しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、感光ドラムと転写ベルトとを離間させる指示がなされた後に、何らかの不具合により、実際には離間が行われない場合がある。そのときにはブラックだけでなく、シアン,マゼンタ,イエロー等のカラー用の現像装置が現像可能状態になっているので、混色により画質の低下を招くという問題点があった。また、感光ドラムと転写ベルトとを離間させるためのスペースが余分に必要となるため、画像形成装置が大型化するという不具合もある。さらには、感光ドラムと転写ベルトとを離間させることで、カラー現像機の非現像状態を実現しているが、このときカラー現像機自体は停止していない。そのため、カラートナーの不必要な消費と、微粉末になることによるカラートナーの寿命の低下という問題もある。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、複数色の現像装置を有するタンデム方式を採用した画像形成装置において、モノクロ印刷時に、感光ドラムとベルトとを離間させることなく、カラー現像機を確実に非現像状態にし、画質の低下を抑えることを目的とする。
請求項1記載の発明は、一定速度で回転する像担持体と、第1の駆動部からの動力を受け、前記像担持体上に黒色の画像を形成する第1の画像形成手段と、第2の駆動部からの動力を受け、前記像担持体上に黒色以外の画像を形成する第2の画像形成手段と、前記第2の駆動部から前記第2の画像形成手段への動力の伝達を切り替える切り替え手段と、前記第1及び第2の画像形成手段の全てに画像形成を行わせる全色転写モードが選択されている場合には、前記第1及び第2の駆動部からの動力を前記第1及び第2の画像形成手段の全てにそれぞれ伝達させ、一方、前記第1の画像形成手段のみに画像形成を行わせる単色転写モードが選択されている場合には、前記第1の駆動部からの動力を前記第1の画像形成手段に伝達させ、かつ前記第2の駆動部からの動力は前記第2の画像形成手段に伝達しないように、前記切り替え手段を制御して切り替えを行わせる駆動制御手段と、を備え、前記第1の画像形成手段及び前記第2の画像形成手段が像担持体の回転方向に沿って並設されて構成された画像形成装置であって、前記画像形成装置は、前記単色転写モードが選択され、前記切り替え手段により前記第2の駆動部から前記第2の画像形成手段への動力の伝達が切り離された後、前記第2の画像形成手段により前記像担持体上に形成された所定の濃度検出用画像の濃度を測定する濃度測定手段と、前記濃度測定手段により測定された黒色以外の濃度検出用画像の濃度に基づいて、前記第2の画像形成手段が現像可能な状態にあるか否かを判定する判定手段と、をさらに備えることを特徴とする。
この構成によれば、単色転写モードが選択された際に、第2の駆動部からの動力が第2の画像形成手段に伝達されている場合には、駆動制御手段は切り替え手段を制御して、第2の駆動部からの動力を切り離し、第2の画像形成手段に伝達しないようにする。しかしながら、機械的な不具合等で第2の画像形成手段が停止していない場合が想定される。この状況においては、例えば、駆動制御手段が切り替え手段を制御して第2の駆動部からの動力を切り離す処理を指示したことが検知されたとしても、第2の画像形成手段が確実に停止したか否かを確認できたことにはならない。
そこで、切り替え手段が第2の駆動部からの動力を切り離した後、像担持体上に所定の濃度検出用画像を形成させ、濃度測定手段により当該濃度検出用画像の濃度を測定させる。この濃度測定手段は、像担持体上の濃度検出用画像の濃度を直接測定するので、第2の画像形成手段が現像可能な状態か否かを確実に検知し得る。ここで、像担持体とは、例えば、第1及び第2の画像形成手段等により直接にその上に画像が形成されるような転写ベルトや感光体ドラムのみならず、通常は記録紙の搬送用としてしか用いられない搬送ベルト等も含むものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置であって、前記判定手段は、前記濃度測定手段により測定された濃度値と予め設定された所定濃度値とを比較し、前記濃度測定手段により測定された濃度値が所定濃度値よりも高い場合、前記第2の画像形成手段が現像可能な状態にあると判定することを特徴とする。
この構成によれば、判定手段は、予め設定された所定濃度値を基準として、濃度測定手段により測定された濃度値がその濃度値より高い場合には第2の画像形成手段が現像状態にあると判定し、濃度測定手段により測定された濃度値がその濃度値以下の場合には第2の画像形成手段が非現像状態にあると判定する。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の画像形成装置であって、前記所定濃度値を設定可能なユーザ設定手段をさらに備えることを特徴とする。この構成によれば、濃度測定手段により測定された濃度値と比較すべき所定濃度値を、ユーザ設定手段により設定し得る。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置であって、前記判定手段による判定の結果、第2の画像形成手段が現像可能な状態にあると判定された場合、前記駆動制御手段に通知し前記切り替え手段に前記第2の駆動部の動力を前記第2の画像形成手段から再度切り離す処理を行わせる不具合判定手段をさらに備えることを特徴とする。
この構成によれば、駆動制御手段に制御された切り替え手段が一度、第2の駆動部から第2の画像形成手段への動力を切り離す処理を行ったにも拘らず、第2の画像形成手段が現像可能な状態にあると判定された場合には、不具合判定手段はその旨を駆動制御手段に通知し、再度、第2の駆動部の動力を第2の画像形成手段から切り離す指示を切り替え手段に与え、第2の画像形成手段の停止を行わせる。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置であって、前記判定手段による判定の結果、第2の画像形成手段が現像可能な状態にあると判定された回数をカウントするカウント手段をさらに備え、前記不具合判定手段は、前記カウント手段によりカウントされた回数が、予め設定された所定の回数未満のとき、前記駆動制御手段に通知し前記切り替え手段に前記第2の駆動部の動力を前記第2の画像形成手段から再度切り離す処理を行わせ、かつ前記カウントされた回数が前記所定の回数と等しくなると、前記第1及び第2の画像形成手段を制御して画像形成処理を終了させることを特徴とする。
この構成によれば、単色転写モードが指示されてから、駆動制御手段に制御された切り替え手段が第2の駆動部から第2の画像形成手段への動力を切り離す処理を行ったにも拘らず、第2の画像形成手段が停止していない回数がカウント手段によりカウントされている。そして、この回数が予め設定された回数に達するまでは、繰り返し駆動制御手段に通知し、切り替え手段に切り離し処理を行わせる。そして、カウント手段によりカウントされている回数が予め設定された回数と等しくなると、不具合判定手段は、第1及び第2の画像形成手段を制御し、画像形成処理を終了させる。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の画像形成装置であって、前記ユーザ設定手段は、さらに前記所定の回数を設定可能に構成されていることを特徴とする。この構成によれば、前記カウント手段によりカウントされた、前記濃度測定手段により測定された濃度値が所定濃度値よりも高いと判定された回数と比較すべき回数を、ユーザ設定手段により設定し得る。
請求項7記載の発明は、請求項5又は6に記載の画像形成装置であって、前記画像形成装置は、画像データを送出し当該画像データの画像形成処理を指示する少なくとも1台の端末とネットワーク接続可能に構成されており、前記不具合判定手段は、画像形成処理を終了させた場合に、不具合発生信号を当該画像形成処理を指示した端末にさらに通知することを特徴とする。
この構成によれば、端末から単色転写モードの画像形成が指示されたにも拘らず、有効に第2の画像形成手段を停止できなかったため、画像形成処理自体を停止させた場合には、不具合判定手段により、当該画像形成処理を指示した端末に対して不具合発生信号が通知される。
請求項8記載の発明は、画像形成装置に対して画像データを送出し当該画像データの画像形成処理の指示を行う少なくとも1台の端末と、請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成装置と、をネットワーク接続したネットワークプリンタシステムであって、前記端末は、前記不具合判定手段により通知された前記不具合発生信号を受信すると、不具合の発生したことを表示する表示手段を備えることを特徴とする。
この構成によれば、端末から単色転写モードの画像形成が指示されたにも拘らず、有効に第2の画像形成手段を停止できなかったため、画像形成処理自体を停止させた場合には、当該画像形成処理を指示した端末に対して不具合発生信号が通知される。そして、当該不具合発生信号を受信すると、表示手段は画像形成装置における単色転写モードの画像形成の際に不具合が発生したことを表示する。
請求項1記載の発明によれば、単色転写モード時に、像担持体と第2の画像形成手段とを離間させることなく、第2の画像形成手段への動力を切り離すことで非現像状態を実現している。そのため、像担持体と第2の画像形成手段との離間に必要な部材を備える必要がなく、コストを削減することができる。また、像担持体と第2の画像形成手段との離間のためのスペース確保が不必要であるために、装置本体のコンパクト化を実現できる。
さらに、第2の画像形成手段が非現像状態を実現しているか否かを、像担持体上に形成された濃度検出用画像の濃度を直接確認することで判定する構成となっているので、単色転写モード時に、第2の画像形成手段が非現像状態を実現しているか否かを確実に検知することができる。これにより、混色を防ぐことができるので、画質の低下を抑えることが可能となる。
請求項2記載の発明によれば、第2の画像形成手段が非現像状態を実現しているか否かを、像担持体上に所定濃度値より高い濃度を有する濃度検出用画像が形成されていないことで確認する構成となっている。このように所定濃度値という幅を設けたことで、濃度測定手段を含めた装置の読み取り誤差や、像担持体上へのトナーの不必要な付着等の避けることが困難な状況を除外でき、単色転写モード時に、第2の画像形成手段が非現像状態を実現しているか否かを高い精度で検知することができる。これにより、混色を防ぐことができるので、画質の低下を抑えることが可能となる。
請求項3記載の発明によれば、濃度測定手段により測定された濃度値と比較すべき所定濃度値を、ユーザ自身が設定することができる。通常、第2の画像形成手段が停止していれば像担持体上に黒色以外の画像は形成されないため、この黒色以外の色の濃度は検出されないはずである。しかしながら、一般に濃度測定手段を含めた装置の読み取り誤差や、像担持体上へのトナーの不必要な付着等を取り除くことは困難であるため、状況に応じてユーザが所定濃度値の設定を行うことにより、第2の画像形成手段が非現像状態を実現しているか否かを有効に、かつユーザの好みに応じた形で検知することができる。
請求項4記載の発明によれば、第2の画像形成手段が停止していない場合には、再度、駆動制御手段から第2の画像形成手段への動力を切り離す指示が出される。そのため、第2の画像形成手段を停止させる確実性を高めることができる。
請求項5記載の発明によれば、機械的あるいは電気的な不具合等により第2の画像形成手段を停止させることができない場合には、画像形成処理自体を終了させるので画質の低下した状態での画像形成が行われず、トナーや記録紙の無駄をなくすことができる。
請求項6記載の発明によれば、カウント手段によりカウントされた回数と比較すべき所定の回数を、ユーザ自身が設定することができる。通常、駆動制御手段の判定に基づいて、切り替え手段が第2の画像形成手段への動力を切り離す処理を行えば、第2の画像形成手段は停止し、像担持体上に黒色以外の画像は形成されないため、この黒色以外の色の濃度は検出されないはずである。しかしながら、一般に機械的あるいは電気的な不具合等により、一度の処理では第2の画像形成手段が非現像状態を実現しないことも想定されるため、状況に応じてユーザが所定の回数の設定を行うことにより、不具合が発生した場合に有効に画像形成処理を終了させることができる。
請求項7記載の発明によれば、端末から単色転写モードの画像形成が指示されたにも拘らず、有効に第2の画像形成手段を停止できなかった場合には、当該画像形成処理を指示した端末に対して不具合発生信号が通知されるので、当該端末のユーザに不具合が発生したことを有効にかつ速やかに伝達することができる。
請求項8記載の発明によれば、端末から単色転写モードの画像形成が指示されたにも拘らず、有効に第2の画像形成手段を停止できなかった場合には、当該端末は不具合発生信号を受信する。これにより、表示手段は画像形成装置において不具合が発生したことを表示するので、単色転写モードの画像形成を指示したユーザに不具合が発生したことを有効にかつ速やかに伝達することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について図面を参照して説明する。以下、本実施形態においては、画像形成装置の一例としてタンデム方式のカラープリンタを取り上げて説明するが、本発明に係る実施形態はそれに限られることなく、タンデム方式を採用したコピー機やファクシミリ等の画像形成装置に適用可能である。
タンデム方式のカラープリンタにおいては、記録紙を吸着して搬送するための搬送ベルトが備えられている。通常の印刷時には、搬送ベルトに直接画像を形成することはないが、色調整を行う際には、この搬送ベルト上に濃度検出用画像としてのパッチ画像を形成することが従来から行われている。以下に説明する本発明に係る一実施形態は、この搬送ベルトに形成されたパッチ画像を有効に利用するものである。そのため、ハードウェアとして新たな機能を備える必要はなく、ソフトウェアの変更だけで本発明に係る技術を実現できる。
図1は、本発明に係る画像形成装置の一例としてのプリンタの内部構成を概略的に示す図である。図1に示すように、プリンタ1には、シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(B)の各色別に画像形成ユニット2C,2M,2Y,2Bが設けられている。各画像形成ユニット2C,2M,2Y,2B内には、現像装置3と、感光体ドラム4と、帯電部5と、露光部(LEDプリントヘッドユニット等)6と、トナー供給部7と、クリーニング部21と、転写ローラ9とがそれぞれ備えられている。トナー供給部7は、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの各色毎に設けられており、それぞれ7C,7M,7Y,7Bと表示している。各現像装置3には、その上方に配設されるトナー供給部7から供給されるトナーを感光体ドラム4に供給するための現像ローラ(現像剤担持体)31が設けられている。
現像ローラ31は、例えば、その表面がアルミ等の非磁性材料から構成される円筒状の現像スリーブとされ、この現像スリーブの内部には磁石材料等が配設されている。現像ローラ31には、トナーとキャリア(磁性体)からなる現像剤(2成分現像剤の場合)が磁石材料の磁力で吸着され、現像ローラ31が図中の矢印方向(反時計回りの方向)に回転することで、現像装置3内の現像剤のうちトナーのみが感光体ドラム4の表面に移動するようになっている。
現像装置3には、a−Si(アモルファスシリコン)等からなる感光体ドラム(潜像担持体)4が各色別にそれぞれ備えられ、図1における時計回りの方向(図示のA方向)に回転するように構成されている。この感光体ドラム4が帯電部5によって一様に帯電され、外部PC(パーソナルコンピュータ)等から入力された原稿画像データに基づくLED光が露光部6から感光体ドラム4の表面上に照射されて静電潜像が形成され、この静電潜像にトナーが付着してトナー像が形成される。
これら各色用に感光体ドラム4が並設されている下方には、一定速度で回転する搬送ベルト(像担持体)8が配設されている。ここで、画像形成ユニット2B(第1の画像形成手段)は、当該搬送ベルト8上又は搬送ベルト8上に載置された転写紙に黒色の画像を形成し、画像形成ユニット2C,2M,2Y(それぞれ第2の画像形成手段)は、当該搬送ベルト8上又は搬送ベルト8上に載置された転写紙に黒色以外(シアン,マゼンダ,イエロー)の画像を形成する。
そして、これら画像形成ユニット2C,2M,2Y,2Bは、搬送ベルト8の回転方向に沿って並設されて構成(タンデム方式)されている。ここで、画像形成ユニット2B及び画像形成ユニット2C,2M,2Yの全てに画像形成を行わせる場合をカラー印刷モード(全色転写モード)といい、画像形成ユニット2Bのみに画像形成を行わせる場合をモノクロ印刷モード(単色転写モード)という。
また、搬送ベルト8は、転写ローラ9によって各感光体ドラム4に押し付けられた状態とされ、図略のモータ等によって回転駆動される駆動ローラ(本実施形態では下流側ローラ)10と、この駆動ローラ10によって無端回転される搬送ベルト8に従って回転する従動ローラ(本実施形態では上流側ローラ)11とによって感光体ドラム4の回転方向の順方向(図示のB方向)に回転されるように構成されている。
そして、給紙カセット12から搬送路13を経由して搬送ベルト8側に記録紙が搬送されていき、レジストローラ17によって各感光体ドラム4及び転写ローラ9等による画像転写動作と給紙動作のタイミングが調整される。当該タイミングの調整後、レジストローラ17が回転駆動されて記録紙が感光体ドラム4と搬送ベルト8との間に搬送される。記録紙が各感光体ドラム4と搬送ベルト8との間を搬送されていく間に各感光体ドラム4表面の各色のトナー像が、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの順に次々に記録紙に転写される。全ての感光体ドラム4によってトナー像が転写された記録紙は定着装置14に搬送されてトナー像が定着され、カラー画像が形成される。
また、本発明に係る実施形態においては、モノクロ印刷の際には、ブラック以外の色の画像形成ユニット2C,2M,2Yの駆動部分、例えば、現像装置3内の現像ローラ31や、トナーホッパ内の攪拌スクリュー等(以下、適宜、これら駆動部分をまとめてDLPといい、特にブラックを除いたシアン,マゼンタ,イエロー等の駆動部分をカラーDLPという。)を全て停止する。これによりブラックのトナー像が転写された記録紙は定着装置14に搬送されてトナー像が定着され、モノクロ画像が形成される。
カラー画像及びモノクロ画像のいずれの画像が形成された記録紙も、定着装置14を通過した後、記録紙搬送路15に送られ排出部16から排出される。なお、上記の各感光体ドラム4には、感光体ドラム4上の残留トナー等を除去するクリーニング部21が備えられている。
なお、各色用の画像形成ユニット2C,2M,2Y,2Bの中で最も上流側に配置されたシアン用の画像形成ユニット2Cの更に上流側には、記録紙を搬送ベルト8に静電吸着させる吸着ローラ18が設けられている。この吸着ローラ18は搬送ベルト8及び従動ローラ11に対向する位置に、搬送ベルト8を介して従動ローラ11に当接するように設けられている。
また、プリンタ1は、カラー画像形成用に設けられた画像形成ユニット2C,2M,2Y,2Bの各々から、搬送ベルト8上に直接にパッチ画像(濃度検出用画像)を転写可能となっている。この搬送ベルト8上に転写されて形成されたパッチ画像は、搬送ベルト8の走行方向において各色用の画像形成ユニット2C,2M,2Y,2Bの下流側に設けられた光センサ等からなる濃度検出センサ(濃度測定手段)22によって濃度が測定されるようになっている。なお、この濃度検出後は図略の清掃部材によって、パッチ画像は搬送ベルト8上から除去される。
図2は、プリンタ1の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。プリンタ1には、プリンタ1全体の制御を司る制御部100が備えられている。この制御部100は、印刷モード識別部101、濃度校正部102、カラーDLP停止指示部(駆動制御手段)103、パッチ画像形成部104、パッチ画像記憶部105、濃度判定部(判定手段)106、所定濃度値記憶部107、濃度検出カウンタ(カウント手段)108、不具合判定部(不具合判定手段)109、所定回数記憶部110、タイミング指示部111、及び通信制御部112を備える構成である。
印刷モード識別部101は、画像形成時において、カラー印刷あるいはモノクロ印刷のいずれの印刷モードが選択されているかを識別する。濃度校正部102は、例えば、カラー印刷モードからモノクロ印刷モードに切り替えられたときに、濃度検出センサ22の濃度校正(キャリブレーション)を行う。これは、例えば、濃度検出センサ22に搬送ベルト8の下地の色を検出させ、その出力値が所定濃度値となるように、濃度検出センサ22のコントロール電圧を設定すること等により行われる。
カラーDLP停止指示部103は、モノクロ印刷が指示されたことが印刷モード識別部101から通知されると、カラー(ブラック以外のシアン,マゼンタ,イエロー等)DLPの停止を行うよう指示する。これは、例えば、シアン,マゼンタ,イエローのカラーDLPに駆動モータからの動力を供給するためのギヤを離間させること等により行われる。
パッチ画像記憶部105は、濃度検出用画像であるパッチ画像の形状、大きさ等を記憶する。パッチ画像形成部104は、パッチ画像記憶部105に記憶されているパッチ画像の中から所定の画像を読み出し、画像形成ユニット2C,2M,2Y,2Bを制御することで、当該パッチ画像を搬送ベルト8上に印刷する処理を行わせる。
所定濃度値記憶部107は、例えば、搬送ベルト8の下地の色を基準として、その値からの差分値という形で所定濃度値を記憶している。このように所定濃度値という幅を設けたことで、濃度検出センサ22を含めた装置の読み取り誤差や、搬送ベルト8上へのトナーの不必要な付着等の避けることが困難な状況を除外でき、単色転写モード時に、第2の画像形成手段が非現像状態を実現しているか否かを確実に検知することができる。濃度判定部106は、濃度検出センサ22により測定された濃度が、搬送ベルト8の下地の色として所定濃度値記憶部107に記憶されている濃度に対して、当該所定濃度値以下か否かを判定する。
濃度検出カウンタ108は、カラーDLP停止指示部103によりカラーDLPの停止が指示されているにも拘らず、シアン,マゼンタ,イエローのいずれか1色のパッチ画像が搬送ベルト8上で検出された回数をカウントする。所定回数記憶部110は、カラーDLP停止指示部103によりカラーDLPの停止が指示されているにも拘らず、停止が確認されない回数が何回なら故障とするか、その所定回数を記憶する。不具合判定部109は、濃度検出カウンタ108のカウント値を読み取り、その値が所定回数記憶部110に記憶されている所定回数未満であればカラーDLP停止指示部103にその旨を通知し、所定回数以上であれば故障であると判定する。
タイミング指示部111は、シアン,マゼンタ,イエローの画像形成ユニット2C,2M,2Yが搬送ベルト8上にパッチ画像を印刷したことを検知すると、当該パッチ画像が濃度検出センサ22に検知される位置に到達する時間を演算し、当該時間経過後に、濃度検出センサ22に対して搬送ベルト8上の濃度検出を行うように指示する。通信制御部112は、PC(パソコン)120からの種々の信号をプリンタ1内の各機能部に送出したり、PC120へ種々の信号を送出したりする。
また、制御部100には、搬送ベルト8上のパッチ画像等の濃度を測定する濃度検出センサ22が接続されている。さらに、制御部100には、本発明に係るカラーDLP停止処理を実行するためのプログラムを含む装置全体の動作プログラム等を記憶したROM(Read Only Memory)140と、画像データ等を一時的に格納すると共に作業領域として機能するRAM(Random Access Memory)141とが接続されている。制御部100は、ROM140に記憶されている上記プログラムに従って、濃度検出センサ22によって検出された搬送ベルト8上の濃度検出用画像の濃度に基づいて、本発明に係るカラーDLP停止処理を実行する。
また、制御部100には、各色用の画像形成ユニット2C,2M,2Y,2Bが接続されており、制御部100は、各画像形成ユニット2C,2M,2Y,2Bに備えられている帯電部5、露光部6、現像装置3、感光体ドラム4等と、定着装置14とを制御する。図2では、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラック用の各画像形成ユニットを1つの記録部で示しているが、実際には各色用にそれぞれの記録部が制御部100に接続されて制御される。さらに、制御部100は、カラーDLPの停止を実現するためにギヤの離間を制御するソレノイド部材56と接続されている。
また、制御部100は、ユーザ(操作者)からの印刷指示や各種設定等が可能なボタン等、及び種々の情報が表示可能な表示部130を備える操作パネル(ユーザ設定手段)118と接続されている。この表示部130は、制御部100から送られてきた情報を表示するとともに、ユーザが種々の操作指令を入力するための種々の操作ボタン等を表示する。さらに、制御部100は、インターフェイス(I/F)119を介してPC120と接続されている。このPC120は、プリンタ1からの種々の信号をPC120内の各機能部に送出したり、プリンタ1へ種々の信号を送出したりする通信制御部131、及び通信制御部131を介してプリンタ1から受け取った種々の情報を表示し、ユーザに伝達するための表示部132とを備える。また、プリンタ1はこのPC120等から入力される画像データに基づいて画像形成を行う。
次に、カラーDLP停止処理について説明する。図3は、カラーDLP停止処理の流れを示すフローチャートである。本発明に係るカラーDLP停止処理は、例えば、プリンタ1においてカラー印刷からモノクロ印刷に切り替えた直後や、操作パネル118からユーザによる実行指示があった場合等に実行される。また、本実施形態においては、所定回数記憶部110に、所定回数として「2」が記憶されているとする。
まず、プリンタ1の通信制御部112は、インターフェイス119を介してPC120のユーザからの印刷指示を受け取る(ステップS1)と、印刷指示があったことを印刷モード識別部101に通知する。続いて、制御部100内の印刷モード識別部101は、当該指示された印刷がカラー印刷かあるいはモノクロ印刷かを識別する(ステップS2)。その結果、カラー印刷であると識別する(ステップS2でNo)と、通常のカラー印刷を行い(ステップS3)、印刷処理を終了する。
それに対して、印刷モード識別部101において、当該指示された印刷がモノクロ印刷であると識別される(ステップS2でYes)と、印刷モード識別部101は濃度検出カウンタ108のカウント値Nを初期値(=0)にリセットする(ステップS4)。このカウント値Nは、後述するように、カラーDLPの停止が指示されているにも拘らず、シアン,マゼンタ,イエローのパッチ画像が搬送ベルト8上で検出された回数をカウントするためのものである。
続いて、濃度校正部102は、印刷モード識別部101からモノクロ印刷が指示されている旨の通知を受け、濃度検出センサ22の濃度校正を行わせる(ステップS5)。これは、濃度検出センサ22に搬送ベルト8の下地の色を検出させ、その出力値が所定濃度値となるように、濃度検出センサ22のコントロール電圧を設定すること等により行われる。尚、濃度校正時の濃度検出センサ22による測定は基本的には1回でよいが、時間に余裕がある場合は複数回行うことにより精度を高めるようにしてもよい。また、当該濃度校正は、モノクロ印刷が指示される度に毎回行う必要はなく、予め設定された回数毎に行うような構成でも構わない。
続いて、カラーDLP停止指示部103は、印刷モード識別部101からモノクロ印刷が指示されている旨の通知を受け、シアン,マゼンタ,イエローの現像装置3等に駆動モータからの動力を供給するためのギヤを離間させることにより、カラーDLPの停止を行うよう指示する(ステップS6)。
図4は、カラーDLPに動力を供給する駆動モータからの動力伝達の流れの一実施形態を説明するための模式図であり、(a)はギヤが連結しており、カラーDLPに動力が伝達されている状態、(b)はギヤが離間しており、カラーDLPに動力が伝達されていない状態をそれぞれ表す。駆動モータ(第2の駆動部)51は、ブラック以外、つまりシアン,マゼンタ,イエローのカラーDLPに動力を供給するためのモータである。この駆動モータ51は、シアン,マゼンタ,イエローのカラーDLPの駆動用にそれぞれ1つずつ設けられていてもよいし、1つで上記3色のカラーDLPの駆動を一体的に行うように構成してもよい。
この駆動モータ51の回転軸にはピニオンギヤ52が固着されており、駆動モータ51の動力はピニオンギヤ52、及び当該ピニオンギヤ52に当接されたアイドルギヤ53を介して出力ギヤ55に伝達される。このとき、アイドルギヤ53が元の位置にあるときには出力ギヤ55と当接し動力を受けることができるが、アイドルギヤ53が図の下方に移動させられると出力ギヤ55とは離間し動力を受けることができなくなるとする。出力ギヤ55に伝達された動力は、現像装置3内の現像ローラ31や図略の攪拌スクリュー等のカラーDLPを回転させるために用いられる。また、駆動モータ51には、当該駆動モータ51の回転軸を中心に、さらに解離アーム54が回動自在に備えられており、解離アーム54の上部にはL字形部材59を介してソレノイド56及びコイルスプリング57が接続されている。
本実施形態においては、これらアイドルギヤ53、解離アーム54、出力ギヤ55、ソレノイド部材56、コイルスプリング57、鉄心ロッド58、L字形部材59、及び支持軸60は、カラーDLP停止指示部103の判定に基づいて、駆動モータ51から画像形成ユニット2C,2M,2Y中の現像ローラ31や攪拌スクリュー等のカラーDLPへの動力を伝達するか否かを切り替える切り替え手段としての機能を有する。
まず、図4(a)に示す連結状態は、プリンタ1が全色転写モードに設定された、いわゆるカラー印刷を行う状態である。この状態においては、印刷モード識別部101からカラー印刷が指示されたことを通知されたカラーDLP停止指示部103がソレノイド部材56のソレノイドを励磁しない。そのため、鉄心ロッド58は縮んだままの状態であり、L字形部材59はコイルスプリング57により支持軸60を中心に反時計回りの付勢力を受ける。これにより、解離アーム54は駆動モータ51の回転軸を中心に時計回りの付勢力を受ける。そのため、アイドルギヤ53は元の位置のままであり、出力ギヤ55とアイドルギヤ53とは当接し、出力ギヤ55はアイドルギヤ53を介して駆動モータ51の動力を受け取れる連結状態にある。
尚、ブラックのDLPに動力を供給する出力ギヤ55は、前述の図4とは異なり、プリンタ1がカラー印刷モードに設定されているか、あるいはモノクロ印刷モードに設定されているかに拘らず、常にアイドルギヤ53に当接されて、駆動モータ(第1の駆動部)51からの動力供給を受けている。したがって、この連結状態においては、シアン,マゼンタ,イエロー及びブラックの全ての現像装置3が駆動しており、カラー印刷を行うことができる。
それに対し、図4の(b)に示す離間状態は、プリンタ1が単色転写モードに設定された、いわゆるモノクロ印刷を行う状態である。この状態においては、印刷モード識別部101からモノクロ印刷が指示されたことを通知されたカラーDLP停止指示部103がソレノイド部材56のソレノイドを励磁する。そのため、鉄心ロッド58は伸展し、L字形部材59は支持軸60を中心に時計回りの付勢力を受ける。これにより、解離アーム54は駆動モータ51の回転軸を中心に反時計回りの付勢力を受ける。そのため、アイドルギヤ53は解離アーム54の動きに伴って下方に移動させられ、出力ギヤ55と離間する。
したがって、出力ギヤ55はアイドルギヤ53を介して駆動モータ51の動力を受けることができない離間状態にある。つまり、この離間状態においては、シアン,マゼンタ,イエローの現像装置3内の現像ローラ31や、トナーホッパ内の攪拌スクリュー等は駆動しておらず、ブラックの現像装置3のみが駆動しているため、モノクロ印刷が行われる。以上説明したように、カラーDLP停止指示部103は、ソレノイド部材56を制御することにより、図4(b)に示した離間状態を実現し、カラーDLPの停止を行わせる。これにより、カラートナーを不必要に消費することもなく、かつ微粉末になることによるカラートナーの寿命の低下を抑制することができる。
次に、図2及び図3に戻ると、パッチ画像形成部104は、パッチ画像記憶部105に記憶されているパッチ画像の中から所定の画像を読み出し、帯電部5、露光部6、現像装置3、感光体ドラム4等を制御して、濃度検出用画像としてのパッチ画像を搬送ベルト8上に印刷する処理を行わせる(ステップS7)。
図5は、搬送ベルト8上に印刷されたパッチ画像の一実施形態を示す模式図である。この実施形態においては、搬送ベルト8の進行方向に長辺を有する矩形のパッチ画像を採用しており、進行方向の先頭側(図の左側)からシアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(B)の順に印刷されている。尚、本実施形態においては、各色毎に形成されるパッチ画像の間隔を開けないようにしているが、これらパッチ画像間に間隔を設けるように構成してもよい。
また、本実施形態における以下の説明では、シアン,マゼンタ,イエローの画像形成ユニット2C,2M,2Yが、1つの駆動モータ51により一体的に駆動されているとして説明を行う。そのため、画像形成ユニット2のカラーDLP停止を確認するためには、シアン,マゼンタ,イエローのそれぞれについて個別に調べる必要はない。つまり、1つの選択された色(例えば、シアン)のパッチ画像が搬送ベルト8上に検出されなければ、シアン,マゼンタ,イエローの画像形成ユニット2C,2M,2Yが全て停止していると判断することができる。それとは異なり、シアン,マゼンタ,イエローの現像機3のそれぞれが個別の駆動モータにより駆動させられている場合には、それぞれの色について以下の停止処理を行えばよい。
図6は、パッチ画像の印刷と濃度検出との処理の流れを模式的に示す図である。搬送ベルト8は、図において反時計回り(図示のC方向)に回転しているとし、その回転速度をvとする。また、P1はパッチ画像の印刷位置を、P2は濃度検出位置(濃度検出センサ22が濃度を測定する位置)をそれぞれ示し、P1とP2との距離は搬送ベルト8に沿ってsであるとする。ここで、P1には、シアン,マゼンタ,イエローのうちのいずれか1つの画像形成ユニット2C,2M,2Yが配置されており、その色のパッチ画像を印刷するものとする。以下では、印刷されたシアンのパッチ画像をPG1とし、それ以外の色(マゼンタ,イエロー)のパッチ画像は図示しない。また、ブラックの画像形成ユニット2Bは、モノクロ印刷時においても駆動しているので、ブラックのパッチ画像も搬送ベルト8上に形成されるが、図6においては図示していない。前述の図3のステップS7におけるパッチ画像印刷時の状態が図6(a)である。
そして、搬送ベルト8の走行に伴って、濃度検出センサ22の位置まで搬送されてきたパッチ画像の濃度が、濃度検出センサ22により測定される(ステップS8)。このとき、濃度検出センサ22による濃度測定は、1つの色のパッチ画像について一度行うものであってもよいし、精度を上げるために時間をずらして同じパッチ画像の中で複数回行うものであってもよい。
この濃度検出時の状態を、図6(b)に示す。パッチ画像PG1は、図6(a)に示した印刷以後、搬送ベルト8と共に移動し、濃度検出センサ22の配置されている位置P2に到達する。この移動に要する時間tは、P1−P2間の距離と、搬送ベルト8の回転速度が予めわかっているために、t=s/vとして求めることができる。つまり、タイミング指示部111は、シアンの画像形成ユニット2Cが搬送ベルト8上にパッチ画像PG1を印刷したことを検知すると、上記の式を演算し時間tを求める。そして、時間t経過後に、濃度検出センサ22に対して搬送ベルト8上のパッチ画像PG1の濃度検出を行うように指示する。これにより、図3のステップS8におけるパッチ画像の濃度測定処理が実行される。
濃度検出センサ22により測定されたシアンの濃度は、濃度判定部106において、所定濃度値以下か否かが判定される(ステップS9)。この所定濃度値は、例えば、搬送ベルト8の下地の濃度を基準として、例えばその値からの差分値という形で所定濃度値記憶部107に記憶されており、通常は0に近い値が設定される。また、この所定濃度値は、例えば、ユーザが操作パネル118等を操作することにより、設定できるように構成されていることが好ましい。一般に濃度検出センサ22を含めた装置の読み取り誤差や、搬送ベルト8上へのトナーの不必要な付着等を取り除くことは困難であるため、状況に応じてユーザが所定濃度値の設定を行うことにより、画像形成ユニット2C,2M,2Yが非現像状態を実現しているか否かを有効に、かつユーザの好みに応じた形で検知することができる。尚、この差分値を小さく設定すればそれだけ混色の影響を避けることができる。
そして、濃度判定部106における判定の結果、シアンの濃度が搬送ベルト8の下地の濃度に対して所定濃度値以下であると判定される(ステップS9でYes)と、ブラック以外のシアン,マゼンタ,イエローの現像機3は停止していると判断できるので、濃度判定部106からの通知を受けた画像形成ユニット2Bはモノクロ印刷を行い(ステップS10)、これにより印刷処理を終了する。
それに対して、シアンの濃度が搬送ベルト8の下地の濃度に対して所定濃度値より高いと判定される(ステップS9でNo)と、シアン,マゼンタ,イエローの現像機3は停止していないと判断できるので、濃度判定部106からの通知を受けた濃度検出カウンタ108はカウント値Nを1だけ増やす(ステップS11)。続いて、不具合判定部109は、濃度検出カウンタ108のカウント値Nを読み取り、その値が所定回数記憶部110に記憶されている回数「2」より小さい「1」であるので(ステップS12でYes)ステップS6に戻り、再度、カラーDLP停止指示部103は、カラーDLPの停止を指示する。これにより、シアン,マゼンタ,イエローの現像機3を停止させる確実性を高めることができる。
以下、前述のステップS6以降の処理を繰り返すことになる。つまり、カラーDLP停止指示部103は、再度ソレノイド部材56に指示しアイドルギヤ53と出力ギヤ55とを離間させ、カラーDLPの停止を行うよう指示する(ステップS6)。次に、パッチ画像形成部104は、パッチ画像記憶部105に記憶されているパッチ画像の中から所定の画像を読み出し、図6(c)に示したように、パッチ画像を搬送ベルト8上に印刷する2回目の処理を行わせる(ステップS7)。このとき印刷されたパッチ画像をPG2とすると、このパッチ画像PG2は、前述のPG1と同様に、時間t(=s/v)経過後に濃度検出センサ22が配置されている位置P2に到達する(図6(d))。この場合も前述の処理の流れと同様に、タイミング指示部111が、時間t経過後に、濃度検出センサ22に対して搬送ベルト8上の濃度検出を行うように指示する。
このとき、前回(1回目)とは異なり、カラーDLP停止指示部103によりカラーDLPの停止が実現された場合には、ステップS7においてパッチ画像を印刷しても、シアン,マゼンタ,イエローの現像機3は停止しているので、それらの色に対しては、所定濃度値より高い濃度のパッチ画像は検出されない。そのため、ステップS9において、濃度判定部106は、シアンの濃度が搬送ベルト8の下地の濃度に対して所定濃度値以下であると判定し、モノクロ印刷を行う(ステップS10)。
しかしながら、1回目と同じく、カラーDLP停止指示部103がカラーDLPの停止を指示しているにも拘らず、その停止が実現されていない場合には、ステップS7においてパッチ画像を印刷すれば、シアン,マゼンタ,イエローの現像機3は停止していないため、それらの色に対しては、所定濃度値より高い濃度のパッチ画像が検出される。そのため、ステップS9において、濃度判定部106は、シアンの濃度が搬送ベルト8の下地の色に対して所定濃度値より高いと判定し、濃度検出カウンタ108のカウント値Nを1だけ増やす(ステップS11)。
これにより、濃度検出カウンタ108のカウント値Nは「2」となり、所定回数記憶部110に記憶されている回数と等しくなるため、不具合判定部109は、ステップS12でNoと判定し、機械的あるいは電気的な不具合(故障)が発生していると判断し(ステップS13)、印刷処理を終了させる。このように機械的あるいは電気的な不具合等によりシアン,マゼンタ,イエローの現像機3を停止させることができない場合には、画像形成処理自体を終了させるので画質の低下した状態での画像形成が行われず、トナーや記録紙の無駄をなくすことができる。
また、この場合、不具合判定部109は、故障が発生したことを知らせる不具合発生信号を、通知制御部112を介してPC120に通知する。この信号を受信したPC120の通知制御部131は、例えば、「モノクロ印刷が正常に行われませんでした。」といったメッセージを表示部132に表示させる。また、同時に、不具合判定部109は、表示部130に同様のメッセージを表示させることが好ましい。これにより、モノクロ印刷の指示を行ったユーザは、当該印刷時に不具合が発生したことを有効にかつ速やかに知ることができる。
また、本実施形態においては、カラーDLP停止指示部103がカラーDLPの停止を指示しているにも拘らず、その停止が実現されていないことが2回発生すると故障であると判断して印刷処理を終了するとして説明したが、それに限られることなく、その回数はユーザの意向により3回以上であってもよい。また、故障であるか否かを判断する境目となる所定回数は、例えば、ユーザが操作パネル118を操作することにより設定でき、その回数が所定回数記憶部110に記憶されるように構成されていることが好ましい。これにより、状況に応じてユーザが所定の回数の設定を行うことが可能になり、不具合が発生した場合に有効に画像形成処理を終了させることができる。
以上説明した実施形態においては、モノクロ印刷時に、搬送ベルト8と画像形成ユニット2C,2M,2Yとを離間させることなく、画像形成ユニット2C,2M,2Yへの動力を切り離すことで非現像状態を実現している。そのため、搬送ベルト8と画像形成ユニット2C,2M,2Yとの離間に必要な部材を備える必要がなく、コストを削減することができる。また、搬送ベルト8と画像形成ユニット2C,2M,2Yとの離間のためのスペース確保が不必要であるために、装置本体のコンパクト化を実現できる。
さらに、画像形成ユニット2C,2M,2Yが非現像状態を実現しているか否かを、搬送ベルト8上に形成されたパッチ画像の濃度を直接確認することで判定する構成となっているので、モノクロ印刷時に、画像形成ユニット2C,2M,2Yが非現像状態を実現しているか否かを確実に検知することができる。これにより、混色を防ぐことができるので、画質の低下を抑えることが可能となる。
[他の好ましい実施形態]
(A)以上説明した実施形態においては、図5に示したように、濃度検出用画像としてのパッチ画像の形状は矩形であるとして説明した。しかしながら、本発明の実施形態はそれに限られず、濃度検出センサ22によって検出できるように構成されていれば、パッチ画像の位置、形状及び大きさ等は任意でよく、又等色及び他色のパッチ画像間の間隔も任意でよい。
(B)以上説明した実施形態においては、図4に示したように、カラーDLP停止指示部103がソレノイド部材56の鉄心ロッド58の伸縮により解離アーム54の回転方向を調節し、アイドルギヤ53と出力ギヤ55との接触状態を制御していた。しかしながら、本発明の実施形態はそれに限られず、モノクロ印刷が指示されたときにカラーDLPへ動力を供給する出力ギヤ55に、駆動モータ51の動力が伝達されない構成となっていればよい。
(C)以上説明した実施形態においては、タンデム方式を採用したカラープリンタの搬送ベルト8に直接パッチ画像を形成させるとして説明した。しかしながら、本発明の実施形態はそれに限られず、例えば、C,M,Y,Kの4色が一体となった画像形成ユニットを用い、各色の画像形成ユニットを回転させてカラー印刷を行う、所謂4サイクル(1ドラム)方式における転写ベルトや感光体ドラム上に形成されたパッチ画像を用いることも可能である。