常が発生して
いるものと診断する。上記の式(5)による診断は前掲
の図2において、安定判断部9が安定運転状態であると
判断したとき、定数記憶部10から正常流量値21、お
よび「安定運転状態における許容偏差の上,下限値を表
す定数B21」を読み出して、判断値演算部11で算出
された(D21−B21)R、および、(D21+B2
1)Rと、正常値D21とを、比較部12で比較演算し
て行なわれる。潜在的な異常が発生していることを検知
したときは、該潜在的な異常が進行しつつあることを予
測して調整,補修などの対処を行なうことにより、潜在
的異常の顕在化を未然に防止することが出来る。
【0031】同様に、安定運転状態における発生器戻り
流量センサ22の実測値Q22について、 (D22−B22)R<Q22<(D22+B22)R
………(6) 上掲の式(6)が成立しないときは、発生器1内に潜在
的な異常が発生していると診断する。同様に、安定運転
状態における発生器往き流量センサ23の実測値Q23
について、 (D23−B23)R<Q23<(D23+B23)R
………(7) 上掲の式(7)が成立しないときは、発生器往き配管ま
わりに潜在的な異常が発生していると判断する。同様
に、安定運転状態における吸収器スプレー流量センサ2
6の実測値Q26について、 (D26−B26)R<Q26<(D26+B26)R
………(8) 上掲の式(8)が成立しないときは、吸収器5に設けら
れているスプレーに潜在的異常が発生していると診断す
る。
【0032】以上に式(1)〜(8)について説明した
診断方法は、図1に示した6個のセンサの内、溶液の密
閉循環系を構成している配管内の溶液流量を検出する6
個のセンサ(符号21,22,23,26)の何れか1
個の検出流量値が、それぞれ許容範囲内であるか否かを
判定したものであるが、この技術的思想を応用して、2
個所の流量の流量差を算出して、この流量差算出値が許
容範囲内であるか否かを判定することによって潜在的な
異常の有無を診断することが出来る。以下に、その具体
的な実施形態を説明する。前掲の表1に示した定数C2
3は安定運転状態における下記の式(13)において流
量差の許容偏差の上,下限値を表す補正値である。
【0033】発生器戻り流量センサ22による流量の実
測値Q22と、発生器往き流量センサ23による流量の
実測値Q23とは、正常な安定運転状態においてはほぼ
バランスしているべきであって、その流量差Q22−Q
23のバラツキが大き過ぎることは何らかの潜在的な異
常を生じているものと推察される。そこで、前記の加熱
比Rで補正された流量差について、 (D22−D23−C23)R<Q22−Q23<(D
22−D23+C23)R………(9) 上掲の式(13)が成立しないときは、発生器1の近傍
に潜在的異常が発生しているものと診断する。式(1)
ないし式(8)を用いて以上に説明した診断の実施形態
は、何れも1機種の吸収式冷凍機ごとに表1に示した定
数を設定し、図2の定数記憶部10に記憶させておいて
診断の演算に供したが、上記と異なる実施形態として、
複数機種の診断演算用の定数を前記の記憶部10に記憶
させておくことも出来る。このように、定数記憶部10
(図2)に複数機種の定数を記憶させておいた場合は、
機種設定部13から該定数記憶部10に対して、出力す
べき定数の機種区分を指令し、定数記憶部10は指令さ
れた機種についての演算式に用いられている定数を出力
する。以上に説明したようにして1基の自動演算回路C
によって複数機種の診断が出来るようにしておくと、複
数機種を管掌する中央管理室や、サービス会社の管理セ
ンターに設置するに好適であり、また、サービス会社の
巡回サービス技術者や派遣修理技術者が携行するに好適
である。
【0034】図3は、前掲の図2に示した自動演算回路
を用いて吸収式冷凍機を診断した1例におけるフローチ
ャートである。ステップs1でスタートし、ステップs
2で吸収式冷凍機が運転中であるか否かを判別する。前
述した表1に示した燃料消費量の実測値Mが正の値であ
れば運転中であると判定してステップs3に進む。ステ
ップs3で、発生器1の温度実測値T27が130℃以
下であれば過渡的運転状態であると判断してステップs
4に進み、130℃未満であれば安定運転状態であると
判断してステップs10に進む。ステップs4では前述
した式(1)が成立するか否かを確かめ、成立しなけれ
ば溶液ポンプ異常と診断する。式(1)が成立すれば溶
液ポンプ異常無しとしてステップs5に進む。ステップ
s5では前述した式(2)が成立するか否かを確かめ、
成立しなければ発生器異常と診断する。式(2)が成立
すれば異常無しとしてステップs6に進む。同様にし
て、ステップs6からステップs7まで順次に進みつ
つ、式(1)ないし式(4)が成立するか否かを確か
め、成立しなかった場合はそれぞれの異常が発生してい
るものと診断する。
【0035】ステップs10においては前述した式
(5)が成立するか否かを確かめ、成立しなければ溶液
ポンプ要注意(すなわち、潜在的な異常が発生してい
る)と診断する。式(5)が成立すれば、溶液ポンプは
健全であるとしてステップs11に進む。ステップs1
1では式(6)が成立するか否かを確かめ、成立しなけ
れば発生器の内部に潜在的異常が発生していると診断す
る。式(6)が成立すれば発生器は健全であるとしてス
テップs12に進む。以下、同様にしてステップs12
からs13まで順次に進みつつ、各ステップにおいて式
(7)ないし式(8)が成立するか否かを確かめて、成
立しなかったときは、それぞれの式によって定められて
いる潜在的な異常が発生しているものと診断する。何れ
かの個所に潜在的異常が有ると診断されたときは、ステ
ップs16において診断の日時と診断内容とを記録す
る。
【0036】図1を参照して以上に説明した実施形態に
おいては、発生器往き流量センサ23と吸収器スプレー
流量センサ26とは、それぞれが受け持っている役目の
差異を明確に表現するため、それぞれ異なる符号と名称
とを付して説明したが、図から容易に理解できるよう
に、よほど特異な破損事故でも起こらない限り、これら
2個のセンサは同じ値を検出するはずである。従って、
本発明を実施する場合、前記発生器往き流量センサ23
と吸収器スプレー流量センサ26との何れか片方を設け
て他方の役目を兼ねさせることができる。上記と同様
に、吸収器出口流量センサ21と発生器戻り流量センサ
22とに関しても、何れか片方を設けて他方の役目を兼
ねさせることもできる。
【0037】さらに、前記実施形態(図1)の改良例と
して、当該アンモニア吸収式冷凍機の雰囲気温度を検出
する空気温度センサ(図示省略)を設けて、該アンモニ
ア吸収式冷凍機の周辺の大気温度を検出して、前述の判
定式(1)〜(8)を補正することによって、よりきめ
細かく故障診断を行なうこともできる。ただし、上記の
空気温度による補正は、これを行なっても行なわなくて
も本発明の技術的範囲に属するものである。上述した空
気温度による補正の応用例として、発生器1に水冷装置
(図示せず)が設けられている場合、冷却水温を検出し
て判定式(1)〜(8)を補正することも可能である。
この場合、冷却水入口温度と同出口温度との両方を検出
するとともに冷却水流量を検出して冷却水が奪った熱量
を算定することが望ましいが、冷却水入口温度、もしく
は同出口温度の片方だけを検出して判定式を補正しても
実用上は充分な効果が得られる。上述の補正を行なわな
くても、従来技術に比して格段に信頼性の高い診断を行
なうことができる。なお(図1参照)、バーナ2の発生
熱量を冷熱負荷に応じて制御する方式(容量制御)の場
合は、先に説明した過渡期間の判定について燃料流量セ
ンサ20の検出値を参考データとして採り入れることに
よって、より確度の高い診断が可能となる。ただし、バ
ーナ2の発熱量による補正を行なっても行なわなくても
本発明の技術的範囲に属する。
【0038】
【発明の効果】以上に本発明の実施形態を挙げてその構
成・機能を明らかならしめたように、請求項1の発明に
よると、吸収式冷凍機が過渡的運転状態であっても安定
した定常運転状態であっても、「管路内の流体の流量」
を検出して、これを正常値と比較することによって異常
の有無を判定することができ、予め許容値の上,下限が
定められているので、格別に高度な知識や経験が無くて
も正確に判定することができて人為的ミスを生じる虞れ
が無く、配管内の流体の温度や圧力を測定しなくても異
常の有無を判定できるので、密閉系の循環流路の気密性
を害する虞れも無い。上記の比較判定は瞬時的に即決で
きるので、異常発生の初期にこれを検知することがで
き、異常が拡大して重大な破損を生じたり2次的損傷を
誘発したりする虞れが無く、また非常停止装置の作動に
至る虞れも無い。さらに、管路の複数個所について流量
を実測することにより、異常が発生した場合に異常発生
個所を容易に特定することができる。
【0039】請求項2の発明によると、管壁に透孔を設
けることなく内部流体の流量を計測するので「温度・圧
力の測定を必要としないから密閉系循環流路の気密性を
害する虞れが無い」という、請求項1の発明の効果をい
っそう確実ならしめることができる。特に、ドップラー
流量計は、流量の変化に即応してリアルタイムに計測値
を得ることができるので、流量が未だ安定していない過
渡的状態における流量の実測に好適である。
【0040】請求項3の発明によると、過渡的運転状態
における許容偏差の上,下限値と安定運転状態における
許容偏差の上下限値とが予め設定されているので、診断
対象機が過渡的運転状態であるときは、検出した流量値
が過渡的運転状態の許容範囲内であるか否かを判定する
ことにより、また診断対象機が安定運転状態であるとき
は、検出した流量値が安定運転状態の許容範囲内である
か否かを判定することにより、それぞれ迅速,容易,か
つ正確に、格別に高度の知識を要せずに異常の有無を判
定することができる。
【0041】請求項4の発明によると、前記請求項3の
発明を実施する場合に、診断対象である吸収式冷凍機が
過渡的な運転状態であるか安定運転状態であるかを瞬時
に判別して、何れの許容偏差値を用いるべきかについて
迷うことなく正しい選定をすることができる。
【0042】請求項5の発明によると、過渡的運転状態
における溶液ポンプの異常を早期に、かつ即座に検知し
て、異常の拡大や2次的損傷の発生以前に早急な対処を
施すことができる。すなわち、溶液ポンプ吐出口近傍を
流量実測個所の一つとして選定したのは、本発明者の多
年にわたる経験,特に故障データの解析に基づいて重要
監視個所の一つであると判断した結果であって、この部
位の異常を早期に発見することの実用的効果は大きい。
【0043】請求項6の発明によると、限られた測定個
所の数の範囲内で有効な異常監視を行なうことができ
る。すなわち、何処に故障が発生するか分からないと言
って総べての個所に流量センサを配設するという案は非
実用的であって、故障発生頻度が高く、かつ、故障発生
時の被害が大きい個所を選定して重点的に異常監視を行
なわなければならない。本請求項6において発生器の往
き配管,および発生器の戻り配管を選んだのは、単なる
設計的な選択によるものではなく、多年にわたる故障実
績の統計・解析に基づくものであって、これにより、制
限された個数のセンサを有効に配置することができる。
【0044】請求項7の発明によると、従来技術におけ
る故障診断では計測対象とされていなかった発生器戻り
流量と発生器往き流量とを検出するとともに、その流量
差を算出して、この算出された流量差を「正常な運転状
態における当該個所の流量差」と比較し、かつ、予め定
められている許容範囲内であるか否かを判定することに
よって、従来技術では察知できなかった、発生器の潜在
的な故障を発見することが出来る。さらに、前記2個所
の流量、およびこれらの流量差が、発生器の加熱熱量に
比例して変動することに鑑みて、故障診断方法に加熱比
という概念を導入することにより、流量差算出値を補正
して、冷暖房負荷状態の如何に拘らず信頼性の高い診断
をすることができる。特に、予め定められている許容偏
差と実測値とを比較して、実測された流量差が許容範囲
内であるか否かを判定すれば足りるので、格別に高度の
知識や経験を必要とせず、迅速に診断することができ、
さらに、上記の判定を自動演算装置で行なうに適してい
る。
【0045】請求項8の発明によると、1基の診断用自
動演算回路を用いて複数機種の吸収式冷凍機を効率良く
診断することができる。このような特長は、(イ)例え
ば工場施設などのように、一つの区域内に複数機種の吸
収式冷凍機が設置されていて、一つの保守・管理部署が
これら複数機種をメンティナンスしている場合、およ
び、(ロ)専門のサービス会社が「多数のクライアント
がそれぞれ使用している複数機種の吸収式冷凍機」を、
集中的に管理し、および/または巡回サービスしている
場合に、診断用機器の設備コストが低廉であり、しか
も、移動技術者の携行機器が少数で足りて機動性が高
く、吸収式冷凍機の経時的損耗や故障発生に対する早期
診断,早期対処をいっそう容易ならしめる。
【0046】請求項9の発明によると、分散配置されて
いる複数基の吸収式冷凍機を集中的に監視して、その故
障発生を早期に検知するとともに、修理に必要な資材を
先行手配し、かつ、修理技術要員を適材適所に効率良く
派遣することができる。このような特長は、多数基の吸
収式冷凍機(単一機種であるか複数機種であるかを問わ
ない)を分散配置したコンビナート施設や、複数のクラ
イアントのそれぞれが保有している多数基の吸収式冷凍
機(一般に複数機種である)を保守管理しているサービ
ス会社において特に有効であって、高信頼性の保守サー
ビスを可能ならしめる。
【0047】請求項10の発明によると、(a)検出さ
れた流量値を自動演算回路に入力して比較演算を行なわ
せることにより、格別に高度の知識や経験を必要とせ
ず、迅速かつ容易に吸収式冷凍機の故障を診断すること
ができ、人為的な判断ミスの虞れが無く、(b)密閉系
の流路を構成している管路や機器の壁に孔を穿つ必要が
無いので、吸収式冷凍機の気密性を害する虞れが無く、
(c)吸収式冷凍機が始動直後の過渡的運転状態であっ
ても、過渡期間を経過して安定した運転状態であっても
異常の有無を診断することができ、(d)異常発生の個
所を確実に特定することができ、吸収式冷凍機の異常を
早期に発見することができるので、故障個所が拡大した
り、2次的損傷を誘発したりする以前に適切な処置を施
して、吸収式冷凍機の保守を全うすることが出来る。
【0048】請求項11の発明によると、診断の対象で
ある吸収式冷凍機の運転状態が始動直後の過渡的運転状
態であっても、該過渡的状態を経過した後の安定運転状
態であっても、自動演算機によって自動的に運転状態を
判別し、かつ、判別された運転状態に適応した定数(あ
らかじめ記憶されている)と、適正な演算プログラムと
によって適正な故障診断、ないしは故障の予知(潜在的
な異常の検出)が可能である。
【0049】請求項12の発明によると、1セットの自
動演算回路によって複数機種の吸収式冷凍機の故障診断
を行なうことができる。上記の特長により、複数機種の
吸収式冷凍機を備えた大きい施設(例えば工場コンビナ
ート)の中央管理室に設置する自動演算機が1基で足
り、また、複数機種の吸収式冷凍機を保守管理するサー
ビス会社の巡回技術員が携行する故障診断装置が1基で
足りる。これにより、巡回技術員の装備コストが低減さ
れるのみでなく、巡回技術員(もしくは派遣技術員)が
軽装備になって機動性が向上し、しかも複数機種のそれ
ぞれについて適正な故障診断、並びに適正な対応処置を
することが出来る。
【0050】請求項13の発明によると、潜在的な故障
を発見したとき、該潜在的な故障の情況に関する監視デ
ータを時系列的に記録して修理対策の参考とすることが
できる。すなわち、従来技術においては計測の対象とし
ていなかった管路内の溶液流量を検出することによって
潜在的な異常を早期に発見し得ることが本発明における
最大の効果の一つであるが、さらに本請求項13の構成
によって上記の「早期に発見した潜在的な異常」の追跡
記録が可能になる。この追跡記録によって上記潜在的な
異常の進行情況、および、2次的損傷の発生の有無が明
らかになる。一方、吸収式冷温水機は、故障修理のため
の休止について種々の制約を受けることが多いので、潜
在的異常の進行状態を勘案しながら修理計画を立て得る
ことの実用的効果は多大である。
【0051】請求項14の発明によると、当該故障診断
装置の診断結果を、例えばコンビナートの集中管理室や
メンティナンス サービス会社の管理センターなどの保
守管理部門に対して、電話線もしくは無線通信機などの
通信手段により自動的に速報することができる。吸収式
冷凍機の異常発生を即時的に発見し得ることが本発明の
重要な効果の一つであるが、この異常発見に対して迅速
に対処しなければ実用的効果を奏し得ないのであって、
異常に対応して修理,調整などの処置を施してこそ初め
て実用的価値を発揮することが出来る。こうした観点か
ら、本請求項14によって異常発生情報を速報し得るこ
との意義は多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る吸収式冷凍機の故障診断方法を実
施するために構成した故障診断装置のセンサを配置した
吸収式冷凍機の模式的な系統図であって、自動演算回路
は省略して描いてある。
【図2】本発明に係る吸収式冷凍機の故障診断装置の1
実施形態におけるブロック図である。
【図3】前掲の図2に示した自動演算回路を用いて吸収
式冷凍機を診断した1例におけるフローチャートであ
る。
【図4】密閉循環系の中でアンモニア水溶液を循環せし
める方式の吸収式冷凍機の1例を示す模式的な断面図
に、流動方向を表す矢印を付記した構造,機能の説明図
である。
【符号の説明】
1…発生器、2…バーナ、3…凝縮器、4…蒸発器、5
…吸収器、6…自動演算回路の入力部、8…同じく平均
流量演算部、9…同じく安定判定部、10…同じく定数
記憶部、11…同じく判断値演算部、12…同じく比較
部、13…同じく機種設定部、14…同じく表示部、1
5…同じく記憶部、16…同じく外部出力部、19…燃
料パイプ、21…吸収器出口流量センサ、22…発生器
戻り流量センサ、23…発生器往き流量センサ、26…
吸収器スプレー流量センサ、27…発生器温度センサ、
28…フアンコイルユニット、C…センサ群、P…溶液
ポンプ、P′…ブラインポンプ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 肥後 譲 茨城県土浦市木田余東台1−9−1 日立 ビル施設エンジニアリング株式会社土浦技 術研修所内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発生器、凝縮器、蒸発器、および吸収器
    を備え、密閉系の管路内でアンモニア水溶液を循環させ
    る吸収式冷凍機の故障を診断する方法において、 上記の各構成機器を接続する管路の複数個所について、
    予め、正常な運転状態における流量、および、上記の流
    量に関して許容される偏差の上,下限値を設計的に、も
    しくは実験的に定めておき、 故障診断の対象である吸収式冷凍機が運転されている状
    態で、前記の複数個所における流量を実測するととも
    に、各個所ごとに実測値と前記許容偏差の上,下限値と
    を比較することを特徴とする、吸収式冷凍機の故障診断
    方法。
  2. 【請求項2】 前記の管路の壁に孔を穿つことなく、管
    壁の外側からドップラー流量計によって内部流体の流量
    を測定することを特徴とする、請求項1に記載した吸収
    式冷凍機の故障診断方法。
  3. 【請求項3】 前記の流量に関して許容される偏差の
    上,下限値を、 吸収式冷凍機を始動した後、運転状態が安定するまでの
    過渡的期間における許容偏差の上,下限値と、 上記の過渡期間を経過して運転状態が安定しているとき
    における許容偏差の上,下限値とに区分して設定してお
    き、 診断対象である冷温水機の過渡的運転状態においては過
    渡的運転状態における許容偏差の上,下限値に基づき、 安定運転状態においては安定運転状態における許容偏差
    の上,下限値に基づいて診断することを特徴とする、請
    求項1もしくは請求項2に記載した吸収式冷凍機の故障
    診断方法。
  4. 【請求項4】 前記発生器に与えられる熱量もしくは熱
    量に比例する物理量、および/または冷凍サイクル中の
    特定箇所の温度を検出し、この検出値に基づいて吸収式
    冷凍機が過渡的運転状態であるか安定運転状態であるか
    を判別し、 上記の判別結果に従って過渡的運転状態における許容偏
    差の上,下限値もしくは安定運転状態における許容偏差
    の上,下限値との何れか適正なものを用いて診断するこ
    とを特徴とする、請求項3に記載した吸収式冷凍機の故
    障診断方法。
  5. 【請求項5】 前記複数の実測個所の一つとして溶液ポ
    ンプ吐出口近傍を選定し、 過渡的運転状態における流量を実測するとともに、この
    実測値の正常値に対する偏差を、許容偏差値と比較し
    て、 実測値が許容範囲外であるときは溶液ポンプまたはその
    近傍に異常が発生していると診断することを特徴とす
    る、請求項1もしくは請求項2に記載した吸収式冷凍機
    の故障診断方法。
  6. 【請求項6】 前記複数の実測箇所として、発生器往き
    配管、および発生器戻り配管の少なくとも何れか一つを
    選定し、 過渡的運転状態における流量を実測するとともに、この
    実測値の正常値に対する偏差を、許容偏差値と比較し
    て、 実測値が許容範囲外であるときは、それぞれの実測個所
    の配管の付近に異常が発生していると診断することを特
    徴とする、請求項1もしくは請求項2に記載した吸収式
    冷凍機の故障診断方法。
  7. 【請求項7】 発生器、凝縮器、蒸発器、および吸収器
    を備え、密閉系の管路内でアンモニア水溶液を循環させ
    る吸収式冷凍機の故障を診断する方法において、 予め、正常な安定運転状態における発生器戻り流量およ
    び発生器往き流量の値、並びに、上記双方の流量の流量
    差に関する許容偏差の上,下限値を設計的に、もしくは
    実験的に定めておき、 故障診断対象である吸収式冷凍機の安定運転状態におけ
    る上記双方の流量を実測するとともに、それらの流量差
    を算出し、かつ、発生器加熱用の燃料消費量を実測し、 燃料消費量実測値を定格燃料消費量で徐して得られた加
    熱比を、上記流量差算出値に乗じてこれを補正し、 上記の補正された流量差が、予め定められた正常な安定
    運転状態の流量差に比して許容範囲外であるときは、発
    生器に潜在的な故障が進行しつつあるものと判定するこ
    とを特徴とする、吸収式冷凍機の故障診断方法。
  8. 【請求項8】 前記の正常な運転状態における流量の
    値、および許容偏差の上,下限値のそれぞれを、複数機
    種の吸収式冷凍機について各機種ごとに設定するととも
    に、設定値を自動演算回路の定数記憶部に格納してお
    き、診断しようとしている吸収式冷凍機の機種に対応す
    る設定値を読み出して診断に供することを特徴とする、
    請求項1ないし請求項7の何れかに記載した吸収式冷凍
    機の故障診断方法。
  9. 【請求項9】 設置個所が同一でない複数基の吸収式冷
    凍機について、それぞれの吸収式冷凍機の所定個所の流
    量を検出し、 上記の検出によって得られた信号および/または該検出
    に基づいて演算されたデータを中央管理室に伝送して自
    動演算回路に入力して診断することにより、複数の吸収
    式冷凍機を集中管理して、故障修理用資材の手配および
    修理技術員の派遣を行なうことを特徴とする、請求項1
    ないし請求項7の何れかに記載した吸収式冷凍機の故障
    診断方法。
  10. 【請求項10】 発生器、凝縮器、蒸発器、および吸収
    器を具備し、これらの構成機器を接続する密閉系の管路
    内にアンモニア水溶液を循環させる吸収式冷凍機の故障
    を診断する装置において、 前記密閉系の管路を形成している配管部材の壁に透孔を
    穿つことなく上記配管部材の壁の外側に装着された、内
    部流体の流量計測手段と、 前記発生器の密閉容器の外側に装着された温度計測手段
    と、 上記双方の計測手段の検出信号を入力されて、与えられ
    た定数と比較演算する機能を有する自動演算回路と、 を具備していることを特徴とする、吸収式冷凍機の故障
    診断装置。
  11. 【請求項11】 前記の自動演算回路が、 前記の流量計測手段および温度計測手段の検出信号を入
    力される入力部と、 前記温度計測手段の検出信号、および/または前記発生
    器の加熱用燃料の流量検出信号に基づいて、吸収式冷凍
    機の運転が過渡的状態であるか安定状態であるかを判別
    する安定判定部と、 前記の検出信号と比較演算すべき定数を記憶する定数記
    憶部と、 安定判定部の判別結果に基づいて、定数記憶部が記憶し
    ている数値を、下記の比較演算に必要な形で出力する判
    断値演算部と、 前記入力部に入力された信号と、前記判断値演算部から
    出力された数値とを、所定のプログラムに基づいて比較
    演算する比較部と、を具備しているものであることを特
    徴とする、請求項10に記載した吸収式冷凍機の故障診
    断装置。
  12. 【請求項12】 前記の定数記憶部は、複数機種の吸収
    式冷凍機の故障診断に必要な定数を記憶し得るようにな
    っており、かつ、該定数記憶部が記憶している複数機種
    用の定数の中から、当該故障診断対象とされている機種
    を診断するに必要な定数を選定して出力せしめる機種設
    定部を備えていることを特徴とする、請求項11に記載
    した吸収式冷凍機の故障診断装置。
  13. 【請求項13】 前記の自動演算回路は、該自動演算回
    路が「潜在的故障が発生している」と判定したとき、上
    記潜在的故障の発生個所,異常の状況,および日付・時
    刻を記憶する記憶部もしくは記録用のプリンタを具備し
    ていることを特徴とする、請求項11もしくは請求項1
    2に記載した吸収式冷凍機の故障診断装置。
  14. 【請求項14】 前記の自動演算回路は、該自動演算回
    路が「異常発生」と判定したとき、異常の発生個所およ
    び異常の情況を、当該吸収式冷凍機設置個所の外部に通
    じる通信手段に対して出力する外部出力部を具備してい
    ることを特徴とする、請求項11ないし請求項13の何
    れかに記載した吸収式冷凍機の故障診断装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6263696B1 (en) 2000-02-01 2001-07-24 Hitachi Building Systems Co., Ltd. Air-cooled absorption type chiller heater and modification method
JP2016508590A (ja) * 2013-02-28 2016-03-22 三菱電機株式会社 空気調和装置
CN112858617A (zh) * 2021-02-04 2021-05-28 杭州绿洁环境科技股份有限公司 一种在线水质监测仪的故障识别方法和装置

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