しかしながら、特許文献1及び2に係る技術によれば、モノクロ印刷を行う現像機が最初か最後に転写される位置、つまりいずれかの端に位置していなければならない。そのため、端に位置していない現像機を用いたモノクロ印刷を行う場合には、それ以外の色の現像機を離間することはできない。さらに、特許文献1には、離間した現像機の駆動力を切断して回転を停止させ、感光体ドラム等の摩耗を低減させることが記載されている。しかしながら、例えば、機械的な不具合等で現像機の回転が停止させられていない場合には、そのことを検知する機構が備わっていないために、ユーザがその不具合に気づくことはなく、知らないうちに感光体ドラム等を含む現像機の摩耗が進むこととなる。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、複数色の現像機を有する画像形成装置において、現像機が非現像状態へ切り替わっているか否かを個別に検知可能とすることで、画像形成時に用いられていない現像機を確実に非現像状態にし、現像機の消耗を低減させることを目的とする。
請求項1記載の発明は、画像形成装置であって、個別に備えられた駆動部からの動力を受け、像担持体上に相異なる単色の画像を形成する複数の画像形成手段と、前記画像形成手段により画像形成される単色のうちの1色を指定色として指定する指定手段と、前記画像形成手段に個別に備えられており、前記指定手段により色の指定が行われると、当該指定色の画像を形成する画像形成手段への動力を切り離す処理を行う切り替え手段と、前記切り替え手段により前記画像形成手段への動力を切り離す処理が行われた後に、当該動力を切り離す処理が行われた画像形成手段により前記像担持体上に前記指定色を少なくとも含む所定の濃度検出用画像を形成させる濃度検出用画像形成手段と、前記濃度検出用画像形成手段により所定の濃度検出用画像が形成されると、当該濃度検出用画像における前記指定色の濃度を測定する濃度測定手段と、前記濃度測定手段により測定された指定色の濃度検出用画像の濃度に基づいて、当該指定色の画像を形成する画像形成手段が現像可能な状態にあるか否かを判定する判定手段と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、例えば、指定手段によりイエローが指定色とされた場合には、指定手段からの通知を受けた切り替え手段は、イエローの画像形成手段への動力を駆動部から切り離す処理を行う。このとき、指定色以外の色、例えば、シアン,マゼンタ,ブラック等の画像形成手段への動力は伝達されたままである。また、指定色であるイエローも含め各色の現像バイアス等も高電圧が印加されたままである。そして、濃度検出用画像形成手段により指定色であるイエローを少なくとも含む濃度検出用画像が像担持体上に形成され、濃度測定手段により当該濃度検出用画像におけるイエローの濃度が測定される。
ここで、現像バイアス等は印加されたままなので、イエローの画像形成手段への動力が駆動部から完全に切り離されていなければ、濃度検出用画像においてイエローの濃度が検出されることになる。それに対して、イエローの画像形成手段への動力が駆動部から完全に切り離されていれば、現像バイアス等は印加されたままではあるが、濃度検出用画像においてイエローの濃度は検出されない。
そして、この濃度測定手段は、像担持体上の濃度検出用画像の濃度を直接測定するので、画像形成手段が現像可能な状態か否かを確実に検知し得る。続いて、判定手段は、濃度測定手段の測定結果に基づいて、画像形成手段が現像可能な状態か否かを判定するため、画像形成手段が現像可能な状態か否かを確実に判定し得る。ここで、像担持体とは、例えば、画像形成手段等により直接にその上に画像が形成されるような転写ベルトや感光体ドラムのみならず、通常は記録紙の搬送用としてしか用いられない搬送ベルト等も含むものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置であって、前記判定手段は、前記濃度測定手段により測定された濃度値と予め設定された所定濃度値とを比較し、前記濃度測定手段により測定された濃度値が所定濃度値よりも高い場合、前記画像形成手段が現像可能な状態にあると判定することを特徴とする。
この構成によれば、濃度測定手段により測定された指定色の濃度値が予め設定された所定濃度値よりも高い場合には、判定手段は、当該指定色の画像形成を行う画像形成手段が現像状態にあると判定し、濃度測定手段により測定された濃度値が所定濃度値以下の場合には画像形成手段が非現像状態にある、つまり停止していると判定する。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の画像形成装置であって、前記画像形成手段により形成される画像の色毎に前記所定濃度値を設定可能なユーザ設定手段をさらに備えることを特徴とする。
この構成によれば、濃度測定手段により測定された濃度値と比較すべき所定濃度値を、ユーザ設定手段により各色毎に個別に設定し得る。通常、画像形成手段が停止していれば、当該画像形成手段が形成する色の濃度は像担持体上に検出されないはずである。しかしながら、一般に濃度測定手段を含めた装置の読み取り誤差や、像担持体上へのトナーの不必要な付着等を完全に取り除くことは困難である。そのため、状況に応じてユーザが所定濃度値の設定を行うことにより、判定手段は画像形成手段が非現像状態を実現しているか否かを有効に判定し得る。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置であって、前記判定手段が前記画像形成手段は現像可能な状態にないと判定した場合に、ユーザに対して所定の通知を行う通知手段をさらに備えることを特徴とする。
この構成によれば、判定手段が画像形成手段は現像可能な状態にない、つまり停止していると判定した場合には、通知手段によりユーザにそのことを通知する。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置であって、前記指定手段により色が指定される度に新たにカウントを開始し、当該指定色の画像を形成する画像形成手段が前記判定手段により現像可能な状態にあると判定された回数をカウントするカウント手段と、前記判定手段が指定色の画像を形成する画像形成手段は現像可能な状態にあると判定した場合において、前記カウント手段によりカウントされた回数が予め設定された所定の回数より小さいとき、前記切り替え手段に通知し、当該画像形成手段への動力を再度切り離す処理を行わせる不具合判定手段と、をさらに備えることを特徴とする。
この構成によれば、指定手段により指定色が指定されて以後、切り替え手段が駆動部から画像形成手段への動力を切り離す処理を行ったにも拘らず、当該画像形成手段が停止していない回数がカウント手段によりカウントされている。そして、この回数が予め設定された回数に達するまでは、カウント手段によりカウントされる度に不具合判定手段は繰り返し切り替え手段に通知し、切り離し処理を行わせる。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の画像形成装置であって、前記不具合判定手段は、前記カウント手段によりカウントされた回数が予め設定された所定の回数と等しくなると、ユーザに対して所定の不具合通知を行うことを特徴とする。
この構成によれば、カウント手段によりカウントされている回数が予め設定された回数と等しくなると、不具合判定手段は画像形成手段が停止しないという不具合が発生していることを画像形成装置のユーザに通知する。
請求項7記載の発明は、請求項5又は6に記載の画像形成装置であって、前記ユーザ設定手段は、さらに前記所定の回数を設定可能に構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、前記カウント手段によりカウントされた回数であり、前記濃度測定手段により測定された濃度値が所定濃度値よりも高いと判定された回数と比較すべき所定の回数を、ユーザ設定手段により設定し得る。
請求項8記載の発明は、画像形成装置であって、個別に備えられた駆動部からの動力を受け、記録紙に相異なる単色の画像を形成する複数の画像形成手段と、前記画像形成手段により画像形成される単色のうちの1色を指定色として指定する指定手段と、前記画像形成手段に個別に備えられており、前記指定手段により色の指定が行われると、当該指定色の画像を形成する画像形成手段への動力を切り離す処理を行う切り替え手段と、前記切り替え手段により前記画像形成手段への動力を切り離す処理が行われた後に、当該動力を切り離す処理が行われた画像形成手段により前記記録紙上に前記指定色を少なくとも含む所定の濃度検出用画像を形成させる濃度検出用画像形成手段と、前記濃度検出用画像形成手段により所定の濃度検出用画像が形成された記録紙を画像形成装置外部へ排出する排出手段と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、例えば、指定手段によりイエローが指定色とされた場合には、指定手段からの通知を受けた切り替え手段は、イエローの画像形成手段への動力を駆動部から切り離す処理を行う。このとき、指定色以外の色、例えば、シアン,マゼンタ,ブラック等の画像形成手段への動力は伝達されたままである。また、指定色であるイエローも含め各色の現像バイアス等も高電圧が印加されたままである。そして、濃度検出用画像形成手段により指定色であるイエローを少なくとも含む濃度検出用画像が記録紙上に形成され、当該記録紙は排出手段により画像形成装置外部へ排出される。
ここで、現像バイアス等は印加されたままなので、イエローの画像形成手段への動力が駆動部から完全に切り離されていなければ、例えば目視等により、濃度検出用画像においてイエローの濃度が検出されることになる。それに対して、イエローの画像形成手段への動力が駆動部から完全に切り離されていれば、現像バイアス等は印加されたままではあるが、濃度検出用画像においてイエローの濃度は検出されない。
請求項9記載の発明は、ネットワークプリンタシステムであって、個別に備えられた駆動部からの動力を受け、像担持体上に相異なる単色の画像を形成する複数の画像形成手段を備えた画像形成装置と、前記画像形成手段により画像形成される単色のうちの1色を指定色として指定し、前記画像形成装置に通知する指定手段を備えた少なくとも1台の端末と、をネットワーク接続したネットワークプリンタシステムであって、前記画像形成装置は、前記画像形成手段に個別に備えられており、前記指定手段により色の指定が行われると、当該指定色の画像を形成する画像形成手段への動力を切り離す処理を行う切り替え手段と、前記切り替え手段により前記画像形成手段への動力を切り離す処理が行われた後に、当該動力を切り離す処理が行われた画像形成手段により前記像担持体上に前記指定色を少なくとも含む所定の濃度検出用画像を形成させる濃度検出用画像形成手段と、前記濃度検出用画像形成手段により所定の濃度検出用画像が形成されると、当該濃度検出用画像における前記指定色の濃度を測定する濃度測定手段と、前記濃度測定手段により測定された指定色の濃度検出用画像の濃度に基づいて、当該指定色の画像を形成する画像形成手段が現像可能な状態にあるか否かを判定する判定手段と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、端末に備えられた指定手段により、例えばイエローが指定色とされた場合には、指定手段からの通知を受けた切り替え手段は、イエローの画像形成手段への動力を駆動部から切り離す処理を行う。このとき、指定色以外の色、例えば、シアン,マゼンタ,ブラック等の画像形成手段への動力は伝達されたままである。また、指定色であるイエローも含め各色の現像バイアス等も高電圧が印加されたままである。そして、濃度検出用画像形成手段により指定色であるイエローを少なくとも含む濃度検出用画像が像担持体上に形成され、濃度測定手段により当該濃度検出用画像におけるイエローの濃度が測定される。
ここで、現像バイアス等は印加されたままなので、イエローの画像形成手段への動力が駆動部から完全に切り離されていなければ、濃度検出用画像においてイエローの濃度が検出されることになる。それに対して、イエローの画像形成手段への動力が駆動部から完全に切り離されていれば、現像バイアス等は印加されたままではあるが、濃度検出用画像においてイエローの濃度は検出されない。
そして、この濃度測定手段は、像担持体上の濃度検出用画像の濃度を直接測定するので、画像形成手段が現像可能な状態か否かを確実に検知し得る。続いて、判定手段は、濃度測定手段の測定結果に基づいて、画像形成手段が現像可能な状態か否かを判定するため、画像形成手段が現像可能な状態か否かを確実に判定し得る。ここで、像担持体とは、例えば、画像形成手段等により直接にその上に画像が形成されるような転写ベルトや感光体ドラムのみならず、通常は記録紙の搬送用としてしか用いられない搬送ベルト等も含むものである。
請求項10記載の発明は、ネットワークプリンタシステムであって、個別に備えられた駆動部からの動力を受け、像担持体上に相異なる単色の画像を形成する複数の画像形成手段を備えた画像形成装置と、前記画像形成手段により画像形成される単色のうちの1色を指定色として指定し、前記画像形成装置に通知する指定手段を備えた少なくとも1台の端末と、をネットワーク接続したネットワークプリンタシステムであって、前記画像形成装置は、前記画像形成手段に個別に備えられており、前記指定手段により色の指定が行われると、当該指定色の画像を形成する画像形成手段への動力を切り離す処理を行う切り替え手段と、前記切り替え手段により前記画像形成手段への動力を切り離す処理が行われた後に、当該動力を切り離す処理が行われた画像形成手段により記録紙上に前記指定色を少なくとも含む所定の濃度検出用画像を形成させる濃度検出用画像形成手段と、前記濃度検出用画像形成手段により所定の濃度検出用画像が形成された記録紙を画像形成装置外部へ排出する排出手段と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、端末に備えられた指定手段により、例えばイエローが指定色とされた場合には、指定手段からの通知を受けた切り替え手段は、イエローの画像形成手段への動力を駆動部から切り離す処理を行う。このとき、指定色以外の色、例えば、シアン,マゼンタ,ブラック等の画像形成手段への動力は伝達されたままである。また、指定色であるイエローも含め各色の現像バイアス等も高電圧が印加されたままである。そして、濃度検出用画像形成手段により指定色であるイエローを少なくとも含む濃度検出用画像が記録紙上に形成され、当該記録紙は排出手段により画像形成装置外部へ排出される。
ここで、現像バイアス等は印加されたままなので、イエローの画像形成手段への動力が駆動部から完全に切り離されていなければ、例えば目視等により、濃度検出用画像においてイエローの濃度が検出されることになる。それに対して、イエローの画像形成手段への動力が駆動部から完全に切り離されていれば、現像バイアス等は印加されたままではあるが、濃度検出用画像においてイエローの濃度は検出されない。
請求項1記載の発明によれば、画像形成手段が非現像状態を実現しているか否かを、像担持体上に形成された濃度検出用画像の濃度を直接確認することで判定する構成となっているので、各色毎に個別に画像形成手段が非現像状態を実現しているか否かを確実に検知することができる。これにより、例えば、電気的あるいは機械的な不具合のために非現像状態が実現していない場合にも、画像形成手段毎に個別に対応することが可能となる。そのため、画像形成時に用いられていない画像形成手段を確実に非現像状態にすることができるので、画像形成手段の消耗を低減させることができる。
請求項2記載の発明によれば、画像形成手段が非現像状態を実現しているか否かを、像担持体上に所定濃度値より高い濃度を有する濃度検出用画像が形成されていないことで確認する構成となっている。このように所定濃度値という幅を設けたことで、濃度測定手段を含めた装置の読み取り誤差や、像担持体上へのトナーの不必要な付着等の避けることが困難な状況を除外できる。これにより、指定色の画像形成手段が非現像状態を実現しているか否かを高い精度で検知することができる。
請求項3記載の発明によれば、濃度測定手段により測定された濃度値と比較すべき所定濃度値を、ユーザ設定手段により各色毎に個別に設定することができる。これにより、判定手段は画像形成手段が非現像状態を実現しているか否かを有効に判定することが可能となる。さらに、例えばブラックとシアンのように異なる色の濃度を測定する場合、濃度測定手段の感度は色毎に異なることが想定されるが、所定濃度値を適切に設定することにより、当該感度が色に依らないように有効に補正することができる。
請求項4記載の発明によれば、ユーザは通知手段により、指定色の画像を形成する画像形成手段が停止していることを速やかに知ることができるので、異なる色の画像を形成する画像形成手段の停止確認を行うか否か等の以降の処理を効率的に指示することができる。
請求項5記載の発明によれば、指定色の画像を形成する画像形成手段が停止していない場合には、不具合判定手段からの通知を受けた切り替え手段が画像形成手段への動力を切り離す処理を行う。これにより、画像形成手段を停止させる確実性を高めることができる。
請求項6記載の発明によれば、機械的あるいは電気的な不具合等により画像形成手段を停止させることができない場合にはその旨を通知するので、ユーザは不具合が発生していることを確実に検知することができる。
請求項7記載の発明によれば、カウント手段によりカウントされた回数と比較すべき所定の回数を、ユーザ自身が設定することができる。通常、切り替え手段が指定色の画像を形成する画像形成手段への動力を切り離す処理を行えば当該画像形成手段は停止し、像担持体上に指定色の画像は形成されないはずである。しかしながら、一般に機械的あるいは電気的な不具合等により、一度の処理では画像形成手段が非現像状態を実現しないことも想定されるため、状況に応じてユーザが所定の回数の設定を行うことにより、不具合が発生したことを有効に検知することができる。
請求項8記載の発明によれば、画像形成手段が非現像状態を実現しているか否かを、記録紙上に形成された濃度検出用画像の濃度を直接目視等で確認できる構成となっているので、各色毎に個別に画像形成手段が非現像状態を実現しているか否かを確実に検知することができる。これにより、例えば、電気的あるいは機械的な不具合のために非現像状態が実現していない場合にも、画像形成手段毎に個別に対応することが可能となる。そのため、画像形成時に用いられていない画像形成手段を確実に非現像状態にすることができるので、画像形成手段の消耗を低減させることができる。
請求項9記載の発明によれば、画像形成手段が非現像状態を実現しているか否かを、像担持体上に形成された濃度検出用画像の濃度を直接確認することで判定する構成となっているので、各色毎に個別に画像形成手段が非現像状態を実現しているか否かを確実に検知することができる。これにより、例えば、電気的あるいは機械的な不具合のために非現像状態が実現していない場合にも、画像形成手段毎に個別に対応することが可能となる。そのため、画像形成時に用いられていない画像形成手段を確実に非現像状態にすることができるので、画像形成手段の消耗を低減させることができる。
請求項10記載の発明によれば、画像形成手段が非現像状態を実現しているか否かを、記録紙上に形成された濃度検出用画像の濃度を直接目視等で確認できる構成となっているので、各色毎に個別に画像形成手段が非現像状態を実現しているか否かを確実に検知することができる。これにより、例えば、電気的あるいは機械的な不具合のために非現像状態が実現していない場合にも、画像形成手段毎に個別に対応することが可能となる。そのため、画像形成時に用いられていない画像形成手段を確実に非現像状態にすることができるので、画像形成手段の消耗を低減させることができる。
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について図面を参照して説明する。以下、本実施形態においては、画像形成装置の一例としてタンデム方式のカラープリンタを取り上げて説明するが、本発明に係る実施形態はそれに限られることなく、タンデム方式を採用したコピー機やファクシミリ等の画像形成装置、さらにはタンデム以外の方式を用いた画像形成装置一般に適用可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例としてのプリンタの内部構成を概略的に示す図である。図1に示すように、プリンタ1には、シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(B)の各色別に画像形成ユニット2(2C,2M,2Y,2B)が設けられている。各画像形成ユニット2C,2M,2Y,2B内には、現像機3と、感光体ドラム4と、帯電部5と、露光部(LEDプリントヘッドユニット等)6と、トナー供給部7と、クリーニング部21と、転写ローラ9とがそれぞれ備えられている。トナー供給部7は、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの各色毎に設けられており、それぞれ7C,7M,7Y,7Bと表示している。各現像機3には、その上方に配設されるトナー供給部7から供給されるトナーを感光体ドラム4に供給するための現像ローラ(現像剤担持体)31が設けられている。
現像ローラ31は、例えば、その表面がアルミ等の非磁性材料から構成される円筒状の現像スリーブとされ、この現像スリーブの内部には磁石材料等が配設されている。現像ローラ31には、トナーとキャリア(磁性体)からなる現像剤(2成分現像剤の場合)が磁石材料の磁力で吸着され、現像ローラ31が図中の矢印方向(反時計回りの方向)に回転することで、現像機3内の現像剤のうちトナーのみが感光体ドラム4の表面に移動するようになっている。
画像形成ユニット2には、a−Si(アモルファスシリコン)等からなる感光体ドラム(潜像担持体)4が各色別にそれぞれ備えられ、図1における時計回りの方向(図示のA方向)に回転するように構成されている。この感光体ドラム4が帯電部5によって一様に帯電され、外部PC(パーソナルコンピュータ)等から入力された原稿画像データに基づくLED光が露光部6から感光体ドラム4の表面上に照射されて静電潜像が形成され、この静電潜像にトナーが付着してトナー像が形成される。
これら各色用に感光体ドラム4が並設されている下方には、一定速度で回転する搬送ベルト(像担持体の一形態)8が配設されている。ここで、画像形成ユニット2B(ブラックの画像形成手段)は、当該搬送ベルト8上又は搬送ベルト8上に載置された転写紙に黒色の画像を形成し、画像形成ユニット2C,2M,2Y(それぞれシアン,マゼンダ,イエローの画像形成手段)は、当該搬送ベルト8上又は搬送ベルト8上に載置された転写紙に黒色以外(シアン,マゼンダ,イエロー)の画像を形成する。
そして、これら画像形成ユニット2C,2M,2Y,2Bは、搬送ベルト8の回転方向に沿って並設されて構成(タンデム方式)されている。ここで、画像形成ユニット2B及び画像形成ユニット2C,2M,2Yの全てに画像形成を行わせる場合をカラー印刷モード(全色転写モード)といい、画像形成ユニット2C,2M,2Y,2Bのいずれか1つのみに画像形成を行わせる場合をモノクロ印刷モード(単色転写モード)という。
また、搬送ベルト8は、転写ローラ9によって各感光体ドラム4に押し付けられた状態とされ、図略のモータ等によって回転駆動される駆動ローラ(本実施形態では下流側ローラ)10と、この駆動ローラ10によって無端回転される搬送ベルト8に従って回転する従動ローラ(本実施形態では上流側ローラ)11とによって感光体ドラム4の回転方向の順方向(図示のB方向)に回転されるように構成されている。
そして、給紙カセット12から搬送路13を経由して搬送ベルト8側に記録紙が搬送されていき、レジストローラ17によって各感光体ドラム4及び転写ローラ9等による画像転写動作と給紙動作のタイミングが調整される。当該タイミングの調整後、レジストローラ17が回転駆動されて記録紙が感光体ドラム4と搬送ベルト8との間に搬送される。記録紙が各感光体ドラム4と搬送ベルト8との間を搬送されていく間に各感光体ドラム4表面の各色のトナー像が、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの順に次々に記録紙に転写される。全ての感光体ドラム4によってトナー像が転写された記録紙は定着装置14に搬送されてトナー像が定着され、カラー画像が形成される。
また、本発明に係る実施形態においては、例えばブラックのみで行うモノクロ印刷の際には、ブラック以外の色の画像形成ユニット2C,2M,2Yの駆動部分、例えば、現像機3内の現像ローラ31や、トナーホッパ内の攪拌スクリュー等(以下、適宜、これら駆動部分をまとめてDLPといい、特にブラックを除いたシアン,マゼンタ,イエロー等の駆動部分をカラーDLPという。)を全て停止する。これによりブラックのトナー像が転写された記録紙は定着装置14に搬送されてトナー像が定着され、モノクロ画像が形成される。
カラー画像及びモノクロ画像のいずれの画像が形成された記録紙も、定着装置14を通過した後、記録紙搬送路15に送られ排出部16から排出される。本実施形態においては、記録紙を図略の搬送ローラ等により記録紙搬送路15を通過させ排出部16に排出させる機構が排出手段として機能する。尚、上記の各感光体ドラム4には、感光体ドラム4上の残留トナー等を除去するクリーニング部21が備えられている。
尚、各色用の画像形成ユニット2C,2M,2Y,2Bの中で最も上流側に配置されたシアン用の画像形成ユニット2Cの更に上流側には、記録紙を搬送ベルト8に静電吸着させる吸着ローラ18が設けられている。この吸着ローラ18は搬送ベルト8及び従動ローラ11に対向する位置に、搬送ベルト8を介して従動ローラ11に当接するように設けられている。
また、プリンタ1は、カラー画像形成用に設けられた画像形成ユニット2C,2M,2Y,2Bの各々から、搬送ベルト8上に直接にパッチ画像(濃度検出用画像)を転写可能となっている。この搬送ベルト8上に転写されて形成されたパッチ画像は、搬送ベルト8の走行方向において各色用の画像形成ユニット2C,2M,2Y,2Bの下流側に設けられた光センサ等からなる濃度検出センサ(濃度測定手段)22によって濃度が測定されるようになっている。尚、この濃度検出後は図略の清掃部材によって、パッチ画像は搬送ベルト8上から除去される。
タンデム方式のカラープリンタにおいては、上述したように記録紙を吸着して搬送するための搬送ベルト8が備えられている。通常の印刷時には、搬送ベルト8に直接画像を形成することはないが、色調整を行う際には、この搬送ベルト8上に濃度検出用画像としてのパッチ画像を形成することが従来から行われている。以下に説明する本発明に係る一実施形態は、この搬送ベルト8に形成されたパッチ画像を有効に利用するものである。そのため、ハードウェアとして新たな機能を備える必要はなく、ソフトウェアの変更だけで本発明に係る技術を実現できる。以下、ユーザが現像機3の停止が指示されている際に確かに当該現像機3が停止しているか否かを確認する、本発明に係る確認作業を行う場合には、「テストモード」を起動するとして説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係るプリンタ1の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。プリンタ1には、ユーザ(操作者)からの印刷指示や各種設定等が可能なボタン等、及び種々の情報が表示可能な表示部130を備える操作パネル(指定手段の一形態、ユーザ設定手段)118が備えられている。この表示部130は、制御部100から送られてきた情報を表示するとともに、ユーザが本発明に係るテストモードに移行する際の操作指令や、テストモードにおいて現像機3の停止を確認したい色(指定色)を入力するなどのための種々の操作ボタン等を表示する。
プリンタ1には、プリンタ1全体の制御を司る制御部100が備えられている。この制御部100は、テストモード制御部101、濃度校正部102、現像機停止指示部103、パッチ画像形成部(濃度検出用画像形成手段)104、パッチ画像記憶部105、濃度判定部(判定手段)106、所定濃度値記憶部107、濃度検出カウンタ(カウント手段)108、所定回数記憶部109、通知部110、タイミング指示部111、及び不具合判定部112を備える構成である。
テストモード制御部101は、例えば工場出荷時やユーザが現像機3の停止を確認する場合に、例えば表示部130等からの通知を受けてテストモードを起動する。濃度校正部102は、例えば、テストモードが起動したときに、テストモード制御部101からの通知を受けて濃度検出センサ22の濃度校正(キャリブレーション)を行う。これは、例えば、濃度検出センサ22に搬送ベルト8の下地の色を検出させ、その出力値が所定濃度値となるように、濃度検出センサ22のコントロール電圧を設定すること等により行われる。
現像機停止指示部103は、テストモードが起動されたことがテストモード制御部101から通知される、あるいは濃度校正を行う場合には濃度校正が終了したことが濃度校正部102から通知されると、操作パネル118の操作により選択された指定色の画像を形成するためのDLPの停止を行うよう指示する。これは、例えば、指定色のDLPに駆動モータからの動力を供給するためのギヤを離間させること等により行われる。
パッチ画像記憶部105は、濃度検出用画像であるパッチ画像の形状、大きさ等を記憶する。パッチ画像形成部104は、DLPの停止を行うよう指示したことが現像機停止指示部103から通知されると、パッチ画像記憶部105に記憶されているパッチ画像の中から所定の画像を読み出し、画像形成ユニット2C,2M,2Y,2Bを制御することで、当該パッチ画像を搬送ベルト8上に印刷する。
所定濃度値記憶部107は、例えば、搬送ベルト8の下地の色を基準として、その値からの差分値という形で所定濃度値を記憶している。このように所定濃度値という幅を設けたことで、濃度検出センサ22を含めた装置の読み取り誤差や、搬送ベルト8上へのトナーの不必要な付着等の避けることが困難な状況を除外でき、モノクロ印刷モード時に、画像形成ユニット2が非現像状態を実現しているか否かを確実に検知することができる。
濃度判定部106は、濃度検出センサ22により測定された濃度値が、予め設定され、所定濃度値記憶部107に記憶されている所定濃度値よりも高い場合、画像形成ユニット2が現像可能な状態にあると判定する。このとき、濃度判定部106は、濃度検出カウンタ108のカウント値を1だけ増やし、さらに不具合判定部112にも通知を行う。また、濃度判定部106は、濃度検出センサ22により測定された濃度値が所定濃度値以下である場合、画像形成ユニット2が現像可能な状態にはないと判定し、その旨を通知部110に通知する。
濃度検出カウンタ108は、表示部130からのテストモード起動指示を受けると、カウント値を初期値(=0)にリセットする。そして、濃度検出カウンタ108は、濃度判定部106からの通知を受け、現像機停止指示部103により指定色のDLPの停止が指示されているにも拘らず、当該色のパッチ画像が搬送ベルト8上で検出された回数をカウントする。
所定回数記憶部109は、現像機停止指示部103によりDLPの停止が指示されているにも拘らず、停止が確認されない回数が何回なら故障とするか、その所定回数を記憶する。通知部110は、濃度判定部106が指定色の画像を形成する画像形成ユニット2は現像可能な状態にない、つまり当該画像形成ユニット2は停止していると判定した場合に、濃度判定部106からその旨の通知を受け、例えば表示部130等に所定の通知を行い、当該画像形成ユニット2は停止している旨のメッセージを表示させる。本実施形態においては、通知部110及び表示部130が通知手段としての機能を有する。
タイミング指示部111は、パッチ画像形成部104から、当該パッチ画像形成部104が指定色の画像形成ユニット2にパッチ画像の印刷を指示した旨の通知を受けると、当該パッチ画像が濃度検出センサ22に検知される位置に到達する時間を演算し、当該時間経過後に、濃度検出センサ22に対して搬送ベルト8上の濃度検出を行うように指示する。不具合判定部112は、濃度判定部106からの通知を受けると、濃度検出カウンタ108によりカウントされた回数と、予め設定され所定回数記憶部109に記憶された所定の回数とを比較する。そして、濃度検出カウンタ108によりカウントされた回数が所定の回数より小さい場合、不具合判定部112は、現像機停止指示部103に通知し当該画像形成ユニット2への動力を再度切り離す処理を行わせる。それと異なり、濃度検出カウンタ108によりカウントされた回数と所定の回数とが等しくなると、例えば表示部130等に通知を行い、所定のメッセージを表示(不具合通知)させる。本実施形態においては、不具合判定部112及び表示部130が不具合判定手段としての機能を有する。
また、制御部100には、搬送ベルト8上のパッチ画像等の濃度を測定する濃度検出センサ22が接続されている。さらに、制御部100には、本発明に係るテストモード起動時におけるDLP停止処理、パッチ画像の印刷、及び当該パッチ画像の濃度測定等を実行するためのプログラムを含む装置全体の動作プログラム等を記憶したROM(Read Only Memory)140と、画像データ等を一時的に格納すると共に作業領域として機能するRAM(Random Access Memory)141とが接続されている。制御部100は、ROM140に記憶されている上記プログラムに従って、濃度検出センサ22によって検出された搬送ベルト8上の濃度検出用画像の濃度に基づいて、本発明に係るDLP停止処理を実行する。
また、制御部100には、各色用の画像形成ユニット2C,2M,2Y,2Bが接続されており、制御部100は、各画像形成ユニット2C,2M,2Y,2Bに備えられている帯電部5、露光部6、現像機3、感光体ドラム4等と、定着装置14とを制御する。図2では、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラック用の各画像形成ユニットを1つの記録部で示しているが、実際には各色用にそれぞれの記録部が制御部100に接続されて制御される。さらに、制御部100は、DLPの停止を実現するためにギヤの離間を制御するソレノイド部材56と接続されている。つまり、現像機停止指示部103は、ソレノイド部材56を制御することで、DLPの停止を実現するためのギヤの離間を実現させる。
さらに、制御部100は、インターフェイス(I/F)119を介して端末であるパーソナルコンピュータ(PC)120と接続されている。このPC120は、PC120を制御したり、プリンタ1へ種々の信号を送出したりする操作部131と、プリンタ1から受け取った種々の情報を表示し、ユーザに伝達するための表示部132とを備える。また、プリンタ1はこのPC120等から入力される画像データに基づいて画像形成を行う。つまり、プリンタ1とPC120とにより、ネットワークプリンタシステムが形成されている。
図3は、本発明の一実施形態に係る指定色の画像を形成するDLPの停止を確認する処理の流れを示すフローチャートである。本発明に係るDLP停止確認処理は、例えば、工場出荷時や、モノクロ印刷モード時に当該モノクロ色以外の画像形成ユニット2が停止しているか否かを確認したい場合等に実行される。また、本実施形態においては、一例として、選択された単色である指定色が「イエロー」であり、所定回数記憶部109には所定回数として「2」が記憶されているとする。
まず、プリンタ1のユーザが表示部130を操作して、テストモードを指示する(ステップS101)と、テストモード制御部101はそれを検知してテストモードを起動する。続いて、濃度検出カウンタ108は、表示部130からのテストモード起動指示を受けると、カウント値Nを初期値(=0)にリセットする(ステップS102)。このカウント値Nは、後述するように、DLPの停止が指示されているにも拘らず、指定色であるイエローのパッチ画像が搬送ベルト8上で検出された回数をカウントするためのものである。
続いて、濃度校正部102は、テストモード制御部101からテストモードの起動が指示されている旨の通知を受け、濃度検出センサ22の濃度校正を行わせる(ステップS103)。これは、濃度検出センサ22に搬送ベルト8の下地の色を検出させ、その出力値が所定濃度値となるように、濃度検出センサ22のコントロール電圧を設定すること等により行われる。尚、濃度校正時の濃度検出センサ22による測定は基本的には1回でよいが、時間に余裕がある場合は複数回行うことにより精度を高めるようにしてもよい。また、当該濃度校正は、テストモードの起動が指示される度に毎回行う必要はなく、予め設定された回数毎に行うような構成でも構わない。
続いて、現像機停止指示部103は、濃度校正が終了したことが濃度校正部102から通知されると、表示部130の操作により選択された指定色であるイエローの画像を形成するための現像機3等に駆動モータからの動力を供給するためのギヤを離間させることにより、現像機3の停止を行うよう指示する(ステップS104)。
図4は、DLPに動力を供給する駆動モータからの動力伝達の流れの一実施形態を説明するための駆動系の模式図であり、(a)はギヤが連結しており、DLPに動力が伝達されている状態、(b)はギヤが離間しており、DLPに動力が伝達されていない状態をそれぞれ表す。駆動モータ(駆動部)51は、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの各DLPに動力を供給するためのモータである。この駆動モータ51は、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの各DLPの駆動用にそれぞれ1つずつ設けられていることが好ましい。
この駆動モータ51の回転軸にはピニオンギヤ52が固着されており、駆動モータ51の動力はピニオンギヤ52、及び当該ピニオンギヤ52に当接されたアイドルギヤ53を介して出力ギヤ55に伝達される。このとき、アイドルギヤ53が元の位置にあるときには出力ギヤ55と当接し動力を受けることができるが、アイドルギヤ53が図の下方に移動させられると出力ギヤ55とは離間し動力を受けることができなくなるとする。出力ギヤ55に伝達された動力は、現像機3内の現像ローラ31や図略の攪拌スクリュー等のDLPを回転させるために用いられる。また、駆動モータ51には、当該駆動モータ51の回転軸を中心に、さらに解離アーム54が回動自在に備えられており、解離アーム54の上部にはL字形部材59を介してソレノイド56及びコイルスプリング57が接続されている。
本実施形態においては、これらアイドルギヤ53、解離アーム54、出力ギヤ55、ソレノイド部材56、コイルスプリング57、鉄心ロッド58、L字形部材59、及び支持軸60は、現像機停止指示部103と共に、駆動モータ51から画像形成ユニット2C,2M,2Y,2B中の現像ローラ31や攪拌スクリュー等のDLPへの動力を伝達するか否かを切り替える切り替え手段としての機能を有する。
まず、図4(a)に示す連結状態は、テストモード時において停止確認を行う指定色であるイエロー以外の駆動系の状態である。この状態においては、現像機停止指示部103はソレノイド部材56のソレノイドを励磁しない。そのため、鉄心ロッド58は縮んだままの状態であり、L字形部材59はコイルスプリング57により支持軸60を中心に反時計回りの付勢力を受ける。これにより、解離アーム54は駆動モータ51の回転軸を中心に時計回りの付勢力を受ける。そのため、アイドルギヤ53は元の位置のままであり、出力ギヤ55とアイドルギヤ53とは当接し、出力ギヤ55はアイドルギヤ53を介して駆動モータ51の動力を受け取れる連結状態にある。
それに対し、図4の(b)に示す離間状態は、テストモード時において停止確認を行う指定色であるイエローの駆動系の状態である。この状態においては、表示部130からテストモードの起動と現像機3の停止を確認する指定色とが指示された現像機停止指示部103は、当該指定色の画像形成を行うDLPに接続されたソレノイド部材56のソレノイドを励磁する。そのため、鉄心ロッド58は伸展し、L字形部材59は支持軸60を中心に時計回りの付勢力を受ける。これにより、解離アーム54は駆動モータ51の回転軸を中心に反時計回りの付勢力を受ける。そのため、アイドルギヤ53は解離アーム54の動きに伴って下方に移動させられ、出力ギヤ55と離間する。
したがって、出力ギヤ55はアイドルギヤ53を介して駆動モータ51の動力を受けることができない離間状態にある。つまり、この離間状態においては、指定色であるイエローの現像機3内の現像ローラ31や、トナーホッパ内の攪拌スクリュー等は駆動しておらず、イエロー以外の現像機3のみが駆動している。以上説明したように、現像機停止指示部103は、ソレノイド部材56を制御することにより、図4(b)に示した離間状態を実現し、DLPの停止を行わせる。これにより、トナーを不必要に消費することもなく、かつ微粉末になることによるトナーの寿命の低下を抑制することができる。
次に、図2及び図3に戻ると、パッチ画像形成部104は、パッチ画像記憶部105に記憶されているパッチ画像の中から所定の画像を読み出し、帯電部5、露光部6、現像機3、感光体ドラム4等を制御して、濃度検出用画像としてのパッチ画像を搬送ベルト8上に印刷する処理を行わせる(ステップS105)。
図5は、搬送ベルト8上に印刷されたパッチ画像の一実施形態を示す模式図である。この実施形態においては、搬送ベルト8の進行方向に長辺を有する矩形のパッチ画像を採用しており、進行方向の先頭側(図の左側)からシアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(B)の順に印刷されている。ただし、本実施形態においては指定色としてイエローが選択されているために、この図においてはイエローのパッチ画像を点線で示している。
つまり、現像機停止指示部103の指示が確実に実行され、イエローの現像機3に動力を供給するためのギヤが離間していれば、イエローのパッチ画像は転写ベルト8上に検出されないはずである。それに対して、機械的あるいは電気的な不具合等により、イエローの現像機3に動力を供給するためのギヤが完全に離間していなければイエローのパッチ画像が転写ベルト8上に検出されることになる。尚、本実施形態においては、各色毎に形成されるパッチ画像の間隔を開けないようにしているが、これらパッチ画像間に間隔を設けるように構成してもよい。
図6は、パッチ画像の印刷と濃度検出との処理の流れを模式的に示す図である。搬送ベルト8は、図において反時計回り(図示のC方向)に回転しているとし、その回転速度をvとする。また、P1は指定色であるイエローのパッチ画像の印刷位置を、P2は濃度検出位置(濃度検出センサ22が濃度を測定する位置)をそれぞれ示し、P1とP2との距離は搬送ベルト8に沿ってsであるとする。つまり、P1には、イエローの画像形成ユニット2Yが配置されており、イエローのパッチ画像を印刷するものとする。以下では、印刷されたイエローのパッチ画像をPG1とし、それ以外の色(シアン,マゼンタ,ブラック)のパッチ画像は図示しない。前述の図3のステップS105におけるパッチ画像印刷時の状態が図6(a)である。
そして、搬送ベルト8の走行に伴って、濃度検出センサ22の位置まで搬送されてきたパッチ画像の濃度が、濃度検出センサ22により測定される(ステップS106)。このとき、濃度検出センサ22による濃度測定は、1つの色のパッチ画像について一度だけ行うものであってもよいし、精度を上げるために時間をずらして同じパッチ画像の中で複数回行うものであってもよい。
この濃度検出時の状態を、図6(b)に示す。パッチ画像PG1は、図6(a)に示した印刷以後、搬送ベルト8と共に移動し、濃度検出センサ22の配置されている位置P2に到達する。この移動に要する時間tは、P1−P2間の距離と、搬送ベルト8の回転速度が予めわかっているために、t=s/vとして求めることができる。つまり、タイミング指示部111は、イエローの画像形成ユニット2Yが搬送ベルト8上にパッチ画像PG1を印刷したことを検知すると、上記の式を演算し時間tを求める。そして、時間t経過後に、濃度検出センサ22に対して搬送ベルト8上のパッチ画像PG1の濃度検出を行うように指示する。これにより、図3のステップS106におけるパッチ画像の濃度測定処理が実行される。
濃度検出センサ22により測定されたイエローの濃度は、濃度判定部106において、所定濃度値以下か否かが判定される(ステップS107)。この所定濃度値は、例えば、搬送ベルト8の下地の濃度を基準として、例えばその値からの差分値という形で所定濃度値記憶部107に記憶されており、通常は「0」(ゼロ)に近い値が設定される。また、この所定濃度値は、例えば、ユーザが操作パネル118等を操作することにより、設定できるように構成されていることが好ましい。一般に濃度検出センサ22を含めた装置の読み取り誤差や、搬送ベルト8上へのトナーの不必要な付着等を取り除くことは困難であるため、状況に応じてユーザが所定濃度値の設定を行うことにより、画像形成ユニット2が非現像状態を実現しているか否かを有効に検知することができる。尚、この差分値を小さく設定すればそれだけ混色の影響を避けることができる。
そして、濃度判定部106における判定の結果、イエローの濃度が所定濃度値以下であると判定される(ステップS107でYes)と、イエローの現像機3は停止していると判断できる。そのため、イエローに関する現像機3の停止確認処理が終了したことが通知部110により通知され、例えば「イエローの現像機は停止しています。」といったメッセージが表示部130に表示される(ステップS108)。この場合は続いて、表示部130からの次の色指定があるか否かが現像機停止指示部103により判定される(ステップS109)。その結果、次の色指定がある場合(ステップS109でYes)にはステップS102に戻り以降の処理を行い、次の色指定がない場合(ステップS109でNo)にはテストモードにおける現像機3の停止確認処理を終了する。
それに対して、イエローの濃度が所定濃度値より高いと判定される(ステップS107でNo)と、イエローの現像機3は停止していないと判断できるので、濃度判定部106からの通知を受けた濃度検出カウンタ108はカウント値Nを1だけ増やす(ステップS110)。続いて、不具合判定部112は、濃度検出カウンタ108のカウント値Nを読み取り、その値が所定回数記憶部110に記憶されている回数「2」より小さい「1」であるので(ステップS111でYes)ステップS104に戻り、再度、現像機停止指示部103に通知し、指定色のDLPの停止を指示させる。これにより、各色の現像機3を停止させる確実性を高めることができる。
以下、前述のステップS104以降の処理を繰り返すことになる。つまり、現像機停止指示部103は、再度ソレノイド部材56に指示しアイドルギヤ53と出力ギヤ55とを離間させ、指定色のDLPの停止を行うよう指示する(ステップS104)。次に、パッチ画像形成部104は、パッチ画像記憶部105に記憶されているパッチ画像の中から所定の画像を読み出し、図6(c)に示したように、パッチ画像を搬送ベルト8上に印刷する2回目の処理を行わせる(ステップS105)。このとき印刷されたパッチ画像をPG2とすると、このパッチ画像PG2は、前述のPG1と同様に、時間t(=s/v)経過後に濃度検出センサ22が配置されている位置P2に到達する(図6(d))。この場合も前述の処理の流れと同様に、タイミング指示部111が、時間t経過後に、濃度検出センサ22に対して搬送ベルト8上の濃度検出を行うように指示する。
このとき、前回(1回目)とは異なり、現像機停止指示部103により指定色のDLPの停止が実現された場合には、ステップS105においてパッチ画像を印刷しても、イエローの現像機3は停止しているので、その色に対しては所定濃度値より高い濃度のパッチ画像は検出されない。そのため、ステップS107において、濃度判定部106は、イエローの濃度が所定濃度値以下であると判定し、通知部110により表示部130にその旨表示される(ステップS108)。
しかしながら、1回目と同じく、現像機停止指示部103が指定色のDLPの停止を指示しているにも拘らず、その停止が実現されていない場合には、ステップS105においてパッチ画像を印刷すれば、イエローの現像機3は停止していないため、その色に対しても所定濃度値より高い濃度のパッチ画像が検出される。そのため、ステップS107において、濃度判定部106は、イエローの濃度が所定濃度値より高いと判定し、濃度検出カウンタ108のカウント値Nを1だけ増やす(ステップS110)。
これにより、濃度検出カウンタ108のカウント値Nは「2」となり、所定回数記憶部109に記憶されている回数と等しくなるため、不具合判定部112は、ステップS111でNoと判定し、機械的あるいは電気的な不具合(故障)が発生していると判断し、表示部130に例えば「イエローの現像機は停止していません。」といったメッセージを表示させる(ステップS112)。これにより、テストモード起動の指示を行ったユーザは、現像機3停止時に不具合が発生したことを有効にかつ速やかに知ることができる。
以上説明した実施形態においては、選択された単色である指定色が「イエロー」であるとして説明したが、本発明に係る実施形態はそれに限られず、指定色はプリンタ1に備えられている他の色、例えばシアン,マゼンタ,ブラック等であっても構わない。いずれの色が指定色として選択された場合であっても、当該指定色の画像を形成する現像機3が非現像状態へ切り替わっているか否かを個別に検知することが可能である。これにより、画像形成時に用いられていない現像機3を個別に、かつ確実に非現像状態にし、現像機3の消耗を低減させることができる。
また、本実施形態においては、現像機停止指示部103が指定色のDLPの停止を指示しているにも拘らず、その停止が実現されていないことが2回発生すると故障であると判断して印刷処理を終了するとして説明したが、それに限られることなく、その回数はユーザの意向により3回以上であってもよい。また、故障であるか否かを判断する境目となる所定回数は、例えば、ユーザが操作パネル118を操作することにより設定でき、その回数が所定回数記憶部110に記憶されるように構成されていることが好ましい。これにより、状況に応じてユーザが所定の回数の設定を行うことが可能になり、不具合が発生した場合に有効にユーザに通知することができる。
以上説明した実施形態においては、搬送ベルト8と画像形成ユニット2C,2M,2Y,2Bとを離間させることなく、画像形成ユニット2C,2M,2Y,2Bへの動力を切り離すことで非現像状態を実現している。そのため、搬送ベルト8と画像形成ユニット2C,2M,2Y,2Bとの離間に必要な部材を備える必要がなく、コストを削減することができる。また、搬送ベルト8と画像形成ユニット2C,2M,2Y,2Bとの離間のためのスペース確保が不必要であるために、装置本体のコンパクト化を実現できる。
さらに、画像形成ユニット2C,2M,2Y,2Bが非現像状態を実現しているか否かを、搬送ベルト8上に形成されたパッチ画像の濃度を直接確認することで判定する構成となっているので、画像形成ユニット2C,2M,2Y,2Bが非現像状態を実現しているか否かを確実に検知することができる。これにより、混色を防ぐことができるので、画質の低下を抑えることが可能となる。
[他の好ましい実施形態]
(A)以上説明した実施形態においては、図5に示したように、濃度検出用画像としてのパッチ画像の形状は矩形であるとして説明した。しかしながら、本発明の実施形態はそれに限られず、濃度検出センサ22によって検出できるように構成されていれば、パッチ画像の位置、形状及び大きさ等は任意でよく、又同色及び他色のパッチ画像間の間隔も任意でよい。
(B)以上説明した実施形態においては、図4に示したように、現像機停止指示部103がソレノイド部材56の鉄心ロッド58の伸縮により解離アーム54の回転方向を調節し、アイドルギヤ53と出力ギヤ55との接触状態を制御していた。しかしながら、本発明の実施形態はそれに限られず、表示部130を操作することによりユーザが指定色を指定した際に、当該指定色の画像を形成するDLPへ動力を供給する出力ギヤ55に、駆動モータ51の動力が伝達されない構成となっていればよい。
(C)以上説明した実施形態においては、タンデム方式を採用したカラープリンタの搬送ベルト8に直接パッチ画像を形成させるとして説明した。しかしながら、本発明の実施形態はそれに限られず、例えば、C,M,Y,Bの4色が一体となった画像形成ユニットを用い、各色の画像形成ユニットを回転させてカラー印刷を行う、所謂4サイクル(1ドラム)方式における転写ベルトや感光体ドラム上に形成されたパッチ画像を用いることも可能である。つまり、本実施形態においては、転写ベルトや感光体ドラムが像担持体の一形態である。
(D)以上説明した実施形態においては、転写ベルト8上に形成されたパッチ画像の濃度を濃度検出センサ22が検出することにより、画像形成ユニット2が停止しているか否かを判定するとして説明した。しかしながら、本発明の実施形態はそれに限られず、例えば、ユーザが表示部130を操作しテストモードが起動された後、排出部16に排出された記録紙に転写されたパッチ画像の濃度をユーザが目視により調べる構成であってもよい。さらには、濃度を検知するための画像はパッチ画像である必要はなく、例えば、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの色がそれぞれ含まれ、それらが単色で印刷され他の色と重ならない領域が含まれる画像であれば構わない。
(E)以上説明した実施形態においては、ユーザが表示部130を操作することによってテストモードが起動されるとして説明した。しかしながら、本発明の実施形態はそれに限られず、例えば、ネットワークプリンタシステムにおいて、I/F119を介して接続されたPC120の操作部131をユーザが操作することによってテストモードが起動され、さらに停止確認を行う色の指定を行う形態であってもよい。つまり、本実施形態においては、操作部131が指定手段の一形態である。
また、本実施形態の場合には、図3のステップS108における停止確認の通知や、ステップS112における不具合発生の通知等は、プリンタ1の表示部130になされるのではなく、PC120に通知され、PC120の表示部132に表示されることが好ましい。つまり、本実施形態においては、通知部110及びPC120の表示部132が通知手段としての機能を有し、不具合判定部112及びPC120の表示部132が不具合判定手段としての機能を有する。
(F)以上説明した実施形態においては、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの4色の画像形成ユニット2を備えるプリンタ1を例として挙げて説明したが、本発明の実施形態はそれに限られず、少なくとも2色の画像形成ユニット2を備えていればよい。この場合においても、ユーザが特定の1色を指定し、当該色の画像を形成する画像形成ユニット2のみの停止確認を行うことができる。