JPH1047818A - 吸収冷温水機の故障診断方法、および同故障診断装置 - Google Patents

吸収冷温水機の故障診断方法、および同故障診断装置

Info

Publication number
JPH1047818A
JPH1047818A JP8205959A JP20595996A JPH1047818A JP H1047818 A JPH1047818 A JP H1047818A JP 8205959 A JP8205959 A JP 8205959A JP 20595996 A JP20595996 A JP 20595996A JP H1047818 A JPH1047818 A JP H1047818A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flow rate
temperature regenerator
heater
value
absorption chiller
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8205959A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuzuru Higo
譲 肥後
Hidenori Iwao
秀則 岩尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Building Systems Engineering Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Building Systems Engineering Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Building Systems Engineering Co Ltd filed Critical Hitachi Building Systems Engineering Co Ltd
Priority to JP8205959A priority Critical patent/JPH1047818A/ja
Publication of JPH1047818A publication Critical patent/JPH1047818A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A30/00Adapting or protecting infrastructure or their operation
    • Y02A30/27Relating to heating, ventilation or air conditioning [HVAC] technologies
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02BCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO BUILDINGS, e.g. HOUSING, HOUSE APPLIANCES OR RELATED END-USER APPLICATIONS
    • Y02B30/00Energy efficient heating, ventilation or air conditioning [HVAC]
    • Y02B30/62Absorption based systems

Landscapes

  • Sorption Type Refrigeration Machines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸収冷温水機の故障診断技術を改良して、当
該吸収冷温水機が始動直後の過渡的運転状態であって
も、過渡期を経過した後の安定運転状態であっても診断
することができるように、かつ、格別に高度な知識や経
験が無くても迅速,確実に診断することができるように
する。 【解決手段】 吸収冷温水機を構成している配管の各部
(例えば吸収器5の溶液ポンプPの吐出側管路)に、内
部流体の流量を検出するセンサ(例えば吸収器出口流量
センサ21)を設けて、その検出値(流量実測値)を、
「正常運転時における流量(設計値、もしくは実験
値)」と比較し、あらかじめ定めておいた許容範囲内で
あるか否かを判定する。許容範囲外であれば異常発生
(例えば溶液ポンプPの異常)と診断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸収冷温水機の故
障発生の有無を診断する方法、および同診断装置に係
り、特に、密閉循環系より成る吸収冷温水機の気密性を
害すること無く、しかも、始動直後の不安定状態におい
ても異常の有無を判断できるように改良した診断技術に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】吸収冷温水機は、空気の混入や冷却水温
度の上昇など種々の理由により、吸収液の中に結晶を生
じて運転の異常を惹き起こすことが有る。このような異
常を察知し、もしくは予知するため、従来技術において
は循環系の管路の複数個所に温度計および圧力計を配置
し、温度,圧力状態に基づいて故障を診断していた。上
記の診断を自動演算回路によって行なわせる技術、およ
び、診断結果を自動的に表示したり、記録したりする技
術も開発されて公知になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】吸収冷温水機は一般
に、高温再生器,低温再生器,凝縮器,吸収器などの構
成機器を配管で接続した密閉系の循環系統を構成してい
て、長期間休止していると上記の各機器および配管内の
温度,圧力の分布はほぼ均一になる。そして、この吸収
冷温水機を運転して定常運転状態が続くと、定まったパ
ターンの温度勾配および圧力分布が形成される。従来技
術に係る故障診断は、上記の温度勾配および圧力分布を
計測して、その状態が正常であるか否かを判定するもの
である。従って、吸収冷温水機の運転を開始した後、安
定した定常運転状態にならなければ故障診断をすること
ができない。この場合、通常の条件においては運転を開
始した後、約30分間を経過しないと診断することがで
きない。ところが、吸収冷温水機の故障発生に関する実
績を検討すると、運転開始後30分間以内の重大故障発
生率が高い。この場合、異常発生を感知して直ちに運転
を停止できた例は殆ど無く、吸収冷温水機の破損・停止
に至るか、もしくは非常停止装置が作動して運転不能に
陥る虞れが有る。このため、運転開始後、安定運転状態
になるまでの過渡的運転状態において異常の傾向を早期
に把握して迅速な対処を可能ならしめることが切望され
る。密閉された循環系内の温度,圧力を計測しようとす
ると、機器もしくは配管部材の壁に孔を穿ってセンサを
挿入しなければならないので、密閉系の気密性を損ねる
虞れが有る。本発明は上述の事情に鑑みて為されたもの
であって、運転開始後の過渡的運転状態における異常の
発生を即時に判定することができ、および/または、吸
収冷温水機の気密性を損ねる虞れの無い、吸収冷温水機
の故障診断方法、および同診断装置を提供することを目
的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに創作した本発明の基本的原理について、その実施形
態に対応する図1を参照して略述すると、高温再生器
1,低温再生器2、および吸収器5を相互に接続してい
る管路の外側に流量センサ(符号21〜26)を設け、
吸収冷温水機の気密性を害する虞れ無く配管内部の流体
の流量(詳しくは、単位時間当たり流量)を測定して、
この測定値が正常値の範囲内であるか否かを比較判定す
る。この場合、「各個所の流量、もしくは2個所の流量
差」が、予め定めてあった許容範囲外であった場合は異
常発生と判断する。
【0005】以上に説明した原理に基づいて請求項1の
発明は、高温再生器、低温再生器、凝縮器、蒸発器、お
よび吸収器を備え、密閉系の管路内で臭化リチュウム水
溶液を循環させる吸収冷温水機の故障を診断する方法に
おいて、上記の各構成機器を接続する管路の複数個所に
ついて、予め、正常な運転状態における流量、および、
上記の流量に関して許容される偏差の上,下限値を設計
的に、もしくは実験的に定めておき、故障診断の対象で
ある吸収冷温水機が運転されている状態で、前記の複数
個所における流量を実測するとともに、各個所ごとに実
測値と前記許容偏差の上,下限値とを比較することを特
徴とする。以上に説明した請求項1の発明によると、吸
収冷温水機が過渡的運転状態であっても安定した定常運
転状態であっても、「管路内の流体の流量」を検出し
て、これを正常値と比較することによって異常の有無を
判定することができ、予め許容値の上,下限が定められ
ているので、格別に高度な知識や経験が無くても正確に
判定することができて人為的ミスを生じる虞れが無く、
配管内の流体の温度や圧力を測定しなくても異常の有無
を判定できるので、密閉系の循環流路の気密性を害する
虞れも無い。上記の比較判定は瞬時的に即決できるの
で、異常発生の初期にこれを検知することができ、異常
が拡大して重大な破損を生じたり2次的損傷を誘発した
りする虞れが無く、また非常停止装置の作動に至る虞れ
も無い。さらに、管路の複数個所について流量を実測す
ることにより、異常が発生した場合に異常発生個所を容
易に特定することができる。
【0006】請求項2の発明の構成は前記請求項1の発
明の構成に加えて、前記の管路の壁に孔を穿つことな
く、管壁の外側からドップラー流量計によって内部流体
の流量を測定することを特徴とする。以上に説明した請
求項2の発明によると、管壁に透孔を設けることなく内
部流体の流量を計測するので「温度・圧力の測定を必要
としないから密閉系循環流路の気密性を害する虞れが無
い」という、請求項1の発明の効果をいっそう確実なら
しめることができる。特に、ドップラー流量計は、流量
の変化に即応してリアルタイムに計測値を得ることがで
きるので、流量が未だ安定していない過渡的状態におけ
る流量の実測に好適である。
【0007】請求項3の発明の構成は前記請求項1,2
の発明の構成に加えて、前記の流量に関して許容される
偏差の上,下限値を、吸収冷温水機を始動した後、運転
状態が安定するまでの過渡的期間における許容偏差の
上,下限値と、上記の過渡期間を経過して運転状態が安
定しているときにおける許容偏差の上,下限値とに区分
して設定しておき、診断対象である冷温水機の過渡的運
転状態においては過渡的運転状態における許容偏差の
上,下限値に基づき、安定運転状態においては安定運転
状態における許容偏差の上,下限値に基づいて診断する
ことを特徴とする。以上に説明した請求項3の発明によ
ると、過渡的運転状態における許容偏差の上,下限値と
安定運転状態における許容偏差の上下限値とが予め設定
されているので、診断対象機が過渡的運転状態であると
きは、検出した流量値が過渡的運転状態の許容範囲内で
あるか否かを判定することにより、また診断対象機が安
定運転状態であるときは、検出した流量値が安定運転状
態の許容範囲内であるか否かを判定することにより、そ
れぞれ迅速,容易,かつ正確に、格別に高度の知識を要
せずに異常の有無を判定することができる。
【0008】請求項4の発明の構成は前記請求項3の発
明の構成に加えて、前記高温再生器に与えられる熱量も
しくは熱量に比例する物理量、および/または高温再生
器の温度を検出し、この検出値に基づいて吸収冷温水機
が過渡的運転状態であるか安定運転状態であるかを判別
し、上記の判別結果に従って過渡的運転状態における許
容偏差の上,下限値もしくは安定運転状態における許容
偏差の上,下限値との何れか適正なものを用いて診断す
ることを特徴とする。以上に説明した請求項4の発明に
よると、前記請求項3の発明を実施する場合に、診断対
象である吸収冷温水機が過渡的な運転状態であるか安定
運転状態であるかを瞬時に判別して、何れの許容偏差値
を用いるべきかについて迷うことなく正しい選定をする
ことができる。
【0009】請求項5の発明の構成は前記請求項1,2
の発明の構成に加えて、前記複数の実測個所の一つとし
て溶液ポンプ吐出口近傍を選定し、過渡的運転状態にお
ける流量を実測するとともに、この実測値の正常値に対
する偏差を、許容偏差値と比較して、実測値が許容範囲
外であるときは溶液ポンプに異常が発生していると診断
することを特徴とする。以上に説明した請求項5の発明
によると、過渡的運転状態における溶液ポンプの異常を
早期に、かつ即座に検知して2次的損傷の発生以前に早
急な対処を施すことができる。すなちわ、溶液ポンプ吐
出口近傍を流量実測個所の一つとして選定したのは、本
発明者の多年にわたる経験,特に故障データの解析に基
づいて重要監視個所の一つであると判断した結果であっ
て、この部位の異常を早期に発見することの実用的効果
は大きい。
【0010】請求項6の発明の構成は前記請求項1,2
の構成に加えて、前記複数の実測個所の一つとして吸収
器の溶液戻り配管を選定し、過渡的運転状態における流
量を実測するとともに、この実測値の正常値に対する偏
差を、許容偏差値と比較して、実測値が許容範囲外であ
るときは吸収器スプレー配管に異常が発生していると診
断することを特徴とする。以上に説明した請求項6の発
明によると、過渡的運転状態における吸収器スプレー配
管の異常を早期に、かつ即座に検知して処置を施し、2
次的損傷の発生を未然に防止することができる。このよ
うに吸収器戻り配管を重点的監視個所の一つとして選定
したのは、本発明者が多年の故障データを蓄積するとと
もに解析した結果、故障の影響の重大性と故障発生頻度
とに鑑みて吸収器スプレーの監視は優先度が高位である
と判断したこと、並びに、吸収器スプレーの異常によっ
て吸収器戻り管の流量が変動するという経験的な知見に
基づくものである。
【0011】請求項7の発明の構成は前記請求項1,2
の発明の構成に加えて、前記複数の実測個所の一つとし
て高温再生器の戻り配管を選定し、過渡的運転状態にお
ける流量を実測するとともに、この実測値の正常値に対
する偏差を、許容偏差値と比較して、実測値が許容範囲
外であるときはフロート弁に異常が発生していると診断
することを特徴とする。以上に説明した請求項7の発明
によると、高温再生器内に設けられて溶液の戻り量を自
動的に制御して液面を一定に保持しているフロート弁の
異常を、高温再生器の外部から、かつ、密閉循環系の外
部から、高い確率で診断することができ、2次的不具合
の誘発防止を含めて実用的効果が非常に大きい。すなわ
ち、高温再生器の戻り流量に異常を生じさせる原因はフ
ロート弁以外に絶対に無いとは断定できないが、実際問
題として高温再生器の戻り流量に異常を生じたときは先
ず第1にフロート弁の不調を疑うべきであって、フロー
ト弁の異常と推定して対処すれば、実際問題として不都
合を生じることは無いと言い得る。これは経験的事実に
基づく知見であって、フロート弁以外の部分に起因する
百万分の一つの可能性を理論的に追求して論ずべき問題
では無い。
【0012】請求項8の発明の構成は前記請求項1,2
の発明の構成に加えて、前記複数の実測個所として、高
温再生器往き配管、低温再生器往き配管、および低温再
生器戻り配管の少なくとも何れか一つを選定し、過渡的
運転状態における流量を実測するとともに、この実測値
の正常値に対する偏差を、許容偏差値と比較して、実測
値が許容範囲外であるときは、それぞれの実測個所の配
管の付近に異常が発生していると診断することを特徴と
する。以上に説明した請求項8の発明によると、限られ
た測定個所の数の範囲内で有効な異常監視を行なうこと
ができる。すなわち、何処に故障が発生するか分からな
いと言って総べての個所に流量センサを配設するという
案は非実用的であって、故障発生頻度が高く、かつ、故
障発生時の被害が大きい個所を選定して重点的に異常監
視を行なわなければならない。本請求項8において高温
再生器の往き配管,低温再生器の往き配管、および低温
再生器の戻り配管を選んだのは、単なる設計的な選択に
よるものではなく、故障実績の統計・解析に基づくもの
であって、これにより、制限された個数のセンサを有効
に配置することができる。
【0013】請求項9の発明の構成は前記請求項3の発
明の構成に加えて、前記複数の実測個所の一つとして溶
液ポンプ吐出口近傍を選定し、安定運転状態における流
量を実測するとともに高温再生器加熱用燃料の消費量を
実測し、燃料消費量実測値を定格燃料消費量で除して得
られた加熱比によって上記流量実測値を補正して許容偏
差値と比較し、補正された流量が許容範囲外であれば溶
液ポンプが要注意であると診断することを特徴とする。
以上に説明した請求項9の発明によると、従来技術にお
いては用いられなかった「安定運転状態における溶液流
量計測」という手法を導入して、溶液ポンプの潜在的異
常の発生と進行とを検知して、その故障が顕在化しない
うちに早期対処することができる。この溶液ポンプは、
ロック事故などを生じる虞れが有り、ロック事故が顕在
化すると吸収冷温水機全体の非常停止を招くので、潜在
的異常を検知することは冷温水設備全体の信頼性向上に
貢献するところ多大である。さらに、安定運転状態にお
ける溶液ポンプ吐出量は高温再生器の加熱熱量に比例し
て変動するので、本請求項の発明は加熱比を用いて流量
実測値を補正することにより、冷暖房負荷の大小に拘ら
ず潜在的異常の検出を可能ならしめることが出来る。
【0014】請求項10の発明の構成は前記請求項3の
発明の構成に加えて、前記複数の実測個所の一つとして
吸収器の溶液戻り配管を選定し、、安定運転状態におけ
る流量を実測するとともに高温再生器加熱用燃料の消費
量を実測し、燃料消費量実測値を定格燃料消費量で除し
て得られた加熱比によって上記流量実測値を補正して許
容偏差値と比較し、補正された流量が許容範囲外であれ
ば吸収器スプレーが要注意であると診断することを特徴
とする。以上に説明した請求項10の発明によると、従
来技術においては用いられていなかった「安定運転状態
における溶液流量計測」という手法を導入して、吸収器
スプレーの潜在的異常の発生と進行とを検知して、その
故障が顕在化しないうちに早期対処することができる。
この吸収器スプレーは詰まり事故などを生じる虞れが有
り、詰まり事故が顕在化すると吸収冷温水機全体の非常
停止を招くので、潜在的異常を検知することは冷温水設
備全体の信頼性向上に貢献するところ多大である。さら
に、安定運転状態における吸収器スプレーの流量は高温
再生器の加熱熱量に比例して変動するので、本請求項の
発明は加熱比を用いて流量実測値を補正することによ
り、冷暖房負荷の大小に拘らず潜在的異常の検出を可能
ならしめることが出来る。
【0015】請求項11の発明の構成は前記請求項3の
発明の構成に加えて、前記複数の実測個所の一つとして
高温再生器の戻り配管を選定し、安定運転状態における
流量を実測するとともに高温再生器加熱用燃料の消費量
を実測し、燃料消費量実測値を定格燃料消費量で除して
得られた加熱比によって上記流量実測値を補正して許容
偏差値と比較し、補正された流量が許容範囲外であれば
フロート弁が要注意であると診断することを特徴とす
る。以上に説明した請求項11の発明によると、従来技
術においては用いられていなかった「安定運転状態にお
ける溶液流量計測」という手法を導入して、フロート弁
の潜在的異常の発生と進行とを検知して、その故障が顕
在化しないうちに早期対処することができる。このフロ
ート弁は浮沈作動不良事故などを生じる虞れが有り、浮
沈作動不良事故が顕在化すると吸収冷温水機全体の非常
停止を招くので、潜在的異常を検知することは冷温水設
備全体の信頼性向上に貢献するところ多大である。
【0016】さらに、安定運転状態においてフロート弁
を通過する流量は高温再生器の加熱熱量に比例して変動
するので、本請求項の発明は加熱比を用いて流量実測値
を補正することにより、冷暖房負荷の大小に拘らず潜在
的異常の検出を可能ならしめることが出来る。
【0017】請求項12の発明の構成は、前記複数の実
測個所として、高温再生器往き配管、低温再生器往き配
管、および低温再生器戻り配管の少なくとも何れか一つ
を選定し、安定運転状態における流量を実測するととも
に高温再生器加熱用燃料の消費量を実測し、燃料消費量
実測値を定格燃料消費量で除して得られた加熱比によっ
て上記流量実測値を補正して許容偏差値と比較し、補正
された流量が許容範囲外であればそれぞれの実測個所の
配管が要注意であると診断することを特徴とする。以上
に説明した請求項12の発明によると、従来技術におい
ては用いられていなかった「安定運転状態における溶液
流量計測」という手法を導入して、高温再生器往き配
管、低温再生器往き配管、および低温再生器戻り配管の
少なくとも何れか一つについて潜在的異常の発生と進行
とを検知して、その故障が顕在化しないうちに早期対処
することができる。これらの配管部材は結晶や詰まり等
の事故を生じる虞れが有り、これらの事故が顕在化する
と吸収冷温水機全体の非常停止を招くので、潜在的異常
を検知することは冷温水設備全体の信頼性向上に貢献す
るところ多大である。
【0018】さらに、安定運転状態においてこれらの配
管を流通する溶液の流量は高温再生器の加熱熱量に比例
して変動するので、本請求項の発明は加熱比を用いて流
量実測値を補正することにより、冷暖房負荷の大小に拘
らず潜在的異常の検出を可能ならしめることが出来る。
【0019】請求項13の発明の構成は、高温再生器、
低温再生器、凝縮器、蒸発器、および吸収器を備え、密
閉系の管路内で臭化リチュウム水溶液を循環させる吸収
冷温水機の故障を診断する方法において、予め、正常な
安定運転状態における高温再生器戻り流量および高温再
生器往き流量の値、並びに、上記双方の流量の流量差に
関する許容偏差の上,下限値を設計的に、もしくは実験
的に定めておき、故障診断対象である吸収冷温水機の安
定運転状態における上記双方の流量を実測するととも
に、それらの流量差を算出し、かつ、高温再生器加熱用
の燃料消費量を実測し、燃料消費量実測値を定格燃料消
費量で徐して得られた加熱比を、上記流量差算出値に乗
じてこれを補正し、上記の補正された流量差が、予め定
められた正常な安定運転状態の流量差に比して許容範囲
外であるときは、高温再生器に潜在的な故障が進行しつ
つあるものと判定することを特徴とする。以上に説明し
た請求項13の発明によると、従来技術における故障診
断では計測対象とされていなかった高温再生器戻り流量
と高温再生器往き流量とを検出するとともに、その流量
差を算出して、この算出された流量差を「正常な運転状
態における当該個所の流量差」と比較し、かつ、予め定
められている許容範囲内であるか否かを判定することに
よって、従来技術では察知できなかった、高温再生器の
潜在的な故障を発見することが出来る。さらに、前記2
個所の流量、およびこれらの流量差が、高温再生器の加
熱熱量に比例して変動することに鑑みて、故障診断方法
に加熱比という概念を導入することにより、流量差算出
値を補正して、冷暖房負荷状態の如何に拘らず信頼性の
高い診断をすることができる。特に、予め定められてい
る許容偏差と実測値とを比較して、実測された流量差が
許容範囲内であるか否かを判定すれば足りるので、格別
に高度の知識や経験を必要とせず、迅速に診断すること
ができ、さらに、上記の判定を自動演算装置で行なうに
適している。
【0020】請求項14の発明の構成は、高温再生器、
低温再生器、凝縮器、蒸発器、および吸収器を備え、密
閉系の管路内で臭化リチュウム水溶液を循環させる吸収
冷温水機の故障を診断する方法において、予め、正常な
安定運転状態における低温再生器戻り流量および低温再
生器往き流量の値、並びに、上記双方の流量の流量差に
関する許容偏差の上,下限値を設計的に、もしくは実験
的に定めておき、故障診断対象である吸収冷温水機の安
定運転状態における上記双方の流量を実測するととも
に、それらの流量差を算出し、かつ、高温再生器加熱用
の燃料消費量を実測し、燃料消費量実測値を定格燃料消
費量で徐して得られた加熱比を、上記流量差算出値に乗
じてこれを補正し、上記の補正された流量差が、予め定
められた正常な安定運転状態の流量差に比して許容範囲
外であるときは、低温再生器に潜在的な故障が進行しつ
つあるものと判定することを特徴とする。以上に説明し
た請求項14の発明によると、従来技術における故障診
断では計測対象とされていなかった低温再生器戻り流量
と低温再生器往き流量とを検出するとともに、その流量
差を算出して、この算出された流量差を「正常な運転状
態における当該個所の流量差」と比較し、かつ、予め定
められている許容範囲内であるか否かを判定することに
よって、従来技術では察知できなかった、低温再生器の
潜在的な故障を発見することが出来る。さらに、前記2
個所の流量、およびこれらの流量差が、高温再生器の加
熱熱量に比例して変動することに鑑みて、故障診断方法
に加熱比という概念を導入することにより、流量差算出
値を補正して、冷暖房負荷状態の如何に拘らず信頼性の
高い診断をすることができる。特に、予め定められてい
る許容偏差と実測値とを比較して、実測された流量差が
許容範囲内であるか否かを判定すれば足りるので、格別
に高度の知識や経験を必要とせず、迅速に診断すること
ができ、さらに、上記の判定を自動演算装置で行なうに
適している。
【0021】請求項15の発明の構成は、高温再生器、
低温再生器、凝縮器、蒸発器、および吸収器を備え、密
閉系の管路内で臭化リチュウム水溶液を循環させる吸収
冷温水機の故障を診断する方法において、予め、正常な
安定運転状態における高温再生器戻り流量および低温再
生器戻り流量の値、並びに、上記双方の流量の流量差に
関する許容偏差の上,下限値を設計的に、もしくは実験
的に定めておき、故障診断対象である吸収冷温水機の安
定運転状態における上記双方の流量を実測するととも
に、それらの流量差を算出し、上記の算出された流量差
が、予め定められた正常な安定運転状態の流量差に比し
て許容範囲外であるときは、高温再生器に潜在的な故障
が進行しつつあるものと判定することを特徴とする。以
上に説明した請求項15の発明によると、従来技術にお
ける故障診断では計測対象とされていなかった高温再生
器戻り流量と低温再生器戻り流量とを検出するととも
に、その流量差を算出して、この算出された流量差を
「正常な運転状態における当該個所の流量差」と比較
し、かつ、予め定められている許容範囲内であるか否か
を判定することによって、従来技術では察知できなかっ
た潜在的な故障を発見することが出来る。さらに、前記
2個所の流量、およびこれらの流量差が、高温再生器の
加熱熱量に比例して変動することに鑑みて、故障診断方
法に加熱比という概念を導入することにより、流量差算
出値を補正して、冷暖房負荷状態の如何に拘らず信頼性
の高い診断をすることができる。特に、予め定められて
いる許容偏差と実測値とを比較して、実測された流量差
が許容範囲内であるか否かを判定すれば足りるので、格
別に高度の知識や経験を必要とせず、迅速に診断するこ
とができ、さらに、上記の判定を自動演算装置で行なう
に適している。
【0022】請求項16の発明の構成は前記請求項1〜
15の発明の構成に加えて、前記の正常な運転状態にお
ける流量の値、および許容偏差の上,下限値のそれぞれ
を、複数機種の吸収冷温水機について各機種ごとに設定
するとともに、設定値を自動演算回路の定数記憶部に格
納しておき、診断しようとしている吸収冷温水機の機種
に対応する設定値を読み出して診断に供することを特徴
とする。以上に説明した請求項16の発明によると、1
基の診断用自動演算回路を用いて複数機種の吸収冷温水
機を効率良く診断することができる。このような特長
は、(イ)例えば工場施設などのように、一つの区域内
に複数機種の吸収冷温水機が設置されていて、一つの保
守・管理部署がこれら複数機種をメンティナンスしてい
る場合、および、(ロ)専門のサービス会社が「多数の
クライアントがそれぞれ使用している複数機種の吸収冷
温水機」を、集中的に管理し、および/または巡回サー
ビスしている場合に、診断用機器の設備コストが低廉で
あり、しかも、移動技術者の携行機器が少数で足りて機
動性が高く、吸収冷温水機の経時的損耗や故障発生に対
する早期診断,早期対処をいっそう容易ならしめる。
【0023】請求項17の発明の構成は前記請求項1〜
16の発明の構成に加えて、設置個所が同一でない複数
基の吸収冷温水機について、それぞれの吸収冷温水機の
所定個所の流量を検出し、上記の検出によって得られた
信号を中央管理室に伝送して自動演算回路に入力して診
断することにより、複数の吸収冷温水機を集中管理し
て、故障修理用資材の手配および修理技術員の派遣を行
なうことを特徴とする。以上に説明した請求項17の発
明によると、分散配置されている複数基の吸収冷温水機
を集中的に監視して、その故障発生を早期に検知すると
ともに、修理に必要な資材を先行手配し、かつ、修理技
術要員を適材適所に効率良く派遣することができる。こ
のような特長は、多数基の吸収冷温水機(単一機種であ
るか複数機種であるかを問わない)を分散配置したコン
ビナート施設や、複数のクライアントのそれぞれが保有
している多数基の吸収冷温水機(一般に複数機種であ
る)を保守管理しているサービス会社において特に有効
であって、高信頼性の保守サービスを可能ならしめる。
【0024】請求項18の発明の構成は、高温再生器、
低温再生器、凝縮器、蒸発器、および吸収器を具備し、
これらの構成機器を接続する密閉系の管路内に臭化リチ
ュウム水溶液を循環させる吸収冷温水機の故障を診断す
る装置において、前記密閉系の管路を形成している配管
部材の壁に透孔を穿つことなく上記配管部材の壁の外側
に装着された、内部流体の流量計測手段と、前記高温再
生器の密閉容器の外側に装着された温度計測手段と、上
記双方の計測手段の検出信号を入力されて、与えられた
定数と比較演算する機能を有する自動演算回路と、を具
備していることを特徴とする。以上に説明した請求項1
8の発明によると、(a)検出された流量値を自動演算
回路に入力して比較演算を行なわせることにより、格別
に高度の知識や経験を必要とせず、迅速かつ容易に吸収
冷温水機の故障を診断することができ、人為的な判断ミ
スの虞れが無く、(b)密閉系の流路を構成している管
路や機器の壁に孔を穿つ必要が無いので、吸収冷温水機
の気密性を害する虞れが無く、(c)吸収冷温水機が始
動直後の過渡的運転状態であっても、過渡期間を経過し
て安定した運転状態であっても異常の有無を診断するこ
とができ、(d)異常発生の個所を確実に特定すること
ができ、吸収冷温水機の異常を早期に発見することがで
きるので、故障個所が拡大したり、2次的損傷を誘発し
たりする以前に適切な処置を施して、吸収冷温水機の保
守を全うすることが出来る。
【0025】請求項19の発明の構成は前記請求項18
の発明の構成に加えて、前記の流量計測手段は、配管部
材の複数個所のそれぞれに配置された複数個のセンサと
1基の本体とよりなる、超音波のドップラー効果を利用
した流量計であることを特徴とする。以上に説明した請
求項19の発明によると、いわゆるドップラー流量計を
用いるため、管壁に孔を穿つことなく内部流体の流量を
計測するに適しており、かつ、該ドップラー流量計は検
出値を電気信号として出力するので、これを演算回路に
入力したり、通信線で遠方に伝送したりするのに適して
いる。上記ドップラー流量計は一般に、演算回路および
その付属部材とから成る本体部とセンサとによって構成
されているが、センサに比して本体部が高価である。そ
こで、本請求項のように1基の流量計本体部に対して複
数個の流量センサを配置すると、吸収冷温水機の配管の
複数個所について流量を計測することができて経済的で
ある。
【0026】請求項20の発明の構成は前記請求項1
8,19の発明の構成に加えて、前記の自動演算回路
が、前記の流量計測手段および温度計測手段の検出信号
を入力される入力部と、前記温度計測手段の検出信号、
および/または前記高温再生器の加熱用燃料の流量検出
信号に基づいて、吸収冷温水機の運転が過渡的状態であ
るか安定状態であるかを判別する安定判定部と、前記の
検出信号と比較演算すべき定数を記憶する定数記憶部
と、安定判定部の判別結果に基づいて、定数記憶部が記
憶している数値を、下記の比較演算に必要な形で出力す
る判断値演算部と、前記入力部に入力された信号と、前
記判断値演算部から出力された数値とを、所定のプログ
ラムに基づいて比較演算する比較部と、を具備している
ものであることを特徴とする。以上に説明した請求項2
0の発明によると、診断の対象である吸収冷温水機の運
転状態が始動直後の過渡的運転状態であっても、該過渡
的状態を経過した後の安定運転状態であっても、自動演
算機によって自動的に運転状態を判別し、かつ、判別さ
れた運転状態に適応した定数(あらかじめ記憶されてい
る)と、適正な演算プログラムとによって適正な故障診
断、ないしは故障の予知(潜在的な異常の検出)が可能
である。
【0027】請求項21の発明の構成は前記請求項20
の発明の構成に加えて、前記の定数記憶部は、複数機種
の吸収冷温水機の故障診断に必要な定数を記憶し得るよ
うになっており、かつ、該定数記憶部が記憶している複
数機種用の定数の中から、当該故障診断対象とされてい
る機種を診断するに必要な定数を選定して出力せしめる
機種設定部を備えていることを特徴とする。以上に説明
した請求項21の発明によると、1セットの自動演算回
路によって複数機種の吸収冷温水機の故障診断を行なう
ことができる。上記の特長により、複数機種の吸収冷温
水機を備えた大きい施設(例えば工場コンビナート)の
中央管理室に設置する自動演算機が1基で足り、また、
複数機種の吸収冷温水機を保守管理するサービス会社の
巡回技術員が携行する故障診断装置が1基で足りる。こ
れにより、巡回技術員の装備コストが低減されるのみで
なく、巡回技術員(もしくは派遣技術員)が軽装備にな
って機動性が向上し、しかも複数機種のそれぞれについ
て適正な故障診断、並びに適正な対応処置をすることが
出来る。
【0028】請求項22の発明の構成は前記請求項2
0,21の発明の構成に加えて、前記の自動演算回路
は、該自動演算回路が「潜在的故障が発生している」と
判定したとき、上記潜在的故障の発生個所,異常の状
況,および日付・時刻を記憶する記憶部もしくは記録用
のプリンタを具備していることを特徴とする。以上に説
明した請求項22の発明によると、潜在的な故障を発見
したとき、該潜在的な故障の情況に関する監視データを
時系列的に記録して修理対策の参考とすることができ
る。すなわち、従来技術においては計測の対称としてい
なかった管路内の溶液流量を検出することによって潜在
的な異常を早期に発見し得ることが本発明における最大
の効果の一つであるが、さらに本請求項22の構成によ
って上記の「早期に発見した潜在的な異常」の追跡記録
が可能になる。この追跡記録によって上記潜在的な異常
の進行情況、および、2次的損傷の発生の有無が明らか
になる。一方、吸収式冷温水機は、故障修理のための休
止について種々の制約を受けることが多いので、潜在的
異常の進行状態を勘案しながら修理計画を立て得ること
の実用的効果は多大である。
【0029】請求項23の発明の構成は前記請求項20
〜22の発明の構成に加えて、前記の自動演算回路は、
該自動演算回路が「異常発生」と判定したとき、異常の
発生個所および異常の情況を、当該吸収冷温水機設置個
所の外部に通じる通信手段に対して出力する外部出力部
を具備していることを特徴とする。以上に説明した請求
項23の発明によると、当該故障診断装置の診断結果
を、例えばコンビナートの集中管理室やメンティナンス
サービス会社の管理センターなどの保守管理部門に対
して、電話線もしくは無線通信機などの通信手段により
自動的に速報することができる。吸収冷温水機の異常発
生を即時的に発見し得ることが本発明の重要な効果の一
つであるが、この異常発見に対して迅速に対処しなけれ
ば実用的効果を奏し得ないのであって、異常に対応して
修理,調整などの処置を施してこそ初めて実用的価値を
発揮することが出来る。こうした観点から、本請求項2
3によって異常発生情報を速報し得ることの意義は多大
である。
【0030】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る吸収冷温水
機の故障診断方法を実施するために構成した故障診断装
置のセンサを配置した吸収冷温水機の模式的な系統図で
あって、自動演算回路は省略して描いてある。本図1に
は、後に詳述する8個のセンサが示されていて、これら
8個のセンサ以外の部分は、一般に用いられている公知
の臭化リチュウムを用いた吸収冷温水機と同様ないし類
似の構造である。図示の1は高温再生器、2は低温再生
器、3は凝縮機、4は蒸発器、5は吸収器であって、こ
れらの構成機器は配管部材によって接続されている。1
7は低温熱交換器、18は高温熱交換器である。上記の
高温再生器には、燃料パイプ19から燃料が供給され、
この燃料の燃焼によって該高温再生器が加熱されるよう
になっている。上記の加熱熱量を検出するため、燃料パ
イプ19には燃料流量センサ20が設けられている。本
発明を実施する際、上記の燃料流量センサ20に代え
て、加熱熱量に比例する物理量(例えば燃料調節弁の開
度)を検出するように構成しても良い。前記燃料パイプ
19は、臭化リチュウム水溶液が循環する密閉系の管路
ではなく、特に厳しい気密性は要求されないので、適宜
に任意形式の流量計を取り付けることが出来る。
【0031】(a)高温再生器1の外壁面に、高温再生
器温度センサ27を取り付ける。この高温再生器1は密
閉循環系を構成している機器であるから、その壁に透孔
を穿つことなく、壁面の外側に温度センサを装着する。 (b)吸収器5の出口配管(往き管)に吸収器出口流量
センサ21を設ける。この吸収器出口配管は、吸収器5
に設けられている溶液ポンプPの吐出側管路に相当す
る。本(b)項においてセンサを取り付ける配管から、
以下に述べる(g)項のセンサを取り付ける配管までの
6個所の配管は、臭化リチュウム溶液の密閉循環系を構
成する配管であるから、管壁に透孔を穿つことなく、管
の外壁にドップラー流量計のセンサ部分の6個を配置し
て装着し、ドップラー流量計本体(図示省略)によって
内部溶液の流量を計測する。このように構成すると、比
較的高価なドップラー流量計本体の設置個数は1個で足
り、6個所の溶液流量を配管外から検出することができ
る。 (c)高温再生器1に流入する配管(戻り管)に、高温
再生器戻り流量センサ22を装着する。 (d)高温再生器1から流出する配管(往き管)に、高
温再生器往き流量センサ23を装着する。 (e)低温再生器2に流入する配管(戻り管)に、低温
再生器戻り流量センサ24を装着する。 (f)低温再生器2から流出する配管(往き管)に、低
温再生器往き流量センサ25を装着する。 (g)吸収器5に流入する配管(戻り管)は、吸収器内
部空間に設けられているスプレーの配管に相当する。こ
の配管に吸収器スプレー流量センサ26を装着する。 次に示す表1の左端部には、以上に説明した8個のセン
サの図面参照符号と、各センサの測定対象を示してあ
る。
【0032】
【表1】
【0033】上掲の表1の左右方向について中央部付近
に示した「記号」の欄は、後述する計算に用いる診断式
に用いられる記号であって、正常値データ(設計値)
は、それぞれの測定対象について設計的に定めた正常値
を示したいる。この正常値は、完全に整備された吸収冷
温水機を正常な状態で運転した場合に実測した値(実験
値)を用いても良い。測定値(平均値)の欄は、診断の
ために実測した値(間欠的に複数回実測したときは算術
平均値)を表している。前掲の表1の右端部に示した補
正値は、後述する診断式に用いるため、あらかじめ決定
しておく定数であって、前記の測定値が前記の正常値に
比して許容される上,下限値を示したいる。本実施形態
においては、プラス側許容偏差とマイナス側許容偏差と
の絶対値を等しからしめてある。上記の補正値(許容偏
差)は、吸収冷温水機が始動後の過渡的期間(15〜3
0分間)における補正値(文字Aの次に2桁の数字を付
して表す)と、上記の過渡期間を過ぎて運転状態が安定
したときの補正値(文字Bの次に2桁の数字を付して示
す)とに区分して定めてある。なお、前記2桁の数字
は、センサの符号と一致させてある。例えば吸収器出口
流量センサ21の流量正常値はD21、測定値(実測
値)はQ21、過渡状態における許容偏差値は上,下限
ともにA21である。すなわち、過渡状態における測定
値Q21の許容範囲は、 D21−A21<Q21<D21+A21……(1) である。この診断式を演算する方法および、演算するた
めの装置については後に詳しく説明する。
【0034】この式(1)が成立するということは、実
測値Q21が、正常値D21に比して許容範囲±A21
内に在ることを意味し、この式(1)が成立しないとい
うことは、実測値Q21が、正常値D21に比して許容
範囲±A21外に在ることを意味している。なお、測定
値と実測値とはほぼ同意であるが、「補正値」や「算出
値」との区別を特に明確ならしめたいときは「実測値」
と呼ぶことにする。
【0035】上記の(1)式においては、許容偏差の上
限値(+A21)と下限値(−A21)との絶対値を等
しくしているが、上限値と下限値との絶対値とが異なる
ように許容範囲を定めることもできる。例えば、 D21−A21′<Q21<D21+A21″ のごとくである。
【0036】図2は、本発明に係る吸収冷温水機の故障
診断装置の1実施形態におけるブロック図である。先に
図1に示した8個のセンサよりなるセンサ群Sの中で、
前掲の式(1)に用いられている吸収器出口流量センサ
21の検出信号値Q21は、自動演算回路Cの入力部6
に入力される。この入力部6は、その他7個のセンサの
出力信号もそれぞれ入力される。一方、前記の式(1)
に用いられている、補正値を表す定数A21は、定数記
憶部10に記憶されている。この定数記憶部10は、上
記の定数A21の他、前掲の表1に示されている定数の
全部を記憶している。先に述べたごとく、前掲の式
(1)は、吸収冷温水機が過渡的運転状態であるときに
適用されるので、次のようにして運転状態の判別が行な
われる。高温再生器温度センサ27の検出信号T27
は、入力部6および平均流量演算部8を経て安定判断部
9に入力される。該安定判断部9は、この温度信号T2
7が130℃未満を表しているときは過渡的運転状態で
あると判断し、130℃以上を表しているときは安定運
転状態であると判断し、その判断結果を定数記憶部10
および判断値演算部11に与える。定数記憶部は、過渡
的運転状態である旨の信号を与えられると、定数A21
を判断値演算部11に向けて出力する。該判断値演算部
は、前掲の(1)式において実測値Q21と比較すべき
D21−A21と、D21+A21とを算出して比較部
12に向けて出力する。比較部12は、入力された信号
に基づいて、前掲の式(1)の比較演算を行ない、この
式が成立すれば異常無しと診断し、成立しなければ吸収
器5の溶液ポンプPに異常が有ると診断して、診断結果
を表示部14に表示するとともに、外部出力部16を介
して中央管理室(図外)に通信する。通信の手段は、公
約,私的を問わず、また、有線でも無線でも良く、将来
的には光通信を実用化することも考えられる。
【0037】図2を参照しつつ以上に説明したところ
は、吸収器出口流量センサ21によって検出された実測
値Q21と、あらかじめ記憶していた定数とを用いて、
(1)式により溶液ポンプPの異常の診断を行なったも
のであるが、これと同様にして、以下に述べるように、
吸収冷温水機が過渡的運転状態にあるときの実測値を用
い、以下に順次に説明する式(2)〜式(6)を用いて
各個所の異常の有無を診断する。このように、センサ設
置個所ごとに診断を行なうことにより、異常発生時にそ
の個所を特定することができる。図1に示した高温再生
器戻り流量センサ22の実測値は、演算においては表1
に示したようにQ22として表し、素の正常値D22、
許容偏差の上,下限値は±A22である。これらに基づ
いて、上記の実測値Q22が許容範囲内に有るか否か
を、次に示す式(2)によって判定する。 D22−A22<Q22<D22+A22………(2) 上記の実測値Q22が許容範囲外に在るときは式(2)
が成立しない。このときは、高温再生器1内に設けられ
ているフロート弁28に異常が発生していると診断す
る。
【0038】以下、同様にして、過渡的運転状態におけ
る高温再生器往き流量センサ23の実測値Q23につい
て、 D23−A23<Q23<D23+A23………(3) 上掲の(3)式が成立しないときは、高温再生器往き配
管まわりに異常が発生しているものと診断する。同様
に、過渡的運転状態における低温再生器戻り流量センサ
24の実測値Q24について D24−A24<Q24<D24+A24………(4) 上掲の(4)式が成立しないときは、低温再生器戻り配
管まわりに異常が発生しているものと診断する。同様
に、過渡的運転状態における低温再生器往き流量センサ
25の実測値Q25について、 D25−A25<Q25<D25+A25………(5) 上掲の(5)式の成立しないときは、低温再生器往き配
管まわりに異常が発生しているものと診断する。同様
に、過渡的運転状態における吸収器スプレー流量センサ
26の実測値Q26について、 D26−A26<Q26<D26+A26………(6) 上掲の(6)式が成立しないときは、吸収器5に設けら
れているスプレーに異常が発生したものと診断する。
【0039】以上に、式(1)〜式(6)によって行な
った診断は、いずれも過渡的状態における実測値と、過
渡的状態における許容偏差を表す補正値A21〜A26
とを用いて異常発生の有無を診断したものである。上記
と異なる実施形態として、安定運転状態における実測値
と、安定運転状態における許容偏差とを用いて、潜在的
故障の発生を検知することができる。以下に、安定運転
状態における診断について、式(7)〜式(12)を挙
げて説明する。前掲の表1に示した補正値A21〜A2
6は、先に述べたごとく過渡的運転状態における許容偏
差を表す補正値である。これと同様に、安定運転状態に
おける許容偏差を表す定数B21〜B26を定めてお
く。以下に説明する安定状態における診断式(7)〜式
(12)は、それぞれ前述の過渡的状態における診断式
(1)〜(6)と同様に、実測値が許容範囲内であるか
否かを判定するという基本的な技術思想を同じくするも
のである。しかし、安定状態における循環管路の各部分
の流量は、加熱化に比例するという経験則が有るので、
式(7)〜式(12)においては上記の加熱比によって
実測値を補正した上で正常値に比較するという形をと
る。上記の加熱比は、高温再生器1に与えられる単位時
間当たり熱量に関する、(現在値/定格値)の比率であ
る。この比率は近似的に、加熱用燃料の単位時間当たり
流量に関する(現在値/定格値)の比率によって表され
る。この加熱比という概念は、吸収冷温水機の負荷率を
表すために用いられる公知の技術的知見であるが、潜在
的故障を発見するために溶液の流量値を加熱比で補正す
るという手法は、本発明者が創作した未公知の技術であ
る。
【0040】安定状態における、吸収器出口流量センサ
21の実測値Q21について、その許容偏差の上,下限
値は表1に表されているようにB21である。従って、
前記の加熱比が1である場合には、前掲の式(1)にお
ける定数A21を、安定運転時の定数B21で置換する
ことによって、安定運転状態における診断式が得られ
る。前記の加熱比を記号Rで表すことにすると、前掲の
表1に示した記号を用いて、R=M/M01 である。
上記の加熱比Rを用いて、安定運転状態における吸収器
出口流量センサ21による測定値(実測値)Q21が許
容範囲内であるか否かは、 (D21−B21)R<Q21<(D21+B21)R ………(7) 上掲の式(7)によって判断され、許容範囲外であると
きは吸収器5の溶液ポンプPに潜在的な異常が発生して
いるものと診断する。上記の式(7)による診断は前掲
の図2において、安定判断部9が安定運転状態であると
判断したとき、定数記憶部10から正常流量値21、お
よび「安定運転状態における許容偏差の上,下限値を表
す定数B21」を読み出して、判断値演算部11で算出
された(D21−B21)R、および、(D21+B2
1)Rと、正常値D21とを、比較部12で比較演算し
て行なわれる。潜在的な異常が発生していることを検知
したときは、該潜在的な異常が進行しつつあることを予
測して調整,補修などの対処を行なうことにより、潜在
的異常の顕在化を未然に防止することが出来る。
【0041】同様に、安定運転状態における高温再生器
戻り流量センサ22の実測値Q22について、 (D22−B22)R<Q22<(D22+B22)R ………(8) 上掲の式(8)が成立しないときは、フロート弁28に
潜在的な異常が発生していると診断する。
【0042】同様に、安定運転状態における高温再生器
往き流量センサ23の実測値Q23について、 (D23−B23)R<Q23<(D23+B23)R ………(9) 上掲の式(9)が成立しないときは、高温再生器往き配
管まわりに潜在的な異常が発生していると判断する。
【0043】同様に、安定運転状態における低温再生器
戻り流量センサ24の実測値Q24について、 (D24−B24)R<Q24<(D24+B24)R ………(10) 上掲の式(10)が成立しないときは、低温再生器戻り
配管まわりに潜在的な異常が発生していると診断する。
同様に、安定運転状態における低温再生器往き流量セン
サ25の実測値Q25について、 (D25−B25)R<Q25<(D25+B25)R ………(11) 上掲の式(11)が成立しないときは、低温再生器往き
配管まわりに潜在的な異常が発生していると診断する。
同様に、安定運転状態における吸収器スプレー流量セン
サ26の実測値Q26 について、 (D26−B26)R<Q26<(D26+B26)R ………(12) 上掲の式(12)が成立しないときは、吸収器5に設け
られているスプレーに潜在的異常が発生していると診断
する。
【0044】以上に式(1)〜(12)について説明し
た診断方法は、図1に示した8個のセンサの内、溶液の
密閉循環系を構成している配管内の溶液流量を検出する
6個のセンサ(符号21〜26)の何れか1個の検出流
量値が、それぞれ許容範囲内であるか否かを判定したも
のであるが、この技術的思想を応用して、2個所の流量
の流量差を算出して、この流量差算出値が許容範囲内で
あるか否かを判定することによって潜在的な異常の有無
を診断することが出来る。以下に、その具体的な実施形
態を説明する。前掲の表1に示した定数C23,C2
4,C25は、それぞれ安定運転状態における下記の式
(13),式(14),式(15)において流量差の許
容偏差の上,下限値を表す補正値である。
【0045】高温再生器戻り流量センサ22による流量
の実測値Q22と、高温再生器往き流量センサ23によ
る流量の実測値Q23とは、正常な安定運転状態におい
てはほぼバランスしているべきであって、その流量差Q
22−Q23のバラツキが大き過ぎることは何らかの潜
在的な異常を生じているものと推察される。そこで、前
記の加熱比Rで補正された流量差について、 (D22−D23−C23)R<Q22−Q23<(D 22−D23+C23)R………(13) 上掲の式(13)が成立しないときは、高温再生器1の
近傍に潜在的異常が発生しているものと診断する。同様
に、低温再生器戻りセンサ24による流量の実測値Q2
4と、低温再生器往き流量センサ25による流量の実測
値Q25との差について、 (D24−D25−C25)R<Q24−Q25<(D 24−D25+C25)R………(14) 上掲の式(14)が成立しないときは、低温再生器2の
近傍に潜在的異常が発生しているものと診断する。同様
に、高温再生器戻り流量センサ22による流量の実測値
Q22と、低温再生器戻り流量センサ24による流量の
実測値Q24との差について、 (D22−D24−C24)<Q22−Q24<(D2 4−D25+C24)………(15) 上掲の式(15)が成立しないときは高温再生器1およ
び/または低温再生器2の近傍に潜在的異常が発生して
いるものと診断する。
【0046】式(1)ないし式(15)を用いて以上に
説明した診断の実施形態は、何れも1機種の吸収冷温水
機ごとに表1に示した定数を設定し、図2の定数記憶部
10に記憶させておいて診断の演算に供したが、上記と
異なる実施形態として、複数機種の診断演算用の定数を
前記の記憶部10に記憶させておくことも出来る。この
ように、定数記憶部10(図2)に複数機種の定数を記
憶させておいた場合は、機種設定部13から該定数記憶
部10に対して、出力すべき定数の機種区分を指令し、
定数記憶部10は指令された機種についての演算式に用
いられている定数を出力する。以上に説明したようにし
て1基の自動演算回路Cによって複数機種の診断が出来
るようにしておくと、複数機種を管掌する中央管理室
や、サービス会社の管理センターに設置するに好適であ
り、また、サービス会社の巡回サービス技術者や派遣修
理技術者が携行するに好適である。
【0047】図3は、前掲の図2に示した自動演算回路
を用いて吸収冷温水機を診断した1例におけるフローチ
ャートである。ステップs1でスタートし、ステップs
2で吸収冷温水機が運転中であるか否かを判別する。前
述した表1に示した燃料消費量の実測値Mが正の値であ
れば運転中であると判定してステップs3に進む。ステ
ップs3で、高温再生器1の温度実測値T27が130
℃以下であれば過渡的運転状態であると判断してステッ
プs4に進み、130℃未満であれば安定運転状態であ
ると判断してステップs10に進む。ステップs4では
前述した式(1)が成立するか否かを確かめ、成立しな
ければ溶液ポンプ異常と診断する。式(1)が成立すれ
ば溶液ポンプ異常無しとしてステップs5に進む。ステ
ップs5では前述した式(2)が成立するか否かを確か
め、成立しなければ高温再生器戻り管路のフロート弁異
常と診断する。式(2)が成立すればフロート弁異常無
しとしてステップs6に進む。同様にして、ステップs
6からステップs9まで順次に進みつつ、式(3)ない
し式(6)が成立するか否かを確かめ、成立しなかった
場合はそれぞれの異常が発生しているものと診断する。
【0048】ステップs10においては前述した式
(7)が成立するか否かを確かめ、成立しなければ溶液
ポンプ要注意(すなわち、潜在的な異常が発生してい
る)と診断する。式(7)が成立すれば、溶液ポンプは
健全であるとしてステップs11に進む。ステップs1
1では式(8)が成立するか否かを確かめ、成立しなけ
れば高温再生器のフロート弁に潜在的異常が発生してい
ると診断する。式(8)が成立すればフロート弁は健全
であるとしてステップs12に進む。以下、同様にして
ステップs12からs15まで順次に進みつつ、各ステ
ップにおいて式(9)ないし式(12)が成立するか否
かを確かめて、成立しなかったときは、それぞれの式に
よって定められている潜在的な異常が発生しているもの
と診断する。
【0049】何れかの個所に潜在的異常が有ると診断さ
れたときは、ステップs16において診断の日時と診断
内容とを記録する。
【0050】
【発明の効果】以上に本発明の実施形態を挙げてその構
成・機能を明らかならしめたように、請求項1の発明に
よると、吸収冷温水機が過渡的運転状態であっても安定
した定常運転状態であっても、「管路内の流体の流量」
を検出して、これを正常値と比較することによって異常
の有無を判定することができ、予め許容値の上,下限が
定められているので、格別に高度な知識や経験が無くて
も正確に判定することができて人為的ミスを生じる虞れ
が無く、配管内の流体の温度や圧力を測定しなくても異
常の有無を判定できるので、密閉系の循環流路の気密性
を害する虞れも無い。上記の比較判定は瞬時的に即決で
きるので、異常発生の初期にこれを検知することがで
き、異常が拡大して重大な破損を生じたり2次的損傷を
誘発したりする虞れが無く、また非常停止装置の作動に
至る虞れも無い。さらに、管路の複数個所について流量
を実測することにより、異常が発生した場合に異常発生
個所を容易に特定することができる。
【0051】請求項2の発明によると、管壁に透孔を設
けることなく内部流体の流量を計測するので「温度・圧
力の測定を必要としないから密閉系循環流路の気密性を
害する虞れが無い」という、請求項1の発明の効果をい
っそう確実ならしめることができる。特に、ドップラー
流量計は、流量の変化に即応してリアルタイムに計測値
を得ることができるので、流量が未だ安定していない過
渡的状態における流量の実測に好適である。
【0052】請求項3の発明によると、過渡的運転状態
における許容偏差の上,下限値と安定運転状態における
許容偏差の上下限値とが予め設定されているので、診断
対象機が過渡的運転状態であるときは、検出した流量値
が過渡的運転状態の許容範囲内であるか否かを判定する
ことにより、また診断対象機が安定運転状態であるとき
は、検出した流量値が安定運転状態の許容範囲内である
か否かを判定することにより、それぞれ迅速,容易,か
つ正確に、格別に高度の知識を要せずに異常の有無を判
定することができる。
【0053】請求項4の発明によると、前記請求項3の
発明を実施する場合に、診断対象である吸収冷温水機が
過渡的な運転状態であるか安定運転状態であるかを瞬時
に判別して、何れの許容偏差値を用いるべきかについて
迷うことなく正しい選定をすることができる。
【0054】請求項5の発明によると、過渡的運転状態
における溶液ポンプの異常を早期に、かつ即座に検知し
て2次的損傷の発生以前に早急な対処を施すことができ
る。すなちわ、溶液ポンプ吐出口近傍を流量実測個所の
一つとして選定したのは、本発明者の多年にわたる経
験,特に故障データの解析に基づいて重要監視個所の一
つであると判断した結果であって、この部位の異常を早
期に発見することの実用的効果は大きい。
【0055】請求項6の発明によると、過渡的運転状態
における吸収器スプレー配管の異常を早期に、かつ即座
に検知して処置を施し、2次的損傷の発生を未然に防止
することができる。このように吸収器戻り配管を重点的
監視個所の一つとして選定したのは、本発明者が多年の
故障データを蓄積するとともに解析した結果、故障の影
響の重大性と故障発生頻度とに鑑みて吸収器スプレーの
監視は優先度が高位であると判断したこと、並びに、吸
収器スプレーの異常によって吸収器戻り管の流量が変動
するという経験的な知見に基づくものである。
【0056】請求項7の発明によると、高温再生器内に
設けられて溶液の戻り量を自動的に制御して液面を一定
に保持しているフロート弁の異常を、高温再生器の外部
から、かつ、密閉循環系の外部から、高い確率で診断す
ることができ、2次的不具合の誘発防止を含めて実用的
効果が非常に大きい。すなわち、高温再生器の戻り流量
に異常を生じさせる原因はフロート弁以外に絶対に無い
とは断定できないが、実際問題として高温再生器の戻り
流量に異常を生じたときは先ず第1にフロート弁の不調
を疑うべきであって、フロート弁の異常と推定して対処
すれば、実際問題として不都合を生じることは無いと言
い得る。これは経験的事実に基づく知見であって、フロ
ート弁以外の部分に起因する百万分の一つの可能性を理
論的に追求して論ずべき問題では無い。請求項8の発明
によると、限られた測定個所の数の範囲内で有効な異常
監視を行なうことができる。すなわち、何処に故障が発
生するか分からないと言って総べての個所に流量センサ
を配設するという案は非実用的であって、故障発生頻度
が高く、かつ、故障発生時の被害が大きい個所を選定し
て重点的に異常監視を行なわなければならない。本請求
項8において高温再生器の往き配管,低温再生器の往き
配管、および低温再生器の戻り配管を選んだのは、単な
る設計的な選択によるものではなく、故障実績の統計・
解析に基づくものであって、これにより、制限された個
数のセンサを有効に配置することができる。
【0057】請求項9の発明によると、従来技術におい
ては用いられなかった「安定運転状態における溶液流量
計測」という手法を導入して、溶液ポンプの潜在的異常
の発生と進行とを検知して、その故障が顕在化しないう
ちに早期対処することができる。この溶液ポンプは、ロ
ック事故などを生じる虞れが有り、ロック事故が顕在化
すると吸収冷温水機全体の非常停止を招くので、潜在的
異常を検知することは冷温水設備全体の信頼性向上に貢
献するところ多大である。さらに、安定運転状態におけ
る溶液ポンプ吐出量は高温再生器の加熱熱量に比例して
変動するので、本請求項の発明は加熱比を用いて流量実
測値を補正することにより、冷暖房負荷の大小に拘らず
潜在的異常の検出を可能ならしめることが出来る。
【0058】請求項10の発明によると、従来技術にお
いては用いられていなかった「安定運転状態における溶
液流量計測」という手法を導入して、吸収器スプレーの
潜在的異常の発生と進行とを検知して、その故障が顕在
化しないうちに早期対処することができる。この吸収器
スプレーは詰まり事故などを生じる虞れが有り、詰まり
事故が顕在化すると吸収冷温水機全体の非常停止を招く
ので、潜在的異常を検知することは冷温水設備全体の信
頼性向上に貢献するところ多大である。さらに、安定運
転状態における吸収器スプレーの流量は高温再生器の加
熱熱量に比例して変動するので、本請求項の発明は加熱
比を用いて流量実測値を補正することにより、冷暖房負
荷の大小に拘らず潜在的異常の検出を可能ならしめるこ
とが出来る。
【0059】請求項11の発明によると、従来技術にお
いては用いられていなかった「安定運転状態における溶
液流量計測」という手法を導入して、フロート弁の潜在
的異常の発生と進行とを検知して、その故障が顕在化し
ないうちに早期対処することができる。このフロート弁
は浮沈作動不良事故などを生じる虞れが有り、浮沈作動
不良事故が顕在化すると吸収冷温水機全体の非常停止を
招くので、潜在的異常を検知することは冷温水設備全体
の信頼性向上に貢献するところ多大である。
【0060】さらに、安定運転状態においてフロート弁
を通過する流量は高温再生器の加熱熱量に比例して変動
するので、本請求項の発明は加熱比を用いて流量実測値
を補正することにより、冷暖房負荷の大小に拘らず潜在
的異常の検出を可能ならしめることが出来る。
【0061】請求項12の発明によると、従来技術にお
いては用いられていなかった「安定運転状態における溶
液流量計測」という手法を導入して、高温再生器往き配
管、低温再生器往き配管、および低温再生器戻り配管の
少なくとも何れか一つについて潜在的異常の発生と進行
とを検知して、その故障が顕在化しないうちに早期対処
することができる。これらの配管部材は結晶や詰まり等
の事故を生じる虞れが有り、これらの事故が顕在化する
と吸収冷温水機全体の非常停止を招くので、潜在的異常
を検知することは冷温水設備全体の信頼性向上に貢献す
るところ多大である。
【0062】さらに、安定運転状態においてこれらの配
管を流通する溶液の流量は高温再生器の加熱熱量に比例
して変動するので、本請求項の発明は加熱比を用いて流
量実測値を補正することにより、冷暖房負荷の大小に拘
らず潜在的異常の検出を可能ならしめることが出来る。
【0063】請求項13の発明によると、従来技術にお
ける故障診断では計測対象とされていなかった高温再生
器戻り流量と高温再生器往き流量とを検出するととも
に、その流量差を算出して、この算出された流量差を
「正常な運転状態における当該個所の流量差」と比較
し、かつ、予め定められている許容範囲内であるか否か
を判定することによって、従来技術では察知できなかっ
た、高温再生器の潜在的な故障を発見することが出来
る。さらに、前記2個所の流量、およびこれらの流量差
が、高温再生器の加熱熱量に比例して変動することに鑑
みて、故障診断方法に加熱比という概念を導入すること
により、流量差算出値を補正して、冷暖房負荷状態の如
何に拘らず信頼性の高い診断をすることができる。特
に、予め定められている許容偏差と実測値とを比較し
て、実測された流量差が許容範囲内であるか否かを判定
すれば足りるので、格別に高度の知識や経験を必要とせ
ず、迅速に診断することができ、さらに、上記の判定を
自動演算装置で行なうに適している。
【0064】請求項14の発明によると、従来技術にお
ける故障診断では計測対象とされていなかった低温再生
器戻り流量と低温再生器往き流量とを検出するととも
に、その流量差を算出して、この算出された流量差を
「正常な運転状態における当該個所の流量差」と比較
し、かつ、予め定められている許容範囲内であるか否か
を判定することによって、従来技術では察知できなかっ
た、低温再生器の潜在的な故障を発見することが出来
る。さらに、前記2個所の流量、およびこれらの流量差
が、高温再生器の加熱熱量に比例して変動することに鑑
みて、故障診断方法に加熱比という概念を導入すること
により、流量差算出値を補正して、冷暖房負荷状態の如
何に拘らず信頼性の高い診断をすることができる。特
に、予め定められている許容偏差と実測値とを比較し
て、実測された流量差が許容範囲内であるか否かを判定
すれば足りるので、格別に高度の知識や経験を必要とせ
ず、迅速に診断することができ、さらに、上記の判定を
自動演算装置で行なうに適している。
【0065】請求項15の発明によると、従来技術にお
ける故障診断では計測対象とされていなかった高温再生
器戻り流量と低温再生器戻り流量とを検出するととも
に、その流量差を算出して、この算出された流量差を
「正常な運転状態における当該個所の流量差」と比較
し、かつ、予め定められている許容範囲内であるか否か
を判定することによって、従来技術では察知できなかっ
た潜在的な故障を発見することが出来る。さらに、前記
2個所の流量、およびこれらの流量差が、高温再生器の
加熱熱量に比例して変動することに鑑みて、故障診断方
法に加熱比という概念を導入することにより、流量差算
出値を補正して、冷暖房負荷状態の如何に拘らず信頼性
の高い診断をすることができる。特に、予め定められて
いる許容偏差と実測値とを比較して、実測された流量差
が許容範囲内であるか否かを判定すれば足りるので、格
別に高度の知識や経験を必要とせず、迅速に診断するこ
とができ、さらに、上記の判定を自動演算装置で行なう
に適している。
【0066】請求項16の発明によると、1基の診断用
自動演算回路を用いて複数機種の吸収冷温水機を効率良
く診断することができる。このような特長は、(イ)例
えば工場施設などのように、一つの区域内に複数機種の
吸収冷温水機が設置されていて、一つの保守・管理部署
がこれら複数機種をメンティナンスしている場合、およ
び、(ロ)専門のサービス会社が「多数のクライアント
がそれぞれ使用している複数機種の吸収冷温水機」を、
集中的に管理し、および/または巡回サービスしている
場合に、診断用機器の設備コストが低廉であり、しか
も、移動技術者の携行機器が少数で足りて機動性が高
く、吸収冷温水機の経時的損耗や故障発生に対する早期
診断,早期対処をいっそう容易ならしめる。
【0067】請求項17の発明によると、分散配置され
ている複数基の吸収冷温水機を集中的に監視して、その
故障発生を早期に検知するとともに、修理に必要な資材
を先行手配し、かつ、修理技術要員を適材適所に効率良
く派遣することができる。このような特長は、多数基の
吸収冷温水機(単一機種であるか複数機種であるかを問
わない)を分散配置したコンビナート施設や、複数のク
ライアントのそれぞれが保有している多数基の吸収冷温
水機(一般に複数機種である)を保守管理しているサー
ビス会社において特に有効であって、高信頼性の保守サ
ービスを可能ならしめる。
【0068】請求項18の発明によると、(a)検出さ
れた流量値を自動演算回路に入力して比較演算を行なわ
せることにより、格別に高度の知識や経験を必要とせ
ず、迅速かつ容易に吸収冷温水機の故障を診断すること
ができ、人為的な判断ミスの虞れが無く、(b)密閉系
の流路を構成している管路や機器の壁に孔を穿つ必要が
無いので、吸収冷温水機の気密性を害する虞れが無く、
(c)吸収冷温水機が始動直後の過渡的運転状態であっ
ても、過渡期間を経過して安定した運転状態であっても
異常の有無を診断することができ、(d)異常発生の個
所を確実に特定することができ、吸収冷温水機の異常を
早期に発見することができるので、故障個所が拡大した
り、2次的損傷を誘発したりする以前に適切な処置を施
して、吸収冷温水機の保守を全うすることが出来る。
【0069】請求項19の発明によると、いわゆるドッ
プラー流量計を用いるため、管壁に孔を穿つことなく内
部流体の流量を計測するに適しており、かつ、該ドップ
ラー流量計は検出値を電気信号として出力するので、こ
れを演算回路に入力したり、通信線で遠方に伝送したり
するのに適している。上記ドップラー流量計は一般に、
演算回路およびその付属部材とから成る本体部とセンサ
とによって構成されているが、センサに比して本体部が
高価である。そこで、本請求項のように1基の流量計本
体部に対して複数個の流量センサを配置すると、吸収冷
温水機の配管の複数個所について流量を計測することが
できて経済的である。
【0070】請求項20の発明によると、診断の対象で
ある吸収冷温水機の運転状態が始動直後の過渡的運転状
態であっても、該過渡的状態を経過した後の安定運転状
態であっても、自動演算機によって自動的に運転状態を
判別し、かつ、判別された運転状態に適応した定数(あ
らかじめ記憶されている)と、適正な演算プログラムと
によって適正な故障診断、ないしは故障の予知(潜在的
な異常の検出)が可能である。請求項21の発明による
と、1セットの自動演算回路によって複数機種の吸収冷
温水機の故障診断を行なうことができる。上記の特長に
より、複数機種の吸収冷温水機を備えた大きい施設(例
えば工場コンビナート)の中央管理室に設置する自動演
算機が1基で足り、また、複数機種の吸収冷温水機を保
守管理するサービス会社の巡回技術員が携行する故障診
断装置が1基で足りる。これにより、巡回技術員の装備
コストが低減されるのみでなく、巡回技術員(もしくは
派遣技術員)が軽装備になって機動性が向上し、しかも
複数機種のそれぞれについて適正な故障診断、並びに適
正な対応処置をすることが出来る。
【0071】請求項22の発明によると、潜在的な故障
を発見したとき、該潜在的な故障の情況に関する監視デ
ータを時系列的に記録して修理対策の参考とすることが
できる。すなわち、従来技術においては計測の対称とし
ていなかった管路内の溶液流量を検出することによって
潜在的な異常を早期に発見し得ることが本発明における
最大の効果の一つであるが、さらに本請求項22の構成
によって上記の「早期に発見した潜在的な異常」の追跡
記録が可能になる。この追跡記録によって上記潜在的な
異常の進行情況、および、2次的損傷の発生の有無が明
らかになる。一方、吸収式冷温水機は、故障修理のため
の休止について種々の制約を受けることが多いので、潜
在的異常の進行状態を勘案しながら修理計画を立て得る
ことの実用的効果は多大である。
【0072】請求項23の発明によると、当該故障診断
装置の診断結果を、例えばコンビナートの集中管理室や
メンティナンス サービス会社の管理センターなどの保
守管理部門に対して、電話線もしくは無線通信機などの
通信手段により自動的に速報することができる。吸収冷
温水機の異常発生を即時的に発見し得ることが本発明の
重要な効果の一つであるが、この異常発見に対して迅速
に対処しなければ実用的効果を奏し得ないのであって、
異常に対応して修理,調整などの処置を施してこそ初め
て実用的価値を発揮することが出来る。こうした観点か
ら、本請求項23によって異常発生情報を速報し得るこ
との意義は多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る吸収冷温水機の故障診断方法を実
施するために構成した故障診断装置のセンサを配置した
吸収冷温水機の模式的な系統図であって、自動演算回路
は省略して描いてある。
【図2】本発明に係る吸収冷温水機の故障診断装置の1
実施形態におけるブロック図である。
【図3】前掲の図2に示した自動演算回路を用いて吸収
冷温水機を診断した1例におけるフローチャートであ
る。
【符号の説明】
1…高温再生器、2…低温再生器、3…凝縮器、4…蒸
発器、5…吸収器、6…自動演算回路の入力部、8…同
じく平均流量演算部、9…同じく安定判定部、10…同
じく定数記憶部、11…同じく判断値演算部、12…同
じく比較部、13…同じく機種設定部、14…同じく表
示部、15…同じく記憶部、16…同じく外部出力部、
17…低温熱交換器、18…高温熱交換器、19…燃料
パイプ、21…吸収器出口流量センサ、22…高温再生
器戻り流量センサ、23…高温再生器往き流量センサ、
24…低温再生器戻り流量センサ、25…低温再生器往
き流量センサ、26…吸収器スプレー流量センサ、27
…高温再生器温度センサ、28…フロート弁、C…自動
演算回路、S…センサ群。

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高温再生器、低温再生器、凝縮器、蒸発
    器、および吸収器を備え、密閉系の管路内で臭化リチュ
    ウム水溶液を循環させる吸収冷温水機の故障を診断する
    方法において、 上記の各構成機器を接続する管路の複数個所について、
    予め、正常な運転状態における流量、および、上記の流
    量に関して許容される偏差の上,下限値を設計的に、も
    しくは実験的に定めておき、 故障診断の対象である吸収冷温水機が運転されている状
    態で、前記の複数個所における流量を実測するととも
    に、各個所ごとに実測値と前記許容偏差の上,下限値と
    を比較することを特徴とする、吸収冷温水機の故障診断
    方法。
  2. 【請求項2】 前記の管路の壁に孔を穿つことなく、管
    壁の外側からドップラー流量計によって内部流体の流量
    を測定することを特徴とする、請求項1に記載した吸収
    冷温水機の故障診断方法。
  3. 【請求項3】 前記の流量に関して許容される偏差の
    上,下限値を、 吸収冷温水機を始動した後、運転状態が安定するまでの
    過渡的期間における許容偏差の上,下限値と、 上記の過渡期間を経過して運転状態が安定しているとき
    における許容偏差の上,下限値とに区分して設定してお
    き、 診断対象である冷温水機の過渡的運転状態においては過
    渡的運転状態における許容偏差の上,下限値に基づき、 安定運転状態においては安定運転状態における許容偏差
    の上,下限値に基づいて診断することを特徴とする、請
    求項1もしくは請求項2に記載した吸収冷温水機の故障
    診断方法。
  4. 【請求項4】 前記高温再生器に与えられる熱量もしく
    は熱量に比例する物理量、および/または高温再生器の
    温度を検出し、この検出値に基づいて吸収冷温水機が過
    渡的運転状態であるか安定運転状態であるかを判別し、 上記の判別結果に従って過渡的運転状態における許容偏
    差の上,下限値もしくは安定運転状態における許容偏差
    の上,下限値との何れか適正なものを用いて診断するこ
    とを特徴とする、請求項3に記載した吸収冷温水機の故
    障診断方法。
  5. 【請求項5】 前記複数の実測個所の一つとして溶液ポ
    ンプ吐出口近傍を選定し、 過渡的運転状態における流量を実測するとともに、この
    実測値の正常値に対する偏差を、許容偏差値と比較し
    て、 実測値が許容範囲外であるときは溶液ポンプに異常が発
    生していると診断することを特徴とする、請求項1もし
    くは請求項2に記載した吸収冷温水機の故障診断方法。
  6. 【請求項6】 前記複数の実測個所の一つとして吸収器
    の溶液戻り配管を選定し、 過渡的運転状態における流量を実測するとともに、この
    実測値の正常値に対する偏差を、許容偏差値と比較し
    て、 実測値が許容範囲外であるときは吸収器スプレー配管に
    異常が発生していると診断することを特徴とする、請求
    項1もしくは請求項2に記載した吸収冷温水機の故障診
    断方法。
  7. 【請求項7】 前記複数の実測個所の一つとして高温再
    生器の戻り配管を選定し、 過渡的運転状態における流量を実測するとともに、この
    実測値の正常値に対する偏差を、許容偏差値と比較し
    て、 実測値が許容範囲外であるときはフロート弁に異常が発
    生していると診断することを特徴とする、請求項1もし
    くは請求項2に記載した吸収冷温水機の故障診断方法。
  8. 【請求項8】 前記複数の実測個所として、高温再生器
    往き配管、低温再生器往き配管、および低温再生器戻り
    配管の少なくとも何れか一つを選定し、 過渡的運転状態における流量を実測するとともに、この
    実測値の正常値に対する偏差を、許容偏差値と比較し
    て、 実測値が許容範囲外であるときは、それぞれの実測個所
    の配管の付近に異常が発生していると診断することを特
    徴とする、請求項1もしくは請求項2に記載した吸収冷
    温水機の故障診断方法。
  9. 【請求項9】 前記複数の実測個所の一つとして溶液ポ
    ンプ吐出口近傍を選定し、 安定運転状態における流量を実測するとともに高温再生
    器加熱用燃料の消費量を実測し、 燃料消費量実測値を定格燃料消費量で除して得られた加
    熱比によって上記流量実測値を補正して許容偏差値と比
    較し、 補正された流量が許容範囲外であれば溶液ポンプが要注
    意であると診断することを特徴とする、請求項3に記載
    した吸収冷温水機の故障診断方法。
  10. 【請求項10】 前記複数の実測個所の一つとして吸収
    器の溶液戻り配管を選定し、、 安定運転状態における流量を実測するとともに高温再生
    器加熱用燃料の消費量を実測し、 燃料消費量実測値を定格燃料消費量で除して得られた加
    熱比によって上記流量実測値を補正して許容偏差値と比
    較し、 補正された流量が許容範囲外であれば吸収器スプレーが
    要注意であると診断することを特徴とする、請求項3に
    記載した吸収冷温水機の故障診断方法。
  11. 【請求項11】 前記複数の実測個所の一つとして高温
    再生器の戻り配管を選定し、 安定運転状態における流量を実測するとともに高温再生
    器加熱用燃料の消費量を実測し、 燃料消費量実測値を定格燃料消費量で除して得られた加
    熱比によって上記流量実測値を補正して許容偏差値と比
    較し、 補正された流量が許容範囲外であればフロート弁が要注
    意であると診断することを特徴とする、請求項3に記載
    した吸収冷温水機の故障診断方法。
  12. 【請求項12】 前記複数の実測個所として、高温再生
    器往き配管、低温再生器往き配管、および低温再生器戻
    り配管の少なくとも何れか一つを選定し、 安定運転状態における流量を実測するとともに高温再生
    器加熱用燃料の消費量を実測し、 燃料消費量実測値を定格燃料消費量で除して得られた加
    熱比によって上記流量実測値を補正して許容偏差値と比
    較し、 補正された流量が許容範囲外であればそれぞれの実測個
    所の配管が要注意であると診断することを特徴とする、
    請求項3に記載した吸収冷温水機の故障診断方法。
  13. 【請求項13】 高温再生器、低温再生器、凝縮器、蒸
    発器、および吸収器を備え、密閉系の管路内で臭化リチ
    ュウム水溶液を循環させる吸収冷温水機の故障を診断す
    る方法において、 予め、正常な安定運転状態における高温再生器戻り流量
    および高温再生器往き流量の値、並びに、上記双方の流
    量の流量差に関する許容偏差の上,下限値を設計的に、
    もしくは実験的に定めておき、 故障診断対象である吸収冷温水機の安定運転状態におけ
    る上記双方の流量を実測するとともに、それらの流量差
    を算出し、かつ、高温再生器加熱用の燃料消費量を実測
    し、 燃料消費量実測値を定格燃料消費量で徐して得られた加
    熱比を、上記流量差算出値に乗じてこれを補正し、 上記の補正された流量差が、予め定められた正常な安定
    運転状態の流量差に比して許容範囲外であるときは、高
    温再生器に潜在的な故障が進行しつつあるものと判定す
    ることを特徴とする、吸収冷温水機の故障診断方法。
  14. 【請求項14】 高温再生器、低温再生器、凝縮器、蒸
    発器、および吸収器を備え、密閉系の管路内で臭化リチ
    ュウム水溶液を循環させる吸収冷温水機の故障を診断す
    る方法において、 予め、正常な安定運転状態における低温再生器戻り流量
    および低温再生器往き流量の値、並びに、上記双方の流
    量の流量差に関する許容偏差の上,下限値を設計的に、
    もしくは実験的に定めておき、 故障診断対象である吸収冷温水機の安定運転状態におけ
    る上記双方の流量を実測するとともに、それらの流量差
    を算出し、かつ、高温再生器加熱用の燃料消費量を実測
    し、 燃料消費量実測値を定格燃料消費量で徐して得られた加
    熱比を、上記流量差算出値に乗じてこれを補正し、 上記の補正された流量差が、予め定められた正常な安定
    運転状態の流量差に比して許容範囲外であるときは、低
    温再生器に潜在的な故障が進行しつつあるものと判定す
    ることを特徴とする、吸収冷温水機の故障診断方法。
  15. 【請求項15】 高温再生器、低温再生器、凝縮器、蒸
    発器、および吸収器を備え、密閉系の管路内で臭化リチ
    ュウム水溶液を循環させる吸収冷温水機の故障を診断す
    る方法において、 予め、正常な安定運転状態における高温再生器戻り流量
    および低温再生器戻り流量の値、並びに、上記双方の流
    量の流量差に関する許容偏差の上,下限値を設計的に、
    もしくは実験的に定めておき、 故障診断対象である吸収冷温水機の安定運転状態におけ
    る上記双方の流量を実測するとともに、それらの流量差
    を算出し、 上記の算出された流量差が、予め定められた正常な安定
    運転状態の流量差に比して許容範囲外であるときは、高
    温再生器に潜在的な故障が進行しつつあるものと判定す
    ることを特徴とする、吸収冷温水機の故障診断方法。
  16. 【請求項16】 前記の正常な運転状態における流量の
    値、および許容偏差の上,下限値のそれぞれを、複数機
    種の吸収冷温水機について各機種ごとに設定するととも
    に、設定値を自動演算回路の定数記憶部に格納してお
    き、診断しようとしている吸収冷温水機の機種に対応す
    る設定値を読み出して診断に供することを特徴とする、
    請求項1ないし請求項15の何れかに記載した吸収冷温
    水機の故障診断方法。
  17. 【請求項17】 設置個所が同一でない複数基の吸収冷
    温水機について、それぞれの吸収冷温水機の所定個所の
    流量を検出し、 上記の検出によって得られた信号を中央管理室に伝送し
    て自動演算回路に入力して診断することにより、複数の
    吸収冷温水機を集中管理して、故障修理用資材の手配お
    よび修理技術員の派遣を行なうことを特徴とする、請求
    項1ないし請求項16の何れかに記載した吸収冷温水機
    の故障診断方法。
  18. 【請求項18】 高温再生器、低温再生器、凝縮器、蒸
    発器、および吸収器を具備し、これらの構成機器を接続
    する密閉系の管路内に臭化リチュウム水溶液を循環させ
    る吸収冷温水機の故障を診断する装置において、 前記密閉系の管路を形成している配管部材の壁に透孔を
    穿つことなく上記配管部材の壁の外側に装着された、内
    部流体の流量計測手段と、 前記高温再生器の密閉容器の外側に装着された温度計測
    手段と、 上記双方の計測手段の検出信号を入力されて、与えられ
    た定数と比較演算する機能を有する自動演算回路と、 を具備していることを特徴とする、吸収冷温水機の故障
    診断装置。
  19. 【請求項19】 前記の流量計測手段は、配管部材の複
    数個所のそれぞれに配置された複数個のセンサと1基の
    本体とよりなる、超音波のドップラー効果を利用した流
    量計であることを特徴とする、請求項18に記載した吸
    収冷温水機の故障診断装置。
  20. 【請求項20】 前記の自動演算回路が、 前記の流量計測手段および温度計測手段の検出信号を入
    力される入力部と、 前記温度計測手段の検出信号、および/または前記高温
    再生器の加熱用燃料の流量検出信号に基づいて、吸収冷
    温水機の運転が過渡的状態であるか安定状態であるかを
    判別する安定判定部と、 前記の検出信号と比較演算すべき定数を記憶する定数記
    憶部と、 安定判定部の判別結果に基づいて、定数記憶部が記憶し
    ている数値を、下記の比較演算に必要な形で出力する判
    断値演算部と、 前記入力部に入力された信号と、前記判断値演算部から
    出力された数値とを、所定のプログラムに基づいて比較
    演算する比較部と、を具備しているものであることを特
    徴とする、請求項18もしくは請求項19に記載した吸
    収冷温水機の故障診断装置。
  21. 【請求項21】 前記の定数記憶部は、複数機種の吸収
    冷温水機の故障診断に必要な定数を記憶し得るようにな
    っており、かつ、該定数記憶部が記憶している複数機種
    用の定数の中から、当該故障診断対象とされている機種
    を診断するに必要な定数を選定して出力せしめる機種設
    定部を備えていることを特徴とする、請求項20に記載
    した吸収冷温水機の故障診断装置。
  22. 【請求項22】 前記の自動演算回路は、該自動演算回
    路が「潜在的故障が発生している」と判定したとき、上
    記潜在的故障の発生個所,異常の状況,および日付・時
    刻を記憶する記憶部もしくは記録用のプリンタを具備し
    ていることを特徴とする、請求項20もしくは請求項2
    1に記載した吸収冷温水機の故障診断装置。
  23. 【請求項23】 前記の自動演算回路は、該自動演算回
    路が「異常発生」と判定したとき、異常の発生個所およ
    び異常の情況を、当該吸収冷温水機設置個所の外部に通
    じる通信手段に対して出力する外部出力部を具備してい
    ることを特徴とする、請求項20ないし請求項22の何
    れかに記載した吸収冷温水機の故障診断装置。
JP8205959A 1996-08-05 1996-08-05 吸収冷温水機の故障診断方法、および同故障診断装置 Pending JPH1047818A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8205959A JPH1047818A (ja) 1996-08-05 1996-08-05 吸収冷温水機の故障診断方法、および同故障診断装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8205959A JPH1047818A (ja) 1996-08-05 1996-08-05 吸収冷温水機の故障診断方法、および同故障診断装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1047818A true JPH1047818A (ja) 1998-02-20

Family

ID=16515545

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8205959A Pending JPH1047818A (ja) 1996-08-05 1996-08-05 吸収冷温水機の故障診断方法、および同故障診断装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1047818A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101093919B1 (ko) 2010-01-15 2011-12-13 엘지전자 주식회사 수직형 흡수식 냉온수기
CN117554109A (zh) * 2024-01-11 2024-02-13 张家港长寿工业设备制造有限公司 一种换热器故障数据信息智能监测方法及系统

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101093919B1 (ko) 2010-01-15 2011-12-13 엘지전자 주식회사 수직형 흡수식 냉온수기
CN117554109A (zh) * 2024-01-11 2024-02-13 张家港长寿工业设备制造有限公司 一种换热器故障数据信息智能监测方法及系统
CN117554109B (zh) * 2024-01-11 2024-03-26 张家港长寿工业设备制造有限公司 一种换热器故障数据信息智能监测方法及系统

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3905263A1 (en) Nuclear power plant leakage monitoring alarm method and alarm system
CN109637680B (zh) 核电站泄漏监测报警方法及报警系统
KR101065767B1 (ko) 성능저하 및 고장원인 조기 진단방법
JP3579976B2 (ja) 配管漏洩監視装置
JP2009103443A (ja) 給湯装置の故障診断支援装置
CN111648860B (zh) 工程机械的散热器诊断系统、诊断方法及装置
JP2001318019A (ja) ガス管内差水検出装置および方法ならびにガス管内差水発生位置推定方法
JPH1047818A (ja) 吸収冷温水機の故障診断方法、および同故障診断装置
JP4254010B2 (ja) 給湯装置の故障診断支援装置
JP2002168400A (ja) 調整圧力自己診断方法及びガス漏洩検知装置
JP2001208617A (ja) 温度センサー切り換え装置及び切り換え方法
JPH07248816A (ja) 機関プラント運転管理支援システム
JPH0447569Y2 (ja)
JPH11223432A (ja) 吸収式冷凍機の故障診断方法、および同故障診断装置
JPH07167495A (ja) 複合熱源器を備えた大能力給湯システムにおける温度センサのセルフチェック方法
JPH0744786A (ja) ガス安全装置
JP2009097948A (ja) ガスメータ
JP2006222417A (ja) 超伝導磁石装置監視システム、超電導磁石装置監視方法及びmri装置
JP2604981B2 (ja) ガス漏洩監視装置
US11754338B2 (en) Method to detect tube leakage in shell and tube thermosiphon reboilers
JP3876697B2 (ja) 給湯装置
JP4253983B2 (ja) 給湯装置の故障診断支援装置
JPH08122110A (ja) ガス管漏洩検出装置
JPH0829289A (ja) ガス漏洩監視装置
JPH1127759A (ja) ガス集中管理装置、ガス集中管理システム及びガス集中管理方法