JP4221695B2 - 車両のパワートレイン構造 - Google Patents

車両のパワートレイン構造 Download PDF

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  • Arrangement Of Transmissions (AREA)
  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)
  • Arrangement Or Mounting Of Propulsion Units For Vehicles (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は車両のパワートレイン構造に係り、特に、車体フロアのトンネル部の剛性を向上し得て、静粛性を向上し得て、結合部を飛び石等から保護し得て、結合部の寿命を延長し得る車両のパワートレイン構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両においては、エンジンの駆動力をパワートレインにより車輪に伝達している。パワートレインは、エンジンの駆動力をトランスミッションにより変換して取出し、ドライブシャフトやプロペラシャフトを介して車輪に伝達する。このパワートレイン構造においては、エンジンやトランスミッションの発生する振動が車体側に伝達されることを防止するために、エンジンやトランスミッションを車体に対してマウントを介して弾性的に支持している。
【0003】
従来のパワートレイン構造としては、図11に示すものがある。図において、102はパワートレイン、104はエンジン、106はトランスミッション、108はトランスファ、110はプロペラシャフトである。このパワートレイン102は、図示しない車両に搭載したエンジン104にトランスミッション106を連結し、トランスミッション106にトランスファ108を連結している。
【0004】
パワートレイン102は、エンジン104の駆動力をトランスミッション104により適宜のトルク・回転数に変換して取出し、図示しない前輪に伝達するとともに、トランスミッション106の出力する駆動力の一部をトランスファ108により取出し、プロペラシャフト110を介して図示しない後輪に伝達する。したがって、このパワートレイン102を搭載した車両は、四輪駆動車である。
【0005】
このパワートレイン102は、エンジンリヤマウント112によりエンジン104を図示しない車体に支持している。エンジンリヤマウント112は、車体側取付部材114に弾性部材116を介してエンジン側取付部材118を弾性保持している。エンジンリヤマウント112は、エンジン側取付部材118をエンジン側部材120Aとマウント側部材120Bとからなるエンジンリヤマウントブラケット120を介してエンジン104に取付け、車体側取付部材114を図示しない車体に直接取付け、あるいはサブフレームを介して車体に取付けることにより、弾性的に支持している。
【0006】
このような車両のパワートレイン構造には、特開平9−272351号公報、特開2000−153717号公報に開示されるものがある。
【0007】
特開平9−272351号公報に開示されるものは、プロペラシャフトがリヤサブフレームのフロントクロスビームとその上の燃料タンクとの間の空間を通るようにしたリヤデファレンシャルをリヤサブフレームに支持させ、リヤデファレンシャルに設けた各マウントブラケットをリヤサブフレームに設けた各マウント部材に後方から締結するものである。
【0008】
特開2000−153717号公報に開示されるものは、エンジンのマウントブラケットに対して交差するようにプロペラシャフトが配置されるパワートレイン構造において、マウントブラケットにはプロペラシャフトを貫通させるシャフト貫通孔を設けたものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記図11に示すパワートレイン構造においては、エンジンリヤマウント112の車体側取付部材114を図示しない車体に直接取付け、あるいはサブフレームを介して車体に取付けている。
【0010】
ところが、エンジンリヤマウント112の車体側取付部材114を車体に直接取付けた場合には、エンジン104の振動が車体に伝わり易いため、騒音が大きくなる不都合がある。また、エンジンリヤマウント112の車体側取付部材114をサブフレームを介して車体に取付けた場合には、重量増加を招く不都合がある。
【0011】
一方、車高の低い乗用車系の車両の場合には、トランスファ108の出力軸(図示せず)とプロペラシャフト110との結合部122が車体下方に配置されるため、走行時に路上の障害物や飛び石と接触するおそれがあるとともに、オイルシールへの水や泥等の侵入により寿命の低下を招くおそれがあり、また、トランスファ108内部への水や泥等の侵入により寿命の低下を招くおそれがある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明は、上述不都合を除去するために、車両の前側に搭載したエンジンの駆動力をトランスミッションにより取出して前輪に伝達し、前記トランスミッションにトランスファを連結してトランスファの出力軸とプロペラシャフトとの間に結合部を設け、前記結合部と弾性部材を保持するエンジンリヤマウントとを避けるべく車両の車体フロアを上方に突出させて車両前後方向に指向するトンネル部を形成し、前記結合部と前記エンジンリヤマウントの下方を覆うようにエンジンリヤマウントメンバを設け、前記トランスミッションの出力する駆動力の一部を前記トランスファにより取出して前記プロペラシャフトを介して後輪に伝達する車両のパワートレイン構造において、前記トンネル部を前記車体フロアの運転席と助手席との間に形成し、前記エンジンリヤマウントメンバ前記トンネル部両側の車体フロア下側に連結して懸架し、前記エンジンリヤマウントを前記結合部と前記トランスファのトランスファケースの側部に設け、前記トランスファケースと前記エンジンリヤマウントメンバとを前記エンジンリヤマウントを介して連結したことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
この発明の車両のパワートレイン構造は、エンジンリヤマウントメンバによって結合部を障害物や飛び石・水・泥等から保護することができるとともに車体フロアのトンネル部の剛性を向上して振動を防止することができ、また、エンジンからの振動をエンジンリヤマウントで減衰させた後にエンジンリヤマウントメンバを介して剛性の高い車体フロアのトンネル部に入力させるため、振動を伝わりにくくすることができる。
【0014】
【実施例】
以下図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。図1〜図5は、この発明の第1実施例を示すものである。図5において、2は車両、4は前輪、6は後輪、8はパワートレインである。車両2のパワートレイン8は、車両2の前側に横置きに搭載したエンジン10にトランスミッション12を連結し、トランスミッション12にトランスファ14を連結している。
【0015】
パワートレイン8は、エンジン10の駆動力をトランスミッション12により適宜のトルク・回転数に変換して取出し、前側終減速機構16と前側車軸18とにより前輪4に伝達するとともに、トランスミッション12の出力する駆動力の一部をトランスファ14により取出し、プロペラシャフト20を介して後側終減速機構22と後側車軸24とにより後輪6に伝達する。したがって、このパワートレイン8を搭載した車両2は、四輪駆動車である。
【0016】
前記エンジン10は、図1に示す如く、シリンダブロック26とシリンダヘッド28とヘッドカバー30とを有し、シリンダブロック26にトランスミッション12のミッションケース32を図示しない取付ボルトにより連結している。トランスミッション12は、ミッションケース32に前側終減速機構16を内蔵するとともにトランスファ14のトランスファケース34を図示しない取付ボルトにより連結している。トランスファ14は、図2に示す如く、トランスファケース34に出力軸36を軸支している。出力軸36は、結合部であるジョイント部38によりプロペラシャフト20に結合している。
【0017】
このパワートレイン8は、外装部材と車体フレームとを一体的に構成するモノコック構造が採用されており、図2〜図4に示す如く、トランスファ14の出力軸36とプロペラシャフト20とのジョイント部38を避けるべく、運転席と助手席との間の足下から車両2の車体フロア40を上方に突出させて車両前後方向に指向するトンネル部42を形成している。トンネル部42は、車体フロア40の上方に略平行に位置される上壁部44と、この上壁部44の両側から車体フロア40に向かって下降傾斜する側壁部46・46とからなり、上壁部44と側壁部46・46とによりプロペラシャフト20上側を覆うトンネル空間48を形成している。
【0018】
前記パワートレイン8は、ジョイント部38の下方を覆うように、エンジンリヤマウントメンバ50を車両幅方向に長手方向を指向させて配設している。エンジンリヤマウントメンバ50は、上側部材50Uと下側部材50Lとにより断面箱形に形成され、トンネル部42の上壁部44に略平行な底壁部52と、この底壁部52の長手方向両端から上昇傾斜する一対の側壁部54・54と、各側壁部54・54の上端において車体フロア40に平行な一対の取付部56・56とを設けている。エンジンリヤマウントメンバ50は、長手方向両端の取付部56・56をトンネル部42両側の車体フロア40下側に図示しない取付ボルトにより連結して、懸架している。
【0019】
前記トランスファ14のトランスファケース34とエンジンリヤマウントメンバ50とは、エンジンリヤマウント58を介して連結している。エンジンリヤマウント58は、メンバ側取付部材60に弾性部材62を介してエンジン側取付部材64を弾性保持している。エンジンリヤマウント58は、エンジン側取付部材64をエンジンリヤマウントブラケット66の後述するマウント用取付部70に図示しない取付ボルトにより連結し、メンバ側取付部材60をエンジンリヤマウントメンバ50の底壁部52を形成する上側部材50Uのマウント用取付部68に図示しない取付ボルトにより連結している。
【0020】
これにより、前記エンジンリヤマウントメンバ50は、前記ジョイント部38及びエンジンリヤマウント58の下方を覆うように、トンネル部42両側の車体フロア40下側に連結して懸架している。
【0021】
前記エンジンリヤマウントブラケット66は、エンジン側取付部材64が取付けられるマウント用取付部70を設け、トランスファケース34に取付けられるトランスファ用取付部72を設けている。エンジンリヤマウントブラケット66は、トランスファケース34の車両幅方向一側の側部に設けたトランスファ側取付部74に、トランスファ用取付部72を図示しない取付ボルトにより固着して取付けられる。これにより、前記エンジンリヤマウント58は、トランスファケース34の側部に固着されたエンジンリヤマウントブラケット66に連結される。
【0022】
次に作用を説明する。
【0023】
車両2のパワートレイン8は、図5に示す如く、エンジン10の駆動力をトランスミッション12により取出して前輪4に伝達するとともに、トランスミッション12の出力する駆動力の一部をトランスファ14により取出し、プロペラシャフト20を介して後輪6に伝達する。
【0024】
このパワートレイン8は、トランスファ14の出力軸36とプロペラシャフト20とのジョイント部38を避けるべく車両2の車体フロア40を上方に突出させて車両前後方向に指向するトンネル部42を形成し、ジョイント部38の下方を覆うようにエンジンリヤマウントメンバ50を配設するとともにこのエンジンリヤマウントメンバ50の長手方向両端をトンネル部42両側の車体フロア40下側に連結して懸架している。
【0025】
これにより、このパワートレイン8は、エンジンリヤマウントメンバ50によってジョイント部38を障害物や飛び石・水・泥等から保護することができるとともに車体フロア40のトンネル部42の剛性を向上して振動を防止することができる。
【0026】
また、このパワートレイン8は、トランスファ14のトランスファケース34とエンジンリヤマウントメンバ50とをエンジンリヤマウント58を介して連結したことにより、エンジン10からの振動をエンジンリヤマウント58で減衰させた後にエンジンリヤマウントメンバ50を介して剛性の高い車体フロア40のトンネル部42に入力させるため、振動を伝わりにくくすることができる。
【0027】
このため、この車両2のパワートレイン8構造は、車体フロア40のトンネル部42の振動防止及びエンジン10からの振動伝播の低減により静粛性を向上することができ、ジョイント部38の飛び石等から保護によりジョイント部38の寿命を延長することができる。
【0028】
さらに、このパワートレイン8は、エンジンリヤマウント58をエンジンリヤマウントブラケット66を介してトランスファケース34の側部に固着していることにより、トランスファ14の振動をエンジンリヤマウント58によって減衰させることができ、また、エンジンリヤマウントメンバ50によってジョイント部38だけでなくエンジンリヤマウント58の下方を覆っていることにより、ジョイント部38とともにエンジンリヤマウント58を障害物や飛び石・水・泥等から保護することができる。
【0029】
図6・図7は、第2実施例を示すものである。第2実施例のパワートレイン8は、エンジンリヤマウントメンバ50の上側部材50Uのマウント用取付部68両側に、前記エンジンリヤマウント58のメンバ側取付部材60の両側に当接される一対の突縁部76を、エンジンリヤマウントメンバ50の幅方向に指向させて形成して設けたものである。
【0030】
第2実施例のパワートレイン8は、エンジンリヤマウントメンバ50の上側部材50Uに形成した一対の突縁部76によって、マウント用取付部68に取付けられたエンジンリヤマウント58のメンバ側取付部材60を両側から保持することができ、エンジンリヤマウント58の取付剛性を高めることができ、また、エンジンリヤマウントメンバ50の幅方向に指向させて形成した一対の突縁部76によって、エンジンリヤマウントメンバ50の強度を高めることができ、トンネル部42の剛性を向上して振動を防止することができる。
【0031】
図8は、第3実施例を示すものである。第3実施例のパワートレイン8は、
エンジンリヤマウントメンバ50の底壁部52の長手方向両端から上昇傾斜する一対の傾斜部54・54に夫々エンジンリヤマウント58を互いのマウント軸線C・Cが交差するように傾斜させて取付け、各エンジンリヤマウント58・58をトランスファケース34の車両幅方向両側の側部に夫々固着されたエンジンリヤマウントブラケット66・66に取付けて設けたものである。
【0032】
第3実施例のパワートレイン8は、トランスファケース34を車両幅方向両側から一対のエンジンリヤマウント58・58によって弾性的に支持していることにより、プロペラシャフト20回りの捻り振動を効果的に減衰することができ、また、トランスファケース34を車両幅方向両側からマウント軸線C・Cが交差するように傾斜させた一対のエンジンリヤマウント58・58によって弾性的に支持していることにより、トランスファ14の上下・左右方向の振動のみならず、斜め方向の振動も効果的に減衰することができ、静粛性を向上することができる。
【0033】
図9・図10は、第4実施例を示すものである。第4実施例のパワートレイン8は、トランスファ14の出力軸36とプロペラシャフト20とのジョイント部38を避けるべく、車両2の車体フロア40を上方に突出させて車両前後方向に指向するトンネル部42を形成している。トンネル部42は、上壁部44と一対の側壁部46・46とからなり、上壁部44と側壁部46・46とによりプロペラシャフト20上側を覆うトンネル空間48を形成している。
【0034】
前記パワートレイン8は、ジョイント部38の下方を覆うように、トンネル部42の一部を下方に突出させて、エンジンリヤマウントメンバ部78を車両幅方向に長手方向を指向させて形成して設けている。このエンジンリヤマウントメンバ部78は、底壁部80と一対の側壁部82・82とからなり、エンジンリヤマウント58のエンジン側取付部材64をエンジンリヤマウントブラケット66を介してトランスファケース34に連結し、メンバ側取付部材60をエンジンリヤマウントメンバ部78の底壁部80のマウント用取付部84に連結している。
【0035】
第4実施例のパワートレイン8は、車両2の車体フロア40に形成したトンネル部42の一部を下方に突出させて、ジョイント部38の下方を覆うように、エンジンリヤマウントメンバ部78を車両幅方向に長手方向を指向させて形成して設けていることにより、エンジンリヤマウントメンバ50を不要にすることができ、部品点数や組付工数を削減することができる。なお、プロペラシャフト20の中間部位上側を覆うトンネル部42の一部を下方に突出させて、プロペラシャフト20の下方を覆うようにサポートメンバ部(図示せず)を形成することにより、プロペラシャフト20の中間部位を支持することができる。
【0036】
【発明の効果】
このように、この発明の車両のパワートレイン構造は、エンジンリヤマウントメンバによって結合部を障害物や飛び石・水・泥等から保護することができるとともに車体フロアのトンネル部の剛性を向上して振動を防止することができ、また、エンジンからの振動をエンジンリヤマウントで減衰させた後にエンジンリヤマウントメンバを介して剛性の高い車体フロアのトンネル部に入力させるため、振動を伝わりにくくすることができる。
【0037】
このため、この車両のパワートレイン構造は、車体フロアのトンネル部の振動防止及びエンジンからの振動伝播の低減により静粛性を向上することができ、結合部の飛び石等から保護により結合部の寿命を延長することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例を示すパワートレインの分解斜視図である。
【図2】トランスファの出力軸とプロペラシャフトとの結合部の平面図である。
【図3】図2の矢印III線による背面図である。
【図4】図2の矢印IV線による側面図である。
【図5】車両の底面図である。
【図6】第2実施例を示すトランスファの出力軸とプロペラシャフトとの結合部の背面図である。
【図7】図6の矢印VII線による側面図である。
【図8】第3実施例を示すトランスファの出力軸とプロペラシャフトとの結合部の背面図である。
【図9】第4実施例を示すパワートレインの分解斜視図である。
【図10】図9の矢印X線による背面図である。
【図11】従来例を示すパワートレインの分解斜視図である。
【符号の説明】
2 車両
4 前輪
6 後輪
8 パワートレイン
10 エンジン
12 トランスミッション
14 トランスファ
34 トランスファケース
36 出力軸
38 ジョイント部
40 車体フロア
42 トンネル部
50 エンジンリヤマウントメンバ
58 エンジンリヤマウント
66 エンジンリヤマウントブラケット

Claims (1)

  1. 車両の前側に搭載したエンジンの駆動力をトランスミッションにより取出して前輪に伝達し、前記トランスミッションにトランスファを連結してトランスファの出力軸とプロペラシャフトとの間に結合部を設け、前記結合部と弾性部材を保持するエンジンリヤマウントとを避けるべく車両の車体フロアを上方に突出させて車両前後方向に指向するトンネル部を形成し、前記結合部と前記エンジンリヤマウントの下方を覆うようにエンジンリヤマウントメンバを設け、前記トランスミッションの出力する駆動力の一部を前記トランスファにより取出して前記プロペラシャフトを介して後輪に伝達する車両のパワートレイン構造において、前記トンネル部を前記車体フロアの運転席と助手席との間に形成し、前記エンジンリヤマウントメンバ前記トンネル部両側の車体フロア下側に連結して懸架し、前記エンジンリヤマウントを前記結合部と前記トランスファのトランスファケースの側部に設け、前記トランスファケースと前記エンジンリヤマウントメンバとを前記エンジンリヤマウントを介して連結したことを特徴とする車両のパワートレイン構造。
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