JP4220037B2 - 被覆用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な被覆用樹脂組成物に関し、更に詳細には、塗料、インキ、接着剤等の分野で有用な水酸基ブロックアクリル系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
塗料、インキ、接着剤等の分野で広く使用されているアクリル系樹脂は、架橋官能基付与、付着性付与、親水性付与等の目的で水酸基を含有している場合が多い。この場合には、水酸基の水素結合に基づく相互作用により、系の粘度が高くなる。
【0003】
近年、環境問題、省エネルギー化等の観点から、樹脂を溶解するために使用する溶剤の削減が求められており、そのためには樹脂溶液の高固形分化を図る必要がある。樹脂溶液の高固形分化を図るためには樹脂の粘度を低下させる必要があり、その手段として樹脂の分子量を低下させる等の方法が採られているが、硬化性や塗膜性能の低下を招く。
【0004】
一方、水酸基含有アクリル系樹脂と水酸基と反応する基を有する化合物との反応、とりわけ低温硬化、高性能化の観点から水酸基含有アクリル系樹脂とイソシアネート硬化剤による架橋も盛んに検討されているが、イソシアネート硬化剤の高反応性の故に、水酸基含有アクリル系樹脂とイソシアネート硬化剤の一液化は困難であり、ポットライフの改良が求められている。
【0005】
これら上記の課題を解決する手法として、水酸基をトリメチルシリル基によってブロックする方法が提案されている(特開昭62−283163号公報参照)が、この方法はコストが高く、またブロック剤がハジキ物質となって作業環境を汚染するといった問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、容易に水酸基がブロックでき、ブロック化によって低粘度化した水酸基含有アクリル系樹脂を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、水酸基含有アクリル系樹脂と水酸基と反応する基を有する化合物との共存下でのポットライフを格段に改良した被覆用樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記した問題点を解消するために鋭意研究を重ねた。その結果、特定構造を有するブロック化水酸基含有アクリル系樹脂が上記した問題点を全て解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、下記一般式(1)
【0010】
【化3】
【0011】
(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表わす)
で表わされるビシナルグリコール基を下記一般式(2)
【0012】
【化4】
【0013】
(式中、R4は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を、R5は炭素数1〜4のアルキル基を表わす)
で表わされるオルトエステルでブロックした基を有するアクリル系樹脂を必須成分として含有する被覆用樹脂組成物に係る。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0015】
本発明の被覆用樹脂組成物は、特定の構造を有するブロック化水酸基含有アクリル系樹脂を必須成分として含有することを特徴とする。
【0016】
本発明の被覆用樹脂組成物は、水と脱ブロック化触媒であるスルホン酸の如き酸触媒が共存しない系では極めて安定で、水酸基をブロックしていない状態に比べて著しく低粘度である。
【0017】
本発明において、ビシナルグリコール基とオルトエステルとの反応を化学反応式で示すと次の通りである。
【0018】
【化5】
【0019】
上記化学反応式において、一般式(1)はビシナルグリコール基を表わし、一般式(2)はオルトエステルを表わす。該化学反応は酸触媒の存在下で常温もしくは加熱することにより速やかに進行し、アルコールを脱離して一般式(3)となる。
【0020】
本発明において、ブロック化水酸基の脱ブロック化反応を化学反応式で示すと次の通りである。
【0021】
【化6】
【0022】
上記化学反応式において、一般式(3)で表わされるブロック化水酸基は酸触媒の存在下で加水分解されて一般式(1)のビシナルグリコール基を再生する。脱ブロック化反応の際に用いる酸触媒は前記ブロック化反応の際に用いる酸触媒と同じでも異なっていても構わない。水は直接添加してもよいし、系中に何らかの方法で発生させてもよい。上記反応は雰囲気中の水分や湿気によっても進行する。
【0023】
尚、上記のブロック化反応及び脱ブロック化反応は一般的な主反応を表わしており、副反応や副生物の発生を伴っても本発明の範疇に包含される。例えば、一般式(1)で表わされるブロック化水酸基を多量のカルボン酸の存在下で反応させると、ビシナルグリコール基の一方の水酸基がエステル化された化合物を生成することもある。
【0024】
本発明のブロック化水酸基を有するアクリル系樹脂を製造する方法には特に制限はなく、いかなる方法によっても構わない。例えば、
▲1▼ビシナルグリコール基がオルトエステルでブロックされた基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体と、所望により他の重合性単量体とを共重合する方法。
▲2▼ビシナルグリコール基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体と、所望により他の重合性単量体とを予め共重合しておき、共重合後にオルトエステルを反応させる方法。
【0025】
▲3▼ビシナルグリコール基がオルトエステルでブロックされた基を有する化合物(例えば、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール等の一部がオルトエステルでブロックされた化合物)とアクリル系樹脂とを反応させる方法。
【0026】
▲4▼ビシナルグリコール基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体及び所望により他の重合性単量体とをオルトエステルの存在下で共重合する方法。
【0027】
等を用いることができ、必要に応じてこれらの方法を併用することもできる。
【0028】
前記ビシナルグリコール基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体としては、例えば、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(グリセロールモノ(メタ)アクリレート)、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアリルエーテル等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上併用して用いることができる。
【0029】
前記ビシナルグリコール基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体と共に所望により用いる他の重合性単量体としては、共重合可能なものであれば特に制約されず、また併用できる官能基も特に制約されない。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル(n−、i−、t−)、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜30のアルキルエステル又はシクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルエステル;アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロルスチレン等のビニル芳香族化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステル;アクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルとε−カプロラクトンとの付加物、例えばプラクセルFM−3(ダイセル化学工業社製、「プラクセル」は商品名)で表わされるモノマー;ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類、ヒドロキシアルキルビニルエーテル類;グリシジル(メタ)アクリレート、ジグリシジルフマレート、アリルグリシジルエーテル、ε−カプロラクトン変性グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有不飽和単量体;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロイソノニルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸のパーフルオロアルキルエステル;エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン等のオレフィン類;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン化合物;トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等のフルオロオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ベオバモノマー(シェル化学社製、分岐高級脂肪酸のビニルエステル)、酢酸イソプロペニル等の炭素原子数1〜20の脂肪酸のビニルエステル類やプロペニルエステル類;エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、5−カルボキシペンチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有不飽和モノマー;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−スチリルエチルトリメトキシシラン等の加水分解性アルコキシシリル基含有不飽和モノマー;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの含窒素アルキル(メタ)アクリレート;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド等の重合性アミド類;2−ビニルピリジン、1−ビニル−2−ピロリドン、4−ビニルピリジン、(メタ)アクリロイルモルホリンなどの含窒素モノマー;ビニルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸モノマー及びその塩;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート等の水酸基含有モノマーとりん酸化合物のエステル化物;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基にりん酸化合物を付加させた物等のりん酸含有モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の重合性ニトリル;アリルアミン;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物モノマー等を挙げることができる。
【0030】
また、これら上記のモノマーを(共)重合するにあたり、重合開始剤、溶剤、連鎖移動剤等は公知のものを特に制限なく用いることができる。
【0031】
かくして得られる本発明のブロック化水酸基含有アクリル系樹脂は数平均分子量が500〜50,000なる範囲が好ましい。数平均分子量が500未満である場合には塗膜物性が十分とはなり得なく、逆に50,000を越えた場合には塗膜の外観、光沢、肉持感あるいは塗装作業性などに欠陥が表われ易くなるのでともに好ましくない。
【0032】
前記オルトエステルとしては、例えば、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルトギ酸プロピル、オルトギ酸ブチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、オルトプロピオン酸メチル、オルトプロピオン酸エチル、オルト酪酸メチル、オルト酪酸エチル等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上併用して用いることができる。これらのうち、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル及びオルト酢酸エチルから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0033】
水酸基のブロック化反応及び脱ブロック化反応に用いる酸触媒としては特に制限されず、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、スルホン酸化合物、カルボン酸化合物、リン酸化合物及びそれらの誘導体等を挙げることができる。
【0034】
本発明の被覆用樹脂組成物は、更に、水酸基と反応する基を有する化合物を含有することができる。水酸基と反応する基を有する化合物としては、例えば、イソシアネート硬化剤やアミノプラスト硬化剤を挙げることができる。
【0035】
イソシアネート硬化剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはキシリレンジイソシアネートの如き芳香族ジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートもしくはトリメチルヘキサンジイソシアネートの如き脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン2,4−(ないしは2,6−)ジイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)もしくは1,3−ジ(イソシアネートメチル)−シクロヘキサンの如き脂環族ジイソシアネート;上記のビュレット体、ヌレート体、オリゴマー等;そしてさらにこれらのポリイソシアネートと、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールもしくはトリメチロールプロパンの如き多価アルコール類;イソシアネート基と反応する官能基を有するごく低分子量のポリエステル樹脂(油変性タイプをも含む。)または水などとの付加物等を挙げることができる。
【0036】
そして、これらのイソシアネート硬化剤と本発明のブロック化水酸基含有アクリル系樹脂との配合比としては、生成される水酸基/イソシアネート基=1/0.2〜1/3(当量比)なる範囲が塗膜性能の点から好ましい。この場合、あらかじめイソシアネート硬化剤を配合しておく一液型もしくは塗装直前に配合する二液型いずれの方法でも使用することができる。
【0037】
アミノプラスト硬化剤としては特に制限されず、例えば、メチロール型メラミン樹脂、イミノ型メラミン樹脂、エーテル化メラミン樹脂等を挙げることができる。アミノプラスト硬化剤の使用量としては、本発明のブロック化水酸基含有アクリル系樹脂の10〜40重量%なる割合が好ましい。また、架橋性を増すためにアミノプラスト用の硬化促進剤、例えばパラトルエンスルホン酸などの酸触媒を添加してもよい。硬化促進剤の使用量としては樹脂固形分に対して0.1〜10重量%が好ましい。
【0038】
本発明の被覆用樹脂組成物は、そのままクリアー塗料として使用することもできるし、さらに顔料を混合混合せしめることによりエナメル塗料として使用することもできる。また、本発明の被覆用樹脂組成物に対しては、必要に応じてレベリング剤、可塑剤、紫外線吸収剤、顔料分散剤などの各種の添加剤を混合させることができる。
【0039】
さらに、塗装方法としては刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装またはロール塗装などの如き常用の方法が採用できるし、硬化方法としても常温乾燥から加熱乾燥までの幅広い範囲で硬化条件を設計することができる。
【0040】
かくして得られる本発明の被覆用樹脂組成物は溶液の形で、あるいは粉体の形で自動車、家電製品、建築外装、金属類のプレコートなどに用いる塗料;インキ;接着剤等の分野で多岐にわたって利用することができるが、就中、一液型で貯蔵安定性の要求される分野においてその効果が顕著である。
【0041】
【発明の効果】
本発明の水酸基ブロックアクリル系樹脂組成物は未ブロックの水酸基含有アクリル系樹脂組成物と比べて系の粘度が大幅に低下する。また、本発明の水酸基ブロックアクリル系樹脂と水酸基と反応する基を有する化合物との共存下でのポットライフが格段に長くなり、塗料、インキ、接着剤等の分野でのハイソリッド化もしくは貯蔵安定性の改良に大きな効果があり、極めて有用である。
【0042】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。以下、単に「部」及び「%」とあるのは、それぞれ「重量部」及び「重量%」を表わす。
【0043】
製造例1
撹拌機、冷却器、温度制御装置、溶剤回収装置、窒素導入管及び滴下ロートを備えた2リットルの反応容器にキシレン311部及び酢酸ブチル80部を加え、窒素置換後125℃に保ち、スチレン200部、n−ブチルメタクリレート80部、n−ブチルアクリレート96部、2−エチルヘキシルアクリレート176部、イソボルニルアクリレート120部、グリセロールモノメタクリレート120部、アクリル酸8部及びアゾビスイソブチロニトリル24部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後125℃で30分間熟成し、次にキシレン40部及びアゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル4部からなる混合液を1時間かけて滴下し、その後30分間125℃に保って、固形分63.1%、樹脂溶液のガードナー粘度Z-、樹脂溶液酸価4.3mgKOH/gの淡黄色微濁の水酸基含有アクリル系樹脂溶液(A−1)を得た。
【0044】
実施例1
製造例1で得られた樹脂溶液(A−1)30部に対し、オルトギ酸エチル2.7部及びドデシルベンゼンスルホン酸0.2部を加えて室温でよく撹拌したところ、系は速やかに低粘度化し、ガードナー粘度はM-となった。また、IR測定により、水酸基の吸収である3200〜3600cm-1付近の吸収が完全に消失し、水酸基がブロックされていることが確認できた。
【0045】
実施例2
製造例1で得られた樹脂溶液(A−1)30部に対し、オルトギ酸エチル5.4部及びドデシルベンゼンスルホン酸0.2部を加えて室温でよく撹拌したところ、系は速やかに低粘度化し、ガードナー粘度はF-となった。また、IR測定により、水酸基の吸収である3200〜3600cm-1付近の吸収が完全に消失し、水酸基がブロックされていることを確認した。
【0046】
製造例2
撹拌機、冷却器、温度制御装置、溶剤回収装置、窒素導入管及び滴下ロートを備えた2リットルの反応容器に後記表1に示す成分をを加え、窒素置換後125℃に保ち、後記表1に示す滴下用混合物溶液を4時間かけて滴下した。重合中、水酸基のブロック化によって生成するエチルアルコールを留去しながら125℃を保った。滴下用混合物溶液の滴下終了30分後に、キシレン40部及びアゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル4部からなる混合液を1時間かけて滴下し、その後135℃に昇温して30分間生成したエチルアルコールをさらに留去し、固形分70.9%、樹脂溶液のガードナー粘度Z-、樹脂溶液酸価0.6mgKOH/gの淡黄色透明の水酸基ブロックアクリル系樹脂溶液(A−2)を得た。樹脂溶液のIR測定により、水酸基の吸収である3200〜3600cm-1付近の吸収が完全に消失し、水酸基がブロックされていることを確認した。
【0047】
製造例3
製造例2と同様の反応容器に後記表1に示す成分をを加え、窒素置換後90℃に保ち、後記表1に示す滴下用混合物溶液を4時間かけて滴下した。重合中、水酸基のブロック化によって生成するメチルアルコールを留去しながら90℃を保った。滴下用混合物溶液の滴下終了30分後に、キシレン40部及びアゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル4部からなる混合液を1時間かけて滴下し、その後135℃に昇温して30分間生成したメチルアルコールをさらに留去し、固形分68.7%、樹脂溶液のガードナー粘度Z2、樹脂溶液酸価0.2mgKOH/gの淡黄色透明の水酸基ブロックアクリル系樹脂溶液(A−3)を得た。樹脂溶液のIR測定により、水酸基の吸収である3200〜3600cm-1付近の吸収が完全に消失し、水酸基がブロックされていることを確認した。
【0048】
製造例4
製造例2と同様の反応容器に後記表1に示す成分をを加え、窒素置換後90℃に保ち、後記表1に示す滴下用混合物溶液を4時間かけて滴下した。重合中、水酸基のブロック化によって生成するメチルアルコールを留去しながら90℃を保った。滴下用混合物溶液の滴下終了30分後に、キシレン40部及びアゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル4部からなる混合液を1時間かけて滴下し、その後135℃に昇温して30分間生成したメチルアルコールをさらに留去し、固形分68.3%、樹脂溶液のガードナー粘度Z3、樹脂溶液酸価4.3mgKOH/gの淡黄色透明の水酸基ブロックアクリル系樹脂溶液(A−4)を得た。樹脂溶液のIR測定により、水酸基の吸収である3200〜3600cm-1付近の吸収が完全に消失し、水酸基がブロックされていることを確認した。
【0049】
製造例5
製造例2と同様の反応容器に後記表1に示す成分をを加え、窒素置換後125℃に保ち、後記表1に示す滴下用混合物溶液を4時間かけて滴下した。重合中、水酸基のブロック化によって生成するエチルアルコールを留去しながら125℃を保った。滴下用混合物溶液の滴下終了30分後に、キシレン40部及びアゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル4部からなる混合液を1時間かけて滴下し、その後135℃に昇温して30分間生成したエチルアルコールをさらに留去し、固形分70.9%、樹脂溶液のガードナー粘度Z2、樹脂溶液酸価5.7mgKOH/gの淡黄色透明の水酸基ブロックアクリル系樹脂溶液(A−5)を得た。樹脂溶液のIR測定により、水酸基の吸収である3200〜3600cm-1付近の吸収が完全に消失し、水酸基がブロックされていることを確認した。
【0050】
【表1】
【0051】
実施例3〜5及び比較例1
上記製造例1〜5で得られたアクリル系樹脂溶液(A−1)〜(A−5)のそれぞれ30部に対してヘキサメチレンジイソシアネート1.5部を加えて十分撹拌した後、蓋付きの70mLのマヨネーズ瓶に入れて室温に放置し、ゲル化するまでの日数を測定した。結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
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