JP4224223B2 - 極低温冷却保冷容器の開口部密閉構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業廃棄物の資源を再利用するために低温破砕する際、塊状物からなる物品等の破砕対象物を−60℃以下に冷却して脆性化するとともに、低温にされた破砕対象物を低温にして脆性を保つための冷却保冷容器の開口部の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
破砕対象物を破砕しやすいようにするため破砕対象物を低温に冷却して低温脆性化処理する手段が講じられている。その温度は、破砕対象物の物性よって異なるが、一般に−60〜−180℃の極低温度まで冷却される。このような極低温度に冷却するためには、通常液体窒素が有効に用いられている。液体窒素の使用による冷却は、被冷却物を冷却保冷容器に収容し、そしてこの冷却保冷容器に直接液体窒素を噴射等により導入して冷却するものである。この場合、通常、冷却保冷容器内の圧力は大気圧に近い状態で操作運転される。又、液体窒素は、冷却時に多少漏れたとしても、この多少の漏れは冷却性能に大きく影響しないので、極低温冷却保冷容器の開口部には、一般的な巴形パッキンが用いられている。
【0003】
しかしながら、上記した一般用の巴形パッキンは低温に曝されると低温硬化が起こり、気密性が損なわれ漏れを増大せしめることとなる。そこで、従来の巴形パッキンを使用した密閉構造では、図4に図示する冷却保冷容器の開口部の部分拡大断面図の如く、冷却保冷容器21の開口部22を密閉して配設される扉23による密閉構造は、開口部22の容器周面21aに沿って可撓性ある巴形パッキン24を配し、これに相対して扉23にヒーター25と一体の金属平板26を設けたものである。なお、図4(a)は開扉時であり、図4(b)は閉扉時の状態を示している。そして、扉23の閉扉時には図4(b)に図示する如く、冷却保冷容器21の周面21aに配した可撓性の巴形パッキン24に、扉23に配したヒータ25を有する金属平板26が押接されて密着性を保持して開口部22を閉塞している。そして、この間金属平板26に備えられているヒータ25の加熱手段により巴形パッキン24を加温し、凍結等による低温硬化を防止するとともに、柔軟性を保持せしめて気密性を保持するようにしている。
【0004】
然るに、上記した巴形パッキン24を使用する密閉構造では、密閉時巴形パッキン24が金属平板26に備えられているヒータ25により加温されるが、ヒータ25に接していない部分では冷気に曝されて低温硬化が生じたり、又巴形パッキン24の内部空洞部24aの空気が低温収縮し、巴形パッキン24に必要とされる柔軟性が低下し、金属平板26との密着性が失われることとなる。
【0005】
又、従来の液体窒素を利用した極低温冷却保冷容器では、冷却保冷容器内の圧力は大気圧に近い状態であり、多少の冷気が漏洩しても冷却効率やシステムトラブルに関しての影響が少ないために、開口部の密閉構造は0.2kPa程度の圧力を保持する能力で十分であった。然るに、近年、−60℃以下の極低温空気を利用した冷却システムが開発されている。この極低温空気を利用した冷却システムは、空気をシステム内で循環し露点を低下させながら徐々に空気を冷却する方法が取られているが、この冷却システムの冷却保冷容器として、その圧力は0.2kPa以上最大で1kPa程度まで上昇させて使用することがあり、その場合に冷気漏れを惹起するという問題があった。それ故、−60℃以下の極低温空気を利用した冷却システムに、従来の液体窒素を使用する冷却保冷容器を用いると、冷却保冷容器の開口部から冷気漏れを起こし、高温で露点の高い外部空気を系内へ吸い込んでしまって、冷却効率を極端に低下せしめたり、凍結を惹起して冷却システムにトラブルを発生せしめる原因となっていた。
【0006】
一方、極低温で使用する冷却保冷容器においては、低温にすることよって生じる筐体の収縮による歪みに対する対策が必要不可欠とされている。特に、冷却対象物が大型化し、その出し入れに必要な開口部が大きくなり、扉も大型のものが要求される冷却保冷容器においては、その収縮幅が大きくなるので気密性の保持がより困難になり、従来使用されている扉をそのまま大型化すると、開口部の気密性が低下し、大量の冷気漏れが発生し、操作上のトラブルの原因となることが判明した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した如き事情に鑑みなされたもので、その解決すべき課題は、極低温の冷却保冷容器の開口部構造において、開閉操作が容易であるとともに、冷却保冷容器内の温度が−60〜−180℃の極低温を効率よく保持し、しかも、冷却保冷容器内の圧力が1kPaという条件においても、内部の冷気が漏洩しない開口部の構造を有する冷却保冷容器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するため、
請求項1に係わる発明として、物品を極低温に冷却保冷するための容器の開口部を開閉可能な扉で気密に密閉する構造であって、該冷却保冷容器の開口部の扉と重なり合う周面に沿って、扉側に開口する凹型の金属枠を付設し、該凹型の金属枠に弾性を有するパッキンを中実状に充填してなり、一方前記容器開口部に設けた凹型の金属枠に相対した扉の内面周部に、該金属枠の枠幅に等しいかまたはそれ以上の当接面を配し、該当接面に沿って内部にヒーターを配設した金属製突起部を設けてなり、冷却保冷容器の開口部の周面と扉とが重なり合う密閉時に、前記扉の金属製突起部が前記容器開口部周面に設けたパッキンに侵入している状態となるとともに、前記冷却保冷容器の開口部周面に付設される凹型の金属枠の内側に、該凹型の金属枠に沿って平行に凸状のパッキン部材を立設し、該パッキン部材の先端に舌状に延びるシール部材でなるシール舌片部を備えてなる可撓性のシールパッキン部を設けてなり、これに相対して扉に前記シ−ルパッキン部を受接せしめる凹状堰部を設け、冷却保冷容器の開口部の周面と扉とが重なり合う密閉時に、前記扉に配した凹状堰部に冷却保冷容器に配した前記シールパッキン部のシール舌片部が内圧により押圧されて当接されてなることを特徴とする極低温冷却保冷容器の開口部密閉構造としたものである。
【0009】
請求項2に係わる発明として、前記可撓性のシールパッキン部に、シールパッキン部の低温硬化防止用の加温ヒーターが備えられていることを特徴とする請求項1記載の極低温冷却保冷容器の開口部密閉構造としたものである。
請求項3に係わる発明として、前記金属製突起部内のヒーターは、前記容器開口部周面に配したパッキンを該パッキンの低温硬化温度以上に保持することを特徴とする請求項1または2に記載の極低温冷却保冷容器の開口部密閉構造としたものである。
請求項4に係わる発明として、前記極低温冷却保冷容器の扉は、その一端部が係合用回転部材により回転自在に冷却保冷容器の開口部に軸支されてなるとともに、扉を閉止する押圧固定治具を備えてなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の極低温冷却保冷容器の開口部密閉構造としたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の極低温冷却保冷容器の開口部密閉構造の実施の形態について図面を参照して説明する。
[本発明の極低温冷却保冷容器の全体的構造の概略]
先ず、本発明の極低温冷却保冷容器の全体的構造の概略について、図1に図示する極低温冷却保冷容器の一部切開正面概略図を参照して説明する。図1に示すように、本発明の冷却保冷容器11の開口部12は扉13にて密閉される。該扉13の一端は係合用回転部材14で回転自在に軸支されている。そして扉13の固定用治具としては、中央部にパイプハンドル15を配設するとともに、他端にローラー絞りハンドル16を設けている。又、本発明の冷却保冷容器の扉13には、開口部12を均等にパッキンで締め付けるためと、扉13の外装の変形を防止することを目的として、型鋼等の補強材17で補強されている。このような構造とすることにより、大型の扉でも容易に締め付けることができて、密閉性を高めることできる。
【0011】
なお、本発明の極低温冷却保冷容器の上記実施の形態では、扉13の固定用治具としては、パイプハンドル15、およびローラー絞りハンドル16を使用した例について説明したが、本発明はこの他の方法に限定されるものでなく、締め付けが充分可能で有れば他の固定用治具でも使用することができる。又、補強部材17については、L型鋼、コ字型鋼、角柱、H型鋼等の型鋼を適宜使用することできることは云うまでもない。
【0012】
次に、上記極低温冷却保冷容器11の開口部12の密閉構造の実施の形態について、図2に第1の実施の形態を、又、図3に第2の実施の形態をそれぞれ例示して説明する。
なお、図2に示した第1の実施の形態は、参考例として示すものであり、本発明の技術的範囲に属さないものである。
[開口部12の密閉構造の第1の実施の形態]
図2は、第1の実施の形態の開口部密閉構造10−1の一例を説明する開口部12の部分拡大断面図である。なお、図2中、図1と共通する部品は、図1に付した符号と同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0013】
図2に図示するように、極低温冷却保冷容器11の容器本体1の開口部12の周面1aには、開口部12の周面1aに沿って一周するようにして、扉13と当接せしめるため、扉13に向けて開口する凹型の金属枠2を配設し、そして、該金属枠2内にパッキン3を中実状に充填せしめている。ここで、パッキン3としては成形が容易で、弾力性が高く、低温硬化し難く、かつ、中実状の材料を用いることが好ましく、例えばシリコンゴム等が好適に使用し得る。
【0014】
一方、扉13には、その内面の周部13aに沿って、前記容器本体1の開口部12の周面1aに設けた前記金属枠2の枠幅に等しいか、それ以上の幅を有する前記金属枠2に当接する当接面4が形成されている。そして、該当接面4には逆U字状の金属製突起部5を配設し、扉13にて容器本体1の開口部12を閉止する時、前記金属突起部5が容器本体1の開口部22の周面1a配した前記金属枠2に充填してあるパッキン3に圧入し、かつ、パッキン3が外側に大きく広がらない状態にすることにより、金属突起部5とパッキン3との間の当接部に広い接触面積が創出され、シールを確実に行うことができ、しかも、容器本体1内の内圧が1kPa以上に昇圧しても、容器本体1の内部が外気と極めて気密に遮断され、極めて優れた気密性を確立することが可能となった。
【0015】
なお、上記の実施の形態では、金属製突起部5の形状を逆U字状としたが、凸状、半円状、三角状でもよく、これは前記金属突起部5が圧入される容器本体に設けるパッキン3の材質との相性によって適宜選択して決めるとよい。
なお又、パッキン3は、パッキンとして使用可能な材質にあっても、冷却保冷容器11の冷却到達温度を約−150℃とすると、低温硬化が起こることとなる。例えば、パッキン3として使用可能なシリコンゴムを用いた場合、該シリコンゴムは−60℃以下の温度で低温硬化が生じる。従って−60℃以下の温度に冷却されると、低温硬化によって柔軟性が低下し、当接部が十分に気密を保持することができなくなる。
【0016】
そこで、パッキン3の低温硬化を防止する方法として、本発明の開口部密閉構造10−1では、前記扉13の内面の周部13a(当接面4)に沿って配設した金属製の逆U字状の金属突起部5の内部にヒーター6を設置したものである。そして、これにより金属製突起部5を加熱し、扉13で容器本体1の開口部12を閉止した時に、加熱されている金属製突起部5がパッキンに圧入して当接し、これによってパッキン3を加温し、低温冷却によるパッキン3の低温硬化を防止することができる。また、低温硬化温度以上に加温された金属製突起部5が前記した如くパッキン2に圧入して当接することにより、熱伝導性の低いシリコンゴム等の材質でなるパッキン3においてもシール部に十分に熱が伝わるため、パッキン3は1kPaの圧力状態であっても、気密性を保持するのに十分な柔軟性を保持することができる。しかも、本発明のパッキン3の構成態様は図4に図示した巴形パッキン24とは異なり、大きな空洞部をもたない構造であるので、巴形パッキン24のように空洞部24a中の気体の収縮による密着性の低減等の影響を受けない。
【0017】
なお、前記金属製突起部5の内部に設置するヒーター3は線状でも板状でも形状を問わない。
なお又、金属製突起部5の高さ(長さ)はこれが圧入当接する容器本体1に配設したパッキン3の厚さの半分程度が適当である。
【0018】
以上のように、第1の実施の形態の冷却保冷容器の密閉構造10−1では、扉13による容器本体1の開口部12の閉止時、扉13に配設した金属製突起部5が容器本体に配設したパッキン3内に圧入されて埋め込まれた状態となるために、シールの当接部が曲面を形成した状態となって当接しており、容器本体1及び扉13の僅かな収縮では、金属突起部1とパッキン2との密着性が増すことになるために、従来の巴形パッキンを使用した方法に比べて筐体の収縮に対する適応能力が大幅に向上している。
そして、低温にすることよって生じる容器本体1の収縮による歪みに対する対策が必要不可欠で、その収縮幅が大きくなって気密性の保持が困難になる。特に、大型の扉を備える冷却保冷容器においては、上記本発明の密閉構造10−1の適用によって気密性の保持効果は著しく向上する。
【0019】
[開口部12の密閉構造の第2の実施の形態]
図3は、本発明の第2の実施の形態の開口部密閉構造10−2の一例を説明する開口部12の部分拡大断面図である。なお、図3中、図2と共通する部品は、図2に付した符号と同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0020】
図3に図示した第2の実施の形態の密閉構造10−2は、図2に図示した前記第1の実施の形態の密閉構造10−1に、更に開口部12側の容器本体1の周面1aに設けた金属枠2の内側に、周面1aに沿ってシールパッキン部7を設けたものである。該シールパッキン部7は、容器本体1に開口部の周面12に設けた金属枠2の内側開口部12側に、容器本体1の開口部12の周面1aに沿って立設した金属製の板状の金属板8と、該金属板8を囲繞して断面がU字状で下方に向けて突出する、シリコンゴムの如き可撓性を有する材料よりなる凸状のパッキン部材9aと、該凸状のパッキン部材9aの先端に一体に配設されている舌片状のシ−ル舌片部9bよりなっている。
【0021】
そして、一方、前記シールパッキン7が当接する扉13側の内面周部13aには、容器本体1に設けた金属枠2に合致するように付設された金属製突起部5より内側に、前記容器本体1に設けたシールパッキン部7に対向した位置に前記シールパッキン部7のシール舌片部9bが当接する凹状堰部13bを設けられている。そして、容器本体1の開口部12を扉13で密閉した時に、扉13に配設した凹状堰部13bの外側の側面13cに、前記シールパッキン部7のシール舌片部9bが内圧により押圧されて、密着し、容器内外部間のガスの流通を密封遮断する。
なお、前記シールパッキン部7のシール舌片部9bの長さは、凹状堰部13bの底面までの長さに略等しいかそれ以上に形成することが好ましい。
【0022】
上記した第2の実施の形態の密閉構造10−2を採用することにより、−60℃以下の冷気が直接パッキン2に触れることを防止するとともに、冷却保冷容器11内の圧力が増すに従って、シール舌片部9bが扉13の凹状堰部13bの側面13cに強く押圧されて、容器本体1の開口部12と扉13との当接の気密性が強化される。
【0023】
なお、前記形状のシールパッキン部7においても、これに使用しているシリコンゴム等の可撓性材料は、−60℃以下の低温度に曝されると低温硬化が起こることがあるので、低温硬化を防止するために、前記凸状のパッキン部材9aで囲繞して配した金属板8にヒーター機能を備えたり、又、別途に前記金属枠2と凸状のパッキン部材9aとの間の凸状のパッキン部材9aに近接した位置や、前記扉13に設けた凹状堰部13b及び/又はその側面13cにヒータの如き加熱手段Hを設けて、シールパッキン部7を適宜加熱するようにする。これにより、シールパッキン7の柔軟性をより高く確保することができる。
なお又、扉13の容器本体1の開口部12への挿入内面13dは、容器本体1の開口部12の内面1bとの間隔および段差を少なくすることでも冷気の漏れを減少させることができる。
【0024】
本発明の極低温冷却保冷容器の開口部密閉構造は、上記した如き構造よりなっているので、冷却保冷容器11の容器本体1の開口部12への、扉13の開閉操作を容易に、かつスムースに行うことができ、しかも、冷却保冷容器11内の温度を−60〜−180℃にすることができるとともに、冷却保冷容器11内の圧力を1kPaとした時でも、シールが確実に保持されて、冷気が外部に漏れることがない極低温冷却保冷容器を得ることが可能となった。その上、従来密閉性を保持する上で問題があった低温空気発生装置による冷却システムの冷却保冷容器や、大型の扉を必要とする冷却保冷容器の開口部の密閉構造として、有効に適用することができる。
【0025】
【実施例】
次に、本発明の極低温冷却保冷容器の開口部密閉構造の実施例として家庭用産業廃棄物を破砕処理に際して極低温に冷却して保冷する容器に使用した例を例示して説明する。
[実施例1]
使用した本発明の極低温冷却保冷容器の開口部密閉構造は、上記図3に図示した第2の実施の形態の開口部密閉構造を用いた。又全体的構造は図1に図示する如き構造をした冷却保冷容器を製作して用いた。その設計仕様諸元は以下の通りである。
【0026】
<冷却保冷容器の設計仕様諸元>
・外装:ステンレス鋼板を使用した。
・扉13の寸法:約1.5m四方とし、均等にパッキンを締め付けるため、および、扉の外槽の変形を防止するためにL型鋼による補強17を上下に2本、左右に3本備えた。
・扉13の支持機構:一端を回転可能な係合用回転部材14で軸支し、扉を閉扉固定するため、パイプハンドル15、及びローラー絞りハンドル16等の押圧固定用治具を使用した。この結果、約1.5m四方の扉でも容易に密閉して締め付けることができた。
・冷却到達温度:約−150℃とした。
【0027】
<開口部密閉構造の設計仕様諸元>
・容器本体1に配設した凹型の金属枠2:ステンレス鋼製で幅32mm、深さ11mmで開口部12の周面1aに沿って配設した。なお、金属枠2は溶接加工して施工し付設したが、容器本体の構造と一体構造として施工加工してもよい。・凹型の金属枠2に充填するパッキン3:中実状で弾力性が高く比較的低温硬化しにくいシリコンゴムを用いて、凹型の金属枠2の枠いっぱいに充填し、充填厚さは約10mmとした。
・扉13の内面13aに設けた金属製突起部5:ステンレス鋼製で幅15mm、高さ6mmを外周面に沿って配設した。そして、内部に加熱用ヒータ6を配した。
【0028】
・シールパッキン部7:容器本体1に設けた金属枠2の内側に厚さ1mm、高さ7mmのステンレス鋼製の金属板8を周面に沿って配設、その周囲を囲繞してシリコンゴムよりなる高さ10mmの凸状のパッキン部材9aを設け、その先端に長さ20mmのシール舌片部9bを配した。そして、前記金属板8にヒータ機能を備えた。
・シール舌片部9bを受接する扉13の凹状堰部13b:幅30mm、深さ15mmとして、シール舌片部9b位置の対向位置に設ける。そして凹状堰部13bにヒータHを配設した。
【0029】
このような開口部の密閉構造の極低温冷却保冷容器を使用して、約−120℃まで低温空気発生装置により冷却し保冷した。
その結果、以下の事項が確認された。
▲1▼扉13を密閉した時、金属枠2に充填したパッキン3に突入した扉13の金属突起部5の突入長は約4mmであった。そして、突入した際、パッキン3は外側に大きく広がらず、定形を保っていた。
▲2▼冷却保冷容器11内の圧力が1.1kPaに達したが、気密性が充分保たれていて、約−120℃の低温を効率よく保持していた。
▲3▼又、扉13の内面13aに設けた金属製突起部5内や、シールパッキン部7の凸状のパッキン部材9a内の金属板8、及び扉13の内面に設けた凹状堰部13bにそれぞれ配した加熱用ヒータによりパッキン3やシールパッキン部7が加温されて、これらの低温硬化が防止できて、柔軟性が常に確保され、扉13の容器本体1の開口部12への密閉シール性が著しく向上した。約1.5m四方の大型の扉でも、常に充分気密性を保持し得ることが確認できた。
なお、扉を閉止するための押圧固定治具は、パイプハンドル15、及びローラー絞りハンドル16等に限定されるものでなく、密閉固定を保持し得る固定治具であれば如何なる押圧固定治具でも使用することができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明の極低温冷却保冷容器の開口部密閉構造は上記した形態で実施され、以下の如き効果を奏する。
冷却保冷容器の容器本体の開口部に凹型状の金属枠を設けその凹型の金属枠内に中実性のパッキンを充填し、これに相対向する扉側に逆U字状の金属製突起部を配設して、該逆U字状の金属製突起部1の内部にヒーターを備えることにより、容器本体の開口部を扉で閉鎖する時に、容器本体に配した前記パッキンに扉の金属製突起部が食い込むことにより、閉鎖時には常にパッキン2を効果的に加温できることにより、柔軟性が保たれ、その結果−60〜−180℃の極低温においても気密な密閉が確保され、その上容器内が1kPa程度の圧力に上昇しても、気密性を維持することができる効果を奏する。
【0031】
更に、前記気密性保持構造に加え、前記金属枠内に充填したパッキン部の内側開口部側にシールパッキン部を配設するとともに、該部の先端に舌片状に延びるシ−ル舌片部をもうけ、そしてこれに対向する扉に凹状堰部を配したので、冷却保冷容器内の内圧が上昇した場合には、その内圧によりシール舌片部を扉の前記凹状堰部の壁に押し付けるようにして、容器の内外をシール遮断して気密なシールを確保することとなり、冷却保冷容器内の冷気が直接に前記外側に配した金属枠に充填したパッキンよりなる密閉保持部を曝すことを防止したので、その気密性の確保を劣化せしめることなく長期にわたって維持することができる。なお又、該シールパッキン部を形成する容器本体の開口部と扉とが接する部分にヒーター機能を備えたことにより、可撓性材料よりなるシールパッキン部の凸状のパッキン部材とシール舌片部の柔軟性が確保され、より一層シール性を向上させることができる。
【0032】
このようなことより、本発明の極低温冷却保冷容器の開口部密閉構造は、冷却にあたって容器内が昇圧される冷却システムに対しては、従来の冷却保冷容器では、密閉が困難であったのを解決し、極めて利用効果の高い開口部密閉構造の冷却保冷容器を提供することが可能とする。更にその上、従来密閉性を保持する上で問題があった低温空気発生装置による冷却システムの冷却保冷容器や、低温による収縮歪みの発生度合が大きい大型の扉を必要とする冷却保冷容器の開口部の密閉構造としても、有効に適用することができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の極低温冷却保冷容器の一部切開正面概略図。
【図2】 本発明の参考例として示す第1の実施の形態の開口部密閉構造の開口部の部分拡大断面図。
【図3】 本発明の第2の実施の形態の開口部密閉構造の開口部の部分拡大断面図。
【図4】 従来の冷却保冷容器の開口部の部分拡大断面図。
【符号の説明】
1…容器本体、 1a…容器本体の開口部の周面、 1b…容器本体の開口部の内面2…凹型の金属枠、 3…パッキン、 4…当接面、 5…金属製突起部、 6、H…ヒータ、 7…シールパッキン部、 8…金属板、 9a…凸状のパッキン部材、 9b…シール舌片部、 11…極低温冷却保冷容器、 12…開口部、 13…扉、 13a…扉の内面周部、 13b…凹状堰部、 13d…扉の開口部への挿入内面、 14…係合用回転部、 15…パイプハンドル、 16…ローラー絞りハンドル、 17…補強材
Claims (4)
- 物品を極低温に冷却保冷するための容器の開口部を開閉可能な扉で気密に密閉する構造であって、
該冷却保冷容器の開口部の扉と重なり合う周面に沿って、扉側に開口する凹型の金属枠を付設し、該凹型の金属枠に弾性を有するパッキンを中実状に充填してなり、一方前記容器開口部に設けた凹型の金属枠に相対した扉の内面周部に、該金属枠の枠幅に等しいかまたはそれ以上の当接面を配し、該当接面に沿って内部にヒーターを配設した金属製突起部を設けてなり、冷却保冷容器の開口部の周面と扉とが重なり合う密閉時に、前記扉の金属製突起部が前記容器開口部周面に設けたパッキンに侵入している状態となるとともに、前記冷却保冷容器の開口部周面に付設される凹型の金属枠の内側に、該凹型の金属枠に沿って平行に凸状のパッキン部材を立設し、該パッキン部材の先端に舌状に延びるシール舌片部を備えてなる可撓性のシールパッキン部を設けてなり、これに相対して扉に前記シ−ルパッキン部を受接せしめる凹状堰部を設け、冷却保冷容器の開口部の周面と扉とが重なり合う密閉時に、前記扉に配した凹状堰部に冷却保冷容器に配した前記シールパッキン部のシール舌片部が内圧により押圧されて当接されてなることを特徴とする極低温冷却保冷容器の開口部密閉構造。 - 前記可撓性のシールパッキン部に、シールパッキン部の低温硬化防止用の加温ヒーターが備えられていることを特徴とする請求項1記載の極低温冷却保冷容器の開口部密閉構造。
- 前記金属製突起部内のヒーターは、前記容器開口部周面に配したパッキンを該パッキンの低温硬化温度以上に保持することを特徴とする請求項1または2に記載の極低温冷却保冷容器の開口部密閉構造。
- 前記極低温冷却保冷容器の扉は、その一端部が係合用回転部材により回転自在に冷却保冷容器の開口部に軸支されてなるとともに、扉を閉止する押圧固定治具を備えてなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の極低温冷却保冷容器の開口部密閉構造。
Priority Applications (1)
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