以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[実施の形態1]
図1及び図2は、実施の形態1に係る画像形成装置を示すものである。図1はその画像形成装置の全体の概要を示し、図2はその画像形成装置における制御装置を示している。
<画像形成装置の全体の構成>
画像形成装置1は、電子写真方式を採用して、文字、写真、図形等からなる画像情報に基づきトナーで構成される画像を最終的に記録媒体の一例である記録用紙9に形成するフルカラープリンタである。画像形成装置1は、図1に示されるように、現像剤としてのトナーで構成されるトナー像を形成する画像形成手段の一例としての作像装置20と、作像装置20で形成されたトナー像を一次転写により保持した後に記録用紙9に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置30と、中間転写装置30の二次転写位置に供給する記録用紙9を収容するとともに供給する給紙装置40と、中間転写装置30で二次転写されたトナー像を記録用紙9に定着させる定着装置50等が配置されている。図1に示す太い実線は、記録用紙9の主な搬送路である。
作像装置20は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色の現像剤(トナー)像をそれぞれ個別に形成する4つの作像装置20Y,20M,20C,20Kを用いて構成されている。この作像装置20(Y,M,C,K)はいずれも、図1に示されるように、矢印Aで示す方向に回転駆動される像保持手段の一例としての感光体ドラム21をそれぞれ備えている。各感光体ドラム21の周囲には、帯電装置22、露光装置23、現像装置24、一次転写装置25、ドラム清掃装置26等がそれぞれ配置されている。
感光体ドラム21は、例えば、接地処理される円筒又は円柱状の導電性基材の周面に感光材料からなる光誘電層(感光体層)を有する像形成面(像形成可能範囲)を形成したドラム形態の感光体である。この感光体ドラム21は、図示しない駆動装置から動力を受けて矢印Aで示す方向に回転駆動するよう設けられている。
帯電装置22は、例えば、感光体ドラム21の像形成面に非接触状態で配置されるとともにマイナス極性の所要の帯電バイアスが供給されるスコロトロン等の非接触型の帯電装置が用いられる。なお、帯電装置22としては、スコロトロン等の非接触型の帯電装置に限定されるものではなく、帯電ロールを備えた接触型の帯電装置を用いても勿論良い。
露光装置23は、例えば、発光ダイオードと光学部品等を用いて構成される非走査型の露光装置か、あるいは、半導体レーザとポリゴンミラー等の光学部品を用いて構成される走査型の露光装置である。露光装置23には、通信手段、画像読取装置等を通して外部から入力された画像情報や内部の記憶部に格納されている画像情報が、画像制御部110によって所要の処理を施された後にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色成分(Y,M,C,K)に分解された画像信号としてそれぞれ入力される。露光装置23は、その入力される画像信号に応じた露光を行う。
現像装置24は、例えば、前記4色(Y,M,C,K)のいずれか1色のトナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤を利用する現像装置24(Y,M,C,K)である。また、現像装置24(Y,M,C,K)は、例えばトナーをマイナス極性に帯電させて反転現像を行うよう使用される。さらに、現像装置24(Y,M,C,K)は、筐体内に収容されている二成分現像剤を保持して感光体ドラム21と対向する現像領域に搬送するよう回転する現像剤保持手段の一例としての現像ロール241等を備えている。現像ロール241には、感光体ドラム21との間に例えば直流成分に交流成分を重畳した現像バイアスが供給される。
イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各現像装置24(Y,M,C,K)には、対応する色のトナーを収容したトナーカートリッジ242から供給モータ243を駆動することにより対応する色のトナーが供給される。各供給モータ243は、駆動制御部120によって駆動時期や駆動時間がそれぞれ制御される。
一次転写装置25は、例えば、感光体ドラム21の一次転写位置とする像形成面部分に(後述の中間転写ベルト31を介した状態で)接触して従動回転するよう配置されるとともに、所要の一次転写バイアスが供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。
ドラム清掃装置26は、筐体の清掃作業用開口において感光体ドラム21の少なくとも一次転写後の像形成面部分に接触するよう配置されて、その像形成面上にある残留トナー等の不要物を掻き取って除去する弾性板等の清掃部材等を備えている。
中間転写装置30は、4つの作像装置20(Y,M,C,K)の下方側となる位置に配置されている。この中間転写装置30は、作像装置20(Y,M,C,K)における感光体ドラム21の一次転写装置25と向き合う一次転写位置をそれぞれ通過しながら矢印Bで示す方向に回転するよう配置される中間転写手段(被検知媒体)の一例としての中間転写ベルト31を備えている。
中間転写ベルト31は、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の基材にカーボンブラック等の抵抗調整剤を分散してなる材料を用いて所要の厚さ及び電気抵抗値からなる無端ベルト状に成形されたものである。
また、中間転写ベルト31は、複数の支持ロール32a~32cに掛け回されて回転自在に支持されている。支持ロール32aは駆動ロールとして、支持ロール32bは外周面に中間転写ベルト31を巻き付けた状態で支持し検知手段の一例としての画像濃度センサ60によって中間転写ベルト31上に形成される濃度制御用画像を検知するセンサロールとして、支持ロール32cは二次転写バックアップロールとして、それぞれ構成されている。画像濃度センサ60は、中間転写ベルト31の表面と対向する位置であって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4つの作像装置20(Y,M,C,K)のうち、中間転写ベルト31の移動方向に沿ったブラック(K)の作像装置20Kの下流側に配置されている。
また、中間転写装置30は、中間転写ベルト31上に転写されたトナー像を記録用紙9に二次転写させる転写手段の一例としての二次転写装置33と、中間転写ベルト31の外周面における像保持面に残留して付着するトナー等の不要物を除去して清掃する中間転写装置30の清掃手段の一例としてのベルト清掃装置34等を備えている。
二次転写装置33は、例えば、通常の画像形成時、中間転写ベルト31の支持ロール32cに支持されている像保持面部分に接触して回転するよう配置される二次転写ロール331を備えた接触型の転写装置が採用される。中間転写ベルト31を背面から支持する支持ロール32c又は二次転写ロール331には、図示しない電源装置によってトナーの帯電極性と同極性又は逆極性の二次転写電圧が印加される。中間転写ベルト31を背面から支持する支持ロール32c又は二次転写ロール331は、接離手段35によって二次転写ロール331が中間転写ベルト31に対して接触及び離間可能となるよう構成されている。
ベルト清掃装置34は、筐体の清掃作業用開口において中間転写ベルト31の少なくとも二次転写後の像保持面部分に接触するよう配置されて、その像保持面上にある残留トナー等の不要物を掻き取って清掃する弾性板等の清掃部材等を備えている。
給紙装置40は、中間転写装置30の下方側になる位置に配置されている。この給紙装置40は、所要のサイズ、種類等の記録用紙9が図示しない積載板の上に積み重ねた状態で収容される収容体41と、その収容体41から記録用紙9を1枚ずつ給紙搬送路にむけて送り出す送出装置42とを備えている。収容体41及び送出装置42の数は、必要に応じて増減される。
記録用紙9は、搬送路による搬送が可能であってトナー像の転写及び定着が可能な記録媒体であれば適用することができる。記録用紙9としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙やトレーシングペーパー等の薄紙、あるいはOHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録用紙9の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等の坪量が相対的に大きい所謂厚紙なども好適に使用することができる。
定着装置50は、中間転写装置30の二次転写位置寄りの記録用紙9の搬送方向に沿った下方側に配置されている。この定着装置50は、筐体51の内部に矢印で示す方向に回転するとともに表面温度が所定の温度に保持されるよう加熱手段によって加熱されるロール形態又はベルト形態からなる加熱用回転体52と、この加熱用回転体52の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して従動回転するロール形態又はベルト形態からなる加圧用回転体53とを設置したものである。定着装置50では、加熱用回転体52と加圧用回転体53とが接触する部分が、トナー像を保持する記録用紙9が導入されて定着処理(加熱及び加圧)される定着処理部として構成されている。
また、画像形成装置1には、記録用紙9の主な用紙搬送路として、給紙装置40と中間転写装置30との間をつなぐ供給搬送路Rt1と、中間転写装置30の二次転写位置と定着装置50との間をつなぐ中継搬送路Rt2と、定着装置50と図示しない用紙排出口との間をつなぐ排出搬送路Rt3が設けられている。
供給搬送路Rt1には、給紙装置40から供給される記録用紙9を二次転写位置へと搬送する単数又は複数の用紙搬送ロール対43や図示しない搬送ガイド等が配置されている。中間転写ベルト31の二次転写位置の上流側に隣接して配置される用紙搬送ロール対43は、中間転写ベルト31上の画像と同期して記録用紙9を搬送するレジストロールとして構成されている。
なお、図1中、符号70は画像形成装置1が設置された環境の温度や湿度等の環境条件を検知する環境センサを示している。
図2はこの実施の形態に係る画像形成装置の制御装置を示すブロック図である。
制御装置100は、制御部101と、タイミング生成部102と、パッチ生成部103と、記憶部104と、計算部105とを備えている。
制御部101は、記憶部104に記憶されたプログラムを実行することにより画像濃度の制御動作を含む画像形成装置1の動作を統括的に制御する。制御部101は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)において、帯電装置22、露光装置23、現像装置24、一次転写装置25、感光体駆動手段106及び転写ベルト駆動手段107を駆動することにより、カラー画像等の形成動作を実行する。
また、制御部101は、タイミング生成部102、パッチ生成部103、記憶部104や計算部105等を介して画像濃度の制御動作を実行する。
その際、タイミング生成部102は、画像濃度の制御動作を実行すべきタイミングであると制御部101が判別すると、画像濃度制御のタイミング信号を生成する。画像濃度の制御動作を実行すべきタイミングは、例えば、画像形成装置1の電源投入時、予め定められた枚数の記録用紙9に画像を形成した後、画像形成動作が終了してから予め定められた時間が経過した後、搬送不良(ジャム等)が生じた記録用紙9を除去した後などの所要の時期である。
また、パッチ生成部103は、タイミング生成部102によって画像濃度制御のタイミング信号が生成されると、濃度制御用画像(以下、単に「パッチ」という。)を生成するためのパッチ生成信号を出力し、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)においてパッチを形成する。
制御部101は、画像濃度センサ60によってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のパッチの濃度を検知すると、計算部105において必要な補間演算等の計算を実行し、各作像装置20(Y,M,C,K)の帯電装置22、露光装置23、現像装置24、あるいは画像制御部110、駆動制御部120等を制御して画像濃度の制御動作を実行する。
図3は画像濃度センサを示す構成図である。
画像濃度センサ60は、図3に示されるように、LED等からなる発光素子61と、発光素子61から出射され光束を中間転写ベルト31上の露光位置に絞って照射する遮光部材62と、中間転写ベルト31上に形成されたパッチからの拡散光を集光する集光レンズ63と、紫外光を遮断する紫外光カットフィルタ64と、中間転写ベルト31上に形成されたパッチからの反射光を集光レンズ63及び紫外光カットフィルタ64を介して受光するフォトダイオードやフォトトランジスタ等からなる受光素子65を備えている。発光素子61は、例えば、中間転写ベルト31上のパッチに対して入射角が45°に設定される。また、受光素子65は、中間転写ベルト31上のパッチからの正反射光ではなく拡散光を受光するため受光角が90度に設定されている。画像濃度センサ60からの濃度検知信号は、図2に示されるように、制御装置100の制御部101へ入力される。
<画像形成装置による基本的な画像形成動作>
この画像形成装置1では、以下に説明する基本的な画像形成動作が行われる。ここでは、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成する場合の動作を例にして説明する。
まず、画像形成装置1は、制御装置100が外部等から画像形成動作の要求指令を受けると、4つの作像装置20(Y,M,C,K)において、各感光体ドラム21が矢印Aで示す方向にそれぞれ回転され、各帯電装置22が帯電電流の供給を受けてコロナ放電を発生させる。これにより、各感光体ドラム21は、その像形成面が所要の極性(例えばマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電される。
続いて、各露光装置23が、各感光体ドラム21の帯電後における像形成面に対して各色成分(Y,M,C,K)に分解された画像信号に応じた露光をそれぞれ行う。これにより、各感光体ドラム21の像形成面には、所定の電位からなる各色成分の静電潜像がそれぞれ形成される。
続いて、各現像装置24(Y,M,C,K)が、所定の極性(マイナス極性)に帯電された各色(Y,M,C,K)のトナーを、現像ロール241から供給するとともに、現像バイアスの供給を受けて現像ロール241と感光体ドラム21との間に形成される現像電界により、感光体ドラム21の像形成面における各色成分の静電潜像の部分に静電的に付着させる。これにより、各感光体ドラム21の像形成面には、4色(Y,M,C,K)のうちの対応する色のトナー像が個別に形成される。
続いて、各一次転写装置25が一次転写電流の供給を受けて感光体ドラム21との間に一次転写電界を形成することにより、各感光体ドラム21上のトナー像を中間転写装置30における中間転写ベルト31の像保持面に対して順番(Y,M,C,Kの順)に一次転写させる。また、ドラム清掃装置26が、一次転写後等における各感光体ドラム21の像形成面を清掃して、各感光体ドラム21における次の作像動作に備える。
次いで、中間転写装置30において、中間転写ベルト31が矢印Bで示す方向に回転することにより、その像保持面に一次転写されて保持された未定着のトナー像を二次転写装置33と向き合う二次転写位置まで搬送する。一方、給紙装置40において、送出装置42が記録用紙9を収容体41から供給搬送路Rt1に送り出した後、用紙搬送ロール対43が中間転写装置30の二次転写位置に送り込むよう供給する。そして、二次転写位置においては、二次転写装置33が二次転写バイアスの供給を受けて中間転写ベルト31との間に二次転写電界を形成することにより、中間転写ベルト31上の4色のトナー像を記録用紙9の片面に対して二次転写させる。
次いで、未定着のトナー像が二次転写された記録用紙9が、中間転写ベルト31から剥離された後に中継搬送路Rt2を経由して定着装置50に送り込まれるよう搬送される。定着装置50では、その記録用紙9が加熱用回転体52と加圧用回転体53の接触部分である定着処理部に導入されて通過する際に加熱及び加圧される。これにより、トナー像を構成するトナーが加圧下で溶融されて、トナー像が記録用紙9に定着される。
続いて、トナー像が定着された後の記録用紙9が、定着装置50の筐体51内から排出された後に排出搬送路Rt3を経由して搬送され、最後に図示しない用紙排出口から外部に排出される。
以上の動作が行われることにより、フルカラー画像が形成された1枚の記録用紙9が出力される。また、複数枚の画像形成動作の要求指令を受けた場合は、その枚数分だけ上記画像形成動作が同様に繰り返して行われる。
この他、画像形成装置1では、上記画像形成動作において、4つの作像装置20(Y,M,C,K)のいずれか1つを作動させることにより単色の画像を形成することや、4つの作像装置20(Y,M,C,K)の2つ又は3つを組み合わせて作動させることによりフルカラー画像以外のカラー画像を形成することもできる。
<画像形成装置の特徴部分の構成>
ところで、上記の如く構成される画像形成装置1は、画像の濃度を適正に維持するため、当該画像形成装置1の電源投入時、予め定められた枚数の記録用紙9に画像を形成した後、画像形成動作が終了してから予め定められた時間が経過した後、搬送不良(ジャム等)が生じた記録用紙9を除去した後などの所要の濃度制御タイミングで、画像形成動作を開始する前のセットアップ動作において画像濃度の制御動作を実行する。
従来、この画像濃度の制御動作は、図4に示されるように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)において、パッチ200として、画像濃度(Cin)を100%、80%、60%、40%、20%、10%というように高濃度から低濃度までにわたり所定の濃度間隔で変化させたイエロー(Y)のパッチ200Y100,200Y80,・・・200Y10と、マゼンタ(M)のパッチ200M100,200M80,・・・200M10と、シアン(C)のパッチ200C100,200C80,・・・200C10と、ブラック(K)のパッチ200K100,200K80,・・・200K10を中間転写ベルト31上に形成し、中間転写ベルト31上に形成された各色のパッチ200を、当該中間転写ベルト31の表面と対応するように配置された画像濃度センサ60によって検知することで実行される。
ところで、画像形成装置1では、画像濃度を制御するセットアップ動作が一旦開始されると、ユーザーは、上述した一連のパッチ200の形成及び検知動作を含む所要の画像濃度の制御動作が終了するまで実行すべきジョブである画像形成動作を開始することができない。そのため、ユーザーによっては、画像濃度を制御するセットアップ動作中であっても実行すべきジョブを早期に開始するため、印刷開始ボタンを連打したり画像形成装置1の外装カバーを意図的に開放するなどして、画像濃度の制御動作を途中で強制的に中断させることがある。
画像形成装置1は、画像濃度の制御動作が途中で中断されると、図4に示されるように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のパッチ200を再度形成し、制御動作の再開時に予定されていた画像濃度を制御するためのセットアップ動作のすべてを改めて最初から実行することになり、画像形成の生産性が低下するという技術的課題を有していた。
そこで、この実施の形態では、濃度制御に必要最少限の複数の濃度制御用画像を一組とし各組の濃度が異なる複数組を被検知媒体上に形成する画像形成手段と、被検知媒体上で濃度制御用画像を検知する検知手段と、複数組の濃度制御用画像のうち一部を検知後に中断したとき、検知済の濃度制御用画像で濃度制御が可能か否かを判別し、可能と判別すると濃度制御を実行し、不可と判別すると濃度制御用画像を形成する制御手段と、を備えるように構成されている。
この実施の形態1では、図1に示されるように、濃度制御に必要最少限の複数のパッチを一組とし各組の濃度が異なる複数組を中間転写ベルト31上に形成する画像形成手段として、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4つの作像装置20(Y,M,C,K)を備えている。
イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4つの作像装置20(Y,M,C,K)は、画像濃度を制御するセットアップ動作時に、次のようなパッチを形成する。
4つの作像装置20(Y,M,C,K)が形成するパッチは、濃度制御に必要最少限の複数のパッチを一組として複数組のパッチが形成される。ここで、複数組のパッチは、各組のパッチの濃度が互いに異なるよう設定される。
この実施の形態1では、図5に示されるように、濃度制御に必要最少限の複数のパッチとして、高濃度、中濃度及び低濃度の3つのパッチを一組として採用している。ここで、高濃度、中濃度及び低濃度とは、画像濃度を最高濃度(Cin:100%)から最低濃度(Cin:0%)にわたり濃度が高い領域から順に3つの領域に区分し、高濃度側に区分される濃度を高濃度、低濃度側に区分される濃度を低濃度とし、高濃度と低濃度の中間に区分される濃度を中濃度としている。
但し、濃度制御に必要最少限の複数のパッチとしては、必ずしも高濃度、中濃度及び低濃度の3つのパッチを一組として構成する必要はなく、高濃度と低濃度など任意の2つ以上の濃度領域に区分される複数(2つ以上)のパッチを一組として構成しても良い。なお、濃度制御に必要最少限の複数のパッチとして、高濃度、中濃度及び低濃度の3つのパッチを一組として構成した場合には、高濃度から低濃度にわたるすべての濃度領域の画像濃度の制御が可能となる。
また、各組のパッチは、検知時間を可能な限り短縮する観点から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の順で間隙を設けず連続して形成される。各組のパッチは、一つのパッチ内で複数の濃度測定が可能となるよう中間転写ベルト31の移動方向に沿ってある程度の面積を有する正方形等の矩形状に形成するのが望ましい。なお、各組のパッチは、互いに間隙を介在させて配置しても良い。
イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の高濃度、中濃度及び低濃度の3つを一組としたパッチは、濃度を異ならせて複数組(例えば、2組)にわたり形成される。各色の高濃度、中濃度及び低濃度の3つを一組としたパッチは、3組以上にわたり形成しても良い。
図示の実施の形態では、図5に示されるように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の高濃度、中濃度及び低濃度の3つを一組とした第1組のパッチ201YH,201YM,201YLと201MH,201MM,201MLと201CH,201CM,201CLと201KH,201KM,201KLを形成している。このうち、高濃度パッチ201YH,201MH,201CH,201KHは、画像濃度(Cin)が100%、中濃度パッチ201YM,201MM,201CM,201KMは、画像濃度(Cin)が60%、低濃度のパッチ201YL,201ML,201CL,201KLは、画像濃度(Cin)が20%にそれぞれ設定されている。
続いて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の高濃度、中濃度及び低濃度の3つを一組とした第2組のパッチ202YH,202YM,202YLと202MH,202MM,202MLと202CH,202CM,202CLと202KH,202KM,202KLを形成している。第2組のパッチ202は、第1組の各パッチと濃度を異ならせて、高濃度パッチ202YH,202MH,202CH,202KHは、画像濃度(Cin)が80%、中濃度パッチ202YM,202MM,202CM,202KMは、画像濃度(Cin)が40%、低濃度パッチ202YL,202ML,202CL,202KLは、画像濃度(Cin)が10%にそれぞれ設定されている。
この実施の形態1では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の第1組のパッチ201YH,201YM,201YLと201MH,201MM,201MLと201CH,201CM,201CLと201KH,201KM,201KLの濃度が、第2組のパッチ202YH,202YM,202YLと202MH,202MM,202MLと202CH,202CM,202CLと202KH,202KM,202KLの濃度より高く設定されている。
<画像形成装置の特徴部分の動作>
上記の如く構成される画像形成装置1では、画像の濃度を適正に維持するため、当該画像形成装置1の電源投入時、予め定められた枚数の記録用紙に画像を形成した後、画像形成動作が終了してから予め定められた時間が経過した後、搬送不良(ジャム等)が生じた記録用紙を除去した後などの所要のタイミングで、画像形成動作を開始する前のセットアップ動作において画像濃度の制御動作が実行される。
制御部101は、図6に示されるように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のパッチ201,202を形成する(ステップ101)。各作像装置20(Y,M,C,K)で形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の第1組のパッチ201YH,201YM,201YLと201MH,201MM,201MLと201CH,201CM,201CLと201KH,201KM,201KL、及び第2組のパッチ202YH,202YM,202YLと202MH,202MM,202MLと202CH,202CM,202CLと202KH,202KM,202KLは、図7に示されるように、各一次転写装置25によって中間転写ベルト31上に順次一次転写される。中間転写ベルト31上に一次転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のパッチ201,202は、ブラック(K)の各作像装置20Kの中間転写ベルト31の移動方向に沿った下流側に配置された画像濃度センサ60によって濃度が検知される(ステップ102)。
制御部101は、画像濃度センサ60によってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の第1組のパッチ201YH,201YM,201YLと201MH,201MM,201MLと201CH,201CM,201CLと201KH,201KM,201KLと、第2組のパッチ202YH,202YM,202YLと202MH,202MM,202MLと202CH,202CM,202CLと202KH,202KM,202KLがすべて検知されたか否かを判別する(ステップ103)。そして、制御部101は、画像濃度センサ60によってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のパッチがすべて検知されたと判別すると、画像濃度の制御動作を実行する(ステップ106)。
一方、制御部101は、画像濃度センサ60によってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のパッチを検知する動作の途中で、ユーザーによって画像濃度の制御動作が中断され、画像濃度センサ60によってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のパッチ201,202のすべてを検知する動作が完了していないと判別すると、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の第1組のパッチ201がすべて検知されたか否かを判別する(ステップ104)。
制御部101は、図8に示されるように、一連のパッチの濃度を検知している際に、濃度検知動作が中断されたが、画像濃度センサ60によってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の第1組のパッチ201はすべて検知されているが、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の第2組のパッチ202はすべての検知動作が完了していないと判別すると、当該第1組のパッチ201の検知結果に基づいて未だ検知されていない第2組のパッチ202の濃度を計算部105による補間計算によって求める(ステップ105)。
すなわち、制御部101は、図9に示されるように、画像濃度センサ60によって既に画像濃度が検知されているイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の第1組のパッチ201の濃度データに基づいて、検知動作が完了していないイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の第2組のパッチ202である画像濃度(Cin)が80%、40%及び10%の濃度データを直線近似により補間して求める。
そして、制御部101は、画像濃度センサ60によって実際に検知された検知済のイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の第1組のパッチ201の濃度と、補間により求められたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の第2組のパッチ202の濃度に基いて、画像濃度の制御動作を実行する(ステップ106)。
制御部101が実行する画像濃度の制御動作は、駆動制御部120により供給モータ243を駆動することによってトナーカートリッジ242から各現像装置24(Y,M,C,K)にトナーを供給する動作や、帯電装置22による感光体ドラム21の帯電電位の制御、あるいは露光装置23による感光体ドラム21の露光量の制御などである。
一方、制御部101は、図10に示されるように、一連のパッチの濃度を検知している際に、濃度検知動作が中断されて、画像濃度センサ60によってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の第1組のパッチ201がすべて検知されていないと判別すると、ステップ101に戻り、図7に示されるように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のパッチ201,202の形成動作を再開する。
このように、上記の如く構成される画像形成装置1では、図8に示されるように、画像濃度の制御動作が途中で中断された場合であっても、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の第1組のパッチ201の濃度が検知済である場合、当該検知済のイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の第1組のパッチ201の検知濃度に基いて、画像濃度の制御動作が実行される。
そのため、この画像形成装置1では、画像濃度の制御動作が途中で中断された場合においても、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の第1組及び第2組のパッチ201,202の形成動作から再開する必要がなく、図4に示す従来のように高濃度から低濃度までにわたり順次濃度を異ならせた一連のパッチ200を形成して検知する場合に比較して、パッチの検知動作が中断したときパッチを再度形成することを抑制することができる。その結果、画像形成装置1におけるユーザーのジョブを実行するまでのロスタイムを短くすることが可能となる。
また、この画像形成装置1では、画像濃度の制御動作が途中で中断された場合においても、検知済であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色における第1組のパッチ201の検知結果に基づいて、未検知の第2組のパッチ202の画像濃度を補間により求めて、画像濃度の制御動作を実行するため、画像濃度の精度が維持される。
[実施の形態2]
図11は、実施の形態2に係る画像形成装置を示すものである。
この実施の形態2に係る画像形成装置1では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のパッチを形成する際に、濃度制御に必要最少限の複数の濃度制御用画像として、高濃度、中濃度及び低濃度のうち2つを一組としたパッチを、濃度を異ならせて複数組(例えば、2組以上)にわたり形成するように構成されている。
すなわち、この実施の形態2では、図11に示されるように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の高濃度及び低濃度の2つを一組とした第1組のパッチ201YH,201YL、201MH,201ML、201CH201CL、201KH,201KLと、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の高濃度及び中濃度の2つを一組とした第2組のパッチ201YH,201YM、201MH,201MM、201CH,201CM、201KH,201KMと、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の中濃度及び低濃度の2つを一組とした第3組のパッチ201YM,201YL、201MM,201ML、201CM,201CL、201KM,201KLを形成している。
このうち、第1組の高濃度パッチ201YH,201MH,201CH,201KHは、画像濃度(Cin)が100%、低濃度のパッチ201YL,201ML,201CL,201KLは、画像濃度(Cin)が20%にそれぞれ設定されている。また、第2組の高濃度パッチ201YH,201MH,201CH,201KHは、画像濃度(Cin)が80%、中濃度のパッチ201YM,201MM,201CM,201KMは、画像濃度(Cin)が40%にそれぞれ設定されている。また、第3組の中濃度パッチ201YM,201MM,201CM,201KMは、画像濃度(Cin)が60%、低濃度のパッチ201YL,201ML,201CL,201KLは、画像濃度(Cin)が10%にそれぞれ設定されている。
このように、濃度制御に必要最少限の複数の濃度制御用画像として、高濃度、中濃度及び低濃度のうち2つを一組としたパッチを、濃度を異ならせて複数組(例えば、2組以上)にわたり形成することにより、少なくとも第1組のパッチが検知されれば画像濃度を制御動作を実行可能とすることにより、パッチの検知動作が中断したときパッチを再度形成することが更に抑制される。
なお、前記実施の形態では、画像形成装置の一例としてのカラーの画像を形成する画像形成装置を挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、画像形成装置としては、モノクロの画像を形成するもの、あるいはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の画像に加えて又は代わり特色の画像を形成する画像形成装置にも同様に適用することができることは勿論である。
また、前記実施の形態では、被検知媒体として中間転写ベルト上に濃度制御用画像を形成するように構成したが、これに限定されるものではなく、被検知媒体として各感光体ドラム上或いは記録媒体上に濃度制御用画像を形成するように構成しても良い。