JP4218682B2 - 光導波路モジュールの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光導波路と光ファイバを接続した光導波路モジュールの製造方法に関するものである。
従来、光通信ネットワークや光集積デバイスにおいて、光導波路と光ファイバを接続する技術が必須のものとして用いられており、光導波路と光ファイバを接続して一体化した光導波路モジュールの製造が行われている。光集積デバイスの製造において、光導波路を形成するとき、光伝搬の損失を低減するため、光導波路の側壁粗度や大きなうねりからなる凹凸の影響を避ける目的でシリコンウエハ(シリコン基板)上で作製することが多く行われている。また、光通信用デバイスを最終的に光ファイバに接続する場合、例えば、シングルモードの光ファイバでは、サブミクロンの精度で光導波路と光ファイバの位置合わせが必要である。そこで、光導波路と光ファイバに光信号を入光して受光量を見ながら位置合わせをすることなどが行われている。
また、位置合わせ作業を改善する方法として、光導波路構造用予備成形部と光ファイバ案内溝構造を有する成形部品を、一体物として1つの型で形成し、その成形部品に導波路形成、光ファイバ接続を行う方法が知られている。この種の公知例としては、米国特許第5311604号明細書がある。
また、基材ブロックに基材ブロックを横断する直線状の複数のV溝を設けて、そこに光ファイバの途中部分を配置して実装した後、基材ブロックの中央部を光ファイバと共に削り取って光ファイバの端面を露出させると共に導波路形成用の凹部を形成し、その凹部に別途形成した導波路部材を配置し、個々の光ファイバの位置合わせを簡略化する光導波路モジュールの製造方法が知られている。この種の公知例としては、特開平8−240740号公報がある。
また、他の方法として、まず基準面を備えた同一の基板材料を分割して基板材料を作製し、この基板材料を用いて互いに結合される光導波路基板と光ファイバ整列用基板とを形成する。次に、光導波路基板に形成された光導波路の端面と光ファイバ整列用基板に収容された光ファイバの端面とを結合する。このとき、基準面を用いた位置合わせを行うとともに分割面からなるこれらの基板の端面を互いに結合することにより位置合わせ作業なしにこれらの基板を結合する光導波路モジュールの製造方法が知られている。この種の公知例としては、米国特許第5197109号明細書がある。
しかしながら、上述した米国特許第5311604号明細書に示されるような光ファイバの案内溝と導波路を同一の型を用いて一体的に成形する方法においては、導波路の形成を光ファイバが実装された状態で行わなければならず、作業対象物の取扱や引き回しが不便であり、生産性が悪くなる。また、光導波路が形成される部位と光ファイバが固定される部位とで厚さの違いから生じる成形収縮量の差により、位置精度を確保し難い。また、特開平8−240740号公報に示されるような製造方法においては、固定された複数の光ファイバの光軸配置と、別途形成された導波路の複数の光軸配置の互いの配置間の位置精度が加工精度に依存しており、必ずしも最適のものが得られるとは限らない。
また、米国特許第5197109号明細書に示されるような光導波路モジュールの製造方法においては、光ファイバを光ファイバ整列用基板に位置決めして収容するためのV溝(案内溝)を、基板材料を分割した後の基板材料に個別に機械加工して形成するので、個々のV溝にアライメント誤差や加工誤差が発生し、光導波路と光ファイバの相互の位置精度が保証されない。シングルモードの光伝搬の場合、光導波路と光ファイバとの位置決めにはサブミクロンの精度が要求され、これらの要求を個別の機械加工において満足させることは困難であり、基板材料の分割前に光導波路をV溝加工位置の目印として形成しておいたとしても、個々のV溝の加工誤差により、複数チャネルの光導波路間に光損失のバラツキが発生することになる。
本発明は、上記課題を解消するものであって、簡単な構成により導波路の光軸と光ファイバの光軸を容易に精度良く接合できる光導波路モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、光導波路に光ファイバが接続されてなる光導波路モジュールの製造方法において、平板上にクラッド材を配置し、その上からコア溝となるコア用凸部と光ファイバ案内溝となる案内溝用凸部とを備えた型を押し付けることによりコア溝と光ファイバ案内溝とを有するクラッド基板を形成する基板形成工程と、基板形成工程で形成されたコア溝にコア材を充填し、硬化して光導波路を形成する導波路形成工程と、クラッド基板を光導波路又は光導波路となるコア溝を有した導波路ブロックと光ファイバ案内溝を表面に有した光ファイバ固定ブロックとに分断する基板分断工程と、光ファイバ固定ブロックの光ファイバ案内溝に光ファイバを固定する光ファイバ固定工程と、導波路ブロックと光ファイバ固定ブロックとを各々の底面を基準として位置合わせして接合するブロック接合工程と、を備えている。
さらに、基板形成工程時に用いられる型は、コア用凸部の端部近傍が形成するコア溝の方向と案内溝用凸部の形成する光ファイバ案内溝方向とが平行となり、かつ、平板からのコア溝の断面中心高さと光ファイバ案内溝に光ファイバを設置したときの光ファイバの光軸高さとが同じとなるように形成されており、基板形成工程時に用いられる平板は、型の案内溝用凸部と相対した部位に凹部を備えている。
このような構成によれば、コア用凸部と案内溝用凸部を備えた型を用いてコア溝と光ファイバ案内溝を備えたクラッド基板を形成し、その後、そのコア溝にコア材を充填・硬化して光導波路を形成してからクラッド基板を分断して光導波路を有した導波路ブロックと光ファイバ案内溝を表面に有した光ファイバ固定ブロックを形成するので、コア溝と光ファイバ案内溝が一体的に形成され、各ブロックに共通の底面を持たすことができる。さらに、導波路ブロックと光ファイバ固定ブロックとが分断されているので、各ブロックにおける各光入出端面の研磨などの表面処理を個々に容易に行うこともできる。
また、光導波路形成と分断の順序を逆にして、クラッド基板を分断した後に導波路ブロックのコア溝にコア材を充填・硬化して光導波路を形成し、最終的に光導波路を有した導波路ブロックと光ファイバ案内溝を表面に有した光ファイバ固定ブロックとを形成することもできる。この場合も上述と同様の効果がある。
また、光ファイバを固定した光ファイバ固定ブロックと導波路ブロックとの各々の底面を基準として高さの位置合わせを行って両ブロックを接合するので、光ファイバと導波路の光軸合わせを、容易且つ短時間で行うことができる。
また、導波路ブロックと光ファイバ固定ブロックとを分断しているので、各ブロックの取りまわしが容易であり、また、光軸高さ位置調整が容易であるので、ブロックの接合部における光軸ずれの少ない光導波路モジュールを容易且つ安価に製造できる。また、一枚の平板上に光ファイバ案内溝と光導波路になるコア溝とを備えたクラッド基板を形成し、両溝部分を一旦分断した後に、光ファイバの固定を別途に行い、最終的に両者を再結合させており、同一平板(同一クラッド基板)に基づいて製造されるので光軸高さ位置精度が容易に得られる。また、光導波路の形成が、光ファイバを固定する前に行われるので、作業対象物の取扱や引き回しが容易となる。
また、コア用凸部の端部近傍が形成するコア溝の方向(以下、端部溝方向という)と、案内溝用凸部の形成する光ファイバ案内溝方向とが平行となる形状を備えた型を用いるので、導波路ブロックと光ファイバ固定ブロックに端部溝方向に平行な切断面(以下、側面基準という)を容易に形成でき、各ブロックの接合時において、この側面基準を用いて端部溝方向の容易且つ高精度な位置合わせ、すなわち光軸接合部の前後における光軸直線性の確保が可能となる。
また、平板からのコア溝の断面中心高さと光ファイバ案内溝に光ファイバを設置したときの光ファイバの光軸高さが同じとなるコア用凸部及び案内溝用凸部を備えた型を用いるので、上述の効果に加え、導波路ブロックと光ファイバ固定ブロックの接合時に、光軸の高さ方向の位置合わせを容易且つ高精度に行うことができる。すなわち、導波路ブロックと光ファイバ固定ブロックとを基準平面上に置くだけで、両者の光軸高さの位置合わせができる。
また、基板形成工程時に、型の案内溝用凸部と相対した部位に凹部を備えた平板を用いて、コア溝及び光ファイバ案内溝をその平板上に成形するので、凹部のない平板でクラッド基板を形成する場合よりも、少ない成形樹脂でクラッド基板を形成できる。また、平板上に形成される成型品の厚み(クラッド層の厚み)を光導波路が形成される部位と光ファイバが固定される部位の両方で薄くできるので、寸法歪みが小さく、従って寸法精度を確保し易くなる。
本発明は、上述の改良された発明において、導波路形成工程の後に基板分断工程を行って光導波路を有した導波路ブロックと光ファイバ案内溝を表面に有した光ファイバ固定ブロックとを形成し、光ファイバ固定工程の後に導波路ブロックと光ファイバを固定した光ファイバ固定ブロックとを接合するブロック接合工程を行うことができる。
このような構成によれば、クラッド基板の分断前に光導波路を形成するので、作業対象物が大きなままで扱いやすく、また、多数個取りの場合に一括して効率的に作業できる。また、ブロック接合が光ファイバ固定工程の後に行われるので、光ファイバを固定した光ファイバ固定ブロックの端面と固定された光ファイバ端面とを一体研磨でき、ブロック接合時の光導波路端面と光ファイバ端面とをより一様に密着させて接合することができる。
本発明は、上述の改良された発明において、導波路形成工程の後に基板分断工程を行って光導波路を有した導波路ブロックと光ファイバ案内溝を表面に有した光ファイバ固定ブロックとを形成し、導波路ブロックと光ファイバを固定していない光ファイバ固定ブロックとを接合するブロック接合工程を行った後に光ファイバ固定工程を行うことができる。
このような構成によれば、上述した導波路形成工程における作業効率の効果の他に、光ファイバを固定していない光ファイバ固定ブロックを導波路ブロックに接合することから、各ブロックの取扱と位置合わせが容易である効果、及び、光ファイバを固定する時期や、固定する光ファイバの、例えば長さなどの、構成種別の選択の自由度が向上する効果がある。
本発明は、上述の改良された発明において、クラッド基板を光導波路となるコア溝を有した導波路ブロックと光ファイバ固定ブロックとに分断する基板分断工程の後に導波路形成工程を行うことができる。
このような構成によれば、クラッド基板を分断してコア溝を表面に備えた導波路ブロックと光ファイバ案内溝を表面に備えた光ファイバ固定ブロックとを形成し、分断した導波路ブロックのコア溝にコア材を充填・硬化して光導波路を有した導波路ブロックを形成するので、光ファイバ固定ブロックとは全く独立に、導波路ブロックのみを対象として導波路形成処理を行うことができる。すなわち、光ファイバ固定ブロックの光ファイバ案内溝へのコア材の流れ込みに対する防止策や後処理を行う必要がなく、コア溝へのコア材の充填・硬化等を行う光導波路の形成工程が単純化される。
本発明は、上述の改良された発明において、基板形成工程時に用いられる型は、コア用凸部の端部近傍が形成するコア溝の断面中心位置と案内溝用凸部の形成する光ファイバ案内溝に光ファイバを設置したときの光ファイバの光軸位置とが一致するように形成されているのが好ましい。
このような構成によれば、上述の発明に加えてコア溝端部の断面中心位置と光ファイバ案内溝に光ファイバを設置したときの光ファイバの光軸端部位置がクラッド基板において一致した構造となるコア用凸部及び案内溝用凸部を備えた型を用いるので、各ブロックの接合時において、各ブロックの底面(底面基準)を基準にした高さ位置合わせと、端部溝方向に平行な切断面(側面基準)を基準にした端部溝に垂直方向の位置合わせとを行うことにより、ブロック端面における光軸を容易に一致させることができる。
また、各ブロックが一体的に形成された後に分断されているので、各ブロックにおいて成形時の樹脂収縮が同程度であり、ブロック接合された状態において、成形収縮の大小による光軸位置ずれの影響を受けることが少なく、ブロックの側面基準と底面基準とをそれぞれ一致させることにより、容易且つ高精度に光軸を一致させることができる。また、基板分断工程において、例えば一定幅の切断代を除去できる回転ブレードを用いてクラッド基板を分断することにより、分断される両ブロックの対向する切断面を互いに平行にできるので、光軸を一致させて形成したクラッド基板の光軸の位置精度を再現してブロック接合できるとともに、両ブロックの接合面に隙間を生じることなくブロック接合ができる。
本発明は、上述の改良された発明において、平板として、シリコン基板に異方性エッチングにより型の案内溝用凸部と相対した凹部を形成したものを用いるのが好ましい。
このような構成によれば、平板として、シリコン基板を用いるので、高精度に平面加工されたシリコン基板を半導体産業分野で容易に入手でき、シリコン基板の高精度な面を高さの基準面として用いることができる。また、シリコン基板に異方性エッチングにより型の案内溝用凸部と相対した凹部を形成するので、容易に精度良く凹部を形成できる。
本発明は、上述の改良された発明において、基板分断工程時に、導波路ブロックの端面と光ファイバ固定ブロックの端面を同時に形成するのが好ましい。
このような構成によれば、1つの面に沿って行う切削加工により生じる切断面(端面)には、各ブロックの構造が現れる。例えば、導波路ブロックと光ファイバ固定ブロックとの端面が切断面の両側に対向して配置され、分断前のクラッド基板における光軸が各ブロック間で一致しておれば、切断面の互いに対応する位置に光軸が一致するようにコア溝及び光ファイバ案内溝の構造が現れる。このように、各ブロック接合時の突合せ面としてのブロック端面を1つの工程で同時に形成することで、各ブロック接合時の光軸位置合わせ精度が向上する。
本発明は、上述の改良された発明において、基板分断工程時に導波路ブロックの端面と光ファイバ固定ブロックの端面とが光軸に対して傾斜するように分断するのが好ましい。このような構成によれば、光導波路コアと光ファイバコアの接合部において発生する反射戻り光の影響を低減できる端面を形成することができる。
本発明は、上述の改良された発明において、基板分断工程前に、導波路ブロックとなる部位、及び、光ファイバ固定ブロックとなる部位にブロック接合工程時の光軸位置決めのための少なくとも1つ以上の基準となる部位を設ける基準形成工程を備えるのが好ましい。このような構成によれば、この基準を用いて光軸位置合わせを精度良く行うことができる。
本発明は、上述の改良された発明において、基板形成工程と導波路形成工程の間に、光ファイバ案内溝表面にコア材との密着力よりもクラッド基板との密着力が小さい剥離膜を形成する剥離膜形成工程を備えているのが好ましい。
このような構成によれば、光ファイバ案内溝側に漏洩したコア材を導波路形成工程後に剥離膜とともに容易に取り除くことができるので、基板分断工程を導波路形成工程の後に行う場合においても、コア材充填時に漏洩したコア材が光ファイバ固定ブロックに残留することがなく光ファイバ固定が精度良く行え、従って、光ファイバと導波路ブロックの位置合せを正確に行うことができる。
本発明は、上述の改良された発明において、導波路形成工程は、クラッド基板のコア溝に光硬化性材料よりなるコア材を充填した後、光ファイバ案内溝が非照射部となるように光を選択的に照射してコア材を硬化させて光導波路を形成する選択硬化工程を備えているのが好ましい。
このような構成によれば、光ファイバ案内溝側に漏洩したコア材が硬化されずに未硬化コア材として容易に取り除くことができるので、基板分断工程を導波路形成工程の後に行う場合においても、コア材充填時に漏洩したコア材が光ファイバ固定ブロックに残留することがなく光ファイバ固定が精度良く行え、従って、光ファイバと導波路ブロックの位置合せを正確に行うことができる。
本発明は、上述の改良された発明において、導波路形成工程は、光ファイバ案内溝表面に付着したコア材を除去するために光ファイバ案内溝表面をエッチングするコア材除去工程を備えているのが好ましい。
このような構成によれば、光ファイバ案内溝側に漏洩したコア材を導波路形成工程後に取り除くことができるので、基板分断工程を導波路形成工程の後に行う場合においても、コア材充填時に漏洩したコア材が光ファイバ固定ブロックに残留することがなく光ファイバ固定が精度良く行え、従って、光ファイバと導波路ブロックの位置合せを正確に行うことができる。
本発明は、上述の光導波路モジュールの製造方法を用いて製造された光導波路モジュールである。本光導波路モジュールは、1枚のクラッド基板上に光ファイバ案内溝と導波路(又は導波路となるコア溝のみ)を形成し、その後、クラッド基板を分断してクラッド基板から不要部分を取り除き、有用部分である導波路ブロックと光ファイバ固定ブロックを精度良く形成し、導波路ブロック部分とは別ブロックである光ファイバ固定ブロックにおいて光ファイバを固定し、最終的に両ブロックを再結合させることから、導波路の光軸と光ファイバの光軸とを精度良く位置合わせしたものとなる。また、本光導波路モジュールは、光軸の位置合わせが容易であることから、製造工数低減により低コストとなる。
FIG.1(a),FIG.1(b)は本発明の実施形態1に係る光導波路モジュールの斜視図である。 FIG.2は本発明の実施形態2に係る光導波路モジュール製造方法の工程フロー図である。 FIG.3(a)は同上製造方法の基板形成工程におけるシリコン基板の斜視図であり、FIG.3(b)はFIG.3(a)におけるシリコン基板のC部詳細平面図であり、FIG.3(c)はFIG.3(b)におけるX−X断面図である。 FIG.4(a)は同上製造方法の基板形成工程におけるクラッド樹脂液塗布を示すシリコン基板の斜視図であり、FIG.4(b)はFIG.4(a)におけるクラッド樹脂液塗布後のシリコン基板の斜視図である。 FIG.5は同上製造方法の基板形成工程で用いられる型の斜視図。 FIG.6は型の斜視図、型の背面斜視図、クラッド樹脂液塗布シリコン基板の斜視図、シリコン基板に型を配置した状態の斜視図、及び、形成されたクラッド基板とその一部拡大の斜視図である。 FIG.7(a0)は同上製造方法の基板形成工程におけるシリコン基板の主要部平面図であり、FIG.7(a1)〜FIG.7(c3)は同上製造方法の基板形成工程における光導波路モジュールの主要部断面図である。 FIG.8(a),FIG.8(b)は同上製造方法における剥離膜形成工程を説明する光導波路モジュールの主要部断面図である。 FIG.9(d1)〜FIG.9(e3)は同上製造方法の各導波路形成工程における光導波路モジュールの主要部断面図である。 FIG.10(a)は同上製造方法の基板分断工程におけるクラッド基板の斜視図であり、FIG.10(b)はFIG.10(a)において分断して形成された導波路ブロック及び光ファイバ固定ブロックの斜視図である。 FIG.11(a),FIG.11(b)は同上製造方法における光ファイバ固定工程後の光ファイバ固定ブロックの斜視図である。 FIG.12(a)は同上光導波路モジュールにおける光ファイバ固定ブロックの光軸端面から見た正面図であり、FIG.11(b)は同上光導波路モジュールにおける導波路ブロックの光軸端面から見た正面図である。 FIG.13は同上製造方法におけるブロック接合工程を説明する導波路ブロック、光ファイバ固定ブロック、及び光導波路モジュールの斜視図である。 FIG.14(a1)〜FIG.14(d3)は同上製造方法の基板分断工程からブロック接合工程における光導波路モジュールの主要部断面図である。 FIG.15(a)〜FIG.15(c)は本発明の実施形態3に係る光導波路モジュール製造方法の導波路形成工程における光導波路モジュールの主要部断面図である。 FIG.16(a)は本発明の実施形態5に係る光導波路モジュール製造方法における基板形成工程で用いられる型の斜視図であり、FIG.16(b)はFIG.16(a)における型を用いて形成したクラッド基板及び分断用ダイサの斜視図である。 FIG.17は本発明の実施形態6に係る光導波路モジュール製造方法を示す工程フロー図である。 FIG.18(a)は同上製造方法のブロック接合工程後のブロックの斜視図であり、FIG.18(b)はFIG.18(a)における接合されたブロックに光ファイバを固定した光ファイバモジュールの斜視図である。 FIG.19は本発明の実施形態7に係る光導波路モジュール製造方法を示す工程フロー図である。 FIG.20は本発明の実施形態8に係る光導波路モジュール製造方法を示す工程フロー図である。 FIG.21(a1)〜FIG.21(d4)は本発明の実施形態9に係る光導波路モジュール製造方法において用いられる型の製造工程を示す平面図及び断面図である。 FIG.22(e1)〜FIG.22(g4)は同上型の製造工程を示す平面図及び断面図である。 FIG.23(a)は本発明の実施形態10に係る光導波路モジュール製造方法における基板形成工程を説明する斜視図であり、FIG.23(b)はシリコン基板に設けられる嵌合用凹部の斜視図である。 FIG.24(a)〜FIG.24(c)は同上製造方法における基板形成工程を説明するシリコン基板及び型の断面図である。
以下、本発明の光導波路モジュールの製造方法について、図面を参照して説明する。
(実施形態1)
FIG.1(a),〜FIG.1(b)は、本発明の実施形態1に係る光導波路モジュール1の例を示す。光導波路モジュール1は、下部クラッド4、コア5、上部クラッド6からなる光導波路を表面に備えた導波路ブロック11の両側に、光ファイバ7を備えた光ファイバ固定ブロック12を、光学的に接合して一体化したモジュールである。これらのブロック11,12の底部は、例えばシリコン基板3からなっている。その底面11a,12aを共通の平面に揃えることにより、その上部に構成されたコア5及び光ファイバ7の光軸高さを一括して位置合わせを行い、光導波路モジュール1が構成されている。
また、FIG.1(a)に示す光導波路モジュール1は、2つのY分岐導波路の構成であり、FIG.1(b)に示す光導波路モジュール1は、1つのY分岐導波路の構成になっている。このような光導波路の構成はY分岐に限らず、目的に応じて任意の構造とすることができる。また、例えば、各Y分岐したコア5に近接してヒータを設けて、熱光学的に光導波路中の光を遮断/導波すると光スイッチを構成することができる。以下の説明において、FIG.1(a),FIG.1(b)を適宜参照する。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係る光導波路モジュール製造方法を説明する。まず、光導波路モジュール1の製造工程(実施形態2)の概要を説明する。FIG.2は、実施形態2の製造工程フローを示す。まず、基板形成工程(S1)において、光導波路のコア5を形成するコア溝となるコア用凸部と光ファイバ案内溝となる案内溝用凸部を備えた型を用いてコア溝と光ファイバ案内溝を備えたクラッド基板が形成される。クラッド基板は、シリコン基板からなる平板上に積層したクラッド用樹脂に上述の溝を成形したものである。
続く剥離膜形成工程(S2)では、次工程においてコア溝に充填されるコア樹脂が本来付着すべきでない場所、例えば、上述の光ファイバ案内溝の表面に付着した場合にこれを除去し易くするため、剥離膜の形成が行われる。続いて、導波路形成工程(S3)において、クラッド基板のコア溝にコア材(樹脂)を充填・硬化し、さらにコア5の上に上部クラッド(カバークラッド)6を形成して光導波路を備えたクラッド基板が形成される。
続く基板分断工程(S4)において、上述のクラッド基板を分断して光導波路を表面に備えた導波路ブロック11と光ファイバ案内溝を表面に備えた光ファイバ固定ブロック12とが形成される。光ファイバ案内溝に埋まったコア樹脂及び上部クラッド樹脂は、上述の剥離膜と共に溝から除去される。なお、後述するように、上記2つの工程の順番を入れ替えて、基板分断工程(S4)の後に導波路形成工程(S3)を行うこともできる。
続く光ファイバ固定工程(S5)において、上述の光ファイバ固定ブロック12の光ファイバ案内溝に光ファイバが固定される。続いて、ブロック接合工程(S6)において、導波路ブロック11と光ファイバ固定ブロック12とを各々の底面(底面基準)、及び各ブロックに共通の切断面(側面基準)を基準として位置合わせするとともに、分断面を接合して光導波路モジュール1が得られる。このとき、導波路ブロック11の光導波路端面の光軸と、光ファイバ固定ブロック12に固定された光ファイバ端面の光軸とは自動的に調芯された状態となる。なお、後述するように、上記2つの工程の順番を入れ替えて、ブロック接合工程(S6)の後に光ファイバ固定工程(S5)を行うこともできる。以下、上述の各工程を順次詳細説明する。
(基板形成工程S1)
FIG.3(a)〜FIG.3(c)、FIG.4(a),FIG.4(b)、FIG.5は、基板形成工程(S1)、すなわち、シリコン基板(平板)3上への下部クラッド4の形成工程を示す。まず、FIG.3(a)に示すように、シリコン基板3の表面に光ファイバ案内溝(後述)となるべき部位にV字形状の凹部31が、異方性エッチングによって形成される。凹部31は、FIG.3(b),FIG.3(c)に示される平面図及び断面図から分かるように、矩形の開口と4面の傾斜面から構成されている。
異方性エッチングについて説明する。結晶方位が(100)である面を有するシリコン基板3を熱酸化することにより1μm厚のシリコン酸化膜を形成する(不図示)。このシリコン酸化膜を一部除去して凹部31の開口パターンを有するシリコンエッチング用のマスクを形成する。このシリコンエッチング用マスクは、シリコン酸化膜上へのレジスト塗布、露光、現像により凹部31の開口パターンを有するレジストマスクを形成し、このレジストマスクを用いて、シリコン酸化膜をドライエッチングして一部除去することにより形成される。
シリコン酸化膜からなるエッチングマスクを表面に備えたシリコン基板3は、KOH溶液を用いて、マスクが開口した部分をエッチングされてV字状の凹部31が形成される。シリコン基板3の(111)面は、54.7°の角度でエッチングが進行(異方性エッチング)する。所定量の異方性エッチングの後、マスクであるシリコン酸化膜を除去して、クラッド基板を形成するための平板が完成する。
続いて、凹部31が形成されたシリコン基板3の表面に、FIG.4(a),FIG.4(b)に示すように、下部クラッド4を形成するためのクラッド用樹脂液4aが塗布される。クラッド用樹脂液4aとして、光硬化性材料や熱硬化性材料が用いられる。これらのクラッド用樹脂液4aは、マイクロピペットやディスペンサ4bなどを用いて必要量だけシリコン基板3上に滴下され、スピンコータを用いてシリコン基板3を回転させることにより、均一な厚さの樹脂液層とされる。
樹脂液層の厚みは、10μm〜2000μmである。この膜厚は、作製するデバイスにより異なる。熱硬化性材料を用いる場合、後工程の型による成形工程において加熱することにより硬化を行う。また、光通信のシングルモード光用のデバイスの場合、クラッド樹脂として、メタクリレート系の光硬化性及び熱硬化性樹脂を用いることができる。ここでは、クラッドとして屈折率nD=1.538の樹脂を用いた。クラッド用樹脂液4aとして光硬化性材料を用いる場合、樹脂層を光により硬化させてクラッド層を形成する。
続いて、FIG.5に示すようにコア溝となるコア用凸部21と光ファイバ案内溝となる案内溝用凸部22を1つの型内に備えた型2を用いて、コア溝と光ファイバ案内溝を備えたクラッド基板を形成する。すなわち、FIG.6に示すように、クラッド用樹脂液4aが塗布されたシリコン基板3に、型2を重ねて型2の凹凸形状をクラッド用樹脂液4aに転写する。ここで用いられる基板成形方法は、温度200℃に加熱された型2を、溶融したクラッド用樹脂液4aに押し付けて成形するプレス成形法である。また、このとき、シリコン基板3を移動可能な状態でプレス成形することにより、シリコン基板3表面に形成された凹部31と型2に備えられた案内溝用凸部22とに相互に自己位置調整を行わせて相対位置を位置決めすることが可能である。シリコン基板3上のクラッド用樹脂液4aが固化した後、型2を離型して、シリコン基板3上に下部クラッド4からなるコア溝41と光ファイバ案内溝42とを備えたクラッド基板8が得られる。
FIG.7(a0)〜FIG.7(c3)は、上述の基板形成工程(S1)における光導波路モジュールの主要部断面(FIG.7(a0)は平面図)を示す。FIG.7(a0)〜FIG.7(a3)は、KOH溶液を用いてシリコン基板3を異方性エッチングした後、マスクであるシリコン酸化膜を除去した状態を示す。凹部31の各斜面の傾斜角α、βは共に54.7°となっている。また、FIG.7(b1)〜FIG.7(b3)は、シリコン基板3の表面にクラッド用樹脂液4aを塗布した後、例えば、スピンコータを用いて平坦な表面を形成した状態を示す。
FIG.7(c1)〜FIG.7(c3)は、成形されたクラッド基板8の断面を示す。これらの図において、シリコン基板3の表面、及び凹部31に、クラッド用樹脂液4aが固化して形成された所定厚さの下部クラッド4が示されている。シリコン基板3の平らな表面上において型2のコア用凸部21が転写されたコア溝41が形成されている。また、凹部31の上部において型2の案内溝用凸部22が転写されたV字形状断面のファイバ案内溝42が形成されている。コア溝41と光ファイバ案内溝42とが1つの型2を用いて、クラッド基板8上に形成されるので、これらを別々の型や工程によって形成する場合に比べて、両方の溝の高さ方向の位置精度の高いものが得られる。クラッド基板8の形成方法として、上述のような、いわゆるホットエンボス成形法の他に、射出成形法を用いてもよい。
(剥離膜形成工程S2)
FIG.8(a),FIG.8(b)は、剥離膜形成工程(S2)を示す。コア溝41に充填されるコア樹脂が本来付着すべきでない場所である光ファイバ案内溝などの表面に付着した場合にこれを除去し易くするため、コア5との密着力よりもクラッド基板8の下部クラッド4との密着力が小さい剥離膜を形成する。この場合、不要なコア材を除去するときに剥離膜はコア材とともに除去される。
剥離膜は、例えば、スパッタ成膜装置を用いて成膜する。剥離膜を形成する際には、FIG.8(a)に示すように、コア溝41が形成された導波路部の上面を金属板等からなるマスクMを用いて物理的に遮蔽し、光ファイバ案内溝42部分の下部クラッド樹脂層表面などにはマスクMに開口を設ける。そして、マスクMの開口部を介してクラッド基板8の上方からスパッタ粒子を供給して、FIG.8(b)に示すように、光ファイバ案内溝42表面などに剥離膜43を成膜する。剥離膜43として、例えばCu、Al、Ag等の金属膜を用いる。スパッタ成膜は、DC200W、60秒の条件で行い、略0.2μm以下の膜を形成する。また、スパッタ膜の密着強度の調整のための前処理として、例えば、窒素雰囲気1〜3Pa、DC100W、120sのプラズマ処理処理を行ってもよい。
(導波路形成工程S3)
FIG.9(d1)〜FIG.9(d3)は導波路形成工程(S3)のうちコア5形成を示し、FIG.9(e1)〜FIG.9(e3)は導波路形成工程(S3)のうち上部クラッド6形成を示す。まず、FIG.9(d1)〜FIG.9(d3)に示すように、コア溝41にコア用樹脂(コア材)が塗布され、硬化されてコア5が形成される。このとき、剥離膜43の上にもコア用樹脂が塗布・硬化され、下部クラッド4の最上面及びコア5の上面が同一面とされる。
コア5形成についてさらに説明する。基板形成工程(S1)において形成されたクラッド基板8の下部クラッド4に作り込まれたコア溝41の内部、及び光ファイバ案内溝42表面の剥離膜43上に、下部クラッド4よりも硬化状態における屈折率が高く、且つ下部クラッド4と同系統の樹脂を塗布する。下部クラッド4とコア5の屈折率差は、光通信に使用するシングルモードレーザ光の場合、1300〜1550nmの波長域で0.004〜0.01程度の差である。可視領域から赤外領域で使用するマルチモードレーザ光線の場合、0.01〜0.05程度の屈折率差である。
クラッド基板8のコア溝41にコア樹脂を充填する方法として、例えば、スピンコータを用いて毎分6000回転の回転速度で、30秒間回転させる方法によることができる。また、他の方法として、ゴムヘラを用いて樹脂をスキージングする方法によってもよい。なお、コア溝41からクラッド基板8の下部クラッド4の表面上に溢れ出すコア樹脂の厚みは1μm以下となるように液面制御することが望ましい。これらの方法は、使用する樹脂の粘性により使い分けられる。コア樹脂をコア溝41部に充填した後、基板全体に紫外光を照射してコア樹脂を硬化させる。このときの紫外線強度は、例えば、30mW/cm2であり、照射時間は5分間である。その後、コア樹脂を完全に重合させるため、例えば200℃において1時間加熱放置する。
続いて、FIG.9(e1)〜FIG.9(e3)に示すように、上記コア5の上面などから形成される面上に、一様な厚みの上部クラッド6が形成される。上部クラッド6を形成するため、下部クラッド4を形成した樹脂と同一の樹脂がスピンコータを用いて形成される。スピンコータの動作条件は、例えば毎分2500回転で30秒間である。このときの上部クラッド6の厚みは、10μmであった。以上の工程によって、下部クラッド4、コア5、上部クラッド6からなる光導波路の形成されたクラッド基板8が形成される。なお、以下の説明において、クラッド基板8は、光導波路の形成の如何に関わらず、シリコン基板3の上に下部クラッド4が形成された基板のこととする。
(基板分断工程S4)
FIG.10(a),FIG.10(b)は、光導波路の形成されたクラッド基板8を分断する基板分断工程(S4)を示す。まず、FIG.10(a)に示すように、ダイサ80を用いて、切断線x1〜x4,y1,y2に沿ってクラッド基板8が切断される。これらの切断線によって、導波路ブロック11を含む基板領域110と、光ファイバ固定ブロック12を含む基板領域120が切り出される。
ダイサ80を用いてクラッド基板8を分断する際、シリコン基板3のチッピングを抑制するため、例えば、切断刃であるブレードの粗さとして#800を使用し、回転数30,000rpm、試料の送り速度2mm/s以下という条件で、ダイシングが行われる。このときの端面粗さは、30nmであった。ダイサ80のブレードの直径はφ55mm、幅(厚み)Wは200μmである。ダイシング後に、導波路チップをエッチング液に浸漬させ、超音波洗浄を行い、切断屑を除去してもよい。エッチング液は、シリコン基板をエッチングする際に使用する水酸化カリウムの10%水溶液が用いられる。超音波洗浄は、例えば、2分間行う。洗浄時間が長いとシリコン基板3と下部クラッド4とが剥離する可能性があるので、過洗浄を避ける必要がある。
切り出された基板領域110の部分は、FIG.10(b)に示すように、導波路ブロック11となる。また、基板領域120の部分は、以下に述べるように、不要なコア用樹脂の部分と剥離膜43が取り除かれて、FIG.10(b)に示すように、光ファイバ案内溝42を備えた光ファイバ固定ブロック12となる。また、ここで記載している剥離膜43は除去されることが望ましいが、膜厚0.2μm以下であるので残在していても問題を生じることはない。
上述のように、クラッド基板8を分断して形成された各ブロックは、後工程で切断面どうしを突き合わせて接合される。その場合、上述のようにダイサ80のブレードによる1回の切断で分断されているので、ブレードの両面の平行度が確保されていれば、導波路ブロックにおける切断面と、光ファイバ固定ブロックにおける切断面に平行度が確保されることになり、後工程においてこれらの面の平行度を出すために研磨処理を行うということが不要となる。ここで、各ブロックの切断面の平行度とは、各ブロックの光軸を一致させたときの切断面の平行度である。
さらに、切断面について述べる。一般に、導波路と光ファイバを接合する端面で屈折率変化に伴う表面反射が発生する。この反射が、光通信デバイス等を含むシステムの中を逆伝搬すると、例えばクロストークなどの信号ノイズの原因になるので、この表面反射の逆伝搬を低減する必要がある。その方策として、例えば、反射光が散乱によって減衰するように、接合部の端面を光伝搬方向に対して略8°以上傾斜させることが有効である。これは、例えば、FIG.10(a)において、ダイサ80のブレードによる切断線x2,x3をコア5の光軸に対して傾斜させることで実現できる。この場合も、1回の切断でブロックを分断できることから、ブレードの両面の平行度により、端面間の平行度が保証される。
また、FIG.10(a)における切断線y1,又は切断線y2は、導波路ブロック11と光ファイバ固定ブロック12に対して共通の平面を形成する。従って、この平面は、後工程において導波路ブロックと光ファイバ固定ブロックとを光軸位置決めして接合する際の基準(側面基準)としての役割を果たすことができる。この側面基準を形成するために、各ブロック11,12を分断する切断線x2,x3に沿った切断の前に、切断線y1又は切断線y2に沿って切断する基準形成工程、を行うことが必要である。
(光ファイバ固定工程S5)
FIG.11(a),FIG.11(b),FIG.12(a),FIG.12(b)は、光ファイバ固定工程(S5)を示す。この工程において、光ファイバ固定ブロック12の光ファイバ案内溝42に光ファイバ7が、固定される。光ファイバ7の固定は、FIG.12(a)に示すように、V字状の光ファイバ案内溝42に光ファイバ7のクラッド72(直径125μm)を配置し、接着用樹脂を滴下して、上部からカバーを押し当てた状態で、接着樹脂を硬化して行われる。接着用樹脂は、例えば、紫外線硬化性エポキシ樹脂を用いて、硬化のための紫外線を100mW/cm2で1分間照射して硬化を行われる。光ファイバの固定に関しては、押し当てているカバーを同時に接着しても構わない。
この光ファイバ固定の後、光ファイバ7の端面を含む光ファイバ固定ブロック12の端面を研磨してもよい。端面研磨は、例えば、回転式の湿式研磨機を用いて#1500の研磨紙による研磨の後、粒径0.2μmのSiO2の砥粒によるバフ研磨により行われる。クラッド基板8の各ブロックへの分断の際に8°以上の、ある傾斜角度を持たせて分断が行われている場合、その傾斜角度と同一の角度で光ファイバ端面を形成することにより、より効率的な光の伝搬が可能となる。
FIG.12(a),FIG.12(b)を参照して、光ファイバ固定ブロック12及び導波路ブロック11の代表的な寸法について説明する。光ファイバ固定ブロック12の表面のクラッド樹脂層の厚さcは、c=5〜20μmとされる。また、導波路のコア5の幅寸法d5は、d5=5〜12μmであり、上部クラッド6の厚みh6は、h6=10〜1000μmである。また、コア5の厚みh5は、h5=5〜12μm(シングルモード用)、h5=10〜1000μm(マルチモード用)である。さらに、コア5とシリコン基板3に挟まれた部分の下部クラッド4の厚みh3は、h3=10〜1000μmである。
また、シリコン基板3の底面11aから導波路のコア5断面中心までの高さb及び底面12aから光ファイバのコア5断面中心までの高さaは、例えば、a=b=538μmである。型2によって成形された光ファイバ案内溝42のなす角度θは、シリコン基板3に異方性エッチングで形成したV字状凹部31のなす角度と同じである。光ファイバ案内溝42の深さは、この角度θを考慮し、光ファイバ固定ブロック12の底面12aから光ファイバ7のコア71の中心位置までの高さaと、導波路ブロック11の底面11aから光導波路コア5の中心位置までの高さbが一致するように決定される。
(ブロック接合工程S6)
FIG.13は、ブロック接合工程(S6)を示す。この工程において、光ファイバ7が固定された光ファイバ固定ブロック12と、表面に導波路を備えた導波路ブロック11とが、光ファイバ7のコア5と光導波路のコアの光軸を光学的に結合して接合される。
各ブロックの接合には、接合治具9が用いられ、各ブロックの高さ合わせと、各光軸の水平位置合わせとが効率的且つ精度良く行われる。接合治具9は、水平基準面91と、これに直行する垂直基準面92を有している。そこで、各ブロック11,12を水平基準面91に載置することにより、光ファイバ固定ブロック12に固定された光ファイバのコア中心の高さと、導波路ブロック11のコア5断面中心の高さが自動的に精度良く一致した状態となる。
このような高さ精度は、(1)各ブロック11,12が、平行度の精度の良いシリコン基板3の上に形成されていること、(2)基板形成工程において用いられたコア溝41となるコア用凸部21と光ファイバ案内溝42となる案内溝用凸部22を備えた型2の精度、及び、(3)前記シリコン基板3と型2の平行度を保ってシリコン基板3の底面に平行な光導波路コア溝41、及び光ファイバ案内溝42を形成したことによって保証される。この(2)に関する型2について、その製作方法が後述される。また、(3)の平行度については、型2に精度良いスペーサを付加することなどによって達成される。
また、同一クラッド基板8から各ブロックが切り出されるということも、高さ精度の確保に効果がある。この効果を得るためには、切断によって分断された導波路ブロック11と光ファイバ固定ブロック12のもとの組合せを再現できるように目印等を付加して管理することが有効である。このように、高さ方向位置が合わされており、また、もとのブロック間の組合せを再現できるので、互いに接合されるブロックの光軸合わせは、水平方向の位置合わせによって達成される。
水平方向の位置合わせは、各ブロック11,12を、FIG.13に示すように、接合治具9の垂直基準面92に、矢印94で示すように突き当てることによって完了する。これは、各ブロック11,12の端面11b、12bが、基板分断工程における基準形成工程によって、例えば、FIG.9(a)に示す切断線y1に沿って、同一切断面(側面基準)として形成されているからである。
上述のように、光軸高さと水平位置が合わせを行った後、接合面に紫外線硬化性接着剤を塗布し、矢印93に示すように各ブロック11,12を接合面間で圧接させて、紫外線照射により導波路ブロック11と光ファイバ固定ブロック12を接合する。接合に用いる接着剤は、光ファイバ固定工程(S5)で用いられたものと同じ光硬化性エポキシ接着剤であり、硬化条件も同じである。
上述の基板分断工程(S4)、光ファイバ固定工程(S5)、ブロック接合工程(S6)におけるクラッド基板8の分断、各ブロック形成、及びブロック接合の様子をまとめて、FIG.14(a1)〜FIG.14(d3)に示す。前出のFIG.10(a)における切断線x3(及びx1,x2,x4)は、FIG.14(a2)に示すように、幅Wにわたって設定されており、この幅Wの切断代により、異方性エッチングで形成されたコア軸方向にある斜面が切り落とされる。この幅Wは、上述のダイサ80のブレードの幅(厚み)Wに一致している。この斜面はシリコン結晶の(111)面であり、その幅は70μm程度であるので、この幅より幅の広いブレードによって、1回の切断で斜面が除去できる。分断された状態が、FIG.14(b1)に示されている。
また、FIG.14(b1)の右側に示されている分断された光ファイバ固定ブロック12には、不要な上部クラッド樹脂61,コア樹脂51が含まれており、これらは、剥離膜43と共に除去され、FIG.14(c2),FIG.14(c3)に示すように、下部クラッド4で形成された光ファイバ案内溝42を備えた光ファイバ固定ブロック12となる。この光ファイバ固定ブロック12に光ファイバ7を固定するとともに、導波路ブロック11に接合して形成された光導波路モジュールの断面は、FIG.14(d1)〜FIG.14(d3)に示すようになっている。
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3に係る光導波路モジュール製造方法を説明する。FIG.15(a)〜FIG.15(c)は、導波路形成工程における光導波路モジュール1の主要部断面を示す。本実施形態3における導波路形成工程は、クラッド基板のコア溝に光硬化性材料よりなるコア材を充填した後、光ファイバ案内溝が非照射部となるように光を選択的に照射してコア材を硬化させて光導波路を形成する選択硬化工程を備えている。これは、次の理由による。本来形成されるべきでない光ファイバ案内溝42に、製造工程の都合上、コア材及び上部クラッド材が充填された後に、これらの不要なコア材や上部クラッド材を除去する場合、光ファイバ案内溝42を形成している下部クラッド4を残して不要なコア材を除去すべきところ、下部クラッド4とシリコン基板3との密着力が弱いためシリコン基板3から下部クラッド材が剥離してしまうことがある。このような状況を回避するために、選択硬化工程を用いることができる。
上述の選択硬化工程では、光硬化性材料からなるコア材を用いる。FIG.15(a)に示すように、シリコン基板3の上に下部クラッド4を形成した後、光硬化性のコア材50を塗布してコア材50を硬化させる時に、マスクM2を用いて光ファイバ案内溝42の上部を遮蔽し、導波路部のコア材50のみに光Lを照射(露光)して、FIG.15(b)に示すようにコア5部分のみを硬化させる。この後、有機溶剤などの現像液を用いて、未硬化部を除去する。現像後の状態は、FIG.15(c)に示すように、形成されたコア5と、表面に介在物のない光ファイバ案内溝42が形成されている。コア5の上部に、上部クラッド6を形成する場合、コア材と同様に、上部クラッド材を塗布後、導波路形成部の上部クラッド材のみを露光して光ファイバ案内溝42部分は未硬化の状態にし、光ファイバ案内溝42部分の上部クラッド材を現像液で除去することができる。
このような選択硬化工程を用いれば、光ファイバ案内溝側に漏洩したコア材が硬化されずに未硬化コア材として容易に取り除くことができるので、基板分断工程を導波路形成工程の後に行う場合に、コア材充填時に漏洩したコア材が光ファイバ固定ブロックに残留することがなく光ファイバ固定が精度良く行え、従って、光ファイバと導波路ブロックの位置合せを正確に行うことができる。本実施形態3における他の工程は、FIG.(2)に示した実施形態2における工程と同様である。なお、本実施形態3によると、剥離膜形成工程を省略することができる。
(実施形態4)
次に、本発明の実施形態4に係る光導波路モジュール製造方法を説明する。本実施形態4における導波路形成工程は、光ファイバ案内溝表面に付着したコア材を除去するために光ファイバ案内溝表面をエッチングするコア材除去工程を備えている。この実施形態4は、前述の実施形態2における各工程を同様に含んでいるが、導波路形成工程にエッチングによるコア材除去工程を含んでいる点が異なる。そこで、実施形態2における図面を参照して説明する。光ファイバ案内溝42を構成している下部クラッド4の上に、製造工程の都合上コア材及び上部クラッド材が充填される。これらの本来不要なコア材や上部クラッド材を剥離する方法として、金属膜からなる剥離膜43と光硬化性樹脂からなるコア5材との密着力が弱い場合、基板分断工程後に上部クラッド6の表面を罫書針等で機械的に引っ掻いて剥離することが行われる。しかしながら、成形を行った下部クラッド4とシリコン基板3との密着力が必ずしも強くないため、上述の機械的な剥離方法では、下部クラッド4が剥離してしまうという不具合が発生する場合がある。このため、機械的(物理的)な剥離方法の替わりにエッチングによる化学的な剥離方法によるコア材除去工程が用いられる。
コア材除去工程を説明する。クラッド基板8上にコア5、上部クラッド6が形成された後、上部クラッド6の表面にエッチングマスクをパターニングする。このマスクの材料は、剥離膜43と同一材質であることが望ましく、例えばAu薄膜を用いる。Au薄膜を上部クラッド6の表面全面にスパッタ成膜した後に、Au薄膜上にレジスト材を塗布して、クラッド基板8の光ファイバ案内溝近傍部分を開口するようにレジスト材を露光現像する。その後、KI(ヨウ化カリウム)溶液でAu薄膜をエッチングし、光ファイバ案内溝近傍部分を開口させる。次に、Au薄膜の開口を介して、不要なコア材及び上部クラッド材をエッチング除去する。
コア材及び上部クラッド材のエッチングは、硝酸+過酸化水素溶液にクラッド基板8全体を浸漬して行う。不要なコア材、上部クラッド材が除去されて、剥離膜43(今の場合Au薄膜)が露出すれば、エッチングが終了する。エッチング終了後に、エッチングマスクとして使用したAu薄膜をエッチング除去する。このAu薄膜は、コア5との間にある程度の距離(シングルモード伝搬導波路の場合、15μm以上、つまり上部クラッド6の厚みが15μm以上)が離れていれば、光導波路に特性上の悪影響を及ぼすことが少なく、その場合は、エッチングを行わずにAu薄膜を除去せずにそのままにしておいても問題ない。また、光ファイバ案内溝42上のAu薄膜(剥離膜43)も、厚さが薄いので、そのまま残しておいても問題はない。
上述のコア材除去工程によると、機械的な接触がないため誤って光導波路を破壊する危険性がない。また、マスク材として用いたAu薄膜と上部クラッド6との密着力が低い場合には、Ti(チタン)等の薄膜による緩衝層を形成し、Au薄膜の密着力を向上させてもよい。また、コア材や上部クラッド材のエッチング方法として、上述の化学的なエッチング以外に、レーザ光によるエッチングを行うこともできる。この方法は、剥離膜43をAlやCu、Au等の金属膜で形成し、剥離膜43の上に積層されたコア材・上部クラッド材をレーザ光を用いてアブレーションにより除去する。
つまり、金属膜と樹脂とでは、レーザ光によるエッチングの閾値が異なることを利用して、金属膜は除去されないが樹脂部のみが除去されるようなエネルギー密度のレーザ光を照射することにより樹脂部のみを除去する。例えば、KrFエキシマレーザを用いて、照射エネルギー密度が0.5J/cm2の強度でレーザ光を照射する。エキシマレーザはパルスレーザであり、1パルス当たりの除去量も0.3μm程度であるので、V溝部の除去には、数100パルスの照射が必要になる。エキシマレーザの1パルスは30ns程度であるため、熱影響が殆どなく、他の樹脂部への熱による悪影響がない。
このようなコア材除去工程を用いれば、光ファイバ案内溝側に漏洩したコア材を導波路形成工程後に取り除くことができるので、基板分断工程を導波路形成工程の後に行う場合においても、コア材充填時に漏洩したコア材が光ファイバ固定ブロックに残留することがなく光ファイバ固定が精度良く行え、従って、光ファイバと導波路ブロックの位置合せを正確に行うことができる。
(実施形態5)
次に、本発明の実施形態5に係る光導波路モジュール製造方法に用いられる型を説明する。FIG.16(a),FIG.16(b)は、前出の実施形態2における型2とは異なる凸部配置を有する型27と、これを用いて形成されたクラッド基板8を示す。FIG.16(a)に示す型27は、コア用凸部21と案内溝用凸部22とが、前出のFIG.5に示す型2と同様に(凸部端において)平行であるが、両凸部の方向と垂直な方向に各凸部21,22の配置がずれている。このような型27を用いて形成されたクラッド基板8は、FIG.16(b)に示すような切断線x5〜x8、y3〜y5によって分断される。
上述の型27によるクラッド基板8では、後工程における光軸の高さ位置合わせについて、前述の型2によるものと同等の効果が得られる。しかしながら、ブロック接合工程における光軸に対して垂直な方向における位置合わせ精度については、実施形態2における側面基準を用いることができない。このような型27は、シリコン基板上に光導波路や光ファイバ案内溝を効率的に配置して、基板を有効活用する場合などに有効である。
(実施形態6)
次に、本発明の実施形態6に係る光導波路モジュール製造方法を説明する。この製造方法は、前述の実施形態2における光導波路モジュールを製造する工程の順番を入れ替えた3つの製造方法(方法2,3,4)の1つ(方法2)である。製造方法3,4については、それぞれ実施形態7、8として後述する。FIG.17は製造方法2のフローを示し、FIG.18(a),FIG.18(b)はそのフローにより製造された光導波路モジュール1を示す。この製造方法2は、FIG.17に示すように、前出のFIG.2に示した光ファイバ固定工程(S5)とブロック接合工程(S6)の順番を入れ替えたものである。
製造方法2におけるブロック接合工程(S24)では、FIG.18(a)に示すように、光ファイバを備えていない光ファイバ固定ブロック12が導波路ブロック11に接合される。続いて、光ファイバ固定工程(S25)において、FIG.18(b)に示すように、前記導波路ブロック11に接合された光ファイバ固定ブロック12に光ファイバ7が固定される。このような方法によると、前述の実施形態2における製造方法と同様に各ブロックどうしの位置合わせが容易である効果に加えて、光ファイバ7を固定する時期や、固定する光ファイバ7の(例えば長さなどの)構成種別の選択の自由度が向上する。
(実施形態7)
次に、本発明の実施形態7に係る光導波路モジュール製造方法(製造方法3)を説明する。製造方法3は、FIG.19に示すように、前出のFIG.2に示した導波路形成工程(S3)と基板分断工程(S4)の順番を入れ替えたものである。製造方法3における基板分断工程(S32)では、前工程の基板形成工程で形成されたクラッド基板8の切断により、クラッド基板8がコア溝41を表面に備えた導波路ブロック11と、光ファイバ案内溝42を備えた光ファイバ固定ブロック12に分断される。続いて、導波路形成工程(S33)において、導波路ブロック11のコア溝41へのコア材の充填・硬化により導波路のコア5が形成され、さらに、そのコア5の上に上部クラッド6が形成される。
このような方法によると、前述の効果に加え、光ファイバ固定ブロック12とは全く独立に導波路ブロック11のみを対象として導波路形成処理を行うことができ、コア溝41へのコア材の充填・硬化等による導波路ブロック形成工程が単純化される効果がある。すなわち、前出のFIG.9(d2),FIG.9(d3)に示したような、分離膜43を設ける必要がなく、また、余分なクラッド樹脂61やコア樹脂51を除去する必要がなくなる。ただし、クラッド基板8分断後の導波路ブロックにコア樹脂を充填する場合に、端面に押さえ板等を配置してコア樹脂が流れ出さないようにする必要がある。
(実施形態8)
次に、本発明の実施形態8に係る光導波路モジュール製造方法(製造方法4)を説明する。製造方法4は、FIG.20に示すように、前出のFIG.2に示した導波路形成工程(S3)と基板分断工程(S4)の順番を入れ替え、さらに、光ファイバ固定工程(S5)とブロック接合工程(S6)の順番を入れ替えたものである。この製造方法4では、前出の実施形態6及び7(製造方法2及び3)について説明したのと同様の作用・効果が得られる。
(実施形態9)
次に、本発明の実施形態9に係る型2の製造方法について説明する。この型2は本発明のいずれの光導波路モジュール製造方法においても用いられる。FIG.21(a1)〜FIG.22(g4)は型製造の各工程における平面図及び断面図を示す。ここで説明する型製造方法は、ドイツで開発の進められたLIGA(Lithography Galvanoformung Abformung)プロセスを応用したものである。LIGAプロセスは、フォトエレクトロプレーティングの方法を用いて、立体的に、奥行きが出るように型を製造できるプロセスであり、例えば、PMMAというフォトレジストを深く立体的に形成した後で、電気めっき(電気鋳造)して型を作ることができる。まず、FIG.21(a1)〜FIG.21(a3)に示すように、シリコン基板103の表面に、前出のFIG.3に示した凹部31の形成と同様に、異方性エッチングによってV溝131が形成される。
続いて、FIG.21(b1)〜FIG.21(b3)に示すように、V溝131にレジスト132を充填して表面を平らにする。その方法として、スキージング法を用いることができる。また、スピンコータを用いてもよい。次に、FIG.21(c1)〜FIG.21(c3)に示すように、シリコン基板103の表面に、光導波路コア高さに相当する厚さのレジスト133の膜をスピンコータにより形成する。
その後、FIG.21(d1)〜FIG.21(d4)に示すように、導波路パターンのマスク(不図示)を用いてレジスト133に対するUVフォトリソグラフィ処理を行い、さらに現像、硬化を行って、レジスト133に導波路のコアに相当する溝134を形成する。使用したレジストは、東京応化社製PMER P−LA300PMK(ポジ型)であり、30mW/cm2の紫外線ランプで10秒間露光した後、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)3%溶液で5分間現像し、90℃60分間で硬化させた。また、現像の際に、前工程でV溝131に充填されたレジスト132及び導波路領域以外のレジスト133を除去する。ここで、V溝131が光ファイバ案内溝となる型の案内溝用凸部に、また、溝134がコア溝となる型のコア用凸部に対応する。
続いて、FIG.22(e1)〜FIG.22(e4)に示すように、上記で形成された構造体の表面全面に銀スパッタ膜135を形成する。その後、FIG.22(f1)〜FIG.22(f4)に示すように、銀スパッタ膜の上に電気めっきによってNiの電気鋳造型136を成長させる。厚さ300μmとなるまで電気鋳造を行い、その間、反りが発生しないように注意し、電流密度、電極間距離、めっき液の循環の最適化を行う。その結果、膜厚精度±1μmが得られた。
最後に、電気鋳造型からレジスト構造体とシリコン基板を剥離させ、電気鋳造型の外形加工を行い、FIG.22(g1)〜FIG.22(g4)に示すように、型2が完成する。型2の外形加工は、型裏面(構造体が形成された反対面、最後の図の下面)を平行にする研削加工、及び外周加工などである。
(実施形態10)
次に、本発明の実施形態10に係る光導波路モジュール製造方法における基板形成工程を説明する。本実施形態10は、特に光導波路モジュール1のベースとなるシリコン基板3と型2の位置合わせに特徴があり、他の点は前出の実施形態2等における工程と同様である。実施形態2における図を適宜参照する。FIG.23(a),FIG.23(b)は嵌合構造による位置合わせを示し、FIG.24(a)〜FIG.24(c)は位置合わせのための装置を示す。基板形成工程において、光ファイバ案内溝42に対応する凹部31が形成されたシリコン基板3に、案内溝用凸部22を有する型2を組み合わせてクラッド基板8を形成するとき、凹部31と案内溝用凸部22の位置合わせが必要となる。そこで、実施形態10では、FIG.23(a)に示されるように、型2の四隅に嵌合用凸部29を設け、さらにシリコン基板30に嵌合用凹部39を設けて、型2の凸部29とシリコン基板30の凹部39との嵌合により両者の位置合わせを行う。
上述のシリコン基板30の凹部39は、光ファイバ案内溝42に対応する凹部31を形成するときに、異方性エッチングによって同時に形成することができる。従って、この凹部39は、凹部31の形成と同様に、KOH溶液によるエッチングで作製される。その形状は、例えば、一辺s1=150μm、高さt1=106μmの四角錐形状とされる。この形状は、これ以上のサイズの四角錐でも良く、例えば、一辺s2=100μm〜5mm程度でもかまわない。ただし、シリコンの異方性エッチングを利用する場合、四角錐形状になり、エッチング時間を制御しなければ、高さ(深さ)が高くなりすぎるので、FIG.22(b)に示されるように、光ファイバ案内溝の深さが形成された時点でエッチングを終了する。
このような位置合わせのための嵌合用凹凸部は、型とシリコン基板のどちらに凹部又は凸部を形成してもよく、また、その形状は四角錐でなくても、基板と型に形成される形状が対応していれば、円柱でも、他の形状でも構わない。しかしながら、光ファイバ案内溝用の凹部31を形成する際に、同時に形成できるので、上記方法が好適である。
次に、基板形成工程において、上述の型とシリコン基板の位置合わせを自動的に進行させることについて説明する。FIG.24(a)において、凹部31及び型2との嵌合用凹部39を有するシリコン基板30は、上面に下部クラッド形成用のクラッド用樹脂液4aを塗布した状態で、基板支持台301に載置されている。基板支持台301は多数の貫通孔302を有しており、空気流通路を形成する台座300に固定されている。台座300の下部の空気流入口304から適度の圧力に調整された圧空310が導入され、この空気の流れは、貫通孔302を経由してシリコン基板30の下部に上向きの圧力を加えながら外部への流れ311となって排出される。例えば、貫通孔302を基板支持台301に直径1mm程度の穴を1cm間隔で開け、空気を2リットル/分で流すようにする。
シリコン基板30は、FIG.24(b)に示すように、空気圧によって、矢印320に示すように拘束のない状態で左右に移動可能とされる。そこで、型2の嵌合用凸部29とシリコン基板30の嵌合用凹部39との大略の位置合わせをして、上部から型2を降ろしていくと、嵌合用凹凸が互いに倣い合って、型2がシリコン基板30に押しあたる際にシリコン基板30が拘束なく自動的に移動して互いの位置が定まる。なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。
この出願は2003年7月28日付けの特許出願に基づいて優先権主張を行う。その出願の内容の全体が参照によって、この出願に組み込まれる。

Claims (10)

  1. 光導波路に光ファイバが接続されてなる光導波路モジュールの製造方法において、
    平板上にクラッド材を配置し、その上からコア溝となるコア用凸部と光ファイバ案内溝となる案内溝用凸部とを備えた型を押し付けることによりコア溝と光ファイバ案内溝とを有するクラッド基板を形成する基板形成工程と、
    前記基板形成工程で形成されたコア溝にコア材を充填し、硬化して光導波路を形成する導波路形成工程と、
    前記クラッド基板を前記光導波路又は光導波路となるコア溝を有した導波路ブロックと光ファイバ案内溝を表面に有した光ファイバ固定ブロックとに分断する基板分断工程と、
    前記光ファイバ固定ブロックの光ファイバ案内溝に光ファイバを固定する光ファイバ固定工程と、
    前記導波路ブロックと光ファイバ固定ブロックとを各々の底面を基準として位置合わせして接合するブロック接合工程と、を備え、
    前記基板形成工程時に用いられる型は、前記コア用凸部の端部近傍が形成するコア溝の方向と前記案内溝用凸部の形成する光ファイバ案内溝方向とが平行となり、かつ、前記平板からの前記コア溝の断面中心高さと前記光ファイバ案内溝に光ファイバを設置したときの光ファイバの光軸高さとが同じとなるように形成されており、
    前記基板形成工程時に用いられる平板は、シリコン基板であって該シリコン基板に異方性エッチングにより前記型の案内溝用凸部と相対した部位に凹部を形成して備えており、
    前記基板分断工程における分断時に、前記導波路ブロックの端面と前記光ファイバ固定ブロックの端面とを互いの平行度を保って同時に形成すると共に前記異方性エッチングで形成された前記凹部のコア溝方向にある斜面を切り落すことを特徴とする。
  2. 請求項1に記載の光導波路モジュールの製造方法において、
    前記基板形成工程時に用いられる型は、前記コア用凸部の端部近傍が形成するコア溝の断面中心位置と前記案内溝用凸部の形成する光ファイバ案内溝に光ファイバを設置したときの光ファイバの光軸位置とが一致するように形成されていることを特徴とする。
  3. 請求項1に記載の光導波路モジュールの製造方法において、
    前記導波路形成工程の後に前記基板分断工程を行って光導波路を有した導波路ブロックと光ファイバ案内溝を表面に有した光ファイバ固定ブロックとを形成し、前記光ファイバ固定工程の後に前記導波路ブロックと光ファイバを固定した光ファイバ固定ブロックとを接合する前記ブロック接合工程を行うことを特徴とする。
  4. 請求項1に記載の光導波路モジュールの製造方法において、
    前記導波路形成工程の後に前記基板分断工程を行って光導波路を有した導波路ブロックと光ファイバ案内溝を表面に有した光ファイバ固定ブロックとを形成し、前記導波路ブロックと光ファイバを固定していない光ファイバ固定ブロックとを接合する前記ブロック接合工程を行った後に前記光ファイバ固定工程を行うことを特徴とする。
  5. 請求項1に記載の光導波路モジュールの製造方法において、
    前記クラッド基板を前記光導波路となるコア溝を有した導波路ブロックと光ファイバ固定ブロックとに分断する前記基板分断工程の後に前記導波路形成工程を行うことを特徴とする。
  6. 請求項1に記載の光導波路モジュールの製造方法において、
    前記基板分断工程時に、前記導波路ブロックの端面と前記光ファイバ固定ブロックの端面とが光軸に対して傾斜するように分断することを特徴とする。
  7. 請求項1に記載の光導波路モジュールの製造方法において、
    前記基板分断工程前に、前記導波路ブロックとなる部位、及び、前記光ファイバ固定ブロックとなる部位にブロック接合工程時の光軸位置決めのための少なくとも1つ以上の基準となる部位を設ける基準形成工程を備えていることを特徴とする。
  8. 請求項2又は請求項3に記載の光導波路モジュールの製造方法において、
    前記基板形成工程と導波路形成工程の間に、前記光ファイバ案内溝表面にコア材との密着力よりもクラッド基板との密着力が小さい剥離膜を形成する剥離膜形成工程を備えていることを特徴とする。
  9. 請求項2又は請求項3に記載の光導波路モジュールの製造方法において、
    前記導波路形成工程は、前記クラッド基板のコア溝に光硬化性材料よりなるコア材を充填した後、光ファイバ案内溝が非照射部となるように光を選択的に照射してコア材を硬化させて光導波路を形成する選択硬化工程を備えていることを特徴とする。
  10. 請求項2又は請求項3に記載の光導波路モジュールの製造方法において、
    前記導波路形成工程は、前記光ファイバ案内溝表面に付着したコア材を除去するために光ファイバ案内溝表面をエッチングするコア材除去工程を備えていることを特徴とする。
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